説明

エレファント形変圧器

【課題】地上から立ち上げられた気中用ケーブルを収納させるダクトの構成を簡素化した電圧調整機能を有するエレファント形変圧器を提供する。
【解決手段】タンク2内に収容された変圧器本体1から引き出された口出線5と、地上から立ち上げられた気中用ケーブル6とが貫通ブッシング7を介して接続され、気中用ケーブルを収納したダクト8がタンクの側壁側2aに設けられる。変圧器本体の上部に電圧調整を行うための無電圧タップ切換器4が設けられ、かつ、変圧器本体とタンクの内壁と無電圧タップ切換器とにより変圧器本体の上部に形成される空間に貫通ブッシングの変圧器側部を収納するように貫通ブッシングが前記タンクの側壁を貫通して取り付けられる。ダクトの壁面の一部がタンクの側壁と共用するようにダクトが形成され、ダクトがタンクの側壁に直接取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器本体を収容するタンクの側壁側に設けられたダクトを有するエレファント形変圧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレファント形変圧器は、電力用変圧器に採用される場合が多々あり、タンク内の変圧器本体の上部に変圧器として無駄な空間を設けないように構成されており、このような構成では大きなサイズであるブッシングがタンクに直接取り付けられないために、タンクから離隔されて設けられている。例えば、タンクの上部側壁から横方向に延出させて設けられたブッシングポケット内に収納されている。
【0003】
図2は従来のエレファント形変圧器の概略構成図である。図示するように、変圧器本体1がタンク2′内に充填された絶縁油3と共に収容されている。この変圧器本体1は鉄心1a、コイル1b等から構成されている。
【0004】
タンク2′の側壁2a′には、変圧器本体1から引き出された3つの口出線5(図示では1つ)と、地上から立ち上げられた3つの気中用ケーブル6(図示では1つ)とが3つの貫通ブッシング7(図示では1つ)を介してそれぞれ接続され、この3つの気中用ケーブル6及び3つの貫通ブッシング7を一括収納させるダクト8′が取り付けられており、このダクト8′はブッシングポケット部8a′とケーブル収納ダクト部と8b′から構成されている。
【0005】
ブッシングポケット部8a′は例えば、開口部が矩形状の筒体からなっており、その一端に形成された第1の開口部8a1′がタンク2′に形成された矩形状の開口部2a′と連通するように、タンク2′に溶接により取り付けられている。
【0006】
ブッシングポケット部8a′の他端に形成された矩形状の第2の開口部8a2′には、貫通状態で取り付けられた3つの貫通ブッシング7を支持する1つの板状のブッシング支持部材9′が取り付けられており、そのタンク2′側の面と第2の開口部8a2′とが溶接されている。このブッシングポケット部8a′は、貫通ブッシング7の変圧器側部7aがほぼ収納されるように形成されており、その変圧器側部7aは絶縁油3中に浸されている。
【0007】
ケーブル収納ダクト部8b′は例えば、直方体状に形成されており、タンク2′側の面の上部に形成されると共に、周縁にフランジが形成された矩形状の第1の開口部8b1′がブッシング支持部材9′の外側の面にボルト締めによりフランジ結合されて取り付けられている。このケーブル収納ダクト部8b′の内部は気中になっている。なお、フランジには図示しないボルト貫通孔が適宜の間隔で設けられている。
【0008】
ケーブル収納ダクト部8b′の地面側に形成された第2の開口部8b2′には、気中用ケーブル6を貫通するように蓋状部材10′が取り付けられている。
【0009】
変圧器本体1から引き出された口出線5は貫通ブッシング7の変圧器側接続端子7a1′に接続され、地上から立ち上げられた気中用ケーブル6は貫通ブッシング7のダクト側接続端子7b1′に接続されている。
【0010】
ダクト8′には、そのダクトの横方向が比較的長く、また、重量が相当大きくなるために、例えば、ブッシングポケット部8a′に図示しないダクト支持部材が設けられている。または、ダクト支持部材を採用しない場合、ブッシングポケット部8a′の肉厚の大きいものが用いられる。
【0011】
このようなタンク2内に収容された変圧器本体1から引き出された口出線5と、地上から立ち上げられた気中用ケーブル6とが貫通ブッシング7を介して接続され、この気中用ケーブル6及び貫通ブッシング7を収納したダクト8′がタンク2′の側壁2a′側に設けられて構成されるエレファント形変圧器は、例えば、特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2000−133523公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように構成されたダクトを、タンク2′内に収容された変圧器本体1の上部に電圧調整を行うための無電圧タップ切換器が設けられ、かつ、変圧器本体1の上部にタンク2′の内壁と無電圧タップ切換器とにより形成される空間に、変圧器本体1から引き出された口出線5と、地上から立ち上げられた気中用ケーブル6とを接続させる貫通ブッシング7′の変圧器側部7a′を収納するように貫通ブッシン7′グがタンク2′の側壁2a′を貫通して取り付けられたエレファント形変圧器に採用した場合には、変圧器として無駄な空間が生じると共に、その空間に絶縁油3が充填されているという問題が生じる。また、上記ダクト8′が複雑に構成されると共に、ダクト支持部材が設けられ、または、ブッシングポケット部8a′の肉厚の大きいものが用いられるために、ダクト8に係わる作業性が悪く、また、コストアップするという問題が生じる。
【0013】
本発明の目的は、タンク内に収容された変圧器本体からの口出線と、地上から立ち上げられた気中用ケーブルとが貫通ブッシングを介して接続され、この気中用ケーブルを収納させるダクトの構成を簡素化した電圧調整機能を有するエレファント形変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明は、タンク内に収容された変圧器本体から引き出された口出線と、地上から立ち上げられた気中用ケーブルとが貫通ブッシングを介して接続され、気中用ケーブルを収納したダクトがタンクの側壁側に設けられたエレファント形変圧器を対象とし、変圧器本体の上部に電圧調整を行うための無電圧タップ切換器が設けられ、かつ、変圧器本体とタンクの内壁と無電圧タップ切換器とにより変圧器本体の上部に形成される空間に貫通ブッシングの変圧器側部を収納するように貫通ブッシングがタンクの側壁を貫通して取り付けられ、ダクトの壁面の一部がタンクの側壁と共用するようにダクトが形成され、ダクトがタンクの側壁に直接取り付けられるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、第1の発明によれば、タンク内に収容された変圧器本体からの口出線と、地上から立ち上げられた気中用ケーブルとが貫通ブッシングを介して接続され、この気中用ケーブル及び貫通ブッシングを収納させるダクトの構成を簡素化したので、ダクトに係わる一連の作業を単純化することができ、また、コストアップを抑制することができる。さらに、変圧器として無駄な空間が生じさせることが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は電圧調整機能を有する本発明のエレファント形変圧器の実施形態を示す概略構成図である。図示するように、変圧器本体1がタンク2内に充填された絶縁油3と共に収容されている。この変圧器本体1は鉄心1a、コイル1b、鉄心締付金具1c等から構成されている。
【0017】
無電圧タップ切換器4は、電圧調整を行うためのもので、変圧器本体1の上部に所定の空間が形成されており、この空間に配置されるように、鉄心締付金具1cを利用して変圧器本体1の上部に取り付けられている。
【0018】
タンク2の上部には、変圧器本体1から引き出された3つの口出線5(図示では1つ)と、地上から立ち上げられた3つの気中用ケーブル6(図示では1つ)とを接続させるための3つの貫通ブッシング7(図示では1つ)が側壁2aを貫通して取り付けられている。
【0019】
貫通ブッシング7は、変圧器本体1とタンク2の内壁と無電圧タップ切換器4とにより、変圧器本体1の上部に形成される空間に貫通ブッシング7の変圧器側部7aが収納されると共に、変圧器本体1とタンク2の内壁と無電圧タップ切換器4とから所定の絶縁距離が確保されるような位置が選定されて取り付けられる。
【0020】
タンク2の側壁2aの外側には、3つの気中用ケーブル6及び3つの貫通ブッシング7を一括収納させるダクト8が直接取り付けられている。このダクト8は例えば、直方体状に形成されており、タンク2側が全体に開口されてコの字状の第1の開口部8aが形成されると共に、周縁にフランジが形成され、この開口部8aがタンク2の側壁2aにフランジ結合され、ボルト締めにより取り付けられている。なお、フランジには図示しないボルト貫通孔が適宜の間隔で設けられ、また、ボルト貫通孔と整合するように、タンク2の側壁2aにスダッドボルトが取り付けられている。
【0021】
ダクト8にはまた、地面側が全体に開口されてコの字状の第2の開口部8bが形成されており、この開口部8bには、気中用ケーブル6を貫通するように蓋状部材10が取り付けられている。
【0022】
変圧器本体1から引き出された口出線5は貫通ブッシング7の変圧器側接続端子7a1に接続され、地上から立ち上げられた気中用ケーブル6は貫通ブッシング7のダクト側接続端子7b1に接続されている。
【0023】
このように構成すると、ダクト8の壁面の一部がタンク2の側壁と共用するようにダクト8が形成されるので、ダクト8に係わる一連の作業が単純化され、また、コストアップが抑制される。さらに、変圧器として無駄な空間が生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電圧調整機能を有する本発明のエレファント形変圧器の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】従来のエレファント形変圧器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1 変圧器本体
2 タンク
2a タンクの側壁側
4 無電圧タップ切換器コイル
5 口出線
6 気中用ケーブル
7 貫通ブッシング
8 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に収容された変圧器本体から引き出された口出線と、地上から立ち上げられた気中用ケーブルとが貫通ブッシングを介して接続され、前記気中用ケーブルを収納したダクトが前記タンクの側壁側に設けられたエレファント形変圧器において、
前記変圧器本体の上部に電圧調整を行うための無電圧タップ切換器が設けられ、かつ、前記変圧器本体と前記タンクの内壁と前記無電圧タップ切換器とにより前記変圧器本体の上部に形成される空間に前記貫通ブッシングの変圧器側部を収納するように前記貫通ブッシングが前記タンクの側壁を貫通して取り付けられ、
前記ダクトの壁面の一部が前記タンクの側壁と共用するように前記ダクトが形成され、
前記ダクトが前記タンクの側壁に直接取り付けられたエレファント形変圧器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−269873(P2006−269873A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87809(P2005−87809)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】