説明

エレベーター装置

【課題】電動機および制御盤の配線作業や保守作業を容易にすると共に、昇降路の小型化を可能にしたエレベータ装置を提供する。
【解決手段】昇降路壁2と乗りかご7の側方との間に形成した側方空間部に近い位置の背面側空間部の上方部に巻上機16を配置し、同側方空間部に、その上方部で回転可能に軸支して並置した一対の頂部プーリ20、21と、巻上機16の駆動シーブ23と一方の頂部プーリ21との間の下方部に位置して回転可能に軸支した返しプーリ22とを設け、主ロープ15は、かご用プーリ19を経由して立ち上げ一対の頂部プーリ20、21に掛けてから下方へ導き、返しプーリ22を通して駆動シーブ23に巻き掛けた部分を有し、一対の頂部プーリ20、21の下方で、かつ、一対の頂部プーリ20、21に掛けた主ロープ15間に位置する部分に制御盤17を固定して設けて空間の有効活用を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの背面側に釣り合い錘と巻上機を配置した機械室レスのエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ装置として、昇降路内に立設したかご用ガイドレールに沿って乗りかごを昇降可能に配置し、この乗りかごの背面側と昇降路壁との間に形成された背面側空間部に、錘用ガイドレールに沿って昇降可能な釣り合い錘と、乗りかごおよび釣り合い錘を釣り下げた主ロープを駆動する巻上機とを配置した機械室レスエレベータ装置が知られている。この種のエレベータ装置では、背面側空間部に巻上機を配置したもの(例えば、特許文献1参照)や、背面側空間部における釣り合い錘の投影面上で、かつ、釣り合い錘と干渉することのない上方部に巻上機を配置したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297209号公報
【特許文献2】特開平7−10434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献を含む従来のエレベータ装置では、釣り合い錘を乗りかごの背面側に形成した背面側空間部に配置した機械室レスエレベータにおいて、巻上機の電動機を制御する制御盤の配置については十分検討されていなかったため、昇降路を大きくすることなく昇降路内の単なる残余空間部に制御盤を配置しようとすると、電動機と制御盤とを離れて配置することになり、両者間の配線が長くなったり、配線作業または保守作業のために電動機と制御盤間を繰り返し移動したりしなければならず、作業が面倒になってしまう。一方、作業性の観点からのみ制御盤の位置を決定してしまうと、その配置のために昇降路を大きくしてしまう。
【0005】
本発明の目的は、電動機および制御盤の配線作業や保守作業を容易にすると共に、昇降路の小型化を可能にしたエレベータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、昇降路内に立設した一対のかご用ガイドレールと、前記かご用ガイドレールによって案内されながら昇降可能な乗りかごと、前記乗りかごの背面側と前記昇降路の壁間に形成した背面側空間部に立設した一対の釣り合い錘用ガイドレールと、前記釣り合い錘用ガイドレールによって案内されながら昇降可能な釣り合い錘と、前記乗りかごの下部に回転可能に軸支した一対のかご用プーリと、前記かご用プーリを経由して前記釣り合い錘および前記乗りかごを吊るようローピングした主ロープと、前記背面側空間部に配置されて前記主ロープを巻き掛けた駆動シーブを有する巻上機と、前記巻上機を制御する制御盤とを備えたエレベータ装置において、前記昇降路の壁と前記乗りかごの側方との間に形成した側方空間部に近い位置の前記背面側空間部の上方部に前記巻上機を配置し、前記側方空間部に、その上方部で回転可能に軸支して並置した一対の頂部プーリと、前記巻上機の前記駆動シーブと一方の前記頂部プーリとの間の下方部に位置して回転可能に軸支した返しプーリとを設け、前記主ロープは、前記かご用プーリを経由して立ち上げ前記一対の頂部プーリに掛けて下方へ導き、前記返しプーリを通して前記駆動シーブに巻き掛けた部分を有し、前記制御盤は、前記一対の頂部プーリの下方で、かつ、前記一対の頂部プーリに掛けて下方に導いた部分の前記主ロープの対向部間に形成した領域に固定して設けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、頂部プーリの下部に積極的に形成した空間に制御盤を配置して空間の有効活用を図っているため、乗かごの側部と昇降路壁との間に形成される側方空間部の幅を小さくすることができ、昇降路の断面積を縮小したエレベータ装置とすることができる。また制御盤を昇降路の下部等に配置した場合に比べて、巻上機と制御盤とを近接して配置することができるので、両者間の配線作業や保守作業を余り移動することなく容易に行うことができる。
【0008】
また本発明は、上述の構成に加えて、前記巻上機は前記背面側空間部における前記側方空間部に寄せて配置し、前記側方空間部における前記昇降路の壁とほぼ平行な仮想垂直面に、前記一対の頂部プーリと前記返しプーリとを配置したことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、左側方空間部における構成を一層簡略化することができると共に、側方空間部に配置した頂部プーリおよび返しプーリの幅方向を薄型にすることができ、しかも、その仮想垂直面に近接して巻上機を配置することができるので、側方空間部を一層小さくして昇降路を小型にしたエレベータ装置とすることができる。
【0010】
また本発明は、上述の構成に加えて、前記背面側空間部に配置した前記釣り合い錘の投影面上に、前記巻上機の一部を重ねて配置したことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、釣り合い錘に設けられる釣り合い錘用プーリと、返しプーリとを近接して配置することができるので、両プーリ間に補助のプーリなどを設置することなく両プーリ間に主ロープを直接掛けて構成を簡単にしたエレベータ装置とすることができる。
【0012】
さらに本発明は、上述の構成に加えて、前記乗りかごの投影面上に、前記巻上機の一部を重ねて配置したことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、巻上機の駆動シーブと返しプーリとを近接して配置することができるので、両者間に補助のプーリなどを設置することなく両者間に主ロープを直接掛けて構成を簡単にしたエレベータ装置とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明のエレベータ装置によれば、頂部プーリの下部に積極的に形成した空間に制御盤を配置して空間の有効活用を図っているため、乗かごの側部と昇降路壁との間に形成される側方空間部の幅を小さくすることができ、昇降路の断面積を縮小したエレベータ装置とすることができる。また制御盤を昇降路の下部等に配置した場合に比べて、巻上機と制御盤とを近接して配置することができるので、両者間の配線作業や保守作業を余り移動することなく容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態によるエレベータ装置の平面図である。
【図2】図1に示したエレベータ装置の矢印A方向から見た側面図である。
【図3】図1に示したエレベータ装置の矢印B方向から見た側面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるエレベータ装置の平面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態によるエレベータ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1はエレベータ装置における昇降路の平面図であり、昇降路1を構成する昇降路壁2の内側に固定したレールブラケット3、4を用いて取り付けた一対のかご用ガイドレール5、6に案内されて昇降する乗りかご7と、この乗りかご7の背面で昇降路壁2の内側に固定したレールブラケット8、9を用いて取り付けた一対の錘用ガイドレール10、11に案内されて昇降する釣り合い錘12と、両端のロープエンド部13、14を固定しながら中間部で乗りかご7と釣り合い錘12とを吊り下げた主ロープ15と、この主ロープ15の中間部を巻き掛けて乗りかご7と釣り合い錘12とを昇降駆動するように昇降路壁2に支持固定した巻上機16と、この巻上機16を制御するように配線接続すると共に昇降路壁2に支持固定した制御盤17とを備えてエレベータが構成されている。
【0018】
乗りかご7の両側面および背面側と昇降路壁2との間には、それぞれ他の構成機器を配置するなどのために右側方空間部と、左側方空間部および背面側空間部を形成している。昇降路壁2と乗りかご7の右面側との間に形成した右側方空間部には、かご用ガイドレール5と干渉しない上方部で主ロープ15のロープエンド部13を固定しており、昇降路壁2と乗りかご7の背面側との間に形成した背面側空間部には、一対の錘用ガイドレール10、11と、釣り合い錘12と、錘用ガイドレール10、11と干渉しない上方部に固定した他方のロープエンド部14とを配置している。
【0019】
ロープエンド部13の下方に位置する乗りかご7の底部には、かご用ガイドレール5と干渉する位置を避けてかご用プーリ18を回転可能に軸支し、同様に、かご用ガイドレール6と干渉しない位置に他のかご用プーリ19を回転可能に軸支し、かご用プーリ18とかご用プーリ19とをほぼ同一直線上で回転するように対向して配置している。
【0020】
また、かご用プーリ19側に位置した乗りかご7の左面側と昇降路壁2との間に形成した左側方空間部には、その上方部で互いに緩衝しないように距離を隔てて回転可能に並置した一対の頂部プーリ20、21と、一方の頂部プーリ21と巻上機16との間の下方部に回転可能に設けた返しプーリ22とを備えており、昇降路壁2の内面にほぼ平行な仮想垂直面でそれぞれ回転可能に軸支している。
【0021】
昇降路壁2と乗りかご7の背面側との間に形成した背面側空間部に配置した巻上機16は、主ロープ15を巻き掛ける駆動シーブ23と、この駆動シーブ23を回転駆動する電動機24とを備えており、返しプーリ22の上方部に駆動シーブ23が位置するようにして電動機24を昇降路壁2側に向けて配置している。釣り合い錘12の上部には、主ロープ15を掛けるための釣り合い錘用プーリ25を回転可能に設けており、この釣り合い錘用プーリ25と駆動シーブ23とは、背面側空間部における昇降路壁2の内壁面とほぼ平行な仮想垂直面に位置するようにするのが望ましいが、ここでは、釣り合い錘用プーリ25を駆動シーブ23に比べて多少昇降路壁2の内壁面側に多少近づけることにより、乗りかご7の奥行き方向の寸法を縮小している。
【0022】
ロープエンド部13で一端を固定した主ロープ15は、乗りかご7の右側方空間部を垂下した後、乗りかご7の下部に設けたかご用プーリ18およびかご用プーリ19を通し、乗りかご7の左側方空間部で引き上げてから一対の頂部プーリ20、21を通し、再度、乗りかご7の左側方空間部で垂下した後、返しプーリ22を通して引き上げて、乗りかご7の背面側空間部で巻上機16の駆動シーブ23に巻き掛けた後、釣り合い錘12の釣り合い錘用プーリ25を通し、上方部に引き上げるローピングによってロープエンド部14で他端を固定している。
【0023】
次に、乗りかご7の背面側に形成した背面側空間部における具体的な構成について、図1の矢印A側から見た側面図である図2を用いてさらに説明する。錘用ガイドレール10、11またはその近傍に設けられているかご用ガイドレール5、6などには、昇降路1の最上部で、かつ乗りかご7および釣り合い錘12と干渉することのない位置および形状で頂部ビーム26を固定している。この頂部ビーム26に巻上機16を搭載し、頂部ビーム26のうち釣り合い錘12の上部に位置する釣り合い錘側頂部ビーム27にロープエンド部14を固定している。上述したように乗りかご7の左側方空間部には、ほぼ同一仮想垂直面に頂部プーリ20、21および返しプーリ22を配置することによって、複数のプーリを配置しながらもこの左側方空間部における図示の幅方向寸法を縮小することができる。
【0024】
また、背面側空間部に配置した巻上機16は、左側方空間部の幅方向寸法を大きくしないように背面側空間部における左側方空間部側に寄せて配置し、駆動シーブ23をできるだけ頂部プーリ20、21および返しプーリ22を配置した仮想垂直面に近づけている。さらに、釣り合い錘12の上方部では、釣り合い錘12が昇降路1内の最上部に位置した状態でも干渉することのない位置に巻上機16を配置し、つまり図1の平面図では釣り合い錘12の投影面内に巻上機16の一部が位置するようにしており、これによっても左側方空間部の幅方向寸法を縮小している。
【0025】
このような構成によって、返しプーリ22と駆動シーブ23間の主ロープ15は、返しプーリ22を配置した仮想垂直面に近づけて配置することができ、しかも、駆動シーブ23と釣り合い錘用プーリ25間も近接して配置することができるので、駆動シーブ23と釣り合い錘用プーリ25間に他のプーリを配置することなく、駆動シーブ23と釣り合い錘用プーリ25間の主ロープ15を多少斜めにするだけで直接掛けることができる。
【0026】
次に、乗りかご7の左面側に形成した左側方空間部における具体的な構成について、図1の矢印B側から見た側面図である図3を用いてさらに説明する。頂部ビーム26のうちかご用ガイドレール6と錘用ガイドレール11に固定した部分のかご側頂部ビーム28には支持部材29、30が固定され、この支持部材29、30に頂部プーリ20、21を回転可能に軸支している。一対の頂部プーリ20、21は、ほぼ同一レベルで並置され、一方の頂部プーリ20における外側の下方にはかご用プーリ19を配置し、他方の頂部プーリ21における外側の下方には昇降路1の最上階フロアレベル付近に固定した支持台31を用いて回転可能に軸支した返しプーリ22を配置している。この支持台31は、近傍に位置する錘用ガイドレール11へ固定している。
【0027】
頂部プーリ20とかご用プーリ19間に位置する主ロープ15は鉛直であり、頂部プーリ21と返しプーリ22間に位置する主ロープ15もほぼ鉛直であり、折り返された同部の主ロープ15間には、一対の頂部プーリ20、21により決まる所定の幅が形成されている。この所定の幅は、一対の頂部プーリ20、21を使用しているため、いずれ一方のみを使用した場合に比べて広げられている。この折り返した主ロープ15間の広げられた部分を利用し、かつ、一対の頂部プーリ20、21の下部に形成した空間部を利用して制御盤17を配置している。制御盤17は、例えば、かご用ガイドレール6に支持部材32、33を固定し、この支持部材32、33によって上述した位置に保持固定している。
【0028】
上述した一対の頂部プーリ20、21は、ほぼ同一レベルで並置しているが、これに限定するものではなく、多少の上下関係を持って配置しても良く、いずれの場合も一対の頂部プーリ20、21の下方で、かつ、それらの外側に位置した主ロープ15とで囲まれた部分に制御盤17を配置することができる大きさの空間を形成できるようにする。
【0029】
このように頂部プーリ20、21の下部に形成した空間は、同部の主ロープ15と他の機器との干渉を防ぐためだけの空間ではなく、制御盤17の配置のための空間としても有効に活用しているため、制御盤17の厚さ方向、つまり、昇降路1の図1における幅方向を縮小することができる。しかも、制御盤17を昇降路1の下部に配置した場合に比べて巻上機16の近くに配置することができるため、巻上機16の電動機24への給電を制御する機器等を含んだ制御盤17と電動機24との間を接続する配線を短くすることができ、配線を通して混入するかも知れないノイズなどの雑音を低減したりコストを低減したりすることができる。
【0030】
また、一対の頂部プーリ20、21の下部に制御盤17を配置しているため、並置した頂部プーリ20、21間の間隔を容易に調節することができるので、制御盤17の両側に位置する部分の主ロープ15が制御盤17と干渉するのを防止することができる。また、上述した構成によって、制御盤17を頂部プーリ20、21に近接した下部に配置するとき、昇降路1の最上階フロアレベル上となるように配置することができるため、保守員は乗りかご7の上から制御盤17の保守を容易に行うことができる。しかも、巻上機16と制御盤17とが近接しているため、乗りかご7上に登った保守員は、両者の保守作業のために乗りかご7上で移動する距離を短縮することができるようになり、保守性を一層向上することができる。
【0031】
以上説明した本実施の形態によるエレベータ装置によれば、昇降路壁2と乗りかご7の側方との間に形成した側方空間部に近い位置の背面側空間部の上方部に巻上機16を配置し、同側方空間部に、その上方部で回転可能に軸支して並置した一対の頂部プーリ20、21と、巻上機16の駆動シーブ23と一方の頂部プーリ21との間の下方部に回転可能に軸支した返しプーリ22とを設け、主ロープ15は、かご用プーリ19を経由して立ち上げ一対の頂部プーリ20、21に掛けて下方へ導き、返しプーリ22を通して駆動シーブ23に巻き掛けた部分を有し、制御盤17は、一対の頂部プーリ20、21の下方で、かつ、一対の頂部プーリ20、21に掛けて下方に導いた部分の主ロープ15の対向部間に形成した領域に固定して設けることによって、頂部プーリ20、21の下部空間に制御盤17を配置して空間の有効活用を図ったため、乗かご7の側部と昇降路壁2との間に形成される左側方空間部を小さくすることができ、昇降路断面積を縮小したエレベータとすることができ、また制御盤17を昇降路の下部に配置した場合に比べて、巻上機16と制御盤17とを近接して配置することができるので、両者間の配線作業や保守作業を余り移動することなく容易に行うことができる。
【0032】
また、昇降路壁2と乗りかご7の背面側との間に形成した背面側空間部における上部空間に巻上機16を配置すると共に、昇降路壁2と乗りかご7の左面側との間に形成した左側方空間部における頂部プーリ20、21を配置した仮想垂直面に近接して巻上機16を配置することによって、左側方空間部における構成を一層簡略化することができると共に、側方空間部に配置した頂部プーリ20、21および返しプーリ22の幅方向を薄型にすることができ、しかも、その仮想垂直面に近接して巻上機16を配置することができるので、側方空間部を一層小さくして昇降路を小型にしたエレベータ装置とすることができる。
【0033】
さらに、昇降路壁2と乗りかご7の背面側との間に形成した背面側空間部で釣り合い錘12と干渉することのない位置の上方部に巻上機16を配置し、かつ、釣り合い錘12の投影面内に巻上機16の一部が位置するようにし、乗りかご7の左面側と昇降路壁2との間に形成した左側方空間部における頂部プーリ20、21を配置した仮想垂直面に近接して巻上機16を配置しているため、釣り合い錘12に設けられる釣り合い錘用プーリ25と、返しプーリ22とを近接して配置することができ、両プーリ22、25間に補助のプーリなどを設置することなく両プーリ22、25間に主ロープ15を直接掛けて構成を簡単にしたエレベータ装置とすることができる。特に、背面側空間部は乗りかご7の大型化、またオプション仕様によって乗りかご7の重量が増大する場合に備えることができ、釣り合い錘12を案内する一対の錘用ガイドレール10、11の間隔を容易に大きくして、乗りかご7に合わせて釣り合い錘12に必要な重量を容易に確保することができる。
【0034】
図4は、本発明の他の実施の形態によるエレベータ装置を示す平面図であり、図1に示した実施の形態との同等物には同一符号を付けて説明を省略し、相違部分について説明する。ここで巻上機16は向きを変えて同じ位置に配置しており、その駆動シーブ23を昇降路壁2側に面して配置している。
【0035】
このような構成によれば、巻上機16の電動機24は返しプーリ22の上方部に位置し、かつ、返しプーリ22の投影面内に一部が位置するので、返しプーリ22から立ち上げた主ロープ15を容易に駆動シーブ23に巻き掛けることができる。また、釣り合い錘12の上部に配置した釣り合い錘用プーリ25と、駆動シーブ23との間の主ロープ15も余り傾けることなく掛けることができる。
【0036】
図5は、本発明の他の実施の形態によるエレベータ装置を示す平面図であり、図1に示した実施の形態との同等物には同一符号を付けて説明を省略し、相違部分について説明する。ここで巻上機16は向きを変えて配置しており、その駆動シーブ23を昇降路壁2側に面して配置すると共に、乗りかご7の上方部に位置し、かつ、乗りかご7の投影面内に一部が位置するよう昇降路壁2から多少離して配置している。
【0037】
このような構成によれば、巻上機16の駆動シーブ23は図1に示した場合とほぼ同じ位置に置くことができ、駆動シーブ23と返しプーリ22とを近接して配置することができるので、返しプーリ22から立ち上げた主ロープ15を容易に駆動シーブ23に直接巻き掛けて構成を簡単にすることができる。また、釣り合い錘12の上部に配置した釣り合い錘用プーリ25と、駆動シーブ23との間の主ロープ15も図1に示した場合とほぼ同様に余り傾けることなく直接掛けることができ、構成を簡単にすることができる。また、このときの巻上機16の位置によって、その電動機24は制御盤17に一層近接して配置することができるようになり、電動機24への給電を制御する機器等を含んだ制御盤17と電動機24間を接続する配線が短くなり、乗りかご7上からの配線作業、保守作業を一層容易にすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 昇降路
2 昇降路壁
3 レールブラケット
4 レールブラケット
5 かご用ガイドレール
6 かご用ガイドレール
7 乗りかご
8 レールブラケット
9 レールブラケット
10 錘用ガイドレール
11 錘用ガイドレール
12 釣り合い錘
13 ロープエンド部
14 ロープエンド部
15 主ロープ
16 巻上機
17 制御盤
18 かご用プーリ
19 かご用プーリ
20 頂部プーリ
21 頂部プーリ
22 返しプーリ
23 駆動シーブ
24 電動機
25 釣り合い錘用プーリ
26 頂部ビーム
27 釣り合い錘側頂部ビーム
28 かご側頂部ビーム
29 支持部材
30 支持部材
31 支持台
32 制御盤用ブラケット
33 制御盤用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に立設した一対のかご用ガイドレールと、前記かご用ガイドレールによって案内されながら昇降可能な乗りかごと、前記乗りかごの背面側と前記昇降路の壁間に形成した背面側空間部に立設した一対の錘用ガイドレールと、前記錘用ガイドレールによって案内されながら昇降可能な釣り合い錘と、前記乗りかごの下部に回転可能に軸支した一対のかご用プーリと、前記かご用プーリを経由して前記釣り合い錘および前記乗りかごを吊るようローピングした主ロープと、前記背面側空間部に配置されて前記主ロープを巻き掛けた駆動シーブを有する巻上機と、前記巻上機を制御する制御盤とを備えたエレベータ装置において、
前記昇降路の壁と前記乗りかごの側方との間に形成した側方空間部に近い位置の前記背面側空間部の上方部に前記巻上機を配置し、前記側方空間部に、その上方部で回転可能に軸支して並置した一対の頂部プーリと、前記巻上機の前記駆動シーブと一方の前記頂部プーリとの間の下方部に位置して回転可能に軸支した返しプーリとを設け、前記主ロープは、前記かご用プーリを経由して立ち上げ前記一対の頂部プーリに掛けて下方へ導き、前記返しプーリを通して前記駆動シーブに巻き掛けた部分を有し、前記制御盤は、前記一対の頂部プーリの下方で、かつ、前記一対の頂部プーリに掛けて下方に導いた部分の前記主ロープの対向部間に形成した領域に固定して設けたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記巻上機は前記背面側空間部における前記側方空間部に寄せて配置し、前記側方空間部における前記昇降路の壁とほぼ平行な仮想垂直面に、前記一対の頂部プーリと前記返しプーリとを配置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記背面側空間部に配置した前記釣り合い錘の投影面上に、前記巻上機の一部を重ねて配置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記乗りかごの投影面上に、前記巻上機の一部を重ねて配置したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112503(P2013−112503A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262346(P2011−262346)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】