説明

エレメント列隠し部材及び隠し部材付きスライドファスナー、並びにスライドファスナー被着製品

【課題】スライドファスナーを使用する際に、噛合状態にある左右エレメント列を隠蔽して外表面側から見えなくすることが可能なスライドファスナーを提供する。
【解決手段】本発明に係るスライドファスナー(10,40,50)は、噛合状態のエレメント列(12,42,52)にファスナー長手方向に沿って取着可能なエレメント列隠し部材(1,1')を組み合わせて用いており、同エレメント列隠し部材(1,1')は、前記スライドファスナー(10,40,50)のテープ表面に露呈する左右の噛合状態ある前記エレメント列(12,42,52)の表面視認部分を被覆して隠蔽するエレメント列隠蔽部(2,2')と、同エレメント列隠蔽部(2,2')の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設され、前記エレメント列(12,42,52)の下脚部(13b,44b,54b) 、同下脚部(13b,44b,54b) が取着されている部位、又は前記エレメント列(12,42,52)の上脚部と前記ファスナーテープ(11,41,51)との間に嵌着する嵌着部(3,3')とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドファスナーのエレメント列を被覆して隠蔽する隠し部材、及び同隠し部材を備えたスライドファスナー、並びに、同スライドファスナーが取着され、エレメント列が隠蔽されて美観に優れたシートカバー等のスライドファスナー被着製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライドファスナーは、衣服や鞄等の開口部を開閉するためにその開口部に取り付けられて用いられている。またその他にも、スライドファスナーは、例えばイス、ソファー、自動車用シート等のシートカバーにおいて、シートカバーの取り替えを容易にするために各シート片を端縁部で連結するための連結具(例えば、実開昭51−49212号公報(特許文献1)及び実開昭62−39598号公報(特許文献2))や、イス式マッサージ機の保護カバーを連結する連結具(特開平11−342170号公報(特許文献3))として利用されており、更に、カーペットや絨毯等の敷物が複数の敷物片からなる場合において、各敷物片の端部同士を互いに着脱する着脱具(実開昭57−7382号公報(特許文献4))としても利用されている。
【0003】
しかしながら、上述のようなシートカバーや保護カバー等の連結具、及び敷物片の着脱具にスライドファスナーを使用した場合、各最終製品の使用時に、閉鎖状態にあるスライドファスナーのエレメント列が露呈して外表面側から見えてしまい、製品全体としての美感が損なわれるという欠点があった。
【0004】
このような欠点を改善するために、特開2005−295号公報(特許文献5)には、スライドファスナーのエレメント列を外表面側から見えないように隠蔽し、且つ装飾性を備えたスライドファスナー用テープ(以下、ファスナーテープと記す)が開示されている。
【0005】
この特許文献5に記載されているファスナーテープについて簡単に説明すると、同ファスナーテープは、テープ主体部と、端部にファスナーエレメントが取着されるエレメント取付部と、テープ表面(外側表面)側にテープ長手方向の全長に渡って配される覆いテープとを有している。また、覆いテープのテープ幅方向の一端縁部は、ファスナーテープのテープ主体部に取着されており、また、その他端縁部には、テープ全長に亘ってエレメント列を覆って隠蔽する膨大部が設けられている。
【0006】
特許文献5によれば、ファスナーテープのテープ表面側に、上述のような他端縁部に膨大部を設けた覆いテープが配されていることにより、エレメント取付部に形成されたエレメント列をその全長に亘って膨大部により覆い隠すことができ、エレメント列を外側から見えなくすることができるとしている。更に、エレメント列を膨大部によって隠すため、スライドファスナーのスライダーが摺動するときに、膨大部がスライダーに接触しても、同膨大部がスライダーに挟み込まれることが防止され、スライダーを円滑に摺動させることができる。
【0007】
ところで、米国特許第3,587,657号明細書(特許文献6)には、スライドファスナーとは連結の仕方が全く異なるが、長さ方向に沿って切断された配管51の切断端縁同士を、閉鎖部材を用いて連結する連結手段が開示されている。この特許文献6記載されている連結手段について具体的に説明すると、図10に示したように、複数のワイヤーを収容して保護する合成樹脂製の筒状の配管61の一部がその長さ方向に沿って切断されており、その切断した端縁62の外面側には、配管61の長さ方向に沿って配された弾性を有する左右のレール部(歯)63,64が設けられている。
【0008】
左右の各レール部63,64は、その上部に左右外側に向けて膨出した膨大部65,66が形成されていて、矢じり状の断面を有している。また、左右のレール部63,64における各対向面には、互いに係合可能なほぞ部63a,64aと蟻溝部63b,64bとが対応して設けられている。
【0009】
また、これらの左右レール部63,64を挟持して配管61の切断端縁62同士を連結するために、配管61の長さ方向に沿って閉鎖部材67が配されている。この閉鎖部材67には、その内部に左右レール部63,64を収容して連結するために、左右レール部63,64の断面形状と同一の断面形状を有する内部空間が形成されており、同内部空間の内壁面には、左右レール部63,64の膨大部65,66を嵌着するための顎部68,69が形成されている。
【0010】
このような構成を有する特許文献6の連結手段は、配管61の切断端縁62に形成した左右レール部63,64の対向面部を互いに接触させるとともに、閉鎖部材67を撓ませてレール部63,64の上部から被せるように取着する。これによって、左右レール部63,64が閉鎖部材67により挟着されて、配管61の切断端縁62を連結することができる。更に、図10に示した左右の各レール部63,64には、上述のようにほぞ部63a,64a及び蟻溝部63b,64bが形成されているため、閉鎖部材67により切断端縁62が連結されたときに、その連結強度が高められる。
【特許文献1】実開昭51−49212号公報
【特許文献2】実開昭62−39598号公報
【特許文献3】特開平11−342170号公報
【特許文献4】実開昭57−7382号公報
【特許文献5】特開2005−295号公報
【特許文献6】米国特許第3,587,657号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えば、シートカバーや保護カバー等の連結具、及び敷物片の着脱具にスライドファスナーを使用する場合、前記特許文献5に記載の覆いテープを有するファスナーテープを備えたスライドファスナーであれば、上述のように覆いテープの膨大部によりエレメント列を隠して外側から見えなくすることが可能である。
【0012】
しかし、例えば同スライドファスナーが取り付けられたスライドファスナー被着製品を使用した場合、スライドファスナーがテープ幅方向(左右方向)に引っ張られる強い引っ張り力(横引き力)を受けたときに、その引っ張り力によって覆いテープが左右外側に向けて引っ張られて左右の覆いテープ間に隙間が形成されてしまうため、当該隙間からエレメント列が見えてしまうという不具合があった。
【0013】
また、例えば前記特許文献5のファスナーテープを備えたスライドファスナーが、例えばスライドファスナー被着製品の曲面した部位に使用した場合等では、覆いテープがファスナーテープに対して立ち上がったり、めくれたりするために隙間が形成され、上述と同様に当該隙間からエレメント列が見え易くなる。このため、被着製品の全体としての美感が損なわれるといった問題があった。
【0014】
一方、前記特許文献6に記載されている配管61の左右切断端縁62を連結する連結手段は、エレメント同士が噛合するスライドファスナーと構成及び機能が全く異なることから、例えば閉鎖部材67により配管61の切断端縁62が連結されているときに、配管61がその周方向に引っ張られて切断端縁62に横引き力がかけられると、切断端縁62が左右へ分離し易いという欠点があった。このため、前述のように左右レール部63,64の各対向面にほぞ部63a,64aと蟻溝部63b,64bとが設けられていても、切断端縁62の連結が安定して維持できない。従って、この特許文献6の連結手段は、例えば前述のようなソファーのシートカバー等に適用することはできなかった。
【0015】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、ソファーのシートカバー等にスライドファスナーを使用する際に、噛合状態にある左右エレメント列を隠蔽して外表面側から見えなくすることが可能なスライドファスナー、及び同スライドファスナーが被着された製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、上記目的を達成するために、スライドファスナーの噛合状態にある左右のエレメント列にファスナー長手方向に沿って取着され、左右の前記エレメント列が噛合状態にある前記スライドファスナーのファスナーテープ表面に露呈する前記エレメント列の表面視認部分を被覆して隠蔽するエレメント列隠蔽部と、同エレメント列隠蔽部の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設され、前記エレメント列の下脚部、同下脚部が取着されている部位、又は前記エレメント列の上脚部と前記ファスナーテープとの間に嵌着する嵌着部とを有してなることを最も主要な特徴とするエレメント列隠し部材が提供される。
【0017】
本発明に係る前記隠し部材は、可撓性及び弾性を有しており、同隠し部材を撓ませて噛合状態の前記エレメント列に被せることにより同エレメント列に取着されるものであることが好ましい。
【0018】
一方、前記隠し部材は、噛合状態の前記エレメント列の前端部又は後端部から挿入し、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることにより同エレメント列に取着されるものであっても良い。
【0019】
また、本発明によれば、前述のエレメント列隠し部材との組み合わせからなることを特徴とする隠し部材付きスライドファスナーが提供される。
この場合、左右一対のファスナーテープと、同ファスナーテープに取着された左右のエレメント列と、前記エレメント列に沿って摺動可能に配され、同エレメント列を噛合・分離させるスライダーとを備え、前記ファスナーテープは、テープ主体部と、同テープ主体部の側縁に配されたエレメント取付部とを有し、少なくとも前記スライダーを摺動させて左右の前記エレメント列を噛合させるときに、前記ファスナーテープの前記エレメント取付部が前記テープ主体部に対して折り返されてなり、前記エレメント列を形成する各ファスナーエレメントは、前記ファスナーテープの端縁部に取着される脚部と、同脚部から前記ファスナーテープの前記テープ主体部に向けて配された噛合頭部とを有し、左右の前記エレメント列が噛合するときに、前記ファスナーテープの前記エレメント取付部が折り返されて前記噛合頭部が前記ファスナーテープの折返部から外側に向けて突出していることが好ましい。
【0020】
特に、前記エレメント列は、合成樹脂製又は金属製の複数の単独ファスナーエレメントがファスナーテープに等間隔のピッチで固定されていることが好ましい。またその他に、前記エレメント列は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメントが前記エレメント取付部に縫着されることにより形成されていても良い。
【0021】
一方、本発明のスライドファスナーは、左右一対のファスナーテープと、同ファスナーテープに取着された左右のエレメント列と、前記エレメント列に沿って摺動可能に配され、同エレメント列を噛合・分離させるスライダーとを備え、前記ファスナーテープは、テープ主体部と、同テープ主体部の側縁に配されたエレメント取付部とを有し、前記エレメント列は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメントが前記エレメント取付部に縫着されることにより形成され、前記連続ファスナーエレメントは、前記ファスナーテープの前記エレメント取付部に縫着される上下脚部と、同上下脚部から前記ファスナーテープの外側に向けて突出する噛合頭部と、テープ長手方向の前後に隣接する前記ファスナーエレメントの前記上下脚部の何れかと連結する連結部とを有し、前記上脚部が前記下脚部よりも前記テープ主体部に向けて長く形成して構成することも可能である。
【0022】
更に、本発明によれば、前述の隠し部材付きスライドファスナーが取着されていることを特徴とするスライドファスナー被着製品が提供される。
この場合、前記スライドファスナーの前記エレメント列が前記スライドファスナー被着製品の外表面側に配され、同エレメント列の外表面側に前記隠し部材が取着されることによって前記エレメント列が隠蔽されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明により提供されるエレメント列隠し部材は、スライドファスナーの噛合状態にある左右のエレメント列にファスナー長手方向に沿って取着されるものであり、従来では存在しなかった新規の部材である。また、同隠し部材は、噛合状態にある左右エレメント列の露呈する表面視認部分を被覆して隠蔽するエレメント列隠蔽部と、同エレメント列隠蔽部の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設され、エレメント列の下脚部、下脚部が取着されている部位、又はエレメント列の上脚部とファスナーテープとの間に嵌着する嵌着部とを有している。
【0024】
即ち、本発明の隠し部材は、噛合状態にあるエレメント列を隠蔽するための部材であって、前記特許文献6のような左右のレール部63,64を連結させるための閉鎖部材67とは本質的に全く異なる部材である。このため、本発明の隠し部材は、前記エレメント列隠蔽部と前記嵌着部とを有していれば良く、例えば特許文献6の閉鎖部材67のように、その内部空間の断面形状をエレメント列の断面形状に完全に一致させなくても良い。
【0025】
このような本発明のエレメント列隠し部材であれば、スライドファスナーの噛合状態にある左右のエレメント列に安定して取着でき、また、同隠し部材が左右エレメント列に取着されることにより、同エレメント列を隠蔽して外表面側から見えなくし、スライドファスナー(ファスナー被着製品)の美観を向上させることができる。
【0026】
この場合、本発明の隠し部材は、可撓性及び弾性を有しており、同隠し部材をその開口が広がるように撓ませて噛合状態の前記エレメント列に被せることにより同エレメント列に取着されるように構成されている。これにより、本発明の隠し部材を、左右のエレメント列に容易に且つ安定して取着でき、エレメント列の隠蔽を確実に行うことができる。
【0027】
一方、本発明の隠し部材は、噛合状態の前記エレメント列の前端部又は後端部から挿入し、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることにより同エレメント列に取着されるように構成されていても良い。これによっても、本発明の隠し部材を、左右のエレメント列に容易に且つ安定して取着でき、エレメント列の隠蔽を確実に行うことができる。
【0028】
そして、上述のようなエレメント列隠し部材との組み合わせからなる本発明の隠し部材付きスライドファスナーによれば、隠し部材がスライドファスナーの噛合状態にある左右のエレメント列に取着されることにより、同エレメント列を隠蔽し、外表面側から見えなくすることができる。
【0029】
更に、本発明のスライドファスナーは、左右のエレメント列同士が互いに噛合してスライドファスナーが閉鎖されるため、例えば前記特許文献6に比べて高い連結強度(噛合強度)を容易に確保でき、左右のエレメント列を分離し難くすることができる。更に、当該噛合状態の左右エレメント列が隠し部材によって被覆されるため、同エレメント列を隠し部材により保護して、その噛合状態を安定して維持することができ、また、各ファスナーエレメントの損傷や破損を防止することができる。
【0030】
このような本発明に係るスライドファスナーにおいて、ファスナーテープは、スライダーを摺動させて左右のエレメント列を噛合させるときに、前記ファスナーテープの前記エレメント取付部が前記テープ主体部に対して折り返されるように構成されている。また、各ファスナーエレメントは、脚部と噛合頭部とを有しており、左右のエレメント列が噛合するときに、ファスナーテープの折返部から噛合頭部が外側に向けて突出するように構成されている。
【0031】
このようなスライドファスナーであれば、スライダーを摺動させることにより左右のエレメント列を安定して噛合させることができる。またこの場合、左右のエレメント列を従来から一般的に用いられているファスナーエレメントによって形成しても、噛合状態にある左右エレメント列に隠し部材を容易に取着して、同エレメント列を隠蔽することができる。
【0032】
また本発明のスライドファスナーにおいて、前記エレメント列は、合成樹脂製又は金属製の複数の単独ファスナーエレメントがファスナーテープに等間隔のピッチで固定されている。またその他に、前記エレメント列は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメントがエレメント取付部に縫着されることにより形成されていても良い。エレメント列が上述のように形成されていれば、高い噛合強度を安定して確保することができるとともに、当該噛合した左右エレメント列に隠し部材を容易に取着することができる。
【0033】
本発明のスライドファスナーにおけるその他の態様として、エレメント列は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメントをファスナーテープのエレメント取付部に縫着することにより形成されており、この連続ファスナーエレメントは、上下脚部と、同上下脚部からテープ外側に向けて突出する噛合頭部と、隣接するファスナーエレメントと連結する連結部とを有し、ファスナーエレメントの上脚部が下脚部よりもテープ主体部に向けて長く形成されている。
【0034】
このようなスライドファスナーであっても、スライダーを摺動させることにより左右のエレメント列を噛合させることができる。またこの場合、ファスナーエレメントの上脚部が下脚部よりも長く形成されているため、同上脚部とファスナーテープとの間に隠し部材の嵌着部を嵌着することにより隠し部材を取着することができ、同隠し部材によりエレメント列を容易に隠蔽することができる。
【0035】
そして、上述のような隠し部材付きスライドファスナーが取着されている本発明のスライドファスナー被着製品、特に、スライドファスナーのエレメント列が外表面側に配されている被着製品であれば、噛合状態にある左右のエレメント列に隠し部材を取着して当該エレメント列を隠蔽することができるため、その美観を大幅に向上させることができる。また、隠し部材が取着されることにより、エレメント列の噛合状態を安定して維持することができる。更に、同エレメント列が隠し部材により保護されるため、ファスナーエレメントの損傷や破損を防止でき、その上、エレメント列が露呈する場合に比べて被着製品の良好な肌触りを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の実施例1に係るエレメント列隠し部材の断面図を示している。
本実施例1に係るエレメント列隠し部材1は、熱可塑性エラストマーやポリウレタン樹脂を押出成形することにより形成されており、可撓性及び弾性を有している。なお、本発明において、エレメント列隠し部材1の材質及び形成方法は特に限定されるものではなく、例えばエレメント列隠し部材1を構成する材料としては、その他の軟質合成樹脂材料、硬質合成樹脂材料(半硬質を含む)、金属材料、セラミックス材料などを用いることができる。
【0038】
本実施例1のエレメント列隠し部材1は、図1に示した略C字状の横断面形状を有する長尺な部材に形成されており、その長さ方向の寸法は、当該エレメント列隠し部材1が取着される後述のスライドファスナー10における左右エレメント列12の表面視認部分の全てを被覆できる長さに設定されている。
【0039】
また、このエレメント列隠し部材1は、噛合状態にある左右エレメント列12の表面視認部分となる上面部及び左右側面部を被覆して隠蔽するためのエレメント列隠蔽部2と、同エレメント列隠蔽部2の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設された嵌着部3とを有しており、これらのエレメント列隠蔽部2と嵌着部3との接続部は湾曲状に形成されている。また、嵌着部3の先端部は、その厚さが先端側に漸減するようにテーパー状に形成されている。
【0040】
このような本実施例1のエレメント列隠し部材1は、図2に示すようなスライドファスナー10と組み合わせて使用される。なお、図2を参照しながら行う以下の説明においては、本発明の特徴を判り易く説明するために、噛合状態にある左右エレメント列12において、同左右エレメント列12の長さ方向を前後方向とし、左右エレメント列12の幅方向を左右方向とする。また、左右エレメント列12の長さ方向と幅方向に直交し、ファスナーテープ11に対して噛合頭部が配されている向きを上方とし、その反対向きを下方とする。
【0041】
本実施例1において、エレメント列隠し部材1が取着されるスライドファスナー10は、左右一対のファスナーテープ11と、同ファスナーテープ11に取着された左右のエレメント列12と、同エレメント列12に沿って摺動可能に配される図示しないスライダーとを備えている。
【0042】
また、左右の各ファスナーテープ11は、テープ主体部11aと、同テープ主体部11aの側縁に配されたエレメント取付部11bとをテープ幅方向に有しており、エレメント取付部11bの端縁には断面円形状の芯紐部11cが設けられている。また、エレメント取付部11bの芯紐部11cよりもテープ内側には、テープ長さ方向に沿って複数の孔部11dが所定の間隔をもって形成されている。
【0043】
左右のエレメント列12は、ファスナーテープ11のエレメント取付部11bに固着された複数のファスナーエレメント13により形成されている。当該ファスナーエレメント13は、エレメント取付部11bの孔部11dが形成されている位置に配されており、芯紐部11cを含むエレメント取付部11bに同エレメント取付部11bを挟持した状態で取着される上下脚部13a,13bと、上脚部13aからテープ主体部11a側に向けて配された噛合頭部13cと、エレメント取付部11bの孔部11d内に形成され、上下脚部13a,13b間を連結する連結部13dとを有している。
【0044】
なお、ファスナーエレメント13のファスナーテープ11への取り付けに関しては、従来一般的に用いられている手段によって行うことができる。例えば、ファスナーテープ11のエレメント取付部11bに合成樹脂を射出成形することによって、所定形状を有する合成樹脂製のファスナーエレメント13をファスナーテープ11に一体に固着することができる。
【0045】
この場合、エレメント13の材質となる合成樹脂として、例えばポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等を用いることができる。またその他に、銅合金、ニッケル合金、アルミ等の金属を用いてダイキャストを行うことによっても、金属製のエレメントをファスナーテープ11に固着することが可能である。
【0046】
左右のファスナーテープ11に形成されたエレメント列12は、図示しないスライダーをエレメント列12に沿って摺動させることにより、噛合・分離させることが可能である。このとき、本実施例1では、スライダーをエレメント列12に沿ってエレメント噛合方向に摺動させることにより、図2に示したように、ファスナーテープ11のエレメント取付部11bがテープ主体部11に対して折り返され、テープ主体部11とエレメント取付部11bとの境界となるテープ折返部からファスナーエレメント13の噛合頭部13cが突出し、その突出した左右の噛合頭部13cを互いに噛合させることができる。
【0047】
なお本発明においては、ファスナーテープ11に対して、エレメント取付部11bが折り返された状態で熱セットを行うことにより、図2に示したようなエレメント取付部11bが折り返されて噛合頭部13cが突出した形態を予め付与しておくことも可能である。
【0048】
このように左右のエレメント列12が噛合したスライドファスナー10は、ファスナーテープ11が折り返された状態で保持されており、また、隠し部材1が取着される前の状態では、ファスナーテープ11の表面側に左右エレメント列12の上面部及び左右側面部が露呈した状態となる。
【0049】
そして、本実施例1のスライドファスナー10では、図2のように噛合状態にある左右のエレメント列12に対して、隠し部材1をその略C字状横断面の開口が広がるように撓ませて、同隠し部材1の内部空間4に左右エレメント列12が収容されるように隠し部材1をエレメント列12の外表面側から被せる。このとき、隠し部材1のエレメント列隠蔽部2と嵌着部3との接続部が湾曲状に形成されて、隠し部材1が撓ませ易く構成されているため、同隠し部材1をエレメント列12に容易に被覆させることができる。
【0050】
これにより、隠し部材1の嵌着部3がエレメント列12の下脚部13bとファスナーテープ11のテープ主体部11aとの間に入り込み、その結果、エレメント列隠蔽部2と嵌着部3との内部に左右エレメント列12が挟み込まれて、隠し部材1が左右エレメント列12に取着される。
【0051】
このように隠し部材1が左右エレメント列12に取着されることにより、同隠し部材1のエレメント列隠蔽部2が左右エレメント列12の上面部及び左右側面部を被覆して隠蔽することができる。更に、左右エレメント列12が隠し部材1によって被覆されることにより、同エレメント列12を隠し部材1により保護して、各ファスナーエレメント13の損傷や破損を防止することができる。
【0052】
なお、図2では、隠し部材1を撓ませて左右エレメント列12に取着する場合について説明しているが、本発明において隠し部材1を取着する方法は特に限定されるものではなく、例えば図3に示したように、噛合状態にある左右エレメント列12の前端部又は後端部から隠し部材1を挿入して、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることによって、隠し部材1を弾性変形させることなく取着することが可能である。
【0053】
この場合、左右エレメント列12の前端部又は後端部に配される図示しない上止め部材又は下止め部材は、ファスナーエレメント13の横断面と同じような断面形状、若しくは類似するような断面形状を有するように形成されているか、又は、上止め部材又は下止め部材がエレメント列12から排除されていることが好ましい。
【0054】
例えば、上止め部材又は下止め部材が、エレメント列12の端部に配された複数のファスナーエレメント13同士を溶着して固定することにより形成されていれば、ファスナーエレメント13の横断面と同じ断面形状を有する。このため、隠し部材1をエレメント列12に挿入するとき、及びファスナー長手方向に沿ってスライドさせるときに、隠し部材1が上止め部材又は下止め部材に引っ掛かることがないため、隠し部材1の取着作業を容易に且つ円滑に行うことができる。このとき、スライドファスナー10がスライダーをエレメント列の前端部又は後端部から挿脱可能に構成されていることにより、隠し部材1をより容易に取り付けることが可能となる。
【0055】
また、本実施例1の隠し部材1は、前述のように可撓性及び弾性を有する合成樹脂からなるが、例えば当該隠し部材1が金属のような硬質の材料からなる場合においては、当該隠し部材1を、噛合状態にある左右エレメント列12の前端部又は後端部から隠し部材1を挿入してスライドさせることによって、容易に取着させることができる。
【0056】
そして、上述のような本実施例1の隠し部材1付きスライドファスナー10が被着される製品の具体例としては、例えば図4に示したようなソファー20のシートカバー21や、図6に示したようなコード類保持具30、またその他に、従来技術の欄にて紹介したようなイスや自動車用シート等のシートカバー、保護カバーを備えたイス式マッサージ機、複数の敷物片からなるカーペットや絨毯等の敷物等が挙げられる。
【0057】
例えば、本実施例1の隠し部材1付きスライドファスナー10が図4に示したソファー20のシートカバー21に被着される場合には、当該スライドファスナー10は、ソファー20の背もたれ部22に配される稜線部22a、手掛部23に配される稜線部23、座部24に配される稜線部24aを形成する部位などに配されることが好ましい。
【0058】
従来では、これらのような稜線部22a,23a,24aの裏面側に隠しスライドファスナーを配することにより、ソファー20のシートクッション25にシートカバー21を容易に取り付けることができるとともに、隠しスライドファスナーのエレメント列が外側から見えないように隠蔽している。しかしながら、ソファー20等のシートカバー21には、シートクッション25を包み込むために横引き力が加えられる。これにより、隠しスライドファスナーも横引き力を受けるため、エレメント列を覆い隠している左右のファスナーテープが左右外側に向けて引っ張られて左右のテープ間に隙間が形成され、当該隙間からエレメント列が露呈していた。
【0059】
これに対して、本実施例1の隠し部材1付きスライドファスナー10は、図5に示したように、ソファー20の稜線部22a,23a,24aとなる各シートカバー片の連結部位に配され、敢えてエレメント列12がシートカバー21の外表面側に露呈するような向きで取り付けられている。この場合、シートカバー21の端縁部21aは、ソファー20の肌触りを良くするために内側に折り曲げられており、その折り曲げられたシートカバー21の表面側にスライドファスナー10のファスナーテープ11が縫着されている。
【0060】
そして、ソファー20のシートクッション25にシートカバー21を被せた後、スライドファスナー10の図示しないスライダーを摺動させて左右のエレメント列12を噛合させることにより、シートクッション25にシートカバー21を取り付けることができる。その後、シートカバー21の外表面側に露呈した噛合状態にあるエレメント列12に、可撓性及び弾性を有するエレメント列隠し部材1を撓ませて、隠し部材1の内部空間4に左右エレメント列12が収容されるように隠し部材1を取着する。
【0061】
これにより、スライドファスナー10の左右エレメント列12を隠蔽することができるとともに、隠し部材1を故意に露呈させることによりソファー20を装飾して、その美感を向上させることができ、また、ソファー20の稜線部22a,23a,24aにおける肌触りも良好なものとなる。またこの場合、隠し部材1が取着されることによって、左右エレメント列12が隠し部材1により保護されるため、ファスナーエレメント13の損傷や破損を防止できる。その上、エレメント列12が露呈する場合に比べて、ソファー20の良好な肌触りを確保することができる。
【0062】
また、本実施例1の隠し部材1付きスライドファスナー10が、上述のようなソファー20のシートカバー21や、自動車用シートのシートカバー及びイス式マッサージ機等に使用される場合では、スライドファスナー10の左右エレメント列12を噛合・分離させることによって、シートカバーや保護カバーを容易に着脱することができる。このため、シートカバーや保護カバーの取り替え、及びカバーよりも内側に内容物として収容されている機器のメンテナンス等を容易に行うことが可能となり、また、シートカバーや保護カバー自体の洗濯も容易に行うことができるといった利点も得られる。
【0063】
なお、前記隠し部材1付きスライドファスナー10は、エレメント列12がシートカバー21の外表面側に露呈するような向きで取り付けられているが、本発明はこれに限定されるものではく、従来の隠しスライドファスナーと同様に、エレメント列12がシートカバー21の裏面側に隠れるような向きで取り付けることも可能である。このような向きで隠し部材1付きスライドファスナー10を取り付けた場合でも、エレメント列12が隠し部材1により保護されるため、ファスナーエレメント13の損傷や破損を防止することができる。
【0064】
一方、本実施例1の隠し部材1付きスライドファスナー10は、図6に示したような複数のワイヤーやコード等のコード類31を保持するコード類保持具30にも好適に使用することができる。この場合、スライドファスナー10のファスナーテープ11がコード類保持具30の筒状部30aを形成しており、同筒状部30a内に複数のコード類31を収容した後、図示しないスライダーを摺動させて左右のエレメント列12を噛合させることにより、筒状部30a内にコード類31を保持することができる。
【0065】
その後、噛合状態にある左右エレメント列12に隠し部材1を取着する。これにより、左右エレメント列12を隠蔽することができる。更に、エレメント列12の噛合状態を安定して維持するとともに、左右エレメント列12を保護することができる。なお、隠し部材1は、撓ませながら左右エレメント列12にその外表面側から被せることにより取着することができるが、例えばコード類保持具30が図6に示したように直線状に形成されている場合等では、噛合状態にある左右エレメント列12の前端部又は後端部から隠し部材1を挿入し、同隠し部材1をファスナー長手方向に沿ってスライドさせることによって、隠し部材1をより容易に取着することが可能となる。
【実施例2】
【0066】
図7は、本発明の実施例2に係るエレメント列隠し部材を取着したスライドファスナーの断面図を示している。なお、本実施例2において、前記実施例1と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表しており、それによって、その説明を省略することとする。
【0067】
本実施例2に係る隠し部材1付きスライドファスナー40は、左右一対のファスナーテープ41と、同ファスナーテープ41に取着された左右のエレメント列42と、各エレメント列42内に挿通した芯紐43と、同エレメント列42に沿って摺動可能に配される図示しないスライダーとを備えている。
左右の前記ファスナーテープ41は、テープ主体部41aと、同テープ主体部41aの側縁に配され、エレメント列42が取着されるエレメント取付部41bとを有している。
【0068】
左右の前記エレメント列42は、コイル状の連続ファスナーエレメント44により形成されており、このコイル状の連続ファスナーエレメント44は、ポリアミドやポリエステル等の合成樹脂製モノフィラメントをスタンピングにより所定の間隔で押圧して噛合頭部44cを形成した後、コイル状に捲き回すことによって連続して成形されている。
【0069】
また、左右のエレメント列42は、その内部に芯紐43が挿通され、ファスナーテープ41のエレメント取付部41b上に、噛合頭部44cをテープ内側に向けた状態で縫着糸45の二重環縫いを行うことにより上下脚部44a,44bが縫着されて取り付けられている。
【0070】
このような左右のエレメント列42は、図示しないスライダーをエレメント列42に沿って摺動させることにより、図7に示したように、ファスナーテープ41のエレメント取付部41bがテープ主体部41aに対して折り返され、テープ主体部41aとエレメント取付部41bとの境界となるテープ折返部からファスナーエレメントの噛合頭部44cが突出し、その突出した左右の噛合頭部44cを互いに噛合させることができる。
【0071】
なお本実施例2においても、ファスナーテープ41に対して熱セットを行うことにより、エレメント取付部41bが折り返されて噛合頭部44cが突出した形態を予め付与しておくことも可能である。
【0072】
その後、噛合状態にある左右のエレメント列42に対して、隠し部材1をその略C字状横断面の開口が広がるように撓ませて、同隠し部材1の内部空間4に左右エレメント列42が収容されるように隠し部材1を左右エレメント列42の外表面側から被せる。これにより、隠し部材1の嵌着部3がファスナーテープ41のエレメント取付部41bとテープ主体部41aとの間に嵌着し、同隠し部材1が左右エレメント列42に取着される。
【0073】
なお、本実施例2においても、噛合状態にある左右エレメント列42の前端部又は後端部から隠し部材1を挿入して、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることによっても、隠し部材1を取着することが可能である。
【0074】
以上のように、左右のエレメント列42がコイル状の連続ファスナーエレメント44により形成されている本実施例2のスライドファスナー40であっても、前記実施例1と同様に、左右エレメント列42を隠し部材1により被覆して隠蔽することができる。更に、左右エレメント列42が隠し部材1によって被覆されることにより、同エレメント列42を隠し部材1により保護して、その噛合状態を安定して維持することができ、また、各ファスナーエレメント44の損傷や破損を防止することができる。
【0075】
従って、このような本実施例2の隠し部材1付きスライドファスナー40は、前記実施例1と同様に、ソファー、イス、自動車用シート等のシートカバー、コード類保持具、保護カバーを備えたイス式マッサージ機、複数の敷物片からなるカーペットや絨毯等の敷物等の製品に対して好適に使用される。
【実施例3】
【0076】
図8は、本発明の実施例3に係るエレメント列隠し部材付きスライドファスナーのエレメント列のみを拡大して示す要部斜視図であり、図9は、同エレメント列隠し部材付きスライドファスナーの一部を拡大して示す要部断面図である。
【0077】
本実施例3におけるスライドファスナー50は、左右一対のファスナーテープ51と、同ファスナーテープ51に取着された左右のエレメント列52と、各エレメント列52内に挿通した芯紐53と、同エレメント列52に沿って摺動可能に配される図示しないスライダーとを備えている。
左右の前記ファスナーテープ51は、テープ主体部51aと、同テープ主体部51aの側縁に配され、エレメント列52が取着されるエレメント取付部51bとを有している。
【0078】
左右の前記エレメント列52は、ポリアミドやポリエステル等の合成樹脂製モノフィラメントをジグザグ状に屈曲させた連続ファスナーエレメント54により形成されており、その内部に芯紐53を挿通した状態で縫着糸55の二重環縫いを行うことにより、ファスナーテープ51のエレメント取付部51bに縫着されている。
【0079】
この場合、連続ファスナーエレメント54は、エレメント取付部51bに縫着される上下脚部54a,54bと、同上下脚部54a,54bからファスナーテープ51の外側に向けて突出する噛合頭部54cと、テープ長手方向の前後に隣接するファスナーエレメント54の上下脚部54a,54bの何れかと連結する連結部54dとを有している。また、上脚部54aは、下脚部54bよりもテープ主体部51a側に向けて長く形成されており、この上脚部54aとファスナーテープ51との間には間隙が形成されている。
【0080】
このような左右のエレメント列52は、図示しないスライダーをエレメント列52に沿って摺動させることにより、ファスナーテープ51から外側に突出した左右の噛合頭部54cを噛合・分離させることができる。
【0081】
上述のようなスライドファスナー50と組み合わせて使用される本実施例3のエレメント列隠し部材1’は、噛合状態にある左右エレメント列52の表面視認部分となる上面部及び左右側面部を被覆して隠蔽するためのエレメント列隠蔽部2’と、同エレメント列隠蔽部2’の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設された嵌着部3’とを有しており、その横断面形状は略C字状を呈している。
【0082】
このような隠し部材1’を噛合状態にある左右のエレメント列52に取着するときには、前記実施例1及び実施例2と同様に、隠し部材1をその略C字状横断面の開口が広がるように撓ませて左右エレメント列42の外表面側から被せる。これにより、図9に示すように、隠し部材1’の嵌着部3’が連続ファスナーエレメント54の上脚部54aとファスナーテープ51との間に嵌着し、同隠し部材1が左右エレメント列52に取着される。
【0083】
なお、本実施例3においても、噛合状態にある左右エレメント列52の前端部又は後端部から隠し部材1’を挿入して、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることによっても、隠し部材1’を取着することが可能である。
【0084】
以上のように、左右のエレメント列52がジグザグ状の連続ファスナーエレメント54により形成され、噛合頭部54cがエレメント取付部51bから外側に向けて直接突出しているスライドファスナー50であっても、上脚部54aとファスナーテープ51との間に間隙が形成されていることにより、隠し部材1’を左右エレメント列52に取着して同左右エレメント列52を隠蔽することができる。これにより、スライドファスナー50の美感を向上させることができるとともに、左右エレメント列52を隠し部材1’により保護して、ファスナーエレメント54の損傷や破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例1に係るエレメント列隠し部材の断面図である。
【図2】同エレメント列隠し部材を取着したスライドファスナーの断面図である。
【図3】エレメント列隠し部材をスライドさせてエレメント列に取着する場合を説明する説明図である。
【図4】隠し部材付きスライドファスナーが被着されるソファーを示す斜視図である。
【図5】同ソファーの稜線部を拡大して示す部分断面図である。
【図6】隠し部材付きスライドファスナーが被着されるコード類保持具を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例2に係るエレメント列隠し部材を取着したスライドファスナーの断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係るエレメント列隠し部材付きスライドファスナーのエレメント列のみを拡大して示す要部斜視図である。
【図9】同エレメント列隠し部材付きスライドファスナーの一部を拡大して示す要部断面図である。
【図10】従来の配管の切断端縁同士を連結する連結手段を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0086】
1,1’ エレメント列隠し部材
2,2’ エレメント列隠蔽部
3,3’ 嵌着部
4 内部空間
10 スライドファスナー
11 ファスナーテープ
11a テープ主体部
11b エレメント取付部
11c 芯紐部
11d 孔部
12 エレメント列
13 ファスナーエレメント
13a 上脚部
13b 下脚部
13c 噛合頭部
13d 連結部
20 ソファー
21 シートカバー
21a 端縁部
22 背もたれ部
22a 稜線部
23 手掛部
23a 稜線部
24 座部
24a 稜線部
25 シートクッション
30 コード類保持具
30a 筒状部
31 コード類
40 スライドファスナー
41 ファスナーテープ
41a テープ主体部
41b エレメント取付部
42 エレメント列
43 芯紐
44 連続ファスナーエレメント
44a 上脚部
44b 下脚部
44c 噛合頭部
45 縫着糸
50 スライドファスナー
51 ファスナーテープ
51a テープ主体部
51b エレメント取付部
52 エレメント列
53 芯紐
54 連続ファスナーエレメント
54a 上脚部
54b 下脚部
54c 噛合頭部
54d 連結部
55 縫着糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドファスナー(10,40,50)の噛合状態にある左右のエレメント列(12,42,52)にファスナー長手方向に沿って取着され、
左右の前記エレメント列(12,42,52)が噛合状態にある前記スライドファスナー(10,40,50)のファスナーテープ(11,41,51)表面に露呈する前記エレメント列(12,42,52)の表面視認部分を被覆して隠蔽するエレメント列隠蔽部(2,2')と、同エレメント列隠蔽部(2,2')の左右端縁から互いに接近する方向に連続的に延設され、前記エレメント列(12,42,52)の下脚部(13b,44b,54b)、同下脚部(13b,44b,54b)が取着されている部位、又は前記エレメント列(12,42,52)の上脚部(13a,44a,54a)と前記ファスナーテープ(11,41,51)との間に嵌着する嵌着部(3,3')とを有してなる、
ことを特徴とするエレメント列隠し部材。
【請求項2】
前記隠し部材(1,1')は、可撓性及び弾性を有しており、同隠し部材(1,1')を撓ませて噛合状態の前記エレメント列(12,42,52)に被せることにより同エレメント列(12,42,52) に取着されてなる請求項1記載のエレメント列隠し部材。
【請求項3】
前記隠し部材(1,1')は、噛合状態の前記エレメント列(12,42,52)の前端部又は後端部から挿入し、ファスナー長手方向に沿ってスライドさせることにより同エレメント列(12,42,52)に取着されてなる請求項1記載のエレメント列隠し部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエレメント列隠し部材(1,1')との組み合わせからなることを特徴とする隠し部材付きスライドファスナー。
【請求項5】
左右一対のファスナーテープ(11,41) と、同ファスナーテープ(11,41) に取着された左右のエレメント列(12,42) と、前記エレメント列(12,42) に沿って摺動可能に配され、同エレメント列(12,42) を噛合・分離させるスライダーとを備え、
前記ファスナーテープ(11,41) は、テープ主体部(11a,41a) と、同テープ主体部(11a,41a) の側縁に配されたエレメント取付部(11b,41b) とを有し、少なくとも前記スライダーを摺動させて左右の前記エレメント列(12,42) を噛合させるときに、前記ファスナーテープ(11,41) の前記エレメント取付部(11b,41b) が前記テープ主体部(11a,41a) に対して折り返されてなり、
前記エレメント列(12,42) を形成する各ファスナーエレメント(13,44) は、前記ファスナーテープ(11,41) の端縁部に取着される脚部(13a,13b,44a,44b) と、同脚部(13a,13b,44a,44b) から前記ファスナーテープ(11,41) の前記テープ主体部(11a,41a) に向けて配された噛合頭部(13c,44c) とを有し、左右の前記エレメント列(12,42) が噛合するときに、前記ファスナーテープ(11,41) の前記エレメント取付部(11b,41b) が折り返されて前記噛合頭部(13c,44c) が前記ファスナーテープ(11,41) の折返部から外側に向けて突出してなる、
請求項4記載の隠し部材付きスライドファスナー。
【請求項6】
前記エレメント列(12)は、合成樹脂製又は金属製の複数の単独ファスナーエレメント(13)がファスナーテープ(11)に等間隔のピッチで固定されてなる請求項4又は5記載の隠し部材付きスライドファスナー。
【請求項7】
前記エレメント列(42)は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメント(44)が前記エレメント取付部(41b) に縫着されることにより形成されてなる請求項4又は5記載の隠し部材付きスライドファスナー。
【請求項8】
左右一対のファスナーテープ(51)と、同ファスナーテープ(51)に取着された左右のエレメント列(52)と、前記エレメント列(52)に沿って摺動可能に配され、同エレメント列(52)を噛合・分離させるスライダーとを備え、
前記ファスナーテープ(51)は、テープ主体部(51a) と、同テープ主体部(51a) の側縁に配されたエレメント取付部(51b) とを有し、
前記エレメント列(52)は、合成樹脂製の連続ファスナーエレメント(54)が前記エレメント取付部(51b) に縫着されることにより形成され、
前記連続ファスナーエレメント(54)は、前記ファスナーテープ(51)の前記エレメント取付部(51b) に縫着される上下脚部(54a,54b) と、同上下脚部(54a,54b) から前記ファスナーテープ(51)の外側に向けて突出する噛合頭部(54c) と、テープ長手方向の前後に隣接する前記ファスナーエレメント(54)の前記上下脚部(54a,54b) の何れかと連結する連結部(54d) とを有し、前記上脚部(54a) が前記下脚部(54b) よりも前記テープ主体部(51a) に向けて長く形成されてなる、
請求項4記載の隠し部材付きスライドファスナー。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれかに記載の隠し部材付きスライドファスナー(10,40) が取着されてなることを特徴とするスライドファスナー被着製品。
【請求項10】
前記スライドファスナー(10,40) の前記エレメント列(12,42) が前記スライドファスナー被着製品(20,30) の外表面側に配され、同エレメント列(12,42) の外表面側に前記隠し部材(1) が取着されることによって前記エレメント列(12,42) が隠蔽されてなる請求項9記載のスライドファスナー被着製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−119047(P2009−119047A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296725(P2007−296725)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】