説明

エンジンの吸気装置

【課題】複数のシリンダヘッドを有するエンジンにおいて簡単な構造により良好な燃焼室内気流を形成するエンジンの吸気装置を提供する。
【解決手段】エンジンの吸気装置を、第1、第2のシリンダヘッド30,40の吸気ポートに接続され、隔壁111〜141によって隔てられた第1の流路112〜142及び第2の流路113〜143が形成された第1、第2の吸気管110〜140と、第1、第2の吸気管の第1の流路に接続された第1のコレクタ室152と、第1、第2の吸気管の第2の流路に接続された第2のコレクタ室153と、第1、第2のコレクタ室の連通箇所154を開閉するとともに、閉塞時に第2の流路間の連通を遮断する制御バルブ160とを備え、制御バルブは、ほぼ円錐台状に形成されるとともに、中心軸に沿って伸縮可能なベローズ状の弁体161を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用等の内燃レシプロエンジンの吸気装置に関し、特に水平対向、V型のように複数のシリンダヘッドを有するエンジンに適用され、簡素な構造で燃焼室内気流を制御可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用の内燃レシプロエンジンにおいては、燃焼状態を改善して出力や燃料消費の改善を図るため、運転状態に応じて吸気ポートの一部を閉塞する等してタンブル、スワール等の気流を燃焼室内に発生させることが知られている。
タンブルとはクランク軸方向にほぼ沿った軸回りに回転する旋回流のことをいい、スワールとはシリンダ中心軸にほぼ沿った軸回りに回転する旋回流のことをいう。
近年エンジンの燃費性能を向上するため、EGR量を増大させることが要望されている。この場合、大量にEGRを導入しても安定した燃焼を実現するために、筒内に強いタンブル流を発生させ、気流の乱れによって火炎を皺状にし、反応面積を増加させる手法が提案されている。
このようにして実質的に火炎伝搬速度が上がる効果によって、大量EGRによって燃焼速度が低下する効果をキャンセルし、大量EGRを行なった場合にも安定して速い燃焼を実現し、ポンピングロスの低減と比熱比向上による熱効率改善効果を引き出すことが可能となる。
【0003】
筒内の気流形成を制御する従来技術として、例えば、特許文献1には、各気筒毎にプライマリポート及びセカンダリポートを有するV型6気筒エンジンの吸気装置において、セカンダリポートを閉塞してスワール流を形成させるコントロール弁を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−108859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術においては、V型エンジンのバンク毎に独立したコントロール弁及びこれを駆動するアクチュエータを設ける必要があることから、部品点数が増加して構造が複雑となり重量、コストも増加する。
また、インテークマニホールドにおける各バンク向け吸気管の集合箇所に、例えばバタフライバルブ等を設けて単一のアクチュエータによって駆動することも考えられるが、この場合であっても各バンク向け吸気管の所定のポートを同時に開閉するためには構造の複雑化が避けられない。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、複数のシリンダヘッドを有するエンジンにおいて簡単な構造により良好な燃焼室内気流を形成するエンジンの吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、クランク軸回りの位相をずらして配置されかつ複数の気筒をそれぞれ有する第1のシリンダブロック及び第2のシリンダブロックに設けられた第1のシリンダヘッド及び第2のシリンダヘッドの吸気ポートに燃焼用空気を供給するエンジンの吸気装置であって、前記第1のシリンダヘッドの吸気ポートに接続され、隔壁によって隔てられた第1の流路及び第2の流路が形成された第1の吸気管と、前記第2のシリンダヘッドの吸気ポートに接続され、隔壁によって隔てられた第1の流路及び第2の流路が形成された第2の吸気管と、外部から導入された空気を前記第1の吸気管の前記第1の流路、及び、前記第2の吸気管の前記第1の流路に供給する第1のコレクタ室と、前記第1のコレクタ室と連通しかつ前記第1のコレクタ室から導入された空気を前記第1の吸気管の前記第2の流路、及び、前記第2の吸気管の前記第2の流路に供給する第2のコレクタ室と、前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所を実質的に開閉するとともに、閉塞時に前記第2のコレクタ室を介しての各気筒の前記第2の流路間の連通を遮断する制御バルブとを備え、前記制御バルブは、ほぼ円錐台状に形成されるとともに、中心軸に沿って伸縮可能なベローズ状の弁体を有し、前記弁体が伸張することにより、該弁体の外周面と前記第2のコレクタ室に形成された仕切部とが当接して前記第2のコレクタ室を介しての各気筒の前記第2の流路間の連通を遮断するとともに、前記弁体の突端部が前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所を閉塞することを特徴とするエンジンの吸気装置である。
これによれば、例えばバタフライバルブ等を用いて流路を切換える場合に対して、構造を簡素化しつつ第1のコレクタ室から第2のコレクタ室への空気供給及び各気筒の第2の流路間の連通を遮断することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記弁体は、該弁体の内圧と前記エンジンの吸気管負圧との差圧に応じて伸縮するダイアフラムを構成することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気装置である。
これによれば、例えばエンジンの吸気管負圧などを利用することによって、例えば電動アクチュエータ等を用いる場合に対して構造を簡素化することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記弁体の前記突端部は、前記エンジンの停止状態においては前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所と隙間を有して隣接して配置され、前記エンジンの始動後に吸気管負圧で前記弁体が伸張して前記連通箇所を閉塞することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの吸気装置である。
これによれば、エンジンの停止中に凍結によって制御バルブが固着することを防止できる。
また、エンジンの吸気管負圧で弁体を伸張させることによって、制御バルブを閉塞するために専用の動力を用いる必要がない。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、複数のシリンダヘッドを有するエンジンにおいて簡単な構造により良好な燃焼室内気流を形成するエンジンの吸気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した吸気装置の実施例を備えたエンジンの構成を示す模式図である。
【図2】実施例の吸気装置の模式的外観斜視図である。
【図3】図2のIII−III部矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV部模式的矢視断面図である。
【図5】実施例の吸気装置における仕切板の構成を示す模式的斜視図である。
【図6】実施例の吸気装置におけるTGV周辺の構成を示す模式的断面図である。
【図7】実施例の吸気装置におけるエンジントルク及び回転数とTGV開閉状態との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、複数のシリンダヘッドを有するエンジンにおいて簡単な構造により良好な燃焼室内気流を形成するエンジンの吸気装置を提供する課題を、コレクタ内を隔壁で2室に分割して各吸気管の第1流路、第2流路への空気供給をそれぞれ行わせるとともに、ほぼ円錐台形状に形成されたベローズ状のダイアフラム、及び、その外周面に対向して配置された仕切板によって、各吸気管の第1流路の連通、遮断を切り換えることによって解決した。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を適用したエンジンの吸気装置の実施例について説明する。
エンジン1は、例えば、乗用車等の自動車の走行用動力源として用いられる水平対向4気筒のガソリンエンジンである。
【0013】
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロックRH10、シリンダブロックLH20、シリンダヘッドRH30、シリンダヘッドLH40等からなる本体部を有する。
シリンダブロックRH10、シリンダブロックLH20は、クランクシャフトを挟んで二分割構成されたエンジン1のクランクケースを構成する。
シリンダブロックRH10には、1番シリンダ(気筒)及び3番シリンダが設けられている。
シリンダブロックLH20には、2番シリンダ及び4番シリンダが設けられている。
各シリンダ内には、クランクシャフトとコンロッドで連結されたピストンが挿入されている。
【0014】
シリンダヘッドRH30及びシリンダヘッドLH40は、シリンダブロックRH10及びシリンダブロックLH20の端部にそれぞれ設けられている。
シリンダヘッドRH30及びシリンダヘッドLH40は、燃焼室31,41、吸気ポート32,42、排気ポート33,43、動弁系34,44等を備えて構成されている。
【0015】
燃焼室31,41は、各シリンダ内のピストン冠面と対向して配置された凹部であって、内部で燃焼が行われる部分である。
吸気ポート32,42は、燃焼室31,41に燃焼用空気(新気)を導入する流路である。吸気ポート32,42は、エンジン1の上面部に開口している。
排気ポート33,43は、燃焼室31,41から出た燃焼済ガス(排気ガス)を排出する流路である。排気ポート33,43は、エンジン1の下面部に開口している。
排気ポート33,43を出た排気は、図示しないエキゾーストマニホールドで集合した後、ターボチャージャ50のタービン52に導入され、その後図示しない排ガス処理装置及びサイレンサを通過した後車外に排出される。
動弁系34,44は、各ポートを開閉するバルブ及びこれを所定のバルブタイミングで駆動するバルブ駆動系等を備えている。
【0016】
また、エンジン1は、ターボチャージャ50、インタークーラ60、インテークダクト70、スロットル80、インテークマニホールド100等からなるインテークシステムを備えている。
【0017】
ターボチャージャ50は、排気ガスのエネルギを用いて空気を圧縮する過給器である。
ターボチャージャ50は、空気を圧縮するコンプレッサ51及び排気ガスによって駆動されコンプレッサ51を駆動するタービン52を備えている。
【0018】
インタークーラ60は、ターボチャージャ50のコンプレッサ51から出た空気を、走行風との熱交換によって冷却する熱交換器である。
インテークダクト70は、インタークーラ60から出た冷却済の空気をスロットルボディ80に導入する管路である。
スロットル80は、筒状に形成された空気流路の内部に、エンジン1の吸入空気量を調節して出力調整を行うバタフライバルブであるスロットルバルブ81を備えている。スロットルバルブ81は、図2に示す電動アクチュエータ82によって駆動されるいわゆる電動スロットルとなっている。
【0019】
インテークマニホールド100は、スロットルボディ80から出た空気をシリンダヘッドRH30及びシリンダヘッドLH40の吸気ポート32,42に分配する吸気管路である。
図2から図4に示すように、インテークマニホールド100は、1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140、コレクタ150、タンブル生成バルブ(TGV)160等を備えて構成されている。
【0020】
1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140は、コレクタ150内の空気を、それぞれ1番から4番シリンダの吸気ポート32,42に導入するものである。
ここで、1番吸気管110及び3番吸気管130は、本発明にいう第1の吸気管であって、コレクタ150からシリンダヘッドRH30側に伸びている。また、2番吸気管120及び4番吸気管140は、本発明にいう第2の吸気管であって、コレクタ150からシリンダヘッドLH40側に伸びている。
1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140は、コレクタ150の側面からほぼ水平に突きだすとともに、上方が凸となるように湾曲し、対応するシリンダの吸気ポート32,42に接続される。
【0021】
1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140の内部は、それぞれ隔壁111,121,131,141によって、第1流路112,122,132,142と、第2流路113,123,133,143とに区画されている。
(3番吸気管130の隔壁131、第1流路132、第2流路133は不図示であるが、実質的に1番吸気管110の隔壁111、第1流路112、第2流路113と同様の構成を有する。)
第1流路112,122,132,142は、隔壁111,121,131,141の下方(湾曲部の内側)に形成されている。
第2流路113,123,133,143は、隔壁111,121,131,141の上方(湾曲部の外側)に形成されている。
【0022】
以下、1番吸気管110、2番吸気管120について説明するが、3番吸気管130、4番吸気管140も実質的に同様の構成を備えている。
隔壁111,121は、1番吸気管110、2番吸気管120のほぼ全長にわたって形成されている。
図3に示すように、隔壁111,121をクランク軸と直交する平面で切って見た断面形状は、1番吸気管110、2番吸気管120の湾曲に沿って湾曲している。
また、隔壁111,121を1番吸気管110、2番吸気管120の長手方向と直交する平面で切って見た断面形状は、クランク軸方向とほぼ平行な直線状となっている。
【0023】
以上説明した1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140において、第2流路113,123,133,143からの空気供給を停止すると、流速が速められた空気が第1流路112,122,132,142からのみ各燃焼室31,41に供給され、燃焼室内におけるクランク軸と平行な軸回りにおける旋回流(タンブル流)が強められるようになっている。
また、第2流路113,123,133,143からの空気供給量を変化させた場合、この空気供給量の減少に応じてタンブル流は強められるようになっている。
【0024】
コレクタ150は、スロットル80から出た空気が導入され、この空気を1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140に供給する容器状の部分である。
コレクタ150は、ほぼ直方体状のボックスとして形成され、高さ方向における中間部に設けられた隔壁151によって、その下方の第1室152及び上方の第2室153に区画されている。スロットル80からの空気は、まず第1室152に導入される。
【0025】
1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140の第1流路112,122,132,142は、第1室152と連通し、第1室152から空気が供給される。
1番吸気管110、2番吸気管120、3番吸気管130、4番吸気管140の第2流路113,123,133,143は、第2室153と連通し、第2室153から空気が供給される。
【0026】
隔壁151は、エンジン1の上面とほぼ平行な平板状に形成され、その中央部には矩形の開口154が形成されている。開口154は、第1室152から第2室153へ空気を導入する連通箇所である。
【0027】
第2室153の内部には、仕切板155〜158が設けられている。仕切板155〜158は、隔壁151と、これに対向する第2室153の上面との間にわたして設けられた平板状の部材である。
仕切板155〜158は、TGV160の閉塞時にベローズ161の外周面と当接して、第2室153内を介した各気筒の吸気管110〜140の第2流路113〜143間相互の連通を遮断するものである。
図5は、仕切板155〜158の配置を示す模式的斜視図である。
図5において、第2室153の外壁等は図示を省略している。
【0028】
仕切板155は、第2室153の前方側(フライホイールと反対側)の端部から、後方へ突き出している。
仕切板156は、第2室153の後方側(フライホイール側)の端部から、前方へ突き出している。
仕切板157は、第2室153の右側(シリンダヘッドRH30側)の端部から、左側へ突き出している。
仕切板158は、第2室153の左側(シリンダヘッドLH40側)の端部から、右側へ突き出している。
また、仕切板155〜158は、上方から見た際に、ほぼ直交する線上に配置されている。
【0029】
図5に示すように、仕切板155〜158の突端側の端縁はほぼ直線状に形成されている。
また、仕切板155〜158は、下端部の突き出し量が上端部の突き出し量よりも大きくなるように、端縁が傾斜して配置されている。
【0030】
タンブル生成バルブ(TGV)160は、第1室152から第2室153へ空気を供給する開口154が開放されて1番吸気管110〜4番吸気管140の第2流路113〜143に空気が供給される開放状態と、開口154が閉塞されかつ1番吸気管110〜4番吸気管140の第2流路113〜143相互間の連通が遮断された閉塞状態とを切換える制御弁である。
【0031】
図6は、TGV160周辺の模式的断面図であって、図6(a)は、開放状態を示し、図6(b)は、閉塞状態を示している。また、図6(c)は、図6(b)のc−c部矢視断面図である。また、図6(d)は、エンジン停止時の状態を示している。
TGV160は、ベローズ161、アッパプレート162、ロワプレート163、スプリング164(図3参照)等を有して構成され、図示しない負圧制御手段が接続されることによって、吸気管内圧力と内圧との差圧によって駆動されるダイアフラム弁を構成するものである。
ベローズ161は、TGV160における弁体として機能する部分である。
ベローズ161は、例えばゴム等の可撓性を有する弾性材料によって筒状に形成され、その内圧と吸気管内圧力との差圧に応じて、中心軸方向に沿って伸縮する。
ベローズ161は、中心軸がほぼ鉛直となるように第2室153の内部に配置されている。
ベローズ161は、上述した仕切板155〜158の端縁の傾斜に適合して、上端部よりも下端部の径が小さくなるように、下窄まりの円錐台状に形成されている。
また、ベローズ161の下面部は一体成型された端面によって閉塞され、ロワプレート163に固定されている。
【0032】
ベローズ161の外周面には、周方向に沿って形成された蛇腹状の周方向凹部161aが、例えば4本ほぼ等間隔に形成されている。
この周方向凹部161aは、ベローズの伸縮に応じて屈伸する部分である。
また、ベローズ161の外周面には、図6(c)に示すように、TGV160が閉塞状態にあるときに、仕切板155〜158の端縁が挿入され収容される縦凹部161bが形成されている。
縦凹部161b及び仕切板155〜158は、協働して各気筒の第2流路113〜143間の連通を遮断するラビリンスシールとして機能する。
このような構成によって、周方向凹部161aが存在する箇所であっても、仕切板155〜158との間で所定の気密性が得られるようになっている。
【0033】
アッパプレート162は、ベローズ161の上端部が固定された円盤状の部材であって、第2室153の上面部に固定されている。
また、アッパプレート162には、図示しない負圧制御手段が接続される図示しない接続ポートが形成されている。
ロワプレート163は、ベローズ161の下端部が固定された円盤状の部材である。
ロワプレート163は、TGV160の閉塞時に、隔壁151と当接して開口154を閉塞するものである。
スプリング164は、アッパプレート162とロワプレート163との間にわたして配置された例えばコイルスプリング等の圧縮バネである。
【0034】
TGV160は、負圧制御手段によってベローズ161の内圧を制御され、吸気管内圧力(TGV160が閉塞される低負荷状態においては、通常負圧となる。)とベローズ161の内圧との差圧に応じてベローズ161が伸縮されることによって、閉塞状態(タンブル強)と開放状態(タンブル弱)とを切換える。
なお、TGV160は、その開放時には、ベローズ161が収縮することによって、第2室153の上面部近傍に退避し、吸気抵抗を低減するようになっている。
また、コレクタ150の上部に、TGV160の閉塞時におけるベローズ161が引き込まれる凹部を形成し、TGV160の閉塞時には、ベローズ161が第2室153の内部に実質的に張り出さない構成としてもよい。
【0035】
図7は、エンジントルク及び回転数とTGV開閉状態との関係を示す図である。
図7に示すように、TGV160は、エンジンが低回転かつ低トルクの状態にあるときに、タンブルを強めて燃焼を促進するために閉塞され、その他の領域では空気流量を確保するために開放される。
また、TGV160は、ベローズ161の伸縮量を閉塞状態と開放状態との中間に設定することによって、中程度のタンブル強さを得ることも可能である。
【0036】
また、図6(d)に示すように、TGV160は、エンジン1の停止状態においては、ロワプレート163が隔壁151と微小な隙間Cを隔てて対向するように配置され、これによって凍結などによるTGV160の固着が防止されている。
なお、エンジン1を始動すると、吸気管負圧によってベローズ161が膨張して延ばされ、ロワプレート163は隔壁151と当接し、TGV160は閉塞状態となる。
【0037】
以上説明した実施例によれば、吸気管負圧を利用して駆動されるダイアフラム式のTGV160によって、コレクタ150の第1室152から第2室153への連通、及び、第2室153を介しての各吸気管110〜140の第2流路113〜143相互間の連通を遮断することによって、例えば電動アクチュエータによって駆動されるバタフライバルブ等を用いる場合に対して、構造を簡素化しつつ適切なタンブル制御を行なうことが可能となる。
また、エンジンの停止時にロワプレート163が隔壁151と隙間を隔てて配置されることによって、凍結等によるTGV160の固着を防止することができる。
【0038】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、エンジンはガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンやその他の燃料を用いるものであってもよい。
また、実施例では、コレクタの第2室を第1室の上方に配置し、TGVをコレクタの上面部に取り付けた構成としているが、これに限らず、例えば第2室を第1室の下方に配置してTGVをコレクタの下面部に取り付ける構成としてもよい。
また、実施例では、ベローズ状の弁体を負圧ダイアフラムとして駆動しているが、このようなベローズ状の弁体を例えば電動アクチュエータ等の他の動力を用いて駆動する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 エンジン
10 シリンダブロックRH 20 シリンダブロックLH
30 シリンダヘッドRH 31 燃焼室
32 吸気ポート 33 排気ポート
34 動弁系
40 シリンダヘッドLH 41 燃焼室
42 吸気ポート 43 排気ポート
44 動弁系
50 ターボチャージャ 51 コンプレッサ
52 タービン 60 インタークーラ
70 インテークダクト 80 スロットル
81 スロットルバルブ 82 電動アクチュエータ
100 インテークマニホールド
110 1番吸気管 111 隔壁
112 第1流路 113 第2流路
120 2番吸気管 121 隔壁
122 第1流路 123 第2流路
130 3番吸気管 131 隔壁
132 第1流路 133 第2流路
140 4番吸気管 141 隔壁
142 第1流路 143 第2流路
150 コレクタ 151 隔壁
152 第1室 153 第2室
154 開口 155〜158 仕切板
160 タンブル生成バルブ(TGV) 161 ベローズ
161a 周方向凹部 161b 縦凹部
162 アッパプレート 163 ロワプレート
164 スプリング C 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸回りの位相をずらして配置されかつ複数の気筒をそれぞれ有する第1のシリンダブロック及び第2のシリンダブロックに設けられた第1のシリンダヘッド及び第2のシリンダヘッドの吸気ポートに燃焼用空気を供給するエンジンの吸気装置であって、
前記第1のシリンダヘッドの吸気ポートに接続され、隔壁によって隔てられた第1の流路及び第2の流路が形成された第1の吸気管と、
前記第2のシリンダヘッドの吸気ポートに接続され、隔壁によって隔てられた第1の流路及び第2の流路が形成された第2の吸気管と、
外部から導入された空気を前記第1の吸気管の前記第1の流路、及び、前記第2の吸気管の前記第1の流路に供給する第1のコレクタ室と、
前記第1のコレクタ室と連通しかつ前記第1のコレクタ室から導入された空気を前記第1の吸気管の前記第2の流路、及び、前記第2の吸気管の前記第2の流路に供給する第2のコレクタ室と、
前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所を実質的に開閉するとともに、閉塞時に前記第2のコレクタ室を介しての各気筒の前記第2の流路間の連通を遮断する制御バルブとを備え、
前記制御バルブは、ほぼ円錐台状に形成されるとともに、中心軸に沿って伸縮可能なベローズ状の弁体を有し、
前記弁体が伸張することにより、該弁体の外周面と前記第2のコレクタ室に形成された仕切部とが当接して前記第2のコレクタ室を介しての各気筒の前記第2の流路間の連通を遮断するとともに、前記弁体の突端部が前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所を閉塞すること
を特徴とするエンジンの吸気装置。
【請求項2】
前記弁体は、該弁体の内圧と前記エンジンの吸気管負圧との差圧に応じて伸縮するダイアフラムを構成すること
を特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気装置。
【請求項3】
前記弁体の前記突端部は、前記エンジンの停止状態においては前記第1のコレクタ室と前記第2のコレクタ室との連通箇所と隙間を有して隣接して配置され、前記エンジンの始動後に吸気管負圧で前記弁体が伸張して前記連通箇所を閉塞すること
を特徴とする請求項2に記載のエンジンの吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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