説明

エンジンの燃料供給装置

【課題】燃料供給管から分配する接続管における燃料の圧力脈動が増幅されることを抑制すると共にエンジンの振動による各管への影響を回避する。
【解決手段】複数の気筒からなる2つの気筒群の各気筒に対して燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁が各デリバリパイプに設けられ、燃料タンクに高圧燃料ポンプを介して接続された燃料供給管12と各デリバリパイプに接続される各接続管15・16とをジョイント部材14を介して接続する。ジョイント部材の各接続ポートを、燃料流入及び各流出方向のいずれもが同一直線上に無いように設ける。燃料の流入及び両流出方向のいずれもが180度以外の角度をもって分岐する方向になり、各管に生じる燃料の圧力の脈動が同一直線上を伝わって増幅することを防止でき、3方向の全てに対して圧力の脈動が抑制され、共振等によりデリバリパイプに損傷を与えてしまうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃料供給装置に関し、特にV型エンジンや水平対向エンジン等の燃料供給系路に用いられるエンジンの燃料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多気筒エンジンにおける各気筒に燃料噴射弁をそれぞれ配設したエンジンがある。例えばV型エンジンや水平対向エンジンでは、2列の気筒列を有しており、燃料タンク(燃料ポンプ)からの1本の燃料供給路を、それぞれの気筒列方向に延在する各デリバリパイプに分配するようにしているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−132231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各気筒に燃料噴射弁を配設したエンジンでは、燃料の噴射によってデリバリパイプ内に圧力の脈動が生じる。さらに、V型エンジンや水平対向エンジンのように一対の気筒列を有する場合、圧力脈動は、車両の振動や騒音を誘発したり、燃料供給管内の燃料に所望の圧力が得られないことによる不安定な燃焼による燃費の悪化やエミッションの増加が懸念される。
【0005】
上記特許文献1では、燃料ポンプに接続されている1本の燃料供給管に、各デリバリパイプに接続された一対の接続管がT字型に接続されている。一対の接続管は、互いに同軸となる同一直線上で相反する方向に延出しており、そのような配管構造では、一対の接続管の軸線方向に圧力脈動が増幅されるという問題がある。
【0006】
また、特にV型エンジンでは、各気筒列において振動の方向が異なるため、デリバリパイプや接続管及び燃料供給管に対し、また燃料供給管及び接続管の接続部分への振動による影響を考慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決して、燃料供給管から分配する接続管における燃料の圧力脈動が増幅されることを抑制すると共にエンジンの振動による各管への影響を回避するために、本発明に於いては、それぞれ複数の気筒からなる2つの気筒群(3・4)と、前記2つの気筒群の前記各気筒に対して燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁(19)と、燃料供給源(11・13)に接続された燃料供給管(12)と、前記燃料供給管に分岐部(P1〜P3・21)を介して接続された2本の接続管(15・16)と、前記両接続管のそれぞれに接続され、対応する前記気筒群の前記複数の燃料噴射弁に対して燃料を送出するためのデリバリパイプ(17・18)とを有するエンジンの燃料供給装置であって、前記分岐部における前記燃料の流入及び両流出方向(X・Y・Z)のいずれもが同一直線上に無いものとした。
【0008】
これによれば、分岐部において、燃料供給管からの燃料の流入方向と各接続管への燃料流出方向とがそれぞれ互いに同一直線上に無いことから、燃料の流入及び両流出方向のいずれもが180度以外の角度をもって分岐する方向になる。これにより、各管に生じる燃料の圧力の脈動が同一直線上を伝わって増幅することを防止でき、3方向の全てに対して圧力の脈動が抑制され、共振等によりデリバリパイプに損傷を与えてしまうことを防止できる。
【0009】
特に、前記燃料の前記流入及び両流出方向が互いに異なる方向を向くとよく、また、前記燃料の前記流入及び両流出方向が互いに直交するとよい。これによれば、流入及び両流出方向の3方向を例えば互いに直交する3軸の各方向とすることにより、分岐部において各方向に対向する部分に対向面があり、各管のいずれかに圧力の脈動が生じた場合にはその圧力はそれぞれの対向面により抑制される。このようにして、3方向の圧力の脈動を抑制することができ、共振等によるデリバリパイプに対して与える損傷を好適に防止することができる。
【0010】
また、前記分岐部は、前記2つの気筒群の一方(3)の外壁に取り付けられたジョイント部材(14)に設けられ、前記分岐部における前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記デリバリパイプ(17)への燃料流出方向(Y)が、前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記気筒群の気筒の軸線方向(Cv)と同一方向であるとよい。
【0011】
これによれば、気筒群の外壁はその気筒群の気筒の軸線方向に対して振動や熱膨張するが、ジョイント部材が取り付けられた気筒群のデリバリパイプへのジョイント部材からの燃料流出方向が、ジョイント部材が取り付けられた気筒群の気筒の軸線方向と同一であることにより、ジョイント部材が取り付けられた気筒群の外壁の熱膨張や振動方向と同一方向となり、その接続管に発生する応力振幅が抑制される。
【0012】
また、前記分岐部における前記ジョイント部材から前記ジョイント部材が取り付けられていない方の前記デリバリパイプ(18)に燃料流出方向(Z)が、前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記気筒群の気筒の軸線方向(Cv)に交差する方向であるとよい。
【0013】
これによれば、ジョイント部材において、ジョイント部材が取り付けられた方の気筒群と他(取り付けられていない方)の気筒群とに対する各燃料流出方向が互いに交差することから、ジョイント部材が取り付けられた気筒群の外壁の熱膨張や振動の方向と他の気筒群への燃料流出方向に生じる圧力の脈動方向とが干渉せず、接続管の応力振幅の低減効果が高い。さらに、各接続管への燃料流出方向は燃料供給管からの燃料流入方向とも交差することから、接続管の応力振幅の低減効果がより一層高まる。
【0014】
また、前記ジョイント部材の前記燃料供給管が接続される接続ポート(P1)の燃料流出側に絞り部(22)が設けられているとよい。これによれば、燃料供給管からの燃料の圧力脈動を好適に低減させることができる。
【0015】
また、前記接続管は、前記燃料供給管よりも弾性変形し易く形成されているとよい。これによれば、燃料噴射によるデリバリパイプの振動を強く受ける接続管に発生する応力振幅を低減させることができる。
【0016】
また、前記ジョイント部材はステー(23)を一体的に有し、前記ステーは、弾性体(24)を介して前記外壁に取り付けられているとよい。これによれば、ジョイント部材が弾性支持されることから、気筒群側からの振動伝達が低減され、ジョイント部材に発生する応力振幅を低減し得る。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、分岐部において、燃料供給管からの燃料の流入方向と各接続管への燃料流出方向とがそれぞれ互いに同一直線上に無いことから、いずれか2つの流路同士が180度以外の角度をもって分岐する。これにより、各管に生じる燃料の圧力の脈動が同一直線上を伝わって増幅することを防止でき、3方向の全てに対して圧力の脈動が抑制され、共振等によりデリバリパイプに損傷を与えてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が適用されたV型エンジンの燃料供給装置の要部を示す斜視図である。
【図2】燃料供給装置の全体構成を示す模式図である。
【図3】(a)はジョイント部材を示す斜視図であり、(b)は(a)の矢印IIIb線から見た要部端面図である。
【図4】図3(b)の矢印IV−IV線に沿って見た断面図である。
【図5】図4の矢印V−V線に沿って見た断面図である。
【図6】ステーの要部拡大断面図である。
【図7】エンジン回転数に対する接続管に生じる応力を示し、(a)は従来の接続構成における図であり、(b)は本発明による図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明が適用されたV型エンジン1の燃料供給装置の要部を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、エンジン1は、両側(例えば車両前後方向)に拡開するように傾いた第1シリンダバンク1a及び第2シリンダバンク1bによりV字型に形成されたシリンダブロック1cと、各シリンダバンク1a・1bの上部に設けられたシリンダヘッド2a・2bとを有する。なお、各シリンダヘッド2a・2bの上部にはヘッドカバー(図示せず)が設けられている。エンジン1の吸気装置(図示せず)は両シリンダバンク1a・1bの内側に配設され、排気系(図示せず)は外側に配設されている。
【0021】
本図示例ではV型6気筒であり、各シリンダバンク1a・1b内にはそれぞれ直列に3気筒ずつ設けられている。それら3気筒ずつを気筒群とし、一方のシリンダバンク1a側の3気筒を第1気筒群3とし、他方のシリンダバンク1b側の3気筒を第2気筒群4として、以下に説明する。
【0022】
本発明に基づく燃料供給装置は、図2に併せて示されるように、燃料タンク11と、燃料タンク11内に設けられた燃料ポンプ11aと、燃料タンク11(燃料ポンプ11a)に一端が接続された燃料供給管12と、燃料供給管12の中間部に設けられかつエンジン1側に配設された高圧燃料ポンプ13と、燃料供給管12の他端が接続された分岐部を有するジョイント部材14と、ジョイント部材14に各一端が接続された両接続管15・16と、一方の接続管15に接続されかつ第1気筒群3に対応する第1デリバリパイプ17と、他方の接続管16に接続されかつ第2気筒群4に対応する第2デリバリパイプ18と、各気筒に燃料を噴射するために両デリバリパイプ17・18に設けられたそれぞれ3つずつの燃料噴射弁19とを有する。なお、燃料タンク11(燃料ポンプ11a)及び高圧燃料ポンプ13により燃料供給源が構成される。
【0023】
第1デリバリパイプ17に設けられた3つの燃料噴射弁19は第1気筒〜第3気筒に対応し、第2デリバリパイプ18に設けられた3つの燃料噴射弁19は第4気筒〜第6気筒に対応する。本燃料供給装置では、燃料タンク11の燃料が、高圧燃料ポンプ13により所定の燃圧に高められ、ジョイント部材14を介して各デリバリパイプ17・18に送出され、各燃料噴射弁19から各気筒に走行条件に応じた燃料噴射タイミングで噴射される。なお、高圧燃料ポンプ13は、容積型であってよい。
【0024】
次に、図3〜図5を参照して、ジョイント部材14について説明する。ジョイント部材14は、全体としては6面を有する直方体のブロック状に形成されている。なお、ジョイント部材14の形状としては直方体を含む多面体に限られず、球状であってもよい。
【0025】
ジョイント部材14の3つの面14a〜14cにはそれぞれ円筒状ボス部14d〜14fが互いに直交する3軸方向にそれぞれ突設されている。各ボス部14d〜14fには、燃料供給管12が接続される第1接続ポートP1と、各接続管15・16が接続される第2及び第3接続ポートP2・P3とがそれぞれ同軸的に穿設されている。また、各接続ポートP1〜P3は、ジョイント部材14の内部で上記3軸の交点となる部分に画定された分岐室21を介して互いに連通し、これら各接続ポートP1〜P3と分岐室21とにより分岐部が構成され。3つの接続ポートP1〜P3は、互いに異なる方向として3次元的に互いに直交する方向に延在する流路として形成されている。なお、各接続ポートP1〜P3に対する各管12・15・16の接続は溶接であってよい。
【0026】
ジョイント部材14には、第1接続ポートP1と分岐室21との間に、各接続ポートP1〜P3よりも小径のオリフィス部22が設けられている。第2及び第3接続ポートP2・P3はオリフィス部22を介して第1接続ポートP1と連通する。
【0027】
燃料供給管12から供給される燃料は図4のX方向に流入し、オリフィス部22を通過して分岐室21に入り、分岐室21から第2接続ポートP2と第3接続ポートP3とに分かれて流出される。第2接続ポートP2への流出方向(図4のY方向)と第3接続ポートP3への流出方向(図4のZ方向)とは、互いに直交しかつ上記流入方向(X方向)に対してもそれぞれ直交する。このように、流入方向及び両流出方向のいずれもが同一直線上に無い。
【0028】
また、分岐室21においては、第1ポートP1に対向する部分が第1対向面21aとなり、第2ポートP2に対向する部分が第2対向面21bとなり、第3ポートP3に対向する部分が第3対向面21cとなる。
【0029】
燃料噴射は間欠的に行われるため、各接続管15・16には燃料の圧力の脈動が生じると、その圧力脈動が分岐室21に伝わる。例えば燃料供給管に対して両接続管がT字状に分岐するように配管されている場合には、両接続管が同一直線上に延在することになるため、一方の接続管に生じた圧力脈動が他方の接続管に進み易く、圧力脈動が増幅される虞がある。
【0030】
それに対して上記したように、分岐室21では、各接続ポートP1〜P3の軸線方向が上記したようにX・Y・Z方向に3次元的に互いに直交している。これにより、例えば一方の接続管15における圧力脈動は、分岐室21に入ると、進行方向となる同一直線上に流路が無いため、圧力脈動が増幅されない。この関係は、他の各管12・16においても同じであり、その説明を省略する。さらに、各管12・15・16に生じる圧力脈動は、分岐室21において、それぞれ各ポートP1・P2・P3に対向する各対向面21a〜21cにより吸収されるようになるため、より一層低減される。
【0031】
また、上記したように、第1ポートP1の燃料流出方向側となる第1ポートP1と分岐室21との間にオリフィス部22が設けられている。燃料供給管12に圧力脈動が生じても、分岐室21に向かう燃料流入の流れがオリフィス部22で絞られるため、圧力脈動が低減される。燃料供給管12には高圧燃料ポンプ13による圧力脈動が常に生じており、その低減に有効である。
【0032】
また、ジョイント部材14は、金属板を折り曲げ加工して形成されたステー23を介して一方の気筒群3側のシリンダヘッド2aの外壁に取り付けられている。ステー23の一端部がジョイント部材14の一面に沿って固着され、他端部がシリンダヘッド2aの外壁にねじ止めされる。
【0033】
ステー23の他端部には貫通孔23aが設けられ、貫通孔23aには、図3及び図6に示されるようにステー23の板厚より軸線方向に長い円筒状弾性体(例えばゴムブッシュ)24が組み付けられている。円筒状弾性体24の外周面には周方向溝24aが形成されており、ステー23の貫通孔23aの外周部分に周方向溝24aが嵌り込んで、ステー23に弾性体24が一体的に組み付けられる。
【0034】
円筒状弾性体24の内周面は、軸線方向両端より軸線方向中央が半径方向内側に突となる山形に形成され、さらに山頂となる部分に半径方向突部24bが内周面の全周に亘って形成されている。円筒状弾性体24の内周面には、大径の鍔付き円筒状に形成されたカラー25が同軸的に嵌り込む。そのカラー25が、鍔側から挿入される固定ボルト26によりシリンダヘッド2aの外壁にねじ止めされる。なお、カラー25の胴部の外径は半径方向突部24bの内径と同じであってよい。
【0035】
ジョイント部材14は、一方の気筒群3側に取り付けられていると共に、その気筒群3の気筒の軸線方向(図3(b)のCv)と、第1気筒群3側のデリバリパイプ17に接続された接続管15におけるジョイント部材14からの燃料流出方向Yとが同一方向になるようにされている。これにより、ジョイント部材14が取り付けられた第1気筒群3の外壁(シリンダバンク1aを形成する部分)の熱膨張や振動方向と同一方向となり、その接続管15に発生する応力振幅が抑制される。
【0036】
なお、上記したように、ステー23が弾性体24を介してエンジン1に取り付けられていることから、ジョイント部材14は弾性支持されている。これにより、第1気筒群3側からの振動伝達が低減され、ジョイント部材14に発生する応力振幅を低減し得る。
【0037】
また、各管12・15・16は同一のパイプ材で形成されていてよいが、接続管15・16の外径D2の方が燃料供給管12の外径D1よりも小径である(D2<D1)。これにより、例えば曲げ強度に対して接続管15・16の方が燃料供給管12よりも低下するため、燃料供給管12よりも接続管15・16の方が弾性変形し易い。なお、接続管15・16の肉厚t2も燃料供給管12の肉厚t1よりも薄く(t2<t1)するとよい。燃料噴射弁19に対して、燃料供給管12よりも接続管15・16の方が近いため、燃料噴射による振動が接続管15・16に大きな影響を与えることになる。その振動を弾性変形により吸収することができ、振動による接続管15・16の応力振幅を低減し得る。
【0038】
また、ジョイント部材14が取り付けられていない方の第2気筒群4側のデリバリパイプ18に接続された接続管16におけるジョイント部材14からの燃料流出方向Zは、ジョイント部材14が取り付けられている第1気筒群3の気筒の軸線方向Cvに交差している。これにより、ジョイント部材14が取り付けられた方の第1気筒群3と、他(取り付けられていない方)の第2気筒群4とに対する各燃料流出方向Y・Zが互いに交差することから、ジョイント部材14が取り付けられた第1気筒群3の外壁の熱膨張や振動の方向(Cv)と第2気筒群4への燃料流出方向Zに生じる圧力の脈動方向とが干渉せず、接続管16の応力振幅の低減効果が高くなる。さらに、各接続管15・16への燃料流出方向Y・Zは燃料供給管12からの燃料流入方向Xとも交差することから、接続管の応力振幅の低減効果がより一層高まる。
【0039】
図7は、上記実施形態におけるジョイント部材14が取り付けられていない第2気筒群4側の接続管16に、エンジンの回転により発生する振幅による応力変化を示す図であり、(a)は分岐部を従来技術のT字型にした場合であり、(b)は本発明の分岐部の場合である。なお、横軸はエンジン回転数であり、縦軸は応力である。
【0040】
図に示されるように、T字型分岐部の場合には、低速回転領域では応力はそれ程大きくないが、高速回転になる程応力が増大し、かつ最高速回転に近付くと大きく増大する。それに対して、本発明によれば、低速回転から高速回転に至るまで全体に小さくかつフラットな応力変化となった。このように、応力が大幅に低減され、接続管15・16の振動によりデリバリパイプ17・18が損傷を受けることが防止されるため、例えば従来において制振対策を必要とした場合に対して、それ程大きな制振対策を必要とせず、そのコストを低減し得る。
【0041】
なお、上記実施形態では、V型6気筒について説明したが、本発明が適用されるエンジンは、6気筒に限られるものではなく、またV型に限られるものではなく水平対向エンジンであってもよい。また、直列多気筒エンジンにも適用可能であり、その場合には気筒列方向に複数の気筒ずつ分割したものを各気筒群とすればよい。
【0042】
以上、本発明を、その好適形態実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。なお、ジョイント部材14の形状としては、上記6面体に限られず、4面体以上の多面体であったり、球状体であったりしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
3・4 気筒群
11 燃料タンク(燃料供給源)
12 燃料供給管
13 高圧燃料ポンプ(燃料供給源)
14 ジョイント部材
15・16 接続管
17・18 デリバリパイプ
19 燃料噴射弁
21 分岐室(分岐部)
22 絞り部
23 ステー
24 弾性体
P1〜P3 接続ポート(分岐部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の気筒からなる2つの気筒群と、
前記2つの気筒群の前記各気筒に対して燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁と、
燃料供給源に接続された燃料供給管と、
前記燃料供給管に分岐部を介して接続された2本の接続管と、
前記両接続管のそれぞれに接続され、対応する前記気筒群の前記複数の燃料噴射弁に対して燃料を送出するためのデリバリパイプとを有するエンジンの燃料供給装置であって、
前記分岐部における前記燃料の流入及び両流出方向のいずれもが同一直線上に無いことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項2】
前記燃料の前記流入及び両流出方向が互いに異なる方向を向くことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項3】
前記燃料の前記流入及び両流出方向が互いに直交することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項4】
前記分岐部は、前記2つの気筒群の一方の外壁に取り付けられたジョイント部材に設けられ、
前記分岐部における前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記デリバリパイプへの燃料流出方向が、前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記気筒群の気筒の軸線方向と同一方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項5】
前記分岐部における前記ジョイント部材が取り付けられていない方の前記デリバリパイプへの燃料流出方向が、前記ジョイント部材が取り付けられた方の前記気筒群の気筒の軸線方向に交差する方向であることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項6】
前記ジョイント部材の前記燃料供給管が接続される接続ポートの燃料流出側に絞り部が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5の記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項7】
前記接続管は、前記燃料供給管よりも弾性変形し易く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項8】
前記ジョイント部材はステーを一体的に有し、
前記ステーは、弾性体を介して前記外壁に取り付けられていることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載のエンジンの燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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