説明

エンジン回転制御装置

【課題】スロットルセンサを用いずに、スロットルバルブ操作用のステッピングモータの脱調を検出して修正制御動作を行わせることができるエンジン回転制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンの実回転速度Nと負荷情報値Lとステッピングモータの実ステップ数Sとを検出して記憶する運転状態検出記憶手段16と、回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laと実ステップ数平均値Saとを演算する平均値演算手段17と、回転速度平均値と負荷情報平均値とに対して正常時ステップ数を演算する演算手段18と、実ステップ数平均値Saと正常時ステップ数Soからステッピングモータの脱調等による制御装置の異常が生じているか否かを判定する異常判定手段19と、ステッピングモータの脱調による異常が解消していることが検出されたときに、記憶されている実ステップ数Sを正常時ステップ数Soに等しくするように修正するステップ数修正手段23とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの回転速度を目標回転速度に一致させるように制御するエンジン回転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジン発電機、芝刈り機、刈り払い機、チェーンソーなどに用いる汎用エンジンにおいては、スロットルバルブをアクチュエータにより操作する電子制御スロットル装置を用いて、エンジンの実回転速度と目標回転速度との偏差に応じてアクチュエータを制御することにより、エンジンの回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行うエンジン回転制御装置が用いられている。
【0003】
スロットルバルブを操作するアクチュエータとしては、特許文献1に示されているように、ステッピングモータを駆動源としたものが用いられている。ステッピングモータにより負荷(エンジン回転制御装置ではスロットルバルブ)を駆動する際には、モータのトルク不足や負荷の増大(スロットルバルブの操作軸のロック)等により、ステッピングモータの脱調(モータに与えた駆動パルス数に対応するモータの回転角度とモータの実際の回転角度とが対応しなくなる現象)が起こり、ステッピングモータの停止位置が予定した停止位置からずれることがある。エンジンの回転速度を目標回転速度に一致させるようスロットル開度(スロットルバルブの開度)を制御している過程でスロットルバルブを駆動するステッピングモータの脱調が起こると、制御されたスロットル開度が設定開度からずれるため、制御誤差が生じる。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1に示された制御装置では、スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサを設けて、このスロットルセンサにより検出された実際のスロットル開度と、制御装置が記憶しているスロットル開度との間に差が生じているときに脱調が発生したと判定して、その差分だけステッピングモータのステップ数を修正するようにしている。
【特許文献1】特開平7−174041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、ステッピングモータによりスロットル開度を調整するようにしておいて、エンジンの回転速度と目標回転速度との偏差に応じてステッピングモータを制御することにより、回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行う従来のエンジン回転制御装置においては、スロットル開度を検出するためにポテンショメータなどからなるスロットルセンサを設けている。しかし、スロットルセンサを用いると、その出力特性のばらつきや、経時変化により、スロットル開度とスロットルセンサの出力との対応関係が変化することがあるため、製品出荷時の制御誤差を長期間に亘って維持することが難しいという問題が生じる。
【0006】
またスロットルセンサの取付位置に誤差が生じると、制御誤差が大きくなるため、製品の組み立ての際に、スロットルセンサの取付に細心の注意を払うことが必要になり、製造コストが高くなるという問題が生じる。
【0007】
更に、汎用エンジンでは、コストの低減と、小形化を図ることとが要求されるため、スロットルセンサは、できれば省略することが好ましい。
【0008】
本発明の目的は、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調を検出できるようにして、発生していた脱調が解消されたと判定されたときにステッピングモータのステップ数を補正することにより大きな制御誤差が生じるのを防ぐことができるようにしたエンジン回転制御装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調を検出できるようにして、脱調が検出されたときに大きな制御誤差が生じるのを防ぐ制御を行うだけでなく、ステッピングモータの脱調が生じていない正常時にエンジンの出力が過大になってエンジンが破損するのを防ぐことができるようにしたエンジン回転制御装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調を検出することができるようにして、脱調が検出されたときに大きな制御誤差が生じるのを防ぐための制御を行うだけでなく、ステッピングモータの脱調が生じたときにステッピングモータの駆動周波数を低い周波数に切り換えてモータのトルクを増加させることにより、脱調状態を速やかに解消して制御を正常な状態に回復させることができるようにしたエンジン回転速度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ステッピングモータを駆動源としてエンジンのスロットルバルブを操作するアクチュエータを備え、エンジンの実回転速度Nと目標回転速度Ntとの間の関係に応じてステッピングモータを一方向または他方向に回転させることによりエンジンの回転速度を目標回転速度に一致させるように制御するエンジン回転制御装置を対象とする。
【0012】
本発明においては、エンジンの実回転速度Nと、エンジンの負荷の大きさが反映された変量からなる負荷情報値Lと、ステッピングモータを一方向に1ステップ駆動する毎に値が増加し、他方向に1ステップ駆動する毎に値が減少するステッピングモータの実ステップ数Sとを検出して記憶する運転状態検出記憶手段と、運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されている実回転速度、負荷情報値及び実ステップ数のそれぞれの平均値である回転速度平均値Na、負荷情報平均値La及び実ステップ数平均値Saを演算する平均値演算手段と、回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとからステッピングモータの制御が正常に行われたときのステッピングモータのステップ数を正常時ステップ数Soとして演算する正常時ステップ数演算手段と、正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値が設定された判定値以上であるときに異常検出情報を発生する異常判定手段と、運転状態検出記憶手段により検出された実回転速度Nを目標回転速度Ntに近づけるべくステッピングモータの駆動方向を決定する駆動方向決定手段と、駆動方向決定手段により駆動方向が決定される毎に決定された駆動方向にステッピングモータを駆動すべく該ステッピングモータに駆動パルスを与えるモータ駆動制御手段と、異常検出情報が発生した後、実ステップ数の変動幅ΔSが設定された判定値ε以下であるときに、発生していた脱調が解消している(ステッピングモータが追随している)と判定して運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されているステッピングモータの実ステップ数Sを正常時ステップ数Soに等しくするように修正するステップ数修正手段とを備えている。
【0013】
スロットルバルブを操作するステッピングモータを制御することによりエンジンの回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行う場合、スロットルバルブの開度は、エンジンの回転速度とエンジンの負荷とにより決まる。またステッピングモータの制御が正常に行われた(脱調がない)状態では、スロットルバルブの開度はステッピングモータのステップ数に対応している。従って、ステッピングモータの制御が正常に行われた状態でのステッピングモータのステップ数とエンジンの回転速度とエンジンの負荷との間には一定の関係があり、エンジンの回転速度とエンジンの負荷とがわかれば、上記の関係を利用して、エンジンの回転速度及び負荷に対してステッピングモータの制御が正常に行われた時のステップ数を求めることができる。
【0014】
例えば、ステッピングモータの制御が正常に行われている状態での実測値に基づいて、ステッピングモータのステップ数とエンジンの回転速度とエンジンの負荷の大きさが反映された負荷情報値との間の関係を与えるマップを正常時ステップ数演算用マップとして作成しておいて、エンジンの回転速度とエンジンの負荷情報値とに対してステップ数演算用マップを検索して補間演算を行うことにより、各回転速度及び負荷情報値に対してステッピングモータの正常時のステップ数を求めることができる。
【0015】
本発明においては、運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されている実回転速度、負荷情報値及び実ステップ数のそれぞれの平均値を回転速度平均値Na、負荷情報平均値La及び実ステップ数平均値Saとして演算して、回転速度平均値Na及び負荷情報平均値Laに対してステッピングモータの制御が正常に行われたときのステッピングモータのステップ数を正常時ステップ数Soとして演算する。
【0016】
上記のようにしてステッピングモータの正常時ステップ数Soが求められれば、この正常時ステップ数を運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されている実ステップ数平均値Saと比較することにより、ステッピングモータの脱調が生じているか否かを判定することができる。
【0017】
本発明においては、上記のようにして演算された正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値が設定された判定値以上であるときに異常検出情報を発生する。そして、異常検出情報が発生した場合でも、実ステップ数Sの変動幅が設定された判定値ε以下であるときには、発生していた脱調が解消している(ステッピングモータが追随している)と判定して、運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されているステッピングモータの実ステップ数Sを正常時ステップ数Soに等しくするように修正する。
【0018】
駆動方向決定手段は、運転状態検出記憶手段により検出された実回転速度Nが目標回転速度Ntよりも低いか高いかにより、実回転速度を目標回転速度に近づけるべくステッピングモータの駆動方向(スロットルバルブを開く方向に駆動するか閉じる方向に駆動するか)を決定する。モータ駆動制御手段は、駆動方向決定手段によりステッピングモータの駆動方向が決定される毎に、決定された方向にステッピングモータを駆動すべく該ステッピングモータに駆動パルスを与えてステップ数を1だけ増減させる。駆動方向決定手段による駆動方向の決定及びモータ駆動制御手段によるステッピングモータの駆動はエンジンの回転速度が目標回転速度に一致するまで行われる。
【0019】
上記のように、本発明においては、エンジンの回転速度と負荷の大きさが反映された負荷情報値とからスロットルバルブの開度に対応しているステッピングモータの正常時ステップ数を演算して、演算した正常時ステップ数と実際に検出されたステップ数との差からステップ数が脱調しているか否かを判定するので、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調を検出することができる。
【0020】
また脱調が発生したときに記憶されているステップ数をそのままにしておくと、ステップ数とスロットル開度との対応関係のずれが拡大して制御誤差が大きくなっていくが、本発明のように、脱調の解消が検出されたときに、検出されて記憶されているステッピングモータのステップ数を演算された正常時ステップ数に補正するようにすると、ステップ数とスロットル開度との対応関係のずれを解消することができる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、異常検出情報が発生していないときにステッピングモータの駆動周波数を第1の周波数とし、異常検出情報が発生しているときにはステッピングモータの駆動周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数とする駆動周波数決定手段を更に備えている。このとき駆動方向決定手段は、駆動周波数決定手段により決定された駆動周波数で決まる時間間隔でステッピングモータの駆動方向を決定するように構成される。またモータ駆動制御手段は、駆動方向決定手段が駆動方向を決定する毎にステッピングモータを決定された方向に駆動するようにステッピングモータに駆動パルスを与える。
【0022】
上記のように、ステッピングモータの脱調が検出されて異常検出情報が発生したときに、ステッピングモータの駆動周波数を正常時の駆動周波数よりも低い周波数に切り換えると、ステッピングモータのトルクを増大させることができるため、ステッピングモータのトルク不足により脱調が生じてエンジンの回転速度の制御が正常に行われなくなる異常状態が生じたときに、その異常状態を速やかに解消して制御を正常な状態に回復させることができる。
【0023】
本発明の他の好ましい態様では、駆動方向決定手段に、ステッピングモータの実ステップ数が予め設定された最大スロットル開度に相当する最大ステップ数を超えないように制限する実ステップ数制限手段が設けられる。
【0024】
上記のように、駆動方向決定手段に実ステップ数制限手段を設けると、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調を検出して大きな制御誤差が生じるのを防ぐ制御を行うことができるだけでなく、エンジンの出力が過大になってエンジンが破損するのを防ぐことができる。
【0025】
エンジンの目標回転速度は一定値としてもよいが、汎用性を持たせるためには、目標回転速度を可変設定し得る目標回転速度設定手段を設けて、目標回転速度を自由に設定し得るようにしておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明においては、エンジンの回転速度と負荷の大きさが反映された負荷情報値とからスロットル開度に対応しているステッピングモータの正常時ステップ数を演算するようにしたので、高価なスロットルセンサを用いることなくスロットル開度を検出することができる。
【0027】
また本発明においては、上記のようにして演算した正常時ステップ数と実際に検出されたステップ数との差の絶対値が設定値を超えたときに異常検出情報を発生する異常判定手段を設けて、異常検出情報が発生した場合でも、実ステップ数Sの変動幅ΔSが設定された判定値ε以下であるときには、発生していた脱調が解消している(ステッピングモータが追随している)と判定して、検出されて記憶されているステッピングモータのステップ数を演算された正常時ステップ数に等しい値に補正するので、高価なスロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調によりステップ数とスロットル開度との対応関係のずれが拡大するのを防ぐことができる。
【0028】
また本発明において、異常検出情報が発生したと判定されたときに、ステッピングモータの駆動周波数を正常時の駆動周波数よりも低い周波数に切り換えるように構成した場合には、異常発生時にステッピングモータのトルクを増大させることができるため、ステッピングモータのトルク不足により生じた脱調状態を速やかに解消して、制御を正常な状態に回復させることができる。
【0029】
また本発明において、駆動方向決定手段に実ステップ数制限手段を設けた場合には、スロットルセンサを用いることなく、ステッピングモータの脱調などが生じていない正常時にエンジンの出力が過大になってエンジンが破損するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、エンジン発電機のエンジンの回転を制御する場合を例にとっており、エンジンには発電機が負荷として接続されている。
図1は、制御の対象とするエンジンに設けられるスロットルバルブ1と、このスロットルバルブを操作するアクチュエータ2の構成例を示したものである。図1において3はスロットルボディで、スロットルボディ3に設けられた軸受け部3a及び3bにスロットル軸4が回転自在に支持されている。スロットル軸4のスロットルボディ3内に位置する部分にバタフライバルブ5が取り付けられ、スロットル軸4及びバタフライバルブ5によりスロットルバルブ1が構成されている。
【0031】
アクチュエータ2は、ステッピングモータ6からなっている。ステッピングモータ6は、その回転軸7の軸線をスロットル軸4の軸線に一致させた状態で配置され、ステッピングモータ6の回転軸7がジョイント8を介してスロットル軸4に連結されている。ステッピングモータ6はエンジンに対して固定された図示しないフレームに取り付けられ、ステッピングモータ6の回転によりスロットルバルブ1が操作されて、バタフライバルブ5が全閉位置と全開位置との間を回転させられる。
【0032】
ステッピングモータ6の1ステップ当たりの回転角度(ステップ角)をθsとし、バタフライバルブが全閉位置にあるときに0の値をとり、ステッピングモータが1ステップ回転する毎に値が増加していくステッピングモータのステップ数をSとすると、スロットル開度θthは、θth=θs×Sで与えられる。
【0033】
図2は、本発明に係わるエンジン回転制御装置10の構成例を示したもので、同図において1及び2はそれぞれ図1に示されたスロットルバルブ及びアクチュエータ(ステッピングモータ)、11はエンジン、12はエンジン11により駆動される発電機である。
【0034】
本実施形態に係わるエンジン回転制御装置10は、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段13と、エンジンの負荷状態(負荷の大きさ)が反映された変量を負荷情報値Lとして検出する負荷状態検出手段14と、ステッピングモータのステップ数Sを検出するステップ数検出手段15とを備えている。
【0035】
エンジンには、クランク軸の回転角度位置が所定のクランク角位置に一致する毎にパルス信号を発生する信号発生器が取り付けられている。回転速度検出手段13は、この信号発生器がパルス信号を発生する周期からエンジンの回転速度Nを演算するように構成されている。
【0036】
負荷状態検出手段14は、発電機12から負荷に与えられる電流の大きさを負荷情報値Lとして検出するように構成されている。
【0037】
ステップ数検出手段15は、ステッピングモータを一方向(例えばスロットルバルブを開く方向)に駆動する際及びステッピングモータを他方向(例えばスロットルバルブを閉じる方向)に駆動する際に後記するモータ駆動制御手段21からステッピングモータ6に与えられる駆動パルスを計数して、ステッピングモータを一方向に1ステップ駆動する毎に値が増加し、他方向に1ステップ駆動する毎に値が減少するステッピングモータの実ステップ数Sを検出する。本実施形態では、スロットルバルブのバルブ5が全閉位置にあるときにステップ数Sが0の値をとる。
【0038】
本実施形態のエンジン回転制御装置10はまた、運転状態検出記憶手段16と、平均値演算手段17と、正常時ステップ数演算手段18と、異常判定手段19と、目標回転速度設定手段20と、駆動方向決定手段21と、モータ駆動制御手段22と、ステップ数修正手段23と、駆動周波数決定手段24とを備えている。
【0039】
運転状態検出記憶手段16は、エンジンの運転状態を示す変量を検出して記憶する手段で、本発明においては、この運転状態検出記憶手段16が、回転速度検出手段13により検出されたエンジンの実回転速度Nと、負荷状態検出手段14により検出された負荷情報値L(エンジンの負荷の大きさが反映された変量)と、ステップ数検出手段15により検出されたステッピングモータの実ステップ数Sとを一定時間毎に検出して記憶する。本実施形態では、負荷情報値として、発電機12の負荷電流を用いる。
【0040】
平均値演算手段17は、負荷情報値の変動幅が所定の範囲内にある状態が所定の時間継続しているとき(安定な状態が長く続いているとき)に、設定された時間内に運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されている実回転速度N、負荷情報値L及び実ステップ数Sのそれぞれの平均値である回転速度平均値Na、負荷情報平均値La及び実ステップ数平均値Saを演算する。
【0041】
本実施形態で用いている平均値演算手段17は、負荷情報値Lの変動幅ΔL(前回の検出値と今回の検出値との差)が設定値α以下の状態が、設定された判定時間を超えて継続していることが検出されたときに、予め定めた時間(判定時間以下の時間)の間に検出された実回転速度N、負荷情報値L及び実ステップ数Sの平均値Na,La及びSaを演算する。
【0042】
正常時ステップ数演算手段18は、回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとステップモータの制御が正常に行われたときのステップ数である正常時ステップ数Soとの間に成立する関係を利用して、回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとに対して、正常時ステップ数Soを演算する。
【0043】
スロットルバルブ1を操作するステッピングモータ6を制御することによりエンジンの回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行う場合、スロットルバルブ1の開度は、エンジンの回転速度とエンジンの負荷とにより決まる。またステッピングモータの制御が正常に行われている(脱調がない)状態では、スロットルバルブの開度はステッピングモータのステップ数に対応している。従って、ステッピングモータの制御が正常に行われた状態でのステッピングモータのステップ数Soとエンジンの回転速度とエンジンの負荷との間には一定の関係があり、エンジンの回転速度とエンジンの負荷とがわかれば、上記の関係を利用して、エンジンの回転速度及び負荷に対してステッピングモータの制御が正常に行われた時(正常時)のステップ数を求めることができる。
【0044】
例えば、ステッピングモータの制御が正常に行われている状態での実測値に基づいて、ステッピングモータのステップ数とエンジンの回転速度とエンジンの負荷の大きさが反映された負荷情報値(本実施形態では発電機の負荷電流)との間の関係を与えるマップをステップ数演算用マップとして作成しておいて、エンジンの回転速度とエンジンの負荷情報値とに対してステップ数演算用マップを検索して補間演算を行うことにより、各回転速度及び負荷情報値に対してステッピングモータの正常時のステップ数を求めることができる。
【0045】
本実施形態の正常時ステップ数演算手段18は、回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとに対して上記のステップ数演算用マップを検索して補間演算を行うことにより正常時ステップ数Soを演算する。
【0046】
ステッピングモータによりスロットルバルブを操作してエンジンの回転速度を制御する場合に、制御に何らかの異常が生じた場合には、正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値が大きくなる。従って、正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値を判定値と比較することにより、制御に異常が生じているか否かを判定することができる。本実施形態の異常判定手段19は、正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値が設定された判定値以上であるときに制御に何らかの異常が生じていると判定して、異常検出情報を発生する。
【0047】
正常時ステップ数Soと実ステップ数平均値Saとの間の差が大きくなる異常としては、ステッピングモータの脱調に起因する異常の他に、スロットルバルブの回転軸の凍結やスロットルバルブの可動部へのゴミの噛み込みなどにより、スロットルバルブを回転させることができなくなる異常等が考えられる。
【0048】
目標回転速度設定手段20は、キーボードやデジタルスイッチにより、エンジンの目標回転速度を可変設定し得るように構成される。
【0049】
また駆動方向決定手段21は、運転状態検出記憶手段により検出された実回転速度Nを、目標回転速度設定手段20により設定された目標回転速度Ntに近づけるために必要なステッピングモータの駆動方向を決定するように構成される。即ち、実回転速度が目標回転速度よりも低いときには、スロットルバルブを開く方向にステッピングモータを駆動することを決定し、実回転速度が目標回転速度よりも高いときには、スロットルバルブを閉じる方向にステッピングモータを駆動することを決定する。この駆動方向の決定は、後記する駆動周波数決定手段により決定された駆動周波数fにより決まる駆動周期T(=1/f)に等しい時間間隔で行われる。
【0050】
図示してないが、本実施形態では、駆動方向決定手段21に、ステッピングモータの実ステップ数が予め設定された最大スロットル開度に相当する最大ステップ数を超えないように制限する実ステップ数制限手段が設けられている。この実ステップ数制限手段は、スロットル開度に対応しているステッピングモータのステップ数が設定された最大ステップ数を超えたときに、ステッピングモータの駆動を禁止するように構成される。
【0051】
モータ駆動制御手段22は、駆動方向決定手段21により決定された駆動方向にステッピングモータ6を駆動する手段で、本実施形態のモータ駆動制御手段22は、駆動方向決定手段21により駆動方向が決定される毎に、ステッピングモータ6を1ステップずつ所定の方向に回転させるべく、ステッピングモータ6に駆動パルスを与えるように構成されている。
【0052】
ステップ数修正手段23は、異常判定手段19が異常検出情報を発生しているときに、脱調が解消しているか(ステッピングモータが追随しているか)否かを判定して、脱調が解消していると判定されたときに運転状態検出記憶手段16により検出されて記憶されているステッピングモータの実ステップ数Sを、正常時ステップ数Soに等しくするように修正する。本実施形態では、異常検出情報が発生した後、実ステップ数Sの変動幅(前回検出したステップ数と今回検出したステップ数との差)ΔSが判定値ε以下であるときに、ステッピングモータの脱調が解消していると判定して、運転状態検出記憶手段16に記憶されているステッピングモータの実ステップ数Sを、正常時ステップ数Soに等しくするように修正し、実ステップ数Sの変動幅ΔSが判定値εを超えているときには、脱調以外の異常(回転軸の固着)であるとして実ステップ数の修正は行わない。
【0053】
図示してないが、実ステップ数Sの変動幅ΔSが判定値εを超えていると判定され、発生している異常が脱調以外の異常であると判定されたときには、LEDなどの発光表示手段またはブザーなどを動作させて、その異常を表示させるようになっている。
【0054】
駆動周波数決定手段24は、異常検出情報が発生していないときにステッピングモータ6の駆動周波数を第1の周波数とし、異常検出情報が発生しているときに、ステッピングモータの駆動周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数とするように、異常検出情報の有無に応じて駆動周波数を決定する手段である。モータ駆動制御手段22は、駆動方向決定手段21が駆動方向を決定する毎に、決定された駆動方向にステッピングモータを1ステップ駆動するために必要な数の駆動パルスを、駆動周波数決定手段24により決定された駆動周波数でステッピングモータに与える。
【0055】
このように、異常が検出されたときにステッピングモータの駆動周波数を低い周波数に切り換えるようにすると、モータのトルクを増大させることができるので、モータを駆動パルスに容易に追従させて、ステッピングモータの脱調状態を速やかに解消することができる。
【0056】
図2に示された各手段は、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより構成される。図2のエンジン回転制御装置を構成する手段を実現するためにマイクロプロセッサに実行させる処理のアルゴリズムを示すフローチャートを図3及び図4に示した。
【0057】
図3はスロットル開度修正処理を行うか否かの判定を行う判定処理のアルゴリズムを示したもので、この処理は、一定の時間間隔で繰り返し実行される。図3の処理が開始されると、ステップ101で、少なくともエンジンの回転速度Nと、エンジンの負荷の大きさが反映された負荷情報値Lと、ステッピングモータの実ステップ数Sとを、エンジンの運転状態を示すパラメータとして検出する。
【0058】
実ステップ数Sの検出は、例えばスロットルバルブが全閉状態にあるときにステップ数を記憶する記憶装置の記憶内容を0として、スロットルバルブを開く方向及び閉じる方向にステッピングモータを回転させるべく、ステッピングモータに駆動パルスを与える毎に、ステップ数の記憶内容を増減させることにより行う。
【0059】
ステップ101でエンジンの運転状態を示すパラメータを検出した後、ステップ102で前回検出された負荷情報値と今回検出された負荷情報値との差を負荷変動値ΔLとして演算し、この負荷変動値ΔLの大きさ(絶対値)が判定値α以下であるか否かを判定する。その結果、負荷変動値ΔLの大きさが判定値α以下であるときには、負荷の変動が無く安定しているとして、ステップ103に進んで安定状態継続カウンタの計数値(安定継続時間)Tdecをインクリメントし、ステップ104で安定継続時間Tdecを安定継続時間判定値βと比較する。その結果安定継続時間Tdecが判定値β以上である(安定状態が長く続いている)と判定されたときに、ステップ105に進んで予め定めた一定の時間内に検出されて記憶されている回転速度N、負荷情報値L及び実ステップ数Sのそれぞれの平均値Na,La及びSaを演算する。次いでステップ106でステップ数修正開始許可フラグSTFを1にセットし、ステップ107で安定継続時間Tdecをデクリメントしてこの処理を終了する。
【0060】
ステップ102で負荷変動値ΔLの大きさが判定値αを超えていると判定されたとき(負荷の状態が不安定なとき)にはステップ108に進んで安定継続時間Tdecを0とし、ステップ109でステップ数修正開始許可フラグSTFを0にクリアしてこの処理を終わる。またステップ104で安定継続時間Tdecが判定値β未満であると判定されたとき(負荷が安定な状態が長い時間継続していないとき)にもステップ109に移行し、ステップ数修正開始許可フラグSTFを0にクリアしてこの処理を終わる。
【0061】
図4は異常検出処理のアルゴリズムを示したもので、この処理も、一定の時間間隔で繰り返し実行される。図4の処理が開始されると、先ずステップ201でステップ数修正開始許可フラグSTFが1であるか否かを判定する。その結果ステップ数修正開始許可フラグSTFが1である場合(ステップ数の修正処理が許可されているとき)には、ステップ202で回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとに対して正常時ステップ数演算用マップを検索して補間演算を行うことにより、正常時ステップ数Soを演算し、ステップ203でステップ数平均値Saと正常時ステップ数Soとの差の絶対値が異常判定値γ以下であるか否かを判定する。その結果、ステップ数平均値Saと正常時ステップ数Soとの差の絶対値が異常判定値γ以下であると判定されたときには、ステップ204に進んで異常判定カウンタの計数値(異常継続時間)Tfaultをクリアした後、ステップ205に進む。
【0062】
ステップ205では、正常判定カウンタの計数値(正常継続時間)Ttrueが正常判定値Tr以上であるか否かを判定する。この判定の結果、正常判定時間Ttrueが判定値Tr以上であると判定された場合にはステップ206に進んで異常発生フラグNGFを0としてこの処理を終了する。
【0063】
図5は、ステッピングモータの駆動処理のアルゴリズムを示したものである。この処理は、ステッピングモータの駆動周波数により決まる時間(駆動周期)に等しい時間間隔で繰り返し実行される。図5の処理においては、ステップ301でステッピングモータの駆動周波数を決定するための処理を行わせる。ステップ301の処理では、異常判定フラグNGFが0のときに駆動周波数を第1の周波数とし、異常判定フラグNGFが1であるときに駆動周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数とする。
【0064】
ステップ301でステッピングモータの駆動周波数を決定した後、ステップ302でステッピングモータの駆動方向を決定するための処理を行わせる。ステップ302の処理では、先ず異常判定フラグNGFが0であるか否かを判定して、NGFが0であるときにステッピングモータの実ステップ数が予め設定された最大スロットル開度に相当する最大ステップ数を超えているか否かを判定する。その結果、実ステップ数が最大ステップ数を超えている場合にはステッピングモータの駆動を禁止するとともに、発光表示手段やブザーなどからなる警報発生手段を動作させてエンジンが過出力状態にあることの警報を発生させる。異常判定フラグNGFが0でない場合、及び異常判定フラグNGFが0であっても実ステップ数が最大ステップ数を超えていない場合には、目標回転速度と実回転速度との関係に応じて、実回転速度を目標回転速度に一致させるために必要なステッピングモータの回転方向を決定する。ステップ302の処理を終了した後、図5の処理を終了する。
【0065】
図4の処理のステップ201でステップ数修正開始許可フラグSTFが1でないと判定されたときには、この処理を終了する。
【0066】
また図4の処理のステップ205で正常判定時間Ttrueが判定値Tr未満であると判定されたときには、ステップ209で正常継続時間Ttrueをインクリメントした後、この処理を終了する。
【0067】
図4の処理のステップ203において、正常時ステップ数Soとステップ数平均値Saとの差の絶対値が異常判定値γを超えていると判定されたときには、ステップ210に進んで正常判定時間Ttrueを0とし、ステップ211で異常判定カウンタの計数値(異常継続時間)Tfaultが異常判定値Tir以上であるか否かを判定する。その結果、異常継続時間Tfaultが異常判定値Tir未満であると判定されたときには、ステップ212に移行して異常継続時間Tfaultをインクリメントし、ステップ213で異常発生フラグNGFを1としてこの処理を終了する。
【0068】
図4の処理のステップ211で異常継続時間Tfaultが設定値Tir以上であると判定されたときには、ステップ214に進み、図3の処理のステップ101で前回検出された実ステップ数Sと今回検出された実ステップ数Sとの差を実ステップ数Sの変動幅ΔSとして、この変動幅ΔSが脱調判定値ε以下であるか否かを判定する。
【0069】
発生した異常がステッピングモータの脱調によるものである場合には、ステップ207でステッピングモータの駆動周波数を低く切り換えることにより、脱調を解消することができ、ステップ数の増減に応じてスロットルバルブを開閉できるため、ステップ203での異常発生判定からの経過時間Tfaultが設定値Tir以上になったときに検出される回転速度は目標回転速度付近になっている。そのため、発生した異常がステッピングモータの脱調によるものである場合には、実ステップ数の変動幅ΔSが大きくなることはない。これに対し、ステップ203で発生したと判定された異常がステッピングモータの脱調以外の異常(例えばスロットルバルブの回転軸の凍結などによる固着)である場合には、ステップ数を増減させてもスロットル開度は一定のままであるので、検出される回転速度は目標回転速度に近づかず、実ステップ数Sはスロットル開度を増大させる方向または減少させる方向に変化し続ける。このように、発生した異常がステッピングモータの脱調以外の異常である場合には、実ステップ数の変動幅ΔSが増加していくので、この変動幅ΔSを脱調判定値εと比較することにより、発生した異常がステッピングモータの脱調によるものであって、脱調が解消されているか否かを判定することができる。
【0070】
ステップ214での判定の結果、実ステップ数Sの変動幅ΔSが判定値ε以下である場合(発生していたステッピングモータの脱調が解消されているとき)には、ステップ215に進んで、図3の処理のステップ101で検出されて記憶されている実ステップ数Sを正常時ステップ数Soに等しくするように修正した後、ステップ206に移行する。このときステップ206では、異常フラグNGFをクリアする(NGF=0とする)。
【0071】
図3、図4及び図5に示したアルゴリズムによる場合には、図3の処理のステップ101により運転状態検出記憶手段16が構成され、ステップ105により平均値演算手段17が構成される。また図4の処理のステップ202により正常時ステップ数演算手段18が構成され、ステップ203により異常判定手段が、図5の処理のステップ302により駆動方向決定手段21が、ステップ301により駆動周波数決定手段24がそれぞれ構成される。更に図4のステップ211,214及びステップ215によりステップ数修正手段23が構成され、これらのステップのうち、ステップ211及び214により、発生した異常がステッピングモータの脱調によるものであるか否かを判定する脱調判定手段が構成されている。
【0072】
またステップ301により決定された駆動周波数で、ステップ302でステッピングモータの駆動方向が決定される毎に、ステップ数を+1または−1するように、ステッピングモータ6に駆動パルスを与える処理を行う過程により、モータ駆動制御手段22が構成される。
【0073】
上記の実施形態においては、異常検出情報が発生していないときにステッピングモータ6の駆動周波数を第1の周波数とし、異常検出情報が発生しているときにはステッピングモータの駆動周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数とする駆動周波数決定手段24を設けているが、この駆動周波数決定手段24は省略しても良い。
【0074】
上記の実施形態では、エンジンの負荷が発電機であるとしたが、発電機以外のものを負荷とするエンジンにも本発明を適用することができるのはもちろんである。発電機以外の負荷を用いる場合、エンジンの負荷の大きさが反映された負荷情報値としては、例えば、エンジンの負荷の増減に伴って増減するエンジンの吸入空気量が反映されたエンジンの吸気管内圧力の平均値を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態で制御の対象とするエンジンに設けられるスロットルバルブと、このスロットルバルブを操作するアクチュエータの構成例を示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係わるエンジン回転制御装置の構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示した制御装置を構成する各手段を実現するためにマイクロプロセッサに実行させる処理のうち、スロットル開度修正処理を実行するか否かを判定する処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図4】図2に示した制御装置を構成する各手段を実現するためにマイクロプロセッサに実行させる処理のうち、制御装置の異常検出処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図5】図2に示した制御装置を構成する各手段を実現するためにマイクロプロセッサに実行させる処理のうち、スロットル開度制御処理のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 スロットルバルブ
2 アクチュエータ
3 スロットルボディ
5 バタフライバルブ
6 ステッピングモータ
10 エンジン回転制御装置
11 エンジン
12 発電機(負荷)
16 運転状態検出記憶手段
17 平均値演算手段
18 正常時ステップ数演算手段
19 異常判定手段
20 目標回転速度設定手段
21 駆動方向決定手段
22 モータ駆動制御手段
23 ステップ数修正手段
24 駆動周波数決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータを駆動源としてエンジンのスロットルバルブを操作するアクチュエータを備え、エンジンの実回転速度Nと目標回転速度Ntとの間の関係に応じて前記ステッピングモータを一方向または他方向に回転させることにより前記エンジンの回転速度を目標回転速度に一致させるように制御するエンジン回転制御装置において、
前記エンジンの実回転速度Nと、前記エンジンの負荷の大きさが反映された変量からなる負荷情報値Lと、前記ステッピングモータを一方向に1ステップ駆動する毎に値が増加し、他方向に1ステップ駆動する毎に値が減少する前記ステッピングモータの実ステップ数Sとを検出して記憶する運転状態検出記憶手段と、
前記運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されている実回転速度、負荷情報値及び実ステップ数のそれぞれの平均値である回転速度平均値Na、負荷情報平均値La及び実ステップ数平均値Saを演算する平均値演算手段と、
前記回転速度平均値Naと負荷情報平均値Laとから前記ステッピングモータの制御が正常に行われたときの前記ステッピングモータのステップ数を正常時ステップ数Soとして演算する正常時ステップ数演算手段と、
前記正常時ステップ数Soと前記実ステップ数平均値Saとの間の差の絶対値が設定された判定値以上であるときに異常検出情報を発生する異常判定手段と、
前記運転状態検出記憶手段により検出された実回転速度Nを目標回転速度Ntに近づけるべく前記ステッピングモータの駆動方向を決定する駆動方向決定手段と、
前記駆動方向決定手段により駆動方向が決定される毎に決定された駆動方向に前記ステッピングモータを駆動すべく、前記ステッピングモータに駆動パルスを与えるモータ駆動制御手段と、
前記異常検出情報が発生した後、前記実ステップ数Sの変動幅ΔSが設定された判定値ε以下であるときに、発生していた前記ステッピングモータの脱調が解消していると判定して前記運転状態検出記憶手段により検出されて記憶されているステッピングモータの実ステップ数Sを前記正常時ステップ数Soに等しくするように修正するステップ数修正手段と、
を具備してなるエンジン回転制御装置。
【請求項2】
前記異常検出情報が発生していないときには前記ステッピングモータの駆動周波数を第1の周波数とし、前記異常検出情報が発生しているときには前記ステッピングモータの駆動周波数を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数とする駆動周波数決定手段を更に備え、
前記駆動方向決定手段は、前記駆動周波数決定手段により決定された駆動周波数で決まる時間間隔で前記ステッピングモータの駆動方向を決定するように構成され、
前記モータ駆動制御手段は、前記駆動方向決定手段が駆動方向を決定する毎に前記ステッピングモータを決定された方向に駆動するように前記ステッピングモータに駆動パルスを与えることを特徴とする請求項1に記載のエンジン回転制御装置。
【請求項3】
前記駆動方向決定手段は、前記ステッピングモータの実ステップ数が予め設定された最大スロットル開度に相当する最大ステップ数を超えないように制限する実ステップ数制限手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン回転制御装置。
【請求項4】
前記目標回転速度を可変設定し得る目標回転速度設定手段を備えている請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエンジン回転制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−75469(P2008−75469A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252929(P2006−252929)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】