説明

エンボス加工された素材を組み込んだ衣料品

エンボス加工された素材、およびエンボス加工された素材を組み込んだ衣料品が開示される。エンボス加工された素材は、複数の伸張領域、および少なくとも一つの圧縮領域を定義するテクスチャード加工面を含む。伸張領域は、例えば細長いかまたは楕円形の構造を有し得、かつ圧縮領域は各伸張領域周辺に伸張し得る。衣料品に組み込まれる場合、衣料品の内面の少なくとも一部を形成するために、テクスチャード加工面は内側に向き得る。したがって、伸張領域は、衣料品を着用している個体に接触するように配置され得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は衣料品の素材に関する。本発明は、より詳細には、衣料品における使用に適したエンボス加工された素材に関する。本発明は、例えば、競技活動中の使用を意図した衣料品に適用される。
【背景技術】
【0002】
背景技術の記載
競技活動中の使用のために設計される衣料品は、一般的に個体の性能または快適性を向上する特性を示す。例えば、衣類は比較的タイトフィットを提供する弾性素材を組み込み得、それによって風圧抵抗を最小化するより低いプロファイルを個体に与える。衣類はまた、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させるために、個体から湿気を逃がす素材からも形成され得る。さらに、衣類は、特定の環境条件に対して特異的に選択される素材を組み込み得る。したがって、競技活動のために衣料品に組み込まれる素材は、個体の性能または快適性を向上させるために特に選択され得る。
【0003】
衣料品に組み込まれる素材の特性は、その衣料品の使用が意図される特定の活動に基づいて一般的に選択される。風圧抵抗を最小化する素材は、例えば、速度が第一の関心事である活動に適し得る。同様に、皮膚に隣接して累積する汗の量を減少させる素材は、比較的高い程度の激しい運動と一般的に関連する競技活動に最も適切であり得る。したがって、素材は、特定の競技活動に従事する個体の性能または快適性を向上するために選択され得る。
【0004】
織物は、衣料品のための共通に利用される素材の種類である。織物は、柔軟性、細かさ、および厚さに対する長さの高い割合によって特徴付けられる繊維、微細繊維、または糸由来の任意の製造品として定義され得る。織物は、一般的に二つのカテゴリーに分類される。第一のカテゴリーは、非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される織物を含む。第二のカテゴリーは、それによって織布を生産する、糸の力学的な操作を介して形成される織物を含む。
【0005】
糸は、第二のカテゴリーにおける織物を形成するために利用される原料であり、かつ少なくとも一つの微細繊維または複数の繊維から形成される、実質的な長さおよび比較的小さい横断面を有する組立体として定義され得る。繊維は、比較的短い長さを有し、かつ織物における使用に適した長さの糸を生産するために、紡績またはツイスト加工を必要とする。繊維の共通の例は、綿およびウールである。微細繊維は、しかしながら、不確定な長さを有し、かつ織物における使用に適した糸を生産するために、他の微細繊維と単に組み合わせられるだけであり得る。現代の微細繊維は、主要な天然の例外である絹と共に、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリルのような複数の合成素材を含む。糸は、単一微細繊維、または複数のまとめられた個別の微細繊維から形成され得る。糸は異なる素材から形成される別々の微細繊維もまた含み得、または糸は2つもしくはそれ以上の異なる素材からそれぞれ形成される微細繊維を含み得る。同様の概念は、繊維から形成される糸にもまた適用される。したがって、糸は、上記で提供された定義に一般に合致する様々な構造を有し得る。
【0006】
糸を織物へと機械的に操作するための様々な技術は、織合わせ、絡み合わせおよびツイスト、ならびにインタールーピングを含む。織合わせは、交わりかつ実質的に互いに直角に織合わさる二本の糸の交差である。織合わせにおいて利用される糸は、従来、縦糸および横糸と呼ばれる。絡み合わせおよびツイストは、織物を形成するために糸が互いに絡み合う、組みひもおよび結び目のような手法を包含する。インタールーピングは、インタールーピングの最も一般的な方法である編むことにより、互いに噛み合わされたループの複数のカラムの形成を含む。
【0007】
織物が形成される様式、および織物に組み込まれる特定の糸は、競技活動のための衣料品に用いられる織物の特性および織物の適合性に影響を及ぼす。密織りは、例えば、汗の除去を可能にするのに十分透過性ではあり得ない。密織りは、しかしながら、風または降水を遮断するのに十分であり得る。したがって、特定の織物の適合性は、特定の活動、および活動と関連する環境条件に関する様々な因子に依存する。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の一つの局面は、織物のような二次元の素材から形成されるエンボス加工された素材である。エンボス加工された素材は、第一の表面および反対の第二の表面を有し得る。第二の表面は、突起を形成する複数の伸張領域を定義し得る。さらに、第二の表面は、窪みを形成する少なくとも一つの圧縮領域を定義し得る。圧縮領域は、伸張領域周辺に伸張し得る。さらに、伸張領域は、細長いかまたは楕円形の構造を示し得る。
【0009】
本発明の他の局面は、エンボス加工された素材を含む衣料品である。衣料品の内面の少なくとも一部を形成するために、伸張領域が内側に向くよう、エンボス加工された素材は衣料品に組み込まれ得る。この構造において、伸張領域は衣料品を着用する個体に接触するよう配置され、かつエンボス加工された素材は、個体と圧縮領域の間の空間を形成し得る。
【0010】
本発明を新規に特徴付ける利点および特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている。しかしながら、新規性の利点および特徴の理解を向上させるために、本発明に関する様々な態様および概念を説明し図示する以下の説明事項ならびに添付の図面を参照することができる。
【0011】
上記の発明の概要および以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と関連して読まれる場合、よりよく理解されるであろう。
【0012】
発明の詳細な説明
以下の考察および添付の図面は、本発明に従って、エンボス加工された素材20から少なくとも部分的に形成される衣料品10を開示する。衣料品10は、エンボス加工された素材20を除いては、従来のジャケットの一般的な構造を有するものとして図1において表される。当業者は、しかしながら、エンボス加工された素材20が、例えば長袖および半袖のシャツ、帽子、コート、パンツ、下着、手袋、ソックスならびにフットウェアを含む、様々な異なる構造を示す複数の衣料品に組み込まれ得ることを認識する。したがって、衣料品10に関する以下の考察および添付の図面において開示される様々な概念は、ジャケットに加えて様々な衣類構造と関連して利用され得る。
【0013】
衣料品10は、胴部分11、ならびに2つの腕部分12aおよび12bを含む。胴部分11は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分12aおよび12bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。ジッパー13は、個体が衣料品10にアクセスするのを可能にするように、胴部分11を介して垂直に伸張する。さらに、ジッパー13は、衣料品10の熱的特性を調節するための構造を個体に提供する。すなわち、ジッパー13は、空気の流動を促進し、かつ熱を放出するために開かれてもよく、または空気の流動を制限するために閉じられてもよい。衣料品10は、したがって、従来のジャケットの一般的な構造を示す。従来のジャケットと対照的に、しかしながら、衣料品10は、エンボス加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。
【0014】
エンボス加工された素材20の主要部材は、図2および3で図示するように、複数の伸張領域21、および複数の圧縮領域22である。エンボス加工された素材20は、例えば、第一の表面23aおよび反対の第二の表面23bを有する織物またはポリマーシートであり得る。伸張領域21は、エンボス加工された素材20において、第一の表面23aに関して垂直であるかまたはそれ以外は実質的に直角配向を示す突起を形成する。対応して、圧縮領域22は、エンボス加工された素材20において窪みを形成する。したがって、エンボス加工された素材20は、伸張領域21および圧縮領域22のため、第二の表面23bがテクスチャード加工の構造を示す形状を有する。
【0015】
エンボス加工された素材20は、第一の表面24aが外側を向き、かつ第二の表面24bが内側を向くように、衣料品10に組み込まれる。すなわち、伸張領域21および圧縮領域22は、衣料品10の内面を形成するために、衣料品10内に配置される。この点において、伸張領域21は、参照番号14によって図4中に示される、個体に接する領域を形成する。エンボス加工された素材を組み込んだ多くの従来の衣料品において、エンボス加工された素材のエンボス加工された表面は、従来の衣料品に美的な質を提供するために外側を向く。衣料品10において、しかしながら、伸張領域21および圧縮領域22(すなわち第二の表面23b)は、個体の性能および快適性を向上するために内側を向く。より詳細には、伸張領域21は個体と接触し、かつ圧縮領域22はエンボス加工された素材20と個体の間の様々な空間24を形成する。空間24は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間24は、熱を保持し、かつエンボス加工された素材20がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、エンボス加工された素材20は、伸張領域21が個体と接触するために内側を向き、圧縮領域22もまた内側を向きかつ空間24を形成し、第一の表面23は、個体から外側を向き、および第二の表面23bは、個体に隣接して一般的に配置されるよう、衣料品10に組み込まれる。
【0016】
エンボス加工された素材20は、一般的に二次元の素材から形成される。本発明に関して利用されるように、用語「二次元の素材」は、厚さより実質的に大きい長さおよび幅を示す様々な素材を包含することが意図される。したがって、エンボス加工された素材20に適した素材は、例えば様々な織物およびポリマーシートを含む。上記の発明の背景セクションにおいて述べられるように、織物は、例えば(a)非織布およびフェルトを構成するために、結合、融合、または絡み合いによって繊維の網から直接生産される、または(b)織布を生産するために、糸の力学的な操作を介して形成されるかのいずれかである、繊維、微細繊維、または糸から一般的に製造される。ポリマーシートは、圧出、圧延され、またはそれ以外は高分子物質から形成され、一般的に平坦な様相を示し得る。織物およびポリマーシートに加え、エンボス加工された素材20は、革および合成スエードのような他の二次元の素材から形成され得る。
【0017】
例えば綿、レーヨン、ウール、およびナイロンのような素材を含む、様々な素材がエンボス加工された素材20に適している。織物として形成される場合、エンボス加工された素材20の特性は、エンボス加工された素材20を形成する糸の素材に主に依存する。綿は、例えば、柔らかい手触り、自然な美しさ、および生分解性を提供する。レーヨンは、高い光沢、および吸湿性を提供する。ウールは、絶縁性に加えて高い吸湿性もまた提供する。ナイロンは、高い強度を有する耐久性および耐摩耗性素材である。伸縮性および回復性を提供するために、エラステン繊維は、エンボス加工された素材20に組み込まれ得る。エラステン繊維は、E.I. duPont de Nemours CompanyからLYCRA商標下で入手可能である。そのような繊維は、繊維がナイロンシースによって取り囲まれるエラステンコアを含む、被覆エラステンの構造を有し得る。伸縮性を示す他の繊維または微細繊維もまた利用され得る。伸縮性または非伸縮性のいずれにせよ、複数のその他の素材は、エンボス加工された素材20にもまた適している。したがって、エンボス加工された素材20のために選択される素材は、衣料品10の特性に寄与する。
【0018】
上記の素材に加えて、エンボス加工された素材20は、任意の従来のフリース素材から形成され得る。いくつかの態様において、エンボス加工された素材20は、テクスチャード加工されかつ半分光沢のないポリエステル糸を組み込み得る。ポリエステルは、比較的高い耐久性もまた提供する疎水性の素材である。例として、表側および背側は、150デニールおよび糸当たり96微細繊維を有するポリエステル糸から形成され得、かつ結合部は、75デニールおよび糸当たり36微細繊維を有するポリエステル糸から形成され得る。表側および背側が、100デニールおよび糸当たり144微細繊維を有するポリエステル糸を含み、かつ結合部が、150デニールおよび糸当たり48微細繊維を有するポリエステル糸から形成され得るように、エンボス加工された素材20の比較的重い重量のバージョンが形成され得る。別の態様において、表側および背側が、100デニールおよび糸当たり144微細繊維を有するポリエステル糸を含み、かつ結合部が、100デニールおよび糸当たり36微細繊維を有するポリエステル糸から形成され得るように、エンボス加工された素材20が形成され得る。したがって、エンボス加工された素材20は、様々な糸の組み合わせおよび構造から形成され得る。
【0019】
衣料品10は、例えば、ジャケットの構造を形成するために、縫い目によってつなぎ合わされる複数の個々の部材から形成される。すなわち、エンボス加工された素材20の複数の部材は、胴部分11、ならびに腕部分12aおよび12bを形成するためにつなぎ合わされ得る。個々の部材の各々は、エンボス加工された素材20から形成され得る。代替として、部材の1つまたは複数は、異なる素材から形成され得る。例えば、胴部分11を形成する部材は、エンボス加工された素材20から形成され得、一方腕部分12aおよび12bを形成する部材は異なる二次元の素材から形成され得る。別の代替として、衣料品10を形成する各々の部材はエンボス加工された素材20から形成され得るが、エンボス加工された素材20の各部材を形成する特定の糸は異なり得る。したがって、エンボス加工された素材20が衣料品10に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。
【0020】
図2に関して、伸張領域21は、突起周辺に全体的に伸張している圧縮領域22と共に、第二の表面23b上に複数の細長い突起を規定する。伸張領域21および圧縮領域22の寸法ならびに形状は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。図示するように、伸張領域21は、楕円形の形状であり、かつ長さ寸法の約3分の2である幅寸法を有する。したがって、約4ミリメートルの幅については、各伸張領域21の長さは、約6ミリメートルであり得る。圧縮領域22を形成する第二の表面23bの部分から、伸張領域21を形成する第二の表面23bの部分への距離である高さについては、長さ6ミリメートルおよび幅4ミリメートルを有する伸張領域21に適した高さは、2ミリメートルである。伸張領域21および圧縮領域22についての様々な寸法の検査に続いて、これらの寸法は、特に衣類への適用に適したドレープ特性を提供するために見出された。 しかしながら、当業者は、上記の寸法に加えて、伸張領域21および圧縮領域22が様々な寸法を示し得ることを認識するであろう。
【0021】
伸張領域21および圧縮領域22の寸法は、エンボス加工された素材20の特性に対して影響を及ぼす。以下に詳述するように、伸張領域21の通気性は、圧縮領域22の通気性より一般に大きい。したがって、圧縮領域22に対する伸張領域21の面積比における改変は、エンボス加工された素材20の全体的な通気性を制御するために利用され得る。伸張領域21の寸法は、エンボス加工された素材20のドレープ特性に対してもまた影響を及ぼす。様々な伸張領域21が、15ミリメートル未満である長さ、および5ミリメートル未満の高さを示す場合、エンボス加工された素材20のドレープ特性が一般的に適している。これらの寸法は、しかしながら、エンボス加工された素材20の厚さ、エンボス加工された素材20を形成する素材、および様々な他の因子によって、異なり得る。
【0022】
上記のように、伸張領域21は、楕円形の形状を示し得る。伸張領域21および圧縮領域22の特定の構造は、著しく、しかしながら、図5A〜5Hにおいて表されるように異なり得る。伸張領域21は、例えばそれぞれ図5A〜5Dにおいて表されるように、円形、正方形、三角形、または六角形の形状を形成し得る。伸張領域22は、それぞれ図5Eおよび5Fにおいて表されるように、エンボス加工された素材20の上で直線または湾曲した線もまた形成し得る。いくつかの態様において、それぞれ図5Gおよび5Hにおいて表されるように、圧縮領域22は楕円形または円形の形状を有するエンボス加工された素材20の別々の領域を形成し得る。いくつかの他の態様において、第二の表面23b上に明瞭なパターンが形成されないように、伸張領域21および圧縮領域22は、ランダムに配置されることさえあり得る。したがって、エンボス加工された素材20上の伸張領域21および圧縮領域22のパターンは、本発明の範囲内で著しく異なり得、かつエンボス加工された素材20上の伸張領域21および圧縮領域22のパターンは、図5A〜5Hにおいて具体的には表されない様々な構造を含み得る。
【0023】
伸張領域21は、隣接する列が互いにオフセットであるように配置される。すなわち、縦列および横列構造で配置されないものとして、様々な伸張領域21は表される。エンボス加工された素材20、伸張領域21の形状、および様々な他の因子において利用される特定の素材に依存して、伸張領域21のオフセット構造は、向上されたドレープ特性を与え得る。したがって、伸張領域21のパターンは、エンボス加工された素材20の全体的なドレープ特性に対して影響を及ぼす。
【0024】
エンボス加工された素材20は、一般的に従来のプロセスによって形成され得る。例えば、製造過程は、エンボス加工された素材20の形状を協同して形成する、はめ込み形ローラーの一方または両方を加熱する段階を最初に含み得る。エンボス加工された素材20の形状が二次元の素材に形成されるように、二次元の素材は次いでローラー間で伸張する。すなわち、圧縮領域22を形成するために、ローラーは二次元の素材の部分を圧縮し、および伸張部分21を形成するために、ローラーは他の部分を圧縮しない。一般的に、エンボス加工された素材20に適した素材は、熱可塑性素材を組み込んだ糸から形成され得る。したがって、二次元の素材において、ローラーからの熱は耐久性圧痕(すなわち圧縮領域22)を形成し、それによってエンボス加工された素材20を形成する。エンボス加工された素材20は次いで、伸張領域21および圧縮領域22が内側を向き、空間24を形成し、かつ個体に隣接して配置されるように、衣料品10に組み込まれる。
【0025】
図6に関して、他の衣料品30が開示される。衣料品30は、半袖シャツの構造を有し、かつ胴部分31、ならびに2つの腕部分32aおよび32bを含む。胴部分31は個体の胴と一致し、したがって着用される場合、その胴を覆う。同様に、腕部分32aおよび32bは、それぞれ個体の右腕および左腕と一致し、かつ着用される場合その腕を覆う。衣料品30は、したがって、従来の半袖シャツの一般的な構造を示す。従来の半袖シャツと対照的に、しかしながら、衣料品30は、エンボス加工された素材20から少なくとも部分的に形成される。したがって、エンボス加工された素材20は、第一の表面23aが外側を向き、かつ第二の表面23bが内側を向くように、衣料品30に組み込まれる。すなわち、伸張領域21および圧縮領域22は、個体と接触しかつエンボス加工された素材20と個体の間に空間を形成するために、衣料品30内に配置される。
【0026】
別の衣料品40は、パンツの構造を有するものとして図7において表される。衣料品40は、骨盤部分41、ならびに一対の脚部分42aおよび42bを含む。衣料品10および30のように、衣料品40は、第一の表面23aが外側を向き、かつ第二の表面23bが内側を向くように、エンボス加工された素材20を組み込む。すなわち、伸張領域21および圧縮領域22は、個体と接触しかつエンボス加工された素材20と個体の間に空間を形成するために、衣料品40内に配置される。
【0027】
上記説明に基づいて、エンボス加工された素材20は、様々な衣料品に組み込まれ得る。エンボス加工された素材20が衣料品に組み込まれる様式は、本発明の範囲内で著しく異なり得る。いくつかの態様において、伸張領域21は、個体と接触するよう配置される。すなわち、エンボス加工された素材20のエンボス加工された部分は内側を向く。本構造は、様々な利点を提供する。例えば、伸張領域21は個体と接触し、かつエンボス加工された素材20と個体の間の空間24を形成する。空間24は、空気の移動を容易にし、それによって汗の除去を促進することで、性能を向上し得る。空間24は、熱を保持し、かつエンボス加工された素材20がくっつかないか、またはそれ以外は著しく個体と接触しないことを確実にすることによって、快適性もまた向上させ得る。したがって、エンボス加工された素材20は、伸張領域21が個体と接触するために内側を向き、圧縮領域22もまた内側を向きかつ空間24を形成し、第一の表面23は、個体から外側を向き、および第二の表面23bは、個体に隣接して一般的に配置されるよう、様々な衣料品に組み込まれ得る。
【0028】
本発明は、様々な態様を参照して、上記でおよび添付の図面に開示されている。しかしながら、本開示によって満たされる目的とは、本発明に関する様々な特徴および概念の一例を提供することであり、本発明の範囲を制限することではない。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の態様に多数の変形および改変を施せることが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の素材を組み込んだ衣料品の斜視図である。
【図2】素材の一部の平面図である。
【図3】図2で区分線3-3によって定義された、素材の断面図である。
【図4】図3に対応する素材の他の断面図であり、かつ個体と接触するように織物を図示する。
【図5】図5A〜5Hは、素材に対する様々なさらなる構造を表す平面図である。
【図6】素材を組み込んだ他の衣料品の正面の平面図である。
【図7】素材を組み込んださらに他の衣料品の正面の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料品の内面の少なくとも一部を形成するために、テクスチャード加工側が内側に向くように、エンボス加工された素材が衣料品に組み込まれる、テクスチャード加工側を有するエンボス加工された素材を含む衣料品。
【請求項2】
テクスチャード加工側が、複数の伸張領域、および少なくとも一つの圧縮領域を含む、請求項1記載の衣料品。
【請求項3】
伸張領域が衣料品を着用する個体に接触するよう配置され、かつ個体と少なくとも一つの圧縮領域の間の空間を形成する、請求項2記載の衣料品。
【請求項4】
伸張領域が細長い構造を有する、請求項2記載の衣料品。
【請求項5】
伸張領域が楕円形の構造を有する、請求項2記載の衣料品。
【請求項6】
伸張領域が、約6ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅、および約2ミリメートルの高さを有する、請求項2記載の衣料品。
【請求項7】
伸張領域が、15ミリメートル未満である長さを有する、請求項2記載の衣料品。
【請求項8】
伸張領域が、5ミリメートル未満である高さを有する、請求項7記載の衣料品。
【請求項9】
伸張領域の幅が、長さの3分の2である、請求項7記載の衣料品。
【請求項10】
テクスチャード加工側が、衣料品を着用する個体に接触するよう配置される、請求項1記載の衣料品。
【請求項11】
以下を含む衣料品であって:
二次元の素材から形成されるエンボス加工された素材、第一の表面および反対の第二の表面を有するエンボス加工された素材;
第二の表面上に突起を形成する複数の伸張領域;ならびに
第二の表面において窪みを形成する少なくとも一つの圧縮領域、
ここで、伸張領域が衣料品の内面の少なくとも一部を形成するために内側を向くように、エンボス加工された素材が衣料品に組み込まれる、衣料品。
【請求項12】
エンボス加工された素材が織物である、請求項11記載の衣料品。
【請求項13】
伸張領域が、衣料品を着用する個体に接触するよう配置される、請求項11記載の衣料品。
【請求項14】
エンボス加工された素材が、個体と少なくとも一つの圧縮領域の間の空間を形成する、請求項13記載の衣料品。
【請求項15】
少なくとも一つの圧縮領域が、伸張領域周辺に伸張する、請求項11記載の衣料品。
【請求項16】
伸張領域が細長い構造を有する、請求項11記載の衣料品。
【請求項17】
伸張領域が楕円形の構造を有する、請求項11記載の衣料品。
【請求項18】
伸張領域の少なくとも一部が、約6ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅、および約2ミリメートルの高さを有する、請求項11記載の衣料品。
【請求項19】
伸張領域が、15ミリメートル未満である長さを有する、請求項11記載の衣料品。
【請求項20】
伸張領域が、5ミリメートル未満である高さを有する、請求項19記載の衣料品。
【請求項21】
伸張領域の幅が、長さの3分の2である、請求項19記載の衣料品。
【請求項22】
以下を含む衣料品であって:
二次元の素材から形成されるエンボス加工された素材、第一の表面および反対の第二の表面を有するエンボス加工された素材;
第二の表面上に突起を形成する複数の伸張領域、細長い構造を有する伸張領域;ならびに
第二の表面において窪みを形成する少なくとも一つの圧縮領域、伸張領域周辺に伸張する圧縮領域、
ここで、伸張領域が衣料品の内面の少なくとも一部を形成するために内側を向き、かつ伸張領域が、衣料品を着用する個体に接触し、かつ個体と少なくとも一つの圧縮領域の間の空間を形成するよう配置されるように、エンボス加工された素材が衣料品に組み込まれる、衣料品。
【請求項23】
エンボス加工された素材が織物である、請求項22記載の衣料品。
【請求項24】
伸張領域が楕円形の構造を有する、請求項22記載の衣料品。
【請求項25】
伸張領域の少なくとも一部が、約6ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅、および約2ミリメートルの高さを有する、請求項22記載の衣料品。
【請求項26】
伸張領域が、15ミリメートル未満である長さを有する、請求項22記載の衣料品。
【請求項27】
伸張領域が、5ミリメートル未満である高さを有する、請求項26記載の衣料品。
【請求項28】
伸張領域の幅が、長さの3分の2である、請求項26記載の衣料品。
【請求項29】
以下を含む、エンボス加工された素材であって:
第一の表面および反対の第二の表面;
第二の表面上に突起を形成する複数の伸張領域、楕円形の構造を有する伸張領域;ならびに
第二の表面において窪みを形成する少なくとも一つの圧縮領域、伸張領域周辺に伸張する少なくとも一つの圧縮領域、
ここで、伸張領域の少なくとも一部が、約6ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅、および約2ミリメートルの高さを有する、エンボス加工された素材。
【請求項30】
以下を含む、エンボス加工された素材であって:
第一の表面および反対の第二の表面;
第二の表面上に突起を形成する複数の伸張領域、細長い構造を有する伸張領域;ならびに
第二の表面において窪みを形成する少なくとも一つの圧縮領域、伸張領域周辺に伸張する少なくとも一つの圧縮領域、
ここで、伸張領域の少なくとも一部が、15ミリメートル未満である長さ、および5ミリメートル未満である高さを有する、エンボス加工された素材。
【請求項31】
伸張領域の幅が、長さの3分の2である、請求項30記載のエンボス加工された素材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−517177(P2008−517177A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536756(P2007−536756)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036257
【国際公開番号】WO2006/044270
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)