説明

オイルミスト除去方法および装置

【課題】オイルミストを高効率で除去することが可能な期間の長期化を図ることのできるオイルミスト除去方法および装置を提供する。
【解決手段】工作機械の排気中に含まれるオイルミストを電気集塵機により除去するオイルミスト除去装置10で、電気集塵機を構成する放電極14、集塵板16に接続された電極18と他の構成部品との絶縁を図る碍子28、30付近に電気集塵機によりオイルミストが除去されたシールエアによる流れを生じさせる、電気集塵機によるオイルミスト除去方法および装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルミスト除去方法および装置に係り、特にメンテナンスサイクル、高効率除去期間の長期化に好適なオイルミスト除去方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工工場は、機械装置部品を製造するため、成型、研削、切削、研磨等を工作機械で行うところである。切削、研削、研磨等を伴う部品は、外形加工寸法に厳密な精度が要求される。そのため、部品の温度変化による膨張伸縮等を抑えた状態で加工する必要がある。ところが、切削、研削、研磨等を行う場合には、摩擦熱によりどうしても部品の加工部が高温となってしまう。加工現場においては、このような温度上昇を抑えるために、加工部品を切削油や研削油等に常時浸した状態又は常時吹き付けた状態で加工を行うようにしている。このような作業により、加工部品の温度上昇が抑えられるからである。しかし、切削油、研削油が高温となった場合、これが気化し、オイルミストを生ずることとなる。
【0003】
工作機械の中には、加工部品を加工時に設置しているステージ部が一般環境に露出した状態のものもあり、このような場合には、上記のようにして生じたオイルミストがそのまま工場内に拡散していた。工場内に拡散したオイルミストは更に揮発して小径化し、工場内上部に霞となって漂う。また、大径のオイルミストは床や壁、作業者に落下付着し、作業環境を著しく悪化させる要因となっていた。更に、加工後の洗浄を終えた製品へのオイル再付着等の問題も生じている。
【0004】
このような問題から、最近の工作機械は、ステージ部分をケーシングで覆うことでオイルミストの拡散を防ぎ、オイルミスト除去装置を通過させた空気を排気として工場内に放出するようにしている。
【0005】
ここでオイルミスト除去装置は、発生するオイルミスト粒径から、一般的に電気集塵機が用いられ、工作機械に対してダクトにより接続されている。このように使用される電気集塵機の一般的な構成は、図2の通りである。図2に示す電気集塵機1は、工作機械からの排気中のオイルミストを帯電させる放電部2、電界を構成し帯電したオイルミストを付着集塵する集塵部3、放電前の前段処理に用いられるプレフィルタ4、及び工作機械から排気を吸引し、工場内へ給気を行う送風ファン5を有する。
【0006】
このような工作機械の排気からオイルミストを除去するための電気集塵機における従来の構成を図3に示す。高電圧を構成する電源ユニット、放電を行う放電極2a、放電極2aと電源ユニットを繋ぐ電極7、電極7を絶縁状態にする碍子6、オイルミストを付着除去する集塵板3aから構成される。このような構成の電気集塵機1aでは、放電極2aと碍子6に囲われたエリアにオイルミストを高濃度に含んだ排気を通過させる。
【0007】
ここで問題となるのは、図4に示すように放電極2aの電極7と碍子6である。電極7は、高電圧を発生させるため、他の構成部材から絶縁状態を維持しなければならない。その為、構成上、他の構成部材との接触が避けられない場合には碍子6を挟み込むことにより絶縁状態を維持している。上記のような構成においては、碍子6がオイルミストを高濃度に含んだ工作機械からの排気と直接接触するため、碍子6表面にオイルミスト8が付着する。オイルミスト8は電気伝導率が高いため、碍子6表面にオイルミスト8が付着すると他の構成部材との絶縁状態を維持できず、放電電圧が低下し、オイルミストの除去効率が低下する。
【0008】
従来の電気集塵機の特性として、初期におけるオイルミスト除去効率は90%以上と高いが、時間経過と共に上記理由によりその能力は低下する。低下した除去効率を回復するには、主に電気集塵機内の碍子と放電極と集塵板をターゲットとして洗浄しなければならない。
【0009】
洗浄することで除去性能は回復するが、その頻度が問題となる。電気集塵機メーカーの推奨頻度は、使用条件にもよるが1ヶ月に1回程度である。電気集塵機は、基本的に工作機械1台に対して1台という割合で備えられているため、1工場内での電気集塵機数は百数十台となることもある。これを1ヶ月毎にメンテナンスしていてはメンテナンス費がかさみ、膨大なランニングコストとなってしまう。このため、工場の実状として、電気集塵機の性能劣化をそのままに、メンテナンスサイクルは3〜6ヶ月に1回という割合としている場合が多い。このため、オイルミストによる作業環境の悪化という問題は、依然として残っている状態である。
なお、洗浄装置を備えたオイルミスト除去装置について、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−212803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の技術の項にて記述したが、電気集塵機の除去性能は連続で使用した場合、時間経過と共に除去性能が低下する問題を生じる。電気集塵機の処理風量、処理する空気中のオイルミスト数により除去性能は変わるが、除去性能は初期約90%から30時間運転後には約70%まで低下する。
【0012】
そのため、本発明では、オイルミストを高効率で除去することが可能な期間の長期化を図ることのできるオイルミスト除去方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためには、絶縁部材である碍子に対するオイルミストの付着を防止する必要がある。そこで本発明に係るオイルミスト除去方法は、工作機械の排気中に含まれるオイルミストを電気集塵機により除去するオイルミスト除去方法であって、前記電気集塵機を構成する放電極、集塵板に接続された電極と他の構成部材との絶縁を図る碍子周辺に、前記電気集塵機により前記オイルミストが除去されたシールエアによる流れを生じさせることを特徴とする。
【0014】
また、このような特徴を有するオイルミスト除去方法では、前記シールエアの風量を、前記放電極、及び前記集塵板間を通過する排気風量の1〜2%とすることが望ましい。
このような特徴を有することにより、オイルミストの高効率除去と、メンテナンスサイクルの長期化といった2つの効果を高い水準で両立させることが可能となる。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明に係るオイルミスト除去装置は、工作機械の排気中に含まれるオイルミストを電気集塵機により除去するオイルミスト除去装置であって、オイルミストを帯電させる放電極と、オイルミストを付着させる集塵板と、前記放電極と前記集塵板に電圧を印加する電源ユニットと、前記電源ユニットと前記放電極及び前記集塵板とを接続する電極と、前記電極と他の構成部材との絶縁を図る碍子と、前記放電極と前記集塵板を配置した排気流路に前記工作機械からの排気を吸引するファンと、前記碍子周囲に開口部を有し、前記開口部から前記碍子が前記排気に晒されることを防止するオイルミストを含まないシールエアを噴出させるシールエア室と、前記ファンの排気口と前記シールエア室に接続して前記電気集塵機により前記オイルミストを除去されたエアを前記シールエア室に給気するエア配管を有することを特徴とする。
【0016】
上記のような特徴を有するオイルミスト除去装置では、前記シールエアの吹込み流量を、前記排気流路を流れる排気流量の1〜2%とする様に、フィルター、パンチング等の抵抗体で調整することが望ましい。
このような特徴を有することによれば、オイルミストの高効率除去と、メンテナンスサイクルの長期化といった2つの効果を高い水準で両立させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
上記のような特徴を有するオイルミスト除去方法および装置によれば、オイルミストを高効率で除去することが可能な期間の長期化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関連するオイルミスト除去装置の構成を示す図である。
【図2】電気集塵機の基本構成を示す図である。
【図3】従来のオイルミスト除去装置の構成を示す図である。
【図4】従来のオイルミスト除去装置の問題点を説明するための構成図である。
【図5】本発明に係るオイルミスト除去装置の構成を示す図である。
【図6】碍子及び開口部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のオイルミスト除去装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明のオイルミスト除去装置に関連するオイルミスト除去装置について説明する。なお、図1において、図1(A)はオイルミスト除去装置の側断面図、図1(B)は同図(A)におけるA−A矢視図を示す。
本実施形態に係るオイルミスト除去装置10は、本体12とシールエア室24、及び電源ユニット26とを有する。
【0020】
本体12は、ケーシング12a、排気流路17、放電極14、集塵板16、及びファン22を有する。ここで、ケーシング12aは、本体12を構成する外殻であり、内部には、バッファ空間13を備えつつ、工作機械に接続されたダクト32から供給される排気を通過させる通路(排気流路17)を構成する。
排気流路17は、ケーシング12aの内部に設けられた隔壁13aにより構成され、隔壁13aの内部が排気流路17、外部がバッファ空間13とされる。
【0021】
放電極14は、詳細を後述する電源ユニット26と電極18を介して接続されており、ケーシング12aなどの他の構成部材との接触面には碍子28が設けられ、電極18と他の構成部材との間の絶縁が図られている。放電極14には、電源ユニットから供給される直流高電圧が印加される。ケーシング12aの内部に隔壁13aを配置して構成された排気流路17の上流側に配置され、高電圧に維持された放電極14はコロナ放電により−電子を放電し、放電極14間を通過するオイルミストを帯電させる。
【0022】
集塵板16は、上述した放電極14の下流側に配置される。集塵板16も放電極14と同様に、電源ユニット26と電極20を介して接続されており、他の構成部材との間には碍子30が配置されることで、電極20と他の構成部材との間の絶縁が図られている。集塵板16は、−側電極となる板面から−電子を放電して電界を構成し、クーロン力により+側電極となる板面に対して帯電したオイルミストを付着させる。
【0023】
ファン22は、集塵板16の下流側、排気流路17の出口近傍に配置され、工作機械に接続されたダクト32から、排気流路17内へ排気を吸引する役割を担う。
シールエア室24は、碍子28,30の周囲から噴出するオイルミストの含有率の少ないエア(シールエア)を供給するためのエアを蓄えるチャンバの役割を担う。シールエア室24には、外部からエアを取り込むためのシールエア吹込み口29を備えており、オイルミストの少ない工場内雰囲気を吸引可能な構成としている。
【0024】
シールエア室24と本体12とを隔離するケーシング12aには、高電圧が印加された放電極14や集塵板16を支持しつつ絶縁を図るための碍子28,30が固定されている。碍子28,30の周囲には開口部31が設けられ、シールエア室24に蓄えられたシールエアが噴出される構成としている。シールエア室24から開口部31を介して碍子28,30の周辺へシールエアを供給することにより、オイルミストを含む空気が碍子28,30側へ流れ込む虞が少なくなる。このため、碍子28,30へのオイルミストの付着率も低下させることができ、碍子28,30による絶縁効果の長期化を期待することができ、オイルミストを高効率除去できる期間の長期化、すなわちメンテナンスサイクルの長期化を図ることができる。
【0025】
ここで、本実施形態に係るオイルミスト除去装置10では、シールエア室24と排気流路17との間に、隔壁13aにより構成されたバッファ空間13を設ける構成としている。隔壁13aと電極18,20との間には十分な隙間を設ける構成として他の構成部材との短絡を防ぎつつ、シールエア室24から供給されたシールエアをバッファ空間13に滞留させて電極18,20と隔壁13aとの隙間から排気流路17へと放出することで、オイルミストが碍子28,30に付着する確率をさらに低下させるようにしている。
【0026】
電源ユニット26は、上述した放電極14、集塵板16に対して印加する電圧を供給する役割を担う。電圧は、電極18,20を介して供給され、上述したように、他の構成部材との接触部には、碍子28,30が設けられる。
【0027】
このような構成のオイルミスト除去装置10ではまず、電源ユニットをONにして放電極14、および集塵板16に電圧を印加する。次に、ファン22を駆動し、オイルミストを含んだ工作機械の排気をダクト32を介して排気流路17に吸引する。
【0028】
この時、シールエア室24ではシールエア吹込み口29より、シールエア室24内にオイルミストを含まない工場内雰囲気が吸引され、開口部31を介して碍子28,30の周辺へオイルミストの含有量の少ないエア(シールエア)が供給される。
【0029】
開口部31を介して噴出されたシールエアは、バッファ空間13を介して、電極18,20と隔壁13aとの隙間から、排気流路17へと放出される。
このようなシールエアの流れにより、オイルミストを含有する工作機械の排気は、碍子28,30に付着する事無く放電極14、及び集塵板16へと流れることとなる。そして、放電極14を通過する際に帯電したオイルミストは、集塵板16の+側に吸着されて除去される。
【0030】
オイルミストが除去された空気は、ファン22を介して工場内へと放出される。オイルミスト除去装置10内では、このような一連の動作が繰り返される。
このような動作のオイルミスト除去装置10では、シールエアの風量の設定により、オイルミストの効果的な除去と、高効率除去期間の長期化といった2つの効果を実現することができる。換言すると、シールエアの風量とケーシング12a内に構成された排気流路17の風量とのバランスが悪い場合には、いずれかの効果が希釈されてしまう。
【0031】
例えば排気流路17の風量に対してシールエアの風量の割合が大きすぎる場合には、碍子28,30へのオイルミストの付着は少なくなり、メンテナンスサイクルの長期化といった課題は解決できるものの、オイルミストを局所排気することができなくなり、工作機械においてオイルミストが漏れ拡散する可能性が生ずる。
【0032】
一方、排気流路17の風量に対してシールエアの風量の割合が小さすぎる場合には、碍子28,30へのオイルミストの付着防止効果が得られなくなり、メンテナンスサイクルの長期化を図ることができなくなる可能性が生ずる。
【0033】
このような観点から、本願発明者が鋭意実験を行い検討した結果、碍子28,30へのオイルミストの付着防止効果を効果的に得られる最も少ないシールエア風量は、オイルミスト除去装置10の処理風量、すなわち排気流路17の風量に対し、シールエアの風量を1〜2%とした場合という結果を得ることができた。
【0034】
よって、上記のような構成のオイルミスト除去装置10により、シールエア風量を排気流路17の風量の1〜2%とすることにより、オイルミストの高効率除去とメンテナンスサイクルの長期化の双方を同時に実現することが可能となるといえる。なお、シールエア風量の調整は、フィルターやパンチング等の抵抗体を用いて行えば良い。
【0035】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置10では、開口部31からの風量と排気流路17の風量を検出し、ファン22の回転を制御する制御部(不図示)を備えるようにすることで、シールエア風量の調整を行うようにしても良い。
【0036】
次に本発明に係るオイルミスト除去装置100について以下説明する。図5は本発明に係るオイルミスト除去装置の構成を示す図である。図5(A)は平面の断面図であり、(B)は同図(A)におけるB−B’矢視図である。
【0037】
前述のオイルミスト除去装置10は、放電極14と集塵板16を所定の間隔を開けて配置し、排気中のオイルミストを放電極14で帯電させて、集塵板16で帯電したオイルミストを付着させて集塵させている。このとき放電極14と集塵板16を所定の間隔を開けて配置させる位置決めは、放電極14及び集塵板16の碍子28,30を排気流路17と交差する方向、即ち排気流路17の断面方向に形成すると容易に行なうことができる。
【0038】
そこで本発明のオイルミスト除去装置100は、放電極14及び集塵板16の碍子28,30を排気流路17の側面(ケーシング本体12aの側面12b)に形成するとともに、シールエア室24も排気流路17の側面12bに形成している。このとき、碍子28,30と側面12bの間には開口部31が設けられ、シールエア室24に蓄えられたシールエアが排気流路17内へ噴出される構成としている。
【0039】
具体的に開口部31は一例として図6に示すように形成することができる。図6は碍子及び開口部の説明図であり、(1)は斜視図であり、(2)は(1)のC−C’矢視図である。碍子28,30はボルトナットなどの締結手段を用いてケーシング本体12aの側面12bへ固定している。碍子28,30の大径部33には固定ボルト50を挿入する孔が4つ形成されている。ケーシング本体12aの側面12bには、碍子28,30の一方の端部28a,30aよりも一回り大きい開口12cと、開口12cの外周であって碍子28,30の孔と対向する箇所に固定ボルト50が挿入される孔が4つ形成されている。そして碍子28,30の大径部33とケーシング本体12aの側面12bを固定ボルト50及び固定ナット52の締結手段を用いて取り付け固定する際に、大径部33とケーシング本体12aの側面12bの間にナット54を挟んで固定している。これにより側面12bと碍子28,30の大径部33の間に、ナット54が挟まれて、ナット54の厚みに相当する隙間となる開口部31を形成することができる。開口部31は、排気流路17側の碍子28,30の端部28a,30aの外周に沿って形成される。
【0040】
ファン22を稼動させてシールエア室24から開口部31を介して碍子28,30の端部28a,30a周辺へシールエアを供給することにより(破線矢印)、オイルミストを含む空気が碍子28,30側へ流れ込む虞が少なくなる。このため、碍子28,30へのオイルミストの付着率も低下させることができ、碍子28,30による絶縁効果の長期化を期待することができ、オイルミストを高効率除去できる期間の長期化、すなわちメンテナンスサイクルの長期化を図ることができる。
【0041】
またシールエア室24には、エア配管40を接続させている。エア配管40はファン22の排出口の一部とシールエア室24の間を接続する配管である。エア配管40はファン22から排出される除去装置により排気中のオイルミストが除去されたクリーンエアをシールエア室24に給気することができる。
オイルミスト除去装置100の排気流路17、ファン22、電源ユニット26の構成は図1に示す構成と同一であり同一の作用効果を奏し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
上記構成による本発明のオイルミスト除去装置100は、前述のオイルミスト除去装置10と同様に、電源ユニットをONにして放電極14、および集塵板16に電圧を印加する。次に、ファン22を駆動し、オイルミストを含んだ工作機械の排気をダクト32を介して排気流路17に吸引する。
【0043】
この時、シールエア室24内は負圧となり、エア配管40より、シールエア室24内にファン22から排気されたオイルミストを含まないクリーンエアが吸引され、開口部31を介して碍子28,30の周辺へ供給される。
さらに開口部31を介して噴出されたシールエアは排気流路17へと放出される。
【0044】
このようなシールエアの流れにより、オイルミストを含有する工作機械の排気は、碍子28,30に付着する事無く放電極14、及び集塵板16へと流れることとなる。そして、放電極14を通過する際に帯電したオイルミストは、集塵板16の+側に吸着されて除去される。
【0045】
オイルミストが除去された空気は、ファン22を介して工場内へと放出される。オイルミスト除去装置10内では、このような一連の動作が繰り返される。
このような本発明のオイルミスト除去装置100によれば、シールエアにオイルミスト除去装置によりオイルミストが除去されたクリーンエアを用いているため、装置が設置された室内空気をシールエアとして給気させる構成よりも、さらにオイルミストの付着率を低減化させることができる。
【0046】
またシールエア風量を排気流路17の風量の1〜2%とすることにより、オイルミストの高効率除去とメンテナンスサイクルの長期化の双方を同時に実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
10,100………オイルミスト除去装置、12………本体、12a………ケーシング、13………バッファ空間、13a………隔壁、14………放電極、16………集塵板、17………排気流路、18,20………電極、22………ファン、24………シールエア室、26………電源ユニット、28,30………碍子、28a,30a………端部、29………シールエア吹込み口、31………開口部、32………ダクト、33………大径部、40………エア配管、50………固定ボルト、52………固定ナット、54………ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の排気中に含まれるオイルミストを電気集塵機により除去するオイルミスト除去方法であって、
前記電気集塵機を構成する放電極、集塵板に接続された電極と他の構成部材との絶縁を図る碍子周辺に、前記電気集塵機により前記オイルミストが除去されたシールエアによる流れを生じさせることを特徴とする電気集塵機によるオイルミスト除去方法。
【請求項2】
前記シールエアの風量を、前記放電極、及び前記集塵板間を通過する排気風量の1〜2%としたことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵機によるオイルミスト除去方法。
【請求項3】
工作機械の排気中に含まれるオイルミストを電気集塵機により除去するオイルミスト除去装置であって、
オイルミストを帯電させる放電極と、
オイルミストを付着させる集塵板と、
前記放電極と前記集塵板に電圧を印加する電源ユニットと、
前記電源ユニットと前記放電極及び前記集塵板とを接続する電極と、
前記電極と他の構成部材との絶縁を図る碍子と、
前記放電極と前記集塵板を配置した排気流路に前記工作機械からの排気を吸引するファンと、
前記碍子周囲に開口部を有し、前記開口部から前記碍子が前記排気に晒されることを防止するオイルミストを含まないシールエアを噴出させるシールエア室と、
前記ファンの排気口と前記シールエア室に接続して前記電気集塵機により前記オイルミストを除去されたエアを前記シールエア室に給気するエア配管を有することを特徴とするオイルミスト除去装置。
【請求項4】
前記シールエアの噴出流量を、前記排気流路を流れる排気流量の1〜2%とする制御部を備えたことを特徴とする請求項3に記載のオイルミスト除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131359(P2011−131359A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294857(P2009−294857)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】