説明

オイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセット

【課題】 デザイン性を向上させることが可能であって、機能性、安全性に優れ、安定した燃焼を継続させることができるオイル収納容器、フロート体及びこれらを備えたオイルフロートセットを提供する。
【解決手段】 側面に開口部2が形成され、当該開口部下端域にオイルが収容される収容領域を有する上部が開放された中空状のオイル収納容器に、フロート体10を浮遊させる。フロート体は、燃焼芯11が挿着され、燃料芯11の周囲に設けられた複数の凹凸形状によってオイル収納容器1内に浮遊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料を燃焼して加熱・保温等を行うオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットに関する。また、本発明は、液体燃料を燃焼して発生する炎を利用した灯りとして、インテリア感覚で使用することができるオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ろうそくや固形燃料、液体燃料等を用いて炎を発生させる方法は、飲食店等の灯りや装飾として、又は卓上で簡易な調理、加熱を行う方法として、広く利用されている。
【0003】
これらの燃料については、安定した炎を得る目的や、燃焼時間を長くする目的で、様々な形状や組成物からなるものが発明され、開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、液体燃料において、特に植物油を利用することは、環境社会を考える上でも重要視されつつあり、資源エネルギー庁においてはメチルエステル化して引火点を低くしたバイオディーゼル燃料の研究を既に開始しており、この燃料の導入によって、温暖化対策に効果的であることが研究されている。さらに、ほとんどの一般家庭にあるサラダオイル等の植物油を燃料材料として利用することは、その普及のし易さの観点からしても、社会的貢献の大きさを期待させるものとされている。
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3093463号公報
【特許文献2】特開2003−213293号参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のろうそくや固形燃料、液体燃料等には、以下のような問題があった。すなわち、ろうそくや固形燃料については、固形であるために、収納容器の形状によっては、使用できないことがあった。そのため、求められる機能やデザインを実現するためには、専用のろうそくや固形燃料が必要となり、費用が高額になってしまうという問題があった。
【0007】
また、液体燃料については、主に引火点の低いアルコールや灯油が用いられるため、収納容器の形状に制限があった。特に、揮発性の高いメチルアルコールやエチルアルコールを利用するアルコールランプ等は、気化した燃料への引火を防ぐため、密閉性のある容器に保管しなければならないなど、収納容器の形状や液体燃料の取り扱いに注意を要するという問題があった。
【0008】
さらに、固形燃料や液体燃料において、芯の形状や燃料の組成、酸素濃度、温度など、燃焼のための条件が整えられていない環境下にあっては、煤や一酸化炭素等が発生し、安定した燃焼を継続することは困難であった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、デザイン性を向上させることが可能であって、機能性、安全性に優れ、安定した燃焼を継続させることができるオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような課題を解決するために、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1) 上部が開放された中空状のオイル収納容器であって、側面に開口部が形成され、当該開口部下端域にオイルが収容される収容領域を有することを特徴とするオイル収納容器。
【0012】
本発明によれば、上部が開放された中空状のオイル収納容器であって、側面に開口部が形成され、当該開口部下端域にオイルが収容される収容領域を有することとしたから、煤や一酸化炭素を発生することなく、安定した燃焼を維持することができる。すなわち、オイル収納容器の側面に通気のための開口部を形成することによって、その開口部から十分な量の酸素が供給され、燃焼により消費される酸素を補充する。不完全燃焼が起こらないため、煤や一酸化炭素を発生することなく、安定した燃焼を維持することができる。
【0013】
(2) 前記収容領域周面には、上部に向かう突起部が設けられており、当該収容領域が分割されていることを特徴とする(1)記載のオイル収納容器。
【0014】
本発明によれば、前記収容領域周面には、上部に向かう突起部が設けられており、収容領域が分割されていることとしたから、分割された収容領域の各々に熱源を備えることによって、複数の熱源を同時に燃焼させて、加熱量を増大させることができる。
【0015】
また、分割された収容領域の各々に異なるオイルを収容できるので、加熱量を異ならせることができる。
【0016】
(3) 前記上部の外周面側に凸部を、前記上部の内周面側に凹部を、形成したことを特徴とする(1)又は(2)記載のオイル収納容器。
【0017】
本発明によれば、前記上部の外周面側に凸部を、前記上部の内周面側に凹部を、形成して、凹凸状の上部を有することによって、その凹部に天板を設置することができる。オイル収納容器の上部に天板を設置することによって、天板の上に被加熱物の入った容器等を載せることができ、また、収納容器内の熱源(炎)に外部から燃焼性のある物質が接触するのを防ぐことができる。
【0018】
(4) 外周面及び/又は内周面が湾曲状であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載のオイル収納容器。
【0019】
本発明によれば、前記オイル収納容器の外周面及び/又は内周面が湾曲状であることとしたから、効率よく空気を対流させることができ、安定した燃焼を維持することができる。
【0020】
(5) 燃焼芯を挿着する挿着孔と、前記挿着孔の周囲に設けられた複数の突起部と、を表面に有する一方、前記突起部を形成する凹部が裏面に設けられたフロート体。
【0021】
本発明によれば、燃焼芯を挿着する挿着孔と、前記挿着孔の周囲に設けられた複数の突起部と、を表面に有する一方、前記突起部を形成する凹部が裏面に設けられたフロート体によって、安定した燃焼を維持することができる。すなわち、フロート体の表面に設けられた突起部と、その裏面に設けられた凹部内の空気の浮力によってフロート体が液体燃料に安定して浮揚し、燃焼芯を挿着孔に挿着することによって燃焼芯が安定して保持され、フロート体表面の突起部の間から液体燃料が燃焼芯へ供給されることによって、安定した燃焼を維持することができる。
【0022】
(6) 前記表面と前記裏面とを区画する基準面が、凹凸状に形成されていることを特徴とする(5)記載のフロート体。
【0023】
本発明によれば、前記フロート体の表面と裏面とを区画する基準面が、凹凸状に形成されていることとしたから、液体燃料がその凹部から燃焼芯へとスムーズに流れ込むことによって、安定した燃焼を維持することができる。
【0024】
(7) (5)又は(6)のフロート体を複数個一体形成したフロート体。
【0025】
本発明によれば、前記のフロート体を複数個一体形成して、複数の燃焼芯を備えるフロート体とすることにより、複数の燃焼芯へ供給された燃料を同時に燃焼させることができ、加熱量を増大させることができる。
【0026】
(8) (1)から(4)のいずれか記載のオイル収納容器と、(5)から(7)のいずれか記載のフロート体と、を備えたオイルフロートセット。
【0027】
本発明によれば、(1)から(4)のいずれか記載のオイル収納容器と、(5)から(7)のいずれか記載のフロート体と、を備えたオイルフロートセットを用いることにより、煤や一酸化炭素を発生させることなく、安定した燃焼を維持することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、デザイン性を向上させることが可能であって、機能性、安全性に優れ、安定した燃焼を継続させることができるオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットを示す斜視図であり、図2はその構成を示す断面図である。
【0031】
図1及び図2に示すオイルフロートセットは、オイル収納容器1と、フロート体10と、から構成されている。オイル収納容器1の上部は開放され、側面には開口部2が形成されている。オイル収納容器1に収納された液体燃料3の液面上には、燃焼芯11が挿着されたフロート体10が浮揚状態に支持されている。なお、図1及び図2においては、参考のため燃焼芯11に引火した状態を示している。
【0032】
液体燃料3としては、揮発性の低く、引火点の低いものを使用することができる。例えば、一般家庭に常備されるサラダオイル等の植物油を利用することもできる。また、エッセンシャルオイルも使用できる。
【0033】
ここで、十分な酸素の供給を行える開口部2を備えるオイル収納容器1としては、少なくとも9cm、好ましくは12cm以上の開口部2を複数設ける。また、開口部を設ける位置は、オイル収容容器1の上部開口面積が30cm以下の場合には、開口部2の下端位置は、オイル収容容器1の下面から40mm程度に設けることが望ましい。すなわち、オイルが収容される収容領域の高さ方向として40mmが望ましく、この場合には、上部から収容領域面までが30mm以上となることが望ましい。
【0034】
また、開口部2から容易にオイルの継ぎ足しを行うことができる。この点、従来から存在するアルコールランプのような容器に穴がなく燃料の継ぎ足しをして燃焼を継続することができないものに比べ、本発明の実施形態に係るオイル収容容器1によれば、開口部2から容易にオイルを追加注入することができる。すなわち、開口部2を酸素の吸気口として機能させ、ときには液体燃料の供給口として機能させることができる。
【0035】
[フロート体]
本発明の実施の形態に係るフロート体について、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0036】
図3(a)は、本発明の実施の形態に係るフロート体10の例を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)を平面Xで切断したときの断面図であり、図3(c)は、図3(a)を平面Yで切断したときの断面図である。図3(b)及び(c)は、いずれも液面に浮揚した状態を示す。
【0037】
図3において、フロート体10は、燃焼芯11を挿着するための挿着孔12を備え、挿着孔12の周囲には、複数の突起部13を有し、その更に外側には、突起部13より低く凸起した凸部15を有している。
【0038】
突起部13の裏面には凹部14を有し、この凹部14内の空気の浮力によってフロート体10は安定的に浮揚する。液体燃料3は、凸部15の間から流入し、突起部13の間を通って、挿着孔12に挿着された燃焼芯11に継続的に供給される。燃焼芯11への燃料供給は、燃焼芯11をフロート10を貫通させて配設し、下部から液体燃料3を吸い上げるように供給されるよりも、フロート10の上面側で供給される方が安定する。さらに、フロート10に、燃焼芯11に向かう傾斜を設けることによって、より安定して液体燃料3が供給される。
【0039】
図3(d)から(f)は、図3(b)及び(c)のZ部分を拡大した図であり、図3(d)は断面図、図3(e)及び(f)は上方外観図である。フロート体10は、燃焼芯11が挿着される挿着孔12に向かって傾斜が設けられている(図3(d))。傾斜は、図3(e)のように1本又は複数の傾斜する溝を設けることとしてもよいし、図3(f)のように漏斗状に傾斜を設けることとしてもよい。これらの傾斜によって、燃焼芯11に液体燃料3が流れ込みやすくなり、より安定した燃焼を維持することができる。
【0040】
燃焼芯11は、直径3mm以下のものを用い、液体燃料液面から露出する部分の長さが30mm以下になるように調整する。芯の太さと長さのバランスを調整することにより、不完全燃焼による煤や一酸化炭素の発生を防ぐことができる。
【0041】
また、フロート体10は、複数の燃焼芯11を備える形状としてもよい。複数の燃焼芯11によって同時に複数の燃焼を得ることができ、加熱量を増大させることができる。
【0042】
図4は、複数の燃焼芯を備えるフロート体の例を示す平面図である。図4(a)は3芯型フロート体、図4(b)は4芯型フロート体を示す。
【0043】
図4において、3芯型フロート体16は3本、4芯型フロート体17は4本の燃焼芯11を備えている。フロート体16及び17は、燃焼芯11を挿着する挿着孔12の周囲に、それぞれ複数の突起部13を有し、その裏面には凹部14を有している。隣り合う燃焼芯11の間隔は、それぞれ20mm以上とする。複数の燃焼芯を同一のフロート体に備える場合には、燃焼芯の間隔を20mm以上とすることで、酸素の供給をスムーズに行うことができる。
【0044】
なお、フロート体10の形状は、上述した形態に限られるものではなく、液体燃料に浮揚して、燃料芯を安定して保持し、燃焼を維持することができるものであれば、素材や形状は問わない。例えば、図10(a)から(d)に示すような形状とすることができる。ここで、図10(a)は略三角形状、図10(b)は縦長軸を有する楕円形状、図10(c)は略台形状、図10(d)は横長軸を有する楕円形状である。安定した燃焼を得るには、シンプルな形状で、液体燃料が燃焼芯へスムーズに流れ込む構造である方がよい。
【0045】
[オイル収納容器]
本発明の実施の形態に係るオイル収納容器について、図5から図8を参照しながら説明する。
【0046】
図5は、本発明の実施の形態に係るオイル収納容器1の例を示す側面図及び断面図である。
【0047】
図5において、オイル収納容器1は、上部が開放された中空状であって、内周面及び外周面が湾曲した形状からなっており、側面には開口部2が形成されている。オイル収納容器1の上部の外周面側には凸部4が、上部の内周面側には凹部5が形成されており、この凹部には天板を設置することができる。
【0048】
オイル収納容器1には、例えば金属や陶器等の素材を用いることができる。また、本発明の実施の形態により、炎の位置を正確に設定することができる場合には、ポリプロピレン製容器や耐熱PET製容器などの樹脂製容器とすることも可能である。すなわち、容器の壁から十分に離れた位置に炎を安定させることができれば、容器が受ける熱の影響を最小限にすることができるため、耐熱性の低い樹脂製の容器を用いることができる。また、液体燃料としてアルコールや灯油などを用いる場合には、樹脂が溶けたり膨潤したりする場合があるため、樹脂製容器を用いることはできないが、本発明の実施の形態によれば、液体燃料として植物油を用いることができ、樹脂を損傷することがないため、樹脂製容器とすることが可能となる。
【0049】
開口部2は、安定した燃焼を維持し、煤の発生を防ぐために、十分な酸素を供給する通気孔として形成される。開口部2の位置や形状は、図5に示す形態に限るものではなく、オイル収納容器1の上端に接していなくてもよいし、円形や楕円形、矩形等、どのような形状であってもよいが、その大きさは、側面積に対する開口部2の面積の比率(開口比率)A%を、所定の比率以上に設定することが望ましい。本実施例においては、約60%を確保しているが、少なくとも30%以上を確保することが望まれる。
【0050】
なお、開口比率A%は、以下の計算式(1)から(3)によって求められる。計算式(1):St=(2×π×r)×H(ただし、St:液体燃料の最高液面Wから上のオイル収納容器1の側面面積(図5(c)の斜線部分)、計算式(2):So=(開口部1箇所の面積)×開口部の数(ただし、So:側面の開口面積)、計算式(3):A=So/St×100
【0051】
また、オイル収納容器1に、図11に示すような傾斜を設けることによってより安定した燃焼が可能となる。開き幅Woは以下の計算式(4):Wo=H・tanθによって示される。オイル収納容器1の直径DvがHよりも小さい場合には、理想的にはθ=30°以上が望ましいが、少なくともθ=15°を確保することが望まれる。
【0052】
さらに、開口部2を設けない場合には、オイル収納容器1の上部開口部分を大きく設け、十分な酸素が供給できるようにする必要がある。
【0053】
次に、オイル収納容器に天板を設置して用いる方法を、図6を用いて説明する。
【0054】
図6は、オイル収納容器1に天板を設置して用いる方法を説明するための説明図である。
【0055】
図6(a)において、オイル収納容器1の上部凹部5には、天板20が設置され、天板20の上に、被加熱物の入った容器21が載せられている。天板20を設置することにより、オイル収納容器1の上に容器等を載せて加熱することができ、また、オイル収納容器1内の炎に外部から燃焼性のある物質が接触するのを防ぐことができる。
【0056】
図6(a)に示す天板20は、燃焼により発生する熱に耐えうるものであれば、その使用目的に合わせてどのような素材のものを用いても良い。例えば、金属、陶器、耐熱ガラスなどを素材とする天板を用いることができる。また、本発明の実施の形態により、炎の位置を正確に設定することができる場合には、樹脂製の天板を用いることも可能である。
【0057】
図6(b)〜(c)には、天板20の形状の例を示す。図6(b)に示す天板20aは、開口部分の全くないプレート状の天板である。開口部分を設けないことにより、燃焼する炎が、天板上の容器21に接触するのを防ぐことができる。ただし、オイル収納容器1の上部開口部を完全に塞ぐこととなるため、上部から燃焼後の排気を行い難くなり、酸素の供給がし難くなる。これに対応するためにも、オイル収納容器1の側面に十分な大きさの開口部を設ける必要がある。
【0058】
図6(c)に示す天板20bは、開口部分を多く設けることにより、天板への熱伝導による熱の損失を最小限に抑え、天板上の容器21の加熱をより効果的に行うことができる。すなわち、炎から発する高温を天板で受けることなく、天板上の容器21を直接加熱することとなるため、ポリプロピレンなどの樹脂製のオイル収納容器1や樹脂製の天板20を用いても、上部に置かれた鍋などの調理用容器21を加熱することが可能となる。ただし、炎と容器21との間を遮るものがないため、炎の位置や大きさを正確に設定する必要がある。
【0059】
図6(d)に示す天板20cは、天板の周囲にのみ開口部分を設けることにより、天板への熱伝導による熱の損失を抑えるとともに、炎からの直接の加熱を避けることができる。天板からの熱伝導によって天板上の容器21を加熱するため、ポリプロピレン製容器や、耐熱PET製容器などの樹脂製容器を用いることが可能となる。
【0060】
加熱に用いる容器21は、通常加熱に用いられる金属製や陶器製の容器の他、上述した天板20aや天板20c等のように中央部に開口がない天板を用いれば、樹脂製の容器を利用することができる。
【0061】
次に、複数のフロート体を用いる方法について、図7を参照しながら説明する。
【0062】
図7は、複数のフロート体を用いるためのオイル収納容器を説明するための平面図及び断面図である。
【0063】
図7において、オイル収納容器30は、収容領域31の周面に上部に向かう突起部32が設けられ、収納領域31が、図7(a)に示すように中央部がつながった状態で分割されており、その各々に、フロート体10が備えられている。複数のフロート体10によって、同時に複数の燃焼を得ることができ、加熱量を増大させることができる。
【0064】
なお、オイル収納容器30の形状は、上記の形態に限られるものではなく、複数のフロート体を備えることができる分割された収納領域が設けられ、酸素の供給を十分にできるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0065】
次に大量の液体燃料を用いる方法について、図8を参照しながら説明する。
【0066】
図8は、フロートガイドを用いた大容量型のオイル収納容器を説明するための断面図及び平面図である。
【0067】
図8(a)において、オイル収納容器40は、上述したような標準のオイル収納容器よりも収納域の容積が大きく、大量の液体燃料3を収納することができる。収納域の深さを変えずに、上部開口を広げて容積を大きくすることによって、液体燃料3の大量消費に伴う液面の高さの変動を最小限に抑えることができる。
【0068】
しかしながら、上述した大容量型オイル収納容器40を用いる場合には、上部開口が広くなるために、フロート体10の浮遊する範囲が広くなり、安定した燃焼が得られなくなってしまう。そこで、フロート体10が位置変動を起こさないように、フロートガイド41を設けることが必要となる。
【0069】
すなわち、燃料芯を備えたオイルフロートは、浮遊するとその性質により、燃焼により発生する炎の位置が不安定となる性質がある。具体的には、対流による水平方向の位置変動や、オイルの減少に伴ってフロート浮遊液面の垂直方向の位置変動などが生じる結果、炎の位置が不安定となると、強加熱点の位置も不安定化する。このような炎の位置の不安定化は、煤が発生する原因となったり、不完全燃焼に至り、場合によっては炎が消えることがある。
【0070】
そこで、フロートガイド41によって水平方向の位置変動を規制することで、オイル収容容器40の側面からの酸素供給を適切に行うことができる。
【0071】
図8(b)は3点支持型、図8(c)は4点支持型のフロートガイドを設けたオイル収納容器40を示す。オイル収納容器40にフロートガイド41を設置し、フロート体10とフロートガイド41との隙間を小さく(通常10mm以下、3点支持型の場合は5mm以下)設定することによって、フロート体10の水平方向への位置変動を小さくすることができる。フロートガイド41の数や形状は、図8に示すものに限られず、フロート体10の位置変動を小さくすることができるものであればよい。また、図8(d)に示すように、フロートガイド41を高く設計することによって、天板を用いることなく上部に容器等を載せられるようにしてもよい。
【0072】
フロートガイド41は、フロート体10が浮遊する範囲が広くなる場合に、使用するオイル収納容器40に取り付けることとしてもよいし、大容量型オイル収納容器40を作製する段階で組み込むこととしてもよい。
【0073】
[使用方法]
本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットの使用方法について、図9を参照しながら説明する。
【0074】
図9は本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットの使用方法を説明するための説明図である。図9(a)は燃焼開始直後、図9(b)は燃焼が進み、液体燃料3の大部分が消費されている状態を示す。
【0075】
図9において、本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットを使用するには、まず、オイル収納容器1に液体燃料3を注入し、その液面に、燃焼芯11が挿着されたフロート体10を浮揚させる。このとき、液体燃料3を注入する前に、水6を注入しておくとよい。フロート体10の裏面に、燃焼芯11を挿着するための挿着孔による突起がある場合に、燃焼により液体燃料3が消費されて液面が低下すると、その突起によってフロート体10が傾いてしまう。液体燃料3の下にフロート体10が傾かない程度の深さに水6が収容されていれば、液体燃料3が消費されてもフロート体10を安定して浮揚させておくことができ(図9(b))、液体燃料3を安全に燃やし切ることができる。ここで、液体燃料3の下に収容する液体は、水6に限定するものではなく、液体燃料3と混じり合わず、液体燃料3よりも比重が重く、燃焼しない液体であれば用いることができる。
【0076】
次に、燃焼芯11に着火し、燃焼を開始する(図9(a))。燃焼が進むと、液体燃料3が消費されて液面が低下する(図9(b))。ここで、燃焼を継続させたいときには、図5に示す開口部2より、液体燃料3を追加注入することができる。従来のアルコールランプ等では、液体燃料の収納容器は密閉されており、燃焼を維持しながら液体燃料を継ぎ足すことができなかったが、本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットによれば、オイル収納容器1に設けられた広い開口部2から、容易に液体燃料3を供給することができ、燃焼を継続させることができる。
【0077】
[液体燃料]
本発明の実施の形態に係るオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットにおいては、液体燃料として、揮発性が低く、引火性の低いサラダオイル等の植物油を用いる。
【0078】
アルコールランプに用いられるメチルアルコールやエチルアルコールの引火点は32℃以下であるのに対し、サラダオイルをはじめとする植物油の引火点は240℃以上の高温である。そのため、誤って引火させてしまう危険性が極めて低く、安全に取り扱うことができる。
【0079】
引火点の高い植物油等を燃料として利用するには、燃料をその引火点温度まで熱して引火・燃焼させる必要があるが、本発明の実施の形態に係るフロート体によれば、液体燃料を燃焼芯によって吸い上げることにより、燃料と酸素とがバランスよく供給され、引火・燃焼させることができる。また、燃焼を始めた後に、煤や一酸化炭素を発生せずに安定した燃焼を維持するためには、燃料を安定的に供給すると共に、十分な酸素を継続して供給する必要がある。本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットによれば、フロート体によって燃料を安定的に供給することができ、開口部を備えたオイル収納容器によって継続して十分な酸素を供給することができるため、煤や一酸化炭素を発生することなく、安定した燃焼を維持することができる。
【0080】
したがって、本発明の実施の形態に係るオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットによれば、揮発性が低く、引火性の低いサラダオイル等の植物油を用いて、安全に、安定した燃焼を得ることができる。また、どの家庭にもある、サラダオイル等の植物油を用いるため、安価で、扱いやすく、安全である。さらに、液体状で安全性の高い植物油を用いることで、オイル収納容器の形状を自由に設計することができ、デザイン性の高いオイルフロートセット等を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットは、デザイン性を向上させることが可能であって、機能性、安全性に優れ、安定した燃焼を継続させることができるオイル収納容器、フロート体、及び、これらを備えたオイルフロートセットを提供し得るものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフロート体の例を示す説明図である。
【図4】複数の燃焼芯を備えるフロート体の例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るオイル収納容器の例を示す説明図である
【図6】オイル収納容器に天板を設置して用いる方法を説明するための説明図である。
【図7】複数のフロート体を用いるためのオイル収納容器を説明するための説明図である。
【図8】フロートガイドを用いた、大容量型のオイル収納容器を説明するための説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るオイルフロートセットの使用方法を説明するための説明図である。
【図10】フロート体の他の実施例を示す平面図である。
【図11】オイル収納容器の形状を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 オイル収納容器
2 開口部
3 液体燃料
4 上部凸部
5 上部凹部
6 水
10 フロート体
11 燃焼芯
12 挿着孔
13 突起部
14 凹部
15 凸部
16 3芯型フロート体
17 4芯型フロート体
20 天板
20a・20b・20c 天板(形状例)
21 被加熱物の入った容器
30 オイル収納容器(複数型)
31 収容領域
32 突起部
40 オイル収納容器(大容量型)
41 フロートガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された中空状のオイル収納容器であって、
側面に開口部が形成され、当該開口部下端域にオイルが収容される収容領域を有することを特徴とするオイル収納容器。
【請求項2】
前記収容領域周面には、上部に向かう突起部が設けられており、当該収容領域が分割されていることを特徴とする請求項1記載のオイル収納容器。
【請求項3】
前記上部の外周面側に凸部を、前記上部の内周面側に凹部を、形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のオイル収納容器。
【請求項4】
外周面及び/又は内周面が湾曲状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のオイル収納容器。
【請求項5】
燃焼芯を挿着する挿着孔と、前記挿着孔の周囲に設けられた複数の突起部と、を表面に有する一方、
前記突起部を形成する凹部が裏面に設けられたフロート体。
【請求項6】
前記表面と前記裏面とを区画する基準面が、凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項5記載のフロート体。
【請求項7】
請求項5又は6記載のフロート体を複数個一体形成したフロート体。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか記載のオイル収納容器と、請求項5から7のいずれか記載のフロート体と、を備えたオイルフロートセット。

【図1】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−257869(P2008−257869A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211253(P2005−211253)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(595077050)
【Fターム(参考)】