説明

オスグッドシュラッター病用サポーター

【課題】オスグッドシュラッター病を改善させるサポーターとして、脛骨粗面への衝撃を緩和する機能を有するものを提供することを課題とする。
【解決手段】オスグッドシュラッター病用サポーターのサポーターとして、使用者の装着する脚の脛骨粗面部分を含む膝下表面部に型取りすることで合致するよう形成された裏面を有する、硬質な材質により形成される硬質パッドと、前記硬質パッドを前記膝下表面部に固定するための、前記硬質パッドを保持する低伸縮性又は無伸縮性のベルトからなる、締め付け力を調節できる締結ベルトとにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オスグッドシュラッター病の症状を緩和させるために使用するサポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
オスグッドシュラッター病は、脛骨粗面部分が隆起したり剥離したりする病気であり、主に、運動により膝関節の伸展筋である大腿四頭筋が大きく頻回に収縮することで、膝蓋骨・膝蓋靭帯を通して脛骨粗面に機械的牽引力がかかることが原因とされている。
このような、オスグッドシュラッター病を有しながら、運動を継続したい場合には、脛骨粗面にかかる牽引力を軽減させるサポーターを利用することが一般的である。このようなサポーターは下記特許文献に示すように脛骨粗面に至るまでの部分に用いられるものであり、膝蓋骨、大腿四頭筋、膝蓋骨直下に弾性材料や硬質材料からなるパッドを押し付けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭63−38410号公報
【特許文献2】実全昭62−157520号公報
【特許文献3】特開平11−299820号公報
【特許文献4】特開2001−70329号公報
【特許文献5】特開2001―120585号公報
【特許文献6】特開昭62−120850
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オスグッドシュラッター病が発生するスポーツは、野球、サッカー、陸上競技、バレーボールであり、柔道、水泳、自転車競技では発生することはない。これらは、いずれも大腿四頭筋が大きく頻回に収縮させるものであるが、後者の柔道、水泳、自転車では発生することがないことから、大腿四頭筋による脛骨粗面の牽引以外の原因があるものと考えられる。両者の相違点を検討すると、野球、サッカー、陸上競技、バレーボールは、地面から強い衝撃を受ける一方で、柔道、水泳、自転車は地面からの強い衝撃を受けることがなく、この点がオスグッドシュラッター病発生の一因となっていると推察することができる。即ち、オスグッドシュラッター病を改善するためには、運動時における地面から伝わる脛骨粗面への衝撃を低減させることが重要であり、従来のサポーターのように脛骨粗面よりも上方を押さえることでは、この衝撃を低減させることに対しては十分ではないと考えられる。
本発明は、このような観点から、オスグッドシュラッター病を改善させるサポーターとして、脛骨粗面への衝撃を緩和する機能を有するものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、使用者の装着する脚の脛骨粗面部分を含む膝下表面部に型取りされることで合致するよう形成された裏面を有する、硬質な材質により形成される硬質パッドと、前記硬質パッドを前記膝下表面部に固定するための、前記硬質パッドを保持する低伸縮性又は無伸縮性のベルトからなる、締め付け力を調節できる締結ベルトとを有するオスグッドシュラッター病用サポーターである。
請求項2に記載の発明は、前記オスグッドシュラッター病用サポーターにおいて、前記硬質パッドの裏面に薄い衝撃吸収材を貼り付けたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、従来のサポーターが押さえてきた部分のさらに下方部分である脛骨粗面を押さえることに着目し、脛骨粗面を含む膝下表面部を覆う硬質パッドが型取りをすることで形成されることで、当該膝下表面部に硬質パッドがぴったりと合い、これを伸縮しないベルトで固定することで、地面より脛骨を伝わってきた衝撃の一部が硬質パッド側へ分散し、脛骨粗面部分への衝撃を減じることができる。
なお、実際に複数のオスグッドシュラッター病の患者に試してもらったところ、従来のオスグッドサポーターに比較して、著しい症状の改善が見られた。
請求項2に記載の発明は、硬質パッドの裏面に薄い衝撃吸収材を貼り付けることで、硬質プレートが直接肌に触れて摩擦により生じる痛みを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係るオスグッドシュラッター病用サポーターの斜視図である。
【図2】実施形態に係るオスグッドシュラッター病用サポーターの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係るオスグッドシュラッター病用サポーターX(以下、OSサポーターXと称する)の斜視図を示す。OSサポーターXは、硬質パッド10、衝撃吸収材20、締結ベルト30とから構成される。
硬質パッド10は、硬質プラスチックにより形成される板体であり、容易に変形ができない厚さに形成される。硬質パッド10の裏面側はオスグッドシュラッター病を患った脚の脛骨粗面を覆う膝下部分表面にぴたりと合うように型取りをして形成される。なお、硬質バッド10は容易に変形しない硬質材質であれば金属、木など種々の素材で形成することができる。
衝撃吸収材20は、シリコンゴム、ポリエチレンフォームなどで形成される薄いシート体であり、硬質パッド10の裏面形状にほぼ合致する形状を有しており、硬質パッド10の裏面に接着固定される。
また、衝撃吸収材20と硬質パッド10により形成される板体の両端近傍には、締結ベルト30を通すための、細長い長方形状の貫通孔である長穴21、22が形成されている。
締結ベルト30は、ナイロン繊維を編んで形成される扁平な平ベルトであり、一端側にベルトを締結し、また、締結力を調節するためのバックル31が固定されている。締結ベルト30は、低伸縮または無伸縮性の素材であれば種々のものが採用できる。また、締結部分は、バックル31のほか、緊縛できるものであれば種々のものが採用でき、面ファスナー等を利用することもできる。
【0009】
次に、以上のような構成を有するOSサポーターXの使用方法及び作用について説明する。使用者は、まず、図2の断面図に示すように、膝蓋靭帯Jの起点となる脛骨粗面S部分を覆うように、型取りした位置に衝撃吸収材20を接触させる。この状態で、締結ベルト30をバックル31が硬質パッド10の表面側に位置するように長穴21に通し、脛の上部に巻きつけて、反対側の長穴22に裏側から表面に通して、端部をバックル30に締結させて引き絞ることで、動かないように固定する。これにより、裏面に衝撃吸収材20が貼られた硬質パッド10を図2に示すように脛骨粗面Sを覆うように固定することができる。締結ベルト30はほぼ伸縮することが無い素材により形成され、また、しっかりと締結固定することで、硬質パッド10は運動によってずれたり、押圧力が低下したりすることがない。
【0010】
このようにOSサポーターXを装着して運動を行い、地面からの衝撃を足裏で受けた場合、衝撃が脛骨Bを伝わって上昇してくるが、脛骨粗面S部分においては、衝撃の一部が硬質パッド10に伝わることで分散され、脛骨粗面S部分へ伝わる衝撃が減少することとなる。これにより、脛骨粗面S部分の剥離や隆起が起こりにくくなりオスグッドシュラッター病の症状が緩和されることとなる。これに対して、従来の特許文献1等に記載されているサポーターでは脛骨粗面S部分よりも上を押さえるために、脛骨粗面Sに地面からの衝撃が直接伝わり、オスグッドシュラッター病の症状の緩和が芳しくない。さらに、特許文献1から3に記載のベルト状のサポーターは脛骨粗面S部分を押さえることも可能であるが、本発明のように、パッド部分が脛骨粗面Sを覆う膝下部分表面にぴったりと一致しないので、このように使用しても脛骨粗面に伝わる衝撃をパッドにうまく分散することができない。この点、本発明は、使用者ごとに脛骨粗面Sを覆う膝下部分表面に型取りをして硬質パッド10を形成しているので、脛骨粗面に伝わる衝撃を硬質パッド10にうまく分散させることができる。
【符号の説明】
【0011】
X オスグッドシュラッター病用サポーター
10 硬質パッド
20 衝撃吸収材
30 締結ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の装着する脚の脛骨粗面部分を含む膝下表面部に型取りすることで合致するよう形成された裏面を有する、硬質な材質により形成される硬質パッドと、
前記硬質パッドを前記膝下表面部に固定するための、前記硬質パッドを保持する低伸縮性又は無伸縮性のベルトからなる、締め付け力を調節できる締結ベルトと
を有するオスグッドシュラッター病用サポーター。
【請求項2】
前記硬質パッドの裏面に薄い衝撃吸収材を貼り付けた請求項1に記載のオスグッドシュラッター病用サポーター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−92676(P2011−92676A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39605(P2010−39605)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509271484)
【Fターム(参考)】