説明

オゾンおよびマイナスイオン発生器

【課題】マイナスイオン発生状態においてオゾンを副生することのないオゾンおよびマイナスイオン発生器を提供する。
【解決手段】マイナスイオンを発生させるときには、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じないように対向電極14を放電電極12から遠い位置に配置する。この場合、放電電極12に電圧を印加すると、放電電極12の先端では空気放電が生じることになる。放電電極12の先端から空気中に放出された電子は、コロナ放電時のような酸素分子の分解反応を生じさせるほどのエネルギーを有していないため、酸素分子の分解反応やこれに続いて行なわれるオゾン生成反応が進行することはない。つまり、マイナスイオン発生時にオゾンを副生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンとマイナスイオンとを選択的に発生させることが可能なオゾンおよびマイナスイオン発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンには、強力な酸化作用があり、この性質を利用して車室内の脱臭・除菌を行うことが一般に知られている。また、マイナスイオンには、その化学的根拠は必ずしも明らかにされていないものの、空気清浄作用やリラックス効果があると言われている。
【0003】
そして、このようなオゾンやマイナスイオンがもたらす各種の効果を有効活用すべく、今日ではオゾンやマイナスイオンを発生させるための技術が数多く提案されており、中には、オゾンとマイナスイオンとを選択的に発生させるようにした技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この従来のオゾンおよびマイナスイオン発生器は、針状の放電電極の周囲を取り囲むようにリング状の対向電極を配置し、放電電極に電圧を印加することによって放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせ、オゾンとマイナスイオンとを生成させるようにしたものである。
【0005】
コロナ放電では、放電強度を変化させることによってマイナスイオンに対するオゾンの発生量が相対的に変化することが知られている。そこで、従来技術では、放電電極に印加する印加電圧を変化させたり、放電電極に対する対向電極の位置を変化させることによってコロナ放電の放電強度を変化させ、オゾン発生状態とマイナスイオン発生状態とを切り換えるようにしている。
【0006】
従来のオゾンおよびマイナスイオン発生器の使用方法について、たとえば車室内で使用する場合を例にとって説明すると、運転中は、運転手や同乗者のリラックス効果を高めるためにマイナスイオン発生状態を選択し、車内に人がいない降車時には、車室内の脱臭や除菌を行なうためにオゾン発生状態を選択するといった使い方が提案されている。
【特許文献1】特開2005−126303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のオゾンおよびマイナスイオン発生器は、コロナ放電を利用してマイナスイオンを発生させるようにしていたため、マイナスイオン発生時において低濃度とはいえオゾンの副生が避けられなかった。オゾンには独特の臭気があり、また、高濃度ともなれば人体に悪影響を与えることが指摘されていることから、マイナスイオン発生時においてオゾンを副生しないようなオゾンおよびマイナスイオン発生器の登場を待ち望む声がユーザーから多数寄せられていた。
【0008】
本発明は、かかるユーザーからの要請に応えるべくなされたものであり、マイナスイオン発生状態においてオゾンを副生することのないオゾンおよびマイナスイオン発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明は、「針状の放電電極12、放電電極12の先端側に配設された対向電極14、対向電極14を放電電極12に対して位置調整可能に保持する保持部材16、および放電電極12と対向電極14と保持部材16とを収容するケーシング22を備えるオゾンおよびマイナスイオン発生器10であって、保持部材16は、放電電極12に電圧が印加されたとき、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じるように対向電極14を放電電極12と近接する位置に配置する場合と、放電電極12に電圧が印加されたとき、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じないように対向電極14を放電電極12から離間した位置に配置する場合とに位置調整が可能である」ことを特徴とするオゾンおよびマイナスイオン発生器10である。
【0010】
この発明では、オゾンを発生させるときには、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じるように対向電極14を放電電極12の近傍に配置し、マイナスイオンを発生させるときには、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じないように対向電極14を放電電極12から遠い位置に配置することにより、オゾン発生状態とマイナスイオン発生状態とを切り換えるようにしている。
【0011】
ここで、マイナスイオン発生状態では、放電電極12と対向電極14との間でコロナ放電が生じないように対向電極14の位置が調整されているため、放電電極12の先端では空気放電が生じることになる。
【0012】
空気放電によって放電電極12の先端から空気中に放出された電子は、空気中の酸素や水分と結合してマイナスイオンを発生させるものであって、コロナ放電時のような酸素分子の分解反応を生じさせるほどのエネルギーを有しておらず、酸素分子の分解反応やこれに続いて行なわれるオゾン生成反応が進行することはない。つまり、マイナスイオン発生時にオゾンを副生することがない。
【0013】
請求項2に記載した発明は、「放電電極12に電圧を印加する電力供給源として太陽電池パネル28が用いられている」ことを特徴とするものである。
【0014】
電力供給源として太陽電池パネル28を用いれば、蓄電池のように電池を交換する必要はないし、また、コンセントやシガーソケットを電力供給源として使用する場合のように、配線の取り回しを必要としない。
【0015】
請求項3に記載した発明は、「電力供給源としての太陽電池パネル28がケーシング22に対して角度調整可能に取り付けられている」ことを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、時々刻々と変化する太陽の位置に合わせて太陽電池パネル28の角度調整を行なうことができ、太陽光を効率よく取り込むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイナスイオン発生時においてオゾンを副生することがないオゾンおよびマイナスイオン発生器を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明にかかるオゾンおよびマイナスイオン発生器10(以下、単に「発生器10」という。)を示す斜視図である。図2は、発生器10を示す正面図である。図3は、発生器10を示す分解斜視図である。なお、図3は、上下を反転させた状態のものが描かれている。
【0019】
図1〜図3に示すように、発生器10は、放電電極12、対向電極14、保持部材16、電源部18、回路部20およびケーシング22により大略構成されている。
【0020】
放電電極12は、ステンレスのようなオゾンによる酸化の影響を受け難い金属からなる針状部材であり、本実施例では、図3に示すように略L字状に屈曲形成されている。放電電極12の後端部(針状部分とは反対側の端部)は、後述する基板36に形成された回路部20にハンダ固定によって電気的に接続される。
【0021】
対向電極14は、放電電極12との間でコロナ放電を生じさせるために設けられる金属製の薄板状部材であり、その中央部分には丸孔14aが穿設されている。丸孔14aの内径は、放電電極12の外径よりも大きく設定されている。
【0022】
対向電極14の長手方向一方端部には、導線24がハンダ固定によって電気的に接続されており、この導線24の他端が、後述する基板36に形成された回路部20にハンダ固定によって電気的に接続される。
【0023】
保持部材16は、樹脂などの非導電性透光材料により形成された細長の部材であり、その長手方向中央よりもやや一端側(図3中左側)に寄った部分には、段部16aが形成されている。段部16aには、対向電極14を挿通するためのスリット孔26aが形成されている。
【0024】
保持部材16における段部16aよりも長手方向一端側(図3において段部16aよりも左側)の部分は、対向電極14を保持する保持部16bであり、その中央部分には、上述した対向電極14の丸孔14aと大略同じ大きさの丸孔26bが穿設されている。保持部16bの先端には、スリット孔26aに挿通された対向電極14を係止するための係止爪26cが形成されている。
【0025】
保持部材16における段部16aよりも長手方向他端側の部分は、保持部材16のスライド操作を行うためのスライド操作部16cであり、その前面(保持部材16をケーシング22に取付けたときに外部に露出する側の面)中央部分には、短手方向に延びるツマミ26dが突設されている。
【0026】
電源部18は、放電電極12に対して電圧を印加するためのものであり、電力供給源としての太陽電池パネル28と、フレーム30と、左右一対の支持台32と、ロック部材34とで大略構成されている。
【0027】
太陽電池パネル28は、太陽光などの光エネルギーを直接電力に変換するものであり、現在公知となっている単結晶シリコン、多結晶シリコン或いはアモルファスシリコンを母材とするものを適宜使用することができる。太陽電池パネル28には、プラスとマイナス2本の導線64が電気的に接続されている。
【0028】
フレーム30は、太陽電池パネル28を保持するために設けられるU型の部材で、太陽電池パネル28をその前後方向から挟み込んで保持できるように前側フレーム30aと後側フレーム30bとに二分割された構造となっている。なお、前側フレーム30aには、受光窓30cが形成されている。
【0029】
フレーム30のU型部分の先端部分に設けられた各脚部30dには、その内側面に中空突起30eが夫々突設されている。
【0030】
左右一対の中空突起30eのうち、一方(図3における左側)の中空突起30e1には、フレーム30内の空間に連通する孔30hが形成されており、この孔30hから太陽電池パネル28に接続されている導線64が外方に引き出されている。
【0031】
一方、他方の中空突起30e2の先端面には、後述するロック部材34の噛合溝34dと噛合する複数の歯30fが放射状に形成されている。
【0032】
そして、この他方の中空突起30e2が設けられている側のフレーム30の脚部30d2には、中空突起30e2の先端面から脚部30d2の外側面(中空突起30e2が設けられているのとは反対側の面)にかけて連通する連通孔30gが形成されている。
【0033】
支持台32は、ケーシング22(より詳しくは、上部ケーシング22a)に取り付けられる側の面(図3における上面)が開口した箱状の部材であり、その長手方向一方の開口縁部には、係止爪32aが図3中上方に突設されている。また、各支持台32における係止爪32aが設けられている側の側壁には、フレーム30の中空突起30eを受ける突起受孔32bが形成されている。
【0034】
各支持台32における係止爪32aが形成されているのとは反対側の端部には、円筒状部材32cが側壁に沿って設けられており、この円筒状部材32cの中心に設けられた丸孔32dには、支持台32を上部ケーシング22aに固定するためのネジ58がねじ込まれる(この点は後述する)。
【0035】
ロック部材34は、支持台32に対するフレーム30の取付角度を調整するためのものであり、棒状のシャフト34aと、シャフト34aの中央部分に設けられた拡径部34bと、シャフト34aの後端部に取り付けられたつるまきバネ34cとを有する。
【0036】
拡径部34bの前端面には、上述した中空突起30e2の先端に設けられている歯30fと噛合する複数の噛合溝34dが放射状に形成されている。
【0037】
回路部20は、電力供給源としての太陽電池パネル28と放電電極12との間に配設され、太陽電池パネル28にて発生した電圧を増幅し、この増幅された電圧を放電電極12に印加するものであり、基板36と、基板36に取り付けられたトランス38a,コンデンサ38b,抵抗38c,発光ダイオード38d,ダイオード38e,コイル38fなどの素子群38と、基板36の裏面に形成され上記素子群38を電気的に結ぶ配線(図示省略)とで大略構成されている。素子群38を構成している発光ダイオード38dは、発生器10を組み立てたとき、後述するスイッチ操作用開口42と対応する箇所に配置されるよう基板36に取付けられている。基板36の長手方向両側端部には、締結部材挿通用の丸孔36aが形成されている。また、基板36の所定位置には、放電電極取付用端子36b、対向電極取付用端子36c、太陽電池パネル取付用端子36dがそれぞれ形成されている。
【0038】
図4は、回路部20のブロック回路図であり、上述した素子群38を電気的に接続することにより、出力コントロール部20a、高圧発生部20bおよび整流部20cがそれぞれ構成されることになる。
【0039】
出力コントロール部20aは、太陽電池パネル28において発生した不安定な電圧を安定な一定の電圧として高圧発生部20bに印加する機能を有する。すなわち、太陽電池パネル28は、受光する光の量によって発電効率が変化するため、太陽電池パネル28において発生する電圧は一定ではなく不安定である。発生した電圧が不安定では、オゾンやマイナスイオンを安定して発生させることができなくなる。そこで、この不安定な電圧を、出力コントロール部20aにおいて一定の電圧とし、高圧発生部20bに印加するのである。
【0040】
高圧発生部20bは、出力コントロール部20aから印加された電圧を増幅させる機能を有する。本実施例では、約4.5Vの電圧が、高圧発生部20bにおいて4500〜5000Vにまで増圧される。
【0041】
整流部20eは、高圧発生部20bにて増幅された電圧(交流電圧)のうち、プラスの電圧をカットしてマイナスの電圧だけを放電電極12に印加する機能を有する。
【0042】
ケーシング22は、放電電極12、対向電極14、保持部材16および回路部20を収容するものであり、上側ケーシング22aと下側ケーシング22bとで構成されている。
【0043】
上側ケーシング22aは、下面(図3における上面)が開口した箱状の部材であり、一方の長辺側側壁22a1には、オゾン・マイナスイオン放出用開口40と、スイッチ操作用開口42とが左右に並んで形成されている。なお、スイッチ操作用開口42を設ける位置やその長さdは、保持部材16を図2中左側(図6中左側)にスライド操作したとき、図6に示すように、保持部材16の保持部16bと対向電極14との一体部分がオゾン・マイナスイオン放出用開口40の内側にて、保持部材16の丸孔24bの中心と対向電極14の丸孔14aの中心と放電電極12の先端とが同一直線上に並ぶように位置し、且つ、保持部材16を図5中右側(図7中右側)にスライド操作したとき、図7に示すように、保持部16bの自由端がオゾン・マイナスイオン放出用開口40の側方(図7中右側)に位置し、保持部16bと対向電極14との一体部分がオゾン・マイナスイオン放出用開口40を開放するように適宜設定される。
【0044】
上側ケーシング22aの天板22a2における短手方向一端側(オゾン・マイナスイオン放出用開口40やスイッチ操作用開口42が設けられている側)であって、スイッチ操作用開口42の近傍には、保持部材16の長辺側側壁22a1に沿う方向への移動をガイドする2本のガイド棒44が図3中上方に突設されている。
【0045】
また、オゾン・マイナスイオン放出用開口40の近傍には、オゾン・マイナスイオン放出用開口40に向かうにしたがってその間隔が広くなるような略ハ字状のガイドプレート45が設けられている。ガイドプレート45の幅広側の端部は、長辺側側壁22a1と接している。一方、ガイドプレート45の幅狭側の端部は、上側ケーシング22aの長辺側側壁22a1からやや奥まったところに位置しており、保持部材16のスライド操作時に保持部材16と接触することがないよう、その位置が規定されている。また、ガイドプレート45の幅狭側の間隔は、対向電極14の近傍で発生したオゾンを効率よく外部に放出できるよう、対向電極14の丸孔14aや保持部材16の丸孔16aよりも若干大きめに設定されている。
【0046】
上側ケーシング22aの天板22a2における短手方向他端側には、左右一対の支持台32の各係止爪32aが係止される係止孔46が所定間隔を隔てて2個形成されており、各係止孔46の近傍には、ネジ挿通孔48が円筒状部材32cの丸孔32dと対応する位置にそれぞれ形成されている。天板22a2の四隅には、円筒状部材50がそれぞれ設けられている。円筒状部材50の中心部分の丸孔50aには、上部ケーシング22aと下側ケーシング22bとを固定するためのネジ62がねじ込まれる(この点は後述する)。
【0047】
下側ケーシング22bは、上側ケーシング22aの外形に合わせて形成された板状の部材であり、その底面には2本の円筒状部材52が図3中下方に突設されている。円筒状部材52の中心部分の丸孔52aには、後述するように回路部20を下側ケーシング22bに取り付けるためのネジ60がねじ込まれる。また、下側ケーシング22bの底面の四隅には、上側ケーシング22aの円筒状部材50と対応する位置にネジ挿通孔54が形成されており、このネジ挿通孔54にネジ62が挿通される(この点も後述する)。
【0048】
次に、発生器10の組立作業について説明する。まず、電源部18の組立について説明すると、電源部18を組み立てる際には、太陽電池パネル28の前後を前側フレーム30aと後側フレーム30bとで挟み込み保持し、各脚部30dの中空突起30eを対応する支持台32の突起受孔32bにそれぞれ挿入する。前側フレーム30aと後側フレーム30bとの挟み込み保持の手法としては、図示しない係合突起と係合凹部とによる係合や、ネジ止めなどの手法を適宜採用することができる。
【0049】
ここで、ロック部材34が取り付けられない側の支持台32(321)の突起受孔32bに中空突起30e1を挿入する際には、中空突起30e1の孔30hから導出されている導線64の先端を突起受孔32bに挿入し、支持台321の開口部から外方へ引き出しておく必要がある。
【0050】
一方、ロック部材34が取り付けられる側の支持台32(322)の突起受孔32bに中空突起30e2を挿入する際には、支持台322の内部にロック部材34を予め収容しておく必要がある。具体的には、まず、ロック部材34をつるまきバネ34cが先頭になるようにして支持台322の突起受孔32bから挿入する。このとき、ロック部材34のシャフト34aの先端は、支持台322の突起受孔32bから外方に突出しており、この突起受孔32bから外方に突出しているシャフト34aの先端を脚部30d2の中空突起30e2に設けられている連通孔30gに挿入する。シャフト34aの先端を連通孔30gに挿入していくと、やがてロック部材34の拡径部34bが中空突起30e2の先端と当接し、さらに押し込んでいくと、シャフト34aの後端部に取り付けられているつるまきバネ34cが撓んで突起受孔32b内に中空突起30e2が挿入される(このとき、脚部30d2の外側面に開口している連通孔30gからはシャフト34aの先端が突出している)。
【0051】
つるまきバネ34cが撓んだ状態では、つるまきバネ34cの弾発力によって拡径部34bが中空突起30e2を押圧し、しかも、ロック部材34の噛合溝34dと中空突起30e2の歯30fとが噛合しているので、中空突起30eを軸とする支持台32に対するフレーム30の回動が規制されて、ロック部材34によるロック状態が実現することになる。反対に、脚部30d2の外側面から突出しているロック部材34のシャフト34aを押して没入方向へ移動させれば、噛合溝34dと歯30fとの係合状態(ロック状態)は解除され、支持台32に対するフレーム30の取付角度を調整することが可能となる。
【0052】
次に、電源部18の上側ケーシング22aへの取り付け作業について説明する。電源部18を上側ケーシング22aに取り付ける際には、各支持台32の係止爪32aを上側ケーシング22aの係止孔46に、図3中下側から嵌め込む。電源部18から導出されている導線64は、係止孔46から上側ケーシング22a内に引き込んでおく。そして、ネジ58を上側ケーシング22aのネジ挿通孔48に上側ケーシング22aの内側(図3における上側)から挿通するとともに、その挿通端部を円筒状部材32cの丸孔32dにねじ込む。これにより、電源部18が上側ケーシング22aに固定されることになる。
【0053】
次に、対向電極14の保持部材16への取付作業について説明する。対向電極14の保持部材16への取り付けは、保持部材16のスリット孔26aに対向電極14を挿入し、対向電極14の先端を係止爪26cに係止させればよい。このとき、保持部材16の丸孔26bと対向電極14の丸孔14aとが一致するように各部材が位置決めされる。対向電極14が保持部材16に取り付けられた状態では、対向電極14の前面(保持部材16と対向する側とは反対側の面)が露出している。
【0054】
次に、対向電極14が取り付けられた保持部材16を上側ケーシング22aの長辺側側壁22a1とガイド棒44との間の隙間に嵌め込む。すると、保持部材16のツマミ26dがスイッチ操作用開口42から外方に突出して配置されることになり、ツマミ26dを摘んで操作することが可能となる(保持部材16のスライド方向は、上側ケーシング22aの長手方向に一致する)。
【0055】
以上のようにして、各部材の仮固定作業が完了すると、次に、放電電極12、対向電極14および電源部18のそれぞれを回路部20と電気的に接続する作業に取り掛かることになる。
【0056】
具体的には、放電電極12の屈曲端部を基板36の放電電極取付用端子36bにハンダ固定し、対向電極14に接続されている導線24を基板36の対向電極取付用端子36cにハンダ固定し、電源部18の導線64を基板36の太陽電池パネル取付用端子36dにハンダ固定する。
【0057】
以上のようにして各部材間の電気的な接続が完了すると、最後に、ケーシング22に各部材を収容する最終組立て作業に取り掛かることになる。
【0058】
具体的には、回路部20を下側ケーシング22bの所定位置に配置し、ネジ60を基板36の丸孔36aに図3中下側から挿通し、その挿通端部を下側ケーシング22bの円筒状部材52の丸孔52aにねじ込む。
【0059】
このようにして、回路部20の下側ケーシング22bへの取り付けが完了すると、最後に、下側ケーシング22bと上側ケーシング22aとを組み合せ、ネジ62を下側ケーシング22bの各ネジ挿通孔54に図3中上側から挿通するとともに、その挿通端部を上側ケーシング22aの円筒状部材50の丸孔50aにねじ込む。これにより、発生器10の組立が完了することになる。
【0060】
次に、発生器10を用いてオゾン或いはマイナスイオンを発生させる方法について説明する。なお、本実施例では、発生器10を車室内で使用する場合について説明する。発生器10の車室内への取り付け方法としては、例えば、両面テープによる内装パネルへの貼着固定などが考えられる。
【0061】
発生器10を用いてオゾンを発生させる場合には、先ず、保持部材16をスライドさせて対向電極14を放電電極12の前面側に配置する(図2および図6参照)。具体的には、ケーシング22のスイッチ操作用開口42から突出している保持部材16のツマミ26dを掴み、保持部材16を図2中左側へスライドさせる。ツマミ26dがスイッチ操作用開口42の内壁と接触するまで保持部材16をスライドさせると、保持部材16の保持部16bと対向電極14との一体部分が、オゾン・マイナスイオン放出用開口40の内側にて、保持部材16の丸孔24bの中心と対向電極14の丸孔14aの中心と放電電極12の先端とが同一直線上に並ぶように位置することになる。
【0062】
以上のようにして対向電極14の位置調整が完了すれば、次に、太陽電池パネル28に太陽光が直接当たるよう、フレーム30の角度を調整する。フレーム30の角度調整は、上述したようにロック部材34のロック状態を解除することで行なうことができる。
【0063】
電力供給源としての太陽電池パネル28に太陽光が当たると、太陽電池パネル28では発電が行なわれる。そして、太陽電池パネル28で発電された電気は、導線64を介して回路部20に送られ、上述したように回路部20においてその電圧が増幅され、プラスの電圧がカットされてマイナスの高電圧だけが放電電極12に印加される(図4参照)。なお、発生器10が作動している状態(すなわち、通電状態)では、素子群38を構成している発光ダイオード38dが発光する。そして、この発光ダイオード38dから出光した光が透明体である保持部材16を通過し、スイッチ操作用開口42から外部へ出光する。つまり、スイッチ操作用開口42から透明の保持部材16を通して発光ダイオード38dが発光しているかどうかを確認することで、発生器10が作動しているかどうかの判断が可能となる。
【0064】
放電電極12に高電圧が印加されると、放電電極12の先端からは電子が放出される。そして、この放出された電子は、プラスの対向電極14側に引き寄せられ、保持部材16の丸孔26bを通過し、対向電極14の丸孔14bの内側面およびその周縁部においてコロナ放電を生じさせる。このように、対向電極14の丸孔14b内側面およびその周縁部においてコロナ放電が発生すると、その周囲に存在している一部の酸素分子が分解され、これが他の酸素分子と結合してオゾンを生成させる。なお、コロナ放電が生じる対向電極14は、略ハ字状に形成されたガイドプレート45の奥まったところに位置しているので、オゾン・マイナスイオン放出用開口40の近傍を手で触れても、コロナ放電が生じている部分と直接接触することはない。
【0065】
このようにして生成されたオゾンは、ケーシング22のオゾン・マイナスイオン放出用開口40を通って発生器10の外部(たとえば、車室内)に放出され、既述のように、オゾンの強力な酸化作用によって車室内の脱臭や除菌が行なわれることになる。なお、ガイドプレート45が外向きに広がる略ハ字状に形成されていることから、発生器10の周囲の外気がオゾン・マイナスイオン放出用開口40内に入り込みやすくなっている。したがって、オゾン・マイナスイオン発生器用開口40の近傍にて滞留しているオゾンが存在した場合であっても、オゾン・マイナスイオン放出用開口40内に外気が入り込むことによって当該部分での滞留を防止できる。
【0066】
一方、発生器10を用いてマイナスイオンを発生させる場合には、保持部材16を先程とは反対側にスライドさせて対向電極14を放電電極12から遠ざければよい(図5および図7参照)。すなわち、ツマミ26dがスイッチ操作用開口42の反対側の内壁(図5中右側の内壁)と接触するまで保持部材16をスライドさせると、保持部材16における保持部16bの自由端は、オゾン・マイナスイオン放出用開口40の側方(図7中右側)に位置し、図7に示すように、保持部16bと対向電極14との一体部分がオゾン・マイナスイオン放出用開口40を開放する位置に配置されることとなる(つまり、対向電極14は、放電電極12との間でコロナ放電を生じさせないように放電電極12から十分に離れたところに位置することになる)。
【0067】
そして、前述同様、フレーム30の角度調整を行い、太陽電池パネル28に太陽光を直接照射させる。太陽電池パネル28において発電された電気は、前述同様、その電圧が回路部20において増幅され、放電電極12に高電圧が印加される。
【0068】
放電電極12に高電圧が印加されると、放電電極12の先端からは電子が空気中に放出される。この場合、先程とは異なり、近くにコロナ放電を生じさせる対向電極14が存在しないので、空気中に放出された電子は、空気中の酸素や水分と結合してマイナスイオンを生成させる。なお、空気放電によって放電電極12の先端から空気中に放出された電子は、コロナ放電時のような酸素分子の分解反応を生じさせるほどのエネルギーを有しておらず、酸素分子の分解反応に続いて行なわれるオゾン生成反応が進行することはない。つまり、マイナスイオン発生時にオゾンを副生することがない。既述のように、マイナスイオンには、その科学的根拠は明らかになってはいないものの、空気清浄作用やリラックス効果があるといわれている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施例のオゾンおよびマイナスイオン発生器を示す斜視図である。
【図2】図1実施例におけるオゾン発生状態を示す正面図である。
【図3】オゾンおよびマイナスイオン発生器を示す分解斜視図である。
【図4】回路部のブロック回路図である。
【図5】図1実施例におけるマイナスイオン発生状態を示す正面図である。
【図6】オゾン発生状態における放電電極と対向電極との位置関係を示す図である。
【図7】マイナスイオン発生状態における放電電極と対向電極との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10…オゾンおよびマイナスイオン発生器
12…放電電極
14…対向電極
16…保持部材
18…電源部
20…回路部
22…ケーシング
28…太陽電池パネル
34…ロック部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状の放電電極、
前記放電電極の先端側に配設された対向電極、
前記対向電極を前記放電電極に対して位置調整可能に保持する保持部材、および
前記放電電極と前記対向電極と前記保持部材とを収容するケーシングを備えるオゾンおよびマイナスイオン発生器であって、
前記保持部材は、
前記放電電極に電圧が印加されたとき、前記放電電極と前記対向電極との間でコロナ放電が生じるように前記対向電極を前記放電電極と近接する位置に配置する場合と、
前記放電電極に電圧が印加されたとき、前記放電電極と前記対向電極との間でコロナ放電が生じないように前記対向電極を前記放電電極から離間した位置に配置する場合とに位置調整が可能であることを特徴とするオゾンおよびマイナスイオン発生器。
【請求項2】
前記放電電極に電圧を印加する電力供給源として太陽電池パネルが用いられていることを特徴とする請求項1に記載のオゾンおよびマイナスイオン発生器。
【請求項3】
前記電力供給源としての太陽電池パネルが前記ケーシングに対して角度調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のオゾンおよびマイナスイオン発生器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−231199(P2009−231199A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77689(P2008−77689)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000114709)ヤック株式会社 (22)
【Fターム(参考)】