説明

オーディオ装置

【課題】複数の外部入力端子10を備えたマルチアンプ(オーディオ装置)1では、プリアンプ53により音量調節される。その音量設定値は音量メモリに記憶され、電源が再投入された場合には前回と同じ音量で音声が再生されるように構成されている。ところが、どの外部入力端子10から入力される音声信号であっても同じ音量設定値によって音量が決定されるので、各音声信号の音量レベルが違う場合や、音声信号の種類によって音量を変えたい場合などには、外部入力端子10を切り替える毎に音量を調節しなければならないという煩わしさがあった。
【解決手段】音量メモリ54に複数の外部入力端子10の各々について専用の音量設定値を音量メモリ54に記憶させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の外部入力端子を備え、各外部入力端子から入力される音声信号を切り替えて再生するように構成されたオーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のオーディオ装置には、イコライザカーブを設定して入力される音声信号の音質を調節する機能を備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、複数の外部入力端子を備えており、各外部入力端子ごとにイコライザカーブを記憶するように構成されている。
【0003】
また、この種のオーディオ装置には音量を増減する音量設定手段が備えられている。外部からの操作によりオーディオスピーカで発音される音量を増減することができる。そして、ある音量にセットすると、入力される音声信号が切り替えられても、音量設定手段による音量の設定値は変化せず、そのままの状態でオーディオスピーカが鳴動される。
【特許文献1】実用新案登録第2529780号公報(請求項1、イコライザカーブ記憶部32)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のオーディオ装置では、音量設定手段によって設定される音量はアンプ部での増幅率に相当する。そのため、外部入力端子から入力される音声信号の音量レベルにバラツキがあれば、例えば音量レベルの大きな音声信号から音量レベルの小さな音声信号に切り替えられると、実際に聞こえる音量が小さくなるので、音量設定手段による音量設定値を上げる必要がある。
【0005】
逆に、音量レベルの小さい音声信号から音量レベルの大きい音声信号に切り替えると急に音量が大きくなったと感じるため、直ちに音量を下げる操作をしなければならない。
【0006】
一方、各外部入力端子に入力される音声信号の種類によって音量を個別に設定したい場合が生じる。例えば、音声信号として音楽が入力されている場合にはBGMとして発音させたい場合がある。この場合には、音量は比較的小さく設定することが望まれる。これに対して、例えばテレビ音声が入力されている場合には、音量がある程度以上大きくないと、テレビ音声の内容を聞き取ることができない。ところが、上記従来のオーディオ装置では、音量についての設定値を外部入力端子ごとに設定できないので、例えばBGMを再生している状態からテレビ音声の再生に切り替えると、音量を大きくする操作をしなければならないし、逆にテレビ音声を再生していた状態からBGMに切り替えると、音量を下げる操作をしなければならない。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上述の不具合が生じないオーディオ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるオーディオ装置は、浴室に設置されたオーディオスピーカを鳴動し得るアンプ部を備えたオーディオ装置であって、複数の外部入力端子を備え、これら複数の外部入力端子から入力される音声信号を、択一的に選択してアンプ部に入力する入力切替手段と、外部からの操作により音量を増減する音量設定手段を備えたものにおいて、上記外部入力端子から入力される音声信号ごとに音量を記憶する音量記憶手段を備え、入力切替手段によりアンプ部に入力される音声信号が切り替えられると、その音声信号について記憶されている音量でオーディオスピーカを鳴動するようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、音量の設定値を個別に記憶しておくので、再生する外部入力端子を切り替えても、その外部入力端子専用に設置した音量で音声信号が再生される。なお、各音量の設定値は各々外部入力端子を選択した状態で音量設定手段によって変更できる。
【0010】
なお、このような各外部入力端子ごとの音量の設定が不要な場合には、入力切替手段により切り替えられる音声信号の如何に関わらず、1種類の音量のみを記憶して、いずれの音声信号についても同じ音量でオーディオスピーカを鳴動させるモードに切り替えるモード切替手段を備えればよい。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、各外部入力端子ごとに音量を設定することができるので、例えば各外部入力端子に入力される音声信号の音量レベルにバラツキがあっても、外部入力端子を切り替えても同じ音量で音声信号が再生される。また、各音声信号ごとに個別の音量で再生したい場合には、切り替えるごとに音量を設定し直す操作を行う必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明によるオーディオ装置であるマルチアンプである。このマルチアンプ1には1対のオーディオスピーカ2が接続されており、両オーディオスピーカ2はこのマルチアンプ1から出力される音声信号によって鳴動される。オーディオスピーカ2は浴室BR内に設置されており、この浴室BR内に配置されたリモコン11によってマルチアンプ1の作動が制御される。
【0013】
マルチアンプ1には本実施の形態では4個の音声信号用の外部入力端子10が設けられている。浴室BRの壁面に固定されたテレビモニター部31aに接続されたチューナ部31からの音声信号がライン41を介して外部入力端子10の内の1つに入力されるように接続されている。残りの外部入力端子10には各々端子ユニット32,33,34が、各ライン42,43,44を介して接続されている。音声信号はこれら各端子ユニット32,33,34からライン42,43,44を介して各外部入力端子10に入力される。本実施の形態では、端子ユニット32にDVD装置を接続し、端子ユニット33にCD装置を接続した。
【0014】
各外部入力端子10には各々異なる音声信号が入力されるが、どの外部入力端子10から入力される音声信号を増幅してオーディオスピーカ2を鳴動させるかという、外部入力端子10の選択はリモコン11によって行われる。
【0015】
図2を参照して、マルチアンプ1内には入力切替手段である、切替回路52が内蔵されている。上記リモコン11によりある外部入力端子が選択されると、この入力切替手段52が作動して、4つの外部入力端子10の内の1つのものから入力される音声信号が選択されて音量設定手段であるプリアンプ53に入力される。そして、プリアンプ53で音量が調節された後、メインアンプ51に音声信号が出力される。このメインアンプ51から出力される音声信号はオーディオスピーカ2に出力されてオーディオスピーカ2が鳴動する。
【0016】
プリアンプ53で音量を調節するが、音量調節操作はリモコン11を介して行われる。リモコン11から音量調節用の信号を受信すると、プリアンプ53から出力される音声信号の音量が増減調節される。そして、その音量の設定値は同時に音量記憶手段である音量メモリ54に記憶される。例えば、マルチアンプ1の電源スイッチがオンされ、オフの状態からオンの状態になると、プリアンプ53は音量メモリ54から、前回電源がオフされた直前の音量設定値を読み出し、その音量設定値に従って音量を調節してメインアンプ51に音声信号を出力する。そのため、電源をオンにすると、前回電源をオフにした時点と同じ音量でオーディオスピーカ2が鳴動する。
【0017】
そして、本実施の形態ではこの音量メモリ54に、4個の外部入力端子10ごとに音量設定値を記憶するようにした。例えば、DVD装置32aから音声信号を選択し、テレビモニター部31aにDVDの画面を表示させると共にDVD装置32aからの音声信号をオーディオスピーカ3から発音させている状態で、リモコン11を操作して、CD装置33aからの音声信号に切り替えると、切替回路52がCD装置33aからの音声信号がプリアンプ53に入力されるように切り替わると共に、プリアンプ53はCD装置33aが接続されている外部入力端子専用に記憶していた音量設定値を読み出し、その音量設定値に従って音量を調節した音声信号をメインアンプ51に出力する。CD装置33aから入力されている音声信号を再生している状態で音量が変更されると、新たな音量設定値を音量メモリ54に、CD装置33a専用の音量設定値として記憶させる。
【0018】
ところで、上記実施の形態では、4つの外部入力端子10の各々について音量設定値を記憶させるようにしたが、リモコン11に隠しコマンドを設定しておき、あるいはマルチアンプ1にディップスイッチなどを設け、4個の外部入力端子10に共通の音量設定値を用いるモードに切り替えるようにしてもよい。共通の音量設定値を用いるモードでは、音量メモリ54に記憶されている4つの音量設定値の内、いずれかの音量設定値が更新された場合には、他の音量設定値も同じ値に更新するように構成してもよく、あるいは、4個の音量設定値のうちの1つのもののみを用いるようにして、音量設定値の書き換えやプリアンプ53からの読み出しもすべて特定の1つの音量設定値を用いるようにしてもよい。
【0019】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】マルチアンプの内部構造を示すブロック図
【符号の説明】
【0021】
1 マルチアンプ
11 リモコン
2 オーディオスピーカ
51 メインアンプ
52 切替回路
53 プリアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設置されたオーディオスピーカを鳴動し得るアンプ部を備えたオーディオ装置であって、複数の外部入力端子を備え、これら複数の外部入力端子から入力される音声信号を、択一的に選択してアンプ部に入力する入力切替手段と、外部からの操作により音量を増減する音量設定手段を備えたものにおいて、上記外部入力端子から入力される音声信号ごとに音量を記憶する音量記憶手段を備え、入力切替手段によりアンプ部に入力される音声信号が切り替えられると、その音声信号について記憶されている音量でオーディオスピーカを鳴動するようにしたことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
入力切替手段により切り替えられる音声信号の如何に関わらず、1種類の音量のみを記憶して、いずれの音声信号についても同じ音量でオーディオスピーカを鳴動させるモードに切り替えるモード切替手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ装置。

【図1】
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【図2】
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