説明

オーナメントを備えたエアバッグカバー

【課題】オーナメントの意匠性を良好として、かつ、質感の変更が容易なオーナメントを備えたエアバッグカバーを提供すること。
【解決手段】本発明のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11は、合成樹脂製とされて、折り畳まれたエアバッグを覆うとともに、エアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部14を備えている。扉部14の領域に配置されるオーナメント24が、合成樹脂製とされて扉部14側に取り付けられる本体部25と、本体部25と別体とされるとともに、本体部25と扉部14との間に配置され、扉部14の表面側に露出される露出部33を備えた加飾プレート31と、を備える。本体部25が、加飾プレート31における露出部33の近傍を押さえるように、加飾プレート31を扉部14との間で挟持して、扉部14側に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれたエアバッグを覆う構成とされて、エアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部の表面側の領域に、オーナメントを配設させたエアバッグカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オーナメントを備えたエアバッグカバーとしては、オーナメントが複数の装飾部を備える構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−25547公報(図6〜8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、オーナメントが複数の装飾部を備える構成であるものの、これらの装飾部を一体として、オーナメントが構成されていることから、装飾部ごとに材質を変更したり、表面加工を変更することによって、質感を変化させることが困難であり、オーナメントの意匠性を向上させ、かつ、オーナメントの質感変更の容易さを確保する点に改善の余地があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、オーナメントの意匠性を良好として、かつ、質感の変更が容易なオーナメントを備えたエアバッグカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るオーナメントを備えたエアバッグカバーは、合成樹脂製とされて、折り畳まれたエアバッグを覆うとともに、エアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部を備える構成とされ、扉部の表面側の領域に配設されるオーナメントを備えたエアバッグカバーであって、
オーナメントが、
合成樹脂製とされて扉部側に取り付けられる本体部と、
本体部と別体とされるとともに、本体部と扉部との間に配置され、扉部の表面側に露出される露出部を備えた加飾プレートと、
を備える構成とされ、
本体部が、加飾プレートにおける露出部の近傍を押さえるように、加飾プレートを前記扉部との間で挟持して、扉部側に取り付けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、オーナメントが、本体部と、本体部と別体とされるとともに扉部の表面側に露出する露出部を備えた加飾プレートと、から構成されていることから、本体部と加飾プレートとの材質を変更したり、あるいは、本体部と加飾プレートとを、蒸着、めっき、印刷(水圧転写、オフセット印刷、スクリーン印刷)等によって、それぞれ、表面処理や加飾処理を異ならせることにより、両者の質感及びデザインを容易に変化させることができる。また、本発明のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、本体部と加飾プレートとが別体であることから、加飾プレートにおける色等のデザインを変更することにより、オーナメントのデザインを容易に変更することができ、例えば、ユーザーの好みに応じて、加飾プレートを変更することもできる。さらに、本発明のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、加飾プレートは、露出部の近傍を本体部により押さえられて、本体部と扉部との間で挟持されるようにして、本体部とともに、エアバッグカバーの扉部側に取り付けられていることから、加飾プレートを扉部側に取り付ける取付手段を別途設ける必要がなく、オーナメントを簡便に製造することができる。
【0007】
したがって、本発明のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、オーナメントの意匠性を良好として、かつ、質感の変更が容易である。
【0008】
また、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、本体部を、扉部を貫通する棒状の取付部を備える構成とし、
取付部を、扉部を貫通させた先端側を扉部の裏面側で熱かしめすることにより、本体部を扉部に取り付ける構成とすれば、リベット等の取付手段を使用しなくとも、オーナメントを扉部側に取り付けることができて、エアバッグカバーを一層簡便に製造することができて、好ましい。
【0009】
さらに、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、加飾プレートに、取付部を挿通可能な挿通孔を設け、少なくとも挿通孔の周縁を、本体部に押えられる構成とすれば、加飾プレートに設けられた挿通孔の周縁が全周にわたって本体部により押えられることから、加飾プレートを、取付部により強固に扉部側に取り付けることができて、好ましい。
【0010】
さらにまた、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、加飾プレートを、板金製として、
挿通孔の内周面との接触により、取付部の外周面側を傷付けることを防止するように、傷付け防止構造を、配設させる構成とすることが好ましい。
【0011】
上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、加飾プレートが、板金製とされていることから、合成樹脂製の本体部に対して、大きく質感を異ならせることができる。また、加飾プレートを板金製とすれば、加飾プレートを合成樹脂製とする場合と比較して、表面処理が容易であることから、オーナメントを一層簡便に製造することができる。また、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、加飾プレートを板金製としていても、加飾プレートにおける挿通孔の内周面との接触により、取付部の外周面側を傷付けることを防止するように、傷付け防止構造が、配設されていることから、取付部の外周面が、挿通孔の内周面と接触して傷付くことを、確実に防止することができる。
【0012】
具体的には、傷付け防止構造は、扉部側に形成してもよいし、加飾プレート側に形成してもよい。
【0013】
傷付け防止構造を扉部側に形成する場合、具体的には、扉部における挿通孔近傍部位において、挿通孔の軸方向に沿って突出するような略環状として、挿通孔の内周面と取付部の外周面との間を塞いで、挿通孔の内周面と取付部の外周面との直接接触を防止するように配設されるスペーサ部から、構成すれば、傷付け防止構造を形成するスペーサ部を、エアバッグカバーと一体的に形成することができて、簡便な構成とすることができ、また、エアバッグカバーと一体に取付部の外周面が、挿通孔の内周面と接触することを確実に防止することができて、好ましい。
【0014】
傷付け防止構造を加飾プレート側に形成する場合、具体的には、加飾プレートにおける挿通孔の周縁を構成する部位を全周にわたって、挿通孔の開口面と略直交するように屈曲させ、加飾プレートの肉厚寸法分より長い長さ寸法として、内周面を前記取付部の外周面に接触させる略筒状のスリーブ部から、構成すれば、傷付け防止構造を形成するスリーブ部を、加飾プレートの成形時に、プレス成形により一体的に形成することができて、簡便な構成とすることができる。また、スリーブ部を設けない加飾プレートの肉厚分の挿通孔の内周面と比較して、大きな表面積となるスリーブ部の内周面が、取付部の外周面に接触することから、広い面積で面接触させることができて、スリーブ部が取付部に食い込むことが防止され、取付部の外周面を傷付け難く、取付部の外周面への傷付きを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のエアバッグカバーは、図1,2に示すように、ステアリングホイールWに搭載されるエアバッグ装置Mに使用されるものである。このステアリングホイールWは、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成され、エアバッグ装置Mは、ボス部Bの上部に配置されている。実施形態の場合、ステアリングホイールWは、エアバッグ装置Mとそれ以外のステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0016】
なお、実施形態における前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載されたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図2の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右の方向を示すものである。
【0017】
ステアリングホイール本体1は、図1,2に示すように、リング部R,ボス部B,スポーク部Sの各部に配置される芯金2と、芯金2におけるリング部Rの部位とスポーク部Sのリング部R側の部位との外周側を被覆するウレタン等の合成樹脂製の被覆層3と、ステアリングホイールWの下面側を覆うポリプロピレン等の合成樹脂製のロアカバー4と、を備えている。
【0018】
エアバッグ装置Mは、実施形態の場合、図2に示すように、折り畳んで収納される袋状のエアバッグ7と、エアバッグ7に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、折り畳まれたエアバッグ7を覆うエアバッグカバー11と、エアバッグ7,インフレーター8,エアバッグカバー11を保持するケースとしてのバッグホルダ10と、を備えて構成されている。図2における符号9の部材は、エアバッグ7の開口7a周縁を押さえるとともに、エアバッグ7とインフレーター8とをバッグホルダに取り付けるリテーナであり、下方に突出する図示しないボルトを備え、このボルトを、エアバッグ7の開口7a周縁とバッグホルダ10とを経て、インフレーター8におけるフランジ部8aの下面側から突出させた状態でナット止めすることにより、エアバッグ7とインフレーター8とをバッグホルダ10に取り付ける構成である。また、実施形態のエアバッグ装置Mは、図示しないホーンスイッチ機構と連結板とを利用して、ステアリングホイール本体1に連結されている。
【0019】
エアバッグカバー11は、オレフィン系やスチレン系等の熱可塑性エラストマーから構成されるもので、折り畳まれたエアバッグ7の上方を覆う天井壁部12と、天井壁部12の下面から下方へ突出する略四角筒状とされてバッグホルダ10と連結される側壁部21と、を備えている。側壁部21は、実施形態の場合、リベット22を利用して、バッグホルダ10に連結されている(図2参照)。天井壁部12には、実施形態の場合、図1に示すように、周囲に上方から見て略H字形状となるように、縦棒部13a,13aと横棒部13bとからなる破断予定部13を配置させて、開き時に前後方向に開き可能な2枚の扉部14,19が、配設されている。実施形態の場合、前方側に配置される扉部14の表面側に、オーナメント24が配設されている。具体的には、オーナメント24は、扉部14の後端近傍となる位置に配設されるもので、破断予定部13の横棒部13bは、オーナメント24を迂回するように、左右の中央となる中央部位13cを後方に突出させるように湾曲させた形状とされている(図1,3参照)。また、扉部14には、オーナメント24を収納させるための収納凹部15が、表面側を凹ませるようにして、配設されている(図2,4,6参照)。この収納凹部15は、オーナメント24の外形形状に合わせて、実施形態の場合、横長の略楕円形状とされている。そして、収納凹部15における所定位置には、オーナメント24の本体部25に形成される取付部29を挿通可能な複数(実施形態の場合、17個)の貫通孔16が、形成されている。また、収納凹部15における貫通孔16の周縁には、オーナメント24の後述する加飾プレート31に形成される挿通孔34の軸方向に沿うように、扉部14の表面側に向かって突出するような略環状のスペーサ部17が、形成されている。このスペーサ部17は、オーナメント24の後述する本体部25に形成される取付部29の外周面29bが、加飾プレート31の挿通孔34の内周面34aとの接触により、傷付けられることを防止する傷付け防止構造PSとされるもので、実施形態の場合、オーナメント24を収納凹部15に取り付けた際に、挿通孔34の内周面34aと取付部29の外周面29bとの直接接触を防止するように、挿通孔34の内周面34aと取付部29の外周面29bとの間を塞ぐとともに、上面17aを、本体部25の裏面側に当接させるように、配置されることとなる(図2,4〜6参照)。
【0020】
オーナメント24は、実施形態の場合、図3,4,6に示すように、合成樹脂製の本体部25と、本体部25と別体とされて本体部25の下面(裏面)側に配置される加飾プレート31と、から構成されている。
【0021】
本体部25は、エアバッグカバー11を構成する材料より硬質のオレフィン系等の熱可塑性エラストマーや、ABS樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂等からなる合成樹脂製とされるもので、射出成形等により成形され、表面にめっき処理を施して、光沢を有した金属色(実施形態の場合銀色)とされている。そして、本体部25は、実施形態の場合、横長の略楕円環状の枠体26と、枠体26内に配置される略T字状の装飾本体27と、を備えている。装飾本体27は、端部を枠体26に連結されて枠体26と一体的に形成されるもので、装飾本体27と枠体26との間は開口部28とされて、この開口部28から、加飾プレート31の後述する露出部33が露出される構成とされている。
【0022】
また、本体部25には、枠体26と装飾本体27との裏面側から扉部14側に向かって突出する多数の丸棒状の取付部29が、形成されている。この取付部29は、開口部28を囲むように、枠体26と装飾本体27とに沿って略等間隔に配置されるもので、実施形態の場合、17個形成されている。そして、各取付部29は、加飾プレート31を扉部14との間に介在させた状態で、扉部14の裏面側から突出した先端29a(図5の二点鎖線参照)を熱かしめすることにより、本体部25を加飾プレート31とともに、扉部14側に取り付ける構成である。なお、各取付部29は、本体部25の表面側にヒケを生じさせない外径寸法に、設定されている。
【0023】
加飾プレート31は、実施形態の場合、アルミニウム合金等の板金素材をプレス加工して、形成されるもので、表面側に、オフセット印刷による加飾層32を備えている。実施形態の場合、加飾プレート31は、外形形状を、本体部25と同一の横長の略楕円形状とされるもので、本体部25の開口部28に対応した部位を、開口部28から露出される露出部33として、周囲より僅かに表面側に突出させるように構成されている。そして、加飾プレート31における本体部25の枠体26と装飾本体27とに対応した部位に、取付部29を挿通可能な挿通孔34が、取付部29に対応して17箇所に、形成されている。すなわち、この挿通孔34は、露出部33の周囲の全周にわたって配置されるもので、加飾プレート31は、扉部14側に取り付けられる際に、本体部25により各挿通孔34の周縁を押えられるようにして、露出部33の近傍を全周にわたって、本体部25に押えられた状態で、扉部14側に、本体部25とともに取り付けられることとなる。具体的には、加飾プレート31の加飾層32は、木目調や、グラデーション状の印刷を施したり、表面をヘアライン加工して、形成することができ、また、素材自身の質感を露出させるように、加飾層を形成しなくともよい。また、実施形態の場合、挿通孔34は、収納凹部15に形成されるスペーサ部17を挿通可能な寸法に設定されている。実施形態の場合、加飾プレート31は、表面に加飾層32を形成した板金素材にプレス加工を施して、露出部33と挿通孔34とを同時に形成している。
【0024】
実施形態では、予め製造しておいたエアバッグカバー11の収納凹部15に、スペーサ部17を挿通孔34に挿通させるようにして加飾プレート31を収納させ、本体部25を、各取付部29を貫通孔16に挿通させるようにして収納凹部15内に収納させ、扉部14の裏面側に突出している各取付部29の先端29aを、拡径させるように加熱して溶融固化させることにより、熱かしめすれば、本体部25を、加飾プレート31を扉部14との間で挟持して、扉部14側に取り付けることができ、オーナメント24をエアバッグカバー11に取り付けることができる。
【0025】
そして、オーナメント24を取り付けたエアバッグカバー11を、リテーナ9を利用して、折り畳まれたエアバッグ7とインフレーター8とを取り付けられたバッグホルダ10に、リベット22を用いて側壁部21の部位で取り付ければ、エアバッグ装置Mを組み立てることができ、このエアバッグ装置Mを、図示しないホーンスイッチ機構と連結板とを利用して、車両に取り付け済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に、連結させれば、ステアリングホイール本体1に組み付けることができ、このとき、ステアリングホイールWの組み立てと、車両へのステアリングホイールWの搭載と、が完了することとなる。
【0026】
ステアリングホイールWの車両への搭載後、インフレーター8から膨張用ガスが吐出されれば、折り畳まれたエアバッグ7が膨張して、エアバッグカバー11の天井壁部12を押し上げ、破断予定部13が破断して、扉部14,19の開いた開口から、エアバッグ7が、大きく突出して膨張を完了させることとなる。
【0027】
そして、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、オーナメント24が、本体部25と、本体部25と別体とされるとともに扉部14の表面側に露出する露出部33を備えた加飾プレート31と、から構成されていることから、本体部25と加飾プレート31との材質を変更したり、あるいは、本体部25と加飾プレート31とを、蒸着、めっき、印刷(水圧転写、オフセット印刷、スクリーン印刷)等によって、それぞれ、表面処理や加飾処理を異ならせることにより、両者の質感及びデザインを容易に変化させることができる。また、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、本体部25と加飾プレート31とが別体であることから、加飾プレート31における加飾層32の色等のデザインを変更することにより、オーナメント24のデザインを容易に変更することができ、例えば、ユーザーの好みに応じて、加飾プレート31を変更することもできる。さらに、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、加飾プレート31は、露出部33の近傍を本体部25により押さえられて、本体部25と扉部14との間で挟持されるようにして、本体部25とともに、エアバッグカバー11の扉部14側に取り付けられていることから、加飾プレート31を扉部14側に取り付ける取付手段を別途設ける必要がなく、オーナメント24を簡便に製造することができる。
【0028】
したがって、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、オーナメント24の意匠性を良好として、かつ、質感の変更が容易である。
【0029】
また、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、本体部25に、扉部14を貫通する棒状の取付部29を配設させて、この取付部29の先端29a側を扉部14の裏面側で熱かしめすることにより、本体部25を扉部14に取り付ける構成であることから、リベット等の取付手段を使用しなくとも、オーナメント24を扉部14側に取り付けることができて、エアバッグカバー11を一層簡便に製造することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、オーナメントの本体部を、別体のリベット等により、扉部側に取り付ける構成としてもよい。
【0030】
さらに、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、加飾プレート31に、取付部29を挿通可能な挿通孔34を設け、少なくとも挿通孔34の周縁を、本体部25に押えられていることから、加飾プレート31に設けられた挿通孔34の周縁を全周にわたって本体部25により押えることができ、加飾プレート31を、取付部29により強固に扉部14側に取り付けることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、加飾プレートとして、図6の括弧内に示すように、周縁に取付部の一部を配置可能な凹部34´を配設させ、この凹部34´の周縁を本体部により押えられる構成のものを使用してもよい。
【0031】
さらにまた、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、加飾プレート31が、板金製とされていることから、合成樹脂製の本体部25に対して、大きく質感を異ならせることができる。また、加飾プレート31を板金製とすれば、加飾プレートを合成樹脂製とする場合と比較して、表面処理が容易であることから、オーナメント24を一層簡便に製造することができる。そして、実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、加飾プレート31を板金製としていても、加飾プレート31における挿通孔34の内周面34aとの接触により、取付部29の外周面29b側を傷付けることを防止するように、傷付け防止構造PSが、配設されていることから、取付部29の外周面29bが、挿通孔34の内周面34aと接触して傷付くことを、確実に防止することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、加飾プレートを合成樹脂製としてもよく、また、加飾プレートを合成樹脂製とする場合には、傷付け防止構造を設けない構成とすることができる。
【0032】
実施形態のオーナメント24を備えたエアバッグカバー11では、傷付け防止構造PSを、扉部14側に配設させており、傷付け防止構造PSは、具体的には、収納凹部15の貫通孔16の周縁において、加飾プレート31に形成される挿通孔34の軸方向に沿って表面側に突出するような略環状とされて、挿通孔34の内周面34aと取付部29の外周面29bとの間を塞いで、挿通孔34の内周面34aと取付部29の外周面29bとの直接接触を防止するように配設されるスペーサ部17から、構成されている。そのため、実施形態では、傷付け防止構造PSを形成するスペーサ部17を、エアバッグカバー11と一体的に形成することができて、簡便な構成とすることができ、かつ、挿通孔34の内周面34aと取付部29の外周面29bとの間には、扉部14側から延びるスペーサ部17が介在されることからプレス加工により打ち抜いて構成される挿通孔34の内周面34aが、取付部29の外周面29bと接触することを確実に防止できる。なお、実施形態の場合、このスペーサ部17は、上面17aを本体部25の裏面側に当接させるように構成されているが、スペーサ部により、確実に取付部の外周面と挿通孔の内周面との接触を防止できれば、スペーサ部の上面と本体部の裏面との間に隙間があってもよい。また、逆に、図7に示すオーナメント24Aのごとく、本体部25Aの裏面側を凹ませ、加飾プレート31より上方に突出するようにして本体部25Aの裏面側に設けられた凹部25a内に侵入させるような構成のスペーサ部17Aを、扉部14Aに形成してもよい。
【0033】
また、図8に示すオーナメント24Bのごとく、傷付け防止構造PSを、加飾プレート31B側に形成してもよい。図8に示すオーナメント24Bでは、加飾プレート31Bにおける挿通孔34Bの周縁を構成する部位34Cを、全周にわたって、挿通孔34Bの開口面と略直交するように、下向きに扉部14B側に進入するように屈曲させて、略筒状のスリーブ部36とし、このスリーブ部36の内周面36aを、取付部29の外周面29bに接触させる構成としている。スリーブ部36は、加飾プレート31Bの肉厚寸法t分より長い長さ寸法Lに設定されるもので、収納凹部15Bにおける貫通孔16B周縁には、スリーブ部36を収納可能に凹ませた凹部15aが、形成されている。図8のオーナメント24Bでは、このスリーブ部36が、傷付け防止構造PSを構成するものであり、このスリーブ部36は、加飾プレート31Bの成形時に、プレス成形により一体的に形成することができて、簡便な構成とすることができる。また、スリーブ部36を設けない加飾プレート31の肉厚寸法t分の挿通孔34の内周面34aと比較して、大きな表面積となるスリーブ部36の内周面36aが、取付部29の外周面29bに接触することから、広い面積で面接触させることができて、スリーブ部36が取付部29に食い込むことが防止され、取付部29の外周面29bを傷付け難く、取付部29の外周面29bへの傷付きを抑えることができる。
【0034】
さらに、図9に示すオーナメント24Cのごとく、傷付け防止構造PSを、本体部25Cの取付部29C自体から構成してもよい。図9に示すオーナメント24Cでは、取付部29Cにおける加飾プレート31の挿通孔34近傍となる元部側の部位を、前述の実施形態において扉部14側に形成されていたスペーサ部17の分だけ厚肉とした大径部38として、大径部38の外周面38aを、挿通孔34の内周面34aと接触させるように、構成している。図9のオーナメント24Cでは、この大径部38が、傷付け防止構造PSを構成するものである。大径部38は、車両搭載時において、挿通孔34の内周面34aと接触しているが、この内周面34aとの接触により外周面38aが傷付いても、大きな影響を受けることなく、エアバッグ7の展開膨張時に、取付部29Cに破損が生じるようなこともない。
【0035】
また、エアバッグカバー11に配設されるオーナメント40の本体部41として、図10,11に示す構成のものを使用してもよい。本体部41は、図10に示すように、前述の本体部25と同様に、枠体26Aと、枠体26A内に配置される略T字状の装飾本体27Aと、を備えるとともに、枠体26Aと装飾本体27Aとの裏面側から突出する多数の丸棒状の取付部29を、備えている。そして、本体部41における枠体26A及び装飾本体27Aの裏面側には、多数の凹部42が、形成されている。この凹部42は、各枠体26A及び装飾本体27Aにおいて、それぞれ、隣り合う取付部29間の略中間となる部位に配置されるもので、図11の(a)及び(b)に示すように、枠体26A及び装飾本体27Aの幅方向に沿うようにスリット状として、配設されている。そして、この凹部42は、エアバッグ7の膨張初期において、エアバッグカバー11の扉部14,19が開き前に、エアバッグ7に押されて変形する際の、扉部14の変形に追従して、本体部41を曲げ変形可能とするように、変形の起点となる折曲点を構成するものである。実施形態の場合、エアバッグカバー11の扉部14,19は、周囲に、縦棒部13a,13aと横棒部13bとからなる略H字形状の破断予定部13を配設させて、開き時に前後両側に開く構成である(図1,2参照)。このとき、詳細には、扉部14,19は、膨張するエアバッグ7により、左右の中央を上方に押し上げられて、左右方向に沿って湾曲するように変形しつつ、破断予定部13における横棒部13bの左右の中央部位13cをまず破断させ、その後、この破断を横棒部13bから縦棒部13aにかけて、順次伝播させるようにして、前後両側に開くこととなる。実施形態の場合、本体部41は、図12の二点鎖線に示すように、この扉部14の変形に追従して、凹部42の部位を折曲点として曲げ変形されて、左右方向の中央を上方に位置させるように左右方向に沿って湾曲することとなる。具体的には、凹部42は、本体部41を、左右方向に沿って複数に分割するような曲げ変形を可能とするように、本体部41における左右の中央を除いたエリアに、配設されている。また、各凹部42の凹み形状は、本体部41の表面側の意匠性を低下させず、かつ、本体部41の曲げ変形を容易とするような形状に、設定されている。
【0036】
オーナメントの本体部41をこのような構成とすれば、エアバッグ7の膨張初期における扉部14の変形時に、本体部41が、図12の二点鎖線に示すように、各凹部42の隙間をなくすように各凹部42の部位で曲げ変形されることとなり、この各凹部42の部位を折曲点として、扉部14の変形に追従して、左右方向に沿って複数に分割されるように曲げ変形されることから、左右の中央を大きく上方に突出させるような扉部14の変形を妨げず、扉部14の周囲に配置される破断予定部13を円滑に破断させることができて、扉部14を迅速に開かせることができる。また、上記構成の本体部41では、曲げ変形時の折曲点となる凹部42は、隣り合う取付部29間の略中間となる部位、換言すれば、取付部29から離れた位置に、形成されている。そのため、本体部41の曲げ変形時に、取付部29の部位が影響を受け難く、扉部14の開き時に、取付部29に破損が生じることを抑えることができる。なお、実施形態では、本体部41は、各凹部42の隙間をなくすようにして、凹部42近傍の部位を折曲されて、曲げ変形されることとなるが、扉部14が大きく湾曲するように変形する場合には、凹部42近傍の部位を破断させるようにして、扉部14の変形に追従するように塑性変形されることとなる。また、扉部14,19は、逆に、破断予定部13における横棒部13bの左右の両端側をまず破断させ、その後、この破断を、横棒部13bの中央部位13cや縦棒部13aにかけて伝播させて、前後両側に開く場合もあるが、実施形態の本体部41は、左右方向に沿って複数に分割されるように曲げ変形されることから、仮に、扉部14が開く際に、左右方向の端部側を大きく上方に突出させるように変形することとなっても、この扉部14の変形に追従して、曲げ変形可能である。
【0037】
なお、上記構成の本体部41も、図12に示すごとく、前述のオーナメント24における本体部25と同様に、加飾プレート31を介在させて、扉部14に取り付けられる構成であるが、加飾プレート31は薄肉の板状であることから、図12の二点鎖線に示すごとく、扉部14の変形に追従して湾曲するように、変形することとなる。勿論、このような本体部41の構成は、加飾プレートを介在させない構成のオーナメントに、一層好適となる。
【0038】
また、本体部25には、裏面側から扉部14側に向かって突出する多数の丸棒状の取付部29が、形成されている。
【0039】
なお、実施形態では、オーナメント24の本体部25として、装飾本体27と、装飾本体27の周囲を囲む枠体26と、から構成されているものを使用しているが、本体部として、枠体を備えない装飾本体のみから構成されるものを使用してもよい。このような本体部を使用するオーナメントの場合、加飾プレートは、装飾本体の周囲に露出される露出部を備えることとなる。
【0040】
また、実施形態では、加飾プレート31において、本体部25の開口部28から露出する露出部33が、表面側に突出するような凸状とされているが、勿論、加飾プレートとして、凹凸が形成されていないものを使用してもよい。
【0041】
さらに、実施形態では、ステアリングホイールW用のエアバッグカバー11を例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグカバーはこれに限られるものではなく、例えば、助手席用前方やドア、シート、車内壁等に搭載されるエアバッグ装置のエアバッグカバーにオーナメントが取り付けられる場合、それらのエアバッグカバーに、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグカバーが使用されるステアリングホイールの平面図である。
【図2】実施形態のエアバッグカバーが使用されるステアリングホイールの概略断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの配設部位を示す部分拡大平面図である。
【図4】実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの配設部位を示す部分拡大断面図であり、図3のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの取付部の部位を示す部分拡大断面図である。
【図6】実施形態のエアバッグカバーにおいて、オーナメントの本体部及び加飾プレートと、扉部の収納部位との概略分解斜視図である。
【図7】他の実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの取付部の部位を示す部分拡大断面図である。
【図8】さらに他の実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの取付部の部位を示す部分拡大断面図である。
【図9】さらに他の実施形態のエアバッグカバーにおけるオーナメントの取付部の部位を示す部分拡大断面図である。
【図10】さらに他の実施形態に使用可能なオーナメントの本体部の背面図である。
【図11】図10の本体部の部分拡大断面図であり、それぞれ、図10のA−A部位とB−B部位とを示す図である。
【図12】図10の本体部を使用したオーナメントを取り付けたエアバッグカバーの部分拡大平面図であり、括弧内に、C−C部位の部分拡大断面を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
11…エアバッグカバー、
14…扉部、
15,15B…収納凹部、
16…貫通孔、
17…スペーサ部、
24,24A,24B,24C,40…オーナメント、
25,25A,25C,41…本体部、
29,29C…取付部、
29a…先端、
29b…外周面、
31,31B…加飾プレート、
33…露出部、
34…挿通孔、
34a…内周縁、
34b…内周面、
36…スリーブ部、
38…大径部、
PS…傷付け防止構造、
M…エアバッグ装置、
W…ステアリングホイール。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製とされて、折り畳まれたエアバッグを覆うとともに、該エアバッグの展開膨張時に開き可能な扉部を備える構成とされ、該扉部の表面側の領域に配設されるオーナメントを備えたエアバッグカバーであって、
前記オーナメントが、
合成樹脂製とされて前記扉部側に取り付けられる本体部と、
該本体部と別体とされるとともに、前記本体部と前記扉部との間に配置され、前記扉部の表面側に露出される露出部を備えた加飾プレートと、
を備える構成とされ、
前記本体部が、前記加飾プレートにおける前記露出部の近傍を押さえるように、前記加飾プレートを前記扉部との間で挟持して、前記扉部側に取り付けられていることを特徴とするオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項2】
前記本体部が、前記扉部を貫通する棒状の取付部を備え、
該取付部が、前記扉部を貫通させた先端側を、前記扉部の裏面側で熱かしめすることにより、前記本体部を前記扉部に取り付ける構成とされていることを特徴とする請求項1に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項3】
前記加飾プレートが、前記取付部を挿通可能な挿通孔を備え、少なくとも該挿通孔の周縁を、前記本体部に押えられていることを特徴とする請求項2に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項4】
前記加飾プレートが、板金製とされ、
前記挿通孔の内周面との接触により、前記取付部の外周面側を傷付けることを防止するように、傷付け防止構造が、配設されていることを特徴とする請求項3に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項5】
前記傷付け防止構造が、前記扉部側に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項6】
前記傷付け防止構造が、前記扉部における前記挿通孔近傍部位において、前記挿通孔の軸方向に沿って突出するような略環状とされて、前記挿通孔の内周面と前記取付部の外周面との間を塞いで、前記挿通孔の内周面と前記取付部の外周面との直接接触を防止するように配設されるスペーサ部から、構成されていることを特徴とする請求項5に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項7】
前記傷付け防止構造が、前記加飾プレート側に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
【請求項8】
前記傷付け防止構造が、前記加飾プレートにおける前記挿通孔の周縁を構成する部位を、全周にわたって、前記挿通孔の開口面と略直交するように屈曲させ、前記加飾プレートの肉厚寸法分より長い長さ寸法として、内周面を前記取付部の外周面に接触させる略筒状のスリーブ部から、構成されていることを特徴とする請求項7に記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−308141(P2008−308141A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160741(P2007−160741)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】