説明

オーニング装置

【課題】オーニング装置について専用の工具を用いることなくアームの角度すなわち開閉体手段の張設・保持の角度を容易に調整できるようにする。
【解決手段】クランクリングと同等形状のリングからなる角度調整用リングを角度調整手段に設け、クランクハンドルのフックを角度調整用リングに引っ掛けて手動で角度調整手段を回転させることによってアーム支持手段の取り付け角度を調整するようにした。これによって、クランクハンドルのフックを用いて角度調整用リングを回転することができるので、開閉体手段であるキャンバスの巻き取りや巻き戻し動作と同じように、専用の工具を用いることなくクランクハンドルを用いて開閉体手段であるキャンバスの張設・保持の角度を容易に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店頭などにおいて、日除けや雨除けなどのために開閉体である例えばキャンバスを開閉動作して張設・保持・収納するオーニング装置に係り、特に開閉体張設時の角度調整機構に改良を加えたオーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のオーニング装置の概略構成を示す図である。オーニング装置は、図1に示すように、例えば、店舗や住宅家屋などの建物の外壁等に取付ブラケット101を介して取り付けられる。なお、図1では、オーニング装置の左側だけを透視図として示し、示された左側だけの構成について説明を行なうが、同様の構成のものが右側にも存在することは言うまでもないので、その説明は省略する。取付ブラケット101は、上辺が長く、中辺と下辺が同じ長さをしたE字形をしている。このE字形の取付ブラケット101の中辺と下辺との間に角柱形状のアーム支持枠103がボルトとナットによって締め付け固定されている。このアーム支持枠103の左右両端近傍であって、取付ブラケット101の内側には、位置に自由度を有するリンク方式の関節アーム105,106がアームブラケット107を介して取り付けられている。関節アーム105の一端と関節アーム106の一端は、関節部材を介して回転自在に結合されている。
【0003】
関節アーム105の他端は関節部材を介してアームブラケット107に結合され、関節アーム106の他端は関節部在を介してキャンバス支持前枠108に回転自在に結合されている。なお、図示しないが、関節アーム105,106の内部には、関節アーム105,106を伸張させるような付勢力を作用させる引張コイルスプリングなどの弾性体を有する。従って、左右に取り付けられた関節アームによって、キャンバス支持前枠108には常に前方に向かって伸張しようとする付勢力が加わることになる。キャンバス支持前枠108は、日除け又は雨覆いとなる合成繊維製布地のキャンバス109の一端側が取り付けられる。キャンバス109の他端側は、巻取パイプ110に巻き回されている。巻取パイプ110は、アーム支持枠103の両端部に取り付けられたエンドブラケット111に回動自在に支持されている。
【0004】
巻取パイプ110は、中空パイプ形状をしている。オーニング装置が電動で開閉を行なう場合には、巻取パイプ110のいずれか一方の端部に、駆動源としての回転モータが内装される。なお、回転モータは巻取パイプ110内にあるので図示していない。回転モータの本体外側と巻取パイプ110の内側とが固定され、回転モータの出力軸がエンドブラケット111に回転しないようにボルトなどで固定されている。従って、回転モータが正方向に回転することによって、キャンバス109は繰り出されるように動作し、逆方向に回転することによってキャンバス109は巻き取られるように動作する。すなわち、回転モータを正逆方向に回転させることによって開閉体であるキャンバス109の開閉動作を制御している。
【0005】
カバープレートは、上部カバー112と左右両端の側カバー113,114とで構成される。上部カバー112は、前縁が下向きに湾曲し、その断面形状が略J字状に形成された湾曲したアルミ合金などを素材とする板材で構成され、両端近傍における下面が取付ブラケット101(右側にも取付ブラケットが存在するがカバープレートに隠れていて図示されていない)の上端に固定されて、巻取パイプ110とこれに巻回されるキャンバス109を上方より覆い、かつ、側カバー113,114にて左右の外側面側を覆うようになっている。なお、この上部カバー112は、左右幅方向に長尺なことからそのたわみを防止するために、略L字形状のサポートブラケットが略中間位置に設けられ、上部カバー112を支持するようになっている。なお、このサポートブラケットについては図示を省略してある。
【0006】
このオーニング装置は、電動でキャンバス109の開閉動作を行うことができると共に手動ギア115及びクランクリング116を介して手動でキャンバス109の開閉動作を行うことができるように構成されている。なお、オーニング装置には、図1のように電動と手動の両方で開閉動作を行う電手動タイプ、電動だけで開閉動作を行う電動タイプ、手動だけで開閉動作を行う手動タイプの3種類が存在する。
【0007】
図2は、図1のオーニング装置のアームの角度調整機構の概略構成を示す図であり、図1のオーニング装置を左側側面から見た図である。図2においては、側カバー113、手動ギア115及びクランクリング116の図示を省略してある。関節アーム105,106の角度、すなわちキャンバス109の張設角度を調整する場合には、アームブラケット107に取り付けてあるアームホルダ117の取付角度を調整することによって行っている。この取付角度の調整は、アームホルダ117をアームブラケット107の側面に押圧固定するための固定ボルト118をスパナで緩め、六角棒スパナ120をアームブラケット107の下孔にセットし、アームブラケット107に内蔵されている角度調整ボルト119を回転させることによって行う。すなわち、角度調整ボルト119を回転させることによってアームブラケット107に対するアームホルダ117の角度を調整することができるようになっている。このような角度調整は、アームブラケット107の側面に刻印された角度マークを目安にして、それぞれの左右の関節アーム105,106がほぼ同じ角度となるように左右のアーム105,106を交互に徐々に調整する必要がある。左右のアーム105,106の微調整が終了したら、固定ボルト118をスパナで締めつけることによって、角度調整は終了する。
【0008】
このような角度調整機構の付いたオーニング装置として特許文献1に示すようなものがある。特許文献1に示されたものは、製品セットの構成部材を少なくして製造コストを低減させ、オーニングの傾斜角度を目視しながら、容易に角度調節できるようにしたものである。
【特許文献1】特開平08−246629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2に記載されたオーニング装置のアーム角度調整機構は、固定ボルト118をスパナ等の工具で緩め、アームブラケット107に内蔵されている角度調整ボルト119を専用(換言するとこのオーニング装置の操作具としては非兼用)の六角棒スパナ120で回転させることによってアームホルダ117の角度を調整し、調整後に固定ボルト118を締めつけてアームの角度を調整するように構成されている。特許文献1に記載されたアーム角度調整機構も同じく、ボルトをスパナ等の工具で緩め、アームの取付部の上下に設けられた2個の角度調整用ボルトをスパナ等の工具で回転させて傾動部材(アームホルダ)の角度を調整し、調整後にボルトを締めつけてアームの角度を調整するように構成されている。
【0010】
このように従来のオーニング装置は、アームの角度すなわちキャンバスの張設・保持の角度を調整する場合に、その作業手順が上述のように煩雑であり、かつ、専用の工具を用いないと作業できないことから、日照条件や天候に応じてオーニング装置の使用者が自由にかつ容易にアーム角度を調整することは困難な構成となっていた。
【0011】
この発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、専用の工具を用いることなくアームの角度すなわちキャンバスの張設・保持の角度を容易に調整することができるオーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るオーニング装置の第1の特徴は、角度調整手段の回転量を調整することによって、アーム手段を支持するアーム支持手段の取り付け角度を調整するアームブラケット手段と、前記アーム手段の先端部に取り付けられた前枠保持手段によって保持される前枠手段と、前記前枠手段に固定された開閉体手段と、前記開閉体手段を巻き取ったり、巻き戻したりすることによって前記開閉体手段の開閉動作を行なう巻取手段とを備え、クランクハンドルのフックを手動ギアのクランクリングに引っ掛けて手動で前記巻取手段を回転させることによって前記開閉体手段の開閉動作を行うように構成されたオーニング装置において、前記クランクリングと同等形状のリングからなる角度調整用リングを前記角度調整手段に設け、前記クランクハンドルのフックを前記角度調整用リングに引っ掛けて手動で前記角度調整手段を回転させることによって前記アーム支持手段の取り付け角度を調整するように構成したことにある。これは、クランクハンドルのフックを用いて角度調整用リングを回転することができるので、開閉体手段であるキャンバスの巻き取りや巻き戻し動作と同じように、専用の工具を用いることなくクランクハンドルを用いてキャンバスの張設・保持の角度を容易に調整することができる。なお、本発明のオーニング装置おいて、開閉体であるキャンバスを張設(展張)する動作を開動作と呼び、キャンバスを収納する動作を閉動作と呼ぶ。
【0013】
本発明に係るオーニング装置の第2の特徴は、角度調整手段の回転量を調整することによって、アーム手段を支持するアーム支持手段の取り付け角度を調整するアームブラケット手段と、前記アーム手段の先端部に取り付けられた前枠保持手段によって保持される前枠手段と、前記前枠手段に固定された開閉体手段と、前記開閉体手段を巻き取ったり、巻き戻したりすることによって前記開閉体手段の開閉動作を行なう巻取手段とを備え、クランクハンドルのフックを手動ギアのクランクリングに引っ掛けて手動で前記巻取手段を回転させることによって前記開閉体手段の開閉動作を行うように構成されたオーニング装置において、前記角度調整手段を前記アームブラケット手段に回転自在に取り付けられたボールネジ又は台形ネジ構造の角度回転軸手段で構成し、前記角度回転軸手段の下側端部にクランクリングと同等形状の角度調整用リング手段を設け、前記クランクハンドルのフックを前記角度調整用リング手段に引っ掛けて手動で前記角度回転軸手段を回転させることによって前記アーム支持手段の取り付け角度を調整するように構成したことにある。
従来の角度調整ボルトは、普通のネジなので、強度的に問題があるので、この発明では、強度の大きいボールネジ又は台形ネジ等を用いるようにした。すなわち、角度調整手段をボールネジ又は台形ネジ構造の角度回転軸手段で構成し、この角度回転軸手段に角度調整用リング手段を設け、クランクハンドルのフックを角度調整用リング手段に引っ掛けて手動で角度回転軸手段を回転させることによってアーム支持手段の取り付け角度を調整できるようにしたものである。これによって専用の工具を用いることなくクランクハンドルを用いてキャンバスの張設・保持の角度を容易に調整することができる。
【0014】
本発明に係るオーニング装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載のオーニング装置において、前記角度回転軸手段の回転に応じて前記角度回転軸手段の軸方向に沿ってスライド移動する角度スライド軸手段を設け、前記アーム支持手段は、前記アームブラケット手段に設けられた支点軸を中心に回転するように前記アームブラケット手段を両側から挟み込むように取り付けられており、前記角度スライド軸手段の両端部が挿通される孔であって、前記支点軸を中心とする法線方向に沿って中心の離れた二つの円の接線部分の切り取られた長円形状の支持孔を備えており、前記角度スライド軸手段は軸方向に沿ってスライド移動すると共に前記支持孔に沿って移動するように構成されたことにある。
これは、角度回転軸手段の回転に応じてスライド移動する角度スライド軸手段を設け、この角度スライド軸手段とアーム支持手段との関係をより具体的にしたものである。
【0015】
本発明に係るオーニング装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載のオーニング装置において、前記角度調整手段によって前記アーム支持手段の左右の取り付け角度が異なり、前記アーム手段の姿勢が互いにねじれた場合に、前記前枠保持手段は、前記アーム手段に対して旋回して前記前枠手段の姿勢を維持するように構成されたアームキャップ手段を介して前記アーム手段に取り付けられていることにある。
これは、アーム手段に対して旋回して前枠保持手段の姿勢を維持するように構成されたアームキャップ手段を設け、角度調整によって左右のアーム手段がねじれて、最大で約30度程度の角度差(ねじれ)となった場合でもそのねじれ分をアームキャップ手段の旋回動作によって吸収し、アーム手段の角度調整を容易にできるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のオーニング装置によれば、専用の工具を用いることなくアームの角度すなわちキャンバスの張設・保持の角度を容易に調整することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係るオーニング装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態ではボックスタイプのオーニング装置を例に説明する。図3は、本発明に係るオーニング装置の外観の概略を示す図である。図4は、図3のオーニング装置を左側側面から見た図である。図3及び図4において、図1及び図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。
【0018】
図3及び図4に示すように、本発明に係るオーニング装置で採用した新しい点は、アームブラケット200の下側に手動ギア115のクランクリング116と同等形状のリングを備えた角度調整用リング201を設け、この角度調整用リング201にクランクハンドルのフックを引っ掛けてアームの角度調整を行うことができるようにした点である。なお、キャンバス109に隠れた右側部分についても同様にアームブラケット、アームストッパ並びに角度調整用リングが設けられている。
【0019】
図5は、図4のオーニング装置からアームの角度調整機構に関する部分を抜き出して示した図であり、図4の裏側すなわち図3のオーニング装置の中央から左側のアームブラケットを見た図である。図5に示すように、アームブラケット200は、その引っ掛け部分に横からスライドされて引っ掛けられたアームブラケットホルダ202によって、アーム支持枠103に取り付けられている。アームブラケット200とアームブラケットホルダ202は、ボルト203によって、アーム支持枠103に沿ってスライド移動しないように締め付けられて固定されている。
【0020】
図6は、図5のアームブラケット200と角度調整用リング201との詳細構成を示す図である。図7は、図5のアームホルダ210の詳細構成を示す図であり、図7(A)は、アームホルダ210と角度調整用リング201に係合される角度スライド軸205を示し、図7(B)は、図7(A)を下側から見た側面図であり、図7(C)は、図7(B)を左側から見た側面図である。なお、図7(B),図7(C)では角度スライド軸205が省略してある。
【0021】
図6に示すように、アームブラケット200には、ボールネジ構造(台形ネジでも可)の角度回転軸204が回転自在に取り付けられている。角度回転軸204の下側端部には、角度調整用リング201がネジ止め等の締結部材によって固定されている。角度回転軸204には、図7(A)に示すような角度スライド軸205が係合されている。この角度スライド軸205は、角度回転軸204が螺合して挿通しており、角度回転軸204の回転に応じて角度回転軸204に沿ってスライド移動するようになっている。角度スライド軸205の両端は、アームブラケット200の側面に設けられた案内窓212を介して、アームホルダ210の側面に設けられた支持孔211に移動自在に取り付けられている。
【0022】
アームホルダ210は、図7に示すように全体的にコの字型をしており、図5に示すように、アームブラケット200を両側からそのコの字型の中間部分に挟み込むように、支点軸206を中心に回転自在に取り付けられている。アームホルダ210の側面に設けられている支持孔211は、支点軸206を中心とする法線方向に沿って中心の離れた二つの円の接線部分を切り欠いた長円形状をしている。角度スライド軸205は、この長円形状の支持孔211に沿って移動可能に取り付けられている。
【0023】
図5において実線で示したアームホルダ210aは、角度スライド軸205が角度回転軸204の最上端部に位置する場合を示し、点線で示したアームホルダ210cは、逆に角度スライド軸205が角度回転軸204の最下端部に位置する場合を示す。この実施の形態では、アームホルダ210cは支点軸206を中心として約30度回転可能に設定されている。この角度は一例であり、これ以上でも以下でもよいことは言うまでもない。図5,7に示すようにアームホルダ210の片側側面には、関節アーム105,106の取り付けられる凸状の取り付け部208,209が設けられている。
【0024】
図8は、図5の角度調整機構によって角度調整されたアームの位置関係を示す図である。図8の関節アーム105a,106aは、図5の角度スライド軸205が角度回転軸204の最上端部に位置する場合(水平面に対して関節アーム105aが約15度に位置する場合)のアームホルダ210aに保持されたアームの位置を示し、関節アーム105c,106cは、角度スライド軸205が角度回転軸204の最下端部に位置する場合(水平面に対して関節アーム105cが約45度に位置する場合)のアームホルダ210cに保持されたアームの状態を示し、関節アーム105b,106bは、角度スライド軸205が角度回転軸204のほぼ中間付近に位置する場合、すなわちアームホルダ210aとアームホルダ210cとの間のほぼ中間付近に位置する場合(水平面に対して関節アーム105bが約30度に位置する場合)のアームホルダ(図示せず)に保持されたアームの状態を示すものである。図8において、関節アーム105a,106aと関節アーム105b,106bは約15度、関節アーム105b,106bと関節アーム105c,106cも約15度の角度を成していることが理解できる。
【0025】
図9は、図8のアーム先端部に取り付けられているアームキャップとキャンバス支持前枠と前枠金具との関係を示す図である。キャンバス支持前枠108のアーム側の側面に、T字型の前枠金具1081の横軸の両端部2個所がネジ止め固定されている。T字型の前枠金具1081の縦軸には丸棒状のインサート部1082が設けられている。アームキャップ1061は、このインサート部1082が挿通される挿通孔を有する。図10は、図9のアームキャップを斜め下側から見た斜視図である。アームキャップ1061に設けられた挿通孔は、図9のアームキャップ1061内に点線で示すように、2個の頂角約30度の円錐形の頂点部をそれぞれ重ね合わせた形状をしており、その内径の最も小さい部分がインサート部1082の外径にほぼ合致している。挿通孔に挿通されたインサート部1082のボルト状の先端部は、アームキャップ1061の上下両端に形成された球面部にほぼ合致した形状の球面ワッシャー1063,1064を介してナットで締め付けられて取り付けられている。従って、インサート部1082は、内径の最も小さい部分を中心(支点)に挿通孔内を自在に旋回移動するようになっている。アームキャップ1061に接続された台形状の取付部1062は、関節アーム106の先端部内に収納固定される。
【0026】
図11は、図8のアーム先端部のキャンバス支持前枠及び前枠金具と、それぞれ異なるアーム角度に調整されたアームの先端部に取り付けられたアームキャップとの関係を示す図であり、説明の便宜上アーム先端部の角度を固定した場合において、図11(A)は、図8の関節アーム105aに示すように水平面と成す角度が約15度の場合、図11(B)は、図8の関節アーム105bに示すように水平面と成す角度が約30度の場合、図11(C)は、図8に示すように関節アーム105cが水平面と成す角度が約45度の場合をそれぞれ示すものである。なお、図8、図9及び図11のキャンバス支持前枠と図3及び図4のキャンバス支持前枠は、それぞれ異なる形状のものが示してあるが、実施の形態の本質には影響しないので、説明の便宜上同じ符号を用いて説明してある。図3に示すオーニング装置の一方(左側)のアームが図11(A)に示す関節アーム105aのように水平面に対して約15度の角度にある場合に、他方(右側)のアームが角度調整用リング201によってアーム角度を調整されて、図11(B)の関節アーム105bのように水平面に対して約30度の角度に移動された場合、左右のアームの角度はそれぞれ約15度異なることになる。この場合、それぞれ左右の前枠金具1081のインサート部がアームキャップ1061の挿通孔内を旋回し、互いにねじれた状態が許容される。
【0027】
同じく、図3に示すオーニング装置の一方(左側)のアームが図11(A)に示す関節アーム105aのように水平面に対して約15度の角度にある場合に、他方(右側)のアームが角度調整用リング201によってアーム角度を調整されて、図11(C)の関節アーム105cのように水平面に対して約45度の角度に移動された場合、左右のアームの角度はそれぞれ約30度異なることになる。この場合も同様に、それぞれ左右の前枠金具1081のインサート部がアームキャップ1061の挿通孔内を旋回し、互いにねじれた状態が許容される。
【0028】
従来のオーニング装置は、アーム先端部と前枠金具が固定的に設けられているので、アームの角度調整を行う場合、左右のアームの角度を約5度以上となるように調整することは困難であり、従ってアームの角度を調整する場合には左右のアームをほぼ同時に調整するか又は左右の角度を徐々に調整しないと、アームの角度を調整(変更)することはできなかったが、この実施の形態によれば、左右のアームの角度が5度以上30度以下の範囲になったとしても、一般的なオーニング装置と同様にアームの張り出し長が最大長で、左右アームとキャンバス支持前枠との接続部同士の間隔が十分に長い場合においては、左右のアームの角度調整の角度差が30度以下であれば、前枠金具1081のインサート部がアームキャップ1061の挿通孔内を自在に旋回することとなるので、左右のアーム角度を最大で30度の範囲でそれぞれ異なる角度に調整(変更)することが可能となり、極端な例として、片方のアームの角度だけを調整することも可能である。
【0029】
図12は、本発明に係るオーニング装置の別の実施の形態を示す図である。この実施の形態では、六角棒スパナをアームブラケット107の下孔にセットしてアームブラケット107に内蔵されている角度調整ボルト119を回転させてアームホルダ117の角度を調整していた従来の角度調整方法に替えて、単純に手動ギア115のクランクリング116と同等形状のリングを備えた角度調整用リング201をアームブラケット107の下側に設けて、この角度調整用リング201にクランクハンドルのフックを引っ掛けてアームの角度調整を行うようにした。なお、図12の実施の形態では、キャンバス支持前枠、前枠金具及びアームキャップが図2の従来のままであるが、これに替えて図9のものを使用することによって、左右のアーム角度を最大で30度の範囲でそれぞれ異なる角度に設置することが可能となり、片方のアームの角度だけを調整することも可能となる。
【0030】
なお、開閉体としては、キャンバス等のスクリーン状のものやネット状のもの、すだれ状のもの等を用いてもよい。上述の実施の形態では、図示していないが、キャンバス支持前枠108のほぼ中央付近に水準器を設け、キャンバス支持前枠の傾きや水平レベルの目安として利用するようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、角度回転軸204の下側端部に角度調整用リング201をネジ止め等の締結部材によって固定する場合について説明したが、角度調整用リング201をユニバーサルジョントを介して設けてもよい。これによって、角度調整用リング201に対してクランクハンドルのフックを容易に引っ掛けてアームの角度調整を行うことができるようになる。本実施例で示した角度の数値は、一般的な使用条件で部材の強度等を考慮した好適な一例であり、オーニング装置各部の寸法や強度、設置環境などに応じておおむね15〜75度の間で数値を置き換えることも可能である。本実施例では、アームキャップ1061に設けた挿通孔をアームの角度調整範囲の大きさと同じ角度の円錐形の頂点部をそれぞれ重ね合わせた形状とすることにより、インサート部の旋回可能な角度をアームの角度調整範囲の大きさと同じにしたが、インサート部の旋回可能角度をアームの角度調整範囲の大きさよりやや大きい角度としてもよい。また、さらに大きな角度とすることも可能である。また、上述の実施の形態では、アームキャップに設けられた挿通孔は2個の円錐形の頂点部をそれぞれ重ね合わせた形状としているので、アームとキャンバス支持前枠との前後の傾きだけでなく、左右の傾きにも対応可能である。さらに、アーム(特に関節アーム106)がキャンバス支持前枠に対して前枠金具のインサート部を軸に軸回転するが、アームキャップに設けられた挿通孔は2個の円形粋の頂点部をそれぞれ重ね合わせた形状をしているので、対応可能である。ここでの前後、左右とは、オーニング装置を正面視した場合の表現である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来のオーニング装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のオーニング装置のアームの角度調整機構の概略構成を示す図である。
【図3】本発明に係るオーニング装置の外観の概略を示す図である。
【図4】図3のオーニング装置を左側側面から見た図である。
【図5】図4のオーニング装置からアームの角度調整機構に関する部分を抜き出して示した図であり、図4の裏側すなわち図3のオーニング装置の中央から左側のアームブラケットを見た図である。
【図6】図5のアームブラケットと角度調整用リングとの詳細構成を示す図である。
【図7】図5のアームホルダの詳細構成を示す図であり、図7(A)は、アームホルダと角度調整用リングに係合される角度スライド軸を示し、図7(B)は、図7(A)を下側から見た側面図であり、図7(C)は、図7(B)を左側から見た側面図である。
【図8】図5の角度調整機構によって角度調整されたアームの位置関係を示す図である。
【図9】図8のアーム先端部に取り付けられているアームキャップとキャンバス支持前枠と前枠金具との関係を示す図である。
【図10】図9のアームキャップを斜め下側から見た斜視図である。
【図11】図8のアーム先端部のキャンバス支持前枠及び前枠金具と、それぞれ異なるアーム角度に調整されたアームの先端部に取り付けられたアームキャップとの関係を示す図である。
【図12】本発明に係るオーニング装置の別の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
101…取付ブラケット
103…アーム支持枠
105,106…関節アーム
107…アームブラケット
108…キャンバス支持前枠
109…キャンバス
110…巻取パイプ
111…エンドブラケット
112…上部カバー
113,114…側カバー
115…手動ギア
116…クランクリング
117…アームホルダ
118…固定ボルト
119…角度調整ボルト
120…六角棒スパナ
200…アームブラケット
201…角度調整用リング
202…アームブラケットホルダ
203…ボルト
204…角度回転軸
205…角度スライド軸
206…支点軸
210…アームホルダ
211…支持孔
212…案内窓
1061…アームキャップ
1081…前枠金具
1082…インサート部
1063,1064…球面ワッシャー
1062…取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度調整手段の回転量を調整することによって、アーム手段を支持するアーム支持手段の取り付け角度を調整するアームブラケット手段と、
前記アーム手段の先端部に取り付けられた前枠保持手段によって保持される前枠手段と、
前記前枠手段に固定された開閉体手段と、
前記開閉体手段を巻き取ったり、巻き戻したりすることによって前記開閉体手段の開閉動作を行なう巻取手段とを備え、
クランクハンドルのフックを手動ギアのクランクリングに引っ掛けて手動で前記巻取手段を回転させることによって前記開閉体手段の開閉動作を行うように構成されたオーニング装置において、
前記クランクリングと同等形状のリングからなる角度調整用リングを前記角度調整手段に設け、前記クランクハンドルのフックを前記角度調整用リングに引っ掛けて手動で前記角度調整手段を回転させることによって前記アーム支持手段の取り付け角度を調整するように構成したことを特徴とするオーニング装置。
【請求項2】
角度調整手段の回転量を調整することによって、アーム手段を支持するアーム支持手段の取り付け角度を調整するアームブラケット手段と、
前記アーム手段の先端部に取り付けられた前枠保持手段によって保持される前枠手段と、
前記前枠手段に固定された開閉体手段と、
前記開閉体手段を巻き取ったり、巻き戻したりすることによって前記開閉体手段の開閉動作を行なう巻取手段とを備え、
クランクハンドルのフックを手動ギアのクランクリングに引っ掛けて手動で前記巻取手段を回転させることによって前記開閉体手段の開閉動作を行うように構成されたオーニング装置において、
前記角度調整手段を前記アームブラケット手段に回転自在に取り付けられたボールネジ又は台形ネジ構造の角度回転軸手段で構成し、
前記角度回転軸手段の下側端部にクランクリングと同等形状の角度調整用リング手段を設け、
前記クランクハンドルのフックを前記角度調整用リング手段に引っ掛けて手動で前記角度回転軸手段を回転させることによって前記アーム支持手段の取り付け角度を調整するように構成したことを特徴とするオーニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のオーニング装置において、
前記角度回転軸手段の回転に応じて前記角度回転軸手段の軸方向に沿ってスライド移動する角度スライド軸手段を設け、
前記アーム支持手段は、前記アームブラケット手段に設けられた支点軸を中心に回転するように前記アームブラケット手段を両側から挟み込むように取り付けられており、前記角度スライド軸手段の両端部が挿通される孔であって、前記支点軸を中心とする法線方向に沿って中心の離れた二つの円の接線部分の切り取られた長円形状の支持孔を備えており、
前記角度スライド軸手段は軸方向に沿ってスライド移動すると共に前記支持孔に沿って移動するように構成されたことを特徴とするオーニング装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のオーニング装置において、
前記角度調整手段によって前記アーム支持手段の左右の取り付け角度が異なり、前記アーム手段の姿勢が互いにねじれた場合に、前記前枠保持手段は、前記アーム手段に対して旋回して前記前枠手段の姿勢を維持するように構成されたアームキャップ手段を介して前記アーム手段に取り付けられていることを特徴とするオーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−24761(P2010−24761A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189570(P2008−189570)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000133984)株式会社テンパル (6)
【Fターム(参考)】