説明

オーバーシューズ

【課題】靴と下肢部の着衣を、雨、雪、汚水、泥濘等による汚染から守ることができる簡単な構成のオーバーシューズを提供する。
【解決手段】本発明のオーバーシューズ1は、着用中の履物2全体に続いて下肢3の膝3aの上までを包むことが出来る。例えば、織物、編み物、又は不織布から成る地に合成樹脂を塗布された非通水性の素材からなる長い袋状の本体4と、本体4の上端開口部の履き口5に形成された紐通し部6と、この紐通し部6に挿通されて外部に結束用の引出部7aを引き出された結び紐7を備えている。着用の際は、紐通し部6を緩めて履き口5を大きく開け、その大きく開けた履き口5から、履物2ごと下肢3とズボン8の裾を挿入し、オーバーシューズ1の履き口5を膝3aの上まで引き上げ、結び紐7の引出部7aを引き締めて結束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物及び下肢膝上までを、雨、雪、汚水、泥濘等による汚染から防止するオーバーシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨、雪、汚水、泥濘等の汚染から足を守るものとしてはゴム又は皮製の長靴が用いられる場合が多い。しかし、皮製の長靴は高価なうえ、どちらかといえば、防寒と、おしゃれ用の装飾を兼ねていて、雨等の汚染から足を守るものとしては、実用に適しているとは言いがたい。
【0003】
また、ゴム製の長靴は、安価であり、雨等の汚染から足を守るには実用に適しているが、どちらかといえば、作業用として用いられる場合が多く、街中の通勤にも適しているとはいいがたい。
【0004】
これに対して、靴そのものの損傷を防ぐ目的で、又は靴や下肢の着衣が雨等で濡れることを防ぐ目的で、靴の上から足に二重に装着しても用いるオーバーシューズというものが知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−109953公報
【特許文献2】特開2004−105695公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、靴そのものの損傷を防ぐ目的であるため、雨、雪、汚水、泥濘等の汚染から足を守ることはできないという課題がある。
【0007】
また、特許文献2の技術は、雨等の汚染から足を守るために提案されてはいるが、とても構造が複雑で使い勝手がよいとは言いがたく、また不使用時の携帯の便利さにも考慮がなされていないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決することを目的とし、本発明のオーバーシューズは、着用中の履物全体に続いて下肢の膝上までを包むことができる長い袋状の本体と、該本体の上端開口部に形成された紐通し部と、該紐通し部に挿通され外部に結束用の引出部を引き出された結び紐と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のオーバーシューズは、着用中の履物全体に続いて下肢の膝上までを包むことができる長い袋状の本体と、該本体の上端開口部に形成されたゴム紐通し部と、該ゴム紐通し部に挿通された無端状のゴム紐と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長い袋状の本体と、本体の開口部を膝上で閉じるための結び紐又はゴム紐を備えているだけなので、不使用時には小さく折り畳んで携帯に便利であり、使用時には着用中の靴ごと足に履いて開口部を膝上で閉じるだけで、靴と下肢部の着衣を、雨、雪、汚水、泥濘等による汚染から守ることができ、使用方法が簡単で使い勝手がよいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るオーバーシューズの構成と使用例を示す図である。
【図2】実施例1に係るオーバーシューズの紐通し部の他の例を示す図である。
【図3】本発明の実施例2に係るオーバーシューズの構成と使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るオーバーシューズの構成と使用例を示す図である。図1に示すように、実施例1に係るオーバーシューズ1は、着用中の履物(図の例で紳士靴)2全体に続いて下肢3の膝3aの上までを包むことが出来る長い袋状の本体4から成る。
【0013】
本体4は、例えば、織物、編み物、又は不織布から成る地に、合成樹脂を塗布された非通水性の素材からなる。
【0014】
また、本体4は、使い捨てのオーバーシューズとするときは、例えば厚さ0.025〜0.05mm程度の合成樹脂のシートを熱溶着ミシンで逢着して袋状に成形したもの、または筒状に引き出し成形した合成樹脂の筒状体を適宜に裁断して一方の開口を熱溶着ミシンで逢着して形成してもよい。尚、合成樹脂のシートの厚さは上記に限るものではない。
【0015】
この本体4の上端開口部の履き口5には、紐通し部6が形成されている。この紐通し部6には、紐通し部6に挿通されて外部に結束用の引出部7aを引き出された結び紐7を備えている。
【0016】
このオーバーシューズ1を実際に使用する際は、紐通し部6を緩めて履き口5を大きく開け、その大きく開けた履き口5から、履物2ごと下肢3とズボン8の裾を挿入し、オーバーシューズ1の履き口5を膝3aの上まで引き上げる。
【0017】
ここで、結び紐7の引出部7aを引き締め、結束すると、ズボン8の上から膝3aの上部に締め付けられた履き口5は、膝頭が抵抗部となるので、それより下にずり落ちることはない。
【0018】
この状態で、雨、雪、汚水、又は泥濘等の中を歩き回った後、オーバーシューズ1を脱ぐと、履物2を始め、下肢3、ズボン8が、雨、雪、汚水、又は泥濘等で汚れた形跡もなく、オーバーシューズ1を履く前と全く同じ清潔な状態に維持されている。
【0019】
尚、オーバーシューズ1の履物2の底に対応する部分の樹脂コーティングを適宜に厚くすると、使い捨てとせず、複数回の使用に耐える製品とすることができる。また、紐通し部6は、図1に示すように、本体4の上端開口部を折り返して逢着して管状に形成したものと限るものではない。
【0020】
図2は、紐通し部の他の例を示す図である。図2に示すオーバーシューズ1の本体4の履き口5の周囲には、複数の穴9が形成されている、これらの穴9に内外交互に結び紐7が挿通されている。このように、単に、上端開口部の周囲に複数の穴9を開けて、これら複数の穴9を紐通し部6としてもよい。
【実施例2】
【0021】
図3は、本発明の実施例2に係るオーバーシューズの構成と使用例を示す図である。図2に示す本例のオーバーシューズ10は、履き口5に形成された紐通し部6に挿通されるのが、実施例1のように結び紐7ではなくゴム紐11である点を除けば、他の構成は全て実施例1の場合と同様である。
【0022】
ゴム紐9は、裸ゴム紐でも、被覆ゴム紐でもよい。要は、一般的にゴム紐を用いた例えばパンツ等の下着類と同様に、紐通し部6に挿通されて両端部を結束または縫い閉じて無端状の輪ゴムとしたものである。
【0023】
このオーバーシューズ10の場合も、実際に使用する際は、履き口5を紐通し部6と共に大きく開けて、その大きく開けた履き口5から、履物2ごと下肢3とズボン8の裾を挿入し、オーバーシューズ1の履き口5を膝3aの上まで引き上げる。
【0024】
そこで、履き口5を広げていた手を離すと、紐通し部6の中で伸ばされていたゴム紐11が収縮し、履き口5がズボン8の上から膝3aの上部を締め付る。このように締め付けられた履き口5は、膝頭が抵抗部となるので、それより下にずり落ちることはない。なお、本例の場合も、上端開口部の周囲に複数の穴9を開けて、これら複数の穴9を紐通し部6としてもよい。
【0025】
このように、本発明の実施例1又は2のオーバーシューズ1又は10を用いれて、降雨、降雪時の通勤、屋外での作業等や、川べりその他における水仕事をするときに着用すると、足元が水に濡れることが無いので、通勤や屋外仕事が快適に過ごすことができる。
【0026】
また、家庭内では、例えば風呂場の掃除や庭仕事等に用いても快適に作業することができる。
【0027】
なお、怪我等で足に包袋を巻いているときに、本発明のオーバーシューズ1を着用して入浴すると、怪我の部分はもちろん、包袋も濡らすことなく快適に入浴することができる。また、これは怪我等で手や腕に包袋を巻いているときにも応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、靴と下肢部の着衣を、雨、雪、汚水、泥濘等による汚染から守ることができる簡単な構成のオーバーシューズに利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 オーバーシューズ
2 履物
3 下肢
3a 膝
4 本体
5 履き口
6 紐通し部
7 結び紐
7a 引出部
8 ズボン
9 穴
10 オーバーシューズ
11 ゴム紐


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用中の履物全体に続いて下肢の膝上までを包むことができる長い袋状の本体と、
該本体の上端開口部に形成された紐通し部と、
該紐通し部に挿通され外部に結束用の引出部を引き出された結び紐と、
を有することを特徴とするオーバーシューズ。
【請求項2】
前記紐通し部は、複数の孔から成る、又は前記上端開口部を折り返して逢着して管状に形成されて成る紐通し部である、ことを特徴とする請求項1記載のオーバーシューズ。
【請求項3】
着用中の履物全体に続いて下肢の膝上までを包むことができる長い袋状の本体と、
該本体の上端開口部に形成されたゴム紐通し部と、
該ゴム紐通し部に挿通された無端状のゴム紐と、
を有することを特徴とするオーバーシューズ。
【請求項4】
前記ゴム紐通し部は、複数の孔から成る、又は前記上端開口部を折り返して逢着して管状に形成されて成るゴム紐通し部である、ことを特徴とする請求項3記載のオーバーシューズ。
【請求項5】
前記本体は、織物、編み物、又は不織布から成る地に、合成樹脂を塗布された非通水性の素材からなる、ことを特徴とする請求項1又は3記載のオーバーシューズ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−67599(P2011−67599A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−103483(P2010−103483)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(594073510)
【Fターム(参考)】