説明

オープンショーケース

【課題】ラウンド形ショーケースの据付け現場で行うケース本体の組立施工性の改善が図れるように天井板,天井パネルの支持構造を改良する。
【解決手段】ケース本体の舟底部の後部中央に立設した冷気通風ダクトを兼ねるフレーム構造の棚柱2の頂部に天井板3を載置固定するとともに、天井板3の下面側には前記棚柱2に固定して前方に延在するトップフレーム11を敷設し、このトップフレーム11の先端に螺設したアジャストボルト15を天井板3の裏面に配した受金12に押し当てて天井板3の先端部の高さ位置を調整支持するようにしたものにおいて、溝片鋼板製になる前記受金12の側壁を下方に垂下延長し、その延長部に設けた吊り金具16を介して庫内の天井側に敷設する天井パネル8を吊り下げ支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大形店舗の売場に据付けたラウンド形ショーケースのコーナーケースに適用するオープンショーケースに関し、詳しくはその本体ケースの天井板,天井パネルの支持構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
周知のように頭記のラウンド形ショーケースは、背中合わせに並べた通常の多段形ケースと、その両端に並設したコーナーケースとから構築されており、そのコーナーケースには、正面および左右の三面を開放したケース本体の庫内に上下段に並ぶ商品陳列棚を備えた冷気循環式のオープンショーケースが適用される(例えば、特許文献1参照)。
一方、前記コーナーケースに適用するオープンショーケースについて、ケース本体の頂部に配置した天井板(断熱パネル)の自重による傾き(前傾)を修正する支持構造として、ケース本体の背面に立設したフレーム(支柱)に後端を結合して天井板の下面側に延在する補強部材(片持ち梁)を敷設した上で、この補強部材の先端に螺設したアジャストボルトを天井板の裏面に配した受金に押し当てて天井板の荷重を支えるとともに、アジャストボルトのねじ込み操作により天井板の先端部の高さ位置を調整して隣接するショーケースの天井板と横並びに揃えるようにした構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
なお、この冷気循環式のオープンショーケースにおいては、ケース本体の庫内背面側に画成した冷気通風ダクトを通じケース本体の開放面域に冷気エアカーテンを吹き出し形成するようにしており、前記した補強部材は前記天井板の下面側に敷設した天井パネルで覆うようにした上で、天井板の周縁に取付けた導風ガイドとその内側に敷設した天井パネルの周縁部分との間に開口する冷気吹出口にハニカム整流体を装着し、ショーケースの保冷運転時にケース本体の開放面域に冷気エアカーテンを吹出し形成するようにしている。
次に、ラウンド形ショーケースのコーナーケースに適用するオープンショーケースの従来例の構造を図2〜図4に示す。まず、図2(a)〜(c)に示すオープンショーケースの外形図において、1は断熱壁で作られたショーケースの舟底部、2は舟底部1後部中央に立設した冷気通風ダクト兼用の棚柱、3は前記棚柱2の上部に後端部を載置して固定支持した天井板(断熱パネル)、4は上下段に並べて前記棚柱2のパネル周面に支持した商品陳列棚である。なお、棚柱2は断熱パネル2aに背面パネル2bを組合せて構築した角筒形の中空構造体になり、その内方空間を通風路として次記のように舟底部1から天井部の冷気エアカーテン吹出口に通じる冷気循環ダクトを形成している。
【0004】
また、図3は前記ショーケース本体の内部構造を表す側視断面図であり、3aは天井板3に組み付けたキャノピー、5は舟底部1に内蔵した冷却器(冷凍機のエバポレータ)、6は庫内ファン、7はデッキパン、8は庫内の天井域に敷設した天井パネル、9は天井板3と天井パネル8との間の周縁に開口する冷気エアカーテンの吹出口に介装したハニカム整流体である。
また、上記構造を基本としてショーケースの本体ケースには、図4(a),(b)で表すように天井板3の下面側に該天井板のモーメント荷重を下支えする支持機構10を備えている。この天井板の支持機構10は、後端を前記棚柱2に結合(スポット溶接)して前方に延在するよう敷設した溝形鋼板製のトップフレーム(片持ち梁)11と、該トップフレーム11の上側に添わせて天井板3の裏面に止めネジ12aで固着した受金(溝形鋼板製)12とからなり、受金12はその後端部を支点ネジ13によりトップフレーム11の側面にネジ止めして回動可能に連結されている。一方、トップフレーム11の先端部にはナット14,および該ナット14に螺設したアジャストボルト15を設け、このアジャストボルト15の軸先端を前記受金12の下面に突き当てている。
【0005】
上記の構成により、後端部を前記棚柱2に載置して固定した天井板3の自重によるモーメント荷重が受金12,アジャストボルト15を介してトップフレーム11に下支えされる。また、この状態でアジャストボルト15をさらにねじ込むと、受金12を介して天井板3の前部を上に押し上げてその先端の高さ位置が上方向に変位する。これにより、ラウンド形ショーケースの据付け現場でコーナーケースを組立施工する際に、アジャストボルト15を調整することで、コーナーケースの天井板3を隣接するショーケースの天井板に揃えて横並びするように天井板3の先端高さ位置を修正することができる。
また、図4の従来構造では、(b)図で示すように前記トップフレーム11の側壁を下方に垂下延長した上で、その下端部に吊り金具16を介して庫内の天井域に敷設した天井パネル8を吊り下げ支持するようにしている。
【0006】
上記構成の冷気循環式ショーケースにより、保冷運転時には図3の矢印で表すように庫内ファン6の送風により冷却器5を貫流した冷気流が棚柱2のダクト内方を経由して上方に流れ、天井板3の周縁と天井パネル8との間に開口した冷気吹出口のハニカム整流体9を通じて庫内の開放面に冷気エアカーテンを吹出した後に、舟底部1の周縁に開口する冷気吸込口を通じて冷却器5に還流するように循環して庫内の商品陳列棚4に並べた商品を保冷することは周知の通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−71060号公報
【特許文献2】特開2000−342398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記した従来製品の天井板支持構造では、ラウンド形ショーケースのコーナーケースを設置現場に据付ける際に次記のような施工上の問題がある。
すなわち、ショーケースの仮組立状態で、自重で前傾した天井板3の姿勢を修正するように先記したアジャストボルト15をねじ込んで天井板3の前端部を上方に押し上げると、トップフレーム11に吊り下げ支持した天井パネル8は元の位置にそのまま支持されていることから、天井板3と天井パネル8との間に上下方向の相対的なズレが生じるようになる。
このために、本来はキャノピー3aの背後に隠れてケース前方からは見えない天井パネル8の周縁が前方に向けて露呈するようになり、このままの状態を放置すると外見上の体裁を損なうほか、天井パネル8と天井板3との間の周縁に沿って冷気吹出口に装着したハニカム整流体9の姿勢も傾いてしまって庫内開放面に吹出し形成する冷気エアカーテンを乱すようになる。そこで、従来では天井板3の高さ位置の調整に合わせて、天井パネル8の吊り下げ位置も修正するようにしているが、この修正の施工作業には手間と時間が掛かることからその対応策が望まれている。
【0009】
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、ラウンド形ショーケースの据付け現場で行うケース本体の組立施工性の改善が図れるように天井板,天井パネルの支持構造を改良したオープンショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明によれば、正面および左右の三面を開放したケース本体の庫内に上下段に並ぶ商品陳列棚を備えた冷気循環式のオープンショーケースで、冷却器,庫内ファンを内蔵した舟底部の後部中央に冷気通風ダクトを兼ねるフレーム構造の棚柱を立設した上で、該棚柱の頂部に天井板を載置固定するとともに、天井板の下面側には前記棚柱に固定して前方に延在するトップフレームを敷設し、かつこのトップフレームの先端に螺設したアジャストボルトを天井板の裏面に配した受金に押し当てて天井板の先端部の高さ位置を調整支持するようにしたものにおいて、
ケース本体の庫内天井側に敷設して前記天井板との間に冷気通風路を形成する天井パネルを前記受金に吊り下げ支持するものとし(請求項1)、具体的には溝片鋼板製になる前記受金の側壁を下方に垂下延長し、その延長部に設けた吊り金具を介して天井パネルを吊り下げ支持するようにする(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成において、トップフレームのアジャストボルトをねじ込むと、受金とともに天井板の前端部が上方に押し上げられとともに、同時に受金に吊り下げ支持した天井パネルも一緒に上方に移動する。したがって、アジャストボルトを調整操作した場合でも天井板と天井パネルとの間に相対的なズレが発生せず、これにより従来構造で問題となっていた外見上の見栄えの悪化,および冷気エアカーテン吹出口に装着したハニカム整流体の取付姿勢が傾くなどの不具合を回避して、ショーケース組立の施工作業を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例によるオープンショーケースの天井板,天井パネルの支持構造を表す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】ラウンド形ショーケースのコーナーケースに適用するこの発明の実施対象となるオープンショーケース外観図であり、(a),(b),(c)はそれぞれ正面図、平面図,および側面図である。
【図3】図2のオープンショーケースの内部構造を表す縦断側面図である。
【図4】図3のオープンショーケースに装備した従来の天井板,天井パネルの支持構造を表す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図1(a),(b)に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図において、図4に対応する同一部材には同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、図4の従来構造では庫内の天井側に敷設する天井パネル8をトップフレーム11に吊り下げ支持しているのに対して、この発明による図1の実施例では、トップフレーム11に対向して天井板3の裏面に固定した溝片鋼板製になる受金12の側壁を下方に垂下延長した上で、その先端に設けた吊り金具16を介して天井パネル8を吊り下げ支持している。
この支持構造により、トップフレーム11の先端に設けたアジャストボルト15をねじ込んで天井板3の高さ位置を調整すると、この天井板3に追随して天井パネル8も一緒に上昇変位する。
【0014】
したがって、ショーケースを組立てる施工作業の際にアジャストボルト15をねじ込み操作して天井板3の前端高さ位置を調整しても、天井板3と天井パネル8との間に相対的なズレが生じる畏れはなく、これによりラウンド形ショーケースの据付け現場でコーナーケースを組み立てる施工の作業性を改善できる。
【符号の説明】
【0015】
1 ショーケースの舟底部
2 棚柱
3 天井板
4 商品陳列棚
8 天井パネル
9 ハニカム整流体
11 トップフレーム
12 受金
14 ナット
15 アジャストボルト
16 天井パネルの吊り金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面および左右の三面を開放したケース本体の庫内に上下段に並ぶ商品陳列棚を備えた冷気循環式のオープンショーケースであり、冷却器,庫内ファンを内蔵した舟底部の後部中央に冷気通風ダクトを兼ねるフレーム構造の棚柱を立設した上で、該棚柱の頂部に天井板を載置固定するとともに、天井板の下面側には前記棚柱に固定して前方に延在するトップフレームを敷設し、かつこのトップフレームの先端に螺設したアジャストボルトを天井板の裏面に配した受金に押し当てて天井板の先端部の高さ位置を調整支持するようにしたものにおいて、
ケース本体の庫内天井側に敷設して前記天井板との間に冷気通風路を形成する天井パネルを前記受金に吊り下げ支持したことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
請求項1に記載のオープンショーケースにおいて、天井板の裏面に配した溝片鋼板製になる受金の側壁を下方に垂下延長した上で、その延長部に天井パネルを吊り下げ支持する吊り金具を設けたことを特徴とするオープンショーケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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