説明

オープン平型ショーケース用着脱式引戸

【課題】 客数が集中的に増加したときの冷却不良の発生を防止することができるオープン平型ショーケース用着脱式引戸を提供する。
【解決手段】 オープン平型ショーケース1の開口の奥行き寸法に対応した長さを有する一対の縦枠12と、開口の幅寸法を複数に分割した長さに対応する長さを有する一対の横枠13とを四方組みした枠体14と、枠体14内に前後方向に引き違い可能に設けられた一対の引戸15とを備え、横枠の下面には、開口に設けられた吹出口ノジング6a及び吸込口ノジング8aの上面に載置される設置片13aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープン平型ショーケース用着脱式引戸に関し、特に、アイスクリームや冷凍食品を陳列販売するオープン平型冷凍ショーケースの開口に着脱自在に設置される引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品売場では、アイスクリームや冷凍食品を陳列販売するために平型ショーケースが多く用いられている。この平型ショーケースは、上部の開口に引戸を設けたものと設けないものとが設定されており、店舗の状況に応じて引戸付き、引戸無しのいずれかを選択していた。また、島型ケースの場合の引戸は、左右開閉式が一般に採用されている。
【0003】
一方、小型の冷凍ショーケースでは、前後方向に開閉する引き戸や左右方向に開閉する引き違い形式の引戸が一般的に採用されている(例えば、特許文献1参照。)。また、平型の冷凍又は冷蔵ショーケースの開口上部に着脱可能な状態で商品陳列部を形成するためのシューケース形成キットも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−113258号公報
【特許文献2】特開2001−218655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引戸付き、引戸無しの平型ショーケースを比較した場合、明らかに引戸無しの方が売り上げが多く、一般的には引戸無しの平型ショーケースを採用することが多い。しかし、通常時にはまったく問題がない引戸無しの平型ショーケースの場合でも、地域でのイベント開催などで客数が集中的に増加すると、ショーケース周囲の環境が急激に変化することによって庫内の冷却不良が発生することがある。
【0005】
そこで本発明は、引戸無しのオープン平型ショーケースの開口に容易に着脱することができ、客数が集中的に増加したときの冷却不良の発生を防止することができるオープン平型ショーケース用着脱式引戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、四周が断熱壁に囲まれて上方が開口した商品陳列部を有するオープン平型ショーケースの前記開口を覆うように着脱自在に設置される引戸であって、前記開口の奥行き寸法に対応した長さを有する一対の縦枠と、前記開口の幅寸法を複数に分割した長さに対応する長さを有する一対の横枠とを四方組みした枠体と、該枠体内に前後方向に引き違い可能に設けられた一対の引戸とを有し、前記横枠の下面には、前記開口に設けられた吹出口ノジング及び吸込口ノジングの上面に載置される設置片が設けられていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明では、前記引戸の幅寸法は、前記商品陳列部内で商品を収納して陳列する陳列籠の籠割寸法に合わせた寸法に設定されていることが好ましく、前記引戸は、透明樹脂板にて形成されるとともに、商品陳列部側の面に熱反射フィルムが貼付されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオープン平型ショーケース用着脱式引戸は、引戸を保持する枠体の幅寸法をオープン平型ショーケースの開口幅寸法を複数に分割した幅寸法とし、奥行き寸法は開口の奥行き寸法に対応した奥行き寸法としているので、従来の引戸のように開口全体を覆うものに比べて小型化することができ、開口への着脱を容易に行うことができ、保管も容易である。
【0009】
また、引戸を前後方向に引き違い可能としたので、幅寸法を小さくしても引戸を開いたときの開口面積を大きくすることができ、商品の取り出しを容易に行うことができる。また、商品を陳列する際には、引戸全体を取り外して行うことができる。特に、幅寸法を籠割寸法に合わせることにより、陳列籠の出し入れや、陳列籠内の商品の取り出しも容易に行うことができる。加えて、引戸を透明樹脂板で形成して熱反射フィルムを貼付することにより、陳列商品の視認性を損なうことなく、引戸の軽量化を図りながら十分な断熱性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すオープン平型ショーケース用着脱式引戸の断面側面図、図2は平面図、図3はオープン平型ショーケースの断面側面図、図4は平面図である。
【0011】
まず、オープン平型ショーケース1は、四周が断熱壁に囲まれて上方が開口した箱形の商品陳列部2の下部に冷却器3及び送風機4を収容した下部ダクト5が設けられている。商品陳列部2の手前前方側には、上部に冷気吹出口6を有する前部ダクト7が設けられるとともに、商品陳列部2の奥部後方側には、上部に冷気吸込口8を有する後部ダクト9が設けられ、冷気吹出口6から商品陳列部2の上方に向けて吹き出された冷気を冷気吸込口8で吸い込むことにより、冷気を循環させながら商品陳列部2の上方に冷気によるエアーカーテンを形成している。商品陳列部2内にアイスクリームや冷凍食品を陳列して販売する際には、冷気の流通を妨げないように、ワイヤーを組み合わせて形成した陳列籠10内に商品を収納した状態で商品陳列部2内に陳列するようにしている。
【0012】
このようなオープン平型ショーケース1の上部開口に着脱可能に設けられるオープン平型ショーケース用の着脱式引戸11は、前記開口の奥行き寸法に対応した長さを有する左右一対の縦枠12,12と、前記開口の幅寸法を複数に分割した長さに対応する長さを有する前後一対の横枠13,13とを四方組みした枠体14と、該枠体14内に前後方向に引き違い可能に設けられた一対の引戸15,15とで形成されている。さらに、前記横枠13,13の下面には、前記開口に設けられた吹出口ノジング6a及び吸込口ノジング8aの上面に載置される設置片13a,13aが一体に設けられている。
【0013】
前記縦枠12は、その内側に前記引戸15を前後方向に移動可能にガイドするための上下一対のガイドレールを有している。縦枠12の長さは、着脱式引戸11を開口に設置したときに、開口の周囲上方に突出した風防16の内側に収まる寸法、標準的なオープン平型ショーケース1では約840mm程度で、両側の設置片13a,13aが両ノジング6a,8aの上面に確実に載置され、前後位置が多少ずれても着脱式引戸11が商品陳列部2内に落ち込むことがないように設定されている。さらに、両縦枠12の前後方向中央部には把手12aがそれぞれ設けられ、着脱式引戸11の着脱や運搬を容易に行えるようにしている。
【0014】
一方、前記横枠13の長さ(幅寸法)は、標準仕様のオープン平型ショーケース1の幅寸法を整数に分割した長さに形成されており、例えば、規格名「7.5尺」(幅約2250mm)のオープン平型ショーケースでは5枚、規格名「6尺」(幅約1800mm)のオープン平型ショーケースでは4枚、規格名「4.5尺」(幅約1350mm)のオープン平型ショーケースでは3枚の着脱式引戸11を使用することにより、開口の全体を覆うことができるように、約420mmの長さに形成されている。さらに、この横枠13の長さは、陳列籠10の幅寸法にも対応しており、商品陳列部2に配置した陳列籠10の2個分の幅寸法にも対応している。
【0015】
また、前記引戸15は、内部の陳列商品が確認できるように、アクリル等の透明樹脂板にて形成されるとともに、商品陳列部側の面(下面)には透明な熱反射フィルム(図示省略)が貼付され、上面には手掛け部15aがそれぞれ設けられている。
【0016】
このように形成された着脱式引戸11は、地域でのイベント開催時、特に夏期のイベントなどで客数が集中的に増加すると予想されるときにオープン平型ショーケース1の開口に設置することにより、外乱による冷却不良の発生を防止して所定の冷却性能を保つことができる。特に、着脱式引戸11の大きさを、オープン平型ショーケース1の開口全体を覆うように形成せず、引戸15を前後方向に引き違い可能として幅寸法を短く形成したことにより、小型軽量化を図ることができ、不使用時の着脱式引戸11の保管や運搬を容易に行うことができる。さらに、オープン平型ショーケース1への設置は、横枠13の下面に突設した設置片13aを前後の各ノジング6a,8aの上面に載置するだけでよく、極めて簡単な作業であるから、非力な人にでも着脱作業を容易に行うことができる。
このようにして開口に着脱式引戸11を設置することにより、冷気吹出口6から吹き出した冷気を冷気吸込口8で確実に吸い込むことができ、エアーカーテンの乱れによる冷却不良の発生を防止できる。
【0017】
また、商品陳列部2内に陳列したアイスクリームや冷凍食品等の商品を購入する際には、着脱式引戸11の引戸15を前後方向にスライドさせて引戸15部分を開口させるだけでよく、さらに、商品陳列部2内に商品を補充する際には、引戸15を開いた状態で行ってもよく、着脱式引戸11を取り外して行うこともできる。このとき、着脱式引戸11の幅寸法が陳列籠10の籠割寸法に合わせてあるので、陳列籠10の出し入れを容易に行うことができ、商品の補充や商品の入れ替えも容易に行える。
【0018】
また、着脱式引戸11は、客数が集中的に増加するイベント開催時や新規開店時等にのみ使用すれば十分であることから、通常時にはオープン平型ショーケース1のメーカーやサービスセンターに適当数を在庫しておき、イベントが開催される地域のスーパーマーケットやコンビニエンスストアに搬送して着脱式引戸11を設置する体制を採用することもできる。また、着脱式引戸11は、オープン平型ショーケース1の開口全体に設置せず、外乱を生じやすい位置、例えば開口の店舗出入口側に適当数設置するだけでも十分な効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示すオープン平型ショーケース用着脱式引戸の断面側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】オープン平型ショーケースの断面側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 オープン平型ショーケース
2 商品陳列部
3 冷却器
4 送風機
5 下部ダクト
6 冷気吹出口
6a 吹出口ノジング
7 前部ダクト
8 冷気吸込口
8a 吸込口ノジング
9 後部ダクト
10 陳列籠
11 着脱式引戸
12 縦枠
12a 把手
13 横枠
13a 設置片
14 枠体
15 引戸
15a 手掛け部
16 風防

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周が断熱壁に囲まれて上方が開口した商品陳列部を有するオープン平型ショーケースの前記開口を覆うように着脱自在に設置される引戸であって、前記開口の奥行き寸法に対応した長さを有する一対の縦枠と、前記開口の幅寸法を複数に分割した長さに対応する長さを有する一対の横枠とを四方組みした枠体と、該枠体内に前後方向に引き違い可能に設けられた一対の引戸とを有し、前記横枠の下面には、前記開口に設けられた吹出口ノジング及び吸込口ノジングの上面に載置される設置片がそれぞれ設けられていることを特徴とするオープン平型ショーケース用着脱式引戸。
【請求項2】
前記引戸の幅寸法は、前記商品陳列部内で商品を収納して陳列する陳列籠の籠割寸法に合わせた寸法に設定されていることを特徴とする請求項1記載のオープン平型ショーケース用着脱式引戸。
【請求項3】
前記引戸は、透明樹脂板にて形成されるとともに、商品陳列部側の面に熱反射フィルムが貼付されていることを特徴とする請求項1又は2記載のオープン平型ショーケース用着脱式引戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−17965(P2009−17965A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181502(P2007−181502)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000213493)中野冷機株式会社 (58)
【Fターム(参考)】