説明

カゴ仕掛け

【課題】使用性、取扱性に優れるとともに優れた機能を発揮する、具体的には巻取り抵抗が極めて小さく、無駄なく撒餌することができるカゴ仕掛けを提供する。
【解決手段】カゴ仕掛け10は、カゴに詰め込んだ撒餌を水中で撒き散らす。撒餌を詰め込むカゴ体11と、その一端側に取り付けた浮力体12の長手方向の外側部に沿って、それらの両端部間を繋ぐように装架されたガイド部材13を有する。ガイド部材13に環を介して小型の浮き17が連結され、浮き17がガイド部材13に沿って自在にスライド移動可能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば磯釣り等において撒餌をする際に使用するカゴ仕掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の釣りでは撒餌をすることで魚を呼び寄せ、あるいは魚に適度な刺激を与えることで釣り易い環境を作り出すようにしている。この場合、カゴ状の撒餌具をポイントに投入し、カゴに詰め込んだ撒餌を水中で撒き散らすようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のカゴ仕掛けでは、釣り糸の巻上げにより引き寄せる際、特に高速になるとカゴ仕掛けが水中に潜り込んでしまうものが多かった。そのためカゴ仕掛け全体に水流が当り、釣り糸の巻上げ時に大きな抵抗が発生し、かなりの負担がかかる等の問題があった。また、これまでのカゴ仕掛けは撒餌を出そうとして、道糸を引くと筒口が手前になり、撒餌が出ないという不都合があった。
【0004】
そこで本発明は、使用性、取扱性に優れるとともに優れた機能を発揮する、具体的には巻取り抵抗が極めて小さく、無駄なく撒餌することができるカゴ仕掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカゴ仕掛けは、カゴに詰め込んだ撒餌を水中で撒き散らすようにしたカゴ仕掛けであって、撒餌を詰め込むカゴ体と、その一端側に取り付けた浮力体の長手方向の外側部に沿って、それらの両端部間を繋ぐように装架されたガイド部材を有し、このガイド部材に環を介して小型の浮きが連結され、該浮きが前記ガイド部材に沿って自在にスライド移動可能にしたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明のカゴ仕掛けにおいて、前記カゴ体は概略筒状を呈し、その筒の周面に沿って巻回された金属線材により胴部を構成するように組まれ、前記カゴ体の一端側に、水抵抗を軽減するように水の抜ける貫通穴が設けられた筒状の前記浮力体が固定され、前記ガイド部材の一端が前記貫通穴の中央部で金属線材により支持されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のカゴ仕掛けにおいて、前記浮きにはスイベルが取り付けられ、該浮きは前記スイベルの重さ以上の浮力を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のカゴ仕掛けにおいて、着水後、前記浮力体は自動的に水面上に浮くとともに、前記カゴ体はその筒口が水面下で水底に向き、撒餌が撒かれる姿勢を保持し、前記浮きが前記ガイド部材を介して自動的に水面上へスライド移動するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カゴの姿勢は自動的に保持され、小型浮きも自動的に水面にスライド移動する。釣り糸巻上げ時は小型浮きのスイベル、ガイド部の環、ガイド部の浮力体側コーナー部の順に引かれ、カゴは水面を滑るように引っ張り寄せられる。また、浮力体にも貫通穴が設けてあるため、途中の波の壁による抵抗も最小限に抑えられ、巻上げ抵抗は格段に小さくなり、その取扱い性は極めて良好で格段に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基き、本発明によるカゴ仕掛けにおける好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるカゴ仕掛けの構成例を示している。カゴ仕掛け10は、撒餌を詰め込むカゴ体11とカゴ体11の一端側に取り付けた浮力体12とを含み、カゴ体11および浮力体12の長手もしくは軸方向の外側部に沿って、それらの両端部間を繋ぐように装架されたガイド部材13を有する。
【0011】
カゴ体11はたとえば概略筒状を呈し、その筒の周面に沿って巻回された金属線材により構成される。この例では螺旋状に巻回される金属線材14とカゴ体11の軸方向に沿って配置される金属線材15からなり、これらの金属線材14,15を相互に溶接することにより円筒状に形成される。なお、金属線材14,15として、たとえば線径1mm程度のステンレス鋼線が使用される。
【0012】
浮力体12はたとえば概略お椀状あるいは裁頭円錐状の外形形状を有し、その中心部にはカゴ体11の軸方向に沿って比較的大径の内孔12aが開設されている。浮力体12は好適には木製であり、カゴ体11の一端側に適度に入り込んだ端部(図1(a)では上端部)に各金属線材15が直径方向に貫通し、これによりカゴ体11の一端側に支持固定されるようになっている。浮力体12の端部に貫通した金属線材15は、その内孔12a内で相互に結合される。
【0013】
ガイド部材13はたとえば概略弓形状を呈し、浮力体12の内孔12aの中央部(金属線材の結合部)からカゴ体11の他端側まで、カゴ体11の軸を通る平面上でカゴ体11を取り囲むように形成される。この場合、いずれかの金属線材15をカゴ体11の開口部から延出させ、すなわちその金属線材15と一体に形成することができる。なお、ガイド部材13も、線径1mm程度のステンレス鋼線を使用して形成される。
【0014】
ガイド部材13は浮力体12の内孔12aから延出するが、その端部13aにはたとえばビニール製のパイプ16が装着される。このパイプ16は浮力体12の軸方向外側に配置され、図示しない棒状の発光手段(蛍光材料により蛍光を発するように構成したものであってよい)を装着することができるようになっている。
【0015】
ガイド部材13には浮き17が連結される。浮き17として、たとえば球状もしくはほぼ球状の「玉浮き」等と称するものでよく、両端に環17a,17bを有している。一方の環17aにガイド部材13が挿通し、これにより浮き17はガイド部材13に沿って端部13aから端部13bまで自在にスライド移動可能である。また、他方の環17bにはスナップ18aを有するスイベル18が連結する。
【0016】
カゴ仕掛け10を実装する場合、図2等に示すようにスイベル18のスナップ18aに釣り糸(道糸)1を通し、その釣り糸1には細径から太径の向きのウキゴム、太径から細径の向きのウキゴム2個を通した後、スイベル2を介してハリス3が結合される。スイベル2とスナップ18aの間には、棒状体の両端を前記ウキゴムで装着された止め具4(からまん棒等と称している)が装着される。
【0017】
上記構成のカゴ仕掛け10において、カゴ体11に撒き餌を詰め込み、釣り糸1に実装されたカゴ仕掛け10がキャスティングされる。キャスティング時には金属製のカゴ体11と撒餌の自重が大きいため、かなり遠くまで飛ばすことができ、狙ったポイントに確実に投下することができ、カゴ釣りには極めて効果的である。
【0018】
キャスティング後、カゴ仕掛け10が着水すると、カゴ体11の重さと浮力体12の浮力により、図2(a)のように入水と同時に自動的に反転し、浮力体12およびカゴ体11が上下関係を保持して浮遊する。カゴ体11の開口部が下側に位置することで、カゴ体11の撒き餌が必ず水中に撒かれ、撒き餌が撒かれない等のトラブルが発生しない。
【0019】
その際、浮き17はガイド部材13に沿ってスライドし、海面まで浮上する。スイベル18のスナップ18aに挿通している釣り糸1は、浮き17によって上方に引かれるため水面に持ち上げられた状態になる。この状態で釣り糸1を引くと、浮き17がガイド部材13の端部13a側に移動し、図2(a)右側に示すように浮き17のある側からカゴ仕掛け10が引かれることになる。
【0020】
なお、浮き17を有していない場合を想定すると、たとえば図2(b)のようにガイド部材13の端部13b側からカゴ仕掛け10が引かれることになる。この場合には、釣り糸1を引くとカゴ体11や浮力体12が水を受けることで、カゴ仕掛け10は水中に引き込まれ、潜ってしまう。このような状態では釣り糸1の巻上げ時にカゴ仕掛け10が受ける水による大きな抵抗が発生し、毎回30m前後の距離を巻き上げる人の多い釣り人にはかなり大きな負担になってしまう。
【0021】
前述のように浮き17の作用によりカゴ仕掛け10は着水後、自動的に反転し、スムースに糸引き可能な状態に移行する。たとえば、カゴ体11に比較的きつめに撒き餌を詰め込んだ場合でも竿(図示せず)でしゃくる(釣り糸1を大きく早く引く)ことにより、図3(a)のようにカゴ体11に詰め込んだ撒き餌Mを残らず撒き散らすことができる。その訳は、釣り糸1を引くことで浮力体12の内孔12a内を水が通り、詰まっている撒き餌Mを押し出すからである。
【0022】
また、巻上げ時は、釣り糸1の引きにより浮き17のある側から引かれ、撒餌も残っていないためカゴ仕掛け10は、図3(b)のように水面上を滑るように移動する。そのためカゴ仕掛け10が受ける水の抵抗は格段に小さくなり、巻上げ作業の負担を減少させることができる。この種のカゴ釣りでは30〜100m近く流すこともあり、このような場合体力の消耗を有効に抑制する。一方、巻上げ作業の円滑化および容易化により短時間に手返しよく、何回もキャスティング可能になり、釣果を高めることができる。
【0023】
上記の場合、カゴ体11等の形成材料として線径1mm程度のステンレス鋼線を使用しているため、それらは型崩れすることなく丈夫で何年間も使用することができ、高い耐久性が保証される。
【0024】
上述のように本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更等が可能である。
たとえば、カゴ体11あるいは浮力体12は概略円形断面を有する例を説明したが、この場合に限らず、矩形断面等を採用可能である。また、カゴ体11の形成材料やその線形の具体的数値も適宜変更可能であり、いずれの場合も上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0025】
また、図4(a)の例に示すようにカゴ体11と浮力体12を離隔配置し、図4(b)のように浮力体12を短円筒状に形成し、さらに図4(c)のようにカゴ体11および浮力体12の軸方向長さを長くするとともに、ガイド部材13を滑らかな弓形状にしてもよい。また、カゴ体11は合成樹脂材等により複数の孔が開設された円筒状に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態におけるカゴ仕掛けの代表的構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態におけるカゴ仕掛けの作用を示す図である。
【図3】本発明の実施形態におけるカゴ仕掛けの作用を示す図である。
【図4】本発明の実施形態におけるカゴ仕掛けの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10 カゴ仕掛け
11 カゴ体
12 浮力体
13 ガイド部材
14,15 金属線材
16 パイプ
17 浮き
18 スイベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴに詰め込んだ撒餌を水中で撒き散らすようにしたカゴ仕掛けであって、
撒餌を詰め込むカゴ体と、その一端側に取り付けた浮力体の長手方向の外側部に沿って、それらの両端部間を繋ぐように装架されたガイド部材を有し、このガイド部材に環を介して小型の浮きが連結され、該浮きが前記ガイド部材に沿って自在にスライド移動可能にしたことを特徴とするカゴ仕掛け。
【請求項2】
前記カゴ体は概略筒状を呈し、その筒の周面に沿って巻回された金属線材により胴部を構成するように組まれ、前記カゴ体の一端側に、水抵抗を軽減するように水の抜ける貫通穴が設けられた筒状の前記浮力体が固定され、前記ガイド部材の一端が前記貫通穴の中央部で金属線材により支持されることを特徴とする請求項1に記載のカゴ仕掛け。
【請求項3】
前記浮きにはスイベルが取り付けられ、該浮きは前記スイベルの重さ以上の浮力を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカゴ仕掛け。
【請求項4】
着水後、前記浮力体は自動的に水面上に浮くとともに、前記カゴ体はその筒口が水面下で水底に向き、撒餌が撒かれる姿勢を保持し、前記浮きが前記ガイド部材を介して自動的に水面上へスライド移動するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカゴ仕掛け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−25717(P2006−25717A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210569(P2004−210569)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(591105605)株式会社釣研 (10)
【Fターム(参考)】