説明

カッター案内部付き扉及びその製造方法

【課題】容易に製造することができるカッター案内部付き扉及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置された扉となっている玄関ドア1には、閉じたときに横方向に対向配置されている相手部材となっている外枠の縦枠部材7に対してロック部材14が係脱することで施錠、解錠するための施錠装置と、施錠時に互いに横方向に対向している縦枠部材7の端面7Aと玄関ドア1の端面部材17との間の隙間Sに露出しているロック部材14を外側から隠すための目隠し部23と、目隠し部23とロック部材14を切断するためのカッター31を案内するカッター案内部と、が設けられ、玄関ドア1のドア外面である表面1Aにカッター案内部材30が取り付けられ、外側への突出量を有するカッター案内部材30の側面30Aがカッター案内部となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の非常事態の発生時に施錠装置のロック部材を切断するためのカッターを案内するカッター案内部を備えた扉に係り、例えば、玄関ドア等のドアや引き戸装置の引き戸、折れ戸装置の折れ戸等の扉に利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
玄関ドアは、玄関に設けられた開口部である出入口を開閉するために、この開口部を内側に形成している外枠にヒンジで取り付けられることにより、出入口に開閉自在に配置される。また、この玄関ドアには、閉じたときの玄関ドアに対して横方向に対向配置されている相手部材(例えば、上記外枠の構成部材や袖扉等)にロック部材が係脱することにより施錠、解錠するための施錠装置が設けられる。さらに、玄関ドアには、相手部材の端面とドア端面との間の隙間を隠すための目隠し部が設けられ、この目隠し部により、施錠時に相手部材に係合していてこの相手部材の端面とドア端面との間の隙間に露出しているロック部材を、盗難防止等の目的で、外側から隠すことができるようにしているものがある。
【0003】
このような目隠し部を備えた玄関ドアによると、火災等の非常事態の発生時に、玄関ドアを施錠しているロック部材の位置を確認することが難しく、玄関ドアを開けるためにこのロック部材をカッターで切断する作業に時間がかかるため、下記の特許文献1及び2には、玄関ドアに、カッターを案内するカッター案内部を設け、このカッター案内部でカッターを案内させながら上下に移動させることにより、上述の目隠し部とロック部材とを切断できるようにした技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−257830号公報(0038段落)
【特許文献2】特開2007−186985号公報(0025段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの文献に示されているものは、玄関ドアの一部を形成する部材となっている玄関ドアの表面材に溝部を形成し、この溝部をカッター案内部とするものであるため、玄関ドアを製造するときの作業工程において、カッター案内部を形成する作業も行わなければならない。これによると、カッター案内部付き玄関ドアを製造するための作業が面倒、複雑になり、容易にカッター案内部付き玄関ドアを製造することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、容易に製造することができるようになるカッター案内部付き扉及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカッター案内部付き扉は、開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置される扉であって、閉じたときに横方向に対向配置されている相手部材に対してロック部材が係脱することにより施錠、解錠するための施錠装置と、前記施錠時に互いに横方向に対向している前記相手部材の端面と扉端面との間の隙間に露出している前記ロック部材を外側から隠すための目隠し部と、この目隠し部と前記施錠時の前記ロック部材とを切断するためのカッターを案内するカッター案内部と、を備えているカッター案内部付き扉において、扉外面に、外側への突出量を有しているカッター案内部材が取り付けられ、このカッター案内部材に前記カッター案内部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るこのカッター案内部付き扉によると、カッター案内部材にカッター案内部が設けられているため、このカッター案内部材を扉の外面に取り付けると、自ずと扉にカッター案内部を設けることができ、このため、容易にカッター案内部付き扉を製造することができる。
【0009】
また、本発明に係るカッター案内部付き扉では、扉外面に、外側への突出量を有しているカッター案内部材が取り付けられ、このカッター案内部材にカッター案内部が設けられているため、先に、扉を製造するための作業を行い、この後に、この扉の外面にカッター案内部材を取り付けるという手順によってそれぞれの作業を行うことにより、扉にカッター案内部を設けることができることになり、このため、扉を製造するための作業と、この扉にカッター案内部を設けるための作業とを別作業にすることも可能となり、全体の作業性を向上させることができる。
【0010】
本発明に係るカッター案内部付き扉において、カッター案内部材にカッター案内部を設けるための形態は、任意のものでよい。
【0011】
その第1番目の例は、カッター案内部材の側面をカッター案内部とすることである。
【0012】
第2番目の例は、カッター案内部材に溝部を形成し、この溝部をカッター案内部とすることである。
【0013】
第3番目の例は、カッター案内部材を扉の外面に互いに対向させて複数個配置し、これらのカッター案内部材の互いに対向している対向面をカッター案内部とすることである。
【0014】
また、本発明に係るカッター案内部付き扉の製造方法は、開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置される扉であって、閉じたときに横方向に対向配置されている相手部材に対してロック部材が係脱することにより施錠、解錠するための施錠装置と、前記施錠時に互いに横方向に対向している前記相手部材の端面と扉端面との間の隙間に露出している前記ロック部材を外側から隠すための目隠し部と、この目隠し部と前記施錠時の前記ロック部材とを切断するためのカッターを案内するカッター案内部と、を備えているカッター案内部付き扉を製造するための方法であり、前記施錠装置と前記目隠し部とを備えている扉を製造するための扉製造工程と、この扉製造工程で製造された前記扉の外面に、外側への突出量を有していて、前記カッター案内部が設けられているカッター案内部材を取り付けるためのカッター案内部材取付工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0015】
このカッター案内部付き扉の製造方法によると、先に、施錠装置と目隠し部とを備えている扉を製造するための作業が行われ、この後に、この扉製造作業で製造された扉の外面に、外側への突出量を有していて、カッター案内部が設けられているカッター案内部材を取り付けるためのカッター案内部材取付作業が行われるため、扉を製造するための作業と、この扉にカッター案内部を設けるための作業とを別作業にすることができ、これにより、扉に簡単にカッター案内部を設けることができる。
【0016】
このカッター案内部付き扉の製造方法において、扉の外面に、外側への突出量を有していて、カッター案内部が設けられているカッター案内部材を取り付けるための作業は、扉が製造された工場で行ってもよく、あるいは、前述した開口部を開閉するためにこの開口部に既に開閉自在に配置されている扉に対して行ってもよい。
【0017】
後者を言い換えると、前述のカッター案内部材取付工程で扉の外面にカッター案内部材が取り付けられるときには、この扉は、前述した開口部を開閉するためにこの開口部に既に開閉自在に配置されていることになる。
【0018】
すなわち、本発明に係るカッター案内部付き扉の製造方法は、既に施工が終了している既設の扉に対しても実施することができる。
【0019】
以上説明した本発明において、閉じたときの扉に対して横方向に対向配置されている前述した相手部材は、任意な部材でよい。その一例の相手部材は、前述した開口部を内側に形成している外枠の構成部材であり、他の例の相手部材は、玄関ドアの横に開閉自在に配置される袖ドア等のように、扉の横に配置される袖扉である。すなわち、本発明は、扉がドアの場合には、観音開き式の扉にも適用することができ、また、扉が引き戸の場合には、引き分け式の扉にも適用することができる。
【0020】
また、本発明において、扉を施錠、解錠するために施錠装置のロック部材が相手部材に係脱するための動作の形態も、任意なものでよい。その一例は、ロック部材が扉及び相手部材に対して直線的に往復動することであり、他の例は、相手部材に係脱するためにロック部材が扉に対して往復回動することである。
【0021】
さらに、本発明は、任意な動作形態により前述した開口部を開閉する扉に適用することができる。その一例の扉は、ヒンジを中心に回動するドアであり、このドアは、玄関ドアでもよく、室内ドアでもよい。また、他の例の扉は、上記開閉のために直線的往復動を行う引き戸装置の引き戸である。さらに他の例の扉は、上記開閉のために直線的往復動と往復回動との組み合わせ運動を行う折れ戸装置の折れ戸である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、カッター案内部付き扉を容易に製造することができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る扉となっている玄関ドアの全体を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のS2−S2線断面図である。
【図3】図3は、第2実施形態を示す図2と同様の図である。
【図4】図4は、第3実施形態を示す図1と同様の図である。
【図5】図5は、第4実施形態を示す図2と同様の図である。
【図6】図6は、第5実施形態を示す図2と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る実施形態の扉は、玄関ドアであり、図1には、この玄関ドア1の全体の正面図が示されている。この玄関ドア1は、建物の玄関の開口部となっている出入口2に配置されているとともに、この出入口2を内側に形成している外枠3にヒンジ4で回動自在に取り付けられ、この回動により、玄関ドア1は出入口2を開閉する。外枠3は、上枠部材5と、下枠部材6と、左右の縦枠部材7,8とが構成部材として用いられた四方枠タイプとなっており、図1は、玄関ドア1を室外側から見た図になっているため、この図1では、玄関ドア1よりも室内側に配置されている下枠部材6は、玄関ドア1の下端の裏側に隠れている。なお、本発明は、下枠部材が存在しない三方枠タイプの外枠にヒンジで取り付けられる玄関ドアにも適用することができる。
【0025】
玄関ドア1の室外側に向いている表面1Aには、ヒンジ4とは反対側の縦枠部材7に近い位置において、手操作部材10が取り付けられており、この実施形態に係る手操作部材10は、上下両端部に設けられ、玄関ドア1に固定されている施錠装置11と、これらの施錠装置11の間に設けられ、手で握られるグリップ部12とからなる。このグリップ部12は、プッシュ・プルタイプのものになっている。
【0026】
図2には、図1のS2−S2線断面図が示されている。この図2に示されているように、玄関ドア1の内部にはボックス13が収納されており、このボックス13の内部には、図1で示した施錠装置11のキー穴11Aに差し込まれるキーの往復回動操作により、施錠装置11のロック部材14を縦枠部材7に向かって直線的に往復動させるための機構や、閉じていた玄関ドア1を開けるためにグリップ部12を引く操作したときに、縦枠部材7の側へばねで常時前進付勢されているラッチ部材15を後退させるための機構が内蔵されており、ボックス13は玄関ドア1の力骨16に取り付けられている。
【0027】
玄関ドア1における縦枠部材7の側の端面は、端面部材17により形成されており、この端面部材17には、ロック部材14とラッチ部材15を縦枠部材7に向かって出没させるための孔17Aが形成されている。縦枠部材7には、閉じているときの玄関ドア1と横方向に対向している端面7Aの部分において、ストライク部材18が結合されており、このストライク部材18と縦枠部材7には、ロック部材14とラッチ部材15を貫通させるための貫通孔19が形成されているとともに、この貫通孔19の背後において、縦枠部材7には、玄関ドア1の側の面が開口した受け部材20が結合されている。
【0028】
この受け部材20の内部にラッチ部材15の先端部が侵入することにより、玄関ドア1は閉じた状態を維持するとともに、ロック部材14の前進によって受け部材20の内部にロック部材14の先端部が侵入することにより、言い換えると、ロック部材14が縦枠部材7に係合することにより、玄関ドア1は、施錠装置11により施錠された状態となる。また、ロック部材14の後退によって受け部材20の内部からロック部材14の先端部が脱出することにより、言い換えると、ロック部材14が縦枠部材7から離脱することにより、玄関ドア1は、施錠装置11による施錠から解錠された状態となる。
【0029】
すなわち、この実施形態では、玄関ドア1を施錠装置11で施錠、解錠するための縦枠部材7に対するロック部材14の係脱は、ロック部材14の直線的往復動よって行われる。
【0030】
図2に示されているように、玄関ドア1の室内側に向いている表面1Bには、サムターン部材21が設けられており、このサムターン部材21を往復回動させることによっても、ロック部材14は直線的に往復動して玄関ドア1を施錠、解錠することになる。
【0031】
なお、図1で説明したように施錠装置11は手操作部材10の上下両部分に設けられているため、図1に示されているように、玄関ドア1を施錠するために施錠装置11のロック部材14の先端部が侵入する受け部材20は、縦枠部材7に上下2個20A,20B設けられているとともに、サムターン部材21も玄関ドア1に上下2個設けられている。
【0032】
また、図2に示されているように、縦枠部材7には、閉じているときの玄関ドア1の室内側の表面1Bに当接する気密部材22が取り付けられており、この気密部材22により、玄関ドア1と縦枠部材7との間の気密性が確保されている。
【0033】
玄関ドア1が閉じているときにおいて、玄関ドア1の端面部材17と、この端面部材17と横方向に対向配置されている縦枠部材7の端面7Aとの間には、隙間Sが存在している。玄関ドア1が施錠されているときに、この隙間Sにロック部材14とラッチ部材15とが露出しており、これらのロック部材14とラッチ部材15を室外側である外側から隠すための目隠し部23が、玄関ドア1に設けられている。この目隠し部23は、この実施形態では、玄関ドア1の室外側の表面1Aを形成している表面部材24を、端面部材17を越えて縦枠部材7の側へ延長するとともに、この延長した部分の途中を玄関ドア1の側へ折り返し、この折り返された端部を力骨16と端面部材17とで挟着結合することにより形成されている。
【0034】
また、玄関ドア1の室外側の外面である表面1Aには、室外側への突出量を有するカッター案内部材30が接着等で取り付けられている。このカッター案内部材30は、例えば、金属や硬質合成樹脂等の硬質材料で形成されているとともに、図1に示されているように、上下方向に長い長さを有している。また、カッター案内部材30は、図2から分かるように、玄関ドア1の厚さ方向と同じ方向の厚さ寸法(外側への突出寸法)を有しているとともに、横方向(左右方向)の幅寸法を有し、同じ厚さ寸法及び同じ幅寸法が上下方向に連続している。すなわち、カッター案内部材30は、1本の棒状部材となっている。
【0035】
また、カッター案内部材30は、図2に示されているように、このカッター案内部材30における縦枠部材7の側の側面30Aの位置が、目隠し部23で隠されている玄関ドア1の端面部材17と縦枠部材7の端面7Aとの間の隙間Sの範囲内の位置となって、玄関ドア1の表面1Aに取り付けられているとともに、図1に示されているように、カッター案内部材30は、玄関ドア1に上下2個設けられているロック部材14の位置と、1個のラッチ部材15の位置とがカッター案内部材30の上下長さ範囲内の位置となって、玄関ドア1の表面1Aに取り付けられている。
【0036】
このようなカッター案内部材30を備えた玄関ドア1を工場で製造するためには、先ずはじめに、手操作部材10や施錠装置11、ロック部材14、ラッチ部材15が取り付けられた玄関ドア1を製造し、この後に、玄関ドア1の室外側の表面1Aにカッター案内部材30を接着等で取り付ける。言い換えると、先ずはじめに、カッター案内部材30の取付作業を除く玄関ドア1の全体の製造作業を行い、この後に、玄関ドア1の室外側の表面1Aにカッター案内部材30を接着等で取り付けることにより、カッター案内部材30を備えた玄関ドア1を製造するのである。
【0037】
このように本実施形態では、先ずはじめに、カッター案内部材30の取付作業を除く玄関ドア1の全体の製造作業が行われるため、玄関ドア1の室外側の表面1Aにカッター案内部材30を取り付ける作業は、玄関ドア1を図1で示したヒンジ4で外枠3に回動自在に取り付けた後においても実施することができる。
【0038】
このため、本実施形態は、既にヒンジ4で外枠3に回動自在に取り付けられている既設の玄関ドアにも適用することができる。
【0039】
カッター案内部材30を備えた玄関ドア1が設置されている建物に火災等の非常事態が発生し、施錠装置11のロック部材15で施錠されている玄関ドア1を開ける場合には、エンジン等の駆動装置で回転する図2のカッター31の先端部をカッター案内部材30の側面30Aに沿って、言い換えると、この側面30Aをカッター案内部として、カッター31を上下方向に移動させる。これにより、上記隙間Sの内部に先端部が侵入するカッター31により、目隠し部23とそれぞれのロック部材14とラッチ部材15とが切断されることになり、玄関ドア1を開けることができる。
【0040】
この実施形態によると、側面30Aがカッター案内部となっているカッター案内部材30を玄関ドア1に取り付けるだけで、カッター案内部付き玄関ドア1を製造することができるため、カッター案内部付き玄関ドア1を容易に製造することができる。
【0041】
また、カッター案内部材30には、カッター案内部となっている側面30Aが設けられているため、先に、カッター案内部材30の取付作業を除く玄関ドア1の全体の製造作業を行い、この後に、この玄関ドア1の外面にカッター案内部材30を取り付けるという手順によってそれぞれの作業を行うことにより、玄関ドア1にカッター案内部を設けることができることになり、このため、玄関ドア1を製造するための作業と、この玄関ドア1にカッター案内部を設けるための作業とを別作業にすることも可能となり、全体の作業性を向上させることができる。
【0042】
さらに、室外側への突出量を有しているカッター案内部材30は、側面30Aの位置が上述した隙間Sの範囲内の位置となって玄関ドア1の表面1Aに取り付けているため、この隙間Sを室外側から隠すための目隠し部23の強度をカッター案内部材30により補強することができる。
【0043】
なお、目隠し部23の強度を、玄関ドア1の上端から下端まで延びている目隠し部23の全体について補強するために、カッター案内部材30の上下長さを、玄関ドア1の上端から下端まで達するものとしてもよい。
【0044】
図3は、カッター案内部材の玄関ドア1への取り付けに関する別実施形態を示している。この実施形態に係るカッター案内部材40の側面40Aもカッター案内部になっているとともに、このカッター案内部材40には、玄関ドア1の力骨16と端面部材17に形成された孔41に挿入される脚部40Bが形成されており、この脚部40Bの先端部には膨大部40Cが設けられている。
【0045】
カッター案内部材40のうち、少なくとも膨大部40Cは、弾性変形可能となっている軟質材料等で形成されている。このため、膨大部40Cを孔41に収縮弾性変形させながら圧入すると、孔41から突出して拡張弾性変形する膨大部40Cの係止作用により、カッター案内部材40は玄関ドア1に取り付けられることになる。
【0046】
図4は、カッター案内部材の上下長さに関する別実施形態を示している。この実施形態に係る上下2本のカッター案内部材50,60における縦枠部材7の側の側面もカッター案内部になっているが、これらのカッター案内部材50,60の合計上下長さは、図1のカッター案内部材30の上下長さよりも短くなっている。
【0047】
そして、上側のカッター案内部材50は、上側の1個のロック部材14の位置と、1個のラッチ部材15の位置とがこのカッター案内部材50の上下長さ範囲内の位置となって、玄関ドア1の表面1Aに取り付けられ、下側のカッター案内部材60は、下側の1個のロック部材14の位置がこのカッター案内部材60の上下長さ範囲内の位置となって、玄関ドア1の表面1Aに取り付けられている。
【0048】
すなわち、この実施形態は、それぞれのロック部材14ごとにカッター案内部材50,60を設けている場合を示している。
【0049】
図5の実施形態に係るカッター案内部材70は、玄関ドア1の端面部材17と縦枠部材7の端面7Aとの間の隙間Sに跨る幅寸法を有している。そして、このカッター案内部材70の上下寸法は、玄関ドア1に上下2個設けられているロック部材14の位置と、1個のラッチ部材15の位置とがカッター案内部材70の上下長さ範囲内の位置となる寸法となっている。また、カッター案内部材70の外面70Aには、この外面70Aから玄関ドア1の厚さ方向に切り込まれた溝部70Bが形成されており、この溝部70Bは、少なくとも上記2個のロック部材14の位置と1個のラッチ部材15の位置とに対応する上下長さをもって形成されており、この溝部70Bは、カッター案内部材70の上下全長に渡って連続して形成してもよい。
【0050】
さらに、溝部70Bの左右方向(横方向)の位置は、上記隙間Sの範囲内の位置となっている。このため、図2で示したカッター31の先端部を溝部70Bに侵入させて上下方向に移動させることにより、カッター案内部材70と共に、目隠し部23とそれぞれのロック部材14とラッチ部材15とを切断できることになる。
【0051】
なお、溝部70Bを、図5に示されているように、玄関ドア1に向かって先細り形状の断面を有するものとすることにより、溝部70Bにカッター31の先端部をスムーズに侵入させることができる。
【0052】
図6の実施形態では、玄関ドア1の表面に2個のカッター案内部材80,90が、間隔を開けて横方向に対向して取り付けられている。これらのカッター案内部材80,90の互いに対向している対向面80A,90Aは、カッター31を案内するためのカッター案内部となっている。このため、これらの対向面80A,90Aの左右方向(横方向)の位置は、上記隙間Sの範囲内の位置となっている。さらに、これらのカッター案内部材80,90の上下寸法は、上記2個のロック部材14の位置と1個のラッチ部材15の位置とがカッター案内部材80,90の上下長さ範囲内の位置となる寸法となっている。
【0053】
この実施形態では、カッター31の先端部をカッター案内部材80と90の間に侵入させてカッター31を上下方向に移動させることにより、対向面80A,90Aをカッター案内部として、目隠し部23とそれぞれのロック部材14とラッチ部材15とを切断できることになる。
【0054】
なお、カッター案内部材80,90の対向面80A,90Aを、図6に示されているように、これらの対向面80A,90Aで形成されるカッター案内部材80,90の間の断面形状が、玄関ドア1に向かって先細りの断面形状となる傾斜面とすることにより、カッター31の先端部を対向面80A,90Aに沿ってスムーズに侵入させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、火災等の非常事態の発生時に施錠装置のロック部材を切断するためのカッターを案内するカッター案内部を備えた扉に利用することができ、例えば、玄関ドア等のドアや引き戸装置の引き戸、折れ戸装置の折れ戸等の扉に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 扉である玄関ドア
2 開口部である出入口
3 外枠
7 相手部材である外枠の縦枠部材
11 施錠装置
14 ロック部材
23 目隠し部
30,40,50,60,70,80,90 カッター案内部材
30A,40A カッター案内部となっている側面
31 カッター
70B カッター案内部となっている溝部
80A,90A カッター案内部となっている対向面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置される扉であって、閉じたときに横方向に対向配置されている相手部材に対してロック部材が係脱することにより施錠、解錠するための施錠装置と、前記施錠時に互いに横方向に対向している前記相手部材の端面と扉端面との間の隙間に露出している前記ロック部材を外側から隠すための目隠し部と、この目隠し部と前記施錠時の前記ロック部材とを切断するためのカッターを案内するカッター案内部と、を備えているカッター案内部付き扉において、
扉外面に、外側への突出量を有しているカッター案内部材が取り付けられ、このカッター案内部材に前記カッター案内部が設けられていることを特徴とするカッター案内部付き扉。
【請求項2】
請求項1に記載のカッター案内部付き扉において、前記カッター案内部材の側面が前記カッター案内部となっていることを特徴とするカッター案内部付き扉。
【請求項3】
請求項1に記載のカッター案内部付き扉において、前記カッター案内部材に溝部が形成されており、この溝部が前記カッター案内部となっていることを特徴とするカッター案内部付き扉。
【請求項4】
請求項1に記載のカッター案内部付き扉において、前記カッター案内部材は互いに対向して前記扉外面に複数個配置されており、これらのカッター案内部材の互いに対向している対向面が前記カッター案内部となっていることを特徴とするカッター案内部付き扉。
【請求項5】
開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置される扉であって、閉じたときに横方向に対向配置されている相手部材に対してロック部材が係脱することにより施錠、解錠するための施錠装置と、前記施錠時に互いに横方向に対向している前記相手部材の端面と扉端面との間の隙間に露出している前記ロック部材を外側から隠すための目隠し部と、この目隠し部と前記施錠時の前記ロック部材とを切断するためのカッターを案内するカッター案内部と、を備えているカッター案内部付き扉を製造するための方法であり、
前記施錠装置と前記目隠し部とを備えている扉を製造するための扉製造工程と、
この扉製造工程で製造された前記扉の外面に、外側への突出量を有していて、前記カッター案内部が設けられているカッター案内部材を取り付けるためのカッター案内部材取付工程と、
を含んでいることを特徴とするカッター案内部付き扉の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のカッター案内部付き扉の製造方法において、前記カッター案内部材取付工程で前記扉の外面に前記カッター案内部材が取り付けられるときには、前記扉は、前記開口部を開閉するためにこの開口部に既に開閉自在に配置されていることを特徴とするカッター案内部付き扉の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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