説明

カバー式内視鏡

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカバー用内視鏡を内視鏡カバーで覆うカバー式内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内視鏡は医療分野等において広く用いられるようになった。医療分野における内視鏡検査には、検査前に十分な洗浄消毒をした清潔な内視鏡を使用する必要がある。このため内視鏡を用いる際には、試用後に感染症等を確実に防ぐために洗浄とか滅菌処理を施すようにしているが、完全に滅菌処理等を実施するには手間がかかるので、内視鏡の使用効率が低下するという問題がある。
【0003】そこで、内視鏡の洗浄・消毒の手間を減らすため、内視鏡本体にカバーを装着した状態で内視鏡検査を実施し、検査後にカバーのみを使い捨てとして交換し、使用後においても内視鏡自体は不潔にならないようにして衛生上の配慮を不要としたカバー方式の内視鏡が提案されている。
【0004】カバー式内視鏡は、一般にカバー用内視鏡本体の挿入部を軟性の挿入部カバー内に装着することで、挿入部カバーにより内視鏡挿入部の外表面を覆い、内視鏡本体を常に清潔に保つようにしている。従って、使用時に滅菌したカバーで覆われたカバー式内視鏡の挿入部が汚染された場合でもカバーの隔離効果により内視鏡挿入部自体は汚染されることなく、カバーを清潔なものに交換することで患者への感染を防止できる。
【0005】このようなカバー式内視鏡では、内視鏡カバーを装着した使用状態において、内視鏡カバー内でカバー用内視鏡がずれないようにする必要がある。例えば特開平3−193023号公報にはカバー用内視鏡の挿入部を内視鏡カバー内に挿入して両者を固定するために、内視鏡の挿入部先端部にカバー先端部を係止させる係止手段を設け、カバー先端部と挿入部先端部が係止手段により固定された状態で検査を行い、検査終了後にはカバー先端部を指先で挟みつけることにより係止手段を解除し、カバー先端部と挿入部先端部を取り外し、カバー用内視鏡から内視鏡カバーを取り外す構成のカバー式内視鏡が開示されている。
【0006】また、同様に実開平3−101901号公報には、カバー先端部を押すだけで挿入部先端とカバー先端を固定していたカバー先端に設けた係止突起を挿入部先端に設けた係止溝の係合を解除でき、カバー用内視鏡から内視鏡カバーを取り外すことができるものが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−193023号公報の従来例は、挿入部先端に設けた内視鏡の先端部本体に係止されるよう、挿入部に被覆するシースの先端部に設けた先端カバーには係止手段が設けてあるが、この係止手段は先端カバーを押すだけで解除されてしまう。そこで本公報の内視鏡を体腔内で使用する際、例えば下部消化管等で使用する場合には、内視鏡を挿入時に、腸壁に内視鏡先端を挟み込むような形で当接したり、腸の運動により内視鏡先端が圧迫されることで、不意の力が内視鏡先端に加わった場合に、また、無理な挿入により内視鏡先端に力が加わった場合には先端部の係止手段が解除され、挿入部に被覆していた挿入部カバーが外れ、最悪観察不能に陥る危険性があった。
【0008】また、実開平3−101701号公報に開示されている従来例でも同様に内視鏡カバー先端を押すことで内視鏡カバー先端の硬性カバーと内視鏡の先端硬性部との係合が外れてしまうため、特開平3−193023号公報と同様な危険性に陥る可能性がある。
【0009】また、以上のカバー式内視鏡においては、一般に部品公差等の寸法のばらつきが生じるため、常にカバー先端部と内視鏡先端部をがたつきなく確実に両者を固定することは難しく、がたつきをできる限り少なくするには部品寸法や組立寸法と精度良く製作する必要があり、装置コストが上昇してしまう。特に使い捨てかあるいはそれに近いわずかな回数しか使わない内視鏡カバーのコストを上げることは内視鏡検査費の大幅な上昇につながる。
【0010】内視鏡カバー等の寸法のばらつきによって内視鏡光学系とカバー先端との間に空間が生じた場合、内視鏡光学系とカバーとが十分近時あるいは密着した状態に保持できず、内視鏡の観察光学系や照明光学系とカバーとの間でゴースト、フレア等の光学的な不具合が生じる恐れがあった。
【0011】本発明は上述した点にかんがみてなされたもので、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバーの先端カバーとの固定及び固定解除の操作を行いやすくかつ不意な外力にも内視鏡カバーが外れないカバー式内視鏡を提供することを第1の目的としている。
【0012】また、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバーの先端部との間で光学的な不具合を生じないよう確実に保持することが可能なカバー式内視鏡を提供することを第2の目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、細長の挿入部を有する内視鏡と、少なくとも前記内視鏡の挿入部を被覆する内視鏡カバーとを備え、前記内視鏡カバーは前記内視鏡の挿入部の先端部を被嵌する先端カバー部材を有するカバー式内視鏡において、前記内視鏡の先端部に形成された、前記内視鏡の挿入部の長手方向に対して傾斜した斜面部を有する係止部と、前記先端カバー部材に形成された、一端が該先端カバー部材の本体に固定され前記内視鏡の挿入部の長手方向に延設された他端側が弾性変形可能な弾性変形部と、前記弾性変形部に形成された、前記係止部の斜面部と係合する斜面部とを有する係合部と、前記弾性変形部の外側に配設された、該弾性変形部に形成された前記係合部の斜面部と前記内視鏡の先端部に形成された前記係止部の斜面部との係合状態を保つように前記弾性変形部の変形を規制する規制手段と、前記規制手段の外側に配設された、前記弾性変形部に形成された前記係合部の斜面部と前記内視鏡の先端部に形成された前記係止部の斜面部との係合状態を解除するよう前記規制手段の規制を解除する規制解除手段と、を具備したことを特徴とする。
【0014】
【0015】
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明する。
(第1実施例)図1ないし図10は本発明の第1実施例に係り、図1はカバー式内視鏡の全体構成を示す斜視図、図2はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図3は図2のA−A線断面図、図4R>4は図3のB−B線断面図、図5〜図10は先端構成部を先端カバー部材に挿入もしくは先端カバー部材から抜去する際の状態を説明する説明図である。
【0017】本実施例のカバー式内視鏡1は、図1に示すようにカバー用内視鏡2と、このカバー用内視鏡2の少なくとも挿入部3を覆う内視鏡カバー4との組み合わせから構成されている。
【0018】カバー用内視鏡2は、細長の挿入部3の基端側に把持部を兼ねた操作部5が連設され、挿入部3の先端側には先端構成部6が設けられている。一方、内視鏡カバー4は、前記挿入部3を覆い被せる挿入部カバー7と、前記操作部5を覆う操作部カバー8とを有している。挿入部カバー7は、軟性のチューブ状の外皮9の先端側に前記先端構成部6に外装される先端カバー部材10が連設され、外皮9の基端側には前記操作部5に係合して固定するための口体部11が連設して構成されている。操作部カバー8は、薄肉で軟性な部材、例えば塩化ビニル等の高分子材料の膜部材で形成されている。これらのカバーは使用前には全て滅菌されている。
【0019】次に、図2ないし図4を主に参照してカバー用内視鏡2の挿入部3及び挿入部カバー7の先端部の詳細な構成を説明する。図2は挿入部3に挿入部カバー7を装着完了した状態、図3は先端部の径方向断面(図2R>2のA−A線断面)を示し、図4は図3のB−B線の断面図を示す。
【0020】挿入部カバー7は、円筒状のウレタンや塩化ビニル等の薄肉チューブからなる外皮9によりその本体(カバー本体)が構成されており、外皮9の先端側端部には先端カバー部材10が気密的に接合して設けられている。先端カバー部材10の側周部の例えば一箇所には、挿入部3の長手方向の近位端側にアームを延出した弾性変形部12が設けられ、この弾性変形部12はその基端となる一端が先端カバー部材10に固定され、この一端を支点として他端側(つまり後端側)が挿入部3の径方向に弾性的に変形可能、或いは移動可能になっている(弾性変形部12は先端カバー部材10と同じ部材でも良いし、先端カバー部材10と異なる他の部材等を先端カバー部材10に接着などにより設けても良い)。
【0021】この弾性変形部12の他端には、半径方向内側に突出した係合部13が設けられ、一方、カバー用内視鏡2の先端構成部6の外周側部には半径方向外側に突出した係止部14が設けられ、図2に示すように係合部13と係止部14が係合することによりカバー用内視鏡2の先端側が内視鏡カバー4の先端側に位置決め固定できるようになっている。例えば、係合部13及び係止部14の径方向の突出量は0.3〜0.5mm程度が良い。この弾性変形部12の外側の面は、周囲の先端カバー部材10の外径と同じ外径を有する円弧状の形状にしてある。
【0022】前記先端構成部6の係止部14は、周囲の先端構成部6の外周面を切り欠いて突出する突出部のように形成されており、前記先端カバー部材10の係合部13は、先端カバー部材10の内周面より突出する凸部のように形成され、先端カバー部材10の最外周円より内側に凸となるように設けられている。
【0023】弾性変形部12の外側には、この弾性変形部12の一部及び先端カバー部材10の外側に外装され、弾性変形部12の変形を規制する規制手段(或いは規制部材)としての機能を有する円筒状部材15が設けられている。弾性変形部12外側と外皮9との間には、円筒状部材15の肉厚分の空間が形成されている。つまり、先端カバー部材10の近位端側は先端側に比べて円筒状部材15の肉厚分だけ細径にして、外皮9との間に形成したこの空間に円筒状部材15を収納した構造にしている。
【0024】また、円筒状部材15は、薄肉金属パイプ材等で形成され、先端カバー部材10の最外周円の径と同じもしくは最外周円の径よりも小さい外径を有している。また、この円筒状部材15は指で挟むように力を加えると変形できるような材質及び肉厚である。この場合、円筒状部材15の肉厚は例えば0.15〜0.25mmが良い。また、この円筒状部材15は、外側から力を印加すると変形し、印加を止める(印加しない)と、円筒形状に復帰する弾性を有する弾性部材で構成されている。
【0025】前記係合部13と係止部14は、両者に部品公差等の寸法差が生じても当接・係合しやすいように、係合部13と係止部14が係合する面は互いに斜面となる斜面部13a,14aを形成し、また寸法差がある場合でもその誤差は係合部13と係止部14が重なり合う方向にずれるよう構成されている。
【0026】つまり、半径外側方向に突出する係止部14における挿入部近位端側には近位端になるにつれて突出量が小さくなるよう傾斜面14a或いはテーパ面が形成され、半径内側方向に突出する係合部13における前記係止部14と係合する挿入部遠位端側には遠位端になるにつれて先端カバー部材10の突出量が小さくなるよう傾斜面13a或いはテーパ面が形成されている。
【0027】そして、係止部14の傾斜面14aより近位端側は係合部13に対してはこの係合部13を収納する凹部が形成されるようにしている。また、係合部13の傾斜面13aより遠位端側は係止部14に対してこの係止部14を収納する凹部が形成されるようにして、図2R>2に示すように両傾斜面13a,14aで当接して係合部13及び係止部14を係止或いは固定できるようにしている。斜面部13a,14aの傾斜の角度は例えば30°〜45°が良い。
【0028】また、係止部14の挿入部遠位端側には遠位端になるにつれて先端構成部6外径が細径となるよう傾斜面14bが形成されている。また、弾性変形部12の近位端側外周面には近位端になるにつれて弾性変形部12外径が細径となる傾斜面12aが形成されている。
【0029】また図2に示すように先端カバー部材10の先端側の内周面には、カバー用内視鏡2の先端構成部6の先端付近の外周面と嵌合し、先端側を支持する厚肉でその一部が半径内側に突出する支持部16が形成されている。そして、図2のように先端カバー部材10と先端構成部6とが係合した状態では、両者は密着しがたつきを防止できるようにしている。
【0030】図4に示すように先端構成部6の内部には、先端側から観察用被写体像を結像する対物光学系(又は観察光学系)18(その先端の第1レンズを符号17で示す)、前記被写体像を電気信号に変換する図示しないCCD等の固体撮像素子を内蔵した撮像ユニット28、この撮像ユニット28からの画像信号を画像処理する画像コントロールユニット(図示せず)へ伝達する信号ケーブル29が設けられると共に、対物光学系18の光軸と略平行に図示しない光源装置から照明光を伝送するライトガイド52と、伝送された照明光を被写体に照射する照明光学系53が設けられている。先端カバー部材10の先端面には、前記対物光学系18の第1レンズ17及び照明光学系53を覆うようにこれらの光学系と対向してレンズカバー19が設けられている。
【0031】またレンズカバー19には対物光学系18の第1レンズ17と照明光学系53とを仕切ようにして遮光する遮光部54が設けられており、照明光学系53から出射された照明光が対物光学系18側に漏れるのを遮光部54で遮光してフレアの発生を防止している。なお、図3に示すように先端カバー部材10には、送気用管路を形成する送気チューブ25、送水用管路を形成する送水チューブ26、鉗子挿通路を形成する鉗子挿通チャンネルチューブ27が設けてある。
【0032】また、この実施例では弾性変形部12の変形を規制する規制部材としての円筒状部材15を変形させることによりその規制を解除する規制解除機構を以下のように形成している。
【0033】例えば、図3に示すように先端カバー部材10には円筒状部材15を内側に変形するための第1の空間を形成するたのの切欠部50が例えば円弧状に2箇所設けている。この切欠部50は先端カバー部材10の中心軸に対し、弾性変形部12の位置をほぼ90°回転したような位置で相対する2箇所に設けている。
【0034】切欠部50は先端カバー部材10の外周面を図3に示すように断面が楕円形となるように削り取ることにより、通常は円筒形の円筒状部材15の内周面と、楕円形の先端カバー部材10の外周面との間に円弧状の空間が形成されるように(切欠部50が)設けている。
【0035】そして、例えば図3の装着状態において、そのBーBの方向から外皮9ごと指で摘むようにしてこの切欠部50に向って円筒状部材15を内側に偏平させる力を加えて、(切欠部50による空間を無くするように)円筒状部材15をその内周面が先端カバー部材10の楕円形の外周面に当接するように変形させた場合には、図6に示すように少なくとも弾性変形部12の外周面側に弾性変形部12を半径方向外側に変形させることができる空間51を生じさせ、この空間51により弾性変形部12を弾性変形させることができる構成(つまり、規制を解除する規制解除機構)を実現している。
【0036】換言すると、例えば図3のBーBの方向から外皮9ごしに指で摘む力を加えて円筒状部材15を内側に偏平した楕円形状に変形させた場合には、円筒状部材15の楕円形の長軸方向となる部分、つまり図6に示すように弾性変形部12の外周面と、この先端カバー部材10上で弾性変形部12とは対称となる位置に新たな空間51を生じさせることができるような構成にしている。
【0037】そして、内視鏡カバー4に対してカバー用内視鏡2側を引く操作を行うことにより、係止部14に係止された弾性変形部12の係合部13を半径外側方向の空間51側に変形させて、係止を解消して内視鏡カバー4とカバー用内視鏡2とを外すことができるようにしている。図3の装着状態から取り外す場合で規制解除機構の機能を説明したが、後述するように装着する場合にも適用される。
【0038】この説明から分かるように空間51の大きさは少なくとも、弾性変形部12が変形し、係合部13と係止部14の係合が外れる程度の大きさであればよく、切欠部50は円筒状部材15の変形時にその分の空間を生じさせる大きさで、また切欠部50の断面形状は円筒状部材15が楕円形に変形した際の円筒状部材15内周面の楕円形状と同形状、もしくは円筒状部材15が楕円形に変形した際の形状より短軸の長さが小さい偏平した楕円形状が良い。例えば、係合部13及び係止部14の径方向の突出量が0.3〜0.5mmの場合、切欠部50の径方向の幅の最も大きい部分は少なくとも0.3mm以上は必要である。
【0039】図2に示すように先端カバー部材10には円筒状部材15の近位端側への位置決めとして、例えば半径外側方向に突出する突起で形成した抜け止め部55が円筒状部材15の近位端側に設けられ、また、遠位端側への位置決めとして、例えば略段差状に拡径にした止め部56が遠位端側に設けられている。また、前記弾性変形部12の変形が円滑に行われるように図4に示すように円筒状部材15に隣接してカバー先端部材10と外皮10の間には空間が設けてある。
【0040】次にこの実施例の作用を、図5ないし図10R>0等を参照して説明する。図5は先端構成部6を先端カバー部材に挿入する直前の状態、図7は先端カバー部材10に先端構成部6を挿入していく状態及び先端カバー部材10から先端構成部6を抜去していく途中の状態を示したものであり、図9は先端カバー部材10に先端構成部6を挿入し、係合部13及び係止部4の係合が完了した状態及び先端カバー部材10から先端構成部6を抜去する際、弾性変形部12が変形できるように円筒状部材15を変形した状態を示した軸方向の断面図である。また図6,図8,図10は図5,図7,図9のC−C,D−D,E−E断面をそれぞれ示したものである。
【0041】本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3を挿入部カバー7に装着するために挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、挿入部3先端の先端構成部6が挿入部カバー7内を進み、やがて、先端カバー部材10近傍まで到達し、そのまま先端構成部6の途中まで先端カバー部材10に嵌合する。この時、係止部14が係合部13と当接するが、弾性変形部12の変形は円筒状部材15により規制されているので、これ以上は先端構成部6は進めない。
【0042】そこで、図6のように円筒状部材15を切欠部50に向って内側に変形(するように指で押圧)してやると円筒状部材15は楕円状に変形し、図5,図6のように弾性変形部12外側に弾性変形部12が変形できる空間51が生じ、そのまま先端構成部6を挿入していくと、図7のように係止部14の傾斜面14bが係合部13を半径外側方向に押圧して弾性変形部12を変形させながら押し上げる(この場合、弾性変形部12の後端の外側の面は切り欠いた傾斜面12aにしてあるので、外側の円筒状部材15に当たってしまうことなく弾性変形部12の後端側は外側に変形できる)。続けて先端構成部6を挿入していくと図9のように係合部13が弾性変形部12の弾性復元力により係止部14を乗り越えて係合部13と係止部14とが係合する。
【0043】ここで、係合部13と係止部14の位置する部分に部品寸法等の寸法差が生じたとしても、係合部13の傾斜面13aと係止部14の傾斜面14aが重なり合う方向に寸法差が出るよう設定しているので傾斜面13aと傾斜面14aは弾性変形部12が変形した状態で係合でき、先端カバー部材10と先端構成部6とが係止状態になる。
【0044】次に円筒状部材15の切欠部50への変形を止め、円筒状部材15の断面形状を円形に戻すことにより、図2のように円筒状部材15は弾性変形部12に外装された状態となり、弾性変形部12はこの円筒状部材15により変形が規制された状態となる。つまり、係合部13が係止部14に当接または弾性変形部12の弾性力により、半径内側方向に付勢された状態で確実に係合状態が保持され、がたつきのないよう先端部側が固定される。そして、この確実に先端構成部6と先端カバー部材10が固定した状態で内視鏡検査を行うことができる。
【0045】挿入部カバー7を取り外す際は円筒状部材15を再び切欠部50に向って内側に変形させることで図9及び図10のように弾性変形部12外側に弾性変形部12が弾性変形可能な空間51が生じる。しかしこのように円筒状部材15が変形しただけでは係止部14と係合部13の係合は外れず、先端構成部6を先端カバー部材10に係止されたままであり、先端構成部6と先端カバー部材10は外れない。
【0046】次に図7のように内視鏡カバー4側に対し、先端構成部6を挿入部3近位端側に引き抜いていくと係止部14が係合部13を押し上げ、弾性変形部12が空間51内で変形し、係止部14と係合部13の係合が外れ、先端部での固定が解除され、図5のように先端カバー部材10から先端構成部6を抜去でき、挿入部3から挿入部カバー7の取り外しが可能となる。
【0047】本実施例は以下の効果を有する。本実施例の構成では、先端カバー部材10、先端構成部6において部品公差程度の寸法差が生じても、係合部13と係止部14が係合する面が斜面部13a,14aが設けてあるので、それらの誤差を吸収して両者が当接・係合しやすくできる。この時、弾性変形部12の弾性復元力により係合部13が係止部14を押圧することで先端構成部6がカバー先端側に付勢されており、またこの状態で、円筒状部材15は外装されているため、弾性変形部12及び(弾性変形部12に対向する位置の)先端カバー部材10に円筒状部材15が密着して外装することとなり、より強固に係合状態を保持できる。
【0048】また、寸法差がない場合も係合部13と係止部14は確実に係合して円筒状部材15を外装しているため確実に係合状態で保持できる。また、弾性変形部12の変形を円筒状部材15により規制することで係合部13の移動が規制され、不用意に係合部13が係止部14を乗り越えて係合が解除されてしまうということを防いでいる。先端カバー部材10の先端内面に先端構成部6が当接及び付勢した状態でがたつきのない確実な固定が行える。よって、カバーを装着した状態でカバー式内視鏡1の挿入部を湾曲させたりループせさたりしても両先端部材(先端構成部6と先端カバー部材10)がずれることなく確実に固定保持できる。
【0049】そして、先端カバー部材10と先端構成部6との突当面からの内視鏡側の係止部14までの距離と前記突当面からの内視鏡カバー側の係合部13までの距離とを適宜設定することにより、先端カバー部材10と先端構成部6とが係合した状態でレンズカバー19と対物光学系18の第1レンズ17とが十分近接あるいは密着した状態となるようクリアランスが所定値(例えば0.1mm以下)に保持されるので、観察の妨げとなるフレアやゴースト等の発生を防止できる。
【0050】先端構成部6の外周面を切り欠いて係止部14を設け、この係止部14を係合するよう先端カバー部材10の外周円より内側に係合部13を設けたことで、新たに係止部14及び係合部13のためのスペースを必要とすることなく、挿入部を細径化できる効果を有する。
【0051】先端カバー部材10において円筒状部材15が位置する部分は円筒状部材15の肉厚分だけ細径としているので、円筒状部材15の肉厚分挿入部カバーの外径が太くなるおそれはない。さらに円筒状部材15が外側に突出しないので円筒状部材15による外皮9の破損を防止でき、また外皮9の抵抗を少なくできるので着脱が容易となる効果を有する。
【0052】また、円筒状部材15と先端カバー部材10との間に円筒状部材15と内側に変形させ、弾性変形部12近傍に弾性変形部12が変形でき係合部13と係止部14の係合が外れるだけの空間51を生み出す切欠部50を設けることで、内視鏡カバー4の先端部を指先で挟み込むような形で押さえながら、挿入部3を引き抜くだけで、簡単に、軽い力で内視鏡カバー4を取り外すことができ、また挿入部カバー7先端に仮に、不意な外力が加わって円筒状部材15が変形し、弾性変形部12外側に弾性変形部12が変形できる分の空間51ができたとしても、係合部14と係止部13の係合は保持されているため、先端側の固定が解除されてしまうということはなく、検査中に内視鏡カバー2が外れてしまい観察不能に陥るといった最悪の事態は起こり得ないため、安全な検査をとり行うことができる。
【0053】また、本実施例において、先端構成部6の先端面が遠位端方向に先端カバー部材10内面において突き当たる部分を、例えば図11のようにレンズカバー19にし、レンズカバー19及び弾性変形部12や係合部13を有する先端カバー部材をレンズカバー19の透明部材と同一にして、弾性変形部12や係合部13と共に先端カバー部材10に一体に設けても良い。
【0054】また、また図12のように突き当たる部分を弾性変形部12や係合部13を有する先端カバー部材に一体に設けた遮光部54でも良く、レンズカバー19が別体でレンズカバー19が先端カバー部材10に接着、溶着等で設けられている状態で、レンズカバー19に先端構成部6又は対物レンズ17が突き当たっている場合に比べ、強度的な向上がみこまれ、先端構成部6が弾性変形部12の弾性力により遠位端側に付勢しても、壊れにくくできるという効果がある。
【0055】また、図13のように円筒状部材15を切欠部50に向って内側に変形させる部分の外皮9外面に白丸等の目印となる指標57を設けても良く、この場合操作者の着脱の操作がやりやすくなるという効果がある。なお、図13では挿入部カバー7の外側には先端からの長さを示す数字の表示部が設けてあり、体腔内に挿入した場合どの程度挿入したかが分かるようにしている。
【0056】切欠部50は先端カバー部材10と円筒状部材15との間ではなく図14のように円筒状部材15の内面と、この内側の先端カバー部材10及び先端構成部6との間に設けても良い。この場合、図3の切欠部50と先端構成部6との間の先端カバー部材10の肉部を設けなくて良いため、その分、細径化できるというメリットがある。
【0057】(第2実施例)図15ないし図17は本発明の第2実施例に係り、図15はカバー式内視鏡の挿入部先端の詳細構成を示す径方向断面図、図16は実施例中の作用を説明する同断面図である。第2実施例において第1実施例とほぼ同様であるため、同じ構成の部分については同符号をつけ、説明を省略する。
【0058】図15のように切欠部50を弾性変形部12と先端カバー部材10中心軸に対し、90°以内になるよう設け、弾性変形部12外側近傍と切欠部50を近距離で結ぶ外周面以外の円筒状部材15と先端カバー部材10が接する接合部分58について円筒状部材15と先端カバー部材10は接着等の手段で接合されている。
【0059】また切欠部50は、この切欠部50に向って円筒状部材15を内側に変形させた時、弾性変形部12の外側に新たな空間51が生じるよう構成しており、この空間51の大きさは少なくとも弾性変形部12が変形し係合部13と係止部14の係合が外れる程度の大きさであれば良く、切欠部50は円筒状部材15がその分の空間を生じさせる大きさとなっている。
【0060】次にこの実施例の作用を説明する。図15の切欠部50に向けて内側に円筒状部材15を変形させると、図16に示すように円筒状部材15と先端カバー部材10が固着している接合部分58の円筒状部材15は変形せず、弾性変形部12外周部分の円筒状部材15が外側に非円形形状となるよう変形し、弾性変形部12が係止部14と係合部13の係合が外れるだけ変形できる空間51が発生する。
【0061】この時、先端構成部6を先端カバー部材10内に挿入していくと、係止部14の傾斜面が弾性変形部12を変形させて係合部13を押し上げ、そのまま進むと係合部13は弾性変形部12の弾性復元力により係止部14を乗り越え、係止部14と斜面部13a,14aにおいて係合される。そして、円筒状部材15の変形を止めることで、弾性変形部12及びこの弾性変形部12の位置に対応する先端カバー部材10部分に円筒状部材15が外装されて、弾性変形部12が半径外側方向に変形するのが規制された状態になり、係合部13と係止部14の係合が確実となる。
【0062】また同様に円筒状部材15を変形させた状態で先端カバー部材10を抜去していくと係止部14が係合部13を押し上げ、そのまま抜去していくと、完全に係止部14と係合部13の係合が外れ、挿入部カバー7を挿入部3から取り外すことができる。
【0063】この実施例は以下の効果を有する。第1実施例と同様であるが、その他には弾性変形部12の外側およびその近傍と切欠部50以外の部分において円筒状部材15と先端カバー部材10とを固着させることにより、切欠部50に向けて内側に変形させた円筒状部材15の変形量はすべて、弾性変形部12付近で外側に変形するため、少ない変形量で、弾性変形部12外側に空間51を作り出すことができる。つまり、少ない押込量で、また1箇所を押すだけで良く、着脱の操作が楽である。
【0064】また、図17のように弾性変形部12と対向する位置の接合部分58で固着しても、円筒状部材15を切欠部50に向けて変形させた変形量にすべて弾性変形量12外側及びその近傍で外側に変形することとなり、少ない押込量で着脱の操作が行える。また、円筒状部材15はポリカーボネート、アクリル等の樹脂製であっても良く、接合している部分で一体的に成形しても良く、同様の効果が得られる。
【0065】(第3実施例)図18ないし図21は本発明の第3実施例に係り、図18はカバー式内視鏡の挿入部先端の詳細な構成を示す長手軸方向の断面図、図19は図18のG−G線断面図、図20は実施例中の作用を説明する説明図、図21は図20のH−H線断面図である。第1,第2実施例と同じ構成の部分については同符号を記し、その説明を省略する。
【0066】図18,図19のように先端カバー部材10上の相対する位置に2組の係止部14及び係合部13、弾性変形部12を設け、それとは先端カバー部材10の中心軸を中心にしておよそ90°回転させた位置の2箇所に切欠部50を設けている。
【0067】また切欠部50は、該切欠部50に向けて円筒状部材15を変形させた時、切欠部50とは先端カバー部材10中心軸を中心にほぼ90°回転させた方向に偏平した形で楕円状に変形して弾性変形部12の外側に新たな空間51が生じるよう構成しており、各空間51の大きさは少なくとも弾性変形部12が変形して係合部13と係止部14の係合が外れる分あれば良く、各切欠部50は円筒状部材15がその分の空間を生じさせる大きさとなっている。
【0068】次に作用を説明する。図18及び図19の状態において、切欠部50に向けて円筒状部材15を内側に変形させる力を加えると、図20及び図21のように切欠部50とは先端カバー部材5の中心にしてほぼ90°回転した方向に楕円状に偏平した形で変形し、各弾性変形部12が係止部14と係合部13の係合が外れるだけ変形できる空間51がそれぞれ発生する。
【0069】この時、先端構成部6を先端カバー部材10に挿入していくと、係止部14の傾斜面が係合部13を弾性変形部12を変形させながら押し上げ、そのまま進むと係合部13は係止部14を弾性変形部12の弾性復元力により係止部14と斜面部13a,14aが当接するようにして係合される。そして円筒状部材15の切欠部50への変形を止めることで、図18及び図19に示すように各弾性変形部12に円筒状部材15が外装され、係合部13と係止部14の係合が確実となる。
【0070】また同様に円筒状部材15を変形させた状態で先端カバー部材10を抜去していくと、係止部14が係合部13を押し上げ、そのまま抜去していくと、完全に係止部14と係合部13の係合が外れ挿入部カバー7を挿入部3から取り外すことができる。
【0071】この実施例は以下の効果を有する。第1実施例と同様であるが、その他には、第1実施例では円筒状部材15を楕円状に変形させた際、弾性変形部12外側近傍と弾性変形部12とは先端カバー部材10上で中心軸に対し反対側にある位置に先端カバー部材10と円筒状部材15からなる空間51が生じるが、機能としては弾性変形部12外側に生じた一方の空間51しか使用しないため、反対側に生じる空間51は無駄なものであった。
【0072】これに対し本実施例においては、2つの空間51に対応して、先端カバー部材10と先端構成部6とに、係合部13、係止部14、弾性変形部12を2組設けたことにより、係合している部分が2箇所になり、操作自体は第1実施例と同様にもかかわらず、より強固に先端カバー部材10と先端構成部6の係合が行え、よりがたつきが抑えることができるという効果がある。
【0073】(第4実施例)図22,図23は本発明の第4実施例に係り、図22はカバー式内視鏡の挿入部先端の構成を示す径方向断面であり、図23は本実施例中の作用を説明する同断面図である。第1〜第3実施例と同じ構成の部分については同符号を記し、その説明を省略する。
【0074】図22のように弾性変形部12、係合部13、係止部14と、切欠部50とを第1実施例中の図3とは先端カバー部材10中心軸を中心に90°以内の範囲で回転したような形で設けてあり、一方の切欠部50にはイラックス等の弾性部材でできた送気チューブ25、送水チューブ26、鉗子挿通チャンネル27が配置されている。
【0075】次のこの実施例の作用を説明する。図22の(但し先端構成部6を装着していない)状態において、切欠部50に向けて内側に円筒状部材15を送気チューブ25、鉗子挿通チャンネル27も一緒に弾性変形させると、図23に示すように切欠部50とはほぼ90°先端カバー部材10中心軸を中心に回転させた方向、つまり、弾性変形部12の外側と及びその点対称な位置に空間51が発生する。
【0076】この時、先端構成部6を先端カバー部材10に挿入していくと、係止部14が係合部13を弾性変形部12を変形させながら押し上げ、そのまま進むと係合部13は係止部14で弾性変形部12の弾性復元力により係止部14と斜面部13a,14aが当接するように係合される。そして円筒状部材18の切欠部50への変形を止めることで弾性変形部12に円筒状部材15が外装され、係合部13と係止部14の係合が確実となる。この時、送気チューブ25、鉗子挿通チャンネル27も変形を止めると元の形状に戻り、図22の装着状態に設定できる。
【0077】また、同様に円筒状部材15を変形させ、送気チューブ25、鉗子挿通チャンネル27を変形させた状態で先端カバー部材10を抜去していくと係止部14が係合部13を押し上げ、そのまま抜去していくと完全に係止部14と係合部13の係合が外れ、挿入部カバー7を挿入部3から取り外すことができる。
【0078】この実施例は以下の効果を有する。第1実施例と同様であるが、さらに鉗子挿通チャンネル27等の周辺部を切り欠いて切欠部50を設け、切欠部50と鉗子挿通チャネル27、送気チューブ25、送水チューブ26を配置する部分を共用することで省スペース化を計ることができる。
【0079】また本実施例において円筒状部材15と共に変形するのは鉗子挿通チャンネル27、送気チューブ25、送水チューブ26のうちどれか1つでも、全てでも良く、また切欠部50内に配設するのも送気チューブ25、送水チューブ26、鉗子挿通チャンネル27のうちどれか1つでも、全てでも良く、先端部を固定、固定解除操作を行う時には送気、送水、吸引、鉗子挿通を行わないので、送気チューブ25、送水チューブ26、鉗子挿通チャンネル27を変形させても不具合は生じない。また送気チューブ25、送水チューブ26、鉗子挿通チャンネル27は軽い力で変形できるため、特に送気チューブ25、送水チューブ26、鉗子挿通チャンネル27を一緒に変形させても操作感は特に低下しない。
【0080】以上の第1実施例〜第4実施例において、図24のように係止部14は先端構成部6を切り欠いて設けた凹部としての係止部14とし、この係止部14を係合部13と係合させても良い。また、図25のように係合部13を弾性変形部12の内面側を切り欠いて設けた凹部として外側に突出した係止部14と係合させても良い。
【0081】ところで、上述の従来技術の項で説明したように内視鏡カバー等の寸法のばらつきによって内視鏡光学系とカバー先端との間に空間が生じた場合、内視鏡光学系とカバーとが十分近接あるいは密着した状態に保持できず、内視鏡の観察光学系や照明光学系とカバーとの間でゴースト、フレア等の光学的な不具合が生じる恐れがある。
【0082】これらの事情に鑑みて、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバー先端部との間で確実に固定状態を保持することに主眼をおいた第5実施例以降のカバー式内視鏡を以下に説明する。
【0083】図26ないし図29はカバー用内視鏡及び内視鏡カバーの両先端部を確実に固定状態に維持できる第5実施例に係り、図26はカバー式内視鏡の全体構成を示す斜視図、図27はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図28は図27のA′−A′線断面図、図29は内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図である。
【0084】本実施例のカバー式内視鏡1は、図26に示すようにカバー用内視鏡2と、このカバー用内視鏡2の少なくとも挿入部3を覆う内視鏡カバー4との組み合わせから構成されている。
【0085】カバー用内視鏡2は、細長の挿入部3の基端側に把持部を兼ねた操作部5が連設され、挿入部3の先端側には先端構成部6が設けられている。一方、内視鏡カバー4は、前記挿入部3を覆い被せる挿入部カバー7と、前記操作部5を覆う操作部カバー8とを有している。挿入部カバー7は、軟性のチューブ状の外皮9の先端側に前記先端構成部6に外挿される先端カバー部材10が連設され、外皮9の基端側に前記操作部5と係合固定される口体部11が連設されて構成されている。操作部カバー8は、薄肉で軟性な、例えば塩化ビニルなどの高分子材料の膜部材で形成されている。これらのカバーは使用前には全て滅菌されている。
【0086】次に、図27ないし図29を参照して内視鏡挿入部3及び挿入部カバー7の先端部の詳細構成を説明する。図27は内視鏡挿入部3に挿入部カバー7を装着完了した状態、図29は挿入部カバー7内部に内視鏡挿入部3を挿入していく途中の状態でのそれぞれの長手方向断面を示し、図28は先端部の径方向断面(図27のA′−A′線断面)を示したものである。
【0087】挿入部カバー7は、円筒状のウレタンや塩化ビニルなどの薄肉チューブからなる外皮9によりカバー本体が構成されており、外皮9の先端側端部には先端カバー部材10が気密的に接合して設けられている。先端カバー部材10の側周部には、挿入部長手方向後端側に延出した弾性変形部12が設けられ、この弾性変形部12は一端が先端カバー部材10に固定されここを支点として他端側が挿入部径方向に移動可能になっている。弾性変形部12の他端には、内側に突出した係合部13が設けられ、一方内視鏡の先端構成部6の外周側部には外側に突出した係止部14が設けられ、これらの係合部13と係止部14が係合するようになっている。
【0088】前記先端構成部6の係止部14は、周囲の先端構成部6の外周面を切り欠いて突出部が形成されており、前記先端カバー部材10の係合部13は、先端カバー部材10の内周面より突出して凸部が形成され先端カバー部材10の最外周円より内側に設けられている。
【0089】弾性変形部12の近傍には、挿入部長手方向に移動可能で弾性変形部12の一部及び先端カバー部材10の外側に外挿される円筒状部材15が設けられている。弾性変形部12近傍の弾性変形部12と外皮9との間には、円筒状部材15の肉厚分の空間があり、この空間の分だけ先端カバー部材10の後端側は先端側に比べ細径となっている。また、円筒状部材15は、樹脂ないし薄肉金属パイプ材等で形成され、先端カバー部材10の最外周円の径よりも小さい外径を有している。
【0090】前記係合部13と係止部14は、両者に部品公差等の寸法差が生じても当接・係合し易いように、係合部13と係止部14が係合する面は互いに斜面を成し、また寸法差がある場合でもその誤差は係合部13と係止部14が重なり合う方向にずれるよう構成されている。また、係止部14の挿入部遠位端側には遠位端になるにつれて先端構成部6外径が細径となるよう傾斜面14bが形成され、係合部13の前記係止部14と係合する挿入部近位端側には近位端になるにつれて先端カバー部材10内径が細径化するよう傾斜面13aが形成され、弾性変形部12の近位端側外周面には近位端になるにつれて弾性変形部12外径が細径となる傾斜面12aが形成されている。
【0091】また先端カバー部材10の先端側には、内視鏡の先端構成部6と嵌合し先端を支持する厚肉の支持部16が形成されている。
【0092】先端構成部6の内部には、先端側から観察用被写体像を結像する対物光学系9又は観察光学系)18(その先端の第1レンズを符号17で示す),前記被写体像を電気信号に変換する撮像ユニット28,撮像ユニット28からの画像信号を画像コントロールユニット(図示せず)へ伝達する信号ケーブル29が設けられると共に、観察光学系18と略平行に図示しない照明光学系が設けられている。先端カバー部材10の先端面には、前記観察光学系18の第1レンズ17及び照明光学系を覆うようにこれらの光学系と対向してレンズカバー19が設けられている。
【0093】本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3に挿入部カバー7を装着するために、内視鏡挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、挿入部カバー7の内視鏡収納部底部まで挿入していくと挿入完了する直前の段階で先端構成部6が先端カバー部材10の支持部16に嵌合する。このとき、図29に示すように、先端構成部6の係止部14が弾性変形部12の係合部13と当接し、係止部14の傾斜面14bが係合部13を径方向に押し上げる。
【0094】さらに先端へ挿入が進むと、係合部13が係止部14を乗り越えて係合部13と係止部14とが係合し、先端カバー部材10と先端構成部6とが係止されて固定される。
【0095】次に、図27に示すように、弾性変形部12の一部もしくは全体に円筒状部材15を外挿することで、弾性変形部12は変形を規制され、係合部13が係止部14に密着または付勢した状態で確実に係合状態が保持される。これにより、挿入部カバー7がカバー用内視鏡2の挿入部3に取り付けられてがたつきの無いよう先端部が固定される。
【0096】このとき、円筒状部材15は、弾性変形ないしは塑性変形をして、弾性変形部12及び先端カバー部材10に外挿される。なお、弾性変形部12が変形した状態で円筒状部材15が嵌合する場合などにおいても、弾性変形部12の外周面には傾斜面12aが設けてあるため、傾斜面12aに沿って円筒状部材15をスムーズに外挿することができ、円筒状部材15によって係合部13が係止部14と押圧する。
【0097】挿入部カバー7を取り外す際は、円筒状部材15を弾性変形部12の変形域から外れるよう挿入部軸方向に移動させることで、弾性変形部12の変形が可能となる。この状態で内視鏡挿入部3を引き抜くと、先端構成部6の係止部14が弾性変形部12基端部と先端カバー部材10との固定部分を支点として係合部13を押し上げて弾性変形部12が変形し、カバーの取り外しが可能である。
【0098】本実施例の構成では、先端カバー部材10,先端構成部6において部品公差程度の寸法差が生じても、係合部13と係止部14が係合する面が斜面であるため誤差を吸収して両者が当接・係合しやすくなっている。このとき、弾性変形部12の弾性復元力により係合部13が係止部14を押圧することで先端構成部6がカバー先端側に付勢されており、またこの状態で、円筒状部材15は弾性変形ないし塑性変形して押し拡げられた形で外挿されているため、弾性変形部12及び先端カバー部材10に円筒状部材15を密着して外挿することにより強固に係合状態を保持できる。また、弾性変形部12の変形を円筒状部材15により規制することで係合部13の移動が規制され、係合部13が係止部14を乗り越えて係合が解除されてしまうということを防いでいる。さらに、先端カバー部材10の支持部16が先端構成部6のあおりを抑えるため、先端カバー部材10の先端内面に先端構成部6が当接及び付勢した状態でがたつきの無い確実な固定が行える。よって、カバーを装着した状態で挿入部を湾曲させたりループさせたりしても先端部がずれることなく確実に固定保持される。
【0099】そして、先端カバー部材10と先端構成部6との突当面からの内視鏡側の係止部14までの距離と前記突当面からの内視鏡カバー側の係合部13までの距離とを適宜設定することにより、先端カバー部材10と先端構成部6とが係合した状態でレンズカバー19と観察光学系18の前面の第1レンズ17とが十分近接あるいは密着した状態となるようクリアランスが所定値(例えば0.1mm以下)に保持されるので、観察に支障のあるフレアやゴースト等の発生を防止できる。
【0100】又、カバー側の係合部13と内視鏡側の係止部14とにそれぞれ斜面部を設けているため、規制手段としての円筒状部材15を弾性変形部12の変形域から取り除くことで容易に係合状態の解除ができ、カバーの装着、抜去が軽い力で行えるため、操作性が良好であり、装脱着作業を容易かつスムーズに実施できる。
【0101】さらに、先端構成部6の外周面を切り欠いて係止部14を設け、この係止部14を係合するよう先端カバー部材10の外周円より内側に係合部13を設けたことで、新たに係止部14及び係合部13のためのスペースを必要とすることなく、挿入部を細径化できる効果を有する。
【0102】また、先端カバー部材10において円筒状部材15が位置する部分は円筒状部材15の肉厚分だけ細径としているので、円筒状部材15の肉厚分挿入部カバーの外径が太くなるおそれはない。さらに円筒状部材15が外側に突出しないので円筒状部材15による外皮9の破損を防止でき、また外皮9の抵抗を少なくできるので着脱が容易となる効果を有する。
【0103】また、弾性変形部12の外周面に傾斜面12aを設ける代わりに、円筒状部材15の挿入部遠位端側内面に遠位端になるにつれて肉厚が薄くなるよう傾斜面を設けても同様の作用効果が得られる。
【0104】以上のように本実施例によれば、カバー用内視鏡の先端部とカバー先端部との間でがたつきの無い確実な固定を実現でき、この固定状態を保持することが可能となる。また、内視鏡先端構成部の対物レンズ系先端面がレンズカバー内面に密着あるいは十分近接した状態で両者を固定できるため、フレア等の光学的な不具合を防止できる。
【0105】なお、外皮9を通してカバー外部から円筒状部材を挿脱する際の操作性を向上するために、円筒状部材を図30に示すような構成としても良い。
【0106】図30の構成例は、円筒状部材と外皮との抵抗を減少させるために、外周部を外皮9の内径に収まる多角形状とした円筒状部材15aを設けたものである。この構成によれば、外皮9と円筒状部材15aとの接点が少なくなるため、円筒状部材15aの外皮9との間での摩擦抵抗が少なくなり円筒状部材15aをスムーズに弾性変形部12及び先端カバー部材10に挿脱でき、操作性が向上する。
【0107】図31ないし図34は本発明の第6実施例に係り、図31はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図32は図31のB′−B′線断面図、図33は内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図、図34は図33のC′−C′線断面図である。
【0108】第6実施例は第5実施例における係合部と係止部の構成を変更し係合部として凹部を設けた例である。
【0109】挿入部カバーの先端カバー部材20には、第5実施例と同様に弾性変形部21を有しているが、この弾性変形部21の近位端側には第5実施例の凸部に代えて内側に凹部が形成された係合部22が設けられている。一方内視鏡の先端構成部23の外周側部には外側に突出した係止部24が設けられ、これらの係合部22と係止部24が係合するようになっている。
【0110】また本実施例では、先端カバー部材側に内視鏡先端構成部を支持する支持部を設けるのに代えて、先端構成部23の遠位端には内視鏡挿入部先端を保持するための突出部からなる保持部125が設けられている。
【0111】前記係合部22と係止部24は、両者に部品公差等の寸法差が生じても当接・係合し易いように、係合部22と係止部24が係合する面は互いに斜面を成して構成されている。また、係合部22の挿入部近位端側には近位端になるにつれて弾性変形部21の肉厚が薄くなるよう傾斜面22aが形成され、係止部24の挿入部遠位端側には遠位端になるにつれて先端構成部23外径が細径となるよう傾斜面24aが形成され、保持部125の遠位端側には遠位端になるにつれて先端構成部23外径が細径となるよう傾斜面125aが形成されている。
【0112】弾性変形部21及び先端カバー部材20の外側に外挿される円筒状部材126は、図7に示すように、円周の一部を挿入部軸方向に切り欠いた切欠部127を有している。その他の部分の構成は第5実施例と同様であり、説明を省略する。
【0113】前記本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3に挿入部カバー7を装着するために、内視鏡挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、先端カバー部材20の内視鏡収納部底部まで挿入していくと挿入完了する段階で先端構成部23が先端カバー部材20に嵌合する。このとき、図33に示すように、先端構成部23の保持部125及び係止部24が弾性変形部21の係合部22の傾斜面22aと当接し、保持部125の傾斜面125a及び係止部24の傾斜面24aが順に係合部22を径方向に押し上げる。
【0114】さらに先端へ挿入が進むと、係合部22の遠位端側が係止部24を乗り越えて係合部22と係止部24とが係合し、先端カバー部材20と先端構成部23とが係止されて固定される。
【0115】次に、図31及び図32に示すように、弾性変形部21の一部もしくは全体に円筒状部材126の肉厚を有する部分が位置するよう、円筒状部材126を先端カバー部材20に外挿することで、弾性変形部21は変形を規制され、係合部22が係止部24に密着または付勢した状態で確実に係合状態が保持されて、挿入部カバー7がカバー用内視鏡2の挿入部3に取り付けられて両者の先端部が固定される。
【0116】カバーを取り外す際は、円筒状部材126を周方向に回転させ、図34に示すように切欠部127を弾性変形部21の変形域に位置させることで、図33に示すように弾性変形部21の変形が可能となる。この状態で内視鏡挿入部3を引き抜くと、先端構成部23の係止部24が弾性変形部21基端部と先端カバー部材20との固定部分を支点として係合部22を押し上げて弾性変形部21が変形し、カバーの取り外しが可能である。
【0117】本実施例の構成においても、第5実施例と同様にカバー用内視鏡の先端部とカバー先端部とをがたつき無く確実に固定することができる。第6実施例では円筒状部材126を周方向に回転させることで弾性変形部21の規制を解除できるため、カバー脱着作業を容易にできる。
【0118】図35ないし図37は本発明の第7実施例に係り、図35はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図36は図10のD′−D′線断面図、図37は内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図である。第7実施例は第5実施例における係合部と係止部の構成を変更し係止部として溝部を設けた例である。
【0119】挿入部カバーの先端カバー部材30には、第5実施例と同様に近位端側に内側へ突出した係合部32を有する弾性変形部31が設けられている。一方内視鏡の先端構成部33の外周側部には、第5実施例の突出部に代えて溝部が形成された係止部34が設けられ、これらの係合部32と係止部34が係合するようになっている。前記係合部32と係止部34が係合する面は互いに斜面を成して構成されている。
【0120】また、円筒状部材に代わって、弾性変形部31の近傍には、弾性変形部31のの挿入部径方向の移動を規制するための、外径は先端カバー部材30の外周と同径で内径は弾性変形部31外側の円弧面と同径の断面が図36に示すように円弧状に形成された押圧部材35が配設されている。
【0121】その他の部分の構成は第5実施例と同様であり、説明を省略する。
【0122】本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3に挿入部カバー7を装着するために、内視鏡挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、先端カバー部材30の内視鏡収納部底部まで挿入していくと挿入完了する段階で先端構成部33が先端カバー部材30に嵌合する。このとき、図37に示すように、先端構成部33の先端が弾性変形部31の係合部32の近位端側傾斜面と当接し、係合部32を径方向に押し上げる。さらに先端へ挿入が進むと、係合部32と係止部34とが係合し、先端カバー部材30と先端構成部33とが係止されて固定される。
【0123】次に、図35及び図36に示すように、押圧部材35を弾性変形部31の一部もしくは全体に当接できる位置に軸方向へ移動させ、先端カバー部材30の空間に係入する。先端構成部に挿入部近位端側への軸方向の力が加わった場合、弾性変形部31は径方向外側に変形しようとするが、押圧部材35を係入することによって、押圧部材35と外皮9の弾性力により弾性変形部31は中心方向に押圧されて変形を規制され、係合部32が係止部34を付勢した状態で確実に係合状態が保持されて、挿入部カバー7がカバー用内視鏡2の挿入部3に取り付けられる。
【0124】カバーを取り外す際は、押圧部材35を弾性変形部31の変形域から移動させることで、弾性変形部31の変形が可能となり、この状態で内視鏡挿入部3を引き抜くと、先端構成部33が弾性変形部31基端部と先端カバー部材30との固定部分を支点として係合部32を押し上げることにより、カバーの取り外しが可能となる。
【0125】本実施例の構成においても、押圧部材35と外皮9の弾性力により係合部32が係止部34に密着または付勢され、両者が係合することでがたつきの無い確実な固定ができ、第5実施例と同様な効果が得られる。
【0126】なお、第7実施例において、押圧部材35の形状は断面が円弧状のものに限らず、平板状等のものでも良く、弾性変形部31が変形した際に外皮9の弾性による付勢力が弾性変形部31に伝わるだけの寸法であれば良い。
【0127】図38ないし図40は本発明の第8実施例に係り、図38はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図39は内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図、図40は内視鏡カバーから内視鏡挿入部を抜去するときの途中の状態を示す長手方向断面図である。第8実施例は第5実施例における係合部の形状を変更した例である。
【0128】挿入部カバーの先端カバー部材40には、第5実施例と同様に、近位端側に内側へ突出した係合部42を有する弾性変形部41が設けられており、一方内視鏡の先端構成部43の外周側部には外側に突出した係止部44が設けられ、これらの係合部42と係止部44が係合するようになっている。
【0129】係合部42の挿入部近位端側内面には、係合部42と係止部44が係合している斜面部の傾斜に比べてゆるやかな5°〜30°の傾斜を成す緩斜面42aが形成されている。その他の部分の構成は第5実施例と同様であり、説明を省略する。
【0130】前記本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3に挿入部カバー7を装着するために、内視鏡挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、先端カバー部材40の内視鏡収納部底部まで挿入していくと挿入完了する段階で先端構成部43が先端カバー部材40に嵌合する。このとき、図39に示すように、先端構成部43の係止部44が弾性変形部41の係合部42の緩斜面42aと当接し、係止部44の遠位端側傾斜面44aが係合部42を径方向に徐々に押し上げる。
【0131】さらに先端へ挿入が進むと、係合部42が係止部44を乗り越えて係合部42と係止部44とが係合し、先端カバー部材40と先端構成部43とが係止されて固定される。
【0132】このとき、弾性変形部の変形を規制する円筒状部材15は、先端カバー部材40の外周で係合部42より遠位端側の図38に示す位置に外挿されているが、挿入時には、図39に示すように係止部44と当接する側の係合部42の斜面は緩やかであるため、軽い力で係合部42は押し上げられて弾性変形部41が変形し、係止部44に係合する。
【0133】係合完了した図38の状態では、弾性変形部41が弾性変形している場合は弾性変形部41の弾性復元力により係合部42が係止部44を押圧し、先端構成部43を先端側へ付勢することで、また、弾性変形部41が弾性変形せず係合部42と係止部44の係合面が密接状態の場合には係合部42と係止部44が完全に係合していることにより、確実に先端構成部43と先端カバー部材40の固定状態が保持される。また係合完了した状態では、係止部44と係合している側の係合部42の斜面は急であるため、この状態から係合部42を押し上げるには挿入時よりも大きな力量が必要であり、この力量の差により先端構成部43と先端カバー部材40を確実に固定できる。
【0134】カバーを取り外す際は、図38の状態では抜去に大きな力量を必要とするため、図40に示すように円筒状部材15を挿入部遠位端側に移動させ、弾性変形部41の可変域を拡げることにより、弾性変形部41はより軽い力で変形可能となる。この状態で内視鏡挿入部3を引き抜くと、先端構成部43の係止部44が係合部42を押し上げて弾性変形部41が変形し、係合部42が係止部44を乗り越え、カバーの取り外しが可能である。
【0135】本実施例の構成においても、第5実施例と同様にカバー用内視鏡の先端部とカバー先端部とをがたつき無く確実に固定することができる。これに加えて、本実施例では、カバーを装着する際には円筒状部材15を移動させずそのまま図13の位置に配置しておき、抜去時のみ移動させれば良いので、装着時に手間が一つ省け、取り付け作業がより容易となる効果を有する。
【0136】図41ないし図43は本発明の第9実施例に係り、図41はカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図、図42は内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入するときの状態を示す長手方向断面図、図43は弾性変形部の固定ピンの部分を拡大して示した断面図である。第9実施例は第7実施例における弾性変形部の係合部を先端カバー部材とは別体に構成した例である。
【0137】挿入部カバーの先端カバー部材150には、挿入部後端側へ延出した弾性変形部151が設けられている。この弾性変形部151の近位端側には大径、小径2段の孔から成る固定ピン孔152が設けられ、この固定ピン孔152に固定ピン153が係入して弾性変形部151の内側へ突出している。一方内視鏡の先端構成部154の外周側部には、前記固定ピン153に対応する位置に溝部が形成された係止部155が設けられ、固定ピン153と係止部155が係合するようになっている。係止部155の固定ピン153と係合する面は斜面を成しており、固定ピン153の先端外周の角部にも斜面が形成されている。その他の部分の構成は第7実施例と同様であり、説明を省略する。
【0138】本実施例の構成において、カバー用内視鏡2の挿入部3に挿入部カバー7を装着するために、内視鏡挿入部3を挿入部カバー7内に挿入する場合、先端カバー部材150の内視鏡収納部底部まで挿入していくと挿入完了する段階で先端構成部154が先端カバー部材150に嵌合する。このとき、図42に示すように、先端構成部154の先端が固定ピン153と当接し、先端構成部154が挿入されるに従って固定ピン153を径方向に押し上げる。図43は固定ピン153の部分を拡大して示した図である。さらに先端へ挿入が進むと、固定ピン153と係止部155とが係合し、先端カバー部材150と先端構成部154とが係止されて固定される。
【0139】次に、図42の状態から図41のように、押圧部材35を固定ピン153端部の一部もしくは全体に当接できる位置に軸方向へ移動させ、先端カバー部材150の空間に係入する。先端構成部に挿入部近位端側へ抜去する方向の力が加わった場合、固定ピン153は径方向外側に移動しようとするが、押圧部材35を係入することによって、押圧部材35と外皮9の弾性力により固定ピン153は中心方向に押圧されて係止部155に当接し付勢するため、確実に係合状態を保持でき、挿入部カバー7がカバー用内視鏡2の挿入部3に取り付けられる。
【0140】カバーを取り外す際は、図42のように押圧部材35を固定ピン153の移動域から移動させることで、カバーの取り外しが可能となる。本実施例の構成においても、第7実施例と同様にカバー用内視鏡の先端部とカバー先端部とをがたつき無く確実に固定することができる。
【0141】図44ないし図46は本発明の第10実施例に係り、図44はカバー式内視鏡の先端構成部と先端カバー部材の構成を示す斜視図、図45は図44の先端構成部と先端カバー部材とを係合させた状態での挿入部径方向断面図、図46は先端構成部と先端カバー部材とを係合させる途中の状態を示す斜視図である。
【0142】第10実施例は内視鏡の先端構成部と先端カバー部材との係合部分の構成を変更した例である。ここでは先端構成部及び先端カバー部材の構成のみ図示して説明し、他の部分については第5実施例とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0143】先端カバー部材60には、一端を先端カバー部材60に固定され、他端側が挿入部後端側へ延出して周方向に移動可能となった弾性変形部61が設けられている。この弾性変形部61の近位端側には、周方向側部に突出した係合爪62が設けられている。一方内視鏡の先端構成部63の外周側部には、径方向外側に突出し前記係合爪62と係合する係止部64が設けられている。前記係合爪62と係止部64が係合する面は、部品公差等の寸法差が存在しても当接・係合し易いよう互いに斜面を成して形成されている。
【0144】また、弾性変形部61の変形を規制する円筒状部材65が設けられており、この円筒状部材65は弾性変形部61の外側に嵌合できるよう弾性変形部61の近傍に配置しておく。円筒状部材65には、係合した状態での係合爪62と係止部64を両側から挟持するように、内周側に2本突出した把持部66が形成されている。
【0145】係止部64の挿入部遠位端側には遠位端になるにつれて突起部の周方向の厚みが小さくなるよう傾斜面64aが形成され、弾性変形部61の挿入部近位端側の係合爪62と反対側には近位端になるにつれて突起部の周方向の厚みが小さくなるよう傾斜面61aが形成され、また、係合爪62の挿入部近位端側にも近位端になるにつれて突起部の周方向の厚みが小さくなるよう傾斜面62aが形成されている。
【0146】前記本実施例の構成において、先端カバー部材60に先端構成部63を挿入する際、図46に示すように、先端構成部63の係止部64が係合爪62の傾斜面62aを周方向に押圧することで係合爪62を一端に有する弾性変形部61が周方向に変形する。
【0147】さらに先端へ挿入が進むと、係合爪62が係止部64を乗り越えて係合爪62と係止部64とが係合し、図44のように先端カバー部材60と先端構成部63とが係止されて固定される。
【0148】この状態で円筒状部材65を弾性変形部61の部分に外挿し、図45に示すように把持部66によって係合爪62及び係止部64を両側からはさみ込むよう円筒状部材65を嵌合させることで、弾性変形部61の変形を規制でき、確実に係合状態を保持し固定することができる。
【0149】また、弾性変形部61が変形している状態で円筒状部材65が嵌合する場合などにおいても、弾性変形部61の近位端には傾斜面61aが設けてあるため、係止部64と弾性変形部61の傾斜面61aとに把持部66が当接して傾斜面61aに沿って嵌合し、係合爪62及び係止部64が挟持される。このとき、弾性変形部61の弾性力により係合爪62が係止部64を付勢し、係合爪62と係止部64が確実に係合する構成となっている。
【0150】先端カバー部材60から先端構成部63を抜去する際には、把持部66が弾性変形部61の変形域から外れる位置に円筒状部材65を軸方向に移動させることで、弾性変形部61が自由に変形可能となり、係合爪62が係止部64を乗り越え、カバーの取り外しが可能である。本実施例の構成においても、第5実施例と同様にカバー用内視鏡の先端部とカバー先端部とをがたつき無く確実に固定することができる。
【0151】なお、前述した第5ないし第10実施例において、図47または図48に示すように、円筒状部材あるいは押圧部材からなる規制部材を先端カバー部材に固定する手段を設け、規制部材の脱落を防止することもできる。
【0152】図47に示す規制部材固定手段の第1の例は、規制部材70の内周部には凸部(または凹部)からなる係合部71が設けられ、先端カバー部材72の近位端外周部には凹部(または凸部)からなる係止部73が設けられ、これらの係合部71及び係止部73により固定部が構成されている。前記係合部71と係止部73を係合させることにより、規制部材70と先端カバー部材72とを固定でき、規制部材70の脱落を防止できる。また、先端カバー部材側の係止部73を先端カバー部材72の近位端外周部に設けることにより、カバーを装脱着する際に規制部材70を弾性変形部に外挿しない位置で固定保持することができる。
【0153】図48に示す規制部材固定手段の第2の例は、規制部材70が弾性変形部に外挿し弾性変形部の変形を規制する位置に対応して、先端カバー部材72の外周部に凹部(または凸部)からなる係止部74が設けられている。これらの係合部71と係止部74を係合させることにより、カバーを装着完了した際に内視鏡の先端構成部と先端カバー部材との係合を保持した状態での規制部材70を先端カバー部材72に固定できる。
【0154】さらに、前記第1の例と第2の例を組み合わせて先端カバー部材72の両方の位置に係止部73,74を設けることにより、規制部材70の移動前後の位置決めを容易にでき、確実に規制部材70の移動を行うことができる。
【0155】また、図49及び図50に示すように、規制部材の脱落を防止するための脱落防止部材を別体に設けることもできる。図49は挿入部先端部の長手方向断面図、図50は図49のE′−E′線断面図である。
【0156】この構成例では、先端カバー部材80における規制部材81が位置する部分より基端側の外周部に、先端カバー部材80と別体に脱落防止部材82が設けられ、嵌合固定されている。このように脱落防止部材82を設けることにより、規制部材81の挿入部基端側への移動を規制でき、規制部材81の脱落を防止できる。
【0157】なお、脱落防止部材82は、先端カバー部材80の全周ではなく、図25に示すように周方向の一部のみに設けることで脱落防止の効果が得られる。この場合は、先端カバー部材の全周に脱落防止部材がないので、弾性変形部を変形させたり規制部材を移動させる操作を行う際に邪魔にならず、操作性を良好に保つことができる効果がある。
【0158】また、前記実施例ではレンズカバー19と対物レンズ17とを密着させているが、光学系の構成によってはカバーとの間隔は0.2mm程度以下の隙間であればフレア等を防止できるので、フレア等を防止できる範囲においては直接レンズカバー19と対物レンズ17とを密着させずにレンズカバー周辺の先端カバー部材と対物レンズ周辺の先端構成部端面とを当接させる構成としても良い。
【0159】この場合、レンズカバーと対物レンズが接触しないので光学部品の傷の発生を防止できる。また、レンズカバーと先端カバー部材、あるいは対物レンズと先端構成部の接合部分への応力が減るので、レンズカバーや対物レンズの脱落を防止できる。
【0160】以上の第5ないし第10実施例によれば、内視鏡と、少なくとも前記内視鏡の挿入部を被覆する内視鏡カバーとを備え、前記内視鏡カバーは前記内視鏡挿入部の先端部を被嵌する先端カバー部材を有するカバー式内視鏡において、前記内視鏡先端部は、内視鏡挿入部の長手方向に対して傾斜した斜面部を有する係止部を備え、前記先端カバー部材は、一端が該先端カバー部材本体に固定され前記内視鏡挿入部の長手方向に延設された他端側が弾性変形可能な弾性変形部を有し、この弾性変形部の他端近傍に前記係止部の斜面部と係合する斜面部を有する係合部を備え、前記弾性変形部の近傍に移動自在に配置され前記弾性変形部の変形を規制する規制手段を設けているので、内視鏡先端部と先端カバー部材との間の固定状態を確実に保持できる。
【0161】なお、本発明は、前述した第1〜10実施例(その変形例等を含む)に限定されず、一部の要素を省略して構造を簡略化したものや各実施例の内容を組み換えても当然良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0162】[付記]以上詳述したように本発明の実施態様によれば、以下のような構成を得ることができる。すなわち、1.細長の挿入部を有する内視鏡と、少なくとも前記内視鏡の挿入部を被覆する内視鏡カバーとを備え、前記内視鏡カバーは前記内視鏡の挿入部の先端部を被嵌する先端カバー部材を有するカバー式内視鏡において、前記内視鏡の先端部は、内視鏡の挿入部の長手方向に対して傾斜した斜面部を有する係止部を備え、前記先端カバー部材は、一端が該先端カバー部材の本体に固定され、前記内視鏡の挿入部の長手方向に延設された他端側が弾性変形可能な弾性変形部を有し、該弾性変形部の他端近傍に前記係止部の斜面部と係合する斜面部を有する係合部を備え、前記弾性変形部の近傍には該弾性変形部の変形を規制する規制手段と、前記規制手段の近傍には該規制手段の規制を解除する規制解除手段とを設けたことを特徴とするカバー式内視鏡。
目的:付記1、3,3′,15,23〜44は、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバーの先端部との間で光学的な不具合を生じないよう確実に保持することが可能なカバー式内視鏡を提供すること。
目的:付記1、2,2′,4〜22は、カバー用内視鏡の先端の先端構成部と内視鏡カバー先端の先端カバー部材との固定及び固定解除の操作を行いやすくかつ不意な外力にも内視鏡カバーが外れないカバー式内視鏡を提供すること。上記構成によれば、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバー先端部との間で確実に固定状態を保持でき、がたつかず、ゴースト、フレア等の光学的不具合が生じないカバー式内視鏡を提供できる。また、カバー用内視鏡と内視鏡カバーとの先端部での固定、及び固定解除が簡単に行え、操作性が良く、また、不意な力がカバー式内視鏡の先端部にかかっても両者の固定が外れないカバー式内視鏡を提供することができる。
【0163】2.規制解除手段として、規制手段が外側に変形して弾性変形部の変形が自由となる第2の空間が生じるよう規制手段を内側に変形させる第1の空間を設けたことを特徴とする付記1又は付記46記載のカバー式内視鏡。
2′.前記規制手段は前記弾性変形部近傍に移動自在に設けたことを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
3.前記規制解除手段として、前記弾性変形部の変形が自由となるよう規制手段を弾性変形部の変形域から移動させる空間を設けたことを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
3′.円筒状部材は弾性部材であることを特徴とする付記47記載のカバー式内視鏡。
4.前記第1の空間は規制手段と先端カバー部材との間に設けたことを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
4′.前記空間は前記内視鏡カバーを構成する一部材である外皮と前記先端カバー部材との間に設けたことを特徴とする付記3記載のカバー式内視鏡。
【0164】5.前記第1の空間は規制手段と先端カバー部材と先端構成部との間に設けたことを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
目的:内視鏡カバー先端部の省スペース化。
5′.前記空間は前記規制手段が位置する大きさであることを特徴とする付記3,6,12記載のカバー式内視鏡。
6.前記第1の空間内に送気、送水、吸引を行う管路の少なくとも1つを設けることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
目的:内視鏡カバー先端部の省スペース化。
7.前記第1の空間は1つから成ることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
8.前記第1の空間は2個から成ることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
9.前記第1の空間は相対する位置に設けていることを特徴とする付記8記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材の操作を行いやすくすること。
10.前記規制手段の変形形状は非円形形状であることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
【0165】11.前記規制手段の変形形状は楕円状であることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材の操作を行いやすくすること。
12.前記第1の空間は弾性変形部とは相対しない側面に設けたことを特徴とする付記7記載のカバー式内視鏡。
13.前記第1の空間は前記弾性変形部に対し先端カバー部材の中心を起点として直角方向に回転させた方向に設けたことを特徴とする付記9、付記12記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材の操作を行いやすくすること。
13′.前記弾性変形部に設けられる係合部は前記外皮の弾性力と前記規制手段により斜面部にて係合した前記係止部を押圧し前記内視鏡先端部をカバー先端に付勢することを特徴とする付記13記載のカバー式内視鏡。
14.前記第2の空間は弾性変形部が変形し少なくとも前記係止部と前記係合部による係合が外れるだけの大きさであることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
【0166】15.係止部及び係合部の径方向の大きさは0.3〜0.5mmであることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
16.第2の空間の大きさは最大幅の部分で径方向に少なくとも0.3mm以上であることを特徴とする付記14記載のカバー式内視鏡。
17.前記第1の空間は先端カバー部材を円弧状に切り欠いて設けたことを特徴とする付記4記載のカバー式内視鏡。
18.前記第1の空間は先端カバー部材から先端構成部にかけて円弧状に切り欠いて設けたことを特徴とする付記5記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材の操作を行いやすくすること。
19.前記第1の空間は先端カバー部材を直線状に切り欠いて設けたことを特徴とする付記4記載のカバー式内視鏡。
【0167】20.前記第1の空間は先端カバー部材から先端構成部にかけて直線状に切り欠いて設けたことを特徴とする付記5記載のカバー式内視鏡。
21.前記第1の空間は第1の空間に規制手段を内側へ変形させた際は付記14を満たす分規制手段が外側に変形する大きさであることを特徴とする付記2記載のカバー式内視鏡。
22.前記第1の空間は径方向の最大幅が少なくとも0.3mm以上あることを特徴とする付記21記載のカバー式内視鏡。
23.前記規制手段は先端カバー部材とは別体であることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
24.前記規制手段は先端カバー部材とは一体的に設けたことを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材が弾性変形部外側近傍のみで外側に変形すること。
【0168】25.円筒状部材は金属パイプであることを特徴とする付記3記載のカバー式内視鏡。
26.前記金属パイプはステンレス製であることを特徴とする付記25記載のカバー式内視鏡。
27.前記金属パイプはばね鋼製であることを特徴とする付記25記載のカバー式内視鏡。目的:より強固に弾性変形部を外装すること。
28.前記ステンレス製の金属パイプの肉厚は0.15〜0.25mmであることを特徴とする付記26記載のカバー式内視鏡。
29.前記ステンレス製の金属パイプのパイプ長さは2〜4mmであることを特徴とする付記26記載のカバー式内視鏡。
【0169】30.前記円筒状部材は樹脂製であることを特徴とする付記3記載のカバー式内視鏡。
31.前記円筒状部材はポリカーボネート製であることを特徴とする付記30記載のカバー式内視鏡。
32.前記円筒状部材はアクリル製であることを特徴とする付記31記載のカバー式内視鏡。
【0170】33.前記規制手段と先端カバー部材は一部で接着していることを特徴とする付記24記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材が弾性変形部外側近傍のみで外側に変形すること。
34.前記規制手段と先端カバー部材は一体成形していることを特徴とする付記24記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材が弾性変形部外側近傍のみで外側に変形すること。
【0171】35.前記規制手段と先端カバー部材は一部で溶着していることを特徴とする付記24記載のカバー式内視鏡。
目的:円筒状部材が弾性変形部外側近傍のみで外側に変形すること。
36.前記弾性変形部に設けられる係合部は、円筒状部材の弾性力により斜面部と係合した前記係止部を押圧し、前記先端構成部を先端側に付勢させることを特徴とする付記1、付記3′記載のカバー式内視鏡。
目的:より強固に係合部と係止部が係合し、がたつきのない先端構成部と先端カバー部材の固定をすること。
37.前記係止部は凸部により構成され、前記係合部は凸部により構成されることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
38.前記係止部は凹部により、前記係合部は凸部により構成されることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
39.前記係止部は凸部により、前記係合部は凹部により構成されることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
【0172】40.前記係合部の挿入部近位端側に挿入部長手方向に対して傾斜した傾斜面に設けたことを特徴とする付記37、付記38記載のカバー式内視鏡。
目的:先端構成部を先端カバー部材に挿入しやすくすること。
41.挿入部近位端側に挿入部長手方向に対して傾斜した傾斜面を設けることを特徴とする付記37、付記39記載のカバー式内視鏡。
目的:先端構成部を先端カバー部材に挿入しやすくすること。
42.係止部及び係合部及び弾性変形部は1つずつ設けたことを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
目的:より強固によりがたつかないよう先端構成部を先端カバー部材に係止すること。
43.係止部及び係合部及び弾性変形部は複数個設けたことを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
44.前記弾性変形部の挿入部近位端側内面に挿入部長手方向に対して傾斜した傾斜面を設けたことを特徴とする付記39記載のカバー式内視鏡。
目的:先端構成部を先端カバー部材に挿入しやすくすること。
【0173】45.前記弾性変形部に設けられる係合部は、該弾性変形部の弾性力によって斜面部にて係合した前記係止部を押圧し、前記内視鏡先端部をカバー先端側に付勢することを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。この構成では、内視鏡先端部が先端カバー部材内面に当接あるいは十分近接した状態で両者が固定されるため、フレア等の発生を防止できる。
46.前記規制手段は、前記弾性変形部を含む先端カバー部材の外面部に嵌合される規制部材からなる付記1記載のカバー式内視鏡。
47.前記規制手段は、前記弾性変形部を含む先端カバー部材に外挿される円筒状部材からなる付記46記載のカバー式内視鏡。
48.前記円筒状部材は、前記弾性変形部の変形域の大きさ以上の寸法に一部を切り欠いた切り欠き部を有し、前記内視鏡先端部と前記先端カバー部材の着脱時に、前記切り欠き部が前記弾性変形部の変形域を含む位置に配置される付記47記載のカバー式内視鏡。
【0174】49.前記円筒状部材は、前記内視鏡カバーを構成する一部材である外皮との接触面が少なくなるよう外周部が多角形状に形成された付記47記載のカバー式内視鏡。
50.前記規制手段における挿入部遠位端側内面に挿入部長手方向に対して傾斜した傾斜面を設けた付記46記載のカバー式内視鏡。
51.前記弾性変形部における挿入部近位端側外面に挿入部長手方向に対して傾斜した傾斜面を設けた付記46記載のカバー式内視鏡。付記49ないし51の構成では、規制手段の移動操作が容易になる。
52.前記規制手段は、前記弾性変形部の変形域に介挿される規制部材と、この規制部材を前記弾性変形部へ付勢する付勢部材とからなる付記1記載のカバー式内視鏡。
53.前記付勢部材は、前記内視鏡カバーを構成する外皮からなる付記52記載のカバー式内視鏡。
【0175】54.前記規制部材は、平板状部材からなる付記52記載のカバー式内視鏡。
55.前記規制部材は、断面が円弧状の部材からなる付記52記載のカバー式内視鏡。
56.前記係合部は、前記弾性変形部と別体で移動可能に設けられ、前記内視鏡先端部と前記先端カバー部材の着脱時に、前記係合部が前記係止部と係合しない位置へ配置されることを特徴とする付記1記載のカバー式内視鏡。
57.前記弾性変形部は、前記係合部を前記内視鏡挿入部の径方向に移動させるよう変形可能である付記1記載のカバー式内視鏡。
58.前記弾性変形部は、前記係合部を前記内視鏡挿入部の周方向に移動させるよう変形可能である付記1記載のカバー式内視鏡。
【0176】59.前記規制手段は、前記弾性変形部の変形域に嵌合し該弾性変形部を保持するよう前記弾性変形部及び前記係合部の近傍に設けた嵌合凸部を有した、前記先端カバー部材に外挿される規制部材からなる付記58記載のカバー式内視鏡。
60.前記規制手段は、前記弾性変形部に嵌合し該弾性変形部を保持するよう前記弾性変形部及び前記係合部の近傍に設けた嵌合凹部を有した、前記先端カバー部材に外挿される規制部材からなる付記58記載のカバー式内視鏡。
61.前記先端カバー部材の外周面に係合用凸部を設け、前記規制部材の内面に前記凸部と係合する係合用凹部を設けた付記46または52記載のカバー式内視鏡。
【0177】62.前記先端カバー部材の外周面に係合用凹部を設け、前記規制部材の内面に前記凹部と係合する係合用凸部を設けた付記46または52記載のカバー式内視鏡。付記61または62の構成では、規制部材の脱落防止及び規制部材の位置決めが可能となり、操作性が向上する。
63.前記規制部材は前記内視鏡挿入部の長手方向に移動可能である付記46または52記載のカバー式内視鏡。
64.前記規制部材は前記内視鏡挿入部の周方向に移動可能である付記48または55記載のカバー式内視鏡。
65.前記弾性変形部は、周囲の先端カバー部材の外径と同じ外径を有する円弧状に形成される付記1記載のカバー式内視鏡。
66.前記規制手段は、常時前記弾性変形部の変形域の少なくとも一部に配置されて前記弾性変形部の一部もしくは全体の変形を規制し、前記内視鏡先端部を前記先端カバー部材から抜去する時のみ前記弾性変形部の変形域より移動する規制部材からなる付記65記載のカバー式内視鏡。付記65又は66の構成では、内視鏡カバーの装着・抜去動作が軽い力で行え、カバーの装脱着作業が容易になる。
67.前記係合部と前記係止部が係合する面に設けた斜面部の角度よりも他の傾斜面の傾斜角度を小さくした付記40ないし44のいずれか一つに記載のカバー式内視鏡。
【0178】68.前記先端カバー部材に前記内視鏡先端部を係合した状態で、前記内視鏡先端部の先端外周部と前記先端カバー部材内周面とが当接するよう、内視鏡挿入部先端を支持するための突出部を前記先端カバー部材の内周部に設けた付記1記載のカバー式内視鏡。付記67又は68の構成では、内視鏡先端部と先端カバー部材とのがたつきを無くすことができ、両者の固定を確実に行える。
【0179】69.前記先端カバー部材に前記内視鏡先端部を係合した状態で、前記内視鏡先端部の先端外周部と前記先端カバー部材内周面とが当接するよう、内視鏡挿入部先端を支持するための突出部を前記内視鏡先端部の外周部に設けた付記1記載のカバー式内視鏡。
70.細長の挿入部を有する内視鏡と、少なくとも前記内視鏡の挿入部を被覆する内視鏡カバーとを備え、前記内視鏡カバーは前記内視鏡の挿入部の先端部を被嵌する先端カバー部材を有するカバー式内視鏡において、前記内視鏡の先端部に形成した係止部と、前記先端カバー部材は、一端が該先端カバー部材の本体に固定され、前記内視鏡の挿入部の長手方向に延設された他端側が弾性変形可能な弾性変形部を有し、該弾性変形部の他端近傍に前記係止部に係合する係合部を備え、前記弾性変形部の近傍には該弾性変形部の変形を規制する規制手段と、前記規制手段の近傍には該規制手段の規制を解除する規制解除手段とを設けたことを特徴とするカバー式内視鏡。
目的:カバー用内視鏡の先端の先端構成部と内視鏡カバー先端の先端カバー部材との固定及び固定解除の操作を行いやすくかつ不意な外力にも内視鏡カバーが外れないカバー式内視鏡を提供すること。
上記構成によれば、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバー先端部との間の固定、及び固定解除が簡単に行え、操作性が良く、また、不意な力がカバー式内視鏡の先端部にかかっても両者の固定が外れないカバー式内視鏡を提供することができる。
【0180】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、カバー用内視鏡の先端部と内視鏡カバーの先端部との間で確実に固定状態を保持でき、がたつかず、ゴースト、フレア等の光学的不具合が生じないカバー式内視鏡を提供できる。また、カバー用内視鏡と内視鏡カバーとの先端部での固定、及び固定解除が簡単に行え、操作性が良く、また、不意な力がカバー式内視鏡の先端部にかかっても両者の固定が外れないカバー式内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カバー式内視鏡の全体構成を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す長手方向断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】内視鏡カバー内部にカバー用内視鏡の挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図6】図5のC−C線断面図。
【図7】図5よりさらに内視鏡カバー内部にカバー用内視鏡の挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図8】図7のD−D線断面図。
【図9】図7よりさらに内視鏡カバー内部にカバー用内視鏡の挿入部を挿入して係合部と係止部とを係合させた状態を示す長手方向断面図。
【図10】図9のE−E線断面図。
【図11】第1実施例の第1の変形例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す長手方向断面図。
【図12】第1実施例の第2の変形例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成及びF−F線断面を示す断面図。
【図13】第1実施例の第3の変形例のカバー式内視鏡の挿入部を示す斜視図。
【図14】第1実施例の第4の変形例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す径方向断面図。
【図15】本発明の第2実施例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す径方向断面図。
【図16】図15の作用説明用の断面図。
【図17】第2実施例の変形例における作用説明用の断面図。
【図18】本発明の第3実施例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す長手方向断面図。
【図19】図18のG−G線断面図。
【図20】第3実施例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の切欠部を押圧した状態での長手方向断面図。
【図21】図20のH−H線断面図。
【図22】本発明の第4実施例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の構成を示す径方向断面図。
【図23】図22において、切欠部を押圧した場合の挿入部先端側の断面形状を示す径方向断面図。
【図24】第4実施例等の変形例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の一部の構成を示す長手方向断面図。
【図25】第4実施例等の変形例のカバー式内視鏡の挿入部先端側の一部の構成を示す長手方向断面図。
【図26】本発明の第5実施例のカバー式内視鏡の全体構成を示す斜視図。
【図27】第5実施例に係るカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図。
【図28】図27のA′−A′線断面図。
【図29】第5実施例に係る内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図30】図28に示した円筒状部材の構成の変形例を示す挿入部径方向断面図。
【図31】本発明の第6実施例に係るカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図。
【図32】図31のB′−B′線断面図。
【図33】第6実施例に係る内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図34】図33のC′−C′線断面図。
【図35】本発明の第7実施例に係るカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図。
【図36】図35のD′−D′線断面図。
【図37】第7実施例に係る内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図38】本発明の第8実施例に係るカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図。
【図39】第8実施例に係る内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入したときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図40】第8実施例に係る内視鏡カバーから内視鏡挿入部を抜去するときの途中の状態を示す長手方向断面図。
【図41】本発明の第9実施例に係るカバー式内視鏡の挿入部先端部の詳細構成を示す長手方向断面図。
【図42】第9実施例に係る内視鏡カバー内部に内視鏡挿入部を挿入するときの状態を示す長手方向断面図。
【図43】図42に示す弾性変形部の固定ピンの部分を拡大して示した断面図。
【図44】本発明の第10実施例に係るカバー式内視鏡の先端構成部と先端カバー部材の構成を示す斜視図。
【図45】図44の先端構成部と先端カバー部材とを係合させた状態での挿入部径方向断面図。
【図46】第10実施例に係る先端構成部と先端カバー部材とを係合させる途中の状態を示す斜視図。
【図47】規制部材固定手段の第1の例を示す挿入部長手方向断面図。
【図48】規制部材固定手段の第2の例を示す挿入部長手方向断面図。
【図49】規制部材の脱落防止部材を別体に設けた例を示す挿入部長手方向断面図。
【図50】図49のE′−E′線断面図。
【符号の説明】
1…カバー式内視鏡
2…カバー用内視鏡
3…挿入部(内視鏡挿入部)
4…内視鏡カバー
6…先端構成部
7…挿入部カバー
9…外皮
10…先端カバー部材
12…弾性変形部
13…係合部
13a,14a…斜面部
14…係止部
15…円筒状部材
16…支持部
18…対物光学系
19…レンズカバー
50…切欠部
51…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】 細長の挿入部を有する内視鏡と、少なくとも前記内視鏡の挿入部を被覆する内視鏡カバーとを備え、前記内視鏡カバーは前記内視鏡の挿入部の先端部を被嵌する先端カバー部材を有するカバー式内視鏡において、前記内視鏡の先端部に形成された、前記内視鏡の挿入部の長手方向に対して傾斜した斜面部を有する係止部と、前記先端カバー部材に形成された、一端が該先端カバー部材の本体に固定され前記内視鏡の挿入部の長手方向に延設された他端側が弾性変形可能な弾性変形部と、前記弾性変形部に形成された、前記係止部の斜面部と係合する斜面部とを有する係合部と、前記弾性変形部の外側に配設された、該弾性変形部に形成された前記係合部の斜面部と前記内視鏡の先端部に形成された前記係止部の斜面部との係合状態を保つように前記弾性変形部の変形を規制する規制手段と、前記規制手段の外側に配設された、前記弾性変形部に形成された前記係合部の斜面部と前記内視鏡の先端部に形成された前記係止部の斜面部との係合状態を解除するよう前記規制手段の規制を解除する規制解除手段と、を具備したことを特徴とするカバー式内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図24】
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【図13】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図12】
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【図14】
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【図25】
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【図30】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図28】
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【図29】
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【図26】
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【図27】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図43】
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【図46】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図44】
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【図45】
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【図47】
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【図50】
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【図48】
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【図49】
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【特許番号】特許第3394633号(P3394633)
【登録日】平成15年1月31日(2003.1.31)
【発行日】平成15年4月7日(2003.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−135491
【出願日】平成7年6月1日(1995.6.1)
【公開番号】特開平8−228995
【公開日】平成8年9月10日(1996.9.10)
【審査請求日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 平3−193023(JP,A)
【文献】実開 昭58−77318(JP,U)
【文献】実開 平3−101901(JP,U)