説明

カメラのアクセサリーシューカバー

【目的】 部品点数を増やすことなく、また、カメラの外観性を劣化させることなく視度調節部材の不用意な動きを阻止すること。
【構成】 カメラ本体4のペンタ部6の背面602にファインダ窓8が設けられている。視度調節部材14は、ペンタ部6の背面602で見口12の上方箇所に設けられている。ペンタ部6の上面604にはストロボ取付部16が設けられている。ストロボ取付部16はガイド部材20と、ストロボをトリガするための電気接点22等で構成されている。アクセサリーシューカバー24は本体部26とカバー部28で構成されている。本体部26はガイド部材20に挿入され、これにより電気接点22が覆われる。本体部26をガイド部材20に挿入した状態で、カバー面部32がペンタ部6の背面602に当接し、視度調節部材14がカバー面部32の凹部34に収容される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカメラのストロボ取付部に取り付けられるアクセサリーシューカバーに関し、更に詳細には、ファインダの視度調節用の視度調節部材を覆うようにしたアクセサリーシューカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ファインダ系にレンズを配置し、視度調節部材を操作することでこのレンズを動かし、ファインダ内の像を撮影者に合わせて明視できるようにした視度調節機構付きのカメラが提供されている。そして、この視度調節部材を操作することで行なう視度の調節は、一度行なえば撮影者が変わらない限り行なう必要はない。ファインダ窓は、一般に、カメラ本体の背面の上部に配置され、視度調節部材はこのファインダ窓の上部等に配置される場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのため、従来の視度調節部材を備えたカメラでは、何等かの操作の際に視度調節部材に指が触れ、視度調節部材が動かされてしまい、視度の調節を再度行なわなければならない不具合があった。そこで、視度調節部材のロック機構等を設けることが考えられるが、このようなロック機構を設けたのでは、部品点数が増加しコスト高となる他、カメラが大型化し重量増となる。また、アイカップにより視度調節部材を隠すことも考えられるが、アイカップが大型化し、カメラの見栄えが悪くなる。
【0004】一方、従来から、カメラの携帯性を向上させるため、必要な時にストロボを取り付け、不要な時にストロボを取り外せるストロボ取付部(アクセサリーシュー)を有するカメラが市販され、ストロボ取付部はストロボが脱着可能に係合する一対のガイドと、ストロボをトリガするための電気接点等で構成されている。また、ストロボをトリガするための電気接点を保護するため、前記ガイドに係合されて前記電気接点を覆うアクセサリーシューカバーが市販されている。ストロボ取付部は、一般に、カメラ本体の上面に配置され、ストロボ取付部に取着されるアクセサリーシューカバーもカメラ本体の上面に配置される。このようなことから、上述したカメラ本体の背面に配置される視度調節部材とアクセサリーシューカバーは、互いに近づいた箇所に配置される場合が多い。
【0005】本発明はこのアクセサリーシューカバーに着目してなされたものであり、本発明の目的は、カメラの大型化や重量増を抑制しつつ、また、部品点数を増やすことなく、更には、カメラの外観性を劣化させずに視度調節部材の不用意な動きを阻止できるカメラのアクセサリーシューカバーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、カメラ本体に設けられストロボの取り付けが脱着可能でストロボをトリガするための電気接点を有するストロボ取付部と、前記カメラ本体に設けられたファインダ窓と、ファインダ窓の近傍に設けられたファインダ視度調節部材とを備えたカメラにおいて、前記ストロボ取付部に脱着可能に取り付けられ前記電気接点を覆う本体部と、前記本体部に連設され本体部が前記ストロボ取付部に取り付けられた状態で前記ファインダ視度調節部材を覆うカバー部とからなるアクセサリーシューカバーを設けたことを特徴とする。
【0007】また、本発明は、前記ストロボ取付部がカメラ本体の上面に設けられ、前記ファインダ窓は、前記カメラ本体の背面に設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記ファインダ窓が前記ストロボ取付部の近傍箇所に設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記ファインダ視度調節部材が前記ファインダ窓の上方箇所に設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記ファインダ窓が透明部材とその周囲の見口とを備え、前記カバー部は、前記本体部が前記ストロボ取付部に取り付けられた状態で、前記見口と連続状に接触することを特徴とする。また、本発明は、前記カバー部が前記見口と同じ幅で形成されていることを特徴とする。また、本発明は、前記カバー部がカメラ本体に臨む面には、ファインダ視度調節部材が収容される凹部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。図1は実施例にかかるアクセサリーシューカバーとカメラのペンタ部の斜視図、図2はアクセサリーシューカバーがカメラのペンタ部に装着された状態の斜視図を示す。この実施例でカメラ2は一眼レフカメラで、カメラ本体4の上面にペンタ部6が膨出形成され、ペンタ部6内にはファインダ光学系7が配置され、ペンタ部6の背面602にファインダ窓8が設けられている。ファインダ窓8は、ペンタ部6の背面602の開口に装着された矩形の窓ガラス(透明部材)10と、その周囲に設けられた矩形枠状の見口12とで構成されて、見口12はペンタ部6側に位置する基部1202と、基部1202よりも輪郭の小さい矩形枠状の先部1204とで構成されている。
【0009】ファインダ光学系7には視度調節用レンズ(不図示)が配置され、この視度調節用レンズは、視度調節部材14の操作によりファインダ光学系7の光軸方向に動かされ、これにより、ファインダ窓8内の像が撮影者に合わせて明視できるように構成されている。視度調節部材14は、ペンタ部6の背面602で見口12の上方箇所に、見口12の基部1202の上辺1202Aと平行に延在して設けられ、この視度調節部材14をその長手方向に動かすことで視度調節用レンズが動かされ、ファインダ窓8内の像が撮影者に合わせられる。
【0010】前記ファインダ窓8の上方に位置するペンタ部6の上面604箇所にはストロボ取付部16が設けられている。ストロボ取付部16はペンタ部6の上面604に形成された凹部18と、凹部18に取り付けられたガイド部材20と、ストロボをトリガするための電気接点22等で構成されている。前記ガイド部材20は、凹部18の底面上に位置する底面部2002と、底面部2002の左右側部から起立しカメラ2の前後方向に延在する断面がL字状の一対のガイド部2004で構成されている。前記電気接点22は前記底面部2002上に設けられている。
【0011】24はアクセサリーシューカバーで、アクセサリーシューカバー24は本体部26とカバー部28で構成されている。図3(A)はアクセサリーシューカバー24の正面図、図3(B)は同平面図、図3(C)は同底面図、図3(D)は同左側面図、図3(E)は同右側面図を示す。前記本体部26はガイド部材20に対応した長さで形成され、前記底面部2002と一対のガイド部2004との間の空間にスライド可能に挿脱されるように、本体部26の上面2602の両側には凹部2604が延出形成されている。
【0012】そして、この本体部26が前記ガイド部材20に係合することで本体部26によりガイド部材20の内側の空間が閉塞され、電気接点22が覆われるように形成されている。前記カバー部28は本体部26の先端から下方に屈曲して形成されている。前記カバー部28は本体部26の先端に連接された傾斜面部30と、傾斜面部30の下端から垂設されたカバー面部32からなる。
【0013】前記傾斜面部30は、ペンタ部6の背面上端の傾斜面6008に合致した傾斜角度で形成され、その幅はガイド部材20と同じ幅で形成されている。前記カバー面部32は、前記見口12の基部1202と同じ幅で形成され、前記傾斜面部30が傾斜面6008に係合した状態で、その内面がペンタ部6の背面602に当接し、またカバー面部32の下縁が、見口12の基部1202の上縁に合致するように形成されている。
【0014】そして、本体部26をガイド部材20に挿入し、本体部26の先端が凹部18の奥面に当接した状態で、傾斜面部30が傾斜面6008に当接し、また、カバー面部32がペンタ部6の背面602に当接するように構成されている。前記カバー面部32の内面には、カバー面部32がペンタ部6の背面602に当接した状態で視度調節部材14が収容される凹部34が形成され、この凹部34に視度調節部材14が収容された状態でカバー面部32の表面は、見口12の基部1202の上縁の表面と同じ高さになるように形成されている。すなわち、カバー面部32の内面がペンタ部6の背面602に当接した状態で、カバー面部32の幅が見口12の基部1202と同じで、カバー面部32の下縁が見口12の基部1202の上縁に合致し、更に、カバー面部32の表面が見口12の基部1202の上縁の表面と同じ高さになるため、カバー面部32と見口12の基部1202とは連続状となり、従って、外観上、アクセサリーシューカバー24と見口12とはあたかも一体的な部材として見えることになる。
【0015】アクセサリーシューカバー24は、ストロボの非装着時、ストロボ取付部16に装着しておき、ストロボの装着時に取り外し、この装着、取り外しは従来と同様に簡単になされる。そして、本実施例では、アクセサリーシューカバー24をストロボ取付部16に装着しておくことで、電気接点22がアクセサリーシューカバー24の本体部26により覆われ保護されることは無論のこと、視度調節部材14がカバー面部32により隠される。従って、何等かの操作の際に視度調節部材14に指が触れて視度調節部材14が動かされてしまい、視度の調節を再度行なわなければならない等の不具合を解消できる。
【0016】また、アクセサリーシューカバーを利用した構成であるため、部品点数を増加させることなく、また、カメラを大型化し重量を増やすことなく、視度調節部材14を覆うことができる。また、アクセサリーシューカバー24の本体部26の構造は、ストロボ取付部16に脱着可能に取りつける関係上、ストロボ取付部16の構造に拘束されるが、カバー面部32は、カメラ2の背面側に位置するため所望の形状に自由に設計でき、従って、実施例のように見口12に連続状に形成し、外見上、見口12と一体的な部材になるようにも形成でき、このように形成することで外観上も優れ、また、ファインダ窓8を覗く際に邪魔にならない。
【0017】尚、実施例ではファインダ窓8の直上箇所に視度調節部材14、ストロボ取付部16が位置する場合について説明したが、ファインダ窓8と視度調節部材14、ストロボ取付部16の位置関係はこれに限定されない。
【0018】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明は、カメラ本体に設けられストロボの取り付けが脱着可能でストロボをトリガするための電気接点を有するストロボ取付部と、前記カメラ本体に設けられたファインダ窓と、ファインダ窓の近傍に設けられたファインダ視度調節部材とを備えたカメラにおいて、前記ストロボ取付部に脱着可能に取り付けられ前記電気接点を覆う本体部と、前記本体部に連設され本体部が前記ストロボ取付部に取り付けられた状態で前記ファインダ視度調節部材を覆うカバー部とからなるアクセサリーシューカバーを設けた構成とした。そのため、カメラの大型化や重量増を抑制しつつ、また、カメラの外観性を劣化させることなく、視度調節部材の不用意な動きを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例にかかるアクセサリーシューカバーとカメラのペンタ部の斜視図である。
【図2】実施例に係るアクセサリーシューカバーがカメラのペンタ部に装着された状態の斜視図である。
【図3】(A)はアクセサリーシューカバーの正面図、(B)は同平面図、(C)は同底面図、(D)は同左側面図、(E)は同右側面図である。
【符号の説明】
2 カメラ
4 カメラ本体
6 ペンタ部
8 ファンダ窓
12 見口
14 視度調節部材
16 ストロボ取付部
20 ガイド部材
22 電気接点
24 アクセサリーシューカバー
26 本体部
28 カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラ本体に設けられストロボの取り付けが脱着可能でストロボをトリガするための電気接点を有するストロボ取付部と、前記カメラ本体に設けられたファインダ窓と、ファインダ窓の近傍に設けられたファインダ視度調節部材と、を備えたカメラにおいて、前記ストロボ取付部に脱着可能に取り付けられ前記電気接点を覆う本体部と、前記本体部に連設され本体部が前記ストロボ取付部に取り付けられた状態で前記ファインダ視度調節部材を覆うカバー部とからなるアクセサリーシューカバーを設けた、ことを特徴とするカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項2】 前記ストロボ取付部はカメラ本体の上面に設けられ、前記ファインダ窓は、カメラ本体の背面に設けられている請求項1記載のカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項3】 前記ファインダ窓は前記ストロボ取付部の近傍箇所に設けられている請求項1記載のカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項4】 前記ファインダ視度調節部材は、前記ファインダ窓の上方箇所に設けられている請求項2記載のカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項5】 前記ファインダ窓は透明部材とその周囲の見口とを備え、前記カバー部は、前記本体部が前記ストロボ取付部に取り付けられた状態で、前記見口と連続状に接触する請求項1記載のカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項6】 前記カバー部は前記見口と同じ幅で形成されている請求項5記載のカメラのアクセサリーシューカバー。
【請求項7】 前記カバー部がカメラ本体に臨む面には、ファインダ視度調節部材が収容される凹部が形成されている請求項1記載のカメラのアクセサリーシューカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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