説明

カメラの焦点検出装置

【目的】 組立工数及び部品コストの削減を実現させる焦点検出装置を提供すること。
【構成】 撮影レンズ16を通ってカメラボディ12内に導かれた光束の一部をCCDセンサ38で受光して焦点検出を行うカメラのAFセンサユニット30において、上記一部の光束が入射する入射面34aと;この入射面から入射した入射光を所定の反射角で反射させる反射面34bと;この反射面で反射した反射光をCCDセンサの受光面38aに向けて射出させる射出面34cと;を備えた反射プリズム38を有し、この反射プリズムの入射面34aと射出面34cのいずれか一方に赤外線カットコーティングC1が施されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、主にカメラのAF機構に用いられる焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】近年のAF一眼レフカメラは、位相検出方式のAF機構を採用しているものが主流である。この種のAF一眼レフカメラでは、クイックリターンミラーを内蔵するミラーボックスの底部に、焦点検出装置としてのAFセンサユニット(AFセンサモジュール)が備わっている。
【0003】このAFセンサユニットには、撮影光学系を通ってカメラボディ内に導かれた光束の一部が、通常クイックリターンミラーの背後に設けられたサブミラーを介して入射する。従来の一般的なAFセンサユニットは、入射側から順に、視野マスク、コンデンサレンズ、赤外線カットフィルタ、反射ミラー、補正レンズ、セパレータマスク、セパレータレンズ、及びCCDイメージセンサを備え、視野マスク、コンデンサレンズ及び赤外線カットフィルタを夫々透過した入射光が反射ミラーで略直角に反射され、この反射光が補正レンズ、セパレータマスク及びセパレータレンズを介してCCDイメージセンサに入射する構成を有していた。
【0004】このように、従来のAFセンサユニットは多数の部品から構成されているため、組立工数が多くまた部品コストが高かった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、組立工数及び部品コストの削減を実現させる焦点検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】本発明は、撮影光学系を通ってカメラボディ内に導かれた光束の一部をCCDセンサで受光して焦点検出を行うカメラの焦点検出装置において、上記一部の光束が入射する入射面と;この入射面から入射した入射光を所定の反射角で反射させる反射面と;この反射面で反射した反射光をCCDセンサの受光面に向けて射出させる射出面と;を備えた反射プリズムを有し、この反射プリズムの上記入射面と上記射出面のいずれか一方に赤外線カットコーティングが施されていることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】図2は、本願発明を適用したAFセンサユニット(焦点検出装置)を備えたAF一眼レフカメラの本願発明に係る要部を示している。この一眼レフカメラ10は、カメラボディ12と、このカメラボディ12の前面に装着されたレンズ鏡筒14とを有している。レンズ鏡筒14内には、撮影レンズ(撮影光学系)16が備わっている。
【0008】カメラボディ12内には、その内部に公知のクイックリターンミラー18を有するミラーボックス20が固定されている。このミラーボックス20の後部には、フィルム面Fとの間にフォーカルプレーンシャッタユニット(図示せず)が固定されている。またミラーボックス20の上部には、フィルム面Fと光学的に等価な位置に配置されたピント板22が固定されている。さらにこのピント板22の上部にはペンタプリズム24が固定され、このペンタプリズム24の背後には接眼レンズ26が固定されている。
【0009】クイックリターンミラー18が図2に示す待機位置(非撮影位置)にあるときには、撮影レンズ16を通ってカメラボディ12内に導かれ被写体光束は、クイックリターンミラー18によってピント板22に向けて反射され、ピント板22上に結像される。この結像された被写体像はペンタプリズム24によって左右上下が反転されて正立像とされ、接眼レンズ26を介して撮影者に観察される。
【0010】クイックリターンミラー18の後部にはサブミラー19が備わっている。クイックリターンミラー18が待機位置にあるときは、クイックリターンミラー18の略中央に形成されたハーフミラー部18aを透過した被写体光束の一部がサブミラー19によって図2の下方に反射される。サブミラー19に反射された光束は、ミラーボックス20の底部に形成された案内孔20aを通って、ミラーボックス20の底部とカメラボディ12の底部の間の空間内に配置されたAFセンサユニット(焦点検出装置)30に入射する。
【0011】図1は、AFセンサユニット30を拡大して示している。AFセンサユニット30は、該AFセンサユニット30の各構成要素を支持する支持枠31を有しており、この支持枠31はカメラボディ12に固定されている。この支持枠31の後部上端には、サブミラー19からAFセンサユニット30に入射する入射光束の入射範囲を規制する矩形の開口32aを有する視野マスク32が固定されている。この視野マスク32の矩形開口32aの直下にはコンデンサレンズ33が固定されている。
【0012】また支持枠31には、コンデンサレンズ33の下方に、直角プリズム(反射プリズム)34が固定されている。この直角プリズム34の前方(図2の左方)には、該直角プリズム側から順に、補正レンズ35、セパレーターマスク36、セパレーターレンズ37、及びCCDセンサ(CCDイメージセンサ)38が夫々支持枠31に固定されている。CCDセンサ38は、支持枠31の前端に固定されたCCDセンサパッケージ40内に固定されている。
【0013】直角プリズム34は、サブミラー19で反射され、案内孔20a、矩形開口32a及びコンデンサレンズ33を通過した光束が入射する入射面34aと、この入射面34aから入射した入射光を90°の反射角でCCDセンサ38側(即ち図2の左側)に反射させる反射面34bと、この反射面34bで反射した反射光をCCDセンサ38の受光面38aに向けて射出させる射出面34cとを有している。
【0014】直角プリズム34の入射面34aには、蒸着または塗布等により、赤外線を除去するコーティング(赤外線カットコーティング)C1が施されている。このコーティングC1として、例えば誘導体コートの多層膜を用いることができる。
【0015】また直角プリズム34の反射面34bには、蒸着または塗布等により、反射用のコーティングC2が施されている。このコーティングC2としては、例えばアルミコーティングを用いることができる。
【0016】以上の構成を有するAFセンサユニット30では、サブミラー19により反射されて入射した光束(撮影レンズ16を通ってカメラボディ12内部に導かれた被写体光束の一部)がコンデンサレンズ33を通り、次に入射面34aに入射してコーティングC1により赤外線が除去され、続いて反射面34bで90°曲折されて射出面34cから射出される。さらにこの射出面34cから射出された光束は、補正レンズ35、セパレーターマスク36及びセパレーターレンズ37を介して二分割されてCCDセンサ38の受光面38a上に入射する。CCDセンサ38はこの二分された光束の焦点近傍での状態を電気信号に変換し、CCDセンサ38が接続されたCPU(図示せず)がそれら二分された光束の位相から焦点(ピント)の状態を検出する。
【0017】従来のAFセンサユニットでは、コンデンサレンズの直下または視野マスクとコンデンサレンズの間に赤外線カットフィルタを配置し、さらに、これら視野マスク、コンデンサレンズ及び赤外線カットフィルタを通った光束を、コンデンサレンズの下方に固定した反射ミラーによってCCDセンサ側に反射させる構成を有していた。これに対して本願発明を適用したAFセンサユニット30では、反射ミラーを設ける代わりに直角プリズム34を設け、この直角プリズム34の入射面34aに赤外線を除去するコーティングC1を施す構成にしたので、従来のAFセンサユニットのように赤外線カットフィルタと反射ミラーをそれぞれ別部材として設ける必要がない。よって本願発明を適用したAFセンサユニット30によれば、従来のAFセンサユニットに比して組立工数が少なく、また部品コストが削減されている。
【0018】なお上記実施形態では直角プリズム34の入射面34aにコーティングC1を施す構成にしたが、この構成に代えて、直角プリズム34の射出面34cにコーティングC1と同様のコーティングを施す構成にしても同様の効果が得られる。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本願発明の焦点検出装置によれば、赤外線カットコーティングが施された入射面(または射出面)を備えた反射プリズムを設ける構成にしたので、組立工数が少なくて済み、また部品コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を適用した焦点検出装置を拡大して示す断面図である。
【図2】図1に示す焦点検出装置が設けられた一眼レフカメラの断面図である。
【符号の説明】
10 一眼レフカメラ
12 カメラボディ
14 レンズ鏡筒
18 クイックリターンミラー
19 サブミラー
20 ミラーボックス
22 ピント板
24 ペンタプリズム
26 接眼レンズ
30 AFセンサユニット(焦点検出装置)
32 視野マスク
33 コンデンサレンズ
34 直角プリズム(反射プリズム)
34a 入射面
34b 反射面
34c 射出面
35 補正レンズ
36 セパレーターマスク
37 セパレーターレンズ
38 CCDセンサー
C1 赤外線カットコーティング
C2 反射用コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影光学系を通ってカメラボディ内に導かれた光束の一部をCCDセンサで受光して焦点検出を行うカメラの焦点検出装置において、上記一部の光束が入射する入射面と;この入射面から入射した入射光を所定の反射角で反射させる反射面と;この反射面で反射した反射光をCCDセンサの受光面に向けて射出させる射出面と;を備えた反射プリズムを有し、この反射プリズムの上記入射面と上記射出面のいずれか一方に赤外線カットコーティングが施されていることを特徴とするカメラの焦点検出装置。
【請求項2】 請求項1に記載のカメラの焦点検出装置において、反射プリズムは、入射面から入射した入射光を直角に曲げる直角プリズムであるカメラの焦点検出装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載のカメラの焦点検出装置において、反射プリズムの反射面には、入射面から入射した入射光を射出面に向けて反射させる反射用コーティングが施されているカメラの焦点検出装置。

【図1】
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【図2】
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