カメラの自動焦点検出装置
【目的】 カメラに搭載されるAFモジュールの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックスの調整を簡略化できるカメラの自動焦点検出装置を提供する。
【構成】 焦点距離が可変な撮影レンズ13;及び、この撮影レンズ13の光軸Oと一致しない光軸o2 を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズ25、26と、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサ27、28とを備えたパッシブAFモジュール18;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、一対の結像レンズ25、26の光軸o2 と撮影レンズ13の光軸Oとの間のパララックス量を視差調整データとして記憶したROM84からの視差調整データに基づき、受光素子群を選択する選択補正手段(50)を備えたカメラの自動焦点検出装置。
【構成】 焦点距離が可変な撮影レンズ13;及び、この撮影レンズ13の光軸Oと一致しない光軸o2 を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズ25、26と、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサ27、28とを備えたパッシブAFモジュール18;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、一対の結像レンズ25、26の光軸o2 と撮影レンズ13の光軸Oとの間のパララックス量を視差調整データとして記憶したROM84からの視差調整データに基づき、受光素子群を選択する選択補正手段(50)を備えたカメラの自動焦点検出装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラに搭載した、外光を利用するパッシブ方式の自動焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】パッシブ方式の自動焦点検出装置(以下、AF装置と称する)を備えたレンズシャッタ式カメラでは、撮影光学系とファインダ光学系とAF装置の焦点検出光学系(測距光学系)とは、それぞれ別個に構成されている。このようなカメラにおいて、焦点検出光学系と、一列状に多数の受光素子を有し焦点検出光学系による同一の被写体に関する複数の被写体像を投影するラインセンサと、このラインセンサの検出データに基づき測距値を検出する演算部と、をユニット化したパッシブAFモジュールを搭載したものが知られている。このAFモジュールはその焦点検出光学系の光軸が、撮影光学系、ファインダ光学系それぞれの光軸と一致していない。
【0003】このようなカメラでは、AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって、焦点検出光学系の光軸と撮影光学系の光軸との間にパララックス生じることがある。この場合、パララックス量が比較的小さければ、調整を行なわずにそのまま組立てることも可能であるが、パララックス量が大きい場合には、パッシブAFモジュールそのものを機械的に左右に振ることによって調整する必要がある。
【0004】このような機械的調整を行なう場合には、パッシブAFモジュールを左右に振った後このAFモジュールが検出するデータを一旦チェックし、そのデータが基準値をクリアするまで、AFモジュールの振れ角度の調整及び検出データのチェックを繰り返さなければならず、作業が極めて煩雑である。
【0005】
【発明の目的】本発明は、従来のカメラにおける上記問題点に基づきなされたもので、カメラに搭載されるAFモジュールの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックスの調整を簡略化できるカメラの自動焦点検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】上記目的を達成するための本発明は、焦点距離が可変な撮影光学系;及び、この撮影光学系の光軸と一致しない光軸を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズと、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサとを備えたAFモジュール;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、上記AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって生じる、上記一対の結像レンズの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックス量を視差調整データとして記憶した記憶手段;及び、この記憶手段からの視差調整データに基づき、上記各ラインセンサをなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択する選択補正手段;を備えたことを特徴としている。
【0007】上記構成によれば、AFモジュールをカメラボディに対して機械的に左右に振った状態をソフト的に作り出すことが可能となるから、機械的な調整作業が要らなくなり、AFモジュールの撮影光学系に対するパララックスの調整が極めて簡単になる。
【0008】
【発明の実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説明する。図1は本発明を適用したカメラの正面面、図2は背面図、図3は平面図である。このカメラ11は、AF装置の焦点検出光学系、撮影レンズ、及びファインダ光学系それぞれの光軸が一致しないレンズシャッタ式カメラである。
【0009】同図に示されるように、カメラ11は、前部に、パワーズームレンズからなる撮影レンズ(撮影光学系)13、リモコン受光部14、セルフタイマが作動中であることを知らせるセルフランプ10、測光窓15、AF補助投光部16、ファインダ窓17、パッシブAFモジュール(AF装置)18及びストロボ発光部19を有し、後部に、ファインダ接眼窓24、メインスイッチ65、ズーミングレバー21及び裏蓋22を有している。またカメラ11の上部面には、レリーズ釦20と外部LCD表示部23が設けられ、この外部LCD表示部23の周囲に、ストロボスイッチ40、モードスイッチ41、デートスイッチ42、スポットAFスイッチ43及びドライブスイッチ45が設けられ、レリーズ釦20の後方にマクロスイッチ46が設けられている。上記デートスイッチ42は、外部LCD表示部23のデート表示パターンの変更、写し込みパターンの変更、及びデート修正モードの変更用のスイッチである。デートスイッチ42を3秒間押し続けることにより、該デート修正モードに入ることができる。
【0010】次に、本カメラ11における各種制御を実行するための制御系を、図4を参照して説明する。
【0011】カメラ11に搭載されたCPU50は、撮影に関する動作を統括的に制御するものであり、内部メモリに格納されたプログラムに従って各制御動作を実行する。
【0012】CPU50には、撮影レンズ13駆動用のズームモータ51を駆動するズームモータ駆動回路53、フィルムの巻上げ、巻戻しを行なうフィルムモータ52を駆動するフィルムモータ駆動回路54、赤ランプ12aと緑ランプ12bとセルフランプ10を駆動(点灯、点滅、消灯)するランプ駆動回路55が接続されている。赤ランプ12aはストロボ発光の可否を知らせ、緑ランプ12bはAFの可否を知らせるもので、両者ともファインダ視野近傍に設けられている。CPU50にはまた、各種表示を行なう外部LCD表示部23、ファインダ視野47にフォーカスフレームFa、Fb、Fc、Fd、fa、fb、fc、fd(図10参照)等の表示を行なうファインダLCD表示部57、ストロボ発光部19を駆動するためのストロボ回路58、パッシブAFモジュール18、AF補助投光部16、測光窓15内方のCds等の受光に基づき測光値を演算する測光回路62、及びサーミスタ等のセンサからの信号に基づきカメラ周辺の温度を検知する温度検知回路63が接続されている。
【0013】CPU50にはさらに、裏蓋スイッチ64、メインスイッチ65、テレスイッチ66、ワイドスイッチ67、パノラマスイッチ68、モードスイッチ41、ストロボスイッチ40、デートスイッチ42、ドライブスイッチ45、スポットAFスイッチ43、測光スイッチ74、レリーズスイッチ75、及びマクロスイッチ46が接続されている。この測光スイッチ74は、レリーズ釦20の半押し時にオンし、レリーズスイッチ75は、このレリーズ釦20の全押し時にオンするように構成されている。CPU50にはまた、フィルムパトローネからISO情報を読取るDX情報読取部77、撮影レンズ13のズーム情報を読取るレンズ情報読取部78、デートLEDドライバ回路79、フィルムの走行を検知するフィルム走行検知回路81、E2 PROM82、RAM83、及びROM84が接続されている。デートLEDドライバ回路79には、裏蓋22の内面に設けた、日時等をフィルムに露光するデートLED80が接続されている。デートLEDドライバ回路79は、このデートLED80に設けられた複数のLEDセグメントからなる7セグメントを、デートスイッチ42の操作によって選択された写し込みパターンに基づいて撮影の際に駆動(点灯、消灯)してフィルムに日時等を写し込む。
【0014】カメラ11に搭載された上記パッシブAFモジュール18は、図5に示すように、基線長だけ離して配置した一対のAFレンズ(結像レンズ)25、26と、各AFレンズ25、26による被写体像を結像させる一対のラインセンサ27、28とを備えている。これらラインセンサ27、28はそれぞれ、同一形状に構成され、撮影レンズ13の最大の画角を臨む大きさを持つように横方向に一列に配設された多数の受光素子(フォトダイオード)を有している。該ラインセンサ27、28から読み出される信号は、異なる画角内の被写体像を受光する、複数の異なる小受光領域毎の小セット信号として用いられる。
【0015】ここで、図6により、左右一対のラインセンサ27′、28′を用いた一般的な外光三角方式による測距(所謂三角測距)を説明する。同図において、距離(被写体距離)Lxに位置する物体Pが、左右のAFレンズ25′、26′によって左右のラインセンサ27′、28′上の点(像点)x1、x2にそれぞれ結像されたとする。被写体距離Lxは、基線長B、受光部間の距離x、各AFレンズ25′、26′の焦点距離f、ラインセンサ27′とAFレンズ25′の光軸が交わる点と点x1の間の距離XL、ラインセンサ28′とAFレンズ26′の光軸が交わる点と点x2の間の距離XRを用いれば次のように求まる。すなわち、B:(XL+XR)=Lx:fゆえにLx=Bf/(XL+XR)
=Bf/(x−B)
【0016】ところで、通常被写体は点ではなく広がりがあり、左、右ラインセンサ27′、28′上では二次元的な被写体像になるので、先のように像点x1、x2を直接検出できない。
【0017】そこで、左、右ラインセンサ27′、28′で得た一対の映像データを重ねたときに最も一致度が高くなる領域を、重ねる映像データ群を受光素子の並び方向に相対的にずらしながら検出し、最も一致度の高い位置における映像データ群の間隔を像点間隔xとして検出する。
【0018】本実施例において、上記ラインセンサ27、28の小セット信号を得るべき小受光領域の受光素子群の位置は、CPU50が、RAM83から読み出した焦点距離領域情報に対応させて変更する。この焦点距離領域情報は、ズームミング時にレンズ情報読取部78からの情報に基づきRAM83に書き込まれる。また、上記小受光領域の受光素子群の位置は、4段階のセット位置(図9参照)として各々ROM84に記憶されている。
【0019】具体的には、ラインセンサ27(28)は、128個の受光素子を一列状に有し、図8に示すように、中央部分の36個の受光素子からなる小受光領域を中央受光領域Cとし、左右それぞれ36個ずつの小受光領域を左受光領域L及び右受光領域Rとし、これら中央受光領域Cと左受光領域Lとを所定の関係でオーバーラップさせた小受光領域を受光領域LCとし、中央受光領域Cと右受光領域Rとを所定の関係でオーバーラップさせた小受光領域を受光領域RCとして設定されている。該受光領域LC、RCもそれぞれ36個ずつの受光素子からなっている。これら受光領域C、LC、RC、L、Rは即ち、128個の受光素子のうちから必要時に信号(小セット信号)を取り出すべき受光素子群を特定したもので、図7に示される被写体の受光可能エリアC′、LC′、RC′、L′、R′とそれぞれに対応する。
【0020】本実施例において、左右のラインセンサ27、28がそれぞれ5箇所ずつ有する受光領域C、LC、RC、L、Rを選択的に利用して行なう測距を以下マルチ測距と称し、また受光領域C、LC、RCを選択的に利用して行なう測距を以下スポット測距と称する。
【0021】図5に示されるように、ラインセンサ27、28のそれぞれには、同一の被写体に関する複数の被写体像が、対応するAFレンズ25、26を介して該センサ27、28上の異なる位置に投影される。このラインセンサ27、28に電荷として蓄積された受光光量はそれぞれ、量子化部29、30及び演算部31を介して電気信号(小セット信号)としてCPU50に送られる。
【0022】より詳細には、各量子化部29、30には、対応のラインセンサ27、28が有する受光素子の数と同数のコンパレータとラッチ装置(図示せず)が設けられており、ラインセンサ27、28の各受光素子に、対応のコンパレータとラッチ装置(図示せず)が接続されている。各受光素子に蓄積された電荷は対応のコンパレータとラッチ装置を介して量子化され、各ラインセンサ27、28の量子化データーは、演算部31を介して電気信号としてCPU50にシリアル送信される。CPU50は、各受光素子から得られた電気信号によるセンサデータの全部または一部のみを用いて測距演算を実行することができる。
【0023】すなわち、このCPU50は、RAM83から読出した撮影レンズ13の複数段の焦点距離領域に応じてROM84から読出した小受光領域の位置データに基づき、図9の(a)、(b)、(c)、(d)の受光領域位置から対応するものを選択し、その選択した受光領域からの小セット信号(距離情報)を演算部31から受け、この小セット信号に基づき測距演算を実行して測距値を求める。この測距値は、図6に示す像点間隔xに基づく値であり、被写体距離Lxが長ければ小さくなり、被写体距離が短ければ大きくなる。さらにCPU50は、この測距値から撮影レンズ13のフーカシングレンズの駆動量を求め、合焦動作時、CPU50に接続されたシャッターピント駆動回路59がこの駆動量だけフーカシングレンズを駆動する。
【0024】本カメラ11は、撮影者がマルチ測距を選択した場合には、レンズ情報読取部78(図4)を介して読み取られる撮影レンズ13の焦点距離を所定のピッチ毎に区切り、ワイド(広角)端からテレ(望遠)端までを第1〜第4の複数段の焦点距離領域に分割し、中央受光領域Cを中心とする各受光領域LC、RC、L、Rの該中央受光領域Cに対する相対位置を、ズーミングによる焦点距離の変化に応じて図9の(a)、(b)、(c)、(d)のように変更する制御を行なう。つまり、上述したようにCPU50は、ズーミングによって焦点距離が変化するときにRAM83に書き込まれる焦点距離領域情報に基づき、同図の(a)、(b)、(c)、(d)のように定められた小受光領域の受光素子群の位置を、第1〜第4の焦点距離領域に対応させて選択する。なお、この選択時に、小受光領域の受光素子群の位置は変わるが、受光素子群毎の素子数は36個であり、常に変わらない。
【0025】他方、図10に示すように、ファインダ視野47内に観察されるファインダLCD表示部57には、ワイド端からテレ端において、マルチ測距時の図9の(a)、(b)、(c)、(d)にそれぞれ対応する左右で一対のフォーカスフレームFa、Fb、Fc、Fdが設けられている。またこのフォーカスフレームFaの内方には、スポット測距時に使用されるフォーカスフレームfa、fb、fc、fdが設けられている。
【0026】マルチ測距時、フォーカスフレームは、ラインセンサ27、28における各受光領域がズーミングに伴って図9の(a)、(b)、(c)、(d)の順に変化するとき、Fa、Fb、Fc、Fdの順に点灯、消灯を繰り返す。またスポット測距時、フォーカスフレームは、ラインセンサ27、28における受光領域C、LC、RCがズーミングに伴って図9の(a)、(b)、(c)、(d)の順に変化するとき、fa、fb、fc、fdの順に点灯、消灯を繰り返す。即ち、変化する撮影レンズ13の焦点距離に応じて、フォーカスフレームをテレ側では広くしワイド側では狭くするのである。これにより、図9の小受光領域位置の切換えだけでは解消しきれない、ラインセンサ27、28上の受光領域とフォーカスフレームの大きさのずれを補償し、現在の焦点距離における実際の受光領域の広さを撮影者に実感させることができる。
【0027】次に、本発明の特徴である、カメラに搭載されたパッシブAFモジュール18と撮影レンズ13との間のパララックス量を補正する構成について、図11〜図13を参照して説明する。
【0028】カメラボディに固定されたパッシブAFモジュール18は、図11に示されるように、理想的には撮影レンズ13の光軸Oと平行になるべきAFレンズ25、26の光軸(基準光軸)o1 (便宜上1本で表わす)が、機械的な位置ずれによって、o2 で示されるようにある角度だけずれることがある。本自動焦点検出装置は、これによるAFモジュール18と撮影レンズ13との間のパララックス量を予め測定してROM84にカメラ固有のデータとして記憶しておき、CPU50により該データに基づき各ラインセンサ27、28をなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択し、AFモジュール18を左右に振った状態をソフト的に作り出すものである。なお、カメラ11のファインダ光軸は、撮影レンズ13の撮影光軸Oと略平行とされている。
【0029】すなわち、図12に示されるように、ラインセンサ27(28)による受光データは、AFモジュール18の光軸が図11のo1 のように理想的な状態であればデータAとして出力図の中央部に出力されるが(図12参照)、実際には光軸は同図o2 のようにある角度ずれているため、受光データは図12のデータBとして中央部からずれて出力される。本自動焦点検出装置は、AFモジュール18をカメラボディに固定したときに生じる上記パララックス量、つまりデータBを出力する小受光領域がデータAを出力する小受光領域から左右方向に何ビット分(±α)ずれているかに関する位置変位量を、視差調整データ(以下、視差調整量という)としてROM84に記憶しておき、ラインセンサ27、28による受光領域の位置をこの視差調整量±α分だけシフトさせた状態で測距するものである。言い換えると、本来なら図12の一点鎖線cで示す位置にあるべきラインセンサ27(28)のセンターを、c′の位置に所定ビット分シフトさせた状態で測距するということである。
【0030】なお、上記視差調整量±αの測定は、図11に示されるように、カメラ11を、基準位置を示すラインチャートLに仮想の基準光軸o1 を合わせてセットした状態で行なわれる。
【0031】上記視差調整量±αを用いたパララックスの補正を実現させるため、本実施例におけるラインセンサ27、28の受光素子数は、実際には、左右に余裕が出るように128個より多くされている(図13参照)。図13の(a)において、ラインセンサ27(28)の左右の斜線部分は、パッシブAFモジュール18の機械的な位置ずれから考えられる最大視差調整量±α分の空き領域を予め確保したものである。
【0032】次に、上記回路構成を有するカメラの動作シーケンスについて、図14〜図21に示したフローチャートを参照して説明する。該動作は、ROM84に記憶されたプログラムに従い、CPU50によって実行される。
【0033】先ず、メインスイッチ65がオンされて各回路に電源が供給されると、図14に示したメインルーチンに入る。このメインルーチンでは、先ず測光スイッチ74等の各スイッチ類からの情報を入力する(ステップS1)。そして、裏蓋スイッチ64のオンオフをチェックし(S2)、該スイッチ64がオフされていれば裏蓋22が閉じていると判断してS3に進み、該スイッチ64がオンされていれば裏蓋22が開放していると判断してS4に進む。S4では、ローディングが終了したか否かをチェックし、ローディングが終了されればS3に進み、そうでなければ“ローディング処理”のサブルーチンに入ってフィルムのローディングを実行する。
【0034】S3では、レンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がレンズ収納位置にあるか否かをチェックし、撮影レンズ13が収納位置にあればS7に進み、そうでなければS6に進む。S7では、メインスイッチ65がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればカメラ11の初動時であると判断して“レンズワイド移動処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、撮影レンズ13をワイド端即ち撮影開始位置に駆動する。また、メインスイッチ65がオンからオフされれば、“パワーダウン処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。
【0035】S6では、メインスイッチ65がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればカメラ11の初動時であると判断して、デート修正を解除する。すなわち、デートスイッチ42を3秒間押し続けてデート修正モードに入った状態において(デート修正中)、デート修正を中断(解除)し、修正されたデートを外部LCD表示部23に表示する。またデート修正中でないならば、デート修正が解除されたままで(現状のままで)、デート表示を行なう。その後、“レンズ収納処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S11、S12)。また、メインスイッチ65がオフからオンされなければ、ズーミングレバー21の操作によってテレスイッチ66がオンオフいずれの状態に作動されたかをチェックする(S10)。この結果、テレスイッチ66がオンされればさらに、デートスイッチ42を3秒間押し続けてデート修正モードに入っている状態(デート修正中)か否かをチェックし(S14)、そうでなければS13に進む。
【0036】S14において、デート修正中であれば、修正内容を加算するための“修正加算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければレンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がテレ端にあるか否かをチェックする(S15)。“修正加算処理”は、テレスイッチ66がオンされたときデート修正中である場合に、S52の“デート修正位置変更処理”で設定された修正箇所を加算することによってデート表示を修正するためのサブルーチンである。
【0037】S15において、撮影レンズ13がテレ端にあれば、さらにワイドスイッチ67がオンオフいずれの状態にあるかをチェックし(S13)、撮影レンズ13がテレ端になければさらにレンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックする(S17)。マクロ位置にあれば、“テレ端移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置からテレ端に移動させ、マクロ位置になければ、“テレズーム処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置以外からテレ端に向けて移動(ズーミング)させる(S18、S19)。
【0038】S13では、ズーミングレバー21の操作によってワイドスイッチ67がオンオフいずれの状態に作動されたかをチェックし、オンされればさらにデート修正中か否かをチェックし(S20)、そうでなければS26に進む。S20において、デート修正中であれば、“修正減算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S22)、そうでなければさらに、撮影レンズ13がワイド端にされているか否かをチェックする。この結果、撮影レンズ13がワイド端にされていればS26に進み、そうでなければS23に進む。“修正減算処理”は、ワイドスイッチ67がオンされた状態において、例えば外部LCD表示部23上に表示された95_ 2_ 3の“3”を他の“2”等に修正するためのサブルーチンである。
【0039】S23では、撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックし、マクロ位置にあれば“テレ端移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置からテレ端に移動させ、マクロ位置になければ“ズームワイド処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置以外からワイド端に向けて移動(ズーミング)させる(S24、S25)。S26では、マクロスイッチ46のオンオフをチェックし、該スイッチ46がオンされればさらに撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックし(S28)、該スイッチ46がオンされなければS27に進む。S28において、撮影レンズ13がマクロ位置にあればS27に進み、そうでなければ“マクロ移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置に向けて移動させる(S29)。
【0040】S27では、ドライブスイッチ45がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS31に進み、そうでなければS30に進む。S31では、デート修正中か否かをチェックし、デート修正中であればリターンし、そうでなければ“ドライブ設定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S32)。そしてこのサブルーチンを抜けた後、ドライブスイッチ45のオンオフをチェックし、該スイッチ45がオフされればリターンし、オンされればタイマーが所定時間である3秒をタイムアップしたか否かチェックする。この結果、タイムアップされればS35に進んでレリーズスイッチ75のオンオフをチェックし、そうでなければS33を繰り返す。S35において、レリーズスイッチ75がオンされれば、“レンズワイド移動処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、さらに“巻戻し処理”のラベルで始まるサブルーチンに入ってフィルムを巻戻す。
【0041】S30では、モードスイッチ41がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS38に進み、そうでなければS40に進む。S38では、デート修正中であるか否かをチェックし、修正中であればリターンし、そうでなければ“モード設定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。S40では、ストロボスイッチ40がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS42に進み、そうでなければS41に進む。
【0042】S42では、デート修正中であるか否かをチェックし、修正中であればリターンし、そうでなければS43に進む。S43では、モードスイッチ41によってストロボ非発光モードにセットされたか否かをチェックし、セットされればプリ発光の設定を反転させ(S44)、そうでなければリターンする。
【0043】デート修正中に、外部LCD表示部23上のデート表示が例えば95_ 2_ 3と表示されているとき、デートスイッチ42をオフからオンすることにより、修正位置を例えば“3”に合わせ、テレスイッチ66をオンすることでこの“3”を“4”に修正することができる。この場合、先ず、デートスイッチ42がオフからオンされたか否か、デート修正中であるか否かをチェックし、デート修正中であれば“修正位置変更処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければ、デート設定インクリメントを実行し、“デート表示処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S41、S46〜S48)。そして“デート表示処理”のサブルーチンから抜けた後、デートスイッチ42のオンオフをチェックし、該スイッチ42がオフされればリターンし、オンされれば、タイマーが所定時間の3秒をタイムアップしたか否かチェックする(S49、S50)。そして3秒タイマーがタイムアップされれば、デート修正に関する初期セットを実行してリターンし、タイムアップされなければS49を繰り返す。
【0044】S45では、測光スイッチ74がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS54に進み、そうでなければS53に進む。S54では、ローディングにエラーがあるか否かをチェックし、エラーがあればS53に進み、そうでなければ、巻戻しが終了したか否かをチェックする(S55)。そして、巻戻しが終了されればS53に進み、そうでなければ“撮影処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、さらにこのサブルーチンを抜けた後S53に進む(S56)。
【0045】S53では、ストロボの充電要求があったか否かをチェックし、要求があれば“ストロボ充電処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければ“パワーダウン処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S57、S58)。
【0046】次に、上記ステップS56で示した“撮影処理”サブルーチンについて、図17、図18を参照して説明する。このサブルーチンに入ると、先ず、装填したフィルムパトローネからDX情報読取部77を介してISO等を読み取り、バッテリーの蓄電量をチェックして、NGがあるか否かをチェックする(S60〜S62)。そして、NGがあればリターンし、そうでなければ“測距”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S63)。そしてこのサブルーチンを抜けた後、測光回路62による測光演算を実行し、自動露出に関するAE演算を実行する(S64、S65)。
【0047】S67では、撮影に使用できる測距値が演算されたか否か(測距演算上のエラーの有無)をチェックし、測距値が存在しない(エラーがある)場合には緑ランプ12bを点滅させて撮影者に合焦不能であることを知らせ(S71)、測距値が存在する(エラーがない)場合には、その値が合焦不能なほどの近距離にあるか否かをさらにチェックする(S68)。この結果、被写体が合焦不能なほどの近距離にあるのであれば緑ランプ12bを点滅させて撮影者にその旨を知らせ(S71)、そうでなければ緑ランプ12bを点灯させて撮影者に合焦可能であることを知らせる(S69)。
【0048】S70では、ストロボ発光させるか否かをチェックし、ストロボを発光させると判断されれば、FM(フラッシュマチック)演算を実行した後、ストロボの充電がOKか否かをチェックする(S72、S73)。そして、充電OKであればランプ駆動回路55を介して赤ランプ12aを点灯させ(S75)、そうでなければ赤ランプ12aを点滅させる(S74)。
【0049】S76において、“スイッチ入力”のラベルで始まるサブルーチンに入って各種スイッチのデータを入力した後、S77においてレリーズスイッチ75のオンオフをチェックする。そして、レリーズスイッチ75がオンされればS78に進み、そうでなければS79に進む。S79では、測光スイッチ74のオンオフをチェックする。測光スイッチ74がオンされればS76に戻って、“スイッチ入力”サブルーチンとレリーズスイッチ75のオンオフチェックとを繰り返し、そうでなければ点灯または点滅していた赤ランプ12aと緑ランプ12bを消灯させる。
【0050】S78では、ドライブスイッチ45によってセルフモードにセットされたか否かをチェックし、セットされれば“セルフウェイト処理のラベルで始まるサブルーチンに入り(S81)、そうでなければリターンする。この“セルフウェイト処理”は、セルフタイマー撮影時にレリーズ釦20を押した数秒後にシャッタを切るためのサブルーチンである。“セルフウェイト処理”サブルーチンを抜けた後、S82において、セルフタイマー撮影による時間待ちが中断されたか否かをチェックし、中断されればリターンし、そうでなければS83に進む。
【0051】S83では、セルフランプ12cを点灯させ、緑ランプ12bと赤ランプ12aを消灯させる。そして、撮影レンズ13のフォーカシングレンズを所要の位置に駆動し、セルフランプ12cを消灯させ、図示しないシャッタ機構を駆動して露光を実行し、撮影後のフィルムを1コマ巻き上げる(S84〜S87)。ここで、巻戻しは自動にセットされているか否かをチェックし、自動にセットされていれば巻戻しを実行し(S88、S89)、そうでなければリターンする。
【0052】次に、上記ステップS63で示した“測距”サブルーチンを、図19を参照して説明する。先ず、CPU50は、パッシブAFモジュール18からの検出センサデータと、カメラ11の製造段階で予め測定されてROM84に記憶された視差調整量±αとを入力する(S90、S91)。そして、実行すべき測距形態はマルチ測距であるか否かをチェックし(S92)、マルチ測距を行なうのであれば“マルチAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S94)、そうでなければS93に進む。
【0053】S93では、実行すべき測距形態はスポット測距であるか否かをチェックし、スポット測距を行なうのであれば“スポットAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S95)、そうでなければS96に進んで“マクロAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。
【0054】次に、上記ステップS94の“マルチAF処理”サブルーチンを、図20を参照して説明する。撮影レンズ13のズーミング位置と対応する、後述の各受光領域C、LC、RC、L、Rの位置を示すセンサスタートNO. “DIV 0〜DIV 3”(上記焦点距離領域情報)は、S10、S13、S26等のズーム処理時にレンズ情報読取部78からの情報に基づきRAM83に書き込まれる。
【0055】“マルチAF処理”サブルーチンは、マルチ測距が選択された場合に、上記センサスタートNO. DIV 0〜DIV 3と、ROM84にテーブルデータとして記憶された、焦点距離領域に対応する小受光領域の位置に関するデータとに基づき決定した各受光領域C、LC、RC、L、Rにおいてデフォルト(測距NG即ち測距不能状態を意味する)の有無を判定し、デフォルトのない受光領域での測距値のうち合焦可能範囲内における最も近距離側の値を選択して測距に用いるためのものである。このサブルーチンに入ると、先ず、S97において、受光領域のセンサスタートNO. をRAM83から読み出し、これがDIV 0(図9の(a) )であるか否かをチェックする。そしてCPU50は、センサスタートNO. がDIV 0であると判断すると、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 0に関する情報C_DIV 0、LC_DIV0、RC_DIV0、L_DIV 0、R_DIV 0を読込む(S99)。
【0056】そしてS100において、ROM84からの視差調整量±αを読み込み、この視差調整量±αに基づき、上記センサスタートNO. DIV 0に関する情報C_DIV 0、LC_DIV0、RC_DIV0、L_DIV 0、R_DIV 0を補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 0±α〜C_DIV 0±α+ N-1とし(Nは各受光領域C、LC、RC、L、Rにおける規定受光素子数(本実施例では36))、受光領域LCを、LC_DIV0±α〜LC_DIV0±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV0±α〜RC_DIV0±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 0±α〜L_DIV 0±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 0±α〜R_DIV 0±α+ N-1 と定める。
【0057】パッシブAFモジュール18の演算部31は、CPU50の信号に基づき、これら決定された各受光領域に位置する受光素子からのセンサデータを該CPU50に向けて順々に送る。例えば図9において、CPU50が右受光領域Rとして、128個の受光素子の右から9±α番目のセンサデータから必要としているとき、CPU50からセンサスタートNO. に関する情報9±α〜9±α+N−1の信号を受けた演算部31は、9±α番目から「9±α+36−1」番目までのセンサデータを順々にCPU50に送信する。そしてCPU50は、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンで、上記センサデータに基づき、各領域におけるデフォルト(測距NG)の有無の判定を行なう。
【0058】S97において、センサスタートNO. はDIV 0ではないと判断すれば、S98に進み、センサスタートNO. はDIV 1(図9の(b) )であるか否かをチェックする。そしてDIV 1であると判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 1に関する情報C_DIV 1、LC_DIV1、RC_DIV1、L_DIV 1、R_DIV 1を読込む(S102)。
【0059】そしてS103において、S100と同様に、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 1±α〜C_DIV 1±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV1±α〜LC_DIV1±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV1±α〜RC_DIV1±α+N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 1±α〜L_DIV 1±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 1±α〜R_DIV 1±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0060】またS98において、ROM84に書き込まれた受光領域のセンサスタートNO. はDIV 1ではないと判断すれば、S101に進んで、センサスタートNO. はDIV 2(図9の(c) )であるか否かをチェックする。そしてDIV 2であると判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 2に関する情報C_DIV 2、LC_DIV2、RC_DIV2、L_DIV 2、R_DIV 2を読込む(S104)。
【0061】そしてS105において、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 2±α〜C_DIV 2±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV2±α〜LC_DIV2±α+N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV2±α〜RC_DIV2±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 2±α〜L_DIV 2±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 2±α〜R_DIV 2±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0062】またS101において、センサスタートNO. はDIV 2ではないと判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 3(図9の(d) )に関する情報C_DIV 3、LC_DIV3、RC_DIV3、L_DIV 3、R_DIV 3を読込む(S106)。
【0063】そしてS107において、上述同様、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 3±α〜C_DIV 3±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV3±α〜LC_DIV3±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV3±α〜RC_DIV3±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 3±α〜L_DIV 3±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 3±α〜R_DIV 3±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0064】S108では、撮影レンズ13の焦点距離に対応して選択された受光領域においてデフォルト(測距不能状態)があるか否かを判定する。この判定に基づき、例えば選択された小受光領域のうちでデフォルトがない領域にフラグを立てる。この処理の後、“各領域測距演算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S109)、各受光領域における測距値を演算する。ここで、各受光領域における測距値が大きい程、被写体は近距離側に位置することとなる。そして、この測距値に基づいて、どの測距領域のデータを用いるかの選択処理を行ない(S110)、リターンする。
【0065】次に、S95の“スポットAF処理”サブルーチンを、図21を参照して説明する。“スポットAF処理”サブルーチンは、スポット測距が選択された場合に、撮影に使用する焦点距離における各受光領域の位置を視差調整量±αだけシフトして決定し、シフト後の各受光領域C、LC、RCにおいてデフォルト(測距NG)の有無を判定し、デフォルトのない受光領域での測距値のうち合焦可能範囲内における最も近距離側の値を選択して測距に用いるためのものである。
【0066】このサブルーチンに入ると、先ずS111において、ラインセンサ27、28における各基準測距領域を、ROM84から読出した視差調整量±αの分だけシフト調整し、これをスポット測距時の各測距領域として決める。そして、“各領域デフォルト判定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、各受光領域C、LC、RCにおけるデフォルトの有無の判定を行なった後、“測距演算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って、受光領域C、LC、RCを用いた測距演算を行なう(S112、S113)。
【0067】そしてS114において、中央受光領域Cにおけるデフォルトの有無をチェックし、デフォルトがなければ、この領域Cを用いて演算した測距値を、撮影に使用する測距値として選択する。またS114において中央受光領域Cにデフォルトがあれば、さらに受光領域LC、RCの双方にデフォルトがあるか否かをチェックし、受光領域LC、RC双方にデフォルトがあれば測距値なし(測距不可)としてリターンし(S117)、そうでなければS118に進む。
【0068】S118では、受光領域LC、RCの双方にデフォルトがないか否かをチェックし、双方共にデフォルトがなければ受光領域LC、RCそれぞれのデータを用いて演算した測距値のうちの近距離側のものを撮影に使用し(S120)、そうでなければS119に進む。
【0069】S119では、受光領域LCにデフォルトがあるか否かをチェックし、この領域LCにデフォルトがあれば受光領域RCのデータを用いて演算した測距値を撮影に使用し(S122)、そうでなければ受光領域LCのデータを用いて演算した測距値を撮影に使用する(S121)。
【0070】このように本カメラの自動焦点検出装置によれば、ズーミングに伴い変化する複数段に区切った焦点距離領域と対応する各受光領域L、LC、RC、L、Rの位置を常に視差調整量±αだけシフトさせた状態、つまりカメラボディに固定するときのパッシブAFモジュール18の機械的な位置ずれによって生じる焦点検出光学系の光軸o2 と撮影レンズ13の光軸Oとの間のパララックスをソフト的に調整した状態で測距する。このように、パッシブAFモジュール18をカメラボディに対して左右に振った状態をソフト的に作り出すことができるから、パッシブAFモジュール18をカメラボディに対して実際に動かして行なう機械的な調整作業は、一切要らなくなる。従って、カメラ11に搭載されるパッシブAFモジュール18の撮影レンズ13に対するパララックスの調整を簡略化させることができる。
【0071】なお、本実施例では、焦点距離が可変な撮影光学系としてズームレンズ(撮影レンズ13)を用いたが、本発明はこれに限られない。すなわち、撮影光学系をズームレンズに代えて多焦点レンズから構成することができる。その場合、ラインセンサ27、28の小セット信号を得るべき小受光領域の受光素子群の位置は、この多焦点レンズによって切換え可能な各焦点距離のそれぞれに対応させて設定することができる。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、AFモジュールを左右に振った状態をソフト的に作り出すことができるから、機械的な調整作業は要らなくなる。よって、カメラに搭載されるAFモジュールの撮影光学系に対するパララックスの調整を簡略化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したカメラの実施例を示す正面図である。
【図2】同カメラの背面図である。
【図3】同カメラの平面図である。
【図4】本実施例の制御系を示すシステムブロック図である。
【図5】本実施例のパッシブAFモジュールの構造を示す概略図である。
【図6】一対のラインセンサを用いた一般的な外光三角方式による測距を説明するための概略図である。
【図7】本実施例のパッシブAFモジュールの構造を示す概略図である。
【図8】同パッシブAFモジュールに用いられるラインセンサに設定された小受光領域を示す図である。
【図9】複数段に分割した撮影レンズの焦点距離領域とそれぞれ対応するラインセンサの小受光領域の位置を示す図である。
【図10】撮影レンズの焦点距離変化に応じて範囲が変わるフォーカスフレームを示す図である。
【図11】本カメラにおけるパッシブAFモジュールの光軸のずれを説明するための概略図である。
【図12】光軸が基準光軸からずれた場合のパッシブAFモジュールのデータ出力を示す図である。
【図13】基準受光領域と該基準受光領域を視差調整量に基づきシフトさせたときの受光領域を説明するための図である。
【図14】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図15】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図16】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図17】本実施例における撮影処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図18】本実施例における撮影処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図19】本実施例における測距に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図20】本実施例におけるマルチAF処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図21】本実施例におけるスポットAF処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
11 カメラ
13 撮影レンズ(撮影光学系)
18 パッシブAFモジュール
25 26 AFレンズ(結像レンズ)
27 28 ラインセンサ
29 30 量子化部
31 演算部
50 CPU(選択補正手段)
84 ROM(記憶手段)
L ラインチャート
o1 o2 パッシブAFモジュールの光軸
O 撮影レンズの光軸
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラに搭載した、外光を利用するパッシブ方式の自動焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】パッシブ方式の自動焦点検出装置(以下、AF装置と称する)を備えたレンズシャッタ式カメラでは、撮影光学系とファインダ光学系とAF装置の焦点検出光学系(測距光学系)とは、それぞれ別個に構成されている。このようなカメラにおいて、焦点検出光学系と、一列状に多数の受光素子を有し焦点検出光学系による同一の被写体に関する複数の被写体像を投影するラインセンサと、このラインセンサの検出データに基づき測距値を検出する演算部と、をユニット化したパッシブAFモジュールを搭載したものが知られている。このAFモジュールはその焦点検出光学系の光軸が、撮影光学系、ファインダ光学系それぞれの光軸と一致していない。
【0003】このようなカメラでは、AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって、焦点検出光学系の光軸と撮影光学系の光軸との間にパララックス生じることがある。この場合、パララックス量が比較的小さければ、調整を行なわずにそのまま組立てることも可能であるが、パララックス量が大きい場合には、パッシブAFモジュールそのものを機械的に左右に振ることによって調整する必要がある。
【0004】このような機械的調整を行なう場合には、パッシブAFモジュールを左右に振った後このAFモジュールが検出するデータを一旦チェックし、そのデータが基準値をクリアするまで、AFモジュールの振れ角度の調整及び検出データのチェックを繰り返さなければならず、作業が極めて煩雑である。
【0005】
【発明の目的】本発明は、従来のカメラにおける上記問題点に基づきなされたもので、カメラに搭載されるAFモジュールの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックスの調整を簡略化できるカメラの自動焦点検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】上記目的を達成するための本発明は、焦点距離が可変な撮影光学系;及び、この撮影光学系の光軸と一致しない光軸を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズと、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサとを備えたAFモジュール;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、上記AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって生じる、上記一対の結像レンズの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックス量を視差調整データとして記憶した記憶手段;及び、この記憶手段からの視差調整データに基づき、上記各ラインセンサをなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択する選択補正手段;を備えたことを特徴としている。
【0007】上記構成によれば、AFモジュールをカメラボディに対して機械的に左右に振った状態をソフト的に作り出すことが可能となるから、機械的な調整作業が要らなくなり、AFモジュールの撮影光学系に対するパララックスの調整が極めて簡単になる。
【0008】
【発明の実施例】以下図示実施例に基づいて本発明を説明する。図1は本発明を適用したカメラの正面面、図2は背面図、図3は平面図である。このカメラ11は、AF装置の焦点検出光学系、撮影レンズ、及びファインダ光学系それぞれの光軸が一致しないレンズシャッタ式カメラである。
【0009】同図に示されるように、カメラ11は、前部に、パワーズームレンズからなる撮影レンズ(撮影光学系)13、リモコン受光部14、セルフタイマが作動中であることを知らせるセルフランプ10、測光窓15、AF補助投光部16、ファインダ窓17、パッシブAFモジュール(AF装置)18及びストロボ発光部19を有し、後部に、ファインダ接眼窓24、メインスイッチ65、ズーミングレバー21及び裏蓋22を有している。またカメラ11の上部面には、レリーズ釦20と外部LCD表示部23が設けられ、この外部LCD表示部23の周囲に、ストロボスイッチ40、モードスイッチ41、デートスイッチ42、スポットAFスイッチ43及びドライブスイッチ45が設けられ、レリーズ釦20の後方にマクロスイッチ46が設けられている。上記デートスイッチ42は、外部LCD表示部23のデート表示パターンの変更、写し込みパターンの変更、及びデート修正モードの変更用のスイッチである。デートスイッチ42を3秒間押し続けることにより、該デート修正モードに入ることができる。
【0010】次に、本カメラ11における各種制御を実行するための制御系を、図4を参照して説明する。
【0011】カメラ11に搭載されたCPU50は、撮影に関する動作を統括的に制御するものであり、内部メモリに格納されたプログラムに従って各制御動作を実行する。
【0012】CPU50には、撮影レンズ13駆動用のズームモータ51を駆動するズームモータ駆動回路53、フィルムの巻上げ、巻戻しを行なうフィルムモータ52を駆動するフィルムモータ駆動回路54、赤ランプ12aと緑ランプ12bとセルフランプ10を駆動(点灯、点滅、消灯)するランプ駆動回路55が接続されている。赤ランプ12aはストロボ発光の可否を知らせ、緑ランプ12bはAFの可否を知らせるもので、両者ともファインダ視野近傍に設けられている。CPU50にはまた、各種表示を行なう外部LCD表示部23、ファインダ視野47にフォーカスフレームFa、Fb、Fc、Fd、fa、fb、fc、fd(図10参照)等の表示を行なうファインダLCD表示部57、ストロボ発光部19を駆動するためのストロボ回路58、パッシブAFモジュール18、AF補助投光部16、測光窓15内方のCds等の受光に基づき測光値を演算する測光回路62、及びサーミスタ等のセンサからの信号に基づきカメラ周辺の温度を検知する温度検知回路63が接続されている。
【0013】CPU50にはさらに、裏蓋スイッチ64、メインスイッチ65、テレスイッチ66、ワイドスイッチ67、パノラマスイッチ68、モードスイッチ41、ストロボスイッチ40、デートスイッチ42、ドライブスイッチ45、スポットAFスイッチ43、測光スイッチ74、レリーズスイッチ75、及びマクロスイッチ46が接続されている。この測光スイッチ74は、レリーズ釦20の半押し時にオンし、レリーズスイッチ75は、このレリーズ釦20の全押し時にオンするように構成されている。CPU50にはまた、フィルムパトローネからISO情報を読取るDX情報読取部77、撮影レンズ13のズーム情報を読取るレンズ情報読取部78、デートLEDドライバ回路79、フィルムの走行を検知するフィルム走行検知回路81、E2 PROM82、RAM83、及びROM84が接続されている。デートLEDドライバ回路79には、裏蓋22の内面に設けた、日時等をフィルムに露光するデートLED80が接続されている。デートLEDドライバ回路79は、このデートLED80に設けられた複数のLEDセグメントからなる7セグメントを、デートスイッチ42の操作によって選択された写し込みパターンに基づいて撮影の際に駆動(点灯、消灯)してフィルムに日時等を写し込む。
【0014】カメラ11に搭載された上記パッシブAFモジュール18は、図5に示すように、基線長だけ離して配置した一対のAFレンズ(結像レンズ)25、26と、各AFレンズ25、26による被写体像を結像させる一対のラインセンサ27、28とを備えている。これらラインセンサ27、28はそれぞれ、同一形状に構成され、撮影レンズ13の最大の画角を臨む大きさを持つように横方向に一列に配設された多数の受光素子(フォトダイオード)を有している。該ラインセンサ27、28から読み出される信号は、異なる画角内の被写体像を受光する、複数の異なる小受光領域毎の小セット信号として用いられる。
【0015】ここで、図6により、左右一対のラインセンサ27′、28′を用いた一般的な外光三角方式による測距(所謂三角測距)を説明する。同図において、距離(被写体距離)Lxに位置する物体Pが、左右のAFレンズ25′、26′によって左右のラインセンサ27′、28′上の点(像点)x1、x2にそれぞれ結像されたとする。被写体距離Lxは、基線長B、受光部間の距離x、各AFレンズ25′、26′の焦点距離f、ラインセンサ27′とAFレンズ25′の光軸が交わる点と点x1の間の距離XL、ラインセンサ28′とAFレンズ26′の光軸が交わる点と点x2の間の距離XRを用いれば次のように求まる。すなわち、B:(XL+XR)=Lx:fゆえにLx=Bf/(XL+XR)
=Bf/(x−B)
【0016】ところで、通常被写体は点ではなく広がりがあり、左、右ラインセンサ27′、28′上では二次元的な被写体像になるので、先のように像点x1、x2を直接検出できない。
【0017】そこで、左、右ラインセンサ27′、28′で得た一対の映像データを重ねたときに最も一致度が高くなる領域を、重ねる映像データ群を受光素子の並び方向に相対的にずらしながら検出し、最も一致度の高い位置における映像データ群の間隔を像点間隔xとして検出する。
【0018】本実施例において、上記ラインセンサ27、28の小セット信号を得るべき小受光領域の受光素子群の位置は、CPU50が、RAM83から読み出した焦点距離領域情報に対応させて変更する。この焦点距離領域情報は、ズームミング時にレンズ情報読取部78からの情報に基づきRAM83に書き込まれる。また、上記小受光領域の受光素子群の位置は、4段階のセット位置(図9参照)として各々ROM84に記憶されている。
【0019】具体的には、ラインセンサ27(28)は、128個の受光素子を一列状に有し、図8に示すように、中央部分の36個の受光素子からなる小受光領域を中央受光領域Cとし、左右それぞれ36個ずつの小受光領域を左受光領域L及び右受光領域Rとし、これら中央受光領域Cと左受光領域Lとを所定の関係でオーバーラップさせた小受光領域を受光領域LCとし、中央受光領域Cと右受光領域Rとを所定の関係でオーバーラップさせた小受光領域を受光領域RCとして設定されている。該受光領域LC、RCもそれぞれ36個ずつの受光素子からなっている。これら受光領域C、LC、RC、L、Rは即ち、128個の受光素子のうちから必要時に信号(小セット信号)を取り出すべき受光素子群を特定したもので、図7に示される被写体の受光可能エリアC′、LC′、RC′、L′、R′とそれぞれに対応する。
【0020】本実施例において、左右のラインセンサ27、28がそれぞれ5箇所ずつ有する受光領域C、LC、RC、L、Rを選択的に利用して行なう測距を以下マルチ測距と称し、また受光領域C、LC、RCを選択的に利用して行なう測距を以下スポット測距と称する。
【0021】図5に示されるように、ラインセンサ27、28のそれぞれには、同一の被写体に関する複数の被写体像が、対応するAFレンズ25、26を介して該センサ27、28上の異なる位置に投影される。このラインセンサ27、28に電荷として蓄積された受光光量はそれぞれ、量子化部29、30及び演算部31を介して電気信号(小セット信号)としてCPU50に送られる。
【0022】より詳細には、各量子化部29、30には、対応のラインセンサ27、28が有する受光素子の数と同数のコンパレータとラッチ装置(図示せず)が設けられており、ラインセンサ27、28の各受光素子に、対応のコンパレータとラッチ装置(図示せず)が接続されている。各受光素子に蓄積された電荷は対応のコンパレータとラッチ装置を介して量子化され、各ラインセンサ27、28の量子化データーは、演算部31を介して電気信号としてCPU50にシリアル送信される。CPU50は、各受光素子から得られた電気信号によるセンサデータの全部または一部のみを用いて測距演算を実行することができる。
【0023】すなわち、このCPU50は、RAM83から読出した撮影レンズ13の複数段の焦点距離領域に応じてROM84から読出した小受光領域の位置データに基づき、図9の(a)、(b)、(c)、(d)の受光領域位置から対応するものを選択し、その選択した受光領域からの小セット信号(距離情報)を演算部31から受け、この小セット信号に基づき測距演算を実行して測距値を求める。この測距値は、図6に示す像点間隔xに基づく値であり、被写体距離Lxが長ければ小さくなり、被写体距離が短ければ大きくなる。さらにCPU50は、この測距値から撮影レンズ13のフーカシングレンズの駆動量を求め、合焦動作時、CPU50に接続されたシャッターピント駆動回路59がこの駆動量だけフーカシングレンズを駆動する。
【0024】本カメラ11は、撮影者がマルチ測距を選択した場合には、レンズ情報読取部78(図4)を介して読み取られる撮影レンズ13の焦点距離を所定のピッチ毎に区切り、ワイド(広角)端からテレ(望遠)端までを第1〜第4の複数段の焦点距離領域に分割し、中央受光領域Cを中心とする各受光領域LC、RC、L、Rの該中央受光領域Cに対する相対位置を、ズーミングによる焦点距離の変化に応じて図9の(a)、(b)、(c)、(d)のように変更する制御を行なう。つまり、上述したようにCPU50は、ズーミングによって焦点距離が変化するときにRAM83に書き込まれる焦点距離領域情報に基づき、同図の(a)、(b)、(c)、(d)のように定められた小受光領域の受光素子群の位置を、第1〜第4の焦点距離領域に対応させて選択する。なお、この選択時に、小受光領域の受光素子群の位置は変わるが、受光素子群毎の素子数は36個であり、常に変わらない。
【0025】他方、図10に示すように、ファインダ視野47内に観察されるファインダLCD表示部57には、ワイド端からテレ端において、マルチ測距時の図9の(a)、(b)、(c)、(d)にそれぞれ対応する左右で一対のフォーカスフレームFa、Fb、Fc、Fdが設けられている。またこのフォーカスフレームFaの内方には、スポット測距時に使用されるフォーカスフレームfa、fb、fc、fdが設けられている。
【0026】マルチ測距時、フォーカスフレームは、ラインセンサ27、28における各受光領域がズーミングに伴って図9の(a)、(b)、(c)、(d)の順に変化するとき、Fa、Fb、Fc、Fdの順に点灯、消灯を繰り返す。またスポット測距時、フォーカスフレームは、ラインセンサ27、28における受光領域C、LC、RCがズーミングに伴って図9の(a)、(b)、(c)、(d)の順に変化するとき、fa、fb、fc、fdの順に点灯、消灯を繰り返す。即ち、変化する撮影レンズ13の焦点距離に応じて、フォーカスフレームをテレ側では広くしワイド側では狭くするのである。これにより、図9の小受光領域位置の切換えだけでは解消しきれない、ラインセンサ27、28上の受光領域とフォーカスフレームの大きさのずれを補償し、現在の焦点距離における実際の受光領域の広さを撮影者に実感させることができる。
【0027】次に、本発明の特徴である、カメラに搭載されたパッシブAFモジュール18と撮影レンズ13との間のパララックス量を補正する構成について、図11〜図13を参照して説明する。
【0028】カメラボディに固定されたパッシブAFモジュール18は、図11に示されるように、理想的には撮影レンズ13の光軸Oと平行になるべきAFレンズ25、26の光軸(基準光軸)o1 (便宜上1本で表わす)が、機械的な位置ずれによって、o2 で示されるようにある角度だけずれることがある。本自動焦点検出装置は、これによるAFモジュール18と撮影レンズ13との間のパララックス量を予め測定してROM84にカメラ固有のデータとして記憶しておき、CPU50により該データに基づき各ラインセンサ27、28をなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択し、AFモジュール18を左右に振った状態をソフト的に作り出すものである。なお、カメラ11のファインダ光軸は、撮影レンズ13の撮影光軸Oと略平行とされている。
【0029】すなわち、図12に示されるように、ラインセンサ27(28)による受光データは、AFモジュール18の光軸が図11のo1 のように理想的な状態であればデータAとして出力図の中央部に出力されるが(図12参照)、実際には光軸は同図o2 のようにある角度ずれているため、受光データは図12のデータBとして中央部からずれて出力される。本自動焦点検出装置は、AFモジュール18をカメラボディに固定したときに生じる上記パララックス量、つまりデータBを出力する小受光領域がデータAを出力する小受光領域から左右方向に何ビット分(±α)ずれているかに関する位置変位量を、視差調整データ(以下、視差調整量という)としてROM84に記憶しておき、ラインセンサ27、28による受光領域の位置をこの視差調整量±α分だけシフトさせた状態で測距するものである。言い換えると、本来なら図12の一点鎖線cで示す位置にあるべきラインセンサ27(28)のセンターを、c′の位置に所定ビット分シフトさせた状態で測距するということである。
【0030】なお、上記視差調整量±αの測定は、図11に示されるように、カメラ11を、基準位置を示すラインチャートLに仮想の基準光軸o1 を合わせてセットした状態で行なわれる。
【0031】上記視差調整量±αを用いたパララックスの補正を実現させるため、本実施例におけるラインセンサ27、28の受光素子数は、実際には、左右に余裕が出るように128個より多くされている(図13参照)。図13の(a)において、ラインセンサ27(28)の左右の斜線部分は、パッシブAFモジュール18の機械的な位置ずれから考えられる最大視差調整量±α分の空き領域を予め確保したものである。
【0032】次に、上記回路構成を有するカメラの動作シーケンスについて、図14〜図21に示したフローチャートを参照して説明する。該動作は、ROM84に記憶されたプログラムに従い、CPU50によって実行される。
【0033】先ず、メインスイッチ65がオンされて各回路に電源が供給されると、図14に示したメインルーチンに入る。このメインルーチンでは、先ず測光スイッチ74等の各スイッチ類からの情報を入力する(ステップS1)。そして、裏蓋スイッチ64のオンオフをチェックし(S2)、該スイッチ64がオフされていれば裏蓋22が閉じていると判断してS3に進み、該スイッチ64がオンされていれば裏蓋22が開放していると判断してS4に進む。S4では、ローディングが終了したか否かをチェックし、ローディングが終了されればS3に進み、そうでなければ“ローディング処理”のサブルーチンに入ってフィルムのローディングを実行する。
【0034】S3では、レンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がレンズ収納位置にあるか否かをチェックし、撮影レンズ13が収納位置にあればS7に進み、そうでなければS6に進む。S7では、メインスイッチ65がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればカメラ11の初動時であると判断して“レンズワイド移動処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、撮影レンズ13をワイド端即ち撮影開始位置に駆動する。また、メインスイッチ65がオンからオフされれば、“パワーダウン処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。
【0035】S6では、メインスイッチ65がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればカメラ11の初動時であると判断して、デート修正を解除する。すなわち、デートスイッチ42を3秒間押し続けてデート修正モードに入った状態において(デート修正中)、デート修正を中断(解除)し、修正されたデートを外部LCD表示部23に表示する。またデート修正中でないならば、デート修正が解除されたままで(現状のままで)、デート表示を行なう。その後、“レンズ収納処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S11、S12)。また、メインスイッチ65がオフからオンされなければ、ズーミングレバー21の操作によってテレスイッチ66がオンオフいずれの状態に作動されたかをチェックする(S10)。この結果、テレスイッチ66がオンされればさらに、デートスイッチ42を3秒間押し続けてデート修正モードに入っている状態(デート修正中)か否かをチェックし(S14)、そうでなければS13に進む。
【0036】S14において、デート修正中であれば、修正内容を加算するための“修正加算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければレンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がテレ端にあるか否かをチェックする(S15)。“修正加算処理”は、テレスイッチ66がオンされたときデート修正中である場合に、S52の“デート修正位置変更処理”で設定された修正箇所を加算することによってデート表示を修正するためのサブルーチンである。
【0037】S15において、撮影レンズ13がテレ端にあれば、さらにワイドスイッチ67がオンオフいずれの状態にあるかをチェックし(S13)、撮影レンズ13がテレ端になければさらにレンズ情報読取部78からのズーム情報に基づき、撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックする(S17)。マクロ位置にあれば、“テレ端移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置からテレ端に移動させ、マクロ位置になければ、“テレズーム処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置以外からテレ端に向けて移動(ズーミング)させる(S18、S19)。
【0038】S13では、ズーミングレバー21の操作によってワイドスイッチ67がオンオフいずれの状態に作動されたかをチェックし、オンされればさらにデート修正中か否かをチェックし(S20)、そうでなければS26に進む。S20において、デート修正中であれば、“修正減算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S22)、そうでなければさらに、撮影レンズ13がワイド端にされているか否かをチェックする。この結果、撮影レンズ13がワイド端にされていればS26に進み、そうでなければS23に進む。“修正減算処理”は、ワイドスイッチ67がオンされた状態において、例えば外部LCD表示部23上に表示された95_ 2_ 3の“3”を他の“2”等に修正するためのサブルーチンである。
【0039】S23では、撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックし、マクロ位置にあれば“テレ端移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置からテレ端に移動させ、マクロ位置になければ“ズームワイド処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置以外からワイド端に向けて移動(ズーミング)させる(S24、S25)。S26では、マクロスイッチ46のオンオフをチェックし、該スイッチ46がオンされればさらに撮影レンズ13がマクロ位置にあるか否かをチェックし(S28)、該スイッチ46がオンされなければS27に進む。S28において、撮影レンズ13がマクロ位置にあればS27に進み、そうでなければ“マクロ移動”のラベルで始まるサブルーチンに入って撮影レンズ13をマクロ位置に向けて移動させる(S29)。
【0040】S27では、ドライブスイッチ45がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS31に進み、そうでなければS30に進む。S31では、デート修正中か否かをチェックし、デート修正中であればリターンし、そうでなければ“ドライブ設定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S32)。そしてこのサブルーチンを抜けた後、ドライブスイッチ45のオンオフをチェックし、該スイッチ45がオフされればリターンし、オンされればタイマーが所定時間である3秒をタイムアップしたか否かチェックする。この結果、タイムアップされればS35に進んでレリーズスイッチ75のオンオフをチェックし、そうでなければS33を繰り返す。S35において、レリーズスイッチ75がオンされれば、“レンズワイド移動処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、さらに“巻戻し処理”のラベルで始まるサブルーチンに入ってフィルムを巻戻す。
【0041】S30では、モードスイッチ41がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS38に進み、そうでなければS40に進む。S38では、デート修正中であるか否かをチェックし、修正中であればリターンし、そうでなければ“モード設定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。S40では、ストロボスイッチ40がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS42に進み、そうでなければS41に進む。
【0042】S42では、デート修正中であるか否かをチェックし、修正中であればリターンし、そうでなければS43に進む。S43では、モードスイッチ41によってストロボ非発光モードにセットされたか否かをチェックし、セットされればプリ発光の設定を反転させ(S44)、そうでなければリターンする。
【0043】デート修正中に、外部LCD表示部23上のデート表示が例えば95_ 2_ 3と表示されているとき、デートスイッチ42をオフからオンすることにより、修正位置を例えば“3”に合わせ、テレスイッチ66をオンすることでこの“3”を“4”に修正することができる。この場合、先ず、デートスイッチ42がオフからオンされたか否か、デート修正中であるか否かをチェックし、デート修正中であれば“修正位置変更処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければ、デート設定インクリメントを実行し、“デート表示処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S41、S46〜S48)。そして“デート表示処理”のサブルーチンから抜けた後、デートスイッチ42のオンオフをチェックし、該スイッチ42がオフされればリターンし、オンされれば、タイマーが所定時間の3秒をタイムアップしたか否かチェックする(S49、S50)。そして3秒タイマーがタイムアップされれば、デート修正に関する初期セットを実行してリターンし、タイムアップされなければS49を繰り返す。
【0044】S45では、測光スイッチ74がオフからオンされたか否かをチェックし、オフからオンされればS54に進み、そうでなければS53に進む。S54では、ローディングにエラーがあるか否かをチェックし、エラーがあればS53に進み、そうでなければ、巻戻しが終了したか否かをチェックする(S55)。そして、巻戻しが終了されればS53に進み、そうでなければ“撮影処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、さらにこのサブルーチンを抜けた後S53に進む(S56)。
【0045】S53では、ストロボの充電要求があったか否かをチェックし、要求があれば“ストロボ充電処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、そうでなければ“パワーダウン処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S57、S58)。
【0046】次に、上記ステップS56で示した“撮影処理”サブルーチンについて、図17、図18を参照して説明する。このサブルーチンに入ると、先ず、装填したフィルムパトローネからDX情報読取部77を介してISO等を読み取り、バッテリーの蓄電量をチェックして、NGがあるか否かをチェックする(S60〜S62)。そして、NGがあればリターンし、そうでなければ“測距”のラベルで始まるサブルーチンに入る(S63)。そしてこのサブルーチンを抜けた後、測光回路62による測光演算を実行し、自動露出に関するAE演算を実行する(S64、S65)。
【0047】S67では、撮影に使用できる測距値が演算されたか否か(測距演算上のエラーの有無)をチェックし、測距値が存在しない(エラーがある)場合には緑ランプ12bを点滅させて撮影者に合焦不能であることを知らせ(S71)、測距値が存在する(エラーがない)場合には、その値が合焦不能なほどの近距離にあるか否かをさらにチェックする(S68)。この結果、被写体が合焦不能なほどの近距離にあるのであれば緑ランプ12bを点滅させて撮影者にその旨を知らせ(S71)、そうでなければ緑ランプ12bを点灯させて撮影者に合焦可能であることを知らせる(S69)。
【0048】S70では、ストロボ発光させるか否かをチェックし、ストロボを発光させると判断されれば、FM(フラッシュマチック)演算を実行した後、ストロボの充電がOKか否かをチェックする(S72、S73)。そして、充電OKであればランプ駆動回路55を介して赤ランプ12aを点灯させ(S75)、そうでなければ赤ランプ12aを点滅させる(S74)。
【0049】S76において、“スイッチ入力”のラベルで始まるサブルーチンに入って各種スイッチのデータを入力した後、S77においてレリーズスイッチ75のオンオフをチェックする。そして、レリーズスイッチ75がオンされればS78に進み、そうでなければS79に進む。S79では、測光スイッチ74のオンオフをチェックする。測光スイッチ74がオンされればS76に戻って、“スイッチ入力”サブルーチンとレリーズスイッチ75のオンオフチェックとを繰り返し、そうでなければ点灯または点滅していた赤ランプ12aと緑ランプ12bを消灯させる。
【0050】S78では、ドライブスイッチ45によってセルフモードにセットされたか否かをチェックし、セットされれば“セルフウェイト処理のラベルで始まるサブルーチンに入り(S81)、そうでなければリターンする。この“セルフウェイト処理”は、セルフタイマー撮影時にレリーズ釦20を押した数秒後にシャッタを切るためのサブルーチンである。“セルフウェイト処理”サブルーチンを抜けた後、S82において、セルフタイマー撮影による時間待ちが中断されたか否かをチェックし、中断されればリターンし、そうでなければS83に進む。
【0051】S83では、セルフランプ12cを点灯させ、緑ランプ12bと赤ランプ12aを消灯させる。そして、撮影レンズ13のフォーカシングレンズを所要の位置に駆動し、セルフランプ12cを消灯させ、図示しないシャッタ機構を駆動して露光を実行し、撮影後のフィルムを1コマ巻き上げる(S84〜S87)。ここで、巻戻しは自動にセットされているか否かをチェックし、自動にセットされていれば巻戻しを実行し(S88、S89)、そうでなければリターンする。
【0052】次に、上記ステップS63で示した“測距”サブルーチンを、図19を参照して説明する。先ず、CPU50は、パッシブAFモジュール18からの検出センサデータと、カメラ11の製造段階で予め測定されてROM84に記憶された視差調整量±αとを入力する(S90、S91)。そして、実行すべき測距形態はマルチ測距であるか否かをチェックし(S92)、マルチ測距を行なうのであれば“マルチAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S94)、そうでなければS93に進む。
【0053】S93では、実行すべき測距形態はスポット測距であるか否かをチェックし、スポット測距を行なうのであれば“スポットAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S95)、そうでなければS96に進んで“マクロAF処理”のラベルで始まるサブルーチンに入る。
【0054】次に、上記ステップS94の“マルチAF処理”サブルーチンを、図20を参照して説明する。撮影レンズ13のズーミング位置と対応する、後述の各受光領域C、LC、RC、L、Rの位置を示すセンサスタートNO. “DIV 0〜DIV 3”(上記焦点距離領域情報)は、S10、S13、S26等のズーム処理時にレンズ情報読取部78からの情報に基づきRAM83に書き込まれる。
【0055】“マルチAF処理”サブルーチンは、マルチ測距が選択された場合に、上記センサスタートNO. DIV 0〜DIV 3と、ROM84にテーブルデータとして記憶された、焦点距離領域に対応する小受光領域の位置に関するデータとに基づき決定した各受光領域C、LC、RC、L、Rにおいてデフォルト(測距NG即ち測距不能状態を意味する)の有無を判定し、デフォルトのない受光領域での測距値のうち合焦可能範囲内における最も近距離側の値を選択して測距に用いるためのものである。このサブルーチンに入ると、先ず、S97において、受光領域のセンサスタートNO. をRAM83から読み出し、これがDIV 0(図9の(a) )であるか否かをチェックする。そしてCPU50は、センサスタートNO. がDIV 0であると判断すると、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 0に関する情報C_DIV 0、LC_DIV0、RC_DIV0、L_DIV 0、R_DIV 0を読込む(S99)。
【0056】そしてS100において、ROM84からの視差調整量±αを読み込み、この視差調整量±αに基づき、上記センサスタートNO. DIV 0に関する情報C_DIV 0、LC_DIV0、RC_DIV0、L_DIV 0、R_DIV 0を補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 0±α〜C_DIV 0±α+ N-1とし(Nは各受光領域C、LC、RC、L、Rにおける規定受光素子数(本実施例では36))、受光領域LCを、LC_DIV0±α〜LC_DIV0±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV0±α〜RC_DIV0±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 0±α〜L_DIV 0±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 0±α〜R_DIV 0±α+ N-1 と定める。
【0057】パッシブAFモジュール18の演算部31は、CPU50の信号に基づき、これら決定された各受光領域に位置する受光素子からのセンサデータを該CPU50に向けて順々に送る。例えば図9において、CPU50が右受光領域Rとして、128個の受光素子の右から9±α番目のセンサデータから必要としているとき、CPU50からセンサスタートNO. に関する情報9±α〜9±α+N−1の信号を受けた演算部31は、9±α番目から「9±α+36−1」番目までのセンサデータを順々にCPU50に送信する。そしてCPU50は、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンで、上記センサデータに基づき、各領域におけるデフォルト(測距NG)の有無の判定を行なう。
【0058】S97において、センサスタートNO. はDIV 0ではないと判断すれば、S98に進み、センサスタートNO. はDIV 1(図9の(b) )であるか否かをチェックする。そしてDIV 1であると判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 1に関する情報C_DIV 1、LC_DIV1、RC_DIV1、L_DIV 1、R_DIV 1を読込む(S102)。
【0059】そしてS103において、S100と同様に、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 1±α〜C_DIV 1±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV1±α〜LC_DIV1±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV1±α〜RC_DIV1±α+N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 1±α〜L_DIV 1±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 1±α〜R_DIV 1±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0060】またS98において、ROM84に書き込まれた受光領域のセンサスタートNO. はDIV 1ではないと判断すれば、S101に進んで、センサスタートNO. はDIV 2(図9の(c) )であるか否かをチェックする。そしてDIV 2であると判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 2に関する情報C_DIV 2、LC_DIV2、RC_DIV2、L_DIV 2、R_DIV 2を読込む(S104)。
【0061】そしてS105において、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 2±α〜C_DIV 2±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV2±α〜LC_DIV2±α+N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV2±α〜RC_DIV2±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 2±α〜L_DIV 2±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 2±α〜R_DIV 2±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0062】またS101において、センサスタートNO. はDIV 2ではないと判断すれば、ROM84に記憶されたセンサスタートNO. DIV 3(図9の(d) )に関する情報C_DIV 3、LC_DIV3、RC_DIV3、L_DIV 3、R_DIV 3を読込む(S106)。
【0063】そしてS107において、上述同様、ROM84からの視差調整量±αに基づき補正して、各受光領域の位置を次のように決める。即ち、中央受光領域Cを、C_DIV 3±α〜C_DIV 3±α+ N-1 とし、受光領域LCを、LC_DIV3±α〜LC_DIV3±α+ N-1 とし、受光領域RCを、RC_DIV3±α〜RC_DIV3±α+ N-1 とし、左受光領域Lを、L_DIV 3±α〜L_DIV 3±α+ N-1 とし、右受光領域Rを、R_DIV 3±α〜R_DIV 3±α+ N-1 と定めて、S108の“各領域デフォルト判定処理”のサブルーチンに入る。
【0064】S108では、撮影レンズ13の焦点距離に対応して選択された受光領域においてデフォルト(測距不能状態)があるか否かを判定する。この判定に基づき、例えば選択された小受光領域のうちでデフォルトがない領域にフラグを立てる。この処理の後、“各領域測距演算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り(S109)、各受光領域における測距値を演算する。ここで、各受光領域における測距値が大きい程、被写体は近距離側に位置することとなる。そして、この測距値に基づいて、どの測距領域のデータを用いるかの選択処理を行ない(S110)、リターンする。
【0065】次に、S95の“スポットAF処理”サブルーチンを、図21を参照して説明する。“スポットAF処理”サブルーチンは、スポット測距が選択された場合に、撮影に使用する焦点距離における各受光領域の位置を視差調整量±αだけシフトして決定し、シフト後の各受光領域C、LC、RCにおいてデフォルト(測距NG)の有無を判定し、デフォルトのない受光領域での測距値のうち合焦可能範囲内における最も近距離側の値を選択して測距に用いるためのものである。
【0066】このサブルーチンに入ると、先ずS111において、ラインセンサ27、28における各基準測距領域を、ROM84から読出した視差調整量±αの分だけシフト調整し、これをスポット測距時の各測距領域として決める。そして、“各領域デフォルト判定処理”のラベルで始まるサブルーチンに入り、各受光領域C、LC、RCにおけるデフォルトの有無の判定を行なった後、“測距演算処理”のラベルで始まるサブルーチンに入って、受光領域C、LC、RCを用いた測距演算を行なう(S112、S113)。
【0067】そしてS114において、中央受光領域Cにおけるデフォルトの有無をチェックし、デフォルトがなければ、この領域Cを用いて演算した測距値を、撮影に使用する測距値として選択する。またS114において中央受光領域Cにデフォルトがあれば、さらに受光領域LC、RCの双方にデフォルトがあるか否かをチェックし、受光領域LC、RC双方にデフォルトがあれば測距値なし(測距不可)としてリターンし(S117)、そうでなければS118に進む。
【0068】S118では、受光領域LC、RCの双方にデフォルトがないか否かをチェックし、双方共にデフォルトがなければ受光領域LC、RCそれぞれのデータを用いて演算した測距値のうちの近距離側のものを撮影に使用し(S120)、そうでなければS119に進む。
【0069】S119では、受光領域LCにデフォルトがあるか否かをチェックし、この領域LCにデフォルトがあれば受光領域RCのデータを用いて演算した測距値を撮影に使用し(S122)、そうでなければ受光領域LCのデータを用いて演算した測距値を撮影に使用する(S121)。
【0070】このように本カメラの自動焦点検出装置によれば、ズーミングに伴い変化する複数段に区切った焦点距離領域と対応する各受光領域L、LC、RC、L、Rの位置を常に視差調整量±αだけシフトさせた状態、つまりカメラボディに固定するときのパッシブAFモジュール18の機械的な位置ずれによって生じる焦点検出光学系の光軸o2 と撮影レンズ13の光軸Oとの間のパララックスをソフト的に調整した状態で測距する。このように、パッシブAFモジュール18をカメラボディに対して左右に振った状態をソフト的に作り出すことができるから、パッシブAFモジュール18をカメラボディに対して実際に動かして行なう機械的な調整作業は、一切要らなくなる。従って、カメラ11に搭載されるパッシブAFモジュール18の撮影レンズ13に対するパララックスの調整を簡略化させることができる。
【0071】なお、本実施例では、焦点距離が可変な撮影光学系としてズームレンズ(撮影レンズ13)を用いたが、本発明はこれに限られない。すなわち、撮影光学系をズームレンズに代えて多焦点レンズから構成することができる。その場合、ラインセンサ27、28の小セット信号を得るべき小受光領域の受光素子群の位置は、この多焦点レンズによって切換え可能な各焦点距離のそれぞれに対応させて設定することができる。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、AFモジュールを左右に振った状態をソフト的に作り出すことができるから、機械的な調整作業は要らなくなる。よって、カメラに搭載されるAFモジュールの撮影光学系に対するパララックスの調整を簡略化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したカメラの実施例を示す正面図である。
【図2】同カメラの背面図である。
【図3】同カメラの平面図である。
【図4】本実施例の制御系を示すシステムブロック図である。
【図5】本実施例のパッシブAFモジュールの構造を示す概略図である。
【図6】一対のラインセンサを用いた一般的な外光三角方式による測距を説明するための概略図である。
【図7】本実施例のパッシブAFモジュールの構造を示す概略図である。
【図8】同パッシブAFモジュールに用いられるラインセンサに設定された小受光領域を示す図である。
【図9】複数段に分割した撮影レンズの焦点距離領域とそれぞれ対応するラインセンサの小受光領域の位置を示す図である。
【図10】撮影レンズの焦点距離変化に応じて範囲が変わるフォーカスフレームを示す図である。
【図11】本カメラにおけるパッシブAFモジュールの光軸のずれを説明するための概略図である。
【図12】光軸が基準光軸からずれた場合のパッシブAFモジュールのデータ出力を示す図である。
【図13】基準受光領域と該基準受光領域を視差調整量に基づきシフトさせたときの受光領域を説明するための図である。
【図14】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図15】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図16】本実施例におけるメイン処理を示すフローチャート図である。
【図17】本実施例における撮影処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図18】本実施例における撮影処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図19】本実施例における測距に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図20】本実施例におけるマルチAF処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図21】本実施例におけるスポットAF処理に関するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
11 カメラ
13 撮影レンズ(撮影光学系)
18 パッシブAFモジュール
25 26 AFレンズ(結像レンズ)
27 28 ラインセンサ
29 30 量子化部
31 演算部
50 CPU(選択補正手段)
84 ROM(記憶手段)
L ラインチャート
o1 o2 パッシブAFモジュールの光軸
O 撮影レンズの光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焦点距離が可変な撮影光学系;及び、この撮影光学系の光軸と一致しない光軸を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズと、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサとを備えたAFモジュール;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、上記AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって生じる、上記一対の結像レンズの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックス量を視差調整データとして記憶した記憶手段;及び、この記憶手段からの視差調整データに基づき、上記各ラインセンサをなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択する選択補正手段;を備えたことを特徴とするカメラの自動焦点検出装置。
【請求項2】 請求項1において、上記視差調整データは、各ラインセンサの受光素子群からなる受光領域の基準受光領域に対する位置変位量であり、この位置変位量を、上記記憶手段であるROMに記憶したカメラの自動焦点検出装置。
【請求項1】 焦点距離が可変な撮影光学系;及び、この撮影光学系の光軸と一致しない光軸を有し互いに基線長だけ離して配置した一対の結像レンズと、各結像レンズによる被写体像が結像する一対のラインセンサとを備えたAFモジュール;をカメラボディに備え、各ラインセンサが受光した被写体像によるデータに基づき測距演算するカメラの自動焦点検出装置において、上記AFモジュールをカメラボディに固定したときの機械的な位置ずれによって生じる、上記一対の結像レンズの光軸と撮影光学系の光軸との間のパララックス量を視差調整データとして記憶した記憶手段;及び、この記憶手段からの視差調整データに基づき、上記各ラインセンサをなす多数の受光素子から測距演算に用いるべき受光素子群を選択する選択補正手段;を備えたことを特徴とするカメラの自動焦点検出装置。
【請求項2】 請求項1において、上記視差調整データは、各ラインセンサの受光素子群からなる受光領域の基準受光領域に対する位置変位量であり、この位置変位量を、上記記憶手段であるROMに記憶したカメラの自動焦点検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【図18】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図11】
【図18】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開平8−292367
【公開日】平成8年(1996)11月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−35141
【出願日】平成8年(1996)2月22日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
【公開日】平成8年(1996)11月5日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)2月22日
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
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