説明

カメラシステム

【目的】この発明のカメラシステムにあっては、複数の電子中間リングを識別して誤動作を防止するために、電子中間リング内にナンバリング用の端子を備え、装着時にナンバリングを行ってそのナンバに応じたタイミングで長さ、種別をボディに送信して加算した後返信することを特徴とする。
【構成】このカメラシステムは、通信機能を有して、カメラボディ10とレンズユニット40の間に、中間リングとして第1及び第2の電子ベローズ20、30を装着している。各ユニットは、ナンバリング用と中間筒長検出用の兼用接点102、203、204、303、304、402を有している。また、第1及び第2の電子ベローズ20、30には、カメラボディ10側からの制御により、自らの識別信号を記憶すると共に、この識別信号に対応したタイミングでデータを出力するBEL1CPU21及びBEL2CPU31を設けている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、交換レンズとカメラボディの間に近接撮影用の中間筒を装着可能なカメラシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一眼レフレックスカメラを使用しての接写撮影や拡大撮影は、カメラボディと撮影レンズとの間に遮光された中間リングを挿入して行っている。そして、例えば本件特許出願人が先に出願した特願平5−106763号には、フォトカプラ等により出力される積算パルスカウントにより中間リング長を検出して、倍率等を演算、表示するという技術が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した技術では、複数の電子中間リングをカメラボディに装着した場合、自らの長さのみが中間筒長として誤った表示がなされるという課題を有していた。また、他の種類の中間リング、例えばテレコンバータ、ワイドコンバータ、マクロコンバータ等が装着されると、やはり誤った表示がなされるという課題を有していた。
【0004】この発明は上記課題に鑑みてなされたもので、複数の電子中間筒を用いても、誤った表示をすることなく使用可能なカメラシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、カメラボティと、このカメラボディに着脱自在にされる撮影レンズ鏡筒と、上記カメラボディと撮影レンズ鏡筒との間に挿入自在に構成された中間リングと、この中間リングに設けられ、カメラボディ側からの制御により、自らの識別信号を記憶する記憶手段と、上記中間リングに設けられ、上記識別信号に対応したタイミングでデータを出力するデータ出力手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
【作用】この発明のカメラシステムにあっては、カメラボディに着脱自在の撮影レンズ鏡筒が装着され、上記カメラボディと撮影レンズ鏡筒との間に挿入自在に構成された中間リングが装着される。また、この中間リングには、カメラボディ側からの制御により、自らの識別信号を記憶する記憶手段と、上記識別信号に対応したタイミングでデータを出力するデータ出力手段とが設けられている。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1は、この発明のカメラシステムの第1の実施例の構成を示したものである。図1に於いて、10はカメラボディであり、このカメラボディ10には中間リングとしての第1及び第2の電子ベローズ20及び30と、レンズユニット40が装着されている。
【0008】カメラボディ10内は、ボディの制御を行うボディCPU(BCPU)11と、このBCPU11に接続されたデータ通信用の電気接点群101及び兼用接点102を備えている。
【0009】電子ベローズ20内には、ベローズCPU(BEL1CPU)21を有している。そして、このBEL1CPU21には、LCD表示器22、長さに対応したデジタルコードを出力するコード板23、アナログスイッチ24、25及びインバ―タ26が接続されている。また、この電子ベローズ20には、データ通信用電気接点201、202と、兼用接点203、204が設けられている。これにより、上記した特願平5−106763号で述べられているようなマクロ情報の演算・表示が可能となっている。
【0010】電子ベローズ30内には、上記電子ベローズ20と同様の構成が設けられている。すなわち、ベローズCPU(BEL2CPU)31、LCD表示器32、コード板33、アナログスイッチ34、35、インバ―タ36、及びデータ通信用電気接点301、302、兼用接点303、304が備えられている。
【0011】更に、レンズユニット40内には、レンズ制御用のレンズCPU(LCPU)41と、このLCPU41に接続された超音波モータ(USM)駆動回路42と、超音波モータ(USM)43と、撮影レンズ44が備えられている。また、レンズユニット40内には、データ通信用接点群401と、USM基本パルス用及び電子中間リングナンバリング用の兼用接点402が設けられている。尚、USM駆動回路42は、本件特許出願人の先の出願による特願平4−150929号に記載されている構成のようなものであり、ここでの説明は省略する。
【0012】次に、図2のタイムチャート及び図3のフローチャートを参照して、上記各ユニット装着後のナンバリング動作について説明する。先ず、各ユニット(電子ベローズ20、30、レンズユニット40)がTM1にて、カメラボディ10に装着されると、自動的にアナログスイッチ25、35がオフされ、アナログスイッチ24、34がオンされる。また、端子P22、P32は“L(ローレベル)”となる。そして、BCPU11が端子P11を“H(ハイレベル)”にする(ステップS1a)。すると、これは端子P21としてBEL1CPU21に伝達される。
【0013】ここで、シフトコマンドが全く発せられないのに端子P21が“H”になったので、BEL1CPU21は、自らが最もカメラボディ10に近い電子中間リングであると認識し、TM2にて自らをナンバ1と記憶する(ステップS1b)。
【0014】次に、TM3にて、BCPU11から通信ラインにシフトコマンドが発せられると(ステップS2a)、現在端子P21が“H”であるBEL1CPU21は、端子P22に“H”をシフト出力する(ステップS2b)。すると、端子P31も“H”となり、1回シフトコマンドが発生された後であったため、TM4にてBEL2CPU31は自らをナンバ2と記憶する(ステップS1c)。
【0015】そして、TM5に於いて、2回目のシフトコマンドが発生し(ステップS3a)、BEL2CPU31は、端子P32に“H”をシフト出力する(ステップS2c)。ここで、もう1つの電子中間リングが存在するならば、そのリングがナンバ3となる。
【0016】以上でナンバリング動作が終了する。尚、上記した端子P11、P22、P31、P32等の波形は、図2に示されるようになっている。次に、その後のデータ通信について説明する。
【0017】データ通信コマンドがカメラボディ10から終了されると(ステップS4a)、レンズユニット40からのクロックに同期してシリアル通信が開始される(ステップS5a、S3b、S3c、S1d)。この通信は全データ長が固定であり、所定のタイミングで対応するナンバのユニットが対応するデータを出力する。
【0018】図4はそのタイムチャートを示したものである。先ず、所定のバイト数分、レンズ固有データが出力される(data n、data n+1等)。そして、mバイト目から3バイトは、直列接続された電子中間リングの識別コードに割当てられており、data mには最もカメラボディ10に近い電子リングである電子ベローズ20の識別コードが現れる。このコードは、LSB先頭で、上位4ビットが種別、下位4bitが同一種別の中のタイプNo.であり、その識別は図5に示されるように決定されている。
【0019】同様に、data m+1には電子ベローズ30の識別コード、data m+2には、存在すれば3番目の電子中間リングの識別コードが現れる。一方、data m+3からは、それぞれのユニットのデータ、例えば中間筒長等が出力される。そして、これらの出力及び各中間ユニットの識別コードを参照して、中間筒長の全てをカメラボディ10内で算出し、通信ラインに出力する。各電子ベローズは、この全中間筒長を受信して中間筒長とし、マクロ関係の演算・表示を行う(ステップS4b、S4c)。
【0020】ナンバリング等の上記動作が完了した後は、USM用のパルス出力端子に兼用接点を切換えるため、アナログスイッチ24、34がオフにされ、アナログスイッチ25、35がオンにされる。
【0021】このように、第1の実施例によれば、複数の電子ベローズを用いても正しく表示をすることができる。加えて、端子の兼用によって接点が減少するので、信頼性も向上する。
【0022】更に、上記第1の実施例に於いては、電子リングを3つまで使用するように述べたが、システムを構成する場合に異なる個数であってもよい。また、ナンバリング用端子はUSMパルス用端子と兼用しなくてもよく、他の端子と兼用してもよい。尚、電子ベローズ長はコード板以外の方法で検出してもよく、データ通信も他の形式で行ってもよい。
【0023】また、中間筒長を加算するのはカメラボティ以外の何れユニットであってもよい。次に、この発明の第2の実施例について説明する。
【0024】図6は、この発明のカメラシステムの第2の実施例の構成を示したものである。この第2の実施例によるカメラシステムは、カメラボディ10と、中間リング50と、電子ベローズ20と、テレコンバータ60と、レンズユニット40で構成される。
【0025】カメラボティ10′内には、BCPU11と、このBCPU11に接続されたA/Dコンバータ12と、定電圧源13に接続された分圧用固定抵抗器14を有している。また、上記BCPU11には、インバータ15、アナログスイッチ16、17、通信用接点群101、兼用接点102が備えられている。
【0026】中間リング50には、長さに比例した固定抵抗器51の他、通信用電気接点群501、502と、兼用接点503、504が備えられている。電子ベローズ20は、図1に示されて上述した第1の実施例の電子ベローズ20と同一であるので説明は省略する。
【0027】テレコンバータ60内には、テレコンバータCPU(TCCPU)61と、焦点距離変換用のテレコンバータレンズ62と、インバータ63、アナログスイッチ64、65、通信用接点群601、602、兼用接点603、604が備えられている。すなわち、第1の実施例の電子ベローズ30とほぼ同じ構成であるが、CPUがTCCPU61であること、テレコンバータレンズ62とが備えられていること、長さ検出部材がないこと等が異なっている。
【0028】レンズユニット40′には、LCPU41と、撮影レンズ44と、アナログスイッチ45と、データ通信用接点群401、CPU非内蔵の中間リング長検出用及び電子中間リングナンバリング用兼用接点402が設けられている。
【0029】次に、ナンバリングの動作について説明する。この第2の実施例の動作は、第1の実施例とほぼ同様であるが、中間リング50についてはCPUが内蔵されておらず、ナンバリングの端子も前後の端子が固定抵抗器51で接続されているのみで、ナンバリングはされない。電子ベローズ20がナンバ1、テレコンバータ60がナンバ2となる。
【0030】また、アナログスイッチは、ユニット装着時には16、24、65がオンされ、17、25、64はオフされている。ナンバリング終了後、アナログスイッチ17、25、64がオンされ、アナログスイッチ16、24、65がオフされる。その後、P01がA/Dコンバータ12でA/D変換され、BCPU11に送信される。これにより、中間リング50の長さが検出される。
【0031】次に、図7のタイムチャートを参照して、通信について説明する。基本的には上述した第1の実施例と同様であり、ナンバに応じたタイミングでデータや識別信号を出力する。このとき、data m+1ではテレコンバータ60の識別データとなり、data m+4では電子ベローズではないため長さの出力データはない。また、data m+6では、data m+3で送られた電子ベローズ20の長さと、A/D変換で得られたテレコンバータ60の長さとを加えて、全中間筒長として出力する。
【0032】また、その後に、テレコンバータ60によって演算用の諸数値が変わってくるため、BCPU11がレンズデータ及びテレコンバータ60の識別データから算出したデータを、data L、data L+1、…で出力する。以下、電子ベローズ20がこれらを受けて表示する。
【0033】このように、第2の実施例によれば、テレコンバータやマクロコンバータがカメラボディに装着されても、正しい演算、表示が可能である。加えて、マイクロコンピュータを内蔵しない中間リングを用いても、それを加えた全中間筒長を得ることができる。また、ナンバリング用と、中間筒長検出用の端子を兼用しているため接点が少ないので、信頼性が高いものとなる。
【0034】更に、上述した第2の実施例に於いては、テレコンバータや電子ベローズ、中間リングの数は1つずつに限定されるものではない。また、接点は兼用しなくてもよいものである。更に、A/D変換や中間筒長の加算は、レンズユニット内でも可能である。
【0035】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、複数の電子中間筒を用いても、誤った表示をすることなく使用可能なカメラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のカメラシステムの第1の実施例の構成を示した図である。
【図2】図1の各ユニット装着後のナンバリング動作について説明するタイムチャートである。
【図3】図1の各ユニット装着後のナンバリング動作について説明するフローチャートである。
【図4】図1の構成のカメラシステムの通信データの例を示した図である。
【図5】識別コードと中間部材との関係を表した図である。
【図6】この発明のカメラシステムの第2の実施例の構成を示した図である。
【図7】図6の構成のカメラシステムの通信データの例を示した図である。
【符号の説明】
10…カメラボディ、11…ボディCPU(BCPU)、20…第1の電子ベローズ、21…べローズCPU(BEL1CPU)、22、32…LCD表示器、23、33…コード板、24、25、34、35…アナログスイッチ、26、36…インバ―タ、31…べローズCPU(BEL2CPU)、40…レンズユニット、41…レンズCPU(LCPU)、42…超音波モータ(USM)駆動回路、43…超音波モータ(USM)、44…撮影レンズ、101、201、202、301、302、401…データ通信用電気接点、102、203、204、303、304、402…兼用接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラボティと、このカメラボディに着脱自在にされる撮影レンズ鏡筒と、上記カメラボディと撮影レンズ鏡筒との間に挿入自在に構成された中間リングと、この中間リングに設けられ、カメラボディ側からの制御により、自らの識別信号を記憶する記憶手段と、上記中間リングに設けられ、上記識別信号に対応したタイミングでデータを出力するデータ出力手段とを具備することを特徴とするカメラシステム。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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