カメラモジュール測定装置
【課題】比較的簡単な構成で、パレットを所定の姿勢に保持することができるカメラモジュール測定装置を提供する。
【解決手段】2以上のカメラモジュール100を個別に保持し、レンズに対して開口されるレンズ側開口部202が形成される保持部201を有する保持手段200と、カメラモジュール100のピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段300,301,302と、カメラモジュール100が1つずつ測定位置に配置されるように保持手段200を移動する移動手段400と、レンズ側開口部202とは反対側の部分に当接し、保持手段200を測定手段に向けて押圧して、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部203を、測定手段の光軸に直交する面内に配置され、測定側光軸を中心として測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部301に当接させる押圧手段500,510とを備える。
【解決手段】2以上のカメラモジュール100を個別に保持し、レンズに対して開口されるレンズ側開口部202が形成される保持部201を有する保持手段200と、カメラモジュール100のピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段300,301,302と、カメラモジュール100が1つずつ測定位置に配置されるように保持手段200を移動する移動手段400と、レンズ側開口部202とは反対側の部分に当接し、保持手段200を測定手段に向けて押圧して、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部203を、測定手段の光軸に直交する面内に配置され、測定側光軸を中心として測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部301に当接させる押圧手段500,510とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズと撮像素子とが筐体等に組み込まれた一体的な構成であり、携帯電話やウェブカメラ等の電子機器に組み込まれて使用されるカメラモジュールが知られている。このようなカメラモジュールの製造にあたっては、画像評価用のチャートを撮影し、その撮像状態に基づいて、カメラモジュールのピント調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−301168号公報
【特許文献2】特開2006−208932号公報
【特許文献3】特開2009−3152号公報
【特許文献4】特開2009−302837号公報
【特許文献5】特開2006−30256号公報
【特許文献6】特開2007−57818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量の測定に当たって、その効率化を図るため、複数のカメラモジュールを1つのパレットに保持し、このパレットを測定機構に対して移動し、順次にカメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定することができる測定装置を発明し、先に特願2011−093095として出願した。
【0005】
一方、近年、撮像素子の高画素化等に伴い、より精度の高いピント調整が望まれている。精度の高いピント調整を行うためには、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を正確に測定する必要がある。このような測定を正確に行うためには、カメラモジュールの光学系の光軸(以下、被測定側光軸と記載する)と、測定装置の光学系の光軸(以下、測定側光軸と記載する)とが平行となるように、好ましくは一致するようにカメラモジュールを配置する必要がある。つまり、被測定側光軸が測定側光軸に平行になるように、パレットを測定側光軸に対して所定の姿勢(傾き)に保持すると共に、被測定側光軸が測定側光軸にできるだけ一致させるように、パレットを測定側光軸と直交する方向に移動させる必要がある。
【0006】
しかしながら、パレットは、カメラモジュールがパレット内で移動してしまわないようにしっかりと保持する必要があることから、それなりの強度が必要であり、重量も大きくならざるを得ない。そのため、パレットを所定の姿勢に保持するための機構が勢い大型化し、複雑化する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、比較的簡単な構成で、パレットを該所定の姿勢に保持することができるカメラモジュール測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラモジュール測定装置は、レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュールを個別に保持し、レンズに対して開口されるレンズ側開口部が形成される保持部を有する保持手段と、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段と、カメラモジュールが1つずつ測定位置に配置されるように保持手段を移動する移動手段と、互いに当接する当接部であって、保持手段に設けられ、測定位置に配置される前記カメラモジュールの光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部、および、測定手段に設けられ、測定手段の光軸(測定側光軸)に直交する面内に配置され、測定側光軸を中心として測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部と、保持手段の測定位置に配置されるカメラモジュールを保持している保持部のレンズ側開口部とは反対側の部分に当接し、保持手段を測定手段に向けて押圧して、保持手段側当接部を測定手段側当接部に当接させる押圧手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
2以上のカメラモジュールはそれぞれ、レンズおよび撮像素子に加え、レンズを保持しているレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒を保持する筐体と、をさらに有し、レンズ鏡筒と筐体との間に形成されるネジ部に沿ってレンズ鏡筒が光軸中心に回転されることによりレンズと撮像素子の撮影面との距離が調整可能であり、測定手段により測定されたカメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量に基づいてレンズ鏡筒を回転させカメラモジュールのピント調整を行う回転手段を有し、測定手段側当接部は、ベアリングにより構成され、回転手段に備えられることが望ましい。
【0010】
保持手段は、保持部に保持されたカメラモジュールに当接することにより、カメラモジュールの測定手段側への移動を規制する位置決め当接部と、押圧手段が配置される側に開口する押圧手段側開口部と、を有し、押圧手段には、保持手段に当接している状態で、押圧手段側開口部を通してカメラモジュールを位置決め当接部に押圧する位置決め用押圧手段が備えられていることが望ましい。
【0011】
保持手段は、保持部が規則的に配列された平板状の部材として形成され、保持部は、カメラモジュールをその光軸を平板状の部材の面に直交させて保持する構造であり、レンズ側開口部の周辺の平坦な面が、保持手段側当接部となることが望ましい。
【0012】
押圧手段とは別に、保持手段を、保持手段側当接部と測定手段側当接部とが当接しない程度に測定手段に向けて付勢する付勢手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的簡単な構成で、パレットを所定の姿勢に保持することができるカメラモジュール測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置の主要部の構成を示す図であり、測定実施中の状態を示す図である。
【図2】図1に示すカメラモジュール測定装置において、測定手段が測定対象モジュールから離れた状態を示す図である。
【図3】カメラモジュールの構成例を示す図である。
【図4】パレットの構成例を示す図である。
【図5】本発明のカメラモジュール測定装置の全体的な構成例を示す図である。
【図6】図5に示すカメラモジュール測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】回転調整機構の構成を示す図であり、上段(A)は、回転調整機構の概略の構成を側面から見たときの図であり、下段(B)は、回転調整機構の吸着機構の概略の構成を斜め後方から見た拡大図である。
【図8】ピント調整のために用いられるチャートの構成を示す図であり、上段(A)は、チャートの全体を示した図であり、中段(B)は、チャートの一部分の拡大図であり、下段(C)は、チャートの構成を説明するための参考図でありチャートから色彩を省略した図である。
【図9】チャートの構成を説明するための参考図である。
【図10】カメラモジュール測定装置のピント調整動作を説明するフローチャートである。
【図11】CMOSの画素の露光タイミングと、垂直駆動信号の出力タイミングと、照明装置の点灯・消灯タイミングと、チャートの移動タイミングとを示すタイミングチャートである。
【図12】カメラモジュール測定装置の変形例の構成を示す図である。
【図13】回転調整機構の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置1(図5参照)の主要部の構成を示す図である。図1は、回転調整機構300がカメラモジュール100に接して測定を行っている状態、図2は、回転調整機構300が測定対象のカメラモジュール100から離れた状態を示す。以下の説明において、回転調整機構300とカメラモジュール100とが配置される方向、すなわち光軸311に沿う方向を上下方向とし、カメラモジュール100に対して回転調整機構300が配置される方向を上方(上側)、その反対方向を下方(下側)として説明を行う。
【0017】
(カメラモジュール測定装置1の主要部の構成)
このカメラモジュール測定装置1は、図1に示すように、レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュール100を個別に保持し、カメラモジュール100に備えられる撮影レンズ101(図3参照)レンズに対して開口されるレンズ側開口部202が形成される保持部201を有する保持手段として、パレット200を備える。また、このカメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100のピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段として、回転調整機構300、コンバータレンズ310、および画像評価用のチャート320(以下、単に「チャート」という)を備える。さらに、このカメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100が1つずつ測定位置に配置されるようにパレット200を移動する移動手段として、パレット駆動部400を備える。パレット駆動部400は、コンバータレンズ310の光軸311に直交すると共に互いに直交する2方向であるx方向およびy方向にパレット200を移動させることができる。また、このカメラモジュール測定装置は、互いに当接する当接部であって、パレット200に設けられ、測定位置に配置されるカメラモジュール100(以下、「測定対象モジュール100a」という)の光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部としてのパレット側当接部203と、測定手段の回転調整機構300に設けられ、回転調整機構300の光軸である測定側光軸としての光軸311(測定側光軸)に直交する面内に配置され、光軸311を中心として光軸311の周囲に設けられる測定手段側当接部301とを備える。さらに、このカメラモジュール測定装置1は、パレット200の測定位置に配置される測定対象モジュール100aを保持している保持部のレンズ側開口部202とは反対側の部分に当接し、パレット200を回転調整機構300に向けて押圧して、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる押圧手段として、押圧駆動部500および押圧部510を備える。
【0018】
また、このカメラモジュール測定装置1は、回転調整機構300を駆動するためのモーター302および回転駆動機構303を備える。さらに、カメラモジュール測定装置1は、押圧駆動部500および押圧部510からなる押圧手段とは別に、パレット200を、パレット側当接部203と測定手段側当接部300とが当接しない程度に回転調整機構300に向けて付勢する付勢手段として、付勢部600を備える。押圧部510の上面には、測定対象モジュールに電気的に接続される電極511が配置されている。押圧部510は、パレット200に押圧されたときに変形しないように、ステンレス製の筐体から構成されている。筐体内部には、撮像素子104を駆動するための図外の中継基板が収納されている。このように、パレット200に当接する押圧部510内に該中継基板を収納することで、装置の大型化を抑えた構成で押圧部510を備えることができる。
【0019】
押圧部510のパレット200と当接する部分は平面に形成されている。押圧部510のパレット200と当接する部分は平面に形成されることで、押圧部510がパレット200に当接した際に押圧力が分散され、押圧力によるパレット200の変形を防止できる。
【0020】
また、押圧部510のパレット200と当接する部分は、測定手段側当接部301と上下方向において重なる部分を有する。つまり、押圧部510がパレット200に押圧されたときに、パレット200は、光軸311に平行な上下方向を測定手段側当接部301と押圧部510との間に挟まれる。そのため、押圧部510をパレット200に押圧したときに、押圧部510からパレット200に対してパレット200を変形させてしまう力が作用し難くなる。これに対し、押圧部510のパレット200に当接する部分が、測定手段側当接部301よりも光軸311側、あるいは光軸311から離れる側にずれている場合(押圧部510のパレット200に当接する部分と、測定手段側当接部301とが上下方向において重なる部分を有さない場合)には、押圧部510が押圧されるパレット200に、パレット200を湾曲させる力が作用し易くなる。そのため、測定対象モジュール100aの被測定側光軸と光軸311(測定側光軸)とを平行に配置し難くなる虞がある。
【0021】
図2に示すように、測定手段側当接部301および押圧部510がパレット200から離れている状態で、パレット駆動部400により、パレット200を水平方向(x−y方向)の面内に移動させることができる。この移動により、パレット200に保持されている個々のカメラモジュール100を、回転調整機構300に対して移動させることができる。そして、測定対象モジュール100aが回転調整機構300および押圧部510の間である測定位置に位置している状態で、押圧駆動部500により押圧部510を光軸311に沿う方向、本実施の形態では鉛直方向(この方向をz方向とする)に持ち上げる(移動させる)。これにより、図1に示すように、測定対象モジュール100aに電力供給および電気的測定のための電極511が接続されるとともにパレット側当接部203が測定手段側当接部301に当接される。
【0022】
(カメラモジュール100の測定)
図1に示す状態、すなわち測定対象モジュール100aに電極511が接続され、パレット側当接部203が測定手段側当接部301に当接されている状態で、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量の測定が行われる。つまり、測定対象モジュール100aにより、コンバータレンズ310を介して、コンバータレンズ310の光軸311の先に配置されたチャート320に示される画像を撮像する。この撮像結果の信号は、電極511および押圧部510内に収納される中継基板を介して取り出される。取り出された信号が信号処理され、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量が測定および評価される。この評価方法については、後で詳しく説明する。なお、カメラモジュール測定装置1は、該測定が終わった後、測定結果に基づいて、モーター302により回転駆動機構303を介して回転調整機構300を駆動し、この回転調整機構300が当接している測定対象モジュール100aの焦点位置を調節することができる。
【0023】
(測定のための位置合わせ)
この測定において、測定対象モジュール100aの光軸、すなわち被測定側光軸X1(図3参照)と、コンバータレンズ310の光軸311、すなわち測定側光軸とを、平行に配置し、できる限り一致させることが重要である。このためには、パレット200の位置とコンバータレンズ310の位置との関係を、正しく保つことが必要である。パレット駆動部400や押圧駆動部500等のパレット200の支持および駆動する機構に大掛かりな機構を用いれば、パレット200を水平に保つことが可能である。しかし、それではコストがかかってしまう。できれば、押圧部510の部分を押圧駆動部500により持ち上げるだけで、パレット200とコンバータレンズ310との位置関係を正しく配置し、測定対象モジュール100aの被測定側光軸X1とコンバータレンズ310の光軸311とを一致する状態に近づけたい。
【0024】
そこで、本実施の形態では、パレット200にパレット側当接部203を設け、回転調整機構300に測定手段側当接部301を設けている。これにより、パレット200が水平から傾いた状態で持ち上げられても、測定手段側当接部301にパレット側当接部203が当接したときに、パレット200は水平となる。つまり、パレット側当接部203はコンバーターレンズ310の光軸311に直交する配置となる。また、測定手段側当接部301がパレット200に当接することで、回転調整機構300と測定対象モジュール100aの間隔も所定の値に保つことができる。本実施の形態では、パレット側当接部203としては、レンズ側開口部202の周辺の平坦な部分が、そのまま用いられる。測定手段側当接部301としては、ベアリングが用いられる。
【0025】
図1および図2に示す実施の形態では、測定手段側当接部301が回転調整機構300に備えられている。このため、回転調整機構300の回転力がパレット200に伝わらないように、ベアリングを用いている。これに対して、測定対象モジュール100aの調整を行わない場合には、ベアリングは不要であり、単に、パレット200と測定手段とにそれぞれ、互いに当接する当接部が設けられる。測定手段側の当接部は、測定側光軸311に直交する面内に配置され、測定側光軸311を中心として測定側光軸311の周囲に、測定側光軸311に対称な配置で3個以上が設けられる。測定手段側の当接部は、測定側光軸311に対称な配置で3個以上が設けられることで、パレット200を水平に支持し易い。パレット200側の当接部としては、上述のようにレンズ側開口部202の周辺の平坦な部分を用いるパレット側当接部203でもよく、測定手段側の当接部と相補形状の特別の構造(たとえば凹凸形状が嵌合し合う構造)が、被測定側光軸X1に直交する面内に配置されてもよい。被測定側光軸X1を中心として被測定側光軸X1の周囲に、被測定側光軸X1に対称な配置で設けることで、パレット200を水平に支持し易くなる。
【0026】
なお、パレット200は、その4隅が付勢部600により上方向に付勢されており、それほど大きな力がなくても、押圧部510の部分で押し上げるだけで、測定対象モジュール100aを回転調整機構300に当接させることができる。付勢部600としては、たとえば、コイルバネが用いられる。付勢部600として、板バネや、空気バネなどを用いることもできる。
【0027】
(カメラモジュールの構造)
ここで、カメラモジュール100の構造について説明する。図3は、カメラモジュール100の概略の構成を示す図であり、カメラモジュール100の光軸X1に沿う断面を示している。図3に示すように、カメラモジュール100は、撮影レンズ101と、撮影レンズ101を保持するレンズ鏡筒102と、レンズ鏡筒102を保持する筐体103と、撮像素子としてのCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)104等を有している。そして、カメラモジュール100は、撮影レンズ101と、撮影レンズ101を保持するレンズ鏡筒102と、レンズ鏡筒102を保持する筐体103と、撮像素子としてのCMOS104等が一つのユニットとして構成されている。したがって、カメラモジュール100は、この単位で携帯電話やウェブカメラ等の電子機器に組み込まれた状態で、カメラとしての機能を有する。
【0028】
撮影レンズ101により捕らえられた被写体光は、CMOS104の撮像面に受光させられる。レンズ鏡筒102と筐体103とは、ネジ部105によりネジ結合されている。したがって、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、ネジ部105のリードに従って撮影レンズ101を光軸X1に沿って移動することができる。つまり、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、撮影レンズ101の焦点位置を移動させることができる。カメラモジュール100は、撮影レンズ101の焦点位置が所定位置に調整された状態で、たとえば、レンズ鏡筒102と筐体103とに亘って塗付される接着剤により、レンズ鏡筒102が筐体103に対して回転しないように固定されることで、焦点調整が行われたカメラモジュール100として完成される。
【0029】
図1に戻って説明すると、図3に示すようなカメラモジュール100が、パレット200に保持されている。回転調整機構300は、測定された測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量に基づいてレンズ鏡筒102を回転させ測定対象モジュール100aのピント調整を行う回転手段として動作する。
【0030】
(パレット200の構成)
図4はパレット200の構成例を示す図である。図1と図4を参照して、パレット200の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、パレット200は、保持部201に保持されたカメラモジュール100の当接部103A(図3参照)に当接することにより、カメラモジュール100の回転調整機構300への移動を規制する位置決め当接部204を有し、また、押圧駆動部500および押圧部510が配置される側に開口する押圧手段側開口部としての押圧部側開口部205を有する。押圧部側開口部205は、測定対象モジュール100aに押圧部510の電極511を接続するための開口である。当接部103Aは、カメラモジュール100の筐体103の上面部であり、光軸X1に直交する面となっている。当接部103Aが位置決め当接部204に当接されたとき、光軸X1とパレット側当接部203とは直交する。
【0032】
保持部201には、それぞれカメラモジュール100が、上下に若干移動できるように保持される。電極511は、カメラモジュール100に当接する方向に若干の弾性を有しており、押圧部510が押圧駆動部500により押圧されると、電極511が、保持部201内の測定対象モジュール100aの当接部103Aをパレットの上側の内面、すなわち位置決め当接部204に押し付けることなる。すなわち、電極511は、押圧部510がパレット200に当接している状態で、押圧部側開口部205を通して測定対象モジュール100aを位置決め当接部204に押圧する位置決め用押圧手段として機能する。このように、測定対象モジュール100aの当接部103Aが位置決め当接部204に押し付けられることで、測定対象モジュール100aが位置決めされる。パレット200と測定対象モジュール100aは、測定対象モジュール100aの当接部103Aが当接部204位置決めされた状態で、測定モジュール100aの光軸X1とパレット側当接部203の面とが直交するように、あらかじめ構成される。
【0033】
パレット200は、たとえば、図4に示すように、保持部201が規則的に配列された平板状の部材として形成される。保持部201は、カメラモジュール100をその光軸X1を平板状の部材の面(パレット側当接部203)に直交させて保持する構造として形成される。レンズ側開口部202の周辺の面が、パレット側当接部203となる。
【0034】
パレット200を構成する平板状の部材は、たとえば、カメラモジュール100のレンズ鏡筒102を通すことができ、当接部103Aが位置決め当接部204に当接する大きさのレンズ側開口部202が設けられた第1部材211と、カメラモジュール100を第1部材211の裏側から固定する第2部材212とにより形成される。位置決め当接部204は、第1部材211に形成される。第2部材212は、カメラモジュール100を収容する貫通孔が設けられた部材と、押圧部側開口部205が設けられカメラモジュール100を裏から押さえる部材との2つの部材により形成されてもよい。第1部材211の表面は、レンズ側開口部202の周辺の面がパレット側当接部203となることから、耐久性を考えると、金属製であることが望ましい。第2部材212は、たとえばプラスチックにより形成される。
【0035】
以上の構成では、パレット200、回転調整機構300、コンバータレンズ310およびチャート320が、鉛直方向に配置されるものとした。光軸X1を光軸311に平行に配置し出来る限り一致させるためには、各部(パレット200、測定手段側当接部301、コンバータレンズ310およびチャート320等)に光軸X1に交差する方向への荷重が懸からないことが望ましい。しかし、光軸X1を光軸311に平行に配置し出来る限り一致させることができれば、これらが鉛直に配置される必要はなく、水平、あるいは他の方向に配置されてもよい。
【0036】
以下、上述したカメラモジュール測定装置1を利用する具体的なカメラモジュール100の測定について説明する。
【0037】
(カメラモジュール測定装置1の全体構成)
図5は、上述のカメラモジュール測定装置1の全体の構成例を示す図である。図6は、カメラモジュール測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0038】
カメラモジュール測定装置1には、ステージ2上に上述したパレット駆動部400、押圧駆動部500、付勢部600が備えられている。また、カメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100のレンズ鏡筒102を回転しレンズ鏡筒102の上下方向の位置調整を行う回転調整機構300と、コンバータレンズ310と、画像評価用のチャート320と、制御部7等を有している。そして、これらの部材あるいは機構等は、筐体8内に収容されている。なお、カメラモジュール100からチャート320に向かう方向は上方(上側)であり、その反対方向は下方(下側)である。
【0039】
筐体8には、カメラモジュール100を収容しているパレット200を筐体8に取り込んだり、筐体8内から取り出すことができる図示を省略する扉部が設けられている。筐体8は、扉部が閉じられた状態で筐体8内部を暗室状態とすることができるように構成されている。カメラモジュール測定装置1を操作するための操作スイッチや表示パネル等の図示を省略する操作部9(図6参照)は、筐体8の外部に備えられている。
【0040】
図5において、制御部7は、筐体8内に配置されている。しかしながら、制御部7は、筐体8の外部に備えられてもよく、たとえば、カメラモジュール測定装置1を制御するためのプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータを制御部7として用いてもよい。この場合、パーソナルコンピュータのキーボードを操作部9として用いる構成としてもよい。
【0041】
パレット駆動部400は、カメラモジュール測定装置1の光軸X2(コンバータレンズ310の光軸311)と測定対象モジュール100aの光軸X1とを一致させた状態に配置する。
【0042】
筐体8内には、上下方向に亘って配置されるベース体11が設けられ、回転調整機構300、コンバータレンズ310およびチャート320はベース体11に支持されている。
【0043】
回転調整機構300は、回転調整機構保持体12と移動機構13とを介して、ベース体11に支持されている。移動機構13は、回転調整機構保持体12と共に回転調整機構300を前後方向に移動することができる。移動機構13は、たとえば、軸方向を上下に配置されたリードスクリュー(図示省略)と、このリードスクリューにネジ結合し回転調整機構保持体12に対して取り付けられるボールネジ(図示省略)と、リードスクリューを回転させるモーター14(図6参照)等により構成することができる。つまり、移動機構13は、モーター14によりリードスクリューを回転することで、ボールネジを移動し、回転調整機構保持体12および回転調整機構300を上下方向に移動することができる。
【0044】
コンバータレンズ310は、レンズ保持体15を介して、ベース体11に対して固定された位置に取り付けられている。なお、コンバータレンズ310は、チャート320から出射される光をコリメートさせるコリメーターレンズとして構成されている。
【0045】
チャート320は、チャート保持体16と移動機構17とを介して、ベース体11に支持されている。移動機構17は、チャート保持体16と共にチャート320を上下方向に移動することができる。移動機構17は、移動機構13と同様に、たとえば、軸方向を上下に配置されたリードスクリュー(図示省略)と、このリードスクリューにネジ結合しチャート保持体16に対して取り付けられるボールネジ(図示省略)と、リードスクリューを回転させるモーター18(図6参照)等により構成することができる。つまり、移動機構17は、モーター18によりリードスクリューを回転することで、ボールネジを移動し、チャート保持体16およびチャート320を上下方向に移動することができる。
【0046】
移動機構17には、コンバータレンズ310の焦点位置F1に対するチャート320のチャート偏倚方向・量を検出する、チャート偏倚方向・量検出手段としてのチャート偏倚方向・量検出機構19(図6参照)が設けられている。チャート偏倚方向・量とは、焦点位置F1に対するチャート320のずれ方向(上方か下方か)と焦点位置F1とチャート320との間の距離(ずれ量)である。チャート偏倚方向・量検出機構19は、たとえば、ベース体11側に対して固定された位置に設けられるエンコーダー(図示省略)と、チャート保持体16側に設けられるエンコーダー読み取り機構(図示省略)とにより構成することができる。エンコーダー読み取り機構は、エンコーダーを挟んで配置される光センサと投光部とにより構成することができる。焦点位置F1は、測定対象モジュール100aの撮影レンズ101の焦点位置F2(図3参照)と共役な位置である。
【0047】
制御部7は、たとえば、CPUやROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、合焦評価値演算部7Aと、チャート合焦偏倚方向・量演算部7Bと、ピントずれ方向・量演算部7Cと、回転演算部7Dとを有する。制御部7は、ROMに記憶されている制御プログラムにより、CMOS104やチャート偏倚方向・量検出機構19等からの情報に基づいて上述の各演算部において所定の演算処理を行い、また、チャート320を照明する照明装置20(図6参照)やモーター14等、すなわちカメラモジュール測定装置1の駆動制御を行う。
【0048】
(カメラモジュール測定装置1の動作の概要)
上述の構成を有するカメラモジュール測定装置1の動作の概要を説明する。カメラモジュール100がセットされたパレット200がパレット駆動部400に取り付けられた後、制御部7は、測定対象モジュール100aを測定位置に移動させ、チャート320の撮影を行う。そして、制御部7は、CMOS104から得られる撮像信号に基づき、合焦状態に関する合焦評価値を合焦評価値演算部7Aにて演算する。
【0049】
合焦評価値の演算は、チャート320の光軸X2方向の3箇所以上(たとえば、20〜30箇所)の異なる位置における撮像信号について行われる。すなわち、制御部7は、移動機構17を駆動し、チャート320を上下に移動させ、3箇所以上の異なる位置で、カメラモジュール100にチャート320の撮影を行わせ、各位置における合焦評価値を合焦評価値演算部7Aにて演算する。すなわち、各位置に対応するチャート偏倚方向・量についての合焦評価値を演算する。
【0050】
次に、制御部7は、チャート合焦偏倚方向・量演算部7Bにて、演算された複数の合焦評価値に基づいて、合焦状態と判断される合焦評価値を得ることができるチャート偏倚方向・量であるチャート合焦偏倚方向・量を演算する。そして、制御部7は、このチャート合焦偏倚方向・量に基づいて、ピントずれ方向・量演算部7Cにて、撮影レンズ101の焦点位置F2とCMOS104の撮像面とのずれ量とずれ方向であるピントずれ方向・量を演算する。
【0051】
続いて、制御部7は、ピントずれ方向・量分だけレンズ鏡筒102を移動させるために必要なレンズ鏡筒102の回転量および回転方向を回転演算部7Dにて演算する。なお、レンズ鏡筒102の回転量および回転方向と、撮影レンズ2の移動量と移動方向とは予め既知の値としておく。そして、制御部7は、回転演算部7Dにて演算された回転量および回転方向に基づき、回転調整機構に300備えられるモーター302(図1,6参照)を駆動し、レンズ鏡筒102を回転させ撮影レンズ101の焦点位置F2とCMOS104の撮像面とを一致させる。
【0052】
(回転調整機構300の構成)
以下に、図7を参照しながら、回転調整機構300の構成について詳しく説明する。図7の上段(A)は、回転調整機構300の概略の構成を側面(光軸X2に直交する方向)から見たときの図であり、図7の下段(B)は、回転調整機構300の吸着機構22の概略の構成を斜め後方から見た拡大図である。
【0053】
回転調整機構300は、回転機構23と吸着機構22を有する。回転機構23は、回転調整機構保持体12に対して回転可能に支持される回転盤24と回転盤24を回転させるモーター302(図1,6参照)とを有する。回転盤24は、回転調整機構保持体12の後面に設けられるスリーブ25に嵌合され、スリーブ25と回転盤24との間に配置されるボールベアリング26とにより、回転調整機構保持体12に対して回転可能とされている。また、回転盤24は、モーター320(図1,6参照)の出力軸とプーリーおよびベルトで連結され、モーター302の駆動が回転駆動機構303により伝達可能とされている。
【0054】
吸着機構22は、チャンバー体27と、図示外の真空ポンプと、この真空ポンプとチャンバー体27とを連通する管部28とを有している。チャンバー体27は、回転盤24の下面に取り付けられ、回転盤24の回転と一体に回転することができる。チャンバー体27は、中央に上下に貫通する貫通孔27Aが形成されるリング状を呈している。チャンバー体27の内部には空気室27Bが形成されている。回転盤24の中央にも上下方向に貫通する貫通孔24Aが形成され、また、回転調整機構保持体12にも前後方向に貫通する貫通孔12Aが形成されている。したがって、回転調整機構保持体12および回転調整機構300は、貫通孔27A,24A,12Aにより上下方向に光を通過させることができる。
【0055】
チャンバー体27の下面27Cには、光軸X2の周囲に等間隔に配置される複数(図7(B)では8個)の孔部27Dが形成されている。したがって、真空ポンプにより空気室27B内を減圧すると、孔部27Dには吸引力が発生する。孔部27Dは、下面27Cをカメラモジュール100のレンズ鏡筒102の上端面102A(図7参照)に当接させたときに、上端面102Aに対向する位置に配置されている。
【0056】
したがって、チャンバー体27の下面27Cをレンズ鏡筒102の上端面102Aに当接し、真空ポンプにより空気室27B内を減圧し孔部27Dに吸引力を発生させると、チャンバー体27の下面27Cにレンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着することができる。つまり、チャンバー体27の下面27Cにレンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着した状態で、回転盤24を回転させ、回転盤24と共にチャンバー体27を回転させることで、レンズ鏡筒102を回転させることができる。回転盤24を回転させるモーター302は、たとえば、ステッッピングモーターにより構成することができ、所定の基準位置からのステップ数に基づき、回転盤24の回転方向と回転量(回転角)を制御することができる。
【0057】
チャンバー体27には、マイクロスイッチ(精密スナップアクションスイッチまたはセンシティブスイッチ)27Eが設けられている。マイクロスイッチ27Eは、チャンバー体27が、上方からレンズ鏡筒102に接近し、チャンバー体27の下面27Cがレンズ鏡筒102の前端面102Aに接触したときに、スイッチがオン(またはオフ)される。したがって、マイクロスイッチ27Eのオン・オフ状態を検出することで、チャンバー体27の下面27Cがレンズ鏡筒102の上端面102Aに接触しているか否かを検出することができる。
【0058】
(コンバータレンズ310の構成)
コンバータレンズ310はコリメーターレンズであり上方の焦点位置は焦点位置F1である。測定対象モジュール100aが所定の位置にセットされたときの撮影レンズ101の下方の焦点位置F2と焦点位置F1とは、光学的に共役な関係となっている。したがって、焦点位置F2にCMOS104の撮像面を配置することで、測定対象モジュール100aは、無限遠に焦点合わせされた撮影系として構成される。
【0059】
(チャート320の構成)
次に、図8を参照しながら、チャート320の構成について詳しく説明する。図8の上段(A)は、チャート320の全体を示した図である。図8の中段(B)は、チャート320の一部分の拡大図である。図8の下段(C)は、チャート320の構成を説明するための参考図である。
【0060】
図8(C)に示すように、チャート320は、格子点6Aが直角2等辺三角形の頂点を成す格子線6Bにて形成される領域6Cを有している。すなわち、各領域6Cは、直角2等辺三角形を呈している。そして、格子線6Bを挟んで隣接する領域6C、たとえば、領域6C1と領域6C1のコントラストは互いに異なっている。チャート320においては、図8(B)に示すように、白色と黒色にてコントラストが形成されている。
【0061】
上述のように形成されるチャート320は、縦横のエッジ6D,6Eと、縦横のエッジ6D,6Eに対して45度の角度で傾斜するエッジ6F,6Gを有している。つまり、チャート320は、縦方向および横方向の2方向と、縦方向と横方向に対して斜め45度の傾斜であって互いに傾斜方向が異なる2方向(すなわち、縦横方向を45度回転した方向)との4方向の指向性を有している。そして、チャート320は、図8(B)に示す単位チャート61Eが、格子線6Bを挟んで同一のコントラストとならないように複数配列されたものでる。そのため、チャート320は、全体として、チャートの指向性が少ないものとなっている。
【0062】
しかも、チャート320は、一定のパターンで広い範囲(たとえば、撮影レンズ101の撮影範囲)に亘って形成されている。そのため、どこの場所に注目しても(たとえば、像高の高さに因らず)特性(指向性、解像度)に差が生じ難いものとなっている。
【0063】
チャート320は、図9に示すように、チャート61Aとチャート61Bを重ねたときの排他的論理和により形成されるチャートと、チャート61Cとチャート61Dを重ねたときの排他的論理和により形成されるチャートとを重ねたときの排他的論理和により形成される構成となっている。すなわち、(チャート61Axorチャート61B)xor(チャート61Axorチャート61B)=チャート61Eであり、チャート320は、チャート61Eを複数有するチャートである。なお、排他的論理和においては、2つのチャートを重ねたときに、同色が重なった部分は白、異色が重なった部分は黒で表現することとしている。
【0064】
チャート61Aは、コントラストのエッジの方向が、図中上下方向(X方向)に設定されるチャートであり、チャート61Bは、コントラストのエッジの方向が、図中左右方向(Y方向)に設定されるチャートである。そして、チャート61Cは、コントラストのエッジの方向が、図中右上がり45度の傾斜に設定されるチャートであり、チャート61Dは、コントラストのエッジの方向が、図中左上がり45度の傾斜に設定されるチャートである。つまり、チャート320は、一枚のチャートで4つのチャート61A,61B,61C,61Dが有するエッジを有していることになる。したがって、チャート320は、チャート61A,61B,61C,61Dが有するエッジの方向を有している。
【0065】
チャート保持体16は、チャート320の前方に配置される照明装置20を有している。また、チャート320は、領域6Cの黒色の部分は、光の透過量が少なく構成され、領域6Cの白い部分は光の透過量が多く構成されている。したがって、照明装置20が点灯されると、チャート320の白色の部分は明部として表示され、黒色の部分が暗部として表示され、図8(A)(B)に示す白黒のチャート320として表示される。
【0066】
(カメラモジュール測定装置1の動作)
以下に、図8および図9を参照しながら、カメラモジュール測定装置1を用いて、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量の測定動作について説明する。図10は、カメラモジュール測定装置1のピント調整動作を説明するフローチャートである。図11は、CMOS104の画素の電荷蓄積タイミング・データの読み出しタイミングと、垂直駆動信号の出力タイミングと、照明装置20の点灯・消灯タイミングと、チャート320の移動タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、本実施の形態にカメラモジュール測定装置1では、CMOS104をローリングシャッター方式にて駆動して読み出した撮像信号に基づき、合焦評価値の演算を行う構成となっている。
【0067】
測定動作に先立ち、先ず、制御部7は、パレット駆動部400を駆動して、測定対象モジュール100aを所定の位置に配置する。つまり、測定対象モジュール100aの撮影レンズ101の中心にコンバータレンズ310の光軸X2が通るように、測定対象モジュール100aを配置する。そして、制御部7は、押圧駆動部500を駆動し、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる。これにより、パレット200は水平となり、パレット側当接部203はコンバータレンズ310の光軸311に直交する配置となる。つまり、撮影レンズ101の光軸X1がコンバータレンズ310の光軸X2に一致する(または平行な状態で近接する)位置に配置され、後述する測定動作の精度の向上を図ることができる。なお、チャンバー体27は、回転盤24に対して、光軸311に沿って上下に弾性的に移動可能に取り付けられている。つまり、チャンバー体27を下方から上方に向かって押圧すると上方に向かって移動することができる。したがって、パレット側当接部203と測定手段側当接部301とが当接されている状態で、撮影レンズ101の上端面102Aがチャンバー体27の下面27Cに当接するとチャンバー体27が上方に移動することができる。また、カメラモジュール測定装置1の初期状態において、チャート320は、所定の初期位置に配置されている。
【0068】
チャート320の初期位置は、本実施の形態においては、レンズ鏡筒102が調整範囲の最上方に配置されているときに、CMOS104の撮像面に形成されるチャート320の像(以下、チャート像と記載する。)を合焦状態とすることができる位置よりも若干上方の位置としている。なお、チャート320の初期位置は、たとえば、レンズ鏡筒102が調整範囲の最下方に配置されているときに、チャート像を合焦状態とすることができる位置よりも若干下方の位置とすることもできる。カメラモジュール測定装置1の初期状態においては、照明装置20は、消灯状態とされている。したがって、筐体8内は暗状態であり、CMOS104の各画素には電荷の蓄積はない。
【0069】
測定動作においては、先ず、制御部7は、図11に示すように、垂直駆動信号がオフ(VD幅)のタイミングと時間長に合わせて、照明装置20を点灯させる(ステップS10)。照明装置20が点灯すると、CMOS104の撮像面にチャート像が形成される。制御部7は、CMOS104で撮像されたチャート像(CMOS104から送られて来る画像データ)を取得する(ステップS20)。そして、画像データに基づき、チャート像の合焦状態に関する合焦評価値を演算する(ステップS20)。そして、演算された合焦評価値が得られたときのチャート偏倚方向・量(焦点位置F1からのチャート320のずれ方向とずれ量)を取得し(ステップS20)、RAM等の所定の記憶手段に記憶する。チャート偏倚方向・量は、チャート偏倚方向・量検出機構19(図6参照)により検出される。
【0070】
照明装置20の点灯時間の長さは、図11に示す例では、VD幅に対応する時間としており、点灯時間が経過した後、照明装置20は消灯される。つまり、筐体8内は暗状態となる。したがって、CMOS104の各画素の電荷の蓄積は、VD幅に対応する時間で照明装置20の点灯が行われた間のみのものであり、この電荷が画像データとして掃き出された後は、再び、照明装置20が点灯するまでCMOS104には電荷の蓄積はない。なお、照明装置20の点灯時間の長さは、必ずしもVD幅に対応している必要はなく、点灯時間を調整できるようにすることもできる。その場合でも、調整量がごくずかな量であれば、CMOS104のローリングシャッターによる画像の歪を受けることはない。
【0071】
合焦評価値の演算は、たとえば、二乗平均平方根を用いる。つまり、チャート像が撮像された撮像素子の各画素のコントラストの階調(たとえば、0から255の256階調)の値について、二乗平均平方根(RMS)を求める。この場合、RMSが大きいほど、合焦状態が好適であることを示す。なお、画像データの場合には、一般的に負の値を取らないため、白と黒の中間のグレーを0とし、チャート320の黒部分の階調を1に、白部分の階調を−1に正規化し、撮像面のチャート像のRMSを求めるようにしてもよい。上記のように正規化した場合、チャート320のRMSは、1になる。したがって、撮像面のチャート像も1に近いほど、合焦状態が好適であることを示す。
【0072】
そして、制御部7は、チャート320が初期位置から所定の位置まで移動したか否かを判断する(ステップS30)。この所定の位置は、本実施の形態では、レンズ鏡筒102が調整範囲の最後方に配置されているときに、チャート320の結像が合焦状態でCMOS104の撮像面に結像する位置よりも若干後方の位置としている。チャート320が所定の位置まで移動していない場合(ステップS30においてNo)には、制御部7は、移動機構17を駆動して、チャート320を所定距離移動させて停止させる(ステップS40)。そして、制御部7は、図11に示すように、チャート320が停止している間に、垂直駆動信号がオフ(VD幅)のタイミングと時間に合わせて、照明装置20を点灯させる(ステップS10)。続いて、制御部7は、CMOS104で撮像されたチャート像(CMOS104から送られて来る画像データ)の取得と、合焦評価値の演算と、演算された合焦評価値に対応するチャート偏倚方向・量の取得を行い(ステップS20)、RAM等の所定の記憶手段に記憶する。
【0073】
チャート320が所定の位置まで移動するまで(ステップS30においてYes)、ステップS10〜S40)の処理を繰り返す。図11に示すように、カメラモジュール測定装置1は、垂直駆動信号のオフに併せてチャート320の移動が停止されると共に照明装置20が点灯され、照明装置20の消灯に併せてチャート320が移動され、照明装置20の次回の点灯前にチャート320の移動が停止され、チャート320が停止している間に垂直駆動信号のオフに併せて照明装置20が点灯され、という動作を繰り返す。したがって、チャート320の異なる複数のチャート偏倚方向・量についての合焦評価値を取得することができる。なお、ステップS20においては、画像データおよびチャート偏倚方向・量の取得のみを行い、チャート320が所定の位置まで移動した後(ステップS30においてYes)、後述するステップS50が実行される前に、チャート320の移動位置毎に合焦評価値を演算するようにしてもよい。
【0074】
なお、照明装置20を点灯する前よりも早い時期にチャート320の移動を停止することで、チャート320の移動や制動に伴って発生する機械的振動が収束した状態で、チャート像を撮像することができる。つまり、合焦評価値とチャート偏倚方向・量の精度を高くすることができる。
【0075】
制御部7は、チャート320が所定の位置まで移動した場合(ステップS30においてYes)には、上述のステップS10〜S40にて得られた複数の合焦評価値とチャート偏倚方向・量に基づいて、チャート合焦偏倚方向・量を演算する(ステップS50)。制御部7は、最も値の大きな合焦評価値に対応するチャート偏倚方向・量をチャート合焦偏倚方向・量として演算(決定)する。
【0076】
ところで、図11のA部分に示すように、CMOS104の電荷の読み出しタイミング(順番)が遅いライン(撮像面の右下の最終ラインに近いライン)については、照明装置20の点灯時間が電荷の蓄積時間から外れ、露光が不完全な画素(露光不完全画素)となることがある。かかる露光不完全画素は、正確なコントラスト情報を取得していないので、合焦評価値の演算用の情報としては好ましくない。そこで、各ラインの積算時間をできるだけ長くすることで、露光不完全画素の数を少なくすることができる。本実施の形態においては、各ラインの積算時間を、使用するCMOS104において設定できる範囲の最長とすることで、露光不完全画素の数を少なくしている。
【0077】
そして、制御部7は、ピントずれ方向・量演算部7Cにて、チャート合焦偏倚方向・量に基づいて、ピントのずれ方向およびずれ量(ピントずれ方向・量)を演算する(ステップS60)。ピントずれ方向・量は、下記の式(1)により算出することができる。
dfx={(a×fx)/(a−fx)}−fx ・・・ (1)
但し a=L−{fs(fs+dfs)}/dfs
dfx:ピントずれ方向・量
dfs:チャート合焦偏倚方向・量
fs:コンバータレンズ310の焦点距離
fx:撮影レンズ101の焦点距離
L:コンバータレンズ310と撮影レンズ101の主点間距離
【0078】
カメラモジュール測定装置1は、上述のようにして測定されたピントずれ方向・量に基づいて、次のようにしてカメラモジュール100のピント調整を行うことができる。筐体103に対してネジ部105にてネジ結合するレンズ鏡筒102は、ネジ部105に沿って筐体103に対して回転させられることで、ネジ部105のリードに従って撮影レンズ101を光軸X1に沿って移動することができる。つまり、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、撮影レンズ101の焦点位置を調整することができる。制御部7は、ピントずれ方向・量に基づいて、撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させるために必要なレンズ鏡筒102の回転方向と回転量を演算する(ステップS60)。レンズ鏡筒102の回転方向と上下方向について移動方向との対応、およびレンズ鏡筒102の回転量に対する上下方向への移動量との対応(所定の単位回転量に対する移動量との対応)は予め既知の値としておく。そのため、ピントずれ方向・量に基づいて撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させるために必要なレンズ鏡筒102の回転方向と回転量を演算することができる。
【0079】
次いで、制御部7は、下面27Cを上端面102Aに当接させた状態で図示外の真空ポンプを駆動し、孔部27Dに吸引力を発生させ、レンズ鏡筒102の上端面102Aをチャンバー体27の下面27Cに吸引する(ステップS70)。
【0080】
そして、制御部7は、ステップS60にて演算したレンズ鏡筒102の回転方向と回転量に基づいてモーター302(図1,6参照)を駆動し、レンズ鏡筒102を所定方向に所定量回転させる(ステップS80)。これにより、撮影レンズ101の焦点位置が撮像面に一致させられる。
【0081】
なお、レンズ鏡筒102が回転によりカメラモジュール100の本体から繰り出され、あるいは繰り込まれるが、チャンバー体27が、回転盤24に対して、上下に弾性的に移動可能に取り付けられている。つまり、チャンバー体27が上下に移動することで、レンズ鏡筒102の上下の移動が許容される。
【0082】
レンズ鏡筒102を回転する機構としては、たとえば、レンズ鏡筒102の上端面102Aに凹部を形成し、回転機構23の側に凹部に嵌合するツメを設け、凹部にツメを嵌合させて、レンズ鏡筒102を回転する機構を採用することもできる。しかしながら、かかる機構による場合は、ツメを凹部に嵌合させるために、凹部の位置を検出する時間を要し、また、検出するための機構を要する。これに対し、レンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着する構成とすることで、凹部の位置を検出する時間と検出するための機構が不要となり、作業時間の効率化が図られ、また、装置の構成を簡略することも可能となる。
【0083】
(他の構成例)
カメラモジュール測定装置1は、図12に示すように、コンバータレンズ310とカメラモジュール100との間に4つの反射ミラー29(図12では2つのみ図示)を配置してもよい。
【0084】
各反射ミラー29は、その反射面の法線が光軸X2と垂直に交わる姿勢で、取り付けられている。すなわち、各反射ミラー29の反射面は、光軸X2に平行となっている。また、反射ミラー29は、光軸X2を交点の中心とし、互いに交わる2方向の各方向に、光軸X2を挟んで1対ずつ配置されている。すなわち、互いに対向する一対の反射ミラー29は光軸X2を挟んで対称に配置され、また他の一対の互いに対向する反射ミラー29も光軸X2を挟んで対称に配置される。そして、一対の反射ミラー29が配置される方向と、他の一対の反射ミラー29が配置される方向は、撮像素子のアスペクト比(画面の縦横比)に応じて設定される。
【0085】
このように反射ミラー29を配置することで、チャート320の光軸X2から離れた位置のチャート部分を撮像することができる。つまり、反射ミラー29を所望の像高に合わせた軸外の方向に設定するだけで、チャート320の広い範囲に亘って合焦状態を検出することができる。
【0086】
なお、各反射ミラー29は、CMOS104の撮像面の対角方向に一対ずつ互いに対向するように配置してもよい。また、反射ミラー29は4枚に限らず、1枚以上配置することで、ミラーが配置された方向について、軸外の広い範囲に亘って合焦状態を検出することができる。
【0087】
(他の構成例)
カメラモジュールの中には、図3に示すカメラモジュール110のように、レンズ鏡筒102の上端面102Aに、治具連結用の凹部106が形成されているものもある。このようなカメラモジュール110に対しては、上述の実施の形態に説明した回転調整機構300に換えて、図13に示す回転調整機構40としてもよい。回転調整機構300、チャンバー体27に換えて、凹部106に嵌合可能なツメ41を有するチャック体42を回転盤24に備えている。かかる構成の回転調整機構40においては、凹部106にツメ41を嵌合させた状態で、回転盤24を回転することで、レンズ鏡筒102を回転することができる。なお、図13においては、図7に示す回転調整機構300と同様な構成部分については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略する。また、図3に示すカメラモジュール100と同様な構成部分についても同一の符号を付し、その説明を省略または簡略する。
【0088】
回転調整機構40により、レンズ鏡筒102を回転させる動作を行うに当たり、凹部106にツメ41を嵌合させる必要がある。そこで、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させた後、ツメ41を光軸X2の周方向に回転させて、凹部106に嵌合させる。
【0089】
凹部106にツメ41が嵌合しているか否かは、たとえば、回転盤24の回転トルクを検出することにより判断することができる。ツメ41が凹部106に嵌合しているときの回転トルクは、嵌合していないときの回転トルクに比べて大きい。これは、ツメ41が凹部106に嵌合していないときは、ツメ41の下端面がレンズ鏡筒102の上端面102Aに対して摺動するため、レンズ鏡筒102を回転させるトルクが不要であるのに対し、ツメ41が凹部106に嵌合しているときは、レンズ鏡筒102を回転させるためのトルクが必要だからである。回転盤24の回転トルクの変動を検出することで、ツメ41が凹部106に嵌合していることを検出してから、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる。そして、上述の測定動作を行った後、測定結果に基づいてレンズ鏡筒102を所定方向に所定量回転させることで、撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させる。
【0090】
以上説明したカメラモジュール測定装置1によるピント調整作業において、レンズ鏡筒102が回転によりカメラモジュール100の本体から繰り出され、あるいは繰り込まれるが、ツメ41がチャック体42の下端面42Aから出入りする構成となっている。すなわち、回転調整機構400のチャック体42は、ツメ41を、図13に示すように、チャック体42の下端面42Aから下方に突出している状態と、上方に向けて移動する(下端面42Aからの突出長が短くなる)ことができるように構成される。つまり、ツメ41が上下に移動することで、レンズ鏡筒102の上下の移動が許容される。なお、ツメ41は、たとえば、図示を省略するスプリング等により、ツメ41の自重を支持できる程度の軽い付勢力で下方に向けて付勢されている構成となっている。したがって、ツメ41を上方に移動しても、ツメ41は、該付勢力により下方に押されて元の位置に復帰する。
【符号の説明】
【0091】
1,50 … カメラモジュール測定装置
3 … 保持部
4,40 … 回転調整機構)
6 … 画像評価用のチャート
6A … 格子点
6B … 格子線
6C(6C1,6C2) … 領域
7A … 合焦評価値演算部
7B … チャート合焦偏倚方向・量演算部
7C … ピントずれ方向・量演算部
7D … 回転演算部
17 … 移動機構
19 … チャート偏倚方向・量検出装置
22 … 吸着機構
23 … 回転機構
29 … 反射ミラー
51 … カメラモジュール搭載用のパレット
70 … カメラモジュール用接着剤塗付装置
100,110 … カメラモジュール
100a … 測定対象モジュール
101 撮影レンズ
104 … 撮像素子(CMOS)
200 … パレット(保持手段)
201 … 保持部
202 … レンズ側開口部
203 … パレット側当接部
204 … 位置決め当接部
205 … 押圧部側開口部(押圧手段側開口部)
211 … 第1部材
212 … 第2部材
300 … 回転調整機構(測定手段の一部)
301 … 回転調整機構側当接部(測定手段側当接部)
302 … モーター
303 … 回転駆動機構
310 … コンバータレンズ(測定手段の一部)
320 … 画像評価用のチャート(測定手段の一部)
400 … パレット駆動部(移動手段)
500 … 押圧駆動部(押圧手段の一部)
510 … 押圧部(押圧手段の一部)
511 … 電極
600 … 付勢部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズと撮像素子とが筐体等に組み込まれた一体的な構成であり、携帯電話やウェブカメラ等の電子機器に組み込まれて使用されるカメラモジュールが知られている。このようなカメラモジュールの製造にあたっては、画像評価用のチャートを撮影し、その撮像状態に基づいて、カメラモジュールのピント調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−301168号公報
【特許文献2】特開2006−208932号公報
【特許文献3】特開2009−3152号公報
【特許文献4】特開2009−302837号公報
【特許文献5】特開2006−30256号公報
【特許文献6】特開2007−57818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量の測定に当たって、その効率化を図るため、複数のカメラモジュールを1つのパレットに保持し、このパレットを測定機構に対して移動し、順次にカメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定することができる測定装置を発明し、先に特願2011−093095として出願した。
【0005】
一方、近年、撮像素子の高画素化等に伴い、より精度の高いピント調整が望まれている。精度の高いピント調整を行うためには、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を正確に測定する必要がある。このような測定を正確に行うためには、カメラモジュールの光学系の光軸(以下、被測定側光軸と記載する)と、測定装置の光学系の光軸(以下、測定側光軸と記載する)とが平行となるように、好ましくは一致するようにカメラモジュールを配置する必要がある。つまり、被測定側光軸が測定側光軸に平行になるように、パレットを測定側光軸に対して所定の姿勢(傾き)に保持すると共に、被測定側光軸が測定側光軸にできるだけ一致させるように、パレットを測定側光軸と直交する方向に移動させる必要がある。
【0006】
しかしながら、パレットは、カメラモジュールがパレット内で移動してしまわないようにしっかりと保持する必要があることから、それなりの強度が必要であり、重量も大きくならざるを得ない。そのため、パレットを所定の姿勢に保持するための機構が勢い大型化し、複雑化する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、比較的簡単な構成で、パレットを該所定の姿勢に保持することができるカメラモジュール測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラモジュール測定装置は、レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュールを個別に保持し、レンズに対して開口されるレンズ側開口部が形成される保持部を有する保持手段と、カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段と、カメラモジュールが1つずつ測定位置に配置されるように保持手段を移動する移動手段と、互いに当接する当接部であって、保持手段に設けられ、測定位置に配置される前記カメラモジュールの光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部、および、測定手段に設けられ、測定手段の光軸(測定側光軸)に直交する面内に配置され、測定側光軸を中心として測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部と、保持手段の測定位置に配置されるカメラモジュールを保持している保持部のレンズ側開口部とは反対側の部分に当接し、保持手段を測定手段に向けて押圧して、保持手段側当接部を測定手段側当接部に当接させる押圧手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
2以上のカメラモジュールはそれぞれ、レンズおよび撮像素子に加え、レンズを保持しているレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒を保持する筐体と、をさらに有し、レンズ鏡筒と筐体との間に形成されるネジ部に沿ってレンズ鏡筒が光軸中心に回転されることによりレンズと撮像素子の撮影面との距離が調整可能であり、測定手段により測定されたカメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量に基づいてレンズ鏡筒を回転させカメラモジュールのピント調整を行う回転手段を有し、測定手段側当接部は、ベアリングにより構成され、回転手段に備えられることが望ましい。
【0010】
保持手段は、保持部に保持されたカメラモジュールに当接することにより、カメラモジュールの測定手段側への移動を規制する位置決め当接部と、押圧手段が配置される側に開口する押圧手段側開口部と、を有し、押圧手段には、保持手段に当接している状態で、押圧手段側開口部を通してカメラモジュールを位置決め当接部に押圧する位置決め用押圧手段が備えられていることが望ましい。
【0011】
保持手段は、保持部が規則的に配列された平板状の部材として形成され、保持部は、カメラモジュールをその光軸を平板状の部材の面に直交させて保持する構造であり、レンズ側開口部の周辺の平坦な面が、保持手段側当接部となることが望ましい。
【0012】
押圧手段とは別に、保持手段を、保持手段側当接部と測定手段側当接部とが当接しない程度に測定手段に向けて付勢する付勢手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的簡単な構成で、パレットを所定の姿勢に保持することができるカメラモジュール測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置の主要部の構成を示す図であり、測定実施中の状態を示す図である。
【図2】図1に示すカメラモジュール測定装置において、測定手段が測定対象モジュールから離れた状態を示す図である。
【図3】カメラモジュールの構成例を示す図である。
【図4】パレットの構成例を示す図である。
【図5】本発明のカメラモジュール測定装置の全体的な構成例を示す図である。
【図6】図5に示すカメラモジュール測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】回転調整機構の構成を示す図であり、上段(A)は、回転調整機構の概略の構成を側面から見たときの図であり、下段(B)は、回転調整機構の吸着機構の概略の構成を斜め後方から見た拡大図である。
【図8】ピント調整のために用いられるチャートの構成を示す図であり、上段(A)は、チャートの全体を示した図であり、中段(B)は、チャートの一部分の拡大図であり、下段(C)は、チャートの構成を説明するための参考図でありチャートから色彩を省略した図である。
【図9】チャートの構成を説明するための参考図である。
【図10】カメラモジュール測定装置のピント調整動作を説明するフローチャートである。
【図11】CMOSの画素の露光タイミングと、垂直駆動信号の出力タイミングと、照明装置の点灯・消灯タイミングと、チャートの移動タイミングとを示すタイミングチャートである。
【図12】カメラモジュール測定装置の変形例の構成を示す図である。
【図13】回転調整機構の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施の形態に係るカメラモジュール測定装置1(図5参照)の主要部の構成を示す図である。図1は、回転調整機構300がカメラモジュール100に接して測定を行っている状態、図2は、回転調整機構300が測定対象のカメラモジュール100から離れた状態を示す。以下の説明において、回転調整機構300とカメラモジュール100とが配置される方向、すなわち光軸311に沿う方向を上下方向とし、カメラモジュール100に対して回転調整機構300が配置される方向を上方(上側)、その反対方向を下方(下側)として説明を行う。
【0017】
(カメラモジュール測定装置1の主要部の構成)
このカメラモジュール測定装置1は、図1に示すように、レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュール100を個別に保持し、カメラモジュール100に備えられる撮影レンズ101(図3参照)レンズに対して開口されるレンズ側開口部202が形成される保持部201を有する保持手段として、パレット200を備える。また、このカメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100のピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段として、回転調整機構300、コンバータレンズ310、および画像評価用のチャート320(以下、単に「チャート」という)を備える。さらに、このカメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100が1つずつ測定位置に配置されるようにパレット200を移動する移動手段として、パレット駆動部400を備える。パレット駆動部400は、コンバータレンズ310の光軸311に直交すると共に互いに直交する2方向であるx方向およびy方向にパレット200を移動させることができる。また、このカメラモジュール測定装置は、互いに当接する当接部であって、パレット200に設けられ、測定位置に配置されるカメラモジュール100(以下、「測定対象モジュール100a」という)の光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、被測定側光軸を中心として被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部としてのパレット側当接部203と、測定手段の回転調整機構300に設けられ、回転調整機構300の光軸である測定側光軸としての光軸311(測定側光軸)に直交する面内に配置され、光軸311を中心として光軸311の周囲に設けられる測定手段側当接部301とを備える。さらに、このカメラモジュール測定装置1は、パレット200の測定位置に配置される測定対象モジュール100aを保持している保持部のレンズ側開口部202とは反対側の部分に当接し、パレット200を回転調整機構300に向けて押圧して、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる押圧手段として、押圧駆動部500および押圧部510を備える。
【0018】
また、このカメラモジュール測定装置1は、回転調整機構300を駆動するためのモーター302および回転駆動機構303を備える。さらに、カメラモジュール測定装置1は、押圧駆動部500および押圧部510からなる押圧手段とは別に、パレット200を、パレット側当接部203と測定手段側当接部300とが当接しない程度に回転調整機構300に向けて付勢する付勢手段として、付勢部600を備える。押圧部510の上面には、測定対象モジュールに電気的に接続される電極511が配置されている。押圧部510は、パレット200に押圧されたときに変形しないように、ステンレス製の筐体から構成されている。筐体内部には、撮像素子104を駆動するための図外の中継基板が収納されている。このように、パレット200に当接する押圧部510内に該中継基板を収納することで、装置の大型化を抑えた構成で押圧部510を備えることができる。
【0019】
押圧部510のパレット200と当接する部分は平面に形成されている。押圧部510のパレット200と当接する部分は平面に形成されることで、押圧部510がパレット200に当接した際に押圧力が分散され、押圧力によるパレット200の変形を防止できる。
【0020】
また、押圧部510のパレット200と当接する部分は、測定手段側当接部301と上下方向において重なる部分を有する。つまり、押圧部510がパレット200に押圧されたときに、パレット200は、光軸311に平行な上下方向を測定手段側当接部301と押圧部510との間に挟まれる。そのため、押圧部510をパレット200に押圧したときに、押圧部510からパレット200に対してパレット200を変形させてしまう力が作用し難くなる。これに対し、押圧部510のパレット200に当接する部分が、測定手段側当接部301よりも光軸311側、あるいは光軸311から離れる側にずれている場合(押圧部510のパレット200に当接する部分と、測定手段側当接部301とが上下方向において重なる部分を有さない場合)には、押圧部510が押圧されるパレット200に、パレット200を湾曲させる力が作用し易くなる。そのため、測定対象モジュール100aの被測定側光軸と光軸311(測定側光軸)とを平行に配置し難くなる虞がある。
【0021】
図2に示すように、測定手段側当接部301および押圧部510がパレット200から離れている状態で、パレット駆動部400により、パレット200を水平方向(x−y方向)の面内に移動させることができる。この移動により、パレット200に保持されている個々のカメラモジュール100を、回転調整機構300に対して移動させることができる。そして、測定対象モジュール100aが回転調整機構300および押圧部510の間である測定位置に位置している状態で、押圧駆動部500により押圧部510を光軸311に沿う方向、本実施の形態では鉛直方向(この方向をz方向とする)に持ち上げる(移動させる)。これにより、図1に示すように、測定対象モジュール100aに電力供給および電気的測定のための電極511が接続されるとともにパレット側当接部203が測定手段側当接部301に当接される。
【0022】
(カメラモジュール100の測定)
図1に示す状態、すなわち測定対象モジュール100aに電極511が接続され、パレット側当接部203が測定手段側当接部301に当接されている状態で、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量の測定が行われる。つまり、測定対象モジュール100aにより、コンバータレンズ310を介して、コンバータレンズ310の光軸311の先に配置されたチャート320に示される画像を撮像する。この撮像結果の信号は、電極511および押圧部510内に収納される中継基板を介して取り出される。取り出された信号が信号処理され、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量が測定および評価される。この評価方法については、後で詳しく説明する。なお、カメラモジュール測定装置1は、該測定が終わった後、測定結果に基づいて、モーター302により回転駆動機構303を介して回転調整機構300を駆動し、この回転調整機構300が当接している測定対象モジュール100aの焦点位置を調節することができる。
【0023】
(測定のための位置合わせ)
この測定において、測定対象モジュール100aの光軸、すなわち被測定側光軸X1(図3参照)と、コンバータレンズ310の光軸311、すなわち測定側光軸とを、平行に配置し、できる限り一致させることが重要である。このためには、パレット200の位置とコンバータレンズ310の位置との関係を、正しく保つことが必要である。パレット駆動部400や押圧駆動部500等のパレット200の支持および駆動する機構に大掛かりな機構を用いれば、パレット200を水平に保つことが可能である。しかし、それではコストがかかってしまう。できれば、押圧部510の部分を押圧駆動部500により持ち上げるだけで、パレット200とコンバータレンズ310との位置関係を正しく配置し、測定対象モジュール100aの被測定側光軸X1とコンバータレンズ310の光軸311とを一致する状態に近づけたい。
【0024】
そこで、本実施の形態では、パレット200にパレット側当接部203を設け、回転調整機構300に測定手段側当接部301を設けている。これにより、パレット200が水平から傾いた状態で持ち上げられても、測定手段側当接部301にパレット側当接部203が当接したときに、パレット200は水平となる。つまり、パレット側当接部203はコンバーターレンズ310の光軸311に直交する配置となる。また、測定手段側当接部301がパレット200に当接することで、回転調整機構300と測定対象モジュール100aの間隔も所定の値に保つことができる。本実施の形態では、パレット側当接部203としては、レンズ側開口部202の周辺の平坦な部分が、そのまま用いられる。測定手段側当接部301としては、ベアリングが用いられる。
【0025】
図1および図2に示す実施の形態では、測定手段側当接部301が回転調整機構300に備えられている。このため、回転調整機構300の回転力がパレット200に伝わらないように、ベアリングを用いている。これに対して、測定対象モジュール100aの調整を行わない場合には、ベアリングは不要であり、単に、パレット200と測定手段とにそれぞれ、互いに当接する当接部が設けられる。測定手段側の当接部は、測定側光軸311に直交する面内に配置され、測定側光軸311を中心として測定側光軸311の周囲に、測定側光軸311に対称な配置で3個以上が設けられる。測定手段側の当接部は、測定側光軸311に対称な配置で3個以上が設けられることで、パレット200を水平に支持し易い。パレット200側の当接部としては、上述のようにレンズ側開口部202の周辺の平坦な部分を用いるパレット側当接部203でもよく、測定手段側の当接部と相補形状の特別の構造(たとえば凹凸形状が嵌合し合う構造)が、被測定側光軸X1に直交する面内に配置されてもよい。被測定側光軸X1を中心として被測定側光軸X1の周囲に、被測定側光軸X1に対称な配置で設けることで、パレット200を水平に支持し易くなる。
【0026】
なお、パレット200は、その4隅が付勢部600により上方向に付勢されており、それほど大きな力がなくても、押圧部510の部分で押し上げるだけで、測定対象モジュール100aを回転調整機構300に当接させることができる。付勢部600としては、たとえば、コイルバネが用いられる。付勢部600として、板バネや、空気バネなどを用いることもできる。
【0027】
(カメラモジュールの構造)
ここで、カメラモジュール100の構造について説明する。図3は、カメラモジュール100の概略の構成を示す図であり、カメラモジュール100の光軸X1に沿う断面を示している。図3に示すように、カメラモジュール100は、撮影レンズ101と、撮影レンズ101を保持するレンズ鏡筒102と、レンズ鏡筒102を保持する筐体103と、撮像素子としてのCMOS(Complementary
Metal Oxide Semiconductor)104等を有している。そして、カメラモジュール100は、撮影レンズ101と、撮影レンズ101を保持するレンズ鏡筒102と、レンズ鏡筒102を保持する筐体103と、撮像素子としてのCMOS104等が一つのユニットとして構成されている。したがって、カメラモジュール100は、この単位で携帯電話やウェブカメラ等の電子機器に組み込まれた状態で、カメラとしての機能を有する。
【0028】
撮影レンズ101により捕らえられた被写体光は、CMOS104の撮像面に受光させられる。レンズ鏡筒102と筐体103とは、ネジ部105によりネジ結合されている。したがって、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、ネジ部105のリードに従って撮影レンズ101を光軸X1に沿って移動することができる。つまり、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、撮影レンズ101の焦点位置を移動させることができる。カメラモジュール100は、撮影レンズ101の焦点位置が所定位置に調整された状態で、たとえば、レンズ鏡筒102と筐体103とに亘って塗付される接着剤により、レンズ鏡筒102が筐体103に対して回転しないように固定されることで、焦点調整が行われたカメラモジュール100として完成される。
【0029】
図1に戻って説明すると、図3に示すようなカメラモジュール100が、パレット200に保持されている。回転調整機構300は、測定された測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量に基づいてレンズ鏡筒102を回転させ測定対象モジュール100aのピント調整を行う回転手段として動作する。
【0030】
(パレット200の構成)
図4はパレット200の構成例を示す図である。図1と図4を参照して、パレット200の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、パレット200は、保持部201に保持されたカメラモジュール100の当接部103A(図3参照)に当接することにより、カメラモジュール100の回転調整機構300への移動を規制する位置決め当接部204を有し、また、押圧駆動部500および押圧部510が配置される側に開口する押圧手段側開口部としての押圧部側開口部205を有する。押圧部側開口部205は、測定対象モジュール100aに押圧部510の電極511を接続するための開口である。当接部103Aは、カメラモジュール100の筐体103の上面部であり、光軸X1に直交する面となっている。当接部103Aが位置決め当接部204に当接されたとき、光軸X1とパレット側当接部203とは直交する。
【0032】
保持部201には、それぞれカメラモジュール100が、上下に若干移動できるように保持される。電極511は、カメラモジュール100に当接する方向に若干の弾性を有しており、押圧部510が押圧駆動部500により押圧されると、電極511が、保持部201内の測定対象モジュール100aの当接部103Aをパレットの上側の内面、すなわち位置決め当接部204に押し付けることなる。すなわち、電極511は、押圧部510がパレット200に当接している状態で、押圧部側開口部205を通して測定対象モジュール100aを位置決め当接部204に押圧する位置決め用押圧手段として機能する。このように、測定対象モジュール100aの当接部103Aが位置決め当接部204に押し付けられることで、測定対象モジュール100aが位置決めされる。パレット200と測定対象モジュール100aは、測定対象モジュール100aの当接部103Aが当接部204位置決めされた状態で、測定モジュール100aの光軸X1とパレット側当接部203の面とが直交するように、あらかじめ構成される。
【0033】
パレット200は、たとえば、図4に示すように、保持部201が規則的に配列された平板状の部材として形成される。保持部201は、カメラモジュール100をその光軸X1を平板状の部材の面(パレット側当接部203)に直交させて保持する構造として形成される。レンズ側開口部202の周辺の面が、パレット側当接部203となる。
【0034】
パレット200を構成する平板状の部材は、たとえば、カメラモジュール100のレンズ鏡筒102を通すことができ、当接部103Aが位置決め当接部204に当接する大きさのレンズ側開口部202が設けられた第1部材211と、カメラモジュール100を第1部材211の裏側から固定する第2部材212とにより形成される。位置決め当接部204は、第1部材211に形成される。第2部材212は、カメラモジュール100を収容する貫通孔が設けられた部材と、押圧部側開口部205が設けられカメラモジュール100を裏から押さえる部材との2つの部材により形成されてもよい。第1部材211の表面は、レンズ側開口部202の周辺の面がパレット側当接部203となることから、耐久性を考えると、金属製であることが望ましい。第2部材212は、たとえばプラスチックにより形成される。
【0035】
以上の構成では、パレット200、回転調整機構300、コンバータレンズ310およびチャート320が、鉛直方向に配置されるものとした。光軸X1を光軸311に平行に配置し出来る限り一致させるためには、各部(パレット200、測定手段側当接部301、コンバータレンズ310およびチャート320等)に光軸X1に交差する方向への荷重が懸からないことが望ましい。しかし、光軸X1を光軸311に平行に配置し出来る限り一致させることができれば、これらが鉛直に配置される必要はなく、水平、あるいは他の方向に配置されてもよい。
【0036】
以下、上述したカメラモジュール測定装置1を利用する具体的なカメラモジュール100の測定について説明する。
【0037】
(カメラモジュール測定装置1の全体構成)
図5は、上述のカメラモジュール測定装置1の全体の構成例を示す図である。図6は、カメラモジュール測定装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0038】
カメラモジュール測定装置1には、ステージ2上に上述したパレット駆動部400、押圧駆動部500、付勢部600が備えられている。また、カメラモジュール測定装置1は、カメラモジュール100のレンズ鏡筒102を回転しレンズ鏡筒102の上下方向の位置調整を行う回転調整機構300と、コンバータレンズ310と、画像評価用のチャート320と、制御部7等を有している。そして、これらの部材あるいは機構等は、筐体8内に収容されている。なお、カメラモジュール100からチャート320に向かう方向は上方(上側)であり、その反対方向は下方(下側)である。
【0039】
筐体8には、カメラモジュール100を収容しているパレット200を筐体8に取り込んだり、筐体8内から取り出すことができる図示を省略する扉部が設けられている。筐体8は、扉部が閉じられた状態で筐体8内部を暗室状態とすることができるように構成されている。カメラモジュール測定装置1を操作するための操作スイッチや表示パネル等の図示を省略する操作部9(図6参照)は、筐体8の外部に備えられている。
【0040】
図5において、制御部7は、筐体8内に配置されている。しかしながら、制御部7は、筐体8の外部に備えられてもよく、たとえば、カメラモジュール測定装置1を制御するためのプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータを制御部7として用いてもよい。この場合、パーソナルコンピュータのキーボードを操作部9として用いる構成としてもよい。
【0041】
パレット駆動部400は、カメラモジュール測定装置1の光軸X2(コンバータレンズ310の光軸311)と測定対象モジュール100aの光軸X1とを一致させた状態に配置する。
【0042】
筐体8内には、上下方向に亘って配置されるベース体11が設けられ、回転調整機構300、コンバータレンズ310およびチャート320はベース体11に支持されている。
【0043】
回転調整機構300は、回転調整機構保持体12と移動機構13とを介して、ベース体11に支持されている。移動機構13は、回転調整機構保持体12と共に回転調整機構300を前後方向に移動することができる。移動機構13は、たとえば、軸方向を上下に配置されたリードスクリュー(図示省略)と、このリードスクリューにネジ結合し回転調整機構保持体12に対して取り付けられるボールネジ(図示省略)と、リードスクリューを回転させるモーター14(図6参照)等により構成することができる。つまり、移動機構13は、モーター14によりリードスクリューを回転することで、ボールネジを移動し、回転調整機構保持体12および回転調整機構300を上下方向に移動することができる。
【0044】
コンバータレンズ310は、レンズ保持体15を介して、ベース体11に対して固定された位置に取り付けられている。なお、コンバータレンズ310は、チャート320から出射される光をコリメートさせるコリメーターレンズとして構成されている。
【0045】
チャート320は、チャート保持体16と移動機構17とを介して、ベース体11に支持されている。移動機構17は、チャート保持体16と共にチャート320を上下方向に移動することができる。移動機構17は、移動機構13と同様に、たとえば、軸方向を上下に配置されたリードスクリュー(図示省略)と、このリードスクリューにネジ結合しチャート保持体16に対して取り付けられるボールネジ(図示省略)と、リードスクリューを回転させるモーター18(図6参照)等により構成することができる。つまり、移動機構17は、モーター18によりリードスクリューを回転することで、ボールネジを移動し、チャート保持体16およびチャート320を上下方向に移動することができる。
【0046】
移動機構17には、コンバータレンズ310の焦点位置F1に対するチャート320のチャート偏倚方向・量を検出する、チャート偏倚方向・量検出手段としてのチャート偏倚方向・量検出機構19(図6参照)が設けられている。チャート偏倚方向・量とは、焦点位置F1に対するチャート320のずれ方向(上方か下方か)と焦点位置F1とチャート320との間の距離(ずれ量)である。チャート偏倚方向・量検出機構19は、たとえば、ベース体11側に対して固定された位置に設けられるエンコーダー(図示省略)と、チャート保持体16側に設けられるエンコーダー読み取り機構(図示省略)とにより構成することができる。エンコーダー読み取り機構は、エンコーダーを挟んで配置される光センサと投光部とにより構成することができる。焦点位置F1は、測定対象モジュール100aの撮影レンズ101の焦点位置F2(図3参照)と共役な位置である。
【0047】
制御部7は、たとえば、CPUやROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、合焦評価値演算部7Aと、チャート合焦偏倚方向・量演算部7Bと、ピントずれ方向・量演算部7Cと、回転演算部7Dとを有する。制御部7は、ROMに記憶されている制御プログラムにより、CMOS104やチャート偏倚方向・量検出機構19等からの情報に基づいて上述の各演算部において所定の演算処理を行い、また、チャート320を照明する照明装置20(図6参照)やモーター14等、すなわちカメラモジュール測定装置1の駆動制御を行う。
【0048】
(カメラモジュール測定装置1の動作の概要)
上述の構成を有するカメラモジュール測定装置1の動作の概要を説明する。カメラモジュール100がセットされたパレット200がパレット駆動部400に取り付けられた後、制御部7は、測定対象モジュール100aを測定位置に移動させ、チャート320の撮影を行う。そして、制御部7は、CMOS104から得られる撮像信号に基づき、合焦状態に関する合焦評価値を合焦評価値演算部7Aにて演算する。
【0049】
合焦評価値の演算は、チャート320の光軸X2方向の3箇所以上(たとえば、20〜30箇所)の異なる位置における撮像信号について行われる。すなわち、制御部7は、移動機構17を駆動し、チャート320を上下に移動させ、3箇所以上の異なる位置で、カメラモジュール100にチャート320の撮影を行わせ、各位置における合焦評価値を合焦評価値演算部7Aにて演算する。すなわち、各位置に対応するチャート偏倚方向・量についての合焦評価値を演算する。
【0050】
次に、制御部7は、チャート合焦偏倚方向・量演算部7Bにて、演算された複数の合焦評価値に基づいて、合焦状態と判断される合焦評価値を得ることができるチャート偏倚方向・量であるチャート合焦偏倚方向・量を演算する。そして、制御部7は、このチャート合焦偏倚方向・量に基づいて、ピントずれ方向・量演算部7Cにて、撮影レンズ101の焦点位置F2とCMOS104の撮像面とのずれ量とずれ方向であるピントずれ方向・量を演算する。
【0051】
続いて、制御部7は、ピントずれ方向・量分だけレンズ鏡筒102を移動させるために必要なレンズ鏡筒102の回転量および回転方向を回転演算部7Dにて演算する。なお、レンズ鏡筒102の回転量および回転方向と、撮影レンズ2の移動量と移動方向とは予め既知の値としておく。そして、制御部7は、回転演算部7Dにて演算された回転量および回転方向に基づき、回転調整機構に300備えられるモーター302(図1,6参照)を駆動し、レンズ鏡筒102を回転させ撮影レンズ101の焦点位置F2とCMOS104の撮像面とを一致させる。
【0052】
(回転調整機構300の構成)
以下に、図7を参照しながら、回転調整機構300の構成について詳しく説明する。図7の上段(A)は、回転調整機構300の概略の構成を側面(光軸X2に直交する方向)から見たときの図であり、図7の下段(B)は、回転調整機構300の吸着機構22の概略の構成を斜め後方から見た拡大図である。
【0053】
回転調整機構300は、回転機構23と吸着機構22を有する。回転機構23は、回転調整機構保持体12に対して回転可能に支持される回転盤24と回転盤24を回転させるモーター302(図1,6参照)とを有する。回転盤24は、回転調整機構保持体12の後面に設けられるスリーブ25に嵌合され、スリーブ25と回転盤24との間に配置されるボールベアリング26とにより、回転調整機構保持体12に対して回転可能とされている。また、回転盤24は、モーター320(図1,6参照)の出力軸とプーリーおよびベルトで連結され、モーター302の駆動が回転駆動機構303により伝達可能とされている。
【0054】
吸着機構22は、チャンバー体27と、図示外の真空ポンプと、この真空ポンプとチャンバー体27とを連通する管部28とを有している。チャンバー体27は、回転盤24の下面に取り付けられ、回転盤24の回転と一体に回転することができる。チャンバー体27は、中央に上下に貫通する貫通孔27Aが形成されるリング状を呈している。チャンバー体27の内部には空気室27Bが形成されている。回転盤24の中央にも上下方向に貫通する貫通孔24Aが形成され、また、回転調整機構保持体12にも前後方向に貫通する貫通孔12Aが形成されている。したがって、回転調整機構保持体12および回転調整機構300は、貫通孔27A,24A,12Aにより上下方向に光を通過させることができる。
【0055】
チャンバー体27の下面27Cには、光軸X2の周囲に等間隔に配置される複数(図7(B)では8個)の孔部27Dが形成されている。したがって、真空ポンプにより空気室27B内を減圧すると、孔部27Dには吸引力が発生する。孔部27Dは、下面27Cをカメラモジュール100のレンズ鏡筒102の上端面102A(図7参照)に当接させたときに、上端面102Aに対向する位置に配置されている。
【0056】
したがって、チャンバー体27の下面27Cをレンズ鏡筒102の上端面102Aに当接し、真空ポンプにより空気室27B内を減圧し孔部27Dに吸引力を発生させると、チャンバー体27の下面27Cにレンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着することができる。つまり、チャンバー体27の下面27Cにレンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着した状態で、回転盤24を回転させ、回転盤24と共にチャンバー体27を回転させることで、レンズ鏡筒102を回転させることができる。回転盤24を回転させるモーター302は、たとえば、ステッッピングモーターにより構成することができ、所定の基準位置からのステップ数に基づき、回転盤24の回転方向と回転量(回転角)を制御することができる。
【0057】
チャンバー体27には、マイクロスイッチ(精密スナップアクションスイッチまたはセンシティブスイッチ)27Eが設けられている。マイクロスイッチ27Eは、チャンバー体27が、上方からレンズ鏡筒102に接近し、チャンバー体27の下面27Cがレンズ鏡筒102の前端面102Aに接触したときに、スイッチがオン(またはオフ)される。したがって、マイクロスイッチ27Eのオン・オフ状態を検出することで、チャンバー体27の下面27Cがレンズ鏡筒102の上端面102Aに接触しているか否かを検出することができる。
【0058】
(コンバータレンズ310の構成)
コンバータレンズ310はコリメーターレンズであり上方の焦点位置は焦点位置F1である。測定対象モジュール100aが所定の位置にセットされたときの撮影レンズ101の下方の焦点位置F2と焦点位置F1とは、光学的に共役な関係となっている。したがって、焦点位置F2にCMOS104の撮像面を配置することで、測定対象モジュール100aは、無限遠に焦点合わせされた撮影系として構成される。
【0059】
(チャート320の構成)
次に、図8を参照しながら、チャート320の構成について詳しく説明する。図8の上段(A)は、チャート320の全体を示した図である。図8の中段(B)は、チャート320の一部分の拡大図である。図8の下段(C)は、チャート320の構成を説明するための参考図である。
【0060】
図8(C)に示すように、チャート320は、格子点6Aが直角2等辺三角形の頂点を成す格子線6Bにて形成される領域6Cを有している。すなわち、各領域6Cは、直角2等辺三角形を呈している。そして、格子線6Bを挟んで隣接する領域6C、たとえば、領域6C1と領域6C1のコントラストは互いに異なっている。チャート320においては、図8(B)に示すように、白色と黒色にてコントラストが形成されている。
【0061】
上述のように形成されるチャート320は、縦横のエッジ6D,6Eと、縦横のエッジ6D,6Eに対して45度の角度で傾斜するエッジ6F,6Gを有している。つまり、チャート320は、縦方向および横方向の2方向と、縦方向と横方向に対して斜め45度の傾斜であって互いに傾斜方向が異なる2方向(すなわち、縦横方向を45度回転した方向)との4方向の指向性を有している。そして、チャート320は、図8(B)に示す単位チャート61Eが、格子線6Bを挟んで同一のコントラストとならないように複数配列されたものでる。そのため、チャート320は、全体として、チャートの指向性が少ないものとなっている。
【0062】
しかも、チャート320は、一定のパターンで広い範囲(たとえば、撮影レンズ101の撮影範囲)に亘って形成されている。そのため、どこの場所に注目しても(たとえば、像高の高さに因らず)特性(指向性、解像度)に差が生じ難いものとなっている。
【0063】
チャート320は、図9に示すように、チャート61Aとチャート61Bを重ねたときの排他的論理和により形成されるチャートと、チャート61Cとチャート61Dを重ねたときの排他的論理和により形成されるチャートとを重ねたときの排他的論理和により形成される構成となっている。すなわち、(チャート61Axorチャート61B)xor(チャート61Axorチャート61B)=チャート61Eであり、チャート320は、チャート61Eを複数有するチャートである。なお、排他的論理和においては、2つのチャートを重ねたときに、同色が重なった部分は白、異色が重なった部分は黒で表現することとしている。
【0064】
チャート61Aは、コントラストのエッジの方向が、図中上下方向(X方向)に設定されるチャートであり、チャート61Bは、コントラストのエッジの方向が、図中左右方向(Y方向)に設定されるチャートである。そして、チャート61Cは、コントラストのエッジの方向が、図中右上がり45度の傾斜に設定されるチャートであり、チャート61Dは、コントラストのエッジの方向が、図中左上がり45度の傾斜に設定されるチャートである。つまり、チャート320は、一枚のチャートで4つのチャート61A,61B,61C,61Dが有するエッジを有していることになる。したがって、チャート320は、チャート61A,61B,61C,61Dが有するエッジの方向を有している。
【0065】
チャート保持体16は、チャート320の前方に配置される照明装置20を有している。また、チャート320は、領域6Cの黒色の部分は、光の透過量が少なく構成され、領域6Cの白い部分は光の透過量が多く構成されている。したがって、照明装置20が点灯されると、チャート320の白色の部分は明部として表示され、黒色の部分が暗部として表示され、図8(A)(B)に示す白黒のチャート320として表示される。
【0066】
(カメラモジュール測定装置1の動作)
以下に、図8および図9を参照しながら、カメラモジュール測定装置1を用いて、測定対象モジュール100aのピントのずれ方向およびずれ量の測定動作について説明する。図10は、カメラモジュール測定装置1のピント調整動作を説明するフローチャートである。図11は、CMOS104の画素の電荷蓄積タイミング・データの読み出しタイミングと、垂直駆動信号の出力タイミングと、照明装置20の点灯・消灯タイミングと、チャート320の移動タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、本実施の形態にカメラモジュール測定装置1では、CMOS104をローリングシャッター方式にて駆動して読み出した撮像信号に基づき、合焦評価値の演算を行う構成となっている。
【0067】
測定動作に先立ち、先ず、制御部7は、パレット駆動部400を駆動して、測定対象モジュール100aを所定の位置に配置する。つまり、測定対象モジュール100aの撮影レンズ101の中心にコンバータレンズ310の光軸X2が通るように、測定対象モジュール100aを配置する。そして、制御部7は、押圧駆動部500を駆動し、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる。これにより、パレット200は水平となり、パレット側当接部203はコンバータレンズ310の光軸311に直交する配置となる。つまり、撮影レンズ101の光軸X1がコンバータレンズ310の光軸X2に一致する(または平行な状態で近接する)位置に配置され、後述する測定動作の精度の向上を図ることができる。なお、チャンバー体27は、回転盤24に対して、光軸311に沿って上下に弾性的に移動可能に取り付けられている。つまり、チャンバー体27を下方から上方に向かって押圧すると上方に向かって移動することができる。したがって、パレット側当接部203と測定手段側当接部301とが当接されている状態で、撮影レンズ101の上端面102Aがチャンバー体27の下面27Cに当接するとチャンバー体27が上方に移動することができる。また、カメラモジュール測定装置1の初期状態において、チャート320は、所定の初期位置に配置されている。
【0068】
チャート320の初期位置は、本実施の形態においては、レンズ鏡筒102が調整範囲の最上方に配置されているときに、CMOS104の撮像面に形成されるチャート320の像(以下、チャート像と記載する。)を合焦状態とすることができる位置よりも若干上方の位置としている。なお、チャート320の初期位置は、たとえば、レンズ鏡筒102が調整範囲の最下方に配置されているときに、チャート像を合焦状態とすることができる位置よりも若干下方の位置とすることもできる。カメラモジュール測定装置1の初期状態においては、照明装置20は、消灯状態とされている。したがって、筐体8内は暗状態であり、CMOS104の各画素には電荷の蓄積はない。
【0069】
測定動作においては、先ず、制御部7は、図11に示すように、垂直駆動信号がオフ(VD幅)のタイミングと時間長に合わせて、照明装置20を点灯させる(ステップS10)。照明装置20が点灯すると、CMOS104の撮像面にチャート像が形成される。制御部7は、CMOS104で撮像されたチャート像(CMOS104から送られて来る画像データ)を取得する(ステップS20)。そして、画像データに基づき、チャート像の合焦状態に関する合焦評価値を演算する(ステップS20)。そして、演算された合焦評価値が得られたときのチャート偏倚方向・量(焦点位置F1からのチャート320のずれ方向とずれ量)を取得し(ステップS20)、RAM等の所定の記憶手段に記憶する。チャート偏倚方向・量は、チャート偏倚方向・量検出機構19(図6参照)により検出される。
【0070】
照明装置20の点灯時間の長さは、図11に示す例では、VD幅に対応する時間としており、点灯時間が経過した後、照明装置20は消灯される。つまり、筐体8内は暗状態となる。したがって、CMOS104の各画素の電荷の蓄積は、VD幅に対応する時間で照明装置20の点灯が行われた間のみのものであり、この電荷が画像データとして掃き出された後は、再び、照明装置20が点灯するまでCMOS104には電荷の蓄積はない。なお、照明装置20の点灯時間の長さは、必ずしもVD幅に対応している必要はなく、点灯時間を調整できるようにすることもできる。その場合でも、調整量がごくずかな量であれば、CMOS104のローリングシャッターによる画像の歪を受けることはない。
【0071】
合焦評価値の演算は、たとえば、二乗平均平方根を用いる。つまり、チャート像が撮像された撮像素子の各画素のコントラストの階調(たとえば、0から255の256階調)の値について、二乗平均平方根(RMS)を求める。この場合、RMSが大きいほど、合焦状態が好適であることを示す。なお、画像データの場合には、一般的に負の値を取らないため、白と黒の中間のグレーを0とし、チャート320の黒部分の階調を1に、白部分の階調を−1に正規化し、撮像面のチャート像のRMSを求めるようにしてもよい。上記のように正規化した場合、チャート320のRMSは、1になる。したがって、撮像面のチャート像も1に近いほど、合焦状態が好適であることを示す。
【0072】
そして、制御部7は、チャート320が初期位置から所定の位置まで移動したか否かを判断する(ステップS30)。この所定の位置は、本実施の形態では、レンズ鏡筒102が調整範囲の最後方に配置されているときに、チャート320の結像が合焦状態でCMOS104の撮像面に結像する位置よりも若干後方の位置としている。チャート320が所定の位置まで移動していない場合(ステップS30においてNo)には、制御部7は、移動機構17を駆動して、チャート320を所定距離移動させて停止させる(ステップS40)。そして、制御部7は、図11に示すように、チャート320が停止している間に、垂直駆動信号がオフ(VD幅)のタイミングと時間に合わせて、照明装置20を点灯させる(ステップS10)。続いて、制御部7は、CMOS104で撮像されたチャート像(CMOS104から送られて来る画像データ)の取得と、合焦評価値の演算と、演算された合焦評価値に対応するチャート偏倚方向・量の取得を行い(ステップS20)、RAM等の所定の記憶手段に記憶する。
【0073】
チャート320が所定の位置まで移動するまで(ステップS30においてYes)、ステップS10〜S40)の処理を繰り返す。図11に示すように、カメラモジュール測定装置1は、垂直駆動信号のオフに併せてチャート320の移動が停止されると共に照明装置20が点灯され、照明装置20の消灯に併せてチャート320が移動され、照明装置20の次回の点灯前にチャート320の移動が停止され、チャート320が停止している間に垂直駆動信号のオフに併せて照明装置20が点灯され、という動作を繰り返す。したがって、チャート320の異なる複数のチャート偏倚方向・量についての合焦評価値を取得することができる。なお、ステップS20においては、画像データおよびチャート偏倚方向・量の取得のみを行い、チャート320が所定の位置まで移動した後(ステップS30においてYes)、後述するステップS50が実行される前に、チャート320の移動位置毎に合焦評価値を演算するようにしてもよい。
【0074】
なお、照明装置20を点灯する前よりも早い時期にチャート320の移動を停止することで、チャート320の移動や制動に伴って発生する機械的振動が収束した状態で、チャート像を撮像することができる。つまり、合焦評価値とチャート偏倚方向・量の精度を高くすることができる。
【0075】
制御部7は、チャート320が所定の位置まで移動した場合(ステップS30においてYes)には、上述のステップS10〜S40にて得られた複数の合焦評価値とチャート偏倚方向・量に基づいて、チャート合焦偏倚方向・量を演算する(ステップS50)。制御部7は、最も値の大きな合焦評価値に対応するチャート偏倚方向・量をチャート合焦偏倚方向・量として演算(決定)する。
【0076】
ところで、図11のA部分に示すように、CMOS104の電荷の読み出しタイミング(順番)が遅いライン(撮像面の右下の最終ラインに近いライン)については、照明装置20の点灯時間が電荷の蓄積時間から外れ、露光が不完全な画素(露光不完全画素)となることがある。かかる露光不完全画素は、正確なコントラスト情報を取得していないので、合焦評価値の演算用の情報としては好ましくない。そこで、各ラインの積算時間をできるだけ長くすることで、露光不完全画素の数を少なくすることができる。本実施の形態においては、各ラインの積算時間を、使用するCMOS104において設定できる範囲の最長とすることで、露光不完全画素の数を少なくしている。
【0077】
そして、制御部7は、ピントずれ方向・量演算部7Cにて、チャート合焦偏倚方向・量に基づいて、ピントのずれ方向およびずれ量(ピントずれ方向・量)を演算する(ステップS60)。ピントずれ方向・量は、下記の式(1)により算出することができる。
dfx={(a×fx)/(a−fx)}−fx ・・・ (1)
但し a=L−{fs(fs+dfs)}/dfs
dfx:ピントずれ方向・量
dfs:チャート合焦偏倚方向・量
fs:コンバータレンズ310の焦点距離
fx:撮影レンズ101の焦点距離
L:コンバータレンズ310と撮影レンズ101の主点間距離
【0078】
カメラモジュール測定装置1は、上述のようにして測定されたピントずれ方向・量に基づいて、次のようにしてカメラモジュール100のピント調整を行うことができる。筐体103に対してネジ部105にてネジ結合するレンズ鏡筒102は、ネジ部105に沿って筐体103に対して回転させられることで、ネジ部105のリードに従って撮影レンズ101を光軸X1に沿って移動することができる。つまり、レンズ鏡筒102をネジ部105に沿って筐体103に対して回転することで、撮影レンズ101の焦点位置を調整することができる。制御部7は、ピントずれ方向・量に基づいて、撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させるために必要なレンズ鏡筒102の回転方向と回転量を演算する(ステップS60)。レンズ鏡筒102の回転方向と上下方向について移動方向との対応、およびレンズ鏡筒102の回転量に対する上下方向への移動量との対応(所定の単位回転量に対する移動量との対応)は予め既知の値としておく。そのため、ピントずれ方向・量に基づいて撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させるために必要なレンズ鏡筒102の回転方向と回転量を演算することができる。
【0079】
次いで、制御部7は、下面27Cを上端面102Aに当接させた状態で図示外の真空ポンプを駆動し、孔部27Dに吸引力を発生させ、レンズ鏡筒102の上端面102Aをチャンバー体27の下面27Cに吸引する(ステップS70)。
【0080】
そして、制御部7は、ステップS60にて演算したレンズ鏡筒102の回転方向と回転量に基づいてモーター302(図1,6参照)を駆動し、レンズ鏡筒102を所定方向に所定量回転させる(ステップS80)。これにより、撮影レンズ101の焦点位置が撮像面に一致させられる。
【0081】
なお、レンズ鏡筒102が回転によりカメラモジュール100の本体から繰り出され、あるいは繰り込まれるが、チャンバー体27が、回転盤24に対して、上下に弾性的に移動可能に取り付けられている。つまり、チャンバー体27が上下に移動することで、レンズ鏡筒102の上下の移動が許容される。
【0082】
レンズ鏡筒102を回転する機構としては、たとえば、レンズ鏡筒102の上端面102Aに凹部を形成し、回転機構23の側に凹部に嵌合するツメを設け、凹部にツメを嵌合させて、レンズ鏡筒102を回転する機構を採用することもできる。しかしながら、かかる機構による場合は、ツメを凹部に嵌合させるために、凹部の位置を検出する時間を要し、また、検出するための機構を要する。これに対し、レンズ鏡筒102の上端面102Aを吸着する構成とすることで、凹部の位置を検出する時間と検出するための機構が不要となり、作業時間の効率化が図られ、また、装置の構成を簡略することも可能となる。
【0083】
(他の構成例)
カメラモジュール測定装置1は、図12に示すように、コンバータレンズ310とカメラモジュール100との間に4つの反射ミラー29(図12では2つのみ図示)を配置してもよい。
【0084】
各反射ミラー29は、その反射面の法線が光軸X2と垂直に交わる姿勢で、取り付けられている。すなわち、各反射ミラー29の反射面は、光軸X2に平行となっている。また、反射ミラー29は、光軸X2を交点の中心とし、互いに交わる2方向の各方向に、光軸X2を挟んで1対ずつ配置されている。すなわち、互いに対向する一対の反射ミラー29は光軸X2を挟んで対称に配置され、また他の一対の互いに対向する反射ミラー29も光軸X2を挟んで対称に配置される。そして、一対の反射ミラー29が配置される方向と、他の一対の反射ミラー29が配置される方向は、撮像素子のアスペクト比(画面の縦横比)に応じて設定される。
【0085】
このように反射ミラー29を配置することで、チャート320の光軸X2から離れた位置のチャート部分を撮像することができる。つまり、反射ミラー29を所望の像高に合わせた軸外の方向に設定するだけで、チャート320の広い範囲に亘って合焦状態を検出することができる。
【0086】
なお、各反射ミラー29は、CMOS104の撮像面の対角方向に一対ずつ互いに対向するように配置してもよい。また、反射ミラー29は4枚に限らず、1枚以上配置することで、ミラーが配置された方向について、軸外の広い範囲に亘って合焦状態を検出することができる。
【0087】
(他の構成例)
カメラモジュールの中には、図3に示すカメラモジュール110のように、レンズ鏡筒102の上端面102Aに、治具連結用の凹部106が形成されているものもある。このようなカメラモジュール110に対しては、上述の実施の形態に説明した回転調整機構300に換えて、図13に示す回転調整機構40としてもよい。回転調整機構300、チャンバー体27に換えて、凹部106に嵌合可能なツメ41を有するチャック体42を回転盤24に備えている。かかる構成の回転調整機構40においては、凹部106にツメ41を嵌合させた状態で、回転盤24を回転することで、レンズ鏡筒102を回転することができる。なお、図13においては、図7に示す回転調整機構300と同様な構成部分については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略する。また、図3に示すカメラモジュール100と同様な構成部分についても同一の符号を付し、その説明を省略または簡略する。
【0088】
回転調整機構40により、レンズ鏡筒102を回転させる動作を行うに当たり、凹部106にツメ41を嵌合させる必要がある。そこで、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させた後、ツメ41を光軸X2の周方向に回転させて、凹部106に嵌合させる。
【0089】
凹部106にツメ41が嵌合しているか否かは、たとえば、回転盤24の回転トルクを検出することにより判断することができる。ツメ41が凹部106に嵌合しているときの回転トルクは、嵌合していないときの回転トルクに比べて大きい。これは、ツメ41が凹部106に嵌合していないときは、ツメ41の下端面がレンズ鏡筒102の上端面102Aに対して摺動するため、レンズ鏡筒102を回転させるトルクが不要であるのに対し、ツメ41が凹部106に嵌合しているときは、レンズ鏡筒102を回転させるためのトルクが必要だからである。回転盤24の回転トルクの変動を検出することで、ツメ41が凹部106に嵌合していることを検出してから、パレット側当接部203を測定手段側当接部301に当接させる。そして、上述の測定動作を行った後、測定結果に基づいてレンズ鏡筒102を所定方向に所定量回転させることで、撮影レンズ101の焦点位置を撮像面に一致させる。
【0090】
以上説明したカメラモジュール測定装置1によるピント調整作業において、レンズ鏡筒102が回転によりカメラモジュール100の本体から繰り出され、あるいは繰り込まれるが、ツメ41がチャック体42の下端面42Aから出入りする構成となっている。すなわち、回転調整機構400のチャック体42は、ツメ41を、図13に示すように、チャック体42の下端面42Aから下方に突出している状態と、上方に向けて移動する(下端面42Aからの突出長が短くなる)ことができるように構成される。つまり、ツメ41が上下に移動することで、レンズ鏡筒102の上下の移動が許容される。なお、ツメ41は、たとえば、図示を省略するスプリング等により、ツメ41の自重を支持できる程度の軽い付勢力で下方に向けて付勢されている構成となっている。したがって、ツメ41を上方に移動しても、ツメ41は、該付勢力により下方に押されて元の位置に復帰する。
【符号の説明】
【0091】
1,50 … カメラモジュール測定装置
3 … 保持部
4,40 … 回転調整機構)
6 … 画像評価用のチャート
6A … 格子点
6B … 格子線
6C(6C1,6C2) … 領域
7A … 合焦評価値演算部
7B … チャート合焦偏倚方向・量演算部
7C … ピントずれ方向・量演算部
7D … 回転演算部
17 … 移動機構
19 … チャート偏倚方向・量検出装置
22 … 吸着機構
23 … 回転機構
29 … 反射ミラー
51 … カメラモジュール搭載用のパレット
70 … カメラモジュール用接着剤塗付装置
100,110 … カメラモジュール
100a … 測定対象モジュール
101 撮影レンズ
104 … 撮像素子(CMOS)
200 … パレット(保持手段)
201 … 保持部
202 … レンズ側開口部
203 … パレット側当接部
204 … 位置決め当接部
205 … 押圧部側開口部(押圧手段側開口部)
211 … 第1部材
212 … 第2部材
300 … 回転調整機構(測定手段の一部)
301 … 回転調整機構側当接部(測定手段側当接部)
302 … モーター
303 … 回転駆動機構
310 … コンバータレンズ(測定手段の一部)
320 … 画像評価用のチャート(測定手段の一部)
400 … パレット駆動部(移動手段)
500 … 押圧駆動部(押圧手段の一部)
510 … 押圧部(押圧手段の一部)
511 … 電極
600 … 付勢部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュールを個別に保持し、前記レンズに対して開口されるレンズ側開口部が形成される保持部を有する保持手段と、
前記カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段と、
前記カメラモジュールが1つずつ前記測定を行う測定位置に配置されるように前記保持手段を移動する移動手段と、
互いに当接する当接部であって、前記保持手段に設けられ、前記測定位置に配置される前記カメラモジュールの光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、前記被測定側光軸を中心として前記被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部、および、前記測定手段に設けられ、前記測定手段の光軸(測定側光軸)に直交する面内に配置され、前記測定側光軸を中心として前記測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部と、
前記保持手段の前記測定位置に配置される前記カメラモジュールを保持している前記保持部の前記レンズ側開口部とは反対側の部分に当接し、前記保持手段を前記測定手段に向けて押圧して、前記保持手段側当接部を前記測定手段側当接部に当接させる押圧手段と、
を備えることを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記2以上のカメラモジュールはそれぞれ、前記レンズおよび前記撮像素子に加え、前記レンズを保持しているレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒を保持する筐体と、をさらに有し、
前記レンズ鏡筒と前記筐体との間に形成されるネジ部に沿って前記レンズ鏡筒が光軸中心に回転されることにより前記レンズと前記撮像素子の撮影面との距離が調整可能であり、
前記測定手段により測定された前記カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量に基づいて前記レンズ鏡筒を回転させ前記カメラモジュールのピント調整を行う回転手段を有し、
前記測定手段側当接部は、ベアリングにより構成され、前記回転手段に備えられている、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記保持手段は、
前記保持部に保持された前記カメラモジュールに当接することにより、カメラモジュールの前記測定手段側への移動を規制する位置決め当接部と、
前記押圧手段が配置される側に開口する押圧手段側開口部と、
を有し、
前記押圧手段には、前記保持手段に当接している状態で、前記押圧手段側開口部を通して前記カメラモジュールを前記位置決め当接部に押圧する位置決め用押圧手段が備えられている、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記保持手段は、前記保持部が規則的に配列された平板状の部材として形成され、
前記保持部は、前記カメラモジュールをその光軸を前記平板状の部材の面に直交させて保持する構造であり、
前記レンズ側開口部の周辺の平坦な面が、前記保持手段側当接部となる
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記押圧手段とは別に、前記保持手段を、前記保持手段側当接部と前記測定手段側当接部とが当接しない程度に前記測定手段に向けて付勢する付勢手段を備える、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項1】
レンズとこのレンズを透過した光を受光する撮像素子とが1つのモジュール内に収容された2以上のカメラモジュールを個別に保持し、前記レンズに対して開口されるレンズ側開口部が形成される保持部を有する保持手段と、
前記カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量を測定する測定手段と、
前記カメラモジュールが1つずつ前記測定を行う測定位置に配置されるように前記保持手段を移動する移動手段と、
互いに当接する当接部であって、前記保持手段に設けられ、前記測定位置に配置される前記カメラモジュールの光軸(被測定側光軸)に直交する面内に配置され、前記被測定側光軸を中心として前記被測定側光軸の周囲に設けられる保持手段側当接部、および、前記測定手段に設けられ、前記測定手段の光軸(測定側光軸)に直交する面内に配置され、前記測定側光軸を中心として前記測定側光軸の周囲に設けられる測定手段側当接部と、
前記保持手段の前記測定位置に配置される前記カメラモジュールを保持している前記保持部の前記レンズ側開口部とは反対側の部分に当接し、前記保持手段を前記測定手段に向けて押圧して、前記保持手段側当接部を前記測定手段側当接部に当接させる押圧手段と、
を備えることを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記2以上のカメラモジュールはそれぞれ、前記レンズおよび前記撮像素子に加え、前記レンズを保持しているレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒を保持する筐体と、をさらに有し、
前記レンズ鏡筒と前記筐体との間に形成されるネジ部に沿って前記レンズ鏡筒が光軸中心に回転されることにより前記レンズと前記撮像素子の撮影面との距離が調整可能であり、
前記測定手段により測定された前記カメラモジュールのピントのずれ方向およびずれ量に基づいて前記レンズ鏡筒を回転させ前記カメラモジュールのピント調整を行う回転手段を有し、
前記測定手段側当接部は、ベアリングにより構成され、前記回転手段に備えられている、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記保持手段は、
前記保持部に保持された前記カメラモジュールに当接することにより、カメラモジュールの前記測定手段側への移動を規制する位置決め当接部と、
前記押圧手段が配置される側に開口する押圧手段側開口部と、
を有し、
前記押圧手段には、前記保持手段に当接している状態で、前記押圧手段側開口部を通して前記カメラモジュールを前記位置決め当接部に押圧する位置決め用押圧手段が備えられている、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記保持手段は、前記保持部が規則的に配列された平板状の部材として形成され、
前記保持部は、前記カメラモジュールをその光軸を前記平板状の部材の面に直交させて保持する構造であり、
前記レンズ側開口部の周辺の平坦な面が、前記保持手段側当接部となる
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラモジュール測定装置において、
前記押圧手段とは別に、前記保持手段を、前記保持手段側当接部と前記測定手段側当接部とが当接しない程度に前記測定手段に向けて付勢する付勢手段を備える、
ことを特徴とするカメラモジュール測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−101231(P2013−101231A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245050(P2011−245050)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(509304667)株式会社SUWAオプトロニクス (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(509304667)株式会社SUWAオプトロニクス (17)
【Fターム(参考)】
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