説明

カメラ用防水ケース

【目的】 防水構造を簡単にし、水中撮影時にカメラの機種が異なって共通に使用できるよう汎用性を持たせる。
【構成】 カメラ3を収納したカメラ用防水ケース1の上側面部に防水リモコン2を装着し、該リモコン2からの電磁波例えばリモコン信号光を、上記ケース1の電磁波透過部としての受光窓1cを介してケース1内に入射させ、ハーフミラー1f,1gで反射させた後、カメラ3の受光部3cに導く。上記リモコン信号光はカメラ動作に応じて予めコード化されているので、これによりカメラの機種が異なっても、1組のカメラ用防水ケースと防水リモコンにより水中撮影できる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はカメラ用防水ケース、詳しくはカメラを水中で使用する際の汎用性に優れたカメラ用防水ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
銀塩カメラ、電子スチルカメラあるいはビデオムービ等を水中で使用しようとする際には、そのカメラを防水ケースに収納する必要があり、カメラの機種毎のカメラ用防水ケースが、既に広く市販されている。
【0003】
この種従来のカメラ用防水ケースは、使用しようとするカメラの操作釦、巻上げレバーあるいはISO感度設定スイッチ等の各操作部材を水中でも容易に操作できるように、防水ケースにケースの外側より操作するための間接操作部材が設けてあり、当然のことながらその構造は完全に防水,防滴構造になっている。そして、水中でのカメラ保持を容易にするため、その両側面部に例えばグリップが設けられていて、水中撮影者がこのグリップを両手で握りながら、水中撮影を行うことができるようになっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカメラ用防水ケースでは、使用対象としている機種のカメラの各操作部材配置に合わせてその外形が定められているので、カメラの機種が変わると全く使いものにならなくなってしまう。更に、カメラの外観デザインに合わせて操作し易いように設計されているので、防水構造が複雑になってしまい、価格も高くならざるを得ないという別の問題点もあった。
【0005】
そこで本考案の目的は、上記問題点を解消し、水中撮影時にカメラの機種が異なっても共通に使用できる汎用性のあるカメラ用防水ケースを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案のカメラ用防水ケースは、カメラ制御用の電磁波が透過する透過部を有する。
【0007】
【作用】
このカメラ用防水ケースでは、その透過部をカメラ制御用の電磁波が透過する。
【0008】
【実施例】
以下、図示の実施例により本考案を説明する。まず本考案の実施例を説明するのに先立って、その基本構成を説明すると、複数機種のカメラに共通に使用することのできるカメラ用防水ケースと、この防水ケースに収納されたカメラと、このカメラを遠隔操作し上記カメラ用防水ケースと組合わされて使用される防水リモコンとから構成されている。そして以下の実施例では、本考案をカメラ一体型VTR(以下、カメラという)に適用し、これを防水リモコンから送出されるリモコン信号光によってカメラを制御する例で説明する。なおカメラに付属されるリモコンは、上記防水リモコンと区別するため、以下の説明中では専用リモコンボックスと呼称することにする。
【0009】
図2は本考案の第1実施例を示すカメラ用防水ケース1と、このケース1に装着して使用される防水リモコン2の外観斜視図で、いくつかの機種のカメラを収納することのできるカメラ用防水ケース1は、その前側面部に多くはワイドレンズからなる対物レンズ1aが、その後側面部に接眼レンズ1bが、上側面部に後述する防水リモコン2を収納する防水リモコン収納部1eと、この収納部1eの被写体寄りの近傍に配設されたリモコン着脱ノブ1kとが、また両側面部に水中撮影時に撮影者がこの防水ケース1を両手で保持するためのグリップ1hと1jとが、それぞれ配設されている。
【0010】
一方、後記図3,4で構造の詳細を説明する防水リモコン2には、上記図2に示すように、その上側面部にカメラ動作をモニタするLCD表示部2aと各種操作釦2bとが、また前側面部にリモコン信号光が送出される発光窓2cと、この防水リモコン2を上記カメラ用防水ケース1に装着したとき上記ケース1のリモコン着脱ノブ1kが係合される係止部2dとが、それぞれ配設されている。
【0011】
図1は、この第1実施例に係るカメラ用防水ケース1にカメラ3を内蔵し、防水リモコン2を上側面部の防水リモコン収納部1eに装着した状態における縦断面図である。このカメラ用防水ケース1の外筺には、上記カメラ3の専用リモコンボックス4からの信号光を透過する専用信号光受光窓1dと、内蔵カメラ3の撮像光学系3aに対応した位置に設けられ多くはワイドレンズ群からなる対物レンズ1aと、上記カメラ3のファインダ光学系3bに対応した位置に設けられた接眼レンズ1bと、上記防水リモコン2の発光窓2cを介して投光されたリモコン信号光を受光する、カメラ制御用の電磁波この場合光が透過する透過部としての受光窓1cとがそれぞれ防水構造を施されて配設されている。そして、ケース内部の図における左上隅部、左下隅部にハーフミラー1fと1gとがそれぞれ設けられている。
【0012】
このように構成されたこの第1実施例において、防水リモコン2から発光されたリモコン信号光が受光窓1cを透過してこのカメラ用防水ケース1に入射すると、該信号光は2点鎖線L1で示された信号光光路に沿って進み、内蔵カメラ3の図における左下隅部に設けられたリモコン信号光受光部3cに受光される。なお、このリモコン信号光は、通常の遠隔操作カメラにおけると同じように、カメラ動作に対応したリモコン信号光のコード化がなされているものとする。
【0013】
また、内蔵カメラ3は、その専用リモコンボックス4による遠隔操作も可能なようになっていて、同ボックス4からの専用リモコン信号光が、上記左下隅部に設けられた受光窓1dと上記ハーフミラー1gとを透過して、あるいは、防水リモコン2をカメラ用防水ケース1から取り外して使用する場合には、防水リモコン2からの信号光が、上記カメラ3のリモコン信号光受光部3cに入射されるようになっている。
【0014】
さて、汎用性のあるカメラ用防水ケースを提供するには、一般にカメラ3の機種によりカメラ動作に対応したリモコン信号のコードが異なるので、これに対応するため防水リモコン2としては所謂公知の学習リモコンを使用するのが好ましい。ここで学習リモコンについて簡単に説明する。学習リモコンは、カメラ用防水ケース1に収納して使用しようとするカメラ3の専用リモコンボックス4を、この防水リモコン2に密着させて使用すれば、その発光コードを読取って内部に記憶させておくことができ、また必要に応じてそのコードを所定の釦を操作することにより発光送信できる機能または装置のことである。これにより、防水リモコン2に汎用性を持たせることができる。
【0015】
上記図1,2に示したカメラ用防水ケース1と防水リモコン2からなる第1実施例によれば、この防水ケース1に収納して水中撮影することのできるカメラ3は、受光窓1cより受光され、ハーフミラー1f,1gで反射されたリモコン信号光を受光できる受光部3cが図示の位置に設けられていさえすれば事足り、カメラ3の機種の如何を問わない。
【0016】
上記防水リモコン2は、上記図1,2で説明したように、カメラ用防水ケース1の防水リモコン収納部1eにこの防水リモコン2を装着したとき、受光窓1cに対応した位置に透過部2cが配置されるようになっていて、その構造のあらましは図3,4のようになっている。
【0017】
図3,4は、防水リモコン2の縦断面図とその要部の分解斜視図で、上ケース21を下ケース27に防水用パッキン25を介在させてネジ33a,33b,……によりネジ止めすることにより防水構造が形成されている。
【0018】
上ケース21の上側面部(図4における下方)には、LCD表示部用開口孔21aと、後記操作用ゴム釦23a,23b,……の頭部が露出される丸孔21b1,21b2,……からなる操作パネル部21bとがそれぞれ設けられている。
そして、上記開口部21aには、例えばアクリル板等からなる透明板22が接着されている。また操作パネル部21bには、操作用ゴム釦23a,23b,……が配設され、例えばゴム等で形成されたゴム釦取付板23が、ゴム釦押え板24を介在させて止めネジ31a,31b,……によって取付けられている。なお、上記操作用ゴム釦23a,23b,……の中央の円柱状突起の先端には、導電性のゴム部材23a1,23b1がそれぞれ取付けられている。
【0019】
上記下ケース27の前側面部には、後記発光部26aから発光されるリモコン信号光を透過する発光窓2cが設けられ、その内部にPCB(プリントサーキットボード)26が取付けネジ32a,32b,……により取付けられるようになっている。このPCB26の上面には、PCB用コネクタ26gに挿入され、LCDフレキシブル基板26d(図3参照)に取付けられたLCD表示ユニット26bと、上記ゴム釦取付板23の操作用ゴム釦23a,23b,……に対応した位置に設けられた基板ランド部26c1,26c2,……がそれぞれ配設され、下面には、その前方寄りの上記発光窓2cに対応した位置にリモコン信号光を発光する発光部26aが、またその中央寄りにIC26eや抵抗26f(何れも図4参照)等の回路部品がそれぞれ取付けられている。
【0020】
このように構成された防水リモコン2においては、撮影者が上ケース21の上面から突出した操作用ゴム釦23a,23b,……の何れかを押下すると、押下されたゴム釦例えば23aに対応した導電性のゴム部材23a1がPCB26上の基板ランド部26c1に作用する。すると、該基板ランド部26c1が例えば導通する等により、上記IC26e、抵抗26f等からなる回路が作動して、発光部26aから、押下された操作用ゴム釦に対応したコードのリモコン信号光が発光される。
【0021】
図5は、この第1実施例の変形例の斜視図で、上記第1実施例では、防水リモコン2を、カメラ用防水ケース1の上側面部に装着したのに対し、この変形例では撮影者側から見た防水ケース1の左側面部と、この側面部に設けられたグリップ1jとの間に取付けるようにしたことで、この点を除けば上記第1実施例と異なるところがないので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部材についてのみ以下に説明する。
【0022】
図5において、カメラ用防水ケース1Aの撮影者より見た左側面部とグリップ1jの内側とに、防水リモコン2Aの両側面部を嵌入できる溝状の段部1mと1j1とをそれぞれ設け、防水リモコン2Aの破線が付された操作面を撮影者側に向けて同リモコン2Aを上方より嵌入して保持する。この場合、防水リモコン2Aの撮影者側から見た右側面部にリモコン信号光を透過する発光窓2nを設けると共に、この防水リモコン2Aをカメラ用防水ケース1Aに嵌入したときに上記発光窓2nに対応する位置にリモコン信号光の受光窓1nを設けるようにする。
この変形例によれば、防水リモコン2Aをカメラ用防水ケース1Aに装着し、同ケース1Aのグリップ1jと1h(図2参照)を両手で保持して水中撮影する際、図6に示すように、グリップから手を離すことなく左手5の親指5aで操作釦を操作することができる。更に、撮影者が防水リモコン2AのLCD表示部で操作内容をモニタしたい場合にも、接眼レンズ1b(図5参照)から目を離して、少し左に視線を移すだけで事足りる。
【0023】
また、この種防水リモコン2Aを保持する溝状の段部をこのカメラ用防水ケース1Aの各部に設ければ、水中撮影時の使い勝手が更に向上する。例えば撮影者側から見た右側面部とグリップ1hの内側とに上記溝状の段部を設ければ、水中撮影時に右手の親指で操作できることになる。
【0024】
図7は、この第1実施例の別の変形例の縦断面図で、上記第1実施例ではカメラ用防水ケース1の受光窓1cから入射したリモコン信号光をハーフミラー1f,1gで2回反射させてカメラ3に導いていたのに対し、この変形例では、防水ケース1Bの例えば上部内周面に固着された支持部材1pに一端を保持された螺旋状のワイヤ6aで光ファイバ6を支持し、この光ファイバ6によりリモコン信号光を内蔵カメラ3(図示せず)に導くようにしている。この点を除けば上記第1実施例と異なるところがないので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0025】
この別の変形例によれば、光ファイバ6を支持するワイヤ6aがフレキシブルなので、防水ケース1Bに内蔵されたカメラ3を多少移動しても、そのリモコン信号受光部3c(図1参照)にリモコン信号光を導くことができる。
【0026】
図8は、本考案の第2実施例を示すカメラ用防水ケース1Cと防水リモコン2Bの斜視図で、上記第1実施例では上記両者間におけるリモコン信号の伝送を光により、いわば無線で行っていたのに対し、この第2実施例では接続ケーブルで、いわば有線で行うようにした点が異なる。この点を除けば上記第1実施例と異なるところがないので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部材についてのみ以下に説明する。
【0027】
接続ケーブル11の一端に設けられたコネクタ11aがカメラ用防水ケース1Cの側面部に設けられた端子1Caに、また上記ケーブル11の他端に設けられたコネクタ11bが防水リモコン2Bの端子2Baにそれぞれ接続されている。
そして、上記防水リモコン2Bからカメラ用防水ケース1Cへのリモコン信号の伝送が、上記接続ケーブル11内の接続線を介して行われる。
【0028】
この場合、接続ケーブル11の一端に設けられたコネクタ11a内に発光部を、防水ケース1Cの端子1Ca内に受光部をそれぞれ設け、防水リモコン2Bからのリモコン信号を上記コネクタ接続部で光電変換して防水ケース1Cに伝送してもよいこと勿論である。
【0029】
上記第2実施例によれば、海中の適当な場所にこのカメラ用防水ケース1Cに格納されたカメラを設置し、接続ケーブル11で接続された防水リモコン2Bを遠隔操作することにより、自然のままの海中の生態等を撮影することができる。
この場合、上記接続ケーブル11は通常長いので、カメラ用防水ケース1Cに格納されたカメラあるいは防水リモコン2Bを海中で使用している際の紛失を防止することができる。
【0030】
図9は、上記第2実施例の変形例の斜視図で、上記第2実施例では防水リモコンからカメラ用防水ケースへのリモコン信号の伝送を、接続ケーブル11による言わば有線で行っていたのに対し、この変形例では光ファイバ12によると共にカメラ用防水ケース側の接続を吸盤によった点が異なる。これらの点を除けば上記第2実施例と異なるところがないので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部材についてのみ以下に説明する。
【0031】
上記光ファイバ12の端末処理を図10により説明する。防水リモコン2Cの発光部(図示せず)から発光されたリモコン信号光は、同リモコン2Cのコネクタ部2C1に接続された光ファイバ12のコネクタ部12aから同ファイバ内に導入され、同ファイバ12の他端に設けられた発光部13を発光させる。この発光部13が設けられた光ファイバ端には、椀状の吸盤14が上記光ファイバ12に気密に接着されていて、上記図9に示すカメラ用防水ケース1Dの受光部が装着されている透明な側面部に密着されるようになっている。
【0032】
なお、上記変形例では防水リモコンから防水ケースへのリモコン信号を光の形態で光ファイバ12で伝送して発光部13を発光させるとして説明したが、光ファイバに代えて接続ケーブルを用い、防水リモコン2Cからのリモコン信号を電気信号の形態で発光部13に導いて該発光部13を発光させることにより、リモコン信号の伝送を行ってもよいことは言うまでもない。この場合、カメラ用防水ケースは、光を透過させる筐体であるものとする。
【0033】
また、上記各実施例では防水ケースに格納される機材をカメラ一体型VTRとして説明したが、本考案はこれに限定されることなく銀塩カメラや電子スチルカメラ等にも広く適用することができる。更に、カメラ制御信号を光で説明したが、超音波や電波等を含む電磁波に広く適用可能なこと勿論である。
【0034】
上記各実施例によれば、 (1)水中撮影しようとするカメラに専用の防水ケースを必要とせず複数の機種に兼用できる。且つ上記カメラに専用の遠隔操作部材も必要としない。
【0035】
(2)このカメラ用防水ケースの外筺には、対物レンズ,接眼レンズの他、防水リモコンを装着する凹部と、この防水リモコンからのリモコン信号光を受光する受光窓とがあればよいので、防水構造が簡単になる。
【0036】
(3)カメラの操作状態を防水リモコンのLCD表示部上で確認できると共に、該リモコン上の操作部ですべてのカメラ動作が可能なので操作性がよくなる。
【0037】
(4)学習リモコンを使用したり、リモコン信号光の伝送を変形可能な光ファイバで行う等により、カメラの機種が異なっても、1組のカメラ用防水ケースと防水リモコンを用いて水中撮影できる。
【0038】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、カメラ制御用の電磁波が透過する透過部をカメラ用防水ケースに設けたので、防水構造を簡単に実現することができ、汎用リモコンを使用すれば、使用するカメラの機種が異なっても共通に防水して水中撮影できるという顕著な効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例を示すカメラ用防水ケースの縦断面図。
【図2】上記第1実施例におけるカメラ用防水ケースと防水リモコンの斜視図。
【図3】上記図2における防水リモコンの縦断面図
【図4】上記図3における主要な構成部材の分解斜視図。
【図5】上記第1実施例の変形例の要部斜視図。
【図6】上記図5における操作状態を説明する図。
【図7】上記第1実施例の別の変形例の要部縦断面図。
【図8】本考案の第2実施例を示すカメラ用防水ケースの斜視図。
【図9】上記第2実施例の変形例の斜視図。
【図10】上記図9における光学ファイバと防水リモコンの側面図。
【符号の説明】
1 …カメラ用防水ケース
1c…受光窓(透過部)

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 カメラ制御用の電磁波が透過する透過部を有することを特徴とするカメラ用防水ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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