説明

カメラ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカメラ、詳しくは、カメラの本体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、比較的ズーム比の大きいカメラが商品化されており、それらのカメラにおいては、鏡筒であるレンズユニットの重量や容積が大きいためにカメラボディ内の強度の確保が重要な問題となっていた。その問題を解決するものとして、例えば、従来の5倍ズームレンズ付きの1眼レフカメラは、そのカメラボディを、図11のカメラボディ構造の分解斜視図に示すように剛性の高い前板ユニット103と撮影レンズを保持するレンズユニット104とを剛性の高い本体ユニット102に固着して構成するようにして、カメラボディ全体の剛性を高めている。
【0003】上記カメラボディの構造を詳しく説明すると、図11の分解斜視図に示すように、上記前板ユニット103は、フォーカスプレーンシャッタユニット102を介してパトローネ室101aを有するカメラ本体である本体ユニット101に固着される。更に、該本体ユニット101には外装ユニットである後蓋ユニット105が後方より装着されるものとする。
【0004】また、図12は、上記カメラボディの結合状態を示した図であって、直接、C31部でレンズユニット104と前板103がビスにより固着される。また、C32部でシャッタユニット102を介して上記前板ユニット103と本体ユニット101とが同様にビスにより固着される。
【0005】図13は、上記のように前板ユニット103,本体101等により組み立てられたカメラボディに外装ユニットを取り付ける状態を示す分解斜視図である。即ち、前板ユニット103にはペンタプリズム110と上部カバ−ユニット107がビスにより固着される。また、本体101には、カバ−ユニット106,グリップユニット108,後蓋ユニット105が同様にビスにより固着される。このように本従来のカメラボディは前板ユニット103と本体ユニット101とレンズユニットが一体化された構造を持ち剛性も高いので、上記各外装ユニットを無理なく装着することが可能となっている。なお、上記グリップユニット108内にはストロボコンデンサ109が収納される。
【0006】一方、従来の3倍ズームレンズ付きのレンズシャッタ式カメラの場合、カメラボディ構造は、一般的に図14の分解斜視図に示すように、剛性の高いレンズユニット112にならってカメラ本体である本体ユニット111を固着する構造を採用している。図15は、上記カメラボディ構造の結合状態を示した図であって、螺着部C41にてレンズユニット112のフランジ部と本体ユニット111とをビスを用いて固着し、カメラボディを構成している。
【0007】このレンズシャッタ式カメラの場合、レンズユニット112のみが高剛性部材である。従って、図1616のカメラボディと外装ユニットの分解斜視図に示すように、カメラボディとのビスの螺着によるねじれ変形を防止するため、レンズユニット112の先端部を前方外装ユニット114の開口部に嵌合せしめて、該外装ユニット114のレンズユニット112に対する位置の規制を行っている。そして、カメラボディの本体ユニット111に外装ユニットである後カバー113(後蓋は不図示)の押圧部C42を合わせ、更に、該後カバー113と上記前方外装ユニット114とが螺着部C43にてビス止めされる。このようにして上記外装ユニットは、カメラボディに直接的にビス止めされることなく保持される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の図11R>1,13に示した1眼レフカメラのボディ構造においては、前板ユニット103と、更に、レンズユニット104と共に剛性を高くする必要があることから、カメラボディとして高価なものになる。更に、上記剛性の高い前板ユニット103は大きい配設スペ−スを必要とすることからカメラの体格が大型化する。
【0009】また、上述の図14,16に示したレンズシャッタ式カメラのボディ構造においても同様に、レンズユニット104の剛性を高くする必要があり、また、カメラボディの変形を避けるために外装ユニットを直接カメラボディに螺着できないなどの不具合があった。
【0010】本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであり、カメラの小型化が可能であって、外装ユニットのカメラボディへの固着も容易であり、しかも、低コストのカメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるカメラは、撮影光軸と略直交する平面上に配設された剛性平板と、該平板に取り付けられた本体ユニットと、該平板に取り付けられた撮影レンズユニットと、上記本体ユニットを覆う第1の外装ユニットと、上記第1の外装ユニットに締結されることで、上記本体ユニット及び上記撮影レンズユニットを覆うものであって、上記平板に接することにより、該平板が上記撮影光軸と略直する方向へ移動するのを防止すると共に、該平板の上記撮影光軸の方向の位置決めをする、位置決め部を有する第2の外装ユニットとを具備することを特徴としまた、上記本体ユニットに形成され、上記剛性平板に上記本体ユニットを取り付ける際に光軸方向で当接する本体側固着部を具備ることを特徴とする。
【0012】
【作 用】上記構成において、上記平板及び上記平板に取り付けられた上記本体ユニットは、上記第1の外装ユニットと上記第2の外装ユニットとが締結されることにより上記撮影光軸の方向で挟持されるまた、上記第1の外装ユニットと上記第2の外装ユニットとを締結する際に、上記第1の外装ユニットは、上記本体ユニットの上記本体側固着部近傍に光軸方向延長上で当接して上記本体ユニットを保持する。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施例のカメラのカメラボディの分解斜視図である。なお、上記図1以下の各図において、符号Oは、撮影レンズ光軸を示すものとする。
【0014】上記図1に示すように、本実施例のカメラは、1眼レフカメラであって、そのカメラボディ11は、パトローネ室1a,スプール室1bを有するカメラ本体である本体ユニット1と、フォーカルプレーンシャッタで構成されるシャッタユニット2と、前板ユニット3と、打ち抜き加工で製作された金属製の剛性平板であって、撮影レンズ光軸Oと直交する平面に配設されるBプレートユニット4と、レンズユニット5で構成される。なお、上記Bプレートユニット4以外の上記本体ユニット1と、シャッタユニット2のケース部と、前板ユニット3と、レンズユニット5の枠部等は樹脂モールド部材とする。そして、上記本体ユニット1とレンズユニット5の枠部の各々に比較して、Bプレートユニット4の方が、撮影レンズ光軸Oと直交する方向の変形に対する剛性は大きいものとする。
【0015】上記カメラボディ11における各構成部材の結合状態について、上記図1と、結合状態の平面図、および、側面図である図2、3を用いて説明すると、まず、シャッタユニット2を挟んた状態で本体ユニット1と前板ユニット3とを、本体ユニット1のネジ穴1cと前板ユニット3のビス穴3cを介してビスにより、図2上の結合部C3 で結合する。一方、レンズユニット5とBプレートユニット4の前面側とを、Bプレートユニット4のネジ穴4eとレンズユニット5のビス穴5eを介してビスで、図2,3の結合部C2 で固着する。
【0016】そして、上記レンズユニット5が固着されたBプレートユニット4の後面側に前記前板ユニット3が固着された本体ユニット1が、Bプレートユニット4のビス穴部4dと本体ユニット1のネジ穴1dで、図2R>2,3の結合部C1 にてビスにより固着される。
【0017】以上のように1枚の強度部材であるBプレートユニット4を介して上記各ユニット1,2,3,5を取り付けて、十分な剛性を有するカメラボディ11を得ることができる。そして、上記各ユニット1,2,3,5は、必要最小限の剛性を持たせるだけでよく、樹脂モールド化,薄肉化が可能となる。更に、後述するようにカメラ外装ユニット等の取り付けに対して好都合となる。
【0018】なお、上記カメラボディ11には、本体ユニット1とBプレートユニット4を介して駆動系が組み込まれている動力ユニット6が装着される。即ち、図3に示すようにその底面部に結合部C5 にて動力ユニット6がビスにより固着される。更に、該動力ユニット6は、上記Bプレートユニット4と結合部C4 にてビスにより固着される。
【0019】図4,5は、上記動力ユニット6の平面図と、正面図である。本図に示すように動力ユニット6には駆動モータ12と、巻き戻しフォークギヤー部13と、スプールギヤー部14が配設されている。また、動力ユニット6には本体ユニット1、および、Bプレートユニット4と結合するためのビス穴6gと6hが設けられている。なお、図6の本体ユニット1の裏面図に示すように、該本体ユニット1の底面部には上記ビス穴6gに対応してネジ穴1gが設けられている。また、本体ユニット1の底面部には、巻き戻しフォーク挿入口1i,スプールギヤー挿入口1jも配設されている。
【0020】図7は、上記本体ユニット1,Bプレートユニット4,レンズユニット5等で構成されるカメラボディ11と、各外装ユニットの装着状態を示す分解斜視図である。外装ユニットである後カバー7は、カバーユニット8に取り付けられることにより押圧部C10が本体ユニット1を押圧する。また、外装ユニットであるカバーユニット8は、Bプレートユニット4に対して該ユニット4の本体ユニット1との固着部近傍である後述する嵌入部C12にて保持される。この状態でカバーユニット8が後カバー7に、ネジ穴8a(図8参照)とビス穴7a介してビスにより取り付けられる。そして、本体ユニット1は、Bプレートユニット4と後カバー7とにより挟持された状態になる。
【0021】なお、図8は、上記カバーユニット8の背面図であって、中央のレンズユニット用の中央開口部の両側部に2つのBプレートユニット基準位置決めボス8fと、4つのBプレートユニット位置規制部である嵌入突起8gが配設されている状態を示している。そして、図9は、カバーユニット8と後カバー7とカメラボディ11との結合状態を示す分解斜視図であって、上記カバーユニット8を上記図8のA−A′断面で示し、上記後カバー7も同様に断面で示した図である。
【0022】カバーユニット8は、その基準ボス8fをBプレートユニット4の基準穴4f(図1,図7参照)に嵌入せしめて位置決めし、更に、その嵌入突起8gに前記嵌入部C12であるBプレートユニット4の側端部を嵌入せしめ押圧保持される。この状態で前述のようにカバーユニット8と後カバー7がビス止めされ、カメラボディ11が挟持される。
【0023】以上、説明したようにカメラボディ11に後カバー7,カバーユニット8などの各外装ユニットを取り付ける場合、本体ユニット1やBプレートユニット4とが連続している部分を上記外装ユニット同志で挟み込むようにして、Bプレートユニットに対して位置決めし、保持する。従って、ビス締めによる変形が生じることもなく、カメラの小型化、低コスト化が実現できる。
【0024】図10は、本発明の第2実施例のカメラのカメラボディの結合状態を示した図である。本実施例は、本発明をレンズシャッタ式のカメラに適用した場合の実施例である。図10に示すように、本実施例のカメラにおけるカメラボディ21は、本体ユニット22とレンズユニット23が、撮影レンズ光軸Oと直交する平面に配設される剛性平板であるBプレートユニット24に同一方向から結合部C21,C22にてビスで固着される。なお、上記Bプレートユニット24は、打ち抜き加工で製作された金属製の平板とする。
【0025】本実施例のカメラにおいても、剛性の高いBプレートユニット24に本体ユニット22とレンズユニット23を取り付けることによって、該ユニット22,23の剛性が低いとしても、カメラボディ21としては高い剛性を持たせることが可能となる。このように前記第1実施例の場合と同様に本体ユニット22とレンズユニット23とを特に高剛性のものにする必要がなくなり、更に、上記カメラボディ21に外装ユニットを装着するに際しても、上記カメラボディ21を外装ユニット同士で挟み込むようにして、位置決め、保持が可能となり、ビス締めによる変形が生じることもなく、カメラの小型化、低コスト化が実現できる。
【0026】
【発明の効果】上述のように本発明のカメラは、撮影光軸と略直交する剛性平板に本体ユニットと撮影レンズユニットを取り付けると共に、剛性平板及び本体ユニットを外装ユニット同士で挟み込むようにして位置決め及び保持を可能としたことにより、本体ユニット及び撮影レンズユニットを特に高剛性のものとする必要がなく、ビス締めによる変形が生じることもなく、カメラの小型化が可能となり、外装ユニットのカメラ本体への装着も容易となり、しかも、低コストのカメラを提供することができる。また、外装ユニットにより剛性の高くない本体ユニットを挟持する際に、外装ユニットと本体ユニットとの光軸方向での当接部を、本体ユニットが剛性平板により補強された剛性のある部分とすることで、変形がより生じ難くなる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すカメラのカメラボディの分解斜視図。
【図2】上記図1のカメラのカメラボディの結合状態を示す平面図。
【図3】上記図1のカメラのカメラボディの結合状態を示す側面図。
【図4】上記図1のカメラの動力ユニットの平面図。
【図5】上記図1のカメラの動力ユニットの正面図。
【図6】上記図1のカメラの本体ユニットの裏面図。
【図7】上記図1のカメラのカメラボディと外装ユニットの装着状態を示す分解斜視図。
【図8】上記図1のカメラの外装ユニットであるカバ−ユニットの背面図。
【図9】上記図1のカメラのカメラボディと外装ユニットの結合状態を示す平面図。
【図10】本発明の第2実施例を示すカメラのカメラボディの結合状態を示す平面図。
【図11】従来例を示す1眼レフカメラのカメラボディの分解斜視図。
【図12】上記図11のカメラのカメラボディの結合状態を示す平面図。
【図13】上記図11のカメラのカメラボディと外装ユニットの装着状態を示す分解斜視図。
【図14】別の従来例を示すレンズシャッタ式カメラのカメラボディの分解斜視図。
【図15】上記図14のカメラのカメラボディの結合状態を示す平面図。
【図16】上記図14のカメラのカメラボディと外装ユニットの装着状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1,22 …………………本体ユニット
4,24 …………………Bプレートユニット
(剛性平板)
5,23 …………………レンズユニット
7 …………………後カバー(外装ユニット)
8 …………………カバーユニット
(外装ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影光軸と略直交する平面上に配設された剛性平板と、該平板に取り付けられた本体ユニットと、該平板に取り付けられた撮影レンズユニットと、上記本体ユニットを覆う第1の外装ユニットと、上記第1の外装ユニットに締結されることで、上記本体ユニット及び上記撮影レンズユニットを覆うものであって、上記平板に接することにより、該平板が上記撮影光軸と略直する方向へ移動するのを防止すると共に、該平板の上記撮影光軸の方向の位置決めをする、位置決め部を有する第2の外装ユニットと、を具備し、上記平板及び上記平板に取り付けられた上記本体ユニットは、上記第1の外装ユニットと上記第2の外装ユニットとが締結されることにより上記撮影光軸の方向で挟持されることを特徴とするカメラ。
【請求項2】 上記本体ユニットに形成され、上記剛性平板に上記本体ユニットを取り付ける際に光軸方向で当接する本体側固着部を具備し上記第1の外装ユニットと上記第2の外装ユニットとを締結する際に、上記第1の外装ユニットは、上記本体ユニットの上記本体側固着部近傍に光軸方向延長上で当接して上記本体ユニットを保持することを特徴とする請求項1に記載のカメラ

【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図1】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate


【図12】
image rotate


【図15】
image rotate


【図7】
image rotate


【図11】
image rotate


【図13】
image rotate


【図14】
image rotate


【図16】
image rotate


【特許番号】特許第3283109号(P3283109)
【登録日】平成14年3月1日(2002.3.1)
【発行日】平成14年5月20日(2002.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−167214
【出願日】平成5年7月6日(1993.7.6)
【公開番号】特開平7−20549
【公開日】平成7年1月24日(1995.1.24)
【審査請求日】平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】実開 昭60−150533(JP,U)
【文献】実開 昭63−137330(JP,U)