説明

カラーフィルタ及び多面付けカラーフィルタ、並びにその製造に用いる感光性着色組成物

【課題】1枚の基板上に画素ピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタが面付けされていても、画素ピッチ幅の違いによって生じる画素膜厚の差が低減された多面付けカラーフィルタ、その製造に用いることができる感光性着色組成物を提供する。
【解決手段】基板上に画素のピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタ2、3が面付けされている多面付けカラーフィルタ1において、前記画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カラー液晶表示装置やカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタ及び多面付けカラーフィルタ、並びにその製造に用いる感光性着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、第6世代(G6:1500mm×1800mm)、第8世代(G8:2160mm×2400mm)、第10世代(G10:2850mm×3050mm)と呼ばれる大型ガラス基板の上に、同じ画素ピッチ幅を有するカラーフィルタを多面付けし、その後、個別に裁断して生産されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、カラーフィルタのサイズによっては、大型ガラス基板に余白(前記サイズのカラーフィルタが形成できない部分)が生じる場合があり、その余白を有効利用するために異なる(小さな)サイズのカラーフィルタを面付けしたいという要望がある。
【0004】
通常、カラーフィルタのサイズが異なると、画素ピッチ幅は異なる。であるから、基板上に複数種のカラーフィルタが面付けされている多面付けカラーフィルタには、ピッチ幅が異なる画素が存在することになる。
【0005】
このようなカラーフィルタでは、画素ピッチ幅が広いところと狭いところで、出来上がった画素の膜厚が異なるという問題が発生する。すなわち、画素ピッチが広いカラーフィルタに比べ、画素ピッチ幅が狭いカラーフィルタの画素膜厚は厚く仕上がってしまい、色相が異なってしまう問題が発生している。この現象は画素ピッチの差が大きくなるほど、膜厚の差も大きくなる傾向を持っている。
【0006】
この原因としては、画素ピッチ幅(開口部)の大小に係わらず、感光性着色組成物(レジスト)が開口部に流れ込む量が一定のため、広いところに比べて狭いところにおいて画素膜厚が厚くなると考えられる。特に、3色目の画素を形成する際には、両サイドの開口部に画素がすでに形成されており、レジストの流れ込む量が1〜2色目と比べ大量になるため、膜厚差が更に広がる状況である。
【0007】
そこで本発明者らは、この画素のピッチ幅の違いにより生じる膜厚差を改善することを目的とし検討を行ったところ、感光性着色組成物中に含まれる顔料量の比率を多くし、流動性を制御することで改善できることが判明した。しかしながら、ただ単に着色顔料量を多くしてしまうと、色相が濃くなってしまうという別の問題が発生する。
そこで、顔料量を増やすために、着色顔料とは別に無色透明の体質顔料を加えることにより、膜厚差を低減し、所望の色相を得ることができる感光性着色組成物を作製することで膜厚差を改善できることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−219733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
1枚の大型ガラス基板上に画素ピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタが面付けされていても、画素ピッチ幅の違いによって生じる画素膜厚の差が低減された多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタ、並びにその製造に用いることができる感光性着色組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、第1の発明は、基板上に画素のピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタが面付けされている多面付けカラーフィルタにおいて、前記画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とする多面付けカラーフィルタである。
また、第2の発明は、画素のピッチ幅が最も広いカラーフィルタの画素膜厚を1とした場合に、画素ピッチ幅がそれよりも狭いカラーフィルタの画素膜厚が1〜1.1であることを特徴とする請求項1記載の多面付けカラーフィルタである。
また、第3の発明は、基板上に画素を有するカラーフィルタにおいて、前記画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とするカラーフィルタ。
また、第4の発明は、少なくとも、着色顔料、体質顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる感光性着色組成物であって、該感光性着色組成物の全固形分に対して着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とする感光性着色組成物である。
更に、第5に発明は、体質顔料が、酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムの群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の感光性着色組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係わる多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタによれば、画素を形成する感光性着色組成物(レジスト)中に含まれる顔料量の比率を多くし、流動性を制御することで、小さな開口部に流れ込む感光性着色組成物の量を、大きな開口部に流れ込む感光性着色組成物の量より小さくすることが可能である。それにより、画素の膜厚差は小さいものとなる。また、顔料は無色透明の体質顔料であるので、色相の変化もない。
また、本発明に係わる感光性着色樹脂組成物によれば、前記多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタを通常の工程により製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係わる感光性着色組成物は、少なくとも、着色顔料、体質顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる感光性着色組成物であって、該感光性着色組成物の全固形分に対して着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有する。
【0014】
ここで、本発明の着色組成物に含有される着色顔料としては、一般に市販されている有機顔料を用いることができ、形成するフィルタセグメントの色相に応じて、染料、天然色素、無機顔料を併用することができる。有機顔料としては、発色性が高く、且つ耐熱性、特に耐熱分解性の高いものが好適に用いられる。有機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよい。
【0015】
以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。本発明の着色組成物を用いて赤色フィルタセグメントを形成する場合には、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、184、185、187、192、200、202、208、210、216、220、223、224、226、240、242、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、オレンジ色顔料を併用することができる。
【0016】
本発明の着色組成物を用いて緑色フィルタセグメントを形成する場合には、C.I.PigmentGreen 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
【0017】
本発明の着色組成物を用いて青色フィルタセグメントを形成する場合には、C.I.PigmentBlue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、64、80等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には紫色顔料を併用することができる。
【0018】
また、体質顔料とは、特に限定されるのではないが、酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムの群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。また、透明性の点から、体質顔料の平均粒子径が500nm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明に係わる感光性着色組成物においては、感光性着色組成物の全固形分に対して着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有する。
【0020】
これにより、画素を形成する感光性着色組成物(レジスト)中に含まれる顔料量の比率が通常より多くなり、小さな開口部に流れ込む感光性着色組成物の量を、大きな開口部に流れ込む感光性着色組成物の量より小さくすることが可能である。それにより、画素の膜厚差は小さいものとなる。また、顔料は無色透明の体質顔料であるので、色相の変化もない。
【0021】
また、透明樹脂とは、前記着色顔料、体質顔料を分散させる樹脂であって、画素パターン露光後の現像において、未露光部がアルカリ性現像液により溶解除去出来る樹脂をいう。具体的には、アルキルアクリレート、環状アクリレート、環状メタクリレート、ヒドロキシエチルエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル系モノマーとエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーからなるアクリル系透明樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート透明樹脂、多官能エポキシ樹脂にエチレン性の不飽和基を有するラジカル重合性のモノマーを付加させたタイプの樹脂を使用することが出来る。ただし、上記樹脂に限定されるものではない。
【0022】
また、光重合性モノマーとは、露光することで重合するモノマーであって、具体的には多官能アクリレート一群、すなわちペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどが上げられる。
【0023】
また、光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0024】
また、感光性樹脂組成物には、基板上の塗布を容易にするため、溶剤を含有させることが好ましい。溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独で、もしくは混合して用いる。
【0025】
感光性樹脂組成物には、塗工性向上、感度の向上、密着性の向上などを目的として、連鎖移動剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加しても良い。
【0026】
感光性樹脂組成物は、各成分を混合し、シェーカー、デスパー、サンドミル、アトライター等の各種分散装置を用いて分散することにより製造することができる。
【0027】
次に、本発明に係わる多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタを説明する。
本発明に係わる多面付けカラーフィルタは、基板上に画素のピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタが面付けされている。
【0028】
ここで基板とは大型のガラス基板である。画素のピッチ幅とは、1画素を構成する最小単位あたりの長さであり、通常、対角42インチのカラーフィルタにおいては、456μm程度、対角15.6インチのカラーフィルタにおいては222μm程度である。
【0029】
本発明の多面付けカラーフィルタにおいて、画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とする。この画素は前記感光性樹脂組成物を塗布、パターン露光、現像、乾燥させることにより形成することができる。
【0030】
なお、通常のカラーフィルタの場合、赤色、緑色、青色の三原色の画素が形成されているが、黄色等の補色のフィルタが形成されていても良い。
【0031】
最後に、多面付けカラーフィルタは、TFT基板と張り合わせる直前か、張り合わせた直後にダイアモンドカッター等を用いて小切れのカラーフィルタに断裁される。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明に係わる実施例を図1を参照して説明を行なう。
【0033】
(感光性着色組成物の製造)
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」およ
び「%」とは「質量部」および「質量%」をそれぞれ意味する。
【0034】
まず、実施例および比較例で用いたアクリル樹脂溶液および顔料分散体の調製について
説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測
定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
【0035】
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、n−ブチルメタクリレート55.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、アクリル樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、測定結果に基づき、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。得られたアクリル樹脂の質量平均分子量Mwは40000であった。
【0036】
(着色顔料分散体の調製)
表1に示す組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体PR、緑色顔料分散体PG、および青色顔料分散体PBを調製した。このときの各数値の単位は重量%である。
【表1】

【0037】
・PR254:ジケトピロロピロール系顔料(C.I. Pigment Red 254)
(チバ・ジャパン社製「イルガフォーレッドB−CF」)
・PR177:アントラキノン系顔料(C.I. Pigment Red 177)
(チバ・ジャパン社製ズ社製「クロモフタールレッドA2B」)
・PG36:ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料(C.I. Pigment Green 36)
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)
・PB15:6:ε型銅フタロシアニン顔料(C.I. Pigment Blue 15:6)
(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
・PY150:ニッケルアゾ錯体系顔料(C.I. Pigment Yellow 150)
(ランクセス社製「E4GN」)
・樹脂型顔料分散剤:日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」)
・アクリル樹脂溶液:先に調製したアクリル樹脂溶液
・有機溶剤:シクロヘキサノン
【0038】
(感光性着色組成物の調製)
表2に示す処方(重量%)で各材料を混合・攪拌し、1μmのフィルタで濾過して、比較例1、実施例1〜5をそれぞれ調製した。
【表2】

【0039】
・着色顔料分散体:先に調整した青色顔料分散体PB
・体質顔料:日産化学社製「オルガノシリカゾル:PMA-ST」
・アクリル樹脂溶液:先に調整したアクリル樹脂溶液
・光重合性モノマー:東亞合成社製「アロニックスM402」
・光重合開始剤:1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタノン1−(0−アセチルオキシム)〕(チバ・ジャパン社製「イルガキュア OXE02」)
・溶剤:シクロヘキサノン
【0040】
(多面付けカラーフィルタ及びカラーフィルタの製造)
本実施例においては、対角42インチ、画素ピッチ幅が456μmのカラーフィルタA2と、対角15.6インチ、画素ピッチ幅が222μmのカラーフィルタB3を形成した多面付けカラーフィルタ1を製造する。
【0041】
(ブラックマトリックス付基板の製造)
透明基板として大型ガラス基板を用い、ガラス基板上に市販の黒色感光性着色組成物を塗布、乾燥した。その上に、対角42インチのブラックマトリックスパターンの形成されたフォトマスクを4回使用し、ステッピング露光を行った。続いて、ガラス基板の余白部に対角15.6インチのブラックマトリックスパターンの形成されたフォトマスクを3回使用し、ステッピング露光を行った。次いで、現像を行い、ガラス基板上に4つの対角42インチと3つの対角15.6インチのブラックマトリックスを形成した。
【0042】
(画素の製造)
前記ブラックマトリックス付ガラス基板上に、スリットコータにより、表2の実施例1〜5、比較例1に記載の組成の感光性着色組成物を塗布、乾燥した。その上に、対角42インチの画素パターンの形成されたフォトマスクを4回使用し、ステッピング露光を行った。続いて、ガラス基板の余白部に対角15.6インチの画素パターンの形成されたフォトマスクを3回使用し、ステッピング露光を行った。次いで、現像を行い、ガラス基板上に4つの対角42インチと3つの対角15.6インチの赤色画素を形成した。同様に緑色画素と青色画素を形成した。
【0043】
(結果)
実施例1〜5、比較例1の多面付けカラーフィルタの画素膜厚と形状を測定した。結果は表3の通りである。B−Aの画素膜厚より、実施例1〜5に係わる多面付けカラーフィルタの画素膜厚が比較例1の画素膜厚差を1とした場合、実施例1〜5の画素膜厚差は1〜1.1倍以下であることがわかる。このことより、感光性着色組成物の全固形分中に含まれる顔料量を多くすることにより画素膜厚差を小さく出来ることが分かった。

【表3】

【0044】
なお、表3中の断面形状とは、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成した画素の断面形状をSEMにて観察した際に開口部に流れ込んだ感光性樹脂組成物が順テーパーであるか、逆テーパーであるかの目視判断である。このとき、感光性着色組成物の全固形分中に含まれる体質顔料量が30%を超えると、断面形状が逆テーパーになる。このため、体質顔料量は30%を超えないことが好ましい。また、顔料量が55%を超えてしまうと、光重合性モノマーや光重合性開始剤を減らさなくてはならず、画素形成が出来なくなるため好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、カラー液晶表示装置やカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタ及び多面付けカラーフィルタ、並びにその製造に用いる感光性着色組成物に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 多面付けカラーフィルタ
2 カラーフィルタA(大)
3 カラーフィルタB(小)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に画素のピッチ幅が異なる複数種のカラーフィルタが面付けされている多面付けカラーフィルタにおいて、前記画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とする多面付けカラーフィルタ。
【請求項2】
画素のピッチ幅が最も広いカラーフィルタの画素膜厚を1とした場合に、画素ピッチ幅がそれよりも狭いカラーフィルタの画素膜厚が1〜1.1であることを特徴とする請求項1記載の多面付けカラーフィルタ。
【請求項3】
基板上に画素を有するカラーフィルタにおいて、前記画素に含まれる着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項4】
少なくとも、着色顔料、体質顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤からなる感光性着色組成物であって、該感光性着色組成物の全固形分に対して着色顔料と体質顔料を合わせた固形分量が20〜55重量%であり、且つ、全固形分中に1〜30重量%の体質顔料を含有していることを特徴とする感光性着色組成物。
【請求項5】
体質顔料が、酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムの群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の感光性着色組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2011−137913(P2011−137913A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296870(P2009−296870)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】