説明

カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法

【課題】利用者が会員登録していない企業の車両であっても、一時的に利用者がその車両を利用することができるカーシェアリングシステム及び方法を提供する。
【解決手段】一の企業のサーバ210が、会員の会員IDを受信し、この会員IDが、この一の企業のサーバ210に登録された会員IDとして認証されるか否かを判断し、一の企業のサーバ210が会員IDを認証しなかった場合には、地域車両利用サーバ100に、一の企業のサーバ210で認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知し、これに応じて、地域車両利用サーバ100は、一の企業のサーバ以外の複数のサーバ220等に、会員IDの認証を要求し、要求に対する応答として、一の企業のサーバ以外のサーバ220等から、会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行し、一時的な仮会員IDを携帯端末10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングシステム、カーシェアリング方法に関し、特に、情報通信技術を活用して、顧客がカーシェアリングを効率的に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、環境問題に対しての意識が向上していることから、社会に優しい車や、社会に優しい交通システムが望まれている。特に、CO2排出量の削減の観点から、カーシェアリングが注目されている。カーシェアリングは、一般的には、レンタカーよりも、短時間でかつ短距離で車両を利用するサービスである。例えば、カーシェアリングは、商店街周辺や市役所周辺など、コミュニティの一定地域で利用される。すなわち、カーシェアリングは、地域性のある狭い領域で行われることで、車両の利用効率とCO2の削減効果を高めることが可能である。また、このカーシェアリングを行うための車両は、電気自動車やハイブリッド自動車であることで、さらに、削減効果を高めることが可能である。
【0003】
このカーシェアリングを効率的に実行するために、車両の利用者の携帯電話に内蔵されたICカードを車両の鍵の代わりにして、利用者に車両を利用することが知られている(例えば、特許文献1)。また、特許文献2では、管理サーバで管理された電子キーにより、車両のドアを解錠することが知られている。このように、特許文献1、特許文献2の技術によれば、利用者の識別IDを利用することで、車両の利用者を管理サーバ側から制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−237842号公報
【特許文献2】特開2008−117076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2のように、利用者が持参したICカード等のIDで車両の解錠を行うには、当然ながら、利用者はそのカーシェアリングのサービスを提供する企業に、予め会員登録していなければならない。すなわち、利用者が会員登録している企業の車両については、これらの方法により、自由に車両を利用することができるが、会員登録していない車両については、その利用者は利用することができない。
【0006】
例えば、カーシェアリングを行う企業が多数存在する地域においては、カーシェアリングのステーションに行くと、自分が会員登録していない企業の車両は駐車しているが、自分が会員登録している企業の車両は、駐車していない場合がある。この場合、利用者は、その未登録の企業の車両が目の前にあっても、利用することができない。しかし、カーシェアリングは、CO2削減等の環境問題の対策のために有効な手段であり、企業を越えて、活発に利用者に利用させたいという要望がある。
【0007】
そこで、本発明では、利用者が会員登録していない企業の車両であっても、一時的に利用者がその車両を利用することができるカーシェアリングシステム及びカーシェアリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の入力装置は、以下のような解決手段を備える。
(1) 車両を利用する会員が使用する端末と、前記車両の利用について認証を行う複数の企業のサーバと、地域車両利用サーバと、から構成されるカーシェアリングシステムであって、
一の企業のサーバが、
前記会員の会員IDを、前記端末から受信する会員ID受信手段と、
前記会員IDが、当該一の企業のサーバに登録された会員IDとして認証されるか否かを判断する登録会員認証手段と、
前記一の企業のサーバが前記会員IDを認証しなかった場合には、前記地域車両利用サーバに、前記一の企業のサーバで認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知する未登録ID通知手段と、
前記地域車両利用サーバは、
前記一の企業のサーバ以外の他の企業のサーバに、前記会員IDの認証を要求する認証要求手段と、
前記要求に対する応答として、前記他の企業のサーバから、前記会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行する仮会員ID発行手段と、
前記一時的な仮会員IDを前記端末に送信する仮会員ID送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、一の企業のサーバが、会員の会員IDを、端末から受信し、会員IDが、当該一の企業のサーバに登録された会員IDとして認証されるか否かを判断する。そして、一の企業のサーバが前記会員IDを認証しなかった場合には、地域車両利用サーバに、一の企業のサーバで認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知する。これに応じて、地域車両利用サーバは、一の企業のサーバ以外の他の企業のサーバに、会員IDの認証を要求し、要求に対する応答として、他の企業のサーバから、会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行する。そして、地域車両利用サーバは、この一時的な仮会員IDを端末に送信する。したがって、利用者が会員登録していない企業の車両であっても、仮会員IDにより、一時的に利用者がその車両を利用することができる。
【0010】
(2) 上記駐車場予約システムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記地域車両利用サーバは、前記端末から、前記車両の利用時間、利用料金、目的地の少なくとも一つの入力を受付けた結果に応じて、前記車両の利用を許可する車両利用許可データを、前記端末に送信する利用許可手段を、備えることを特徴とする。
【0011】
したがって、ユーザから入力された利用希望時間に応じて、車両の利用を許可することが可能である。
【0012】
(3) 上記駐車場予約システムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記端末は、前記車両を特定する車両情報の入力を受け付けて、前記車両情報に基づいて、認証する前記一の企業のサーバを決定するサーバ決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
したがって、ユーザから入力された車両情報に基づいて、地域車両利用サーバが認証要求する企業のサーバを決定するため、効率的に企業のサーバの認証要求をすることが可能であり、早期の認証を実現することが可能である。
【0014】
(4) 上記駐車場予約システムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記車両に備えられた車両端末をさらに備え、
前記車両端末は、前記端末に備えるICカードを認識し、認識したICカードから会員IDを受信する会員ID受信手段と、
受信した会員IDと前記車両に関する車両情報とを、前記一の企業のサーバに送信する会員ID送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
したがって、端末ではなく、会員IDと、車両情報を車両端末から送信することが可能である。
【0016】
(5) 上記駐車場予約システムは、さらに以下のような解決手段を備えることができる。前記地域車両利用サーバは、前記一の企業のサーバ又は前記端末から、前記車両の位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、前記一の企業のサーバ以外の複数のサーバのうち、どのサーバに認証要求するか決定する認証要求サーバ決定手段を備えることを特徴とする。
【0017】
したがって、端末の位置情報に基づいて、どの企業のサーバに認証要求するかを決定することが可能である。
【0018】
(6) 車両を利用する会員が使用する端末と、前記車両の利用について認証を行う複数の企業のサーバと、地域車両利用サーバと、から構成されるカーシェアリングシステムが実行するカーシェアリング方法であって、
一の企業のサーバが、
前記会員の会員IDを受信するステップと、
前記会員IDが、当該一の企業のサーバに登録された会員IDとして認証されるか否かを判断するステップと、
前記一の企業のサーバが前記会員IDを認証しなかった場合には、前記地域車両利用サーバに、前記一の企業のサーバで認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知するステップと、を実行し、
前記地域車両利用サーバは、
前記一の企業のサーバ以外の複数のサーバに、前記会員IDの認証を要求するステップと、
前記要求に対する応答として、前記一の企業のサーバ以外のサーバから、前記会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行するステップと、
前記一時的な仮会員IDを前記端末に送信するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0019】
したがって、利用者が会員登録していない企業の車両であっても、仮会員IDにより、一時的に利用者がその車両を利用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、利用者が会員登録していない企業の車両であっても、一時的に利用者がその車両を利用することができるカーシェアリングシステム、カーシェアリング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態であるカーシェアリングシステム全体を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態であるカーシェアリングシステムを構成する車両端末20、携帯端末10、地域車両利用サーバ100、A社サーバ210、B社サーバ220の機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の好適な実施形態である仮会員ID発行処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の好適な実施形態である会員ID送信処理(携帯端末)処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の好適な実施形態である会員ID送信処理(車両端末)を示すフローチャートである。
【図6】本発明の好適な実施形態である認証要求処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の好適な実施形態である仮会員IDテーブルを示す図である。
【図8】本発明の好適な実施形態である携帯端末10に表示される画面イメージを示す図である。
【図9】本発明の好適な実施形態である携帯端末10に表示される画面イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ図番号を付している。
【0023】
[カーシェアリングシステムの全体構成]
図1は、カーシェアリングシステム1の全体構成を示す図である。カーシェアリングシステム1は、車両50に搭載された車両端末20と、公衆回線網3と、地域車両利用サーバ100と、一の企業のサーバであるA社サーバ210と、B社サーバ220と、C社サーバ230と、車両が駐車するための駐車場であるカーステーション500とを含む。図1では、一の企業のサーバとして、A社、B社、C社のサーバのみ記載しているが、地域車両利用サーバ100がアクセス可能なサーバとして、複数の企業のサーバと通信可能に接続されていることが望ましい。
【0024】
さらに、カーシェアリングシステム1は、車両50を利用するユーザ17が使用する携帯端末10を含む。携帯端末10、車両端末20、地域車両利用サーバ100と、A社サーバ210と、B社サーバ220と、C社サーバ230は、公衆回線網3を介して、有線、無線を問わず、通信可能に接続されている。
【0025】
図1の例では、ユーザ17が、カーステーション500に駐車された車両50(A社の車両)を利用する状態を示す。まず、携帯端末10は、A社サーバ210にアクセスし、携帯端末10から送信された会員IDを認証する。しかし、ユーザ17はB社の会員であるが、A社の会員ではないので、A社サーバ210では認証されず、代わりに、地域車両利用サーバ100が、B社サーバ220に認証要求を行い、B社で認証されると、地域車両利用サーバ100が、仮会員IDを発行して、ユーザ17に、車両50を利用可能にする。
【0026】
図2に基づいて、カーシェアリングシステム1の構成要素について説明する。
携帯端末10は、ユーザが使用する端末であって、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、電子書籍端末、スレート端末等であってもよい。携帯端末10は、制御部11、データ記憶部12、データ通信部13、タッチパネル部14、GPS部15、会員ID記憶部16を備えれば、任意の通信端末であってよい。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部13として、無線対応通信デバイスを備え、データ記憶部12として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれか又は双方を備える。さらに、タッチパネル部14として、画像を表示する液晶モニタ等の表示部を備え、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルや音声入力等の入力部を備える。
【0028】
GPS部15は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することが可能な装置であって、制御部11との恊働により、GPS衛星までの距離を算出することで、地球上の位置情報(緯度、経度)を算出することが可能な装置である。
【0029】
会員ID記憶部16は、携帯端末10を使用する会員の会員IDを記憶する記憶部であって、例えば、読み書き可能な非接触型ICカードであってよい。図1に示すように、車両50のドア56近傍に備えられたカード認識部26に、非接触型ICカードである会員ID記憶部16を接触させることで、携帯端末10が車両情報を読取るか、または、車両端末20が携帯端末の会員IDを読取る。
【0030】
携帯端末10は、これらのハードウェアの協働により、サーバ決定手段を実現する。
【0031】
車両端末20は、車両に搭載された端末であって、カー・ナビゲーション・システムであってよい。すなわち、車両端末20は、制御部21、データ記憶部22、データ通信部23、GPS部25、カード認識部26、キー制御装置27を備えれば、車載の任意の装置でよい。データ記憶部22には、車両端末20を搭載している車両50の車両情報が記憶されていることが望ましい。
【0032】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部23として、公衆回線網3に接続された無線対応通信デバイスを備え、データ記憶部22として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のいずれか又は双方を備える。さらに、タッチパネル部として、画像を表示する液晶モニタ等の表示部を備え、ユーザからの入力を受付けるタッチパネルや音声入力等の入力部を備えてよい。
【0033】
GPS部25は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することが可能な装置であって、制御部21との恊働により、GPS衛星までの距離を算出することで、地球上の車両の位置情報(緯度、経度)を算出することが可能な装置である。
【0034】
データ記憶部22には、カー・ナビゲーション・システムを搭載する場合は、車両を目的地へ誘導する地図データが記憶されている。
【0035】
カード認識部26は、携帯端末10の会員ID記憶部16が接触されると、会員ID記憶部16に記憶された会員IDを読み出して、受信するか、または、データ記憶部22に記憶された車両情報を携帯端末10に送信する装置である。車両情報とは、車両50を特定するための情報であって、例えば、車両登録番号であってもよいし、車両50に対応付けられたシリアルナンバーであってよい。
【0036】
キー制御装置27は、車両50の利用を許可する場合に、ドア56の鍵を解錠する装置である。ここで、車両50の利用を許可する場合とは、携帯端末10が車両利用許可データを受信した場合、または、車両端末20が車両利用許可データを受信した場合である。前者の場合とは、後述するように、携帯端末10が地域車両利用サーバ100又は一の企業のサーバから車両利用許可データを受信した場合であって、受信した携帯端末10から車両端末20に車両利用許可データを送信することで、キー制御装置27がドア56の鍵を解錠する。後者の場合とは、車両端末20が地域車両利用サーバ100又は一の企業のサーバから車両利用許可データを受信した場合であって、キー制御装置27が、この受信をもってドア56の鍵を解錠する。
【0037】
車両端末20は、これらのハードウェアの協働により、会員ID受信手段及び、会員ID送信手段を実現する。
【0038】
地域車両利用サーバ100は、A社、B社等の業界を超えて、地域の車両50の利用を促進する企業、団体、公的機関が運営するサーバである。地域車両利用サーバ100は、制御部101、データ通信部103,会員ID認証用データベース104、仮会員データベース105を備える。
【0039】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部103として、公衆回線網3と通信可能に接続される通信デバイスを備える。
【0040】
会員ID認証用データベース104は、カーシェアリングを提供する各企業(A社、B社)に登録されている会員の会員IDが、どの企業のサーバ(A社サーバ210等)に登録されているかを示すインデックスが記憶されているデータベースである。
【0041】
仮会員データベース105は、仮会員IDおよび仮会員IDに関するデータを管理するデータベースである。例えば、仮会員データベース105は、図7に示す、仮会員IDテーブルを記憶する。
【0042】
制御部101は、適宜、会員ID認証用データベース104、仮会員データベース105にアクセスして、後述する各処理を実行する。
【0043】
地域車両利用サーバ100は、これらのハードウェアの協働により、認証要求手段及び、仮会員ID発行手段、仮会員ID送信手段、認証要求サーバ決定手段を実現する。
【0044】
A社サーバ210は、カーシェアリングのサービスを提供するA社が運営するサーバである。A社サーバ210は、制御部211、データ通信部213、A社会員データベース215を備える。
【0045】
制御部211は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、データ通信部213として、公衆回線網3と通信可能に接続される通信デバイスを備える。
【0046】
A社会員データベース215は、カーシェアリングを提供する企業A社に登録されている会員を管理するデータベースである。すなわち、A社の会員ID、登録会員の個人情報、車両の利用履歴などが記憶されているデータベースである。
【0047】
制御部211は、適宜、A社会員データベース215にアクセスして、後述する各処理を実行する。
【0048】
A社サーバ210は、これらのハードウェアの協働により、会員ID受信手段及び、登録会員認証手段、未登録ID通知手段を実現する。
【0049】
B社サーバ220は、カーシェアリングのサービスを提供するB社であること以外には、A社サーバと同様のハードウェア構成であるため、説明を省略する。図2では、A社サーバ210とB社サーバ220しか図示していないが、当然ながら、所定の地域において、カーシェアリングを提供する企業の数だけ、通信可能なサーバが存在し、地域車両利用サーバ100と通信可能であってよい。
【0050】
[仮会員ID発行処理]
次に、図3を参照して、携帯端末10、A社サーバ210、地域車両利用サーバ100、B社サーバ220が実行する仮会員ID発行処理について説明する。
【0051】
車両50の利用を望むユーザは、車両50のドア56近傍に備えられたカード認識部26に、非接触型ICカードである会員ID記憶部16を接触させることで、携帯端末10が車両情報を読取る。携帯端末10は、車両情報から認証要求すべき企業のサーバが、A社サーバ210である(車両50の利用を提供する企業がA社である場合)と判断し、読取った車両情報と、携帯端末10の会員ID記憶部16に記憶された会員IDを、A社サーバ210に送信する(ステップS01)。
【0052】
すなわち、携帯端末10は、仮会員ID発行処理のステップS01において、図4に示す、会員ID送信処理を実行する。最初に、携帯端末10は、車両情報の入力が携帯端末10にあったか否かを判断する(ステップS20)。
【0053】
ここで、車両情報の入力とは、上述のように、カード認識部26に、非接触型ICカードである会員ID記憶部16を接触させることで、携帯端末10が車両情報を読取ることで、入力があったとしてもよいし、単に、携帯端末10にユーザから、車両情報の入力を受付けてもよい。すなわち、携帯端末10から所定のWebページにアクセスし、車両50の外装に貼付されたシール等に車両登録番号や車両50のシリアル番号等を車両情報として、二次元バーコードの読取りや、キープッシュによる入力を受付けてもよい。
【0054】
図4では、携帯端末10は、車両情報の入力が携帯端末10にあったと判断した場合(ステップS20:「YES」)は、携帯端末10は、読取った車両情報に基づいて、その車両50を管理する企業(この場合は、A社)のサーバを決定する(ステップS21)。ここで、携帯端末10には、車両情報とその車両を管理する企業のサーバが対応付けられた車両番号テーブルが記憶されており、この車両番号テーブルに基づいて企業のサーバを決定する。なお、携帯端末10が、この車両番号テーブルを記憶せず、携帯端末10がアクセス可能な所定のサーバに、この車両番号テーブルが記憶されていてもよい。この場合、携帯端末10がこの所定のサーバに問合せることで、車両50を管理する企業のサーバを決定してもよい。
【0055】
携帯端末10は、車両情報の入力が携帯端末10にあると判断するまで(ステップS20:「NO」)は、処理待ちとなる。
【0056】
次に、携帯端末10は、入力された車両情報と、携帯端末10の会員ID記憶部16に記憶された会員IDを、決定された企業のサーバである、A社サーバ210に送信する(ステップS22)。
【0057】
なお、ステップS01の処理は、携帯端末10が実行するとして、ここでは説明しているが、車両端末20が、会員ID及び車両情報を送信してもよい。この態様について、図4の会員ID送信処理(携帯端末)の代替処理として、図5の会員ID送信処理(車両端末)について説明する。
【0058】
車両端末20のカード認識部26は、携帯端末10に備えられた会員ID記憶部16が接触されたことを検知した場合(ステップS30:「YES」)は、携帯端末10から会員IDを受信する(ステップS31)。
【0059】
車両端末20のカード認識部26は、携帯端末10に備えられた会員ID記憶部16が接触されたことを検知するまで(ステップS30:「NO」)は、処理待ちとなる。
【0060】
次に、車両端末20は、送信された会員IDと、車両端末20が自ら記憶している車両情報を、A社サーバ210に送信する(ステップS32)。この場合、車両端末20は、携帯端末10と同様に、車両番号テーブルを記憶しているため(又は上述の車両番号テーブルを記憶している所定のサーバに問合せる)、この車両情報に基づいて、送信先である企業のサーバを決定する。
【0061】
次に、車両端末20は、記憶されている車両情報と、携帯端末10から受信した会員IDを、決定された企業のサーバである、A社サーバ210に送信する(ステップS32)。
【0062】
なお、上述の例では、携帯端末10に、会員ID記憶部16が備えられていることを前提としているが、携帯端末10ではなく、非接触型ICカードそのものであって、会員ID記憶部16が備えられているものであってよい。
【0063】
このように、携帯端末10又は車両端末20が実行する会員ID送信処理により、ステップS01の処理を完了する。次に、A社サーバ210は、携帯端末10又は車両端末20から送信された会員ID及び車両情報を受信し(ステップS02)、A社会員データベース215を参照して、会員IDの認証処理を実行する(ステップS03)。
【0064】
A社サーバ210は、認証が問題ないと判断した場合(ステップS04:「YES」)は、A社の車両利用許可データを、携帯端末10に送信する(ステップS05)。
【0065】
車両利用許可データとは、車両50のキー制御装置27がドア56を解錠するためのデータである。携帯端末10に車両利用許可データが記憶されていることで、携帯端末10から車両利用許可データが、車両端末20に送信されて、車両50のキー制御装置27がドア56を解錠する。この場合は、単に、会員IDをA社サーバ210により認証して、車両50を利用させ、処理を終了するに過ぎないため、従来の携帯端末10による認証処理と同様であり、本発明の特徴的な処理ではない。
【0066】
なお、A社サーバ210が、車両利用許可データを携帯端末10に送信する際に、携帯端末10から、車両50の利用時間、利用料金、目的地等の入力を受け付けて、A社サーバ210に記憶された利用スケジュールの条件が合致しているかを判断してから、車両利用許可データを送信してもよい。
【0067】
なお、A社サーバ210は、認証が問題ないと判断した場合(ステップS04:「YES」)は、A社の車両利用許可データを、携帯端末10ではなく、車両端末20に送信してもよい。この場合には、車両端末20に、送信された車両利用許可データが記憶されることで、車両50のキー制御装置27がドア56を解錠する。
【0068】
A社サーバ210は、認証が問題ありと判断した場合(ステップS04:「NO」)、すなわち、携帯端末10より受信した会員IDが、A社の登録会員ではなく、認証が不可能であった場合には、地域車両利用サーバ100に、A社サーバ210で認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知する。
【0069】
地域車両利用サーバ100は、この通知をA社サーバ210から受けて、認証要求処理を実行する(ステップS06)。認証要求処理は、例えば、図6に示す処理であって、地域車両利用サーバ100が認証を要求する一の企業のサーバを決定する処理である。
【0070】
認証要求処理において、地域車両利用サーバ100は、携帯端末10又はA社サーバ210に対して、携帯端末10又は車両50の位置情報を要求する(ステップS40)。ここで、位置情報とは、携帯端末10のGPS部15が算出した位置情報であってよいし、また、車両端末20のGPS部25が算出した位置情報をA社サーバ210が受信したものであってもよい。
【0071】
これに応じて、携帯端末10又はA社サーバ210から位置情報を受信した場合(ステップS41:「YES」)は、ステップS42に処理を移す。携帯端末10又はA社サーバ210から位置情報を受信するまで(ステップS41:「NO)は、処理を戻す。
【0072】
地域車両利用サーバ100の会員ID認証用データベース104には、この位置情報と、その地域において提供している企業のサーバの情報が対応づけて位置情報テーブルに記憶されている。すなわち、例えば、東京都であれば、東京都の位置情報(経度、緯度で指定される東京都の範囲)と、東京都でカーシェアリングを提供する企業のサーバとして、A社、B社、C社のサーバが位置情報テーブルに対応づけて記憶されている。一方、北海道であれば、北海道の位置情報(経度、緯度で指定される北海道の範囲)と、北海道でカーシェアリングを提供する企業のサーバとして、D社、E社のサーバが位置情報テーブルに対応づけて記憶されている。
【0073】
地域車両利用サーバ100は、携帯端末10又はA社サーバ210から受信した位置情報に基づいて、位置情報テーブルを参照し、認証する企業のサーバを決定する(ステップS42)。例えば、受信した位置情報が、東京都の範囲を示す位置情報であれば、A社、B社、C社のサーバと決定し、北海道の範囲を示す位置情報であれば、D社、E社のサーバと決定する。
【0074】
そして、地域車両利用サーバ100は、決定した企業のサーバへ会員IDを送信し、認証を要求する(ステップS43)。このように、位置情報を利用して、認証するサーバの順序を調整することで、早期の認証を行うことができる。
【0075】
なお、携帯端末10又はA社サーバ210から、位置情報を受信しなくても、会員ID毎に、企業のサーバと対応づけたテーブルを、地域車両利用サーバ100が記憶しており、このテーブルに基づいて、企業サーバを決定してもよい。
【0076】
ここでは、地域車両利用サーバ100が、認証する企業サーバを、B社サーバ220と決定した場合について説明する。仮会員ID発行処理に戻り、B社サーバ220は、地域車両利用サーバ100から会員IDを受信し、会員IDの認証処理を実行する(ステップS07)。
【0077】
B社サーバ220は、認証結果を地域車両利用サーバ100に通知する(ステップS08)。B社サーバ220が当該会員IDを認証した場合(ステップS09:「YES」)には、ステップS10に処理を移す。B社サーバ220が当該会員IDを認証しなかった場合(ステップS09:「NO」)には、ステップS06に処理を移す。すなわち、B社以外の企業のサーバにて、認証処理を行うため、再度、B社以外の企業のサーバに認証要求を行う。ここで、地域車両利用サーバ100に登録されている全ての企業のサーバにて認証が不可能であった場合は、ステップS16に処理を移し、車両利用不許可データを送信し、当該会員IDの車両利用は不許可とする。
【0078】
次に、地域車両利用サーバ100は、仮会員IDを発行する(ステップS10)。仮会員IDとは、地域車両利用サーバ100が発行する会員IDであって、図7の仮会員IDテーブルが示すように、仮会員IDは、その仮会員IDが発行されるにあたって認証された企業のサーバと、その認証された企業のサーバの正規会員IDと対応づけて記憶されている。仮会員IDは、任意の文字列や数値により予め記憶されていてもよいし、任意のアルゴリズムで文字列や数値の組み合わせにより自動生成されてもよい。仮会員IDは、各企業のサーバでは登録されていない。
【0079】
なお、仮会員IDを発行するにあたって、所定の利用料金を算出してもよい。すなわち、通常の会員IDによる利用ではないため、仮会員IDの利用としてユーザから徴収する利用料金を算出してもよい。
【0080】
地域車両利用サーバ100は、図8に示すメッセージを携帯端末10に表示する。すなわち、「この車両は、B社管理の車です。お客様は、B社の正規会員ではありません。しかし、お客様はA社の正規会員として認証できたため、仮会員IDを発行して、この車を利用できます」とメッセージを表示し、ユーザから、この車両を利用するか否かの承諾の入力を受付ける。この際に、仮会員IDの利用のための利用料金を図8のように表示してもよい。
【0081】
ユーザから、車両利用を承諾する旨の入力を受付けた場合は、ユーザからこの車両50の利用時間の入力を受付ける(ステップS11)。図9に示すように、ユーザから利用希望時刻と目的地の入力を受ける。地域車両利用サーバ100は、この入力に基づいて、利用時刻や目的地などの利用条件が一致するか否かを判断する(ステップS12)。条件の合致には、認証した企業のサーバ(この場合は、B社サーバ220)に記憶された車両の利用スケジュールを参照する。
【0082】
地域車両利用サーバ100は、利用時刻や目的地などの利用条件が一致すると判断した場合(ステップS12:「YES」)は、ステップS13に処理を移す。地域車両利用サーバ100は、利用時刻や目的地などの利用条件が一致しないと判断した場合(ステップS12:「NO」)は、車両利用ができないため、車両利用不許可データを携帯端末10に送信して(ステップS16)、処理を終了する。
【0083】
車両利用不許可データは、携帯端末10に車両50を利用することができないことを示すメッセージからなるデータである。
【0084】
次に、地域車両利用サーバ100は、仮会員IDでの利用許可処理を行う(ステップS13)。利用許可処理とは、この仮会員IDが認証された企業のサーバの車両の利用スケジュールを、仮会員IDのユーザが利用することを書き込む処理である。
【0085】
次に、地域車両利用サーバ100は、携帯端末10に車両利用許可データを送信する(ステップS14)。携帯端末10は、車両利用許可データを受信し(ステップS15)、携帯端末10から車両端末20に車両利用許可データが送信されて、車両50のキー制御装置27がドア56を解錠する。なお、地域車両利用サーバ100から車両端末20に直接、車両利用許可データが送信されて、キー制御装置27がドア56を解錠してもよい。以上で、処理を終了する。
【0086】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、サーバ、装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0087】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0088】
1 カーシェアリングシステム
3 公衆回線網
10 携帯端末
16 会員ID記憶部
17 ユーザ
20 車両端末
27 キー制御装置
50 車両
100 地域車両利用サーバ
210 A社サーバ
220 B社サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を利用する会員が使用する端末と、前記車両の利用について認証を行う複数の企業のサーバと、地域車両利用サーバと、から構成されるカーシェアリングシステムであって、
一の企業のサーバが、
前記会員の会員IDを受信する会員ID受信手段と、
前記会員IDが、当該一の企業のサーバに登録された会員IDとして認証されるか否かを判断する登録会員認証手段と、
前記一の企業のサーバが前記会員IDを認証しなかった場合には、前記地域車両利用サーバに、前記一の企業のサーバで認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知する未登録ID通知手段と、を備え、
前記地域車両利用サーバは、
前記一の企業のサーバ以外の複数のサーバに、前記会員IDの認証を要求する認証要求手段と、
前記要求に対する応答として、前記一の企業のサーバ以外のサーバから、前記会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行する仮会員ID発行手段と、
前記一時的な仮会員IDを前記端末に送信する仮会員ID送信手段と、
を備えるカーシェアリングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムであって、
前記地域車両利用サーバは、前記端末から、前記車両の利用時間、利用料金、目的地の少なくとも一つの入力を受付けた結果に応じて、前記車両の利用を許可する車両利用許可データを、前記端末に送信する利用許可手段を、備えるカーシェアリングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムであって、
前記端末は、
前記車両を特定する車両情報の入力を受け付けて、前記車両情報に基づいて、認証する前記一の企業のサーバを決定するサーバ決定手段と、を備えるカーシェアリングシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムであって、
前記車両に備えられた車両端末をさらに備え、
前記車両端末は、前記端末に備えるICカードを認識し、認識したICカードから会員IDを受信する会員ID受信手段と、
受信した会員IDと前記車両に関する車両情報とを、前記一の企業のサーバに送信する会員ID送信手段と、を備えるカーシェアリングシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のカーシェアリングシステムであって、
前記地域車両利用サーバは、前記一の企業のサーバ又は前記端末から、前記車両の位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、前記一の企業のサーバ以外の複数のサーバのうち、どのサーバに認証要求するか決定する認証要求サーバ決定手段を備えるカーシェアリングシステム。
【請求項6】
車両を利用する会員が使用する端末と、前記車両の利用について認証を行う複数の企業のサーバと、地域車両利用サーバと、から構成されるカーシェアリングシステムが実行するカーシェアリング方法であって、
一の企業のサーバが、
前記会員の会員IDを受信するステップと、
前記会員IDが、当該一の企業のサーバに登録された会員IDとして認証されるか否かを判断するステップと、
前記一の企業のサーバが前記会員IDを認証しなかった場合には、前記地域車両利用サーバに、前記一の企業のサーバで認証できない会員IDの利用アクセスがあった旨を通知するステップと、を実行し、
前記地域車両利用サーバは、
前記一の企業のサーバ以外の複数のサーバに、前記会員IDの認証を要求するステップと、
前記要求に対する応答として、前記一の企業のサーバ以外のサーバから、前記会員IDの認証を受信した場合には、当該会員IDに対して、一時的な仮会員IDを発行するステップと、
前記一時的な仮会員IDを前記端末に送信するステップと、
を実行するカーシェアリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−215922(P2012−215922A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78868(P2011−78868)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】