説明

カード取扱装置

【目的】 ユーザーの要求する順にカードを取り込み、排出ができるようにしてカードの取り忘れ等を未然に防ぐとともに、通常の取引に要する時間の短縮が図れ、かつ小型化が可能な装置を提供する。
【構成】 カードリーダライタ1とカード発行部5とを並列して設けるとともに、カードリーダライタ1とカード発行部5の後方にカードの受け渡し及び保留のできる2つのステージ19,20を配置した横搬送部3を設け、この横搬送部3のそれぞれのステージ19,20がカードリーダライタ1及びカード発行部5へのカード受け渡しができる位置に自由に移動できる構造にした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば金融機関に設置される払い込みカード等の取引に使用する新規カードの発行を行う機能を備えたカード取扱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は従来におけるカード取扱装置の概略構成配置図である。図5において、このカード取扱装置は、金融機関に設置されるATM(自動預出金機)を一例としており、その内部が機能別に、カードリーダライタ101と、カード印字部102と、エンボスイメージ読取部103と、カード退避部104と、カード発行部105と、カード取込部106とに区分けされている。また、カードリーダライタ101にはカード発行機の前面に開口されているカード挿入口107が設けられており、内部にはカード挿入口107より挿入されたIDカード108を、カードリーダライタ101、カード印字部102、エンボスイメージ読取部103、カード退避部104、カード発行部105を通ってカード取込部106まで搬送可能にするための複数のローラ110を配して成るカード搬送路109が配設されている。なお、その各ローラ110の駆動は、各部と独立して駆動される構造になっている。
【0003】さらに詳述すると、認識部としてのカードリーダライタ101には、カード挿入口107より挿入されたIDカード108の図示せぬ磁気ストライプ上のカード情報をリードライト可能な磁気ヘッド111が設けられている。
【0004】カード印字部102には印字ヘッド112が設けられているとともに、エンボスイメージ読取部103にはIDカード108上のエンボス文字を読み取るためのエンボスイメージセンサ113が設けられている。
【0005】カード発行部105には、新規に発行するカード(以下、これを「振込カード」と言う)114aを積み重ねて複数枚収納しておくためのスタッカ115と、このスタッカ115を上下方向に摺動自在に保持しているガイドシャフト116と、支軸117を支点として回転されてスタッカ115を上下方向に移動させるためのカム118等が配設されている。加えて、スタッカ115には、その下部にゲート119と繰り出しローラ122とが設けられているとともに、スタッカ115内に積み重ねて収納されている振込カード114aの最上部にはウエイト(重石)120が載せられ、振込カード114aの全体に所定の重みがかけられている。
【0006】次に、このカード取扱装置の動作を説明する。まず、口座から口座へ金額を振り込む場合、IDカード108と図示せぬ発行済み振込カード(以下、「発行済み振込カード114b」と言う)を使用する。そして、図示せぬ顧客操作部にて取引(口座から口座への振込処理)に必要とするデータを入力し、カードリーダライタ101のカード挿入口107よりIDカード108を挿入する。すると、IDカード108上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ101の磁気ヘッド111にて読み取られた後、カード搬送路109上をエンボスイメージ読取部103側に向かって搬送される。また、エンボスイメージ読取部103に到達すると、この後部に設けられているカード退避部104にてIDカード108を一時退避させる。続いて、発行済み振込カード114bをカードリーダライタ101のカード挿入口107より挿入する。すると、発行済み振込カード114b上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ101の磁気ヘッド111にて読み取られ、その後、顧客に振込カード114b、IDカード108の順で返却される。
【0007】振込カードを新規に発行する場合は、カード挿入口107よりIDカード108を装置内部に挿入するとともに、図示せぬ顧客操作部にて取引に必要とするデータを入力する。すると、IDカード108上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ101の磁気ヘッド111にて読み取られた後、IDカード108上のエンボス文字をエンボスイメージ読取部103のエンボスイメージセンサ113にて読み取り、IDカード108を顧客に返却する。続いて、スタッカ115が下方向に移動されて新規に発行する振込カード114aが繰り出しローラ122上に当接されている状態において、繰り出しローラ122が回転される。また、この繰り出しローラ122の回転によりスタッカ115内の最下端に収納してある振込カード114aが1枚繰り出され、これがカードリーダライタ101側に向かってカード搬送路109上を移動される。また、この途中で、このスタッカ115より繰り出された振込カード114aの表面に氏名、口座番号等、必要とするデータをカード印字部102の印字ヘッド112で印字し、カードリーダライタ101の磁気ヘッド111にて振込カード114aの裏面にある図示せぬ磁気ストライプに、取引に必要とするデータを書き込み、振込カード114aを発行する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成の従来装置では、口座から口座へ金額を振り込む作業が発生した場合において、新規カード114aを発行する時にはIDカード108、振込カード114aの順に排出するため、IDカード108だけを受け取り、振込カード114aの取り忘れが生じることが考えられる。また、発行済み振込カード114bを使用すると振込カード114b、IDカード108の順に排出するため、カードの排出順が変わってしまい、この順序が変わることによって、振込カード114bの取り忘れが生じることも考えられる。さらに、カード発行部とカード印字部を持たない通常のATM(自動預出金機)に対して、カード発行部105とカード印字部102の分だけ装置がカード進行方向に対して大型化してしまう、等と言う問題点もあった。加えて、引き出し等、通常の取引を行うときには、カードリーダライタ101とエンボスイメージ読取部103だけを使用し、カード印字部102は使用しないが、上記構造では、IDカード108及び振込カード104bはカード印字部102を通ってエンボスイメージ読取部103に搬送される構造になっているため、カード印字部102を通って往復搬送される分だけタイムロスが生じていると言う問題点があった。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的はユーザーの要求する順にカードを取り込み、排出ができるようにしてカードの取り忘れ等を未然に防ぐとともに、通常の取引に要する時間の短縮が図れ、かつ小型化が可能なカード取扱装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的は、本発明にあっては、少なくともカード情報のリードライト可能な認識部とスタックされたカードを発行し印字を行うカード発行部とを備えたカード取扱装置において、前記認識部と前記カード発行部とを並列して設けるとともに、前記認識部と前記カード発行部の後方にカードの受け渡し及び保留のできる2つのステージを配置した横搬送部を設けて成り、前記横搬送部はそれぞれのステージが前記認識部及び前記カード発行部へのカード受け渡しができる位置に移動可能なように構成することによって達成される。
【0011】また、この目的は、少なくともカード情報のリードライト可能な認識部と、エンボス文字を読み取るエンボスイメージ読取部と、スタックされたカードを発行し印字を行うカード発行部と、前記カードに印字するカード印字部とを備えたカード取扱装置において、前記認識部と前記エンボスイメージ読取部とを一直線上に配置するとともに、前記カード発行部と前記カード印字部を前記認識部側と並行した一直線上に配置し、かつ前記認識部と前記エンボスイメージ読取部の間及び前記カード発行部と前記カード印字部の間に、前記認識部と前記エンボスイメージ読取部と前記カード発行部と前記カード印字部の何れかと対応する位置に移動されて、その対応した部分でカードの受け渡しができるステージを有した横搬送部を設けた構成とすることによっても達成することができる。
【0012】
【作用】この構成によれば、カードの受け渡し及び保留ができるステージ(請求項1及び2に記載の発明)、あるいはカードの受け渡しを何れの位置でもできるステージ(請求項3及び4に記載の発明)を利用して、カードの取り込み及び排出を最適な順序で行うことができるとともに、認識部とカード発行部とを並置して設けることができるので、カード進行方向に対して装置が長くなるのを抑えることができ、小型化された装置を実現することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係るカード取扱装置の概略構成配置図である。図1において、このカード取扱装置は、大きくは認識部としてのカードリーダライタ1と、エンボスイメージ読取部2と、横搬送部3と、カード印字部4と、カード発行部5等で構成されている。
【0014】さらに詳述すると、カードリーダライタ1には、カード取扱装置の前面に開口されているカード挿入口6が設けられているとともに、カード挿入口6より挿入されたIDカード7の図示せぬ磁気ストライプを読み取るための同じく図示せぬ磁気ヘッドが設けられている。
【0015】エンボスイメージ読取部2はカードリーダライタ1と横搬送部3との間に位置して設けられており、IDカード7上のエンボス文字を読み取るための図示せぬエンボスイメージセンサが配設されている。
【0016】カード印字部4は、カードリーダライタ1のカード挿入口6から挿入されたIDカード7及び発行済み振込カード10bが横搬送部3まで搬送される搬送路9Aと並置されている搬送路9B上に設けられており、また印字ヘッド14が設けられている。
【0017】カード発行部5は、カード印字部4と同じ搬送路9B上で、カード印字部4を挟んで横搬送部3の反対側に配置されている。そして、このカード発行部5には、新規に発行するカード(以下、これを「振込カード」と言う)10aを積み重ねて複数枚収納しておくためのスタッカ11と、このスタッカ11を上下方向に摺動自在に保持している図示せぬガイド機構等を備え、このガイド機構に案内させてスタッカ11が図示せぬ手段により上下方向に移動可能になっている。また、スタッカ11の下部には図示せぬゲート及び繰り出しローラ12とが設けられているとともに、スタッカ11内に積み重ねて収納されている振込カード10aの最上部にはウエイト(重石)13が載せられ、振込カード10aの全体に所定の重みがかけられている。
【0018】横搬送部3は、エンボスイメージ読取部2とカード印字部4の後ろ側で、搬送路9A及び搬送路9Bを横切って配設されている。この横搬送部3内には、同じく搬送路9A,9Bを横切った状態にしてベルト15が設けられている。ベルト15は、一端がプーリ16で支持されているとともに、他端がステッピングモータ17の出力軸に一体回転可能に取り付けられているプーリ18にて支持されており、ステッピングモータ17の回転で往復回転駆動される。また、各ベルト15には、ステージ19、20及びリジェクトボックス21が取り付けられていて、このステージ19,20及びリジェクトボックス21が横搬送部3内をベルト15の回転と一体に移動可能になっている。
【0019】図2は図1に示した第1の実施例装置の動作状態を示す図である。そこで、図1に示したカード取扱装置の動作を図2と共に説明する。まず、口座から口座へ金額を振り込む場合、IDカード7と図示せぬ発行済み振込カード10bを使用する。そして、図示せぬ顧客操作部にて取引(口座から口座への振込処理)に必要とするデータを入力し、カードリーダライタ1のカード挿入口6よりIDカード7を挿入する。すると、IDカード7上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ1にて読み取られた後、カード搬送路9A上をエンボスイメージ読取部2側に向かって搬送される。また、エンボスイメージ読取部2に到達すると、IDカード7上のエンボス文字がエンボスイメージ読取部2で読み取られる。また、ステッピングモータ17を駆動させて、図1に示しているように、ステージ19をカード搬送路9Aと対応した位置まで移動させ、この状態においてIDカード7をステージ19に一時退避させる。
【0020】続いて、発行済み振込カード10bをカードリーダライタ1のカード挿入口6より挿入する。すると、発行済み振込カード10b上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ1の磁気ヘッドにて読み取られ、所定の取引処理が行われる。その後、顧客に振込カード10b、IDカード7の順で返却される。
【0021】また、発行済みの振込カード10bに新規の振込先を追加印字させるには、IDカード7と発行済みの振込カード10bを使用し、IDカード7の処理後、ステージ19にIDカード7を退避させる。次いで、ステッピングモータ17を正方向駆動させてベルト15を正方向に動かし、ステージ20がカード搬送路9Aと対応する位置に来るように制御し、ステージ20に振込カード10bを取り込む。次に、ステッピングモータ17を逆方向に駆動させてベルト15を逆の方向に動かし、振込カード10bを既に取り込んだステージ20を、図2に示すようにカード搬送路9Bと対応する位置まで移動させ、その位置でステージ20内の振込カード10bをカード印字部4に排出する。すると、カード印字部4では、この排出されて来た振込カード10bに振込先を追加印字させた後、この振込カード10bを再びステージ20内に戻す。次いで、ステッピングモータ17を正方向に駆動させてベルト15を正方向に動かし、ステージ20をカード搬送路9Aと対応する位置まで移動させ、振込カード10bをステージ20からエンボスイメージ読取部2に排出してカードリーダライタ1側に搬送させる。そして、カードリーダライタ1の位置では振込カード10bの磁気ストライプにデータを書き込み、この振込カード10bをカード挿入口6より排出する。次に、ステッピングモータ17を負(逆)方向に駆動させてベルト15を負の方向に動かし、ステージ19が図1に示すようにカード搬送路9Aと対応する位置に来るまで移動させ、その位置でステージ19内に退避されていたIDカード7をエンボスイメージ読取部2に排出し、さらにカードリーダライタ1側に搬送させてカード挿入口6より排出する。
【0022】次に、振込カード10aを新規に発行する場合は、カード挿入口57よりIDカード7を装置内部に挿入するとともに、図示せぬ顧客操作部にて取引に必要とするデータを入力する。そして、IDカード7が上述したと同様に、磁気ストライプのデータがカードリーダライタ1に読み取り処理された後、ステージ19にIDカード7を一時退避させる。
【0023】次いで、ステッピングモータ17を負方向に駆動させてベルト15を負方向に動かし、図2に示すように、ステージ20がカード搬送路9Bと対応する位置に来るように制御する。その後、繰り出しローラ12が駆動されて、この繰り出しローラ12によりスタッカ11内の最下端に収納してある振込カード10aが1枚繰り出され、これが横搬送部3に向かってカード搬送路9B上を移動し、ステージ20内に取り込まれる。次に、ステッピングモータ17を正方向に駆動させてベルト15を正の方向に動かし、振込カード10aを既に取り込んだステージ20を、カード搬送路9Aと対応する位置まで移動し、その位置でステージ20内の振込カード10aをエンボスイメージ読取部2に排出してカードリーダライタ1側に搬送させる。そして、カードリーダライタ1では振込カード10aの図示せぬ磁気ストライプにデータを書き込み、カード挿入口6より排出する。次に、ステッピングモータ17を負方向に駆動させてベルト15を負の方向に動かし、ステージ19を、図1に示すようにカード搬送路9Aと対応する位置まで移動させ、その位置でステージ19内に退避されていたIDカード7をエンボスイメージ読取部2に排出し、さらにカードリーダライタ1側に搬送させてカード挿入口6より排出する。これにより振込カード10aに続いてIDカード7も顧客に戻され、振込手続きが終了する。
【0024】また、振込カード10a,10b,IDカード7等が一定時間取り除かれなかった場合には、顧客が取り忘れたものと判断する。そして、ステッピングモータ7を正方向に駆動させてベルト5を正の方向に動かして、リジェクトボックス21がカード搬送路9Aと対応する位置に配置させた後、振込カード10a,10b,IDカード7等をリジェクトボックス21内まで戻して保管する。
【0025】したがって、この第1の実施例のカード取扱装置によれば、エンボスイメージ読取部2の後方にIDカード7及び振込カード10a,10bを横方向に移動できる横搬送部3を設けているので、口座から口座へ金額を振り込む作業が発生した場合、発行済み振込カード10bを使用した場合と同じように、新規カードの振込カード10aを発行するときにも、最初に新規カード(振込カード10a)を顧客に返却し、次にIDカード7を返却する、と言うように常に決められた順序で戻すことにより、顧客の新規カード取り忘れを防ぐことができる。なお、このカードの戻す順序はステージ19,20を用いることにより任意に設定できるものである。また、通常の取引では、発行済み振込カード10bはカードリーダライタ1を通ってエンボスイメージ読取部2に搬送され、エンボスイメージ読取部2でエンボス文字が読み取られた後は再びカードリーダライタ1を通って返却されるのでタイムロスが無くなり、取引時間を短縮することができる。さらに、カードリーダライタ1及びエンボスイメージ読取部2の横にカード印字部4及びカード発行部5を並べて配置することができるため、カード進行方向の長さを抑えて小型化されたコンパクトなカード取扱装置を実現することが可能になる。
【0026】なお、上記第1の実施例では、取り忘れカードを取り込むリジェクトボックス21をステージ19,20と一体に移動される構造を開示したが、リジェクトボックス21をステージ19,20と別体にして、例えばエンボスイメージ読取部2とカード印字部4の間や、カード印字部4の横等に配置することも可能である。
【0027】図3は本発明の第2の実施例に係るカード取扱装置の構成を模式的に示す図である。図3において、このカード取扱装置は、大きくは認識部としてのカードリーダライタ51と、エンボスイメージ読取部52と、横搬送部53と、カード印字部54と、カード発行部55等で構成されている。
【0028】さらに詳述すると、カードリーダライタ51には、カード取扱装置の前面に開口されているカード挿入口56が設けられているとともに、カード挿入口56より挿入されたIDカード57の図示せぬ磁気ストライプを読み取るための同じく図示せぬ磁気ヘッドが設けられている。
【0029】エンボスイメージ読取部52は、横搬送部53を挟んでカードリーダライタ51と反対側に位置して設けられており、IDカード57上のエンボス文字を読み取るための図示せぬエンボスイメージセンサが配設されている。
【0030】カード印字部54は、カードリーダライタ51とエンボスイメージ読取部52とを結んだ搬送路59Aと並置されている搬送路59B上に設けられており、また印字ヘッド64が設けられている。
【0031】カード発行部55は、カード印字部54と同じ搬送路59B上で、横搬送部53を挟んでカード印字部54と反対側に位置して設けられている。そして、このカード発行部55には、新規に発行するカード(以下、これを「振込カード」と言う)60aを積み重ねて複数枚収納しておくためのスタッカ61と、このスタッカ61を上下方向に摺動自在に保持している図示せぬガイド機構等を備え、このガイド機構に案内させてスタッカ61が図示せぬ手段により上下方向に移動可能になっている。また、スタッカ61の下部には図示せぬゲート及び繰り出しローラ62とが設けられているとともに、スタッカ61内に積み重ねて収納されている振込カード60aの最上部にはウエイト(重石)63が載せられ、振込カード60aの全体に所定の重みがかけられている。
【0032】横搬送部53は、カードリーダライタ51及びエンボスイメージ読取部52の間と、カード印字部54とカード発行部55の間に位置して、搬送路59A及び搬送路59Bを横切って配設されている。また、この横搬送部53内には、同じく搬送路59A,59Bを横切った状態にしてベルト65が設けられている。このベルト65は、一端がプーリ66で支持されているとともに、他端がステッピングモータ67の出力軸に一体回転可能に取り付けられているプーリ68にて支持されており、ステッピングモータ67の回転で往復回転駆動される。また、各ベルト65には、ステージ69及びリジェクトボックス71が取り付けられていて、ステージ69及びリジェクトボックス71が横搬送部53内をベルト65の回転と一体に移動可能になっている。
【0033】次に、このカード取扱装置の動作を説明する。まず、口座から口座へ金額を振り込む場合、IDカード57と図示せぬ発行済み振込カード60bを使用する。そして、図示せぬ顧客操作部にて取引(口座から口座への振込処理)に必要とするデータを入力し、カードリーダライタ51のカード挿入口56よりIDカード57を挿入する。すると、IDカード57上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ51にて読み取られた後、ステージ69をカード搬送路59Bと対応した位置に来るようにステッピングモータ67を駆動させてステージ69をカード搬送路59Aと対応した位置まで移動させ、続いてIDカード57がカードリーダライタ51からエンボスイメージ読取部52に向かって搬送される。また、エンボスイメージ読取部52に到達すると、IDカード57上のエンボス文字がエンボスイメージ読取部52で読み取られ、そのままエンボスイメージ読取部52に待機される。
【0034】続いて、発行済み振込カード60bをカードリーダライタ51のカード挿入口56より挿入する。すると、発行済み振込カード60b上の磁気ストライプのデータがカードリーダライタ51にて読み取られ、所定の取引処理が行われる。その後、顧客に振込カード60b、IDカード57の順で返却される。
【0035】また、発行済みの振込カード60bに新規の振込先を追加印字させるには、IDカード57と発行済みの振込カード60bを使用する。この場合、まず、カードリーダライタ51のカード挿入口56よりIDカード57を挿入し、エンボスイメージ読取部52まで搬送する。すると、IDカード57のエンボス文字がエンボスイメージ読取部52で読み取られた後、IDカード57がエンボスイメージ読取部52内に待機される。
【0036】次いで、振込カード60bをカードリーダライタ51のカード挿入口56より差し込み、この振込カード60bをステージ69まで搬送させてステージ69内に取り込ませる。また、ステージ69に振込カード60bが取り込まれた後は、ステッピングモータ67を負方向に駆動させてベルト65を負の方向に動かし、ステージ69がカード搬送路59Bと対応する位置まで移動させ、その位置でステージ69内の振込カード60bをカード印字部54に排出する。すると、カード印字部54では、この排出されて来た振込カード60bに振込先を追加印字させた後、この振込カード60bをステージ69内に戻す。次いで、ステッピングモータ67を正方向に駆動させてベルト65を正の方向に動かし、ステージ69がカード搬送路9Aと対応する位置まで移動させ、振込カード60bをステージ69からエンボスイメージ読取部52に排出してカードリーダライタ51側に搬送させる。そして、カードリーダライタ1の位置では振込カード60bの磁気ストライプにデータを書き込み、この振込カード60bをカード挿入口56より排出する。次いで、エンボスイメージ読取部52内に退避されていたIDカード57をエンボスイメージ読取部52に排出してカードリーダライタ51側に搬送させてカード挿入口56より排出する。
【0037】次に、振込カード10aを新規に発行する場合は、カード挿入口57よりIDカード57を装置内部に挿入するとともに、図示せぬ顧客操作部にて取引に必要とするデータを入力する。そして、IDカード57が上述したと同様に磁気ストライプのデータがカードリーダライタ51に読み取り処理された後、エンボスイメージ読取部52内にIDカード57を一時待機させておく。次いで、ステッピングモータ67を負方向に駆動させてベルト65を負の方向に動かし、ステージ69がカード搬送路59Bと対応する位置まで移動させる。その後、繰り出しローラ62が駆動されて、この繰り出しローラ62によりスタッカ61内の最下端に収納してある振込カード60aが1枚繰り出され、これがステージ69を介してカード印字部54に送られ、このカード印字部54で振込先を印字させた後、再びステージ69内に戻す。次に、ステッピングモータ17を正方向に駆動させてベルト15を正の方向に動かし、振込カード60aを既に取り込んだステージ69を、カード搬送路59Aと対応する位置まで移動させ、その位置でステージ69内の振込カード60aをカードリーダライタ1側に排出し、このカードリーダライタ1で振込カード60aの図示せぬ磁気ストライプにデータを書き込み、カード挿入口56より排出する。続いて、エンボスイメージ読取部52内に待機されていたIDカード57がステージ69を介してカードリードライタ51側に搬送され、振込カード60aに続いてIDカード57も顧客に戻されて振込手続きが終了する。
【0038】また、振込カード60a,60b,IDカード57等が一定時間取り除かれなかった場合は、顧客が取り忘れたものと判断する。そして、ステッピングモータ67を正方向に駆動させてベルト65を正の方向に動かして、リジェクトボックス71がカード搬送路59Aと対応する位置まで移動させた後、振込カード60a,60b,IDカード57等をリジェクトボックス71まで戻して保管する。
【0039】したがって、この第2の実施例のカード取扱装置によれば、横搬送部53が、カードリーダライタ51及びエンボスイメージ読取部52の間と、カード印字部54とカード発行部55の間に位置し、かつ搬送路59A及び搬送路59Bを横切って配設され、カードリーダライタ51とエンボスイメージ読取部52とカード印字部54とカード発行部55の何れの部分においても直接振込カード60a,60b,IDカード57等を受け渡しすることができるステージ69を設けたので、口座から口座へ金額を振り込む作業が発生した場合、発行済み振込カード60bを使用した場合と同じように、新規カードの振込カード60aを発行するときにも、最初に新規カード(振込カード60a)を顧客に返却し、次にIDカード57を返却すると言うように、常に決められた順序で戻すことにより、顧客の新規カード取り忘れを防ぐことができる。また、カードリーダライタ51及びエンボスイメージ読取部52の横にカード印字部54及びカード発行部55を並べて配置することができるため、カード進行方向の長さを抑えて小型化されたコンパクトなカード取扱装置を実現することが可能になる。さらに、リジェクトボックス71をステージ69と一体に移動可能にして設けているので、スペース効率が良く、また顧客が取り忘れたカードのリジェクトのスピードが上がり、次の取引を早く開始させることができる等の効果がある。
【0040】なお、上記第2の実施例では、カード発行部55及びカード印字部54をカードリーダライタ51の横で水平に並べた構造とした場合について説明したが、例えば図4に示すように、カード発行部55とカード印字部54をカードリーダライタ51の上方に配置し、ステージ69を上下に移動できる構成にしても差し支えないもので、このような構造にした場合には装置の奥行き寸法だけでなく、横幅も狭くすることができ、横幅に制限のある場合でも適用可能となる。また、上記第2の実施例では、取り忘れカードを取り込むリジェクトボックス71をステージ69と一体に移動される構造を開示したが、リジェクトボックス71をステージ69と別体にして、例えばエンボスイメージ読取部52とカード印字部54の間や、カード印字部54の後ろ等に配置することも可能である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係るカード取扱装置によれば、カードの受け渡し及び保留ができるステージ、あるいはカードの受け渡しを何れの位置でもできるステージを利用して、カードの取り込み及び排出を最適な順序で行うことができるとともに、認識部とカード発行部とを並置して設けることができるので、カード進行方向に対して装置が長くなるの抑えることができ、小型化された装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例として示すカード取扱装置の概略構成配置図である。
【図2】本発明の第1の実施例として示すカード取扱装置の概略構成配置図である。
【図3】本発明の第2の実施例として示すカード取扱装置の概略構成配置図である。
【図4】第2の実施例として示した同上装置の一変形例を示す図である。
【図5】従来のカード取扱装置の一例を示す概略構成配置図である。
【符号の説明】
1 カードリーダライタ(認識部) 2 エンボスイメージ読取部
3 横搬送部 5 カード発行部
6 カード挿入口 7 IDカード
9A 搬送路 9B 搬送路
10a 振込カード 10b 振込カード
19 ステージ 20 ステージ
21 リジェクトボックス 51 カードリーダライタ(認識部)
52 エンボスイメージ読取部 53 横搬送部
55 カード発行部 56 カード挿入口
57 IDカード 59A 搬送路
59B 搬送路 60a 振込カード
60b 振込カード 69 ステージ
71 リジェクトボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともカード情報のリードライト可能な認識部とスタックされたカードを発行し印字を行うカード発行部とを備えたカード取扱装置において、前記認識部と前記カード発行部とを並列して設けるとともに、前記認識部と前記カード発行部の後方にカードの受け渡し及び保留のできる2つのステージを配置した横搬送部を設けて成り、前記横搬送部はそれぞれのステージが前記認識部及び前記カード発行部へのカード受け渡しができる位置に移動可能なように構成したことを特徴とするカード取扱装置。
【請求項2】 前記ステージと一体に移動して取り忘れカード等を取り込むリジェクトボックスを設けた請求項1に記載のカード取扱装置。
【請求項3】 少なくともカード情報のリードライト可能な認識部と、エンボス文字を読み取るエンボスイメージ読取部と、スタックされたカードを発行し印字を行うカード発行部と、前記カードに印字するカード印字部とを備えたカード取扱装置において、前記認識部と前記エンボスイメージ読取部とを一直線上に配置するとともに、前記カード発行部と前記カード印字部を前記認識部側と並行した一直線上に配置し、かつ前記認識部と前記エンボスイメージ読取部の間及び前記カード発行部と前記カード印字部の間に、前記認識部と前記エンボスイメージ読取部と前記カード発行部と前記カード印字部の何れかと対応する位置に移動されて、その対応した部分でカードの受け渡しができるステージを有した横搬送部を設けたことを特徴とするカード取扱装置。
【請求項4】 前記ステージと一体に移動するようにして取り忘れカード等を取り込むリジェクトボックスを設けた請求項3に記載のカード取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−44830
【公開日】平成8年(1996)2月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−197386
【出願日】平成6年(1994)7月29日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)