説明

カーペット用清掃具

【課題】カーペットに絡みついた繊維質のごみであっても容易に除去することができるカーペット用清掃具を提供する。
【解決手段】繊維質のごみを付着させるためのシート2と、このシート2を取り付けるためのブロック体13とを有し、該ブロック体13は、上記シート2の厚さよりも長さの長い多数の線条12からなるブラシ部4を有していて、該ブロック体13に上記シート2を装着したとき、このブラシ部4の線条12が該シート2を貫通して外部に突き出すように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット上にある繊維質のごみを除去するための清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカーペットを清掃する清掃具として、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。この清掃具は、基板に設けた短繊維によってカーペット上の糸屑を掻き取るように構成されている。また、上記特許文献1の他にも、粘着テープをロール状に巻着してなる粘着ロールを備え、該粘着ロールをカーペットに押し付けて転動させることでカーペット上のごみを粘着ロールに付着させる清掃具等が公知である。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の清掃具においては、掻き取った糸屑が短繊維に絡みついてしまうため、これを取り除く作業が面倒になる。また、粘着ロールを備えた上記清掃具においては、カーペット表面のごみは除去することができるが、繊維に絡みついたごみは除去することが困難であった。
【特許文献1】実公平6−46349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、カーペットに絡みついた繊維質のごみであっても容易に除去することができるカーペット用清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の清掃具は、繊維質のごみを付着させるためのシートと、このシートを着脱自在に装着するための清掃具本体とで構成されていて、上記清掃具本体が、平坦な清掃用作業面を有するブロック体と、このブロック体の上記作業面に形成されたブラシ部とを有し、上記ブラシ部を、カーペットに絡みついた繊維質のごみを掻き取り可能な程度の剛性と弾性とを兼ね備えた多数の線条で形成すると共に、これらの線条の長さを上記シートの厚さよりも長く形成することにより、上記清掃具本体に該シートを装着したとき、これらの線条が該シートを貫通して外部に突き出すように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明においては、上記ブラシ部における各線条の先端部を鈎形に湾曲させても良く、あるいは、各線条を一方向に傾斜させることにより、該線条の傾斜方向に清掃具を動かした場合と逆方向に動かした場合とにおけるごみの掻き取り抵抗に差を持たせることもできる。
【0007】
また、本発明の清掃具は、上記ブロック体を合成樹脂発泡体によって片手に直接握持して清掃可能な大きさと硬さとを有するように形成し、上記ブラシ部を作業面全体に形成したものであっても、あるいは、上記ブロック体を合成樹脂発泡体により形成して、その上面に取付部材を介して柄を取り付け、該ブロック体の下面を上記作業面として、該作業面全体に上記ブラシ部を形成したものであっても良い。
【0008】
さらに、本発明の清掃具は、上記ブロック体が矩形の断面形状を有する部材からなっていて、下面である第1側面が上記作業面をなすと共に、上面である第2側面に上記シートの一部を差し込んで止着させるための複数の止着孔を有し、この止着孔は、上記ブロック体の長手方向の両端部寄りの位置に、それぞれ、該ブロック体の短手方向に相対して位置するように形成され、上記第2側面から第1側面にかけて該ブロック体を貫通していることが望ましい。
【0009】
この場合上記止着孔は、弧面部と平面部とからなる半月状をしていて、相対する止着孔が弧面部同士を対向させた状態に配設され、各止着孔には、上記シートを押し込む際に該止着孔を広がり易くするためのスリットが両側に連設されていても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカーペット用清掃具は、ブロック体に清掃用シートを装着すると、ブラシ部における各線条が該シートから突出するので、これらの線条でカーペットのパイルに絡んだ毛髪、綿埃、糸くずなどの繊維質からなるごみを掻き取ることにより、掻き取られたごみが上記シートの表面に付着して捕集される。
清掃後に、上記ブロック体からシートを取り外すと、上記ごみが該シートに付着したままブラシ部の線条から剥離される。よって、ブラシ部にごみが付着したまま残ることがないため、該ブラシ部を洗ったりする面倒な手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図6は本発明に係るカーペット用清掃具の第1実施形態を示すものである。この清掃具1Aは、片手に直接握持して清掃を行うように構成されたもので、不織布からなる清掃用のシート2と、該シート2を着脱自在に装着するための清掃具本体3とで構成されている。
【0012】
上記シート2は、図4に示すように、天然繊維及び/又は合成繊維からなる柔軟な不織布によって長方形状に形成したもので、上記繊維による毳立った表面を有し、この表面の繊維にカーペット26上の毛髪や糸屑などの繊維質のごみを付着させて除去するものである。もちろん、塵埃などの繊維質以外のごみも付着させることができる。
上記不織布を構成する繊維は、親水性繊維であっても、親油性繊維であっても良く、あるいはそれらの混合物であっても良い。また、それらの繊維は、繊維経が小さい極細繊維で構成されていることが望ましいが、より望ましくは、この繊維の一部又は全部に、繊維経が1〜10μmの超極細繊維が含まれていることである。
【0013】
上記清掃具本体3は、ポリエチレンなどの合成樹脂発泡体からなる比較的硬質のスポンジ状をしたブロック体13に、多数の線条12からなるブラシ部4を設けたものである。上記ブロック体13は、矩形の断面形状を有する細長い四角柱状の部材であって、片手で直接握持して清掃することができるような大きさと、清掃時に加わる力では殆ど圧縮されない程度の硬さとに形成され、上記ブラシ部4が設けられた平坦な第1側面(下面)18と、該第1側面18の反対側に位置する平坦な第2側面(上面)19と、これらの側面18,19と隣接する位置にあって互いに相反する方向を向く平坦な第3側面20及び第4側面21とを有している。これらの第3側面20及び第4側面21には、使用者が握持し易いように、指が当たる位置に複数の窪み22が形成されている。図示した例では、両側面20,21の中央部とその両側部とにそれぞれ浅い溝形をした3つの窪み22が形成されているが、これらの窪み22の位置や数及び形状等はこれ以外であっても良い。また、該ブロック体13の長手方向の両端面23,24は、内側に向かって窪んだ形に形成されている。
【0014】
上記ブラシ部4は、図2及び図3に示すように、上記ブロック体13の第1側面18の全体に、カーペット26に絡みついた繊維質のごみを掻き取り可能な程度の剛性と弾性とを兼ね備えた合成樹脂製の多数の上記線条12を、一定間隔で列状に取付けることにより形成したもので、起立する上記線条12の高さ(長さ)は、上記シート2の厚さよりも大きく形成されている。従って、該シート2を清掃具本体3即ちブロック体13に装着した時、上記各線条12が該シート2を貫通して外部に突き出すことになる。上記線条12を形成する合成樹脂としては、例えばポリアミド系樹脂やポリエステル樹脂等を用いることができる。
【0015】
上記ブラシ部4は、例えば次のような方法により形成することができる。すなわち、図5に示すように、波形に折り曲げられてブロック体13の長手方向に延びる複数の合成樹脂製の長尺の線材17を、それらの折曲基端部17aに固定用の細線14を係止あるいは巻き付けるなどして相互に結合、一体化することにより、並列に位置する複数の線材17からなる線条マット25を形成し、この線条マット25を上記ブロック体13の第1側面18に接着剤で固定すると共に、各線材17の折曲先端部17bを切断することにより、図6に示すように、複数の線条12を有する上記ブラシ部4が形成される。
このようにして形成される上記線条12は、先端がやや横向きをなす鈎形に湾曲しているため、繊維質のごみを引っ掛けて掻き取る効果に勝れることになる。
【0016】
しかし、上記線条マット25はこのような構成のものに限定されない。例えば、平面シート状をした基材の表面に多数の線条の基端部を一体に固着したものであっても良い。この場合、上記基材は多孔質であっても無孔質であっても良く、また、この基材と各線条とは、予め一体成形したものであっても、別々に形成して接着や溶着等の方法で一体化したものであっても良い。さらに、上記各線条12は、先端が鈎形に湾曲することなく真っ直ぐ延びていても良い。
【0017】
あるいは、図7に示すように、ブラシ部4における各線条12を一方向に傾斜させることにより、該線条12の傾斜方向(a方向)に清掃具を動かした場合と、逆方向(b方向)に動かした場合とで、ごみの掻き取り抵抗に差を持たせることもできる。この場合、清掃具を線条12の傾斜方向に動かしたときの方が、各線条12の剛性が大きくなるため、ごみの掻き取り力も大きくなる。従って、カーペットの種類や毛羽の状態等によって清掃具を動かす方向を使い分けることにより、清掃を効率よく行うことができる。
【0018】
上記ブロック体13の第2側面19には、装着したシート2を止着して保持するための止着孔9が、該第2側面19から第1側面18に向けて該ブロック体13を貫通するように設けられている。この止着孔9は、弧面部9aと平面部9bとからなる半月状をしていて、上記ブロック体13の長手方向の両端部寄りの位置に、それぞれ、該ブロック体13の短手方向に互いに相対して位置するように一対づつ形成されている。この場合、相対する一対の止着孔9は、上記弧面部9aを内側すなわち第2側面19の中央側に向けることにより、該弧面部9a同士を互いに対向させた状態に配設されている。
【0019】
また、上記ブロック体13には、上記止着孔9にシート2を押し込む際に該止着孔9を広がり易くするためのスリット10が、該止着孔9に連なるように形成されている。図示した例では、このスリット10が、上記平面部9bの両側に該ブロック体13の長手方向に延びるように連設されている。このスリット10も、ブロック体13を第2側面から第1側面18にかけて貫通している。
しかし、上記止着孔9及びスリット10は、必ずしもブロック体13を貫通している必要はなく、第2側面19から一定の深さに形成することもできる。
【0020】
上記構成を有するカーペット用清掃具1Aでカーペット26を清掃するときは、図1及び図3に示すように、清掃用シート2を清掃具本体3のブロック体13に巻き付けるように装着する。すなわち、該シート2の中央部をブロック体13の第1側面18に当て、第3側面及び第4側面を包み込むように該シート2を巻き付けたあと、該シート2の両端部を第2側面の止着孔9a,9bに部分的に押し込んで係止させることにより、該シート2がブロック体13に着脱自在に取付けられる。このとき、ブラシ部4における各線条12は、上記シート2を貫通して先端が外部に突出した状態となる。
【0021】
そして、上記清掃具1Aを片手に持ち、上記ブラシ部4でカーペット26の上面を擦るように該清掃具を動かすことにより、上記線条12でカーペット26上の毛髪や糸屑などの繊維質のごみが掻き集められ、掻き集められたごみが上記シート2に付着して捕集される。この場合、上記毛髪や糸屑などの繊維質のごみがカーペット26の毛羽やパイルに絡みついていても、それらは上記線条12で確実に掻き出され、上記シート2に付着する。もちろん、塵埃のような繊維質以外のごみも上記シート2に付着して捕集されることになる。
【0022】
清掃が終了すると、上記シート2をブロック体13から取り外し、ごみとして捨てれば良い。このとき、捕集されたごみは全て上記シート2に付着したままブロック体13から分離され、毛髪や糸屑等がブラシ部4の線条12に絡みついたまま残ることがない。このため、ブロック体13を清掃の都度洗浄する必要がない。
【0023】
図示した実施形態においては、上記ブラシ部4がブロック体13の第1側面18全体に設けられているが、例えば長手方向の半部だけに形成するといったように、第1側面18の一部に部分的に設けることもできる。
また、上記ブラシ部4は、ブロック体13の一つの側面だけに形成することなく、複数の側面に形成することもできる。
【0024】
さらに、上記ブロック体13の断面形状は、必ずしも矩形である必要はなく、例えば三角形やその他の多角形であっても良く、あるいは半月形であっても良い。半月形の場合は、弧面側と平面側の何れに上記ブラシ部4を設けても良い。
【0025】
図8及び図9は本発明に係る清掃具の第2実施形態を示すもので、この清掃具1Bは、柄30を持って清掃するように構成されている点で、上記第1実施形態の清掃具1Aと相違している。即ち、この清掃具1Bにおける清掃具本体3は、ブラシ部4を備えたスポンジ状のブロック体13の上面に、取付部材31を介して上記柄30を取り付けたものである。
【0026】
上記ブロック体13は、矩形断面をした一方向に長い柱状又は板状の部材であって、下面が作業面をなし、この作業面全体に上記ブラシ部4が形成されている。このブラシ部4の構成は、上記第1実施形態の清掃具1Aに形成されているブラシ部4と同様である。また、このブロック体13は、比較的硬質のスポンジ体からなるもので、清掃時に上記取付部材31を介して加わる押圧力によっては殆ど圧縮されない程度の硬さを有している。
【0027】
また、上記取付部材31は、合成樹脂でプレート状に形成されたもので、上記ブロック体13の上面とほぼ同じ形状をなすと共に、該上面とほぼ同じかやや小さめの大きさを有し、接着剤や両面接着シート等によってこのブロック体13の上面に固着されている。そして、該取付部材31の上面中央部に、上記柄30が、上記ブロック体13の短手方向に向けて斜め上向きに傾斜した状態に固定的に取り付けられている。該取付部材31には、上記ブロック体13の上面の各止着孔9と対応する位置に窓孔32が形成され、この窓孔32を通じてシート2を各止着孔9に押し込むようになっている。
【0028】
この第2実施形態における上記ブロック体13及びブラシ部4の上述したこと以外の構成とその好ましい変形例については、第1実施形態の場合と実質的に同じであり、また、その作用についても、柄30を持って清掃するという点で第1実施形態と相違しているだけであるから、重複を避ける意味で、第1実施形態と同じ主要な構成部分に該第1実施形態と同じ符号を付し、それらの構成及び作用の説明は省略することとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るカーペット用清掃具の第1実施形態の平面図である。
【図2】上記清掃具のブロック体を下面側から見た斜視図である。
【図3】上記清掃具による清掃時の状態を示す断面図である。
【図4】清掃用シートの展開状態の平面図である。
【図5】ブラシ部の線条を形成する途中の過程を示す部分拡大図である
【図6】ブラシ部の線条形成後の部分拡大図である。
【図7】ブラシ部の変形例を示す要部断面図である。
【図8】本発明の清掃具の第2実施形態を示す側面図である。
【図9】図8の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1A,1B カーペット用清掃具
2 シート
3 清掃具本体
4 ブラシ部
9 止着孔
9a 弧面部
9b 平面部
10 スリット
12 線条
13 ブロック体
18 第1側面
19 第2側面
30 柄
31 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質のごみを付着させるためのシートと、このシートを着脱自在に装着するための清掃具本体とで構成され、
上記清掃具本体は、平坦な清掃用作業面を有するブロック体と、このブロック体の上記作業面に形成されたブラシ部とを有し、
上記ブラシ部を、カーペットに絡みついた繊維質のごみを掻き取り可能な程度の剛性と弾性とを兼ね備えた多数の線条で形成すると共に、これらの線条の長さを上記シートの厚さよりも長く形成することにより、上記清掃具本体に該シートを装着したとき、これらの線条が該シートを貫通して外部に突き出すように構成されていることを特徴とするカーペット用清掃具。
【請求項2】
上記ブラシ部における各線条の先端部を鈎形に湾曲させたことを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
上記ブラシ部における各線条を一方向に傾斜させることにより、該線条の傾斜方向に清掃具を動かした場合と逆方向に動かした場合とにおけるごみの掻き取り抵抗に差を持たせたことを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項4】
上記ブロック体が、合成樹脂発泡体によって片手に直接握持して清掃可能な大きさと硬さとを有するように形成され、また上記ブラシ部が、上記作業面全体に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の清掃具。
【請求項5】
上記ブロック体が合成樹脂発泡体によって形成されると共に、その上面には取付部材を介して柄が取り付けられ、また、該ブロック体の下面が上記作業面となっていて、該作業面全体に上記ブラシ部が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の清掃具。
【請求項6】
上記ブロック体が矩形の断面形状を有する部材からなっていて、下面である第1側面が上記作業面をなすと共に、上面である第2側面に上記シートの一部を差し込んで止着させるための複数の止着孔を有し、この止着孔は、上記ブロック体の長手方向の両端部寄りの位置に、それぞれ、該ブロック体の短手方向に相対して位置するように形成され、上記第2側面から第1側面にかけて該ブロック体を貫通していることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の清掃具。
【請求項7】
上記止着孔が、弧面部と平面部とからなる半月状をしていて、相対する止着孔が弧面部同士を対向させた状態に配設され、各止着孔には、上記シートを押し込む際に該止着孔を広がり易くするためのスリットが両側に連設されていることを特徴とする請求項6に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−282855(P2007−282855A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113715(P2006−113715)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】