説明

ガイドワイヤ

【課題】
本発明は、狭窄部に適切に当接して、狭窄部に対して高い穿通性を発揮することができるガイドワイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】
ガイドワイヤ10は、コイル50の先端をコアシャフト14に接合すると共に、先端に向かって細くなるように傾斜した傾斜側面部53、傾斜側面部53の先端に設けられ、軸方向に対して略直交する先端平面部54、及び先端平面部54の略中央に設けられた孔部55を有することにより、傾斜側面部53と先端平面部54との間に外側エッジ部54aが形成され、先端平面部54と孔部55との間に内側エッジ部54bが形成されたチップ50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用のガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるカテーテル等を案内するために各種のガイドワイヤが開発されている。
【0003】
血管に挿入されるガイドワイヤは、血管内の狭窄部に進入し、通過するために、安全性と、穿通性を考慮して、ロウ材等によって形成されたチップと呼ばれる先端の結合部について、各種の形状が提案されている(例えば、下記特許文献1、2、3、4参照)。ここで、穿通性とは、ガイドワイヤの先端部を狭窄部に進入させることができる性能を言う。
【0004】
特に、慢性完全閉塞(CTO:chronic total occlusion)と呼ばれる狭窄部に代表される血管の狭窄が比較的重篤な場合に用いられるガイドワイヤの場合、硬く、狭い病変部を通過しなければならないため、穿通性を高めるために、先端に向かって細径化されたテーパ状の部分を有するチップが用いられることがある(例えば、下記特許文献3の図2、図13〜15、下記特許文献4の図12A,B参照)。このようなテーパ状のチップの先端は、安全性を高めるために、通常、円弧状とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平10−511586号公報
【特許文献2】特開2008−206919号公報
【特許文献3】特表2007−530130号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0185415号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したように、ガイドワイヤのチップがテーパ状であっても、狭窄部が存在する血管が複雑に屈曲する場合や、狭窄部の入り口部分が複雑な形状をしていること場合には、テーパ状の先端が必ずしも狭窄部に対して直角に当接するとは限らない。即ち、ガイドワイヤのチップの側面等が狭窄部に接触し、チップと狭窄部との接触面積が大きくなり、十分な穿通性が得られないという問題があった。また、硬い狭窄部の表面では、先端が円弧状とされたチップは、滑り易く、穿通性が劣化するという問題があった。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、狭窄部に適切に当接して、狭窄部に対して高い穿通性を発揮することができるガイドワイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明にあっては、上記課題は、以下に列挙される手段により解決がなされる。
【0008】
<1>コアシャフトと、少なくとも1本の素線が巻回されてなり、前記コアシャフトの先端部を包囲するコイルと、前記コイルの先端を前記コアシャフトに接合すると共に、先端に向かって細くなるように傾斜した傾斜側面部、前記傾斜側面部の先端に設けられ、軸方向に対して略直交する先端平面部、及び前記先端平面部に設けられた孔部を有することにより、前記傾斜側面部と前記先端平面部との間に外側エッジ部が形成され、前記先端平面部と前記孔部との間に内側エッジ部が形成された先端接合部と、前記コイルの後端を前記コアシャフトに接合する後端接合部とを備えることを特徴とするガイドワイヤ。
【0009】
<2>前記先端接合部は、金を主成分とするロウ材によって形成されていることを特徴とする態様1に記載のガイドワイヤ。
【発明の効果】
【0010】
<1> 本発明のガイドワイヤは、コイルの先端とコアシャフトを接合する先端接合部が、先端に向かって細くなるように傾斜した傾斜側面部と、傾斜側面部の先端に設けられ、軸方向に対して略直交する先端平面部と、先端平面部に設けられた孔部を有する。これによって、傾斜側面部と先端平面部との間に外側エッジ部が形成され、先端平面部と孔部との間に内側エッジ部が形成されている。
【0011】
即ち、先端接合部の先端は、傾斜側面部によって、先端に向かって細くなると共に、先端平面部によって平坦にされている。また、先端平面部に孔部が形成されることによって、先端平面部の表面積は可及的に小さくされている。このため、先端接合部の先端が過度に鋭利でないため安全性が確保される。また、狭窄部の閉塞した入り口部分に対して略直角に先端接合部が当接した場合には、小さな接触面積で狭窄部に当接させることができる。よって、医師等の手技者がガイドワイヤを手元側から先端方向に押し込み力を与えることにより、先端接合部は狭窄部に対して容易に進入する。そして、ガイドワイヤに押し込み力が与えられることにより、ガイドワイヤを狭窄部に容易に通過させることができる。
【0012】
また、比較的重篤な狭窄部の入り口部分は、しばしば、硬い膜状の部分を有しており、この膜状の狭窄部表面に斜めにガイドワイヤの先端が接触すると、ガイドワイヤの先端は滑り、進入が困難となる傾向がある。しかし、本発明の先端接合部の先端には、外側エッジ部と内側エッジ部が形成されているため、狭窄部の閉塞した入り口に対して斜め方向から先端接合部が当接した場合にも狭窄部表面で滑ることなく、切り込む様に係合し、進入するための位置を得ることができる。よって、この状態から、手技者がガイドワイヤを手元側から先端側に向けてガイドワイヤに押し込み力を与えることにより、先端接合部は、狭窄部表面の膜状の部分を破って進入し、ガイドワイヤを狭窄部に容易に通過させることができる。
このように、本発明のガイドワイヤは、安全性が高いだけでなく、比較的重篤な狭窄部であっても高い穿通性を発揮することができる。
【0013】
<2>発明の態様2では、先端接合部は、金を主成分とするロウ材によって形成されている。金を主成分とするロウ材は、通常のガイドワイヤに広く用いられている錫を主成分とし、銀を少量含有するロウ材等と比較して剛性が高いため、先端接合部に高い剛性を持たせることができる。このため、狭窄部に対する穿通性を一層向上させることができる。また、剛性が高いため、先端接合部が有する外側エッジ部と内側エッジ部を良好に形成することができる。更に、金を主成分とするロウ材の融点は、400℃以下であるため、ロウ材の溶融時の熱影響によるコアシャフトやコイルの機械的強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施の形態のガイドワイヤの全体図である。
【図2】図2は、チップ(先端接合部)の拡大図である。
【図3】図3は、第2の本実施の形態を示した図である。
【図4】図4は、第3の本実施の形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態のガイドワイヤ10を図1及び図2を参照しつつ説明する。図2(a)は、ガイドワイヤ10における先端接合部としてのチップ50の側面図であり、図2(b)は、チップ50の正面図である。図1及び図2(a)において、図示右側が体内に挿入される先端側(遠位側)、左側が手技者によって操作される後端側(手元側、基端側)である。
ガイドワイヤ10は、一例として、心臓の血管の治療に用いられるものである。ガイドワイヤ10は、本実施の形態の場合、約1900mmの長さを有する。
ガイドワイヤ10は、主にコアシャフト14、コイル60、及び先端接合部としてのチップ50からなる。コアシャフト14は本体部20と先端部30に大別される。ガイドワイヤ10の先端のチップ50からコイル60を経て本体部20の所定の範囲までの外表面には親水性コーティングが施されている。
【0016】
先端部30は、コアシャフト14が細径化された部分であり、本実施の形態の場合、約260mmである。本体部20は、直径が一定の円柱状の部分であり、先端部30以外の部分を占めている。本実施の形態の場合、本体部20の直径は約0.36mmに設定されている。
コアシャフト14の材料は特に限定されるものでは無いが、本実施の形態の場合、ステンレス鋼(SUS304)が用いられている。これ以外の材料としては、Ni−Ti合金のような超弾性合金やピアノ線等が用いられる。
【0017】
先端部30は、本体部20側からガイドワイヤ10の先端に向かって順に第1テーパ部31、小径部32、第2テーパ部33、第3テーパ部34、最先端部35を有している。
第1テーパ部31は、本実施の形態の場合、軸方向に約95mmの長さを有する。第1テーパ部31は、断面が円形のテーパ状の部分であり、本実施の形態では、直径が先端方向に向けて約0.36mmから約0.21mmに減少するようになっている。
【0018】
小径部32は、断面が円形で直径が一定の円柱状の部分であり、本実施の形態の場合、直径は約0.21mmとなっている。
第2テーパ部33及び第3テーパ部34は、それぞれ傾斜角度が異なり、断面が円形のテーパ状の部分である。本実施の形態の場合、第2テーパ部33の手元側の端部から第3テーパ部34の先端側の端部では、直径が約0.21mmから約0.08mmに減少するようになっている。
【0019】
最先端部35は、断面が円形の円筒状の部分である。本実施の形態の場合、直径は約0.08mmとなっている。また、最先端部35の軸方向の長さは、約16mmに設定されている。
【0020】
上述した第1〜第3テーパ部31、33、34、小径部32、及び最先端部35の配置や寸法は、所望の剛性を得る等の理由により適宜に変更し得る。例えば、第2テーパ部33と第3テーパ部34の間に直径が一定の円柱部を設けることも可能である。また、テーパ部の数やテーパ部の角度も必要に応じて適宜に設定できる。
【0021】
最先端部35から先端部30の第1小径部32の大部分は、コイル60内に挿通されている。コイル60は、1本の金属製の素線61を巻回したものである。コイル60の外径は、本実施の形態の場合、約0.36mmであり、コイル60の軸方向の長さは、約150.0mmである。
コイル60の素線61は、プラチナ合金等の放射線不透過性の金属線とステンレス鋼等の放射線透過性の金属線が接合されて1本の素線となったものであり、素線61の直径は、本実施の形態の場合、約0.065mmとなっている。
【0022】
コイル60の放射線不透過性の金属線からなる部分は、コイル60の先端から約50.0mmの部分であり、マーカとして機能する不透過部62を構成している。不透過部62の内、コイル60の遠位端から約30.0mmの部分は、素線61間に間隙が形成されるように疎巻きに巻回された疎巻き部62aであり、これより基端側の部分は、素線61間に間隙が無く、素線61同士が接触するように密巻きに巻回された密巻き部62bである。
放射線透過性の金属線からなる部分は、不透過部62より後端側のコイル60の部分を占めており、素線61同士が接触するように密巻きに巻回された透過部63となっている。
【0023】
コイル60の先端は、後述するチップ(先端接合部)50にてコアシャフト14の先端に同軸状にロウ付けによって接合されている。コイル60の後端は、先端部30の第1小径部32にロウ付けによって接合され、後端接合部64を形成している。
また、コイル60は、先端部30の第3小径部34にロウ付けによって接合され、中間接合部65を形成している。
【0024】
チップ(先端接合部)50は、軸方向の長さが約0.4mm〜約0.6mmに設定されており、本実施の形態の場合、約0.5mmである。チップ50は、コイル60との接合部分である後端側に設けられた基部51と、ガイドワイヤ10の先端部を形成するテーパ部52からなる。
【0025】
基部51は、コイル60の疎巻き部62aの素線61の間に後述する金属ロウが入り込んで形成された部分である。外径は、コイル60の外径と略同じに設定されており、本実施の形態の場合、約0.36mmである。基部51の軸方向の長さは、コイル60の素線61の約2〜3ピッチ分に相当する長さに設定されており、本実施の形態の場合、約0.2mmである。
尚、図2では、コイル60の素線61とチップ50を分かり易く示すために、実際の寸法より誇張されて示されている。
【0026】
テーパ部52は、基部51の先端側に金属ロウを追加して半球状の塊を形成した後に、研磨して形成された円錐台形状の部分である。テーパ部52は、先端に向かって外径が小さくなる傾斜側面部53と、チップ50の先端に設けられ、ガイドワイヤ10の軸方向に略直交する平面である先端平面部54と、先端平面部54に形成された孔部55を有する。孔部55は、本実施の形態の場合、先端平面部54の略中央に形成されている。しかし、孔部55を先端平面部54の中央から偏倚させることも可能である。
【0027】
テーパ部52の外径は、コイル60の外径と略同じ外径から先端平面部54に向かって減少する。本実施の形態の場合、約0.36mmから約0.25mmに減少する。
テーパ部52の軸方向の長さは、本実施の形態の場合、約0.3mmである。
【0028】
孔部55は、内壁面55aを有する円錐状の孔であり、先端平面部54の略中央に形成された円形の孔の直径は、約0.15mmである。孔部55の軸方向長さ(深さ)は、約0.1mmである。
【0029】
孔部55は、円錐台形状に研磨したチップ50を孔部55に対応する円錐状の突起を有する型に押し当てることにより形成することができる。
【0030】
このような構成によって、チップ50は、傾斜側面部53と先端平面部54との間に外側エッジ部54aを有すると共に、先端平面部54と孔部55の内壁面55aの間に内側エッジ部54bを有する。また、チップ50の先端は、先端平面部54によって平坦にされており、先端平面部54に孔部55が形成されることによって、その面積は可及的に小さくされている。このため、チップ50の先端が過度に鋭利でないため安全性が確保される。また、狭窄部が存在する血管が複雑に屈曲する場合や、狭窄部の入り口部分が複雑な形状をしている場合でも、チップ50の平坦、且つ、小さな接触面で、狭窄部に当接するようになっている。また、外側エッジ部54a又は内側エッジ部54bが狭窄部に対して切り込むように接触するようになっている。このため、チップ50は、狭窄部に当接し、軸方向の押し込み力が与えられた際に、十分な穿通性が得られるようになっている。
【0031】
チップ(先端接合部)50、後端接合部64、及び中間接合部65を形成するロウ付け用のロウ材には、例えば、Sn−Pb合金、Pb−Ag合金、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属ロウが挙げられる。尚、ロウ付け時の熱影響によるコアシャフト14やコイル60の機械的強度の低下を抑制するために、融点の低い金属ロウを用いることが好ましい。具体的には、500℃以下の融点を有する金属ロウを用いることが好ましい。
【0032】
特に、チップ50においては、金を主成分とした(例えば、金80mass%程度)Au−Sn合金のような金属ロウを用いることが好ましい。Au−Sn合金のような金属ロウは、通常のガイドワイヤに広く用いられている錫を主成分とし、銀を少量含有したロウ材等と比較して、剛性が高いことで知られている。このため、Au−Sn合金によって、チップ50を形成した場合には、チップ50に高い剛性を持たせることができ、狭窄部に対する穿通性を一層向上させることができる。また、剛性が高いため、チップ50が有する外側エッジ部54aと内側エッジ部54bを良好に形成することができる。更に、Au−Sn合金の融点は、400℃以下であるため、ロウ付け時の熱影響によるコアシャフト14やコイル60の機械的強度の低下を抑制する上で好ましい。
【0033】
以上の構成に基づいて、本実施の形態のガイドワイヤ10を心臓の冠状動脈の手技に用いた場合の作用を説明する。本手技において、心臓の冠状動脈には、慢性完全閉塞(CTO:chronic total occlusion)と呼ばれる略完全に閉塞した比較的重篤な狭窄部が形成されており、この狭窄部にガイドワイヤ10を挿通させる場合を想定している。
【0034】
ガイドワイヤ10は、大腿部等から動脈に挿入されることによって大動脈弓を通過し、冠状動脈に形成された治療目的たる狭窄部に至る。ガイドワイヤ10の先端のチップ50は、狭窄部の入り口部分の表面に接触する。この状態において、狭窄部の閉塞した入り口部分に対して略直角にチップ50が当接した場合には、チップ50の先端は、先端平面部54によって平坦にされており、孔部55が形成されることによって、先端平面部54の表面積は可及的に小さくされている。このため、過度に先端が鋭利でないため安全性が確保できるだけでなく、手技者がガイドワイヤ10を手元側から先端方向に軸方向の押し込み力を与えることにより、チップ50を狭窄部に対して容易に進入させることができる。この状態から更に、ガイドワイヤ10に押し込み力が与えられることにより、ガイドワイヤ10の先端部分を狭窄部に通過させることができる。
【0035】
また、狭窄部の閉塞した入り口に対して斜め方向からチップ50が当接した場合、比較的重篤な狭窄部の入り口部分は、しばしば、硬い膜状の部分が形成されており、この膜状の狭窄部表面に斜めにガイドワイヤの先端が接触すると、ガイドワイヤの先端は滑り、進入が困難となる。しかし、本実施の形態のガイドワイヤ10は、チップ50に形成された外側エッジ部54aと内側エッジ部54bの2つの縁部を有するため、狭窄部表面で滑ることなく、切り込む様に係合し、進入するため位置を得ることができる。
【0036】
この状態から、医師等の手技者が手元側から先端側に向けてガイドワイヤ10に押し込み力を与えることにより、ガイドワイヤ10のチップ50は、狭窄部表面の膜状の部分を破って進入し、ガイドワイヤ10の先端部分を狭窄部に通過させることができる。このようにガイドワイヤ10は、比較的重篤な狭窄部であっても高い穿通性を発揮することができる。
【0037】
以上述べた実施の形態では、チップ50のテーパ部52は、先端に向かって漸進的に外径が減少する円錐台形状である。しかし、チップのテーパ部の形状は、円錐台形状に限られるものでは無い。例えば、図3及び図4に示される第2、3の実施の形態のチップ150、250のような形状でも良い。図3及び図4において、(a)は、チップ150、250の側面図であり、(b)は、チップ150、250の正面図である。
【0038】
図3のチップ150は、チップ150の径方向に円弧状に膨らんだ紡錘形の傾斜側面部153を有するテーパ部152を備える。チップ150において、傾斜側面部153と先端平面部154との間には、外側エッジ部154aが形成され、先端平面部154と孔部155の内壁面155aの間には内側エッジ部154bが形成されている。
【0039】
図4のチップ250は、四角錘台形のテーパ部252を有し、4つの平面からなる傾斜側面部253を有する。チップ250のような角錐台形のテーパ部の場合、傾斜側面部253と先端平面部254との間に形成される外側エッジ部254aと、先端平面部254と孔部255の内壁面255aの間に形成される内側エッジ部254bだけでなく、角錐台の角の数に対応した側面エッジ部253aが傾斜側面部253に形成される。このため、狭窄部に対してチップ250が一層、係合し易くなり、穿通性が向上する。
また、チップの形状は、四角錘台形のテーパ部だけでなく、三角錐台形等の各種の角錐台形のテーパ部を採用することもできる。
【0040】
以上述べた実施の形態において、チップ50のテーパ部52に形成された孔部55は、円錐状の孔であるが、角錐形状、円筒形状、角柱形状等、各種の形状の孔を採用することができる。
【0041】
以上述べた実施の形態では、ガイドワイヤ10を心臓の血管に用いた場合について説明したが、心臓以外の脚等の血管や他の臓器にも用いることができる。
【0042】
以上述べた実施の形態では、コアシャフト14の最先端部35は、断面が円形の円筒状であるが、複数の円筒部やテーパ部を有する形状や、プレス加工等により平坦な部分を有する形状としても良い。
【符号の説明】
【0043】
10 ガイドワイヤ
14 コアシャフト
30 先端部
50 チップ(先端接合部)
53 傾斜側面部
54 先端平面部
54a 外側エッジ部
54b 内側エッジ部
55 孔部
60 コイル
61 素線
64 後端接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシャフトと、
少なくとも1本の素線が巻回されてなり、前記コアシャフトの先端部を包囲するコイルと、
前記コイルの先端を前記コアシャフトに接合すると共に、先端に向かって細くなるように傾斜した傾斜側面部、前記傾斜側面部の先端に設けられ、軸方向に対して略直交する先端平面部、及び前記先端平面部に設けられた孔部を有することにより、前記傾斜側面部と前記先端平面部との間に外側エッジ部が形成され、前記先端平面部と前記孔部との間に内側エッジ部が形成された先端接合部と、
前記コイルの後端を前記コアシャフトに接合する後端接合部と
を備えることを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
前記先端接合部は、金を主成分とするロウ材によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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