説明

ガスコード接続構造及びプラグ

【課題】機械的な動作を伴わず、且つ、外部との電気的な接触を伴わない非接触の状態で、プラグと継手部材との接続状態が正常接続状態であることを判定可能なガスコード接続構造を提供する。
【解決手段】プラグ40に対するガスコード接続構造において、スリーブ部材34は、ガスコード10と内部流体流路46との間でガスが流通可能にプラグ40と継手部材20とが接続される正常接続状態において、プラグ40側に設けられたコイル51の磁束に対して変化を与える磁性体にて構成され、コイル51のインダクタンスの変化に基づいて正常接続状態であることを判定する接続状態判定手段Aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ本体と接続部とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグに対して、ガスコードが接続されている継手部材を前記接続部に接続するガスコード接続構造、又は、ガスコードが接続されている継手部材が接続される接続部とプラグ本体とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上述したようなガスコード接続構造は、ガス炊飯器やガスファンヒーター等のガス機器本体に設けられたプラグに対して、ガスコードの先端に設けられた継手部材を接続するように構成され、ガス機器本体にガスを供給するように機能する。
【0003】
このように、プラグに対して継手部材を接続した状態でガス機器を使用することから、ガスコードとプラグの内部流体流路との間でガスが流通可能にプラグと継手部材とが接続される正常接続状態か、プラグに継手部材が接続されていない非接続状態かを判定することが求められている。
そこで、従来のガスコード接続構造としては、プラグと継手部材との接続が正常接続状態か非接続状態かを検知する手段として、プラグに対して接続状態検知手段が設けられているものがある。当該接続状態検知手段は、プラグに継手部材が接続されて正常接続状態となると、継手部材の一部により押圧されてOFF状態からON状態となる機械的スイッチが備えられ、その機械的スイッチがON状態かOFF状態かにより正常接続状態か非接続状態かを判定するように構成されているもの、又は、プラグに継手部材が接続されて正常接続状態となると、非導通状態から継手部材の一部の導通部を介して電気的に導通される導通状態となる一対の端子部が備えられ、一対の端子部が非導通状態か導通状態かにより正常接続状態か非接続状態かを判定するように構成されているものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−83989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたガスコード接続構造では、正常接続状態か非接続状態かの判定を誤判定してしまうことがあり、正常接続状態であることを的確に判定できない虞がある。つまり、機械的スイッチがON状態かOFF状態かにより正常接続状態か非接続状態かを判定するものでは、例えば、誤ってゴムホース等をプラグに接続しようとしたときにも、ゴムホースが機械的スイッチに当たってしまい、正常接続状態であると誤判定してしまう虞がある。また、機械的スイッチ自体の故障によっても誤判定が生じる虞がある。一対の端子部が非導通状態か導通状態かにより正常接続状態か非接続状態かを判定するものでは、プラグに継手部材が接続されていても、端子部の汚れや埃等の異物の噛み込み等により一対の端子部が非導通状態となってしまい、非接続状態であると誤判定してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、正常接続状態であることの判定の誤判定を防止して、正常接続状態であることを的確に判定できるガスコード接続構造及びプラグを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るガスコード接続構造は、プラグ本体と接続部とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグに対して、ガスコードが接続されている継手部材を前記接続部に接続するガスコード接続構造において、
その特徴構成は、前記継手部材は、前記接続部に外嵌されるスリーブ部材を備え、
前記スリーブ部材は、前記ガスコードと前記内部流体流路との間でガスが流通可能に前記プラグと前記継手部材とが接続される正常接続状態において、前記プラグ側に設けられたコイルに発生する磁束に変化を与える磁性体にて構成され、
前記コイルのインダクタンスの変化に基づいて前記正常接続状態であることを判定する接続状態判定手段を備えた点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、前記ガスコードと前記プラグの前記内部流体流路との間でガスが流通可能に前記プラグと前記継手部材とが接続される正常接続状態において、磁性体から成るスリーブ部材が、コイルに発生する磁束に変化を与えるので、当該磁束の変化に伴ってコイルのインダクタンスが変化する。これにより、接続状態判定手段は、コイルのインダクタンスの変化を捉えることにより、正常接続状態であることを判定することができる。この判定では、単に、コイルのインダクタンスの変化を捉えるだけでよく、機械的な動作を伴わないので、従来のような、機械的スイッチの故障等による誤判定を防止できる。また、例えば、プラグにゴムホースを接続したときには、ゴムホースによりコイルに発生する磁束に変化が与えられず、プラグに継手部材を接続したときには、汚れや埃等の異物の噛み込み等による影響を受けずに、スリーブ部材によりコイルに発生する磁束に変化を与えることができる。よって、正常接続状態であることの判定の誤判定を防止して、正常接続状態であることを的確に判定できるガスコード接続構造を実現できる。
【0009】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記スリーブ部材と前記コイルとが、前記正常接続状態において、前記プラグの前記軸線方向で重なる位置に配置されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、プラグと継手部材との正常接続状態において、コイルがスリーブ部材に対してプラグの軸線方向で重なる位置、即ちスリーブ部材に近い位置に配置されていることで、コイルの磁束はスリーブ部材から変化を的確に受けることとなり、接続状態判定手段が、正常接続状態であることを的確に判定することができる。
【0011】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記コイルは、前記接続部に巻回され、前記正常接続状態において、前記スリーブ部材よりも前記プラグの径方向で内側に配置されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、コイルをプラグの接続部に巻回するだけで、プラグと継手部材との正常接続状態の判定を適切に行うことができる。また、コイルは、プラグの接続部に巻回すれば、別途他の固定部材を設けなくとも、コイルをプラグに対して良好に固定することができるので、ガスコード接続構造のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記継手部材は、筒状本体の外周部位で軸線方向に移動自在に前記スリーブ部材を備え、前記スリーブ部材の内径面で径方向の位置が規制されるロック用ボールと、前記スリーブ部材の軸線方向における非ガスコード側部位に前記ロック用ボールを外径側位置に規制する第1規制面と、前記スリーブ部材の軸線方向で前記第1規制面より前記ガスコード側に設けられ前記ロック用ボールを内径側位置に規制する第2規制面とを備えて構成され、
前記接続部は、その先端から基端に向けて第1環状部、前記ロック用ボールを受け入れるロック溝部、第2環状部、第2環状部の外径よりも大きな外径を有する第3環状部を備えて構成され、
前記コイルは、前記第3環状部に巻回されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、スリーブ部材が前記プラグの軸線方向で非ガスコード側に突出して、ロック用ボールがロック溝部に嵌り込むことで正常接続状態となり、この正常接続状態において、例えば、スリーブ部材が第3環状部に対してプラグの前記軸線方向で重なる位置となり、その第3環状部に巻回されたコイルの磁束が変化することとなる。よって、当該正常接続状態では、ロック用ボールとロック溝部との嵌合により、プラグに対する継手部材の位置を規制して、ガスコードとプラグの内部流体流路との流通を適切に行なっている状態を、正常接続状態であるとして適切に判定できる。
また、コイルがプラグの接続部の基端側である第3環状部に巻回されているので、例えば、プラグの軸線方向でコイルがスリーブ部材と重なる状態、即ち、継手部材がプラグに対して適切に接続されている状態を、正常接続状態として判定することができる。そして、継手部材がプラグに対して十分に接続されていない状態、例えば、スリーブ部材がプラグの第1環状部、又はプラグの第2環状部に位置するような状態を、正常接続状態であると誤判定することを抑制できる。
【0015】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記コイルは、コイル支持部材により支持され、前記正常接続状態において、前記スリーブ部材よりも前記プラグの径方向で外側に配置されている点にある。
【0016】
コイルは、プラグに対してコイル支持部材により支持されることで固定できるので、現状のプラグに対しても簡単に取り付けることができる。また、コイルは、コイル支持部材により、プラグの径方向でスリーブ部材の外側に位置させて、コイルの周囲の磁束を適切に変化させることができる。
【0017】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記接続状態判定手段は、前記コイルと並列共振回路を成すように設けられたコンデンサと、前記並列共振回路に交流電圧を印加する交流電源と、前記インダクタンスの変化として前記並列共振回路の出力関連値を測定する測定部と、前記測定部により測定された前記出力関連値に基づいて、前記プラグと前記継手部材との接続が前記正常接続状態であることを判定する判定部とを有する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、上述したコイルとコンデンサとにより形成された並列共振回路に対し、交流電源が交流電源により交流電圧を印加し、測定部が、磁性体からなるスリーブ部材がコイルの近傍に位置することに伴うコイルのインダクタンスの変化を、上記並列共振回路の出力関連値として測定することができる。そして、判定部が、当該出力関連値に基づいて、前記プラグと前記継手部材との接続が正常接続状態であることを判定することができる。
【0019】
本発明に係るガスコード接続構造の更なる特徴構成は、前記判定部は、前記交流電圧が判定周波数に設定されている状態で、前記出力関連値としての電圧が接続状態判定閾値以上である場合に、前記プラグと前記継手部材との接続が前記正常接続状態であることを判定する点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、交流電圧を判定周波数に設定して、例えば、実験等により、プラグに継手部材が接続された場合の上記並列共振回路の出力関連値である電圧と、プラグに継手部材が接続されていない場合の上記並列共振回路の出力関連値である電圧とを取得し、その取得した2つの電圧の間に接続状態判定閾値を定めることで、出力関連値である電圧が接続状態判定閾値以上である場合に、正常接続状態であることを判定することができる。また、出力関連値である電圧が接続状態判定閾値未満である場合に、プラグと継手部材とが接続されていない非接続状態であることを判定することができる。即ち、接続状態判定手段は、並列共振回路の出力関連値である電圧を測定し、接続状態判定閾値以上であることを判定するだけで、正常接続状態を判定することができるので、良好に正常接続状態の判定ができる。
【0021】
本発明に係るガスコード接続構造に用いるプラグは、ガスコードが接続されている継手部材が接続される接続部とプラグ本体とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグであって、
その特徴構成は、前記ガスコードと前記内部流体流路との間でガスが流通可能に前記プラグと前記継手部材とが接続される正常接続状態において、前記接続部に外嵌される継手部材の磁性体から成るスリーブ部材により磁束の変化を受けるコイルと、そのコイルのインダクタンスの変化に基づいて前記正常接続状態であることを判定する接続状態判定手段とを備えた点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、ガスコード接続構造に用いるプラグを、ガスコード接続構造にて上述した作用効果と同様のものを奏するコイル付きプラグとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下、まず、本願において前提となる継手部材20を介したガスコード10のプラグ40への接続を、図4(a)及び図4(b)に基づいて説明する。図4(a)は、継手部材20が、プラグ40に接続されていない非接続状態である。一方、図4(b)は、継手部材20がプラグ40に接続され、ガスコード10と、継手部材20と、プラグ40とに渡って流体流路22が形成され、当該流体流路22を都市ガス等が流通可能な正常接続状態である。
【0024】
以下、継手部材20の構成、プラグ40の構成、非接続状態から正常接続状態となる接続動作、正常接続状態から非接続状態となる分離動作について、記載の順に説明する。
【0025】
図4(a)に示すように、継手部材20は、ガスコード10が接続されるコネクタ11、当該コネクタ11に連結される筒状本体21、筒状本体21の内側で軸線方向(図4中上下方向)に移動自在な作動部材33、筒状本体21の外周部位で軸線方向に移動自在な筒状のスリーブ部材34、及び、軸線方向で前記筒状本体21の非ガスコード側に位置され、スリーブ部材34の内径面により軸線方向の位置が規制されるロック用ボール35を備えて構成されている。コネクタ11と作動部材33との軸線方向の間には、コネクタ11に対して作動部材33を非ガスコード側(図4中下方側)である先端側に付勢する第1コイルバネ31が設けられ、カバー部材23とスリーブ部材34との軸線方向の間には、カバー部材23に対してスリーブ部材34を上記非ガスコード側である先端側に付勢する第2コイルバネ32が設けられている。
【0026】
さらに、継手部材20に設けられたカバー部材23は、主に、継手部材20をプラグ40に接続する場合に、作業者が継手部材20を保持するために使用される。
また、継手部材20には、前記ロック用ボール35の軸線方向の位置を、筒状本体21との間で先端側から位置決めする先端部材24が設けられている。
【0027】
継手部材20に設けられたスリーブ部材34は、筒状本体21及び先端部材24に対して、軸線方向に移動自在とされている。そして、図4(b)に示すように、前述の正常接続状態にあっては、スリーブ部材34は先端部材24に対して、図4(a)に示す非接続状態よりも、スリーブ部材34が先端側に突出する位置に位置される。
【0028】
尚、当該スリーブ部材34は、後述する接続状態判定手段Aが、プラグ40に対する継手部材20の接続状態が、非接続状態であるか正常接続状態であるかを判定する際に、使用される。
【0029】
スリーブ部材34の軸線方向における非コネクタ部位には、ロック用ボール35を外径側部位に規制する第1規制面25が設けられ、当該第1規制面25よりガスコード側には、ロック用ボール35を内径側部位に規制する第2規制面26が設けられている。
そして、図4(a)に示す非接続状態では、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、ロック用ボール35が第1規制面25により径方向移動を規制され、作動部材33が非ガスコード側に移動した閉止姿勢で、非ガスコード側である継手部材20の先端からの流体の流出が停止される。
一方、図4(b)に示す正常接続状態は、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、ロック用ボール35が第2規制面26により径方向移動を規制され、作動部材33がガスコード側に移動した開放姿勢で、継手部材20の先端からの流体の流出が許容される状態である。従って、この継手部材20は、非接続状態と正常接続状態との間で、先端からの流体の流出と停止を、切替自在に構成されている。
【0030】
次に、プラグ40の構成について説明する。プラグ40は、図4(a)に示すように、プラグ本体45と継手部材20が接続される接続部Sとを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘って、上述した流体流路22の一部を構成する内部流体流路46を備えている。接続部Sは、その先端側から基端側へ向けて第1環状部41、ロック用ボール35を受け入れるロック溝部42及び第2環状部43、及び第2環状部43より基端側に当該第2環状部43より大径の第3環状部44とを順に備えて構成されている。さらに、その基端側には、第3環状部44よりも大径の大径部分及びその大径部分よりも小径の小径部分からなるプラグ本体45を備えて構成されている。
同図に示す例では、第1環状部41と第2環状部43とは同径に構成されており、ロック溝部42は、断面視において略三角形状の溝として構成されている。
【0031】
次に、継手部材20のプラグ40への接続に関し、非接続状態から正常接続状態へ接続する接続動作について説明する。作業者は、継手部材20のカバー部材23を保持し、継手部材20がプラグ40を外嵌するように移動させる。当該移動操作において、プラグ40の先端は作動部材33の先端に当接し、作動部材33を継手部材20のガスコード側に押し込む。この状況で、継手部材20は、図4(a)に示す閉止状態から図4(b)に示す開放状態となる。これに伴い、ロック用ボール35がロック溝部42に嵌り込むと共に、先端側に付勢されているスリーブ部材34のロック用ボール35による基端側への位置保持が解除され、スリーブ部材34が先端側に突出する。以上が、図4(a)の非接続状態から図4(b)の正常接続状態へ接続する接続動作である。
【0032】
続いて、正常接続状態から非接続状態へ接続を解除する接続解除動作について説明する。作業者は、継手部材20のスリーブ部材34を保持し、当該スリーブ部材34を継手部材20の基端側に移動させる。移動前の状態で、継手部材20は、図4(b)に示す開放状態にある。移動操作において、作業者がスリーブ部材34を、第2コイルバネ32の付勢力に抗してガスコード側に移動させることで、スリーブ部材34の第1規制面25が軸線方向のロック用ボール35に相対する位置に来て、ロック用ボール35がロック溝部42から脱離される。これにより、スリーブ部材34がロック用ボール35によりガスコード側に位置保持されると共に、継手部材20とプラグ40との正常接続状態が解除される。これが、接続状態解除動作である。
【0033】
以上が、本願のガスコード接続構造の基本構成であるが、以下に、本願の特徴構成であるガスコード接続構造について、図1(a)、図1(b)に基づいて説明する。
コイル51は、プラグ40の接続部Sに巻回するように設けられている。継手部材20のスリーブ部材34は、ステンレス等の磁性体から成っており、図1(b)に示す正常接続状態ではコイル51の近傍に位置して、コイル51に発生する磁束に変化を与えるように構成されている。接続状態判定手段Aは、コイル51のインダクタンスの変化に基づいて正常接続状態であることを判定するように構成されている。
接続状態判定手段Aは、当該コイル51と並列共振回路を成すように設けられたコンデンサ52と、並列共振回路に交流電圧を印加する交流電源53と、コイル51のインダクタンスの変化として並列共振回路の出力関連値としての電圧を測定する電圧計54(測定部の一例)と、電圧計54の測定結果に基づいてプラグ40と継手部材20との接続が正常接続状態であることを判定する判定部55とを備えて構成されている。
上記交流電源53及び電圧計54は、図1(a)及び図1(b)に示すように、並列共振回路のコンデンサに対して並列に設けられる。
また、判定部55は、電圧計54から出力関連値としての電圧に関する情報を取得するように配置されると共に、例えば、マイクロチップ等により構成することができる。
【0034】
ここで、接続状態判定手段Aによる正常接続状態の判定について、簡単に説明する。図1(b)に示すように、コイル51は、継手部材20とプラグ40とが正常接続状態である場合において、プラグ40の径方向でスリーブ部材34の内側近傍に配置されると共に、プラグ40の軸線方向でスリーブ部材34と重なる位置に配置されている。即ち、コイル51が、スリーブ部材34の近傍に位置することとなる。この時、磁性体であるスリーブ部材34による透磁率の変化を受けて、コイル51の周囲に発生される磁束が変化する。電圧計54は、当該磁束の変化に伴うコイル51のインダクタンスの変化としての並列共振回路の出力関連値としての電圧を測定する。
判定部55は、図1(a)に示される非接続状態の場合の出力関連値と、図1(b)に示される正常接続状態の場合の出力関連値とが異なる値となることに基づいて、プラグ40と継手部材20との接続状態が、正常接続状態か非接続状態かを判定する。
【0035】
コイル51は、プラグ40の接続部Sのうち、第3環状部44の周方向に沿って巻回して設けられている。これにより、判定部55は、継手部材20がプラグ40の接続部Sを確実に外嵌する状態である場合を、正常接続状態と判定することができると共に、継手部材20がプラグ40と不十分な接続状態である場合、例えば、スリーブ部材34の先端が、プラグ40の軸線方向において、プラグ40の接続部Sの第1環状部41や第2環状部43と重なる位置等に存在するような状態を、誤って正常接続状態として判定することを抑制できる。よって、コイル51がプラグ40の接続部Sの基端側である第3環状部44に設けることで、良好に正常接続状態の判定を行うことができる。
【0036】
コイル51は、例えば、直径が0.05mm乃至0.25mm程度のエナメル線を用いて、プラグ40の径方向に1重に巻回され、その外径が15mmで軸線方向の長さが4.5mmの形状に構成することができる。
例えば、直径が0.05mmと細いエナメル線で、巻回数を100回程度に設定した場合、正常接続状態でのコイル51のインダクタンスは、365μH程度となり、非接続状態でのコイル51のインダクタンスは、551μH程度となる。
また、例えば、直径が0.25mmと太いエナメル線で、巻回数を10回程度に設定した場合、正常接続状態でのコイル51のインダクタンスは、2.53μH程度となり、非接続状態でのコイル51のインダクタンスは、3.86μH程度となる。
【0037】
図1では、コイル51が、正常接続状態においてスリーブ部材34よりもプラグ40の径方向の内側に配置されている構成を示したが、図2に基づいて、コイル51が、正常接続状態においてスリーブ部材34よりもプラグ40の径方向の外側に設けられている構成について説明する。図2に示されている実施形態は、図1に示されている実施形態に対して、コイル51のスリーブ部材34に対する位置が異なっている。以下、主に、当該相違点について説明する。尚、説明に関して、上述した図(1)の実施形態と同様の構成については、同様の符号を付すこととし、説明を割愛することがある。
【0038】
コイル51は、プラグ本体45に固定されているコイル支持部材56により支持され、スリーブ部材34よりもプラグ40の径方向で外側の位置に配置されると共に、プラグ40の軸線方向でスリーブ部材34と重なる位置に配置されている。
【0039】
上記コイル支持部材56は、プラグ本体45に外嵌固定され、接続部Sの外周を覆う形状に構成されている。コイル51は、図2(a)に示す非接続状態と図2(b)に示す正常接続状態とで、その内部空間にスリーブ部材34が挿脱自在となるようにコイル支持部材56に巻回された状態で支持されている。上記コイル51は、このようにコイル支持部材56に支持されているので、従来から設けられているプラグ40に対して、コイル51を後付けにより比較的簡便に取り付けることができる。
本実施形態においても、コイル51は、プラグ40と継手部材20との接続状態において、プラグ40の径方向でスリーブ部材34の外側近傍に配置されると共に、プラグ40の軸線方向でスリーブ部材34と重なる位置に配置されている。これにより、磁性体であるスリーブ部材34による透磁率の変化を受けて、コイル51の周囲に発生される磁束が変化する。
【0040】
図2(a)に示されている非接続状態において、コイル51は、プラグ40の軸線方向において、スリーブ部材34と重ならない位置、即ち、スリーブ部材34から離れた位置となり、コイル51の周囲に発生する磁束はほとんど変化しない。これに対し、図2(b)に示された正常接続状態において、コイル51は、プラグ40の軸線方向において、スリーブ部材34と重なる位置、即ち、スリーブ部材34の近傍となる位置となり、コイル51の周囲に発生する磁束が変化する。この結果、図2の実施形態を採用した場合でも、本願の接続状態判定手段Aは、コイル51のインダクタンスの変化に基づいて、正常接続状態であることを良好に判定することができる。
【0041】
次に、図1及び図2に示した判定部55によって、プラグ40と継手部材20との接続状態が正常接続状態か非接続状態であるかを判定する構成について説明する。
上述したコイル51とコンデンサ52とにより形成された並列共振回路に対し、交流電源53が周波数を判定周波数に設定して交流電源により交流電圧を印加し、測定部54が、コイル51のインダクタンスの変化を並列共振回路の電圧値として測定している。そして、判定部55が、交流電圧が判定周波数に設定されている状態で、測定部54にて測定された電圧に基づいて、その電圧が接続状態判定閾値以上か否かにより、プラグ40と継手部材20との接続が正常接続状態であるか、又は、プラグ40と継手部材20とが接続されていない非接続状態であるかを判定している。つまり、判定部55は、測定部である電圧計54にて測定した電圧が接続状態判定閾値以上であると、正常接続状態であると判定し、逆に、測定部54にて測定した電圧が接続状態判定閾値未満であると、非接続状態であると判定する。
【0042】
図3は、並列共振回路に印加する交流電圧の周波数を変化させたときに、測定部である電圧計54にて検出した検出電圧がどのように変化するかを実験した結果を示すグラフである。この実験結果によると、周波数によって正常接続状態の検出電圧と非接続状態の検出電圧との差の大きさが変化するが、例えば、周波数を270kHzとすると、正常接続状態の検出電圧と非接続状態の検出電圧との差が大きくなっている。
そこで、例えば、判定周波数としての交流電圧の周波数を270kHzとしたときの接続状態判定閾値を、正常接続状態の検出電圧と非接続状態の検出電圧との間である3.144Vとしている。これにより、正常接続状態の検出電圧と非接続状態の検出電圧との差が大きくなるように判定周波数を設定した状態において、測定部である電圧計54にて測定した電圧が接続状態判定閾値以上か否かにより、正常接続状態であるか非接続状態であるかを判定することができ、その判定を的確に且つ精度よく行うことができる。
【0043】
本願発明におけるガス接続構造について説明したが、本願発明は、上述のようなコイル51と接続状態判定手段Aとを備えたコイル付きプラグとすることもできる。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)
上記実施形態では、コイル51は、プラグ40の径方向において、1重に巻回して配置される例を示したが、別に1重である必要はなく、多重に巻回して配置することができる。
【0045】
(2)
上記実施形態において、接続状態判定手段Aは、正常接続状態の判定において、並列共振回路の出力関連値として電圧を用いて判定したが、並列共振回路に流れる電流を用いて判定することもできる。例えば、並列共振回路に電流計等の測定部を設ける。そして、非接続状態において、並列共振回路に印加する交流電圧の周波数を所定の共振周波数に設定しておき、並列共振回路に電流が流れない状態としておく。このように設定した場合、非接続状態においては、回路を流れる電流が流れず、正常接続状態においては、コイル51のインピーダンスがずれることで、共振周波数が上記所定の共振周波数からずれるため、並列共振回路に電流が流れることとなる。即ち、このように構成することで、判定部55は、測定部である電流計の電流値に基づいて、電流が流れていない場合には非接続状態と判定することができ、電流が流れている場合には正常接続状態と判定できる。もちろん、電流の設定は、電流が流れていない場合を正常接続状態とし、電流が流れている場合には非接続状態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明のガスコード接続構造及びプラグは、正常接続状態であることの判定の誤判定を防止して、正常接続状態であることを的確に判定できるガスコード接続構造及びコイル付きプラグとして、有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係るガスコード接続構造の断面図
【図2】別実施形態に係るガスコード接続構造の断面図
【図3】並列共振回路の出力電圧に基づく正常接続状態の判定例を示す図
【図4】ガスコード接続構造の従来例
【符号の説明】
【0048】
10:ガスコード
34:スリーブ部材
25:第1規制面
26:第2規制面
35:ロック用ボール
40:プラグ
41:第1環状部
42:ロック溝部
43:第2環状部
44:第3環状部
45:プラグ本体
51:コイル
52:コンデンサ
53:交流電源
54:電圧計
55:判定部
56:コイル支持部材
A:接続状態判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ本体と接続部とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグに対して、ガスコードが接続されている継手部材を前記接続部に接続するガスコード接続構造において、
前記継手部材は、前記接続部に外嵌されるスリーブ部材を備え、
前記スリーブ部材は、前記ガスコードと前記内部流体流路との間でガスが流通可能に前記プラグと前記継手部材とが接続される正常接続状態において、前記プラグ側に設けられたコイルに発生する磁束に変化を与える磁性体にて構成され、
前記コイルのインダクタンスの変化に基づいて前記正常接続状態であることを判定する接続状態判定手段を備えたガスコード接続構造。
【請求項2】
前記スリーブ部材と前記コイルとが、前記正常接続状態において、前記プラグの前記軸線方向で重なる位置に配置されている請求項1に記載のガスコード接続構造。
【請求項3】
前記コイルは、前記接続部に巻回され、前記正常接続状態において、前記スリーブ部材よりも前記プラグの径方向で内側に配置されている請求項1又は2に記載のガスコード接続構造。
【請求項4】
前記継手部材は、筒状本体の外周部位で軸線方向に移動自在に前記スリーブ部材を備え、前記スリーブ部材の内径面で径方向の位置が規制されるロック用ボールと、前記スリーブ部材の軸線方向における非ガスコード側部位に前記ロック用ボールを外径側位置に規制する第1規制面と、前記スリーブ部材の軸線方向で前記第1規制面より前記ガスコード側に設けられ前記ロック用ボールを内径側位置に規制する第2規制面とを備えて構成され、
前記接続部は、その先端から基端に向けて第1環状部、前記ロック用ボールを受け入れるロック溝部、第2環状部、第2環状部の外径よりも大きな外径を有する第3環状部を備えて構成され、
前記コイルは、前記第3環状部に巻回されている請求項3に記載のガスコード接続構造。
【請求項5】
前記コイルは、コイル支持部材により支持され、前記正常接続状態において、前記スリーブ部材よりも前記プラグの径方向で外側に配置されている請求項1又は2に記載のガスコード接続構造。
【請求項6】
前記接続状態判定手段は、前記コイルと並列共振回路を成すように設けられたコンデンサと、前記並列共振回路に交流電圧を印加する交流電源と、前記インダクタンスの変化として前記並列共振回路の出力関連値を測定する測定部と、前記測定部により測定された前記出力関連値に基づいて、前記プラグと前記継手部材との接続が前記正常接続状態であることを判定する判定部とを有する請求項1乃至5の何れか一項に記載のガスコード接続構造。
【請求項7】
前記判定部は、前記交流電圧が判定周波数に設定されている状態で、前記出力関連値としての電圧が接続状態判定閾値以上である場合に、前記プラグと前記継手部材との接続が前記正常接続状態であることを判定する請求項6に記載のガスコード接続構造。
【請求項8】
ガスコードが接続されている継手部材が接続される接続部とプラグ本体とを備えて構成され、軸線方向の先端から基端に亘る内部流体流路を備えたプラグにおいて、
前記ガスコードと前記内部流体流路との間でガスが流通可能に前記プラグと前記継手部材とが接続される正常接続状態において、前記接続部に外嵌される継手部材の磁性体から成るスリーブ部材により磁束の変化を受けるコイルと、そのコイルのインダクタンスの変化に基づいて前記正常接続状態であることを判定する接続状態判定手段とを備えたコイル付きプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−60067(P2010−60067A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227338(P2008−227338)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】