説明

ガス混合通風機運転情報提供装置及び方法

【課題】発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、運転コストを考慮してガス混合通風機の運転タイミングの情報を提供する装置及び方法を提供すること。
【解決手段】ガス混合通風機運転情報提供装置10は、運転データDB51を有し、ガス混合通風機61の動力単価を受け付け、脱硝装置70に注入される反応薬品の単価を受け付ける。そして、ガス混合通風機運転情報提供装置10は、運転データDB51に記憶された各負荷に対応して、ガス混合通風機運転時のコストと、ガス混合通風機停止時のコストとを算出し、各負荷におけるガス混合通風機運転時のコストと、ガス混合通風機停止時のコストとの差分を算出し、算出した差分の符号が変わる境界の負荷を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合通風機運転タイミングの最適化のためのガス混合通風機運転情報提供装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電システムは、燃料を燃焼し発電に必要なエネルギーを得ている。その際に、窒素酸化物(以下NOXともいう)が発生する。この窒素酸化物は、大気汚染防止法等により排出規制されている。そのため、発電システムは、NOX低減方法として、発生するNOXを低減する方法と、発生したNOXを低減させる方法との両方を組み合わせている。図9は、このような方法を組み合わせた発電システムの例を示す図である。
【0003】
具体的には、発生するNOXを低減する方法として、排ガスの再循環や、燃焼用空気への排ガスの混合等により、窒素酸化物の発生を抑制する方法がある。この燃焼用空気に排ガスを混合させる方法の場合、図9に示すようなガス混合通風機61(以下GMFともいう)が必要である。例えば、GMFは、発電機負荷により一律に起動させる運用か、停止させる運用かのどちらかの運用を行っている(例えば、175MW以上でGMFを起動させ、175MW未満でGMFを停止させている)。
【0004】
発生したNOXを低減させる方法として、脱硝装置により窒素酸化物を除去する方法がある。この場合、図9に示すような脱硝装置70は、常時使用され、脱硝装置70の出入口NOX値や、発電機負荷等により注入するアンモニア量が決定される。
【0005】
このようなGMFや脱硝装置を効率よく動作させるための技術を開示する特許文献1と、費用に基づいて運用コストを算出して最適な計画を立案する特許文献2及び特許文献3とが知られている。
特許文献1のガス混合通風機は、例えば、発電用ボイラから脱硝装置への入り口における窒素酸化物の濃度や、窒素酸化物の予想濃度、脱硝装置における窒素酸化物の濃度のいずれか又はすべてが、閾値以上又は未満であるかに応じて、排気ガスの混合をオンオフ制御する。特許文献2の更新計画システムは、部品補修のタイミングを、予測健全度、部品の耐用年数等によって定めた複数種類のシナリオと、部品ごとの健全度低下関数と、部品補修が行われた場合の健全度回復量とにしたがって、将来の所定期間に発生する費用を算出し、最も期間費用が少ないシナリオを決定する。特許文献3のシステムは、氷蓄熱槽において、氷がないときの熱収支と、氷があるときの熱収支との二つを制約条件式に使用し、時間ごとにエネルギー需要に対して従量料金を計算し、1日当たりの従量料金の集計を最小化する運用計画を立案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−299952号公報
【特許文献2】特開2009−169737号公報
【特許文献3】特開平11−132508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、脱硝装置に余力がある場合等を予めプログラム化し、GMFの起動及び停止を行うよう考えられているが、原料費や動力費等の各種費用の単価が変動した場合には、動力費を削減しても、脱硝装置での注入アンモニアの増加分費用がそれを上回れば、コスト削減効果がなく、各種費用の単価が一定の関係がある場合においてのみ有効な技術である。特許文献2や特許文献3に開示された技術は、窒素酸化物を規制値以下にする場合のコスト削減についての具体的な技術ではない。
【0008】
例えば、脱硝装置だけで排出規制値を遵守できれば、GMFを停止することにより、GMFの動力費の削減を行うことができる。しかし、GMFを停止した場合、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度が上昇するので、脱硝装置におけるアンモニアの注入量が増加する。このように脱硝装置での運転コストを考慮すると、脱硝装置で使用されるアンモニアの単価が乱高下するような場合、GMFの運転を発電機負荷により一律に決定することは、コスト削減を図ることにならない。
【0009】
そこで、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、運転コストを考慮してガス混合通風機の運転タイミングの情報を提供する装置が望まれている。
【0010】
本発明は、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、運転コストを考慮してガス混合通風機の運転タイミングの情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
(1) 発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングのための情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置であって、前記発電機の負荷に対応付けて、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量と、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量とを記憶する運転データ記憶手段と、前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付手段と、前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付手段と、前記発電機の負荷に応じて運転する前記ガス混合通風機の動力と、前記動力単価受付手段によって受け付けられた前記動力単価と、に基づいて前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出手段と、前記反応薬品の注入量と、前記反応薬品単価受付手段によって受け付けられた前記反応薬品の単価と、に基づいて前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出手段と、前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記通風機運転コスト算出手段によって算出された前記ガス混合通風機の運転コストと、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出手段によって算出された前記脱硝装置の運転コストと、に基づいてガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出手段と、前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出手段によって算出された前記脱硝装置の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出手段と、各負荷における前記通風機運転時コスト算出手段によって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出手段によって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出手段と、前記コスト差分算出手段によって算出された差分の符号が変わる境界の負荷を特定する負荷特定手段と、を備えるガス混合通風機運転情報提供装置。
【0012】
(1)の構成によれば、本発明に係るガス混合通風機運転情報提供装置は、発電機の負荷に対応付けて、ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量と、ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量とを記憶する運転データ記憶手段を有する。そして、ガス混合通風機運転情報提供装置は、ガス混合通風機の動力単価を受け付け、脱硝装置に注入される反応薬品の単価を受け付け、発電機の負荷に応じて運転するガス混合通風機の動力と、受け付けられた動力単価と、に基づいてガス混合通風機の運転コストを算出し、反応薬品の注入量と、受け付けられた反応薬品の単価と、に基づいて脱硝装置の運転コストを算出する。そして、ガス混合通風機運転情報提供装置は、運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、ガス混合通風機の運転コストと、ガス混合通風機を運転する場合に脱硝装置に注入される反応薬品の注入量から算出された脱硝装置の運転コストと、に基づいてガス混合通風機運転時のコストを算出し、ガス混合通風機を運転しない場合に脱硝装置に注入される反応薬品の注入量から脱硝装置の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時のコストを算出する。そして、ガス混合通風機運転情報提供装置は、各負荷におけるガス混合通風機運転時のコストと、ガス混合通風機停止時のコストとの差分を算出し、算出した差分の符号が変わる境界の負荷を特定する。
【0013】
したがって、本発明に係るガス混合通風機運転情報提供装置は、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、脱硝装置の反応薬品の単価やガス混合通風機の動力費を含めた運転コストを考慮したガス混合通風機の運転タイミングの情報として、ガス混合通風機運転時のコストがガス混合通風機停止時のコストよりも低くなる境界の負荷を特定して提供することができる。
【0014】
(2) 前記負荷特定手段によって特定された負荷に基づいて、前記ガス混合通風機の運転を行うか否かを制御する通風機運転制御手段をさらに備える、(1)に記載のガス混合通風機運転情報提供装置。
【0015】
したがって、(2)に係るガス混合通風機運転情報提供装置は、ガス混合通風機の運転タイミングとして、境界の負荷を特定し、特定した負荷に基づいた制御情報として提供することができる。
【0016】
(3) 発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングを制御するガス混合通風機運転制御装置であって、前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付手段と、前記脱硝装置に注入される反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付手段と、前記排ガスの量を測定する排ガス量測定手段と、前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段によって測定された前記窒素酸化物の濃度に基づいて、前記ガス混合通風機を運転しない場合の前記排ガスに含まれる前記窒素酸化物の濃度を予想する通風機停止時濃度予想手段と、前記濃度測定手段によって測定された前記窒素酸化物の濃度に基づいて、前記ガス混合通風機を運転する場合の前記排ガスに含まれる前記窒素酸化物の濃度を予想する通風機運転時濃度予想手段と、前記窒素酸化物の濃度と、前記反応薬品単価受付手段によって受け付けられた前記反応薬品の単価とに基づいて、前記窒素酸化物の濃度を規制値以下にするための前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出手段と、前記排ガス量測定手段によって測定された前記排ガスの量と、前記動力単価受付手段によって受け付けられた前記動力単価とに基づいて、前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出手段と、前記通風機運転時濃度予想手段によって予想される前記窒素酸化物の濃度から前記脱硝コスト算出手段によって算出される前記脱硝装置の運転コストと、前記通風機運転コスト算出手段によって算出される前記ガス混合通風機の運転コストとに基づいて、ガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出手段と、前記通風機停止時濃度予想手段によって予想される前記窒素酸化物の濃度から前記脱硝コスト算出手段によってガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出手段と、前記通風機運転時コスト算出手段によって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出手段によって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出手段と、前記コスト差分算出手段によって算出された前記差分の符号に対応して、前記ガス混合通風機の運転を行うか否かを制御する通風機運転制御手段と、を備えるガス混合通風機運転制御装置。
【0017】
(3)の構成によれば、本発明に係るガス混合通風機運転制御装置は、ガス混合通風機の動力単価を受け付け、脱硝装置に注入される反応薬品の単価を受け付け、排ガスの量を測定し、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する。そして、ガス混合通風機運転制御装置20は、ガス混合通風機運転時にガス混合通風機を運転しない場合の窒素酸化物の濃度を予想し、ガス混合通風機停止時にガス混合通風機を運転する場合の窒素酸化物の濃度を予想する。そして、反応薬品の単価及びガス混合通風機を運転する場合の予想される窒素酸化物の濃度から算出した脱硝装置の運転コストと、ガス混合通風機の運転コストとに基づいて、ガス混合通風機運転時のコストを算出し、反応薬品の単価及びガス混合通風機を運転しない場合の予想される窒素酸化物の濃度からガス混合通風機停止時のコストを算出する。そして、ガス混合通風機運転制御装置は、ガス混合通風機運転時のコストと、ガス混合通風機停止時のコストとの差分を算出し、算出した差分の符号に対応して、ガス混合通風機の運転を行うか否かを制御する。
【0018】
したがって、本発明に係るガス混合通風機運転制御装置は、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、脱硝装置の反応薬品の単価やガス混合通風機の動力費を含めた運転コストを考慮してガス混合通風機の運転タイミングを制御することができる。
【0019】
(4) 発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングのための情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置が実行する方法であって、
前記ガス混合通風機運転情報提供装置は、前記発電機の負荷に対応付けて、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量と、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量とを記憶する運転データ記憶手段を備え、
前記方法は、前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付ステップと、前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付ステップと、前記発電機の負荷に応じて運転する前記ガス混合通風機の動力と、前記動力単価受付ステップによって受け付けられた前記動力単価と、に基づいて前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出ステップと、前記反応薬品の注入量と、前記反応薬品単価受付ステップによって受け付けられた前記反応薬品の単価と、に基づいて前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出ステップと、前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記通風機運転コスト算出ステップによって算出された前記ガス混合通風機の運転コストと、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出ステップによって算出された前記脱硝装置の運転コストと、に基づいてガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出ステップと、前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出ステップによって算出された前記脱硝装置の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出ステップと、各負荷における前記通風機運転時コスト算出ステップによって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出ステップによって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出ステップと、前記コスト差分算出ステップによって算出された差分の符号が変わる境界の負荷を特定する負荷特定ステップと、を備える方法。
【0020】
したがって、本発明に係る方法は、(1)と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、運転コストを考慮してガス混合通風機の運転タイミングの情報を提供することができる。
さらに、本発明によれば、ガス混合通風機停止で削減効果がある負荷の境界を瞬時に判断できる情報を提供することができる。本発明によれば、燃料価格の乱高下によりアンモニア単価や、電力費の変動があっても、いつでも削減効果のある負荷の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置の運転データDBの例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置が提供する情報を表示部に表示する例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置が、ガス混合通風機の運転タイミングを制御することを示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】従来の発電機におけるガス混合通風機と、脱硝装置とを示す従来図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0024】
[実施形態1]
実施形態1は、ガス混合通風機61の運転タイミングについての情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置10の実施例である。
【0025】
図1は、本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図2は、本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置10の運転データDB51の例を示す図である。
【0026】
ガス混合通風機運転情報提供装置10は、運転データ記憶手段としての運転データDB51と、動力単価受付手段としての動力単価受付部11と、反応薬品単価受付手段としての反応薬品単価受付部12と、通風機運転コスト算出手段としての通風機運転コスト算出部13と、脱硝コスト算出手段としての脱硝コスト算出部14と、通風機運転時コスト算出手段としての通風機運転時コスト算出部15と、通風機停止時コスト算出手段としての通風機停止時コスト算出部16と、コスト差分算出手段としてのコスト差分算出部17と、負荷特定手段としての負荷特定部18と、通風機運転制御手段としての通風機運転制御部19とを備えている。ガス混合通風機運転情報提供装置10は、発電機の発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機61の運転と、排ガスから脱硝する脱硝装置70の運転と、によって排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、ガス混合通風機61の運転タイミングのための情報を提供する。以下、各部ごとに、詳述する。
【0027】
運転データDB51は、発電機の負荷に対応付けて、ガス混合通風機61を運転する場合に脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの注入量と、ガス混合通風機61を運転しない場合に脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの注入量とを記憶する。具体的には、図2に示す様に、運転データDB51は、発電機の負荷に対応付けてGMF運転時(ガス混合通風機運転時)のデータと、GMF停止時(ガス混合通風機停止時)のデータと、差分とを記憶している。差分は、コスト差分算出部17によって算出される。
【0028】
GMF運転時のデータは、GMF運転時における脱硝装置70へのアンモニア注入量と、動力使用量と、コストとを記憶する。GMF運転時のアンモニア注入量は、発電機負荷とGMF運転時に測定されたアンモニア注入量との関係を示す相関式により求められ、発電機負荷に対応付けて記憶されている。GMF運転時の動力使用量は、発電機負荷とガス混合通風機61の動力使用量(ガス混合通風機61の運転時の電流値)との関係を示す相関式により求められ、発電機負荷に対応付けて記憶されている。GMF運転時のコストは、通風機運転時コスト算出部15によって算出される。
【0029】
GMF停止時のデータは、GMF停止時における脱硝装置70へのアンモニア注入量と、動力使用量と、コストとを記憶する。GMF停止時のアンモニア注入量は、発電機負荷とGMF停止時に測定されたアンモニア注入量との関係を示す相関式により求められ、発電機負荷に対応付けて記憶されている。GMF停止時の動力使用量は、GMF停止なので、0である。なお、GMF停止時の動力使用量は、ガス混合通風機61以外のガス再循環通風機(GRF)等の動力使用量を記憶するようにしてもよい。GMF停止時のコストは、通風機停止時コスト算出部16によって算出される。
【0030】
動力単価受付部11は、ガス混合通風機61の動力単価を受け付ける。具体的には、動力単価受付部11は、ユーザから入力されたガス混合通風機61の動力単価を受け付け、メモリに記憶させる。ガス混合通風機61の動力単価は、例えば、ガス混合通風機61を運転させるのに必要な電力の単価である。
【0031】
反応薬品単価受付部12は、脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの単価を受け付ける。具体的には、反応薬品単価受付部12は、ユーザから入力されたアンモニアの単価を受け付け、メモリに記憶させる。
【0032】
通風機運転コスト算出部13は、発電機の負荷に応じて運転するガス混合通風機61の動力使用量と、動力単価受付部11によって受け付けられた動力単価と、に基づいてガス混合通風機61の運転コストを算出する。具体的には、通風機運転コスト算出部13は、次の式1により、ガス混合通風機61の運転コストを算出する。
GMFの運転コスト=動力単価×動力使用量・・・(式1)
ここで、動力単価は、動力単価受付部11により受け付けられた単価である。
【0033】
脱硝コスト算出部14は、反応薬品の注入量と、反応薬品単価受付部12によって受け付けられた反応薬品、例えばアンモニアの単価と、に基づいて脱硝装置70の運転コストを算出する。具体的には、脱硝コスト算出部14は、次の式2により、脱硝装置70の運転コストを算出する。
脱硝装置の運転コスト=アンモニア単価×アンモニア注入量・・・(式2)
ここで、アンモニア単価は、反応薬品単価受付部12により受け付けられた単価である。
【0034】
通風機運転時コスト算出部15は、運転データDB51に記憶された各負荷に対応して、通風機運転コスト算出部13によって算出されたガス混合通風機61の運転コストと、ガス混合通風機61を運転する場合に脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの注入量から脱硝コスト算出部14によって算出された脱硝装置70の運転コストと、に基づいてGMF運転時のコストを算出する。具体的には、通風機運転時コスト算出部15は、次の式3によってGMF運転時のコストを算出する。
GMF運転時のコスト=アンモニア単価×GMF運転時における脱硝装置へのアンモニア注入量+動力単価×GMFの動力使用量・・・(式3)
【0035】
通風機停止時コスト算出部16は、運転データDB51に記憶された各負荷に対応して、ガス混合通風機61を運転しない場合に脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの注入量から脱硝コスト算出部14によって算出された脱硝装置70の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時の運転コストを算出する。具体的には、通風機停止時コスト算出部16は、次の式4によってGMF停止時のコストを算出する。
GMF停止時のコスト=アンモニア単価×GMF停止時における脱硝装置へのアンモニア注入量・・・(式4)
【0036】
コスト差分算出部17は、各負荷における通風機運転時運転コスト算出部によって算出されたコストと、通風機停止時運転コスト算出部によって算出されたコストとの差分を算出する。具体的には、コスト差分算出部17は、次の式5によって差分を算出する。
差分=GMF運転時のコスト−GMF停止時のコスト・・・(式5)
【0037】
負荷特定部18は、コスト差分算出部17によって算出された差分の符号が変わる境界の負荷を特定する。具体的には、負荷特定部18は、運転データDB51に基づいて、差分の符号がプラスからマイナスに変わった場合の負荷を、境界の負荷として特定する。
例えば、GMF停止時においては、発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合させて排ガスを燃焼させることがないので、排ガスに含まれる窒素酸化物のGMF停止時の濃度は、GMF運転時の濃度と比較して高い。すなわち、GMF停止時における脱硝装置70へのアンモニア注入量は、GMF運転時における脱硝装置70へのアンモニア注入量よりも大きい。そこで、アンモニアの単価と、動力単価とにより、GMF運転時のコストが、GMF停止時のコストよりも低くなる負荷帯が存在する。例えば、図2における、負荷230MWである。負荷特定部18は、この負荷を、ガス混合通風機61を運転させるか否かの境界の負荷として特定する。
【0038】
通風機運転制御部19は、負荷特定部18によって特定された負荷に基づいて、ガス混合通風機61の運転を行うか否かを制御する。具体的には、通風機運転制御部19は、発電出力を入力し、入力した発電出力に対応する発電機負荷が負荷特定部18によって特定された負荷以上の場合、ガス混合通風機61の運転制御を行い、発電機負荷が負荷特定部18によって特定された負荷未満の場合、ガス混合通風機61の停止制御を行う。
【0039】
図3は、本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置10の処理内容を示すフローチャートである。ガス混合通風機運転情報提供装置10における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0040】
ステップS11において、CPU(Central Processing Unit)(動力単価受付部11)は、動力単価を受け付ける。より具体的には、CPUは、キーボード等の入力装置からガス混合通風機61を運転させるのに必要な電力の単価を入力する。その後、CPUは、処理をステップS12に移す。
【0041】
ステップS12において、CPU(反応薬品単価受付部12)は、アンモニア単価を受け付ける。より具体的には、CPUは、キーボード等の入力装置から脱硝装置70を機能させるために注入される反応薬品、例えばアンモニアの単価を入力する。その後、CPUは、処理をステップS13に移す。
【0042】
ステップS13において、CPU(通風機運転コスト算出部13、脱硝コスト算出部14、通風機運転時コスト算出部15、通風機停止時コスト算出部16)は、各負荷帯でのGMF運転時のコスト及びGMF停止時のコストを算出する。より具体的には、CPUは、運転データDB51に記憶された負荷に対応付けられたアンモニア注入量及び動力使用量と、ステップS11及びステップS12で入力した動力単価及びアンモニア単価とに基づいて、各負荷帯のGMF運転時のコスト及びGMF停止時のコストを算出する。その後、CPUは、処理をステップS14に移す。
【0043】
ステップS14において、CPU(コスト差分算出部17)は、各負荷帯でのGMF運転時のコストとGMF停止時のコストとの差分を算出する。より具体的には、CPUは、ステップS13で算出した各負荷帯のGMF運転時のコストとGMF停止時のコストとの差分を算出し、運転データDB51に記憶させる。その後、CPUは、処理をステップS15に移す。
【0044】
ステップS15において、CPU(負荷特定部18)は、差分の符合が変化する境界があるか否かを判断する。より具体的には、CPUは、運転データDB51の各負荷帯に対応付けて記憶された差分の符合が、プラスである負荷帯の次の負荷帯がマイナスであるか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPUは、処理をステップS16に移し、NOの場合、CPUは、処理を終了する。
【0045】
ステップS16において、CPU(負荷特定部18、通風機運転制御部19)は、境界負荷を特定する。より具体的には、CPUは、ステップS15で判断したマイナスである負荷帯を境界負荷として特定する。さらに、CPUは、発電出力を入力し、入力した発電出力に対応する発電機負荷が、特定した負荷以上の場合、ガス混合通風機61の運転制御を行い、発電機負荷が、特定した負荷未満の場合、ガス混合通風機61の停止制御を行う。その後、CPUは、処理を終了する。
【0046】
図4は、本発明の実施形態1に係るガス混合通風機運転情報提供装置10が提供する情報を表示部2014に表示する例を示す図である。図4の例において、停止可能最大負荷欄201は、ガス混合通風機運転情報提供装置10が特定した負荷を表示する欄である。動力単価欄202及びアンモニア単価欄203は、ユーザによって入力された動力単価及びアンモニア単価を表示する欄である。図4の例は、動力単価及びアンモニア単価が入力された場合に、ガス混合通風機運転情報提供装置10が、入力された単価と、運転データDB51とに基づいて各負荷におけるGMF運転時のコスト及びGMF停止時のコストを算出し、算出したコストに基づいてGMF運転時のコストがGMF停止時のコストよりも低くなる境界の負荷を特定し、特定した負荷を停止可能最大負荷欄201に表示している、例である。
【0047】
[実施形態2]
実施形態2は、ガス混合通風機61の運転タイミングを制御するガス混合通風機運転制御装置20の実施例である。
【0048】
図5は、本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置20が、ガス混合通風機61の運転タイミングを制御することを示す説明図である。ガス混合通風機運転制御装置20は、排ガスの流量を測定する流量測定装置63により発電用ボイラから発生する排ガスの量を測定し、大気中等の窒素酸化物の濃度を測定する窒素酸化物濃度測定装置64により排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定し、測定した排ガスの量及び窒素酸化物の濃度から算出したGMF運転時のコストと、GMF停止時のコストとに基づいて、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、ガス混合通風機61の運転タイミングを制御する。
【0049】
図6は、本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。ガス混合通風機運転制御装置20は、動力単価受付手段としての動力単価受付部21と、反応薬品単価受付手段としての反応薬品単価受付部22と、排ガス量測定手段としての排ガス量測定部23と、濃度測定手段としての濃度測定部24と、通風機停止時濃度予想手段としての通風機停止時濃度予想部25と、通風機運転時濃度予想手段としての通風機運転時濃度予想部26と、通風機運転コスト算出手段としての通風機運転コスト算出部27と、脱硝コスト算出手段としての脱硝コスト算出部28と、通風機運転時コスト算出手段としての通風機運転時コスト算出部29と、通風機停止時コスト算出手段としての通風機停止時コスト算出部30と、コスト差分算出手段としてのコスト差分算出部31と、通風機運転制御手段としての通風機運転制御部32と、を備えている。ガス混合通風機運転制御装置20は、発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機61の運転と、排ガスから脱硝する脱硝装置70の運転と、によって排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、ガス混合通風機61の運転タイミングを制御する。以下、各部ごとに、詳述する。
【0050】
動力単価受付部21と、反応薬品単価受付部22とは、実施形態1と同様である。
【0051】
排ガス量測定部23は、排ガスの量を測定する。具体的には、排ガス量測定部23は、流量測定装置63により測定した排出ガスの流量の平均を算出し、算出した平均流量に、発電用ボイラから脱硝装置70へ排ガスを導く排ガス管の断面積を乗じて排ガス量を求める。また、排ガス量測定部23は、発電出力の大きさ(例えば、発電機負荷)と、排ガス量との間に認められる相関関係から排ガス量を求めるとしてもよい。
【0052】
濃度測定部24は、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する。具体的には、濃度測定部24は、窒素酸化物濃度測定装置64により、排ガス管を流れる排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する。
【0053】
通風機停止時濃度予想部25は、濃度測定部24によって測定された窒素酸化物の濃度に基づいて、ガス混合通風機61を運転しない場合の排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を予想する。具体的には、通風機停止時濃度予想部25は、濃度測定部24によって測定された窒素酸化物の濃度が、ガス混合通風機61を運転する場合の濃度である場合に、予め測定されて記憶されているデータ(例えば、運転データDB51)に基づいて、ガス混合通風機61を運転しない場合の濃度を算出する。
【0054】
通風機運転時濃度予想部26は、濃度測定部24によって測定された窒素酸化物の濃度に基づいて、ガス混合通風機61を運転する場合の排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を予想する。具体的には、通風機運転時濃度予想部26は、濃度測定部24によって測定された窒素酸化物の濃度が、ガス混合通風機61を運転しない場合の濃度である場合に、予め測定されて記憶されているデータ(例えば、運転データDB51)に基づいて、ガス混合通風機61を運転する場合の濃度を算出する。
【0055】
通風機運転コスト算出部27は、排ガス量測定部23によって測定された排ガスの量と、動力単価受付部21によって受け付けられた動力単価とに基づいて、ガス混合通風機61の運転コストを算出する。算出式は、実施形態1と同様である。
【0056】
脱硝コスト算出部28は、濃度測定部24によって測定された窒素酸化物の濃度と、反応薬品単価受付部22によって受け付けられた反応薬品、例えばアンモニアの単価とに基づいて、窒素酸化物の濃度を規制値以下にするための脱硝装置70の運転コストを算出する。算出式は、実施形態1と同様である。
【0057】
通風機運転時コスト算出部29は、通風機運転時濃度予想部26によって予想される窒素酸化物の濃度から脱硝コスト算出部28によって算出される脱硝装置70の運転コストと、通風機運転コスト算出部27によって算出されるガス混合通風機61の運転コストとに基づいて、GMF運転時のコストを算出する。算出式は、実施形態1と同様である。
【0058】
通風機停止時コスト算出部30は、通風機停止時濃度予想部25によって予想される窒素酸化物の濃度から脱硝コスト算出部28によってGMF停止時のコストを算出する。算出式は、実施形態1と同様である。
【0059】
コスト差分算出部31は、通風機運転時コスト算出部29によって算出されたコストと、通風機停止時コスト算出部30によって算出されたコストとの差分を算出する。算出式は、実施形態1と同様である。
【0060】
通風機運転制御部32は、コスト差分算出部31によって算出された差分の符号に対応して、ガス混合通風機61の運転を行うか否かを制御する。通風機運転制御部32は、差分が所定の範囲内である場合、ガス混合通風機61の状態(運転状態又は停止状態)を維持するとしてもよい。通風機運転制御部32は、差分が0に近い範囲内であっても安定した制御を行うことができる。
【0061】
図7は、本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、ガス混合通風機運転制御装置20は、CPU2011、メモリ2012、操作部2013、表示部2014、I/Oコントローラ1070、通信I/F1040及び機器I/F2016がバスライン2050により接続されて構成されている。
【0062】
CPU2011は、ガス混合通風機運転制御装置20を統括的に制御する部分であり、メモリ2012に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。メモリ2012は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。
【0063】
操作部2013は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン群、決定操作ボタン等を備えており、操作部2013による入力情報はCPU2011の制御下で処理される。すなわち、ユーザは、操作部2013を介して、動力単価の入力やアンモニア単価の入力等の必要な各種の操作、又は指定操作等が可能である。表示部2014は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。
【0064】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、ガス混合通風機運転制御装置20が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶している。さらに、ハードディスク1074は、測定したデータや、予め記憶しているデータ(例えば、運転データDB51等)等を記憶している。
【0065】
通信I/F1040は、ガス混合通風機運転制御装置20を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ等と接続するためのネットワーク・アダプタである。
【0066】
機器I/F2016は、ガス混合通風機運転制御装置20と、排ガスの流量測定装置63や、窒素酸化物濃度測定装置64等とを接続し、排ガス量データや濃度データを受信できるようにし、通風機運転制御部32からの制御情報をガス混合通風機61に送信するためのインターフェースである。
【0067】
図8は、本発明の実施形態2に係るガス混合通風機運転制御装置20の処理内容を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS21において、CPU2011(動力単価受付部21、反応薬品単価受付部22)は、動力単価を受け付け、アンモニア単価を受け付ける。その後、CPUは、処理をステップS22に移す。
【0069】
ステップS22において、CPU2011(排ガス量測定部23、濃度測定部24)は、排ガスの流量を測定し、窒素酸化物の濃度を測定する。その後、CPUは、処理をステップS23に移す。
【0070】
ステップS23において、CPU2011(通風機停止時濃度予想部25、通風機運転時濃度予想部26、通風機運転コスト算出部27、脱硝コスト算出部28、通風機運転時コスト算出部29、通風機停止時コスト算出部30)は、GMF運転時のコスト及びGMF停止時のコストを算出する。具体的には、CPU2011は、ステップS22において測定した濃度が、ガス混合通風機61を運転する場合の濃度である場合に、予め測定されて記憶されているデータ(例えば、運転データDB51)に基づいて、ガス混合通風機61を運転しない場合の濃度を算出する。同様に、CPU2011は、ステップS22において測定した濃度が、ガス混合通風機61を運転しない場合の濃度である場合に、予め測定されて記憶されているデータ(例えば、運転データDB51)に基づいて、ガス混合通風機61を運転する場合の濃度を算出する。そして、CPU2011は、実施形態1と同様に、GMF運転時のコストと、GMF停止時のコストとを算出する。その後、CPUは、処理をステップS24に移す。
【0071】
ステップS24において、CPU(コスト差分算出部31)は、GMF運転時のコストとGMF停止時のコストとの差分を算出する。その後、CPUは、処理をステップS25に移す。
【0072】
ステップS25において、CPU(通風機運転制御部32)は、GMF運転時のコストがGMF停止時のコスト以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPUは、処理をステップS26に移し、NOの場合、CPUは、処理をステップS27に移す。CPU(通風機運転制御部32)は、GMF運転時のコストとGMF停止時のコストとの差分が所定の範囲内である場合、ガス混合通風機61の状態(運転状態又は停止状態)を維持し、終了する。
【0073】
ステップS26において、CPU(通風機運転制御部32)は、ガス混合通風機61を停止制御する。その後、CPUは、処理を終了する。
【0074】
ステップS27において、CPU(通風機運転制御部32)は、ガス混合通風機61を運転制御する。その後、CPUは、処理を終了する。
【0075】
本実施形態1によれば、ガス混合通風機運転情報提供装置10は、運転データDB51を有し、ガス混合通風機61の動力単価を受け付け、脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの単価を受け付ける。そして、ガス混合通風機運転情報提供装置10は、運転データDB51に記憶された各負荷に対応して、GMF運転時のコストを算出し、GMF停止時のコストを算出し、各負荷におけるGMF運転時のコストと、GMF停止時のコストとの差分を算出し、算出した差分の符号が変わる境界の負荷を特定する。さらに、ガス混合通風機運転情報提供装置10は、特定された境界の負荷により、ガス混合通風機61の運転を行うか否かを制御する。したがって、ガス混合通風機運転情報提供装置10は、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、脱硝装置70のアンモニアの単価やガス混合通風機61の動力費を含めた運転コストを考慮してガス混合通風機61の運転タイミングの情報として、境界の負荷を特定して提供することができる。
【0076】
本実施形態2によれば、ガス混合通風機運転制御装置20は、ガス混合通風機61の動力単価を受け付け、脱硝装置70に注入される反応薬品、例えばアンモニアの単価を受け付け、排ガスの量を測定し、排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する。そして、ガス混合通風機運転制御装置20は、ガス混合通風機61を運転しない場合の窒素酸化物の濃度を予想し、又はガス混合通風機61を運転する場合の窒素酸化物の濃度を予想し、アンモニアの単価及びガス混合通風機61を運転する場合の予想される窒素酸化物の濃度から算出した脱硝装置70の運転コストと、ガス混合通風機61の運転コストとに基づいて、GMF運転時のコストを算出し、アンモニアの単価及びガス混合通風機61を運転しない場合の予想される窒素酸化物の濃度からGMF停止時のコストを算出する。そして、ガス混合通風機運転制御装置20は、GMF運転時のコストと、GMF停止時のコストとの差分を算出し、算出した差分の符号に対応して、ガス混合通風機61の運転を行うか否かを制御する。したがって、ガス混合通風機運転制御装置20は、発電用ボイラからの排ガスにおける窒素酸化物の濃度を規制値以下にするためのコストを最適化するために、脱硝装置70のアンモニアの単価やガス混合通風機61の動力費を含めた運転コストを考慮してガス混合通風機61の運転タイミングを制御することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
10 ガス混合通風機運転情報提供装置
11,21 動力単価受付部
12,22 反応薬品単価受付部
13,27 通風機運転コスト算出部
14,28 脱硝コスト算出部
15,29 通風機運転時コスト算出部
16,30 通風機停止時コスト算出部
17,31 コスト差分算出部
18 負荷特定部
19,32 通風機運転制御部
20 ガス混合通風機運転制御装置
23 排ガス量測定部
24 濃度測定部
25 通風機停止時濃度予想部
26 通風機運転時濃度予想部
51 運転データDB
61 ガス混合通風機
70 脱硝装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングのための情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置であって、
前記発電機の負荷に対応付けて、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量と、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量とを記憶する運転データ記憶手段と、
前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付手段と、
前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付手段と、
前記発電機の負荷に応じて運転する前記ガス混合通風機の動力と、前記動力単価受付手段によって受け付けられた前記動力単価と、に基づいて前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出手段と、
前記反応薬品の注入量と、前記反応薬品単価受付手段によって受け付けられた前記反応薬品の単価と、に基づいて前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出手段と、
前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記通風機運転コスト算出手段によって算出された前記ガス混合通風機の運転コストと、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出手段によって算出された前記脱硝装置の運転コストと、に基づいてガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出手段と、
前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出手段によって算出された前記脱硝装置の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出手段と、
各負荷における前記通風機運転時コスト算出手段によって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出手段によって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出手段と、
前記コスト差分算出手段によって算出された差分の符号が変わる境界の負荷を特定する負荷特定手段と、
を備えるガス混合通風機運転情報提供装置。
【請求項2】
前記負荷特定手段によって特定された負荷に基づいて、前記ガス混合通風機の運転を行うか否かを制御する通風機運転制御手段をさらに備える、請求項1に記載のガス混合通風機運転情報提供装置。
【請求項3】
発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングを制御するガス混合通風機運転制御装置であって、
前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付手段と、
前記脱硝装置に注入される反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付手段と、
前記排ガスの量を測定する排ガス量測定手段と、
前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を測定する濃度測定手段と、
前記濃度測定手段によって測定された前記窒素酸化物の濃度に基づいて、前記ガス混合通風機を運転しない場合の前記排ガスに含まれる前記窒素酸化物の濃度を予想する通風機停止時濃度予想手段と、
前記濃度測定手段によって測定された前記窒素酸化物の濃度に基づいて、前記ガス混合通風機を運転する場合の前記排ガスに含まれる前記窒素酸化物の濃度を予想する通風機運転時濃度予想手段と、
前記窒素酸化物の濃度と、前記反応薬品単価受付手段によって受け付けられた前記反応薬品の単価とに基づいて、前記窒素酸化物の濃度を規制値以下にするための前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出手段と、
前記排ガス量測定手段によって測定された前記排ガスの量と、前記動力単価受付手段によって受け付けられた前記動力単価とに基づいて、前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出手段と、
前記通風機運転時濃度予想手段によって予想される前記窒素酸化物の濃度から前記脱硝コスト算出手段によって算出される前記脱硝装置の運転コストと、前記通風機運転コスト算出手段によって算出される前記ガス混合通風機の運転コストとに基づいて、ガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出手段と、
前記通風機停止時濃度予想手段によって予想される前記窒素酸化物の濃度から前記脱硝コスト算出手段によってガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出手段と、
前記通風機運転時コスト算出手段によって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出手段によって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出手段と、
前記コスト差分算出手段によって算出された前記差分の符号に対応して、前記ガス混合通風機の運転を行うか否かを制御する通風機運転制御手段と、
を備えるガス混合通風機運転制御装置。
【請求項4】
発電機に設けられた発電用ボイラから発生する排ガスに燃焼用空気を混合するガス混合通風機の運転と、前記排ガスから脱硝する脱硝装置の運転と、によって前記排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を規制値以下になるようにする際の、前記ガス混合通風機の運転タイミングのための情報を提供するガス混合通風機運転情報提供装置が実行する方法であって、
前記ガス混合通風機運転情報提供装置は、
前記発電機の負荷に対応付けて、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される反応薬品の注入量と、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量とを記憶する運転データ記憶手段を備え、
前記方法は、
前記ガス混合通風機の動力単価を受け付ける動力単価受付ステップと、
前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の単価を受け付ける反応薬品単価受付ステップと、
前記発電機の負荷に応じて運転する前記ガス混合通風機の動力と、前記動力単価受付ステップによって受け付けられた前記動力単価と、に基づいて前記ガス混合通風機の運転コストを算出する通風機運転コスト算出ステップと、
前記反応薬品の注入量と、前記反応薬品単価受付ステップによって受け付けられた前記反応薬品の単価と、に基づいて前記脱硝装置の運転コストを算出する脱硝コスト算出ステップと、
前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記通風機運転コスト算出ステップによって算出された前記ガス混合通風機の運転コストと、前記ガス混合通風機を運転する場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出ステップによって算出された前記脱硝装置の運転コストと、に基づいてガス混合通風機運転時のコストを算出する通風機運転時コスト算出ステップと、
前記運転データ記憶手段に記憶された各負荷に対応して、前記ガス混合通風機を運転しない場合に前記脱硝装置に注入される前記反応薬品の注入量から前記脱硝コスト算出ステップによって算出された前記脱硝装置の運転コストに基づいてガス混合通風機停止時のコストを算出する通風機停止時コスト算出ステップと、
各負荷における前記通風機運転時コスト算出ステップによって算出されたコストと、前記通風機停止時コスト算出ステップによって算出されたコストとの差分を算出するコスト差分算出ステップと、
前記コスト差分算出ステップによって算出された差分の符号が変わる境界の負荷を特定する負荷特定ステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57442(P2013−57442A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195910(P2011−195910)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】