説明

キノコ培地の殺菌装置及びキノコ培地の生産システム

【課題】キノコ培地を殺菌する際に、時間を短縮してエネルギー消費を大幅に削減できるキノコ培地の殺菌装置及びキノコ培地の生産システムを提供すること。
【解決手段】キノコ菌床栽培用の培地を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置であって、水蒸気発生器55等によって発生・導入された飽和蒸気を過熱蒸気発生器12で加熱して過熱蒸気を生じさせ、その過熱蒸気をキノコ培地が収納された加熱殺菌チャンバー20へ供給すると共に、加熱殺菌チャンバー20及び過熱蒸気発生器12が接続された循環通気路13によって蒸気を循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キノコの人工菌床栽培におけるキノコ培地の殺菌装置、そのシステム、キノコの廃培地の再生装置及びキノコ培地の生産システムに関する。菌床栽培の対象となるキノコの種類としては、エノキ、シメジ類、ナメコ、マイタケ、バイリング等がある。
【背景技術】
【0002】
従来から、キノコ培地を生産するには、各材料を混合して水を加え、水分等の調製をした原料を瓶又は袋に詰めた後、蒸気釜に入れて加熱殺菌を行っている。
従来の蒸気釜を用いた加熱殺菌は、時間が長くかかる。これは瓶等の内部まで温度を上げて殺菌する必要があることや、調整された水分についても高温に加熱することを要するためと考えられる。また、蒸気が外部へ排気されており、大量の熱が逃げている。
さらに、その加熱殺菌されたキノコ培地は、種菌接種の適温になるまで冷ますため、例えばクーラー装置によって冷却されている。
これによれば、大量の熱量(エネルギー)を消費することになり、エネルギーコストが嵩んでいた。
【0003】
なお、加熱殺菌の効率を向上させるため、高圧蒸気釜を利用することが提案されている。これによれば、釜内の温度を100℃以上に上げることが可能であり、殺菌時間を短縮できる。従って、従来に比べれば、効率のよいキノコ培地の加熱殺菌を行うことができる。
しかし、これによっても、蒸気は外部へ排気されており、依然として大量の熱量を消費し、殺菌時間の短縮も十分ではなかった。
【0004】
ところで、栽培瓶等を利用してキノコを人工的に栽培する方法は、概略次の工程による。先ず、オガ屑やコーンコブの粉砕物等の草木質材を主体とした培地を栽培瓶内に充填し、加熱殺菌の後、栽培瓶の瓶口にキノコの種菌を接種する。そして、培養室で培養させて培地内に菌糸を蔓延させ、培養後、発生室にて子実体を生長させて栽培瓶の瓶口から外方へ生長したキノコの子実体を収穫する。また、種菌の接種には、キノコ菌の生長を促進するため、液状の種菌を用いることもできる。
【0005】
なお、キノコの人工栽培に関連し、熱風や蒸気を吹き付けて処理する方法として、「茸の菌床栽培の廃培地の再生方法」が開示されている(特許文献1参照)。なお、この方法は原料を乾燥・再生するもので、その乾燥された再生原料を用いる際は、上記のキノコ栽培工程のように瓶詰め後、蒸気釜で加熱殺菌を行っているものと考えられる。
【特許文献1】特開平6−7030号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キノコ培地の殺菌装置及びキノコ培地の生産システムに関して解決しようとする問題点は、キノコ培地の殺菌やキノコの廃培地の再生のために、長時間を要して大量のエネルギーを消費し、効率が悪い点にある。
そこで本発明の目的は、処理時間を短縮でき、エネルギー消費を大幅に削減できる効率の良いキノコ培地の殺菌装置及びキノコ培地の生産システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置であって、水蒸気発生器等によって発生・導入された蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器と、前記培地原料が収容され、前記過熱蒸気が前記培地原料に直接当てられることで殺菌されるように供給される殺菌室とを具備する。
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、蒸気が前記過熱蒸気発生器から前記殺菌室を通って循環されるように接続する循環通気路を備えることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置であって、循環通気路と、該循環通気路中に設けられ、蒸気を循環させる送風機と、前記循環通気路中に設けられ、蒸気によって加熱殺菌するために前記培地原料が投入される加熱殺菌チャンバーと、前記循環通気路中に設けられて水蒸気を発生して供給する水蒸気発生器及び/又は前記循環通気路に接続されて蒸気を供給する蒸気ボイラと、前記循環通気路中に設けられ、蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器とを具備することを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、前記培地原料を前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーへ投入する前に混合・攪拌するミキサーが設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーの循環蒸気流の下流側に、循環蒸気を清浄化する洗浄器が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、前記加熱殺菌チャンバーが、筒体状に設けられ、前記原料を連続的に送るように、前記加熱殺菌チャンバー内に軸心を中心に回転する中心回転軸と羽根によって設けられた原料送り手段を備えることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の一形態によれば、前記過熱蒸気発生器が、高周波加熱器であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるキノコの廃培地の再生装置の一形態によれば、前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーに投入される原料が実質的にキノコの廃培地のみであって、前記のキノコ培地の殺菌装置の構成を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるキノコ培地の生産システムの一形態によれば、キノコ培地を瓶詰め又は袋詰めによって形成するキノコ培地の生産システムにおいて、過熱水蒸気を発生させる蒸気加熱装置と、各材料を配合したキノコ培地用の原料が投入され、前記過熱水蒸気が導入されることによって前記原料が加熱殺菌される殺菌用チャンバーと、該殺菌用チャンバーで加熱殺菌された原料が投入されて該原料を冷却すると共に、キノコ培地用としての水分調整と冷却を促進させるように無菌水が投入される冷却・加水用チャンバーとを具備する。
また、本発明にかかるキノコ培地の生産システムの一形態によれば、前記冷却と加水によって調整された原料が投入されると共に、キノコの種菌を投入して混合することで接種が行われる接種用チャンバーを具備することを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置システムの一形態によれば、キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置システムであって、水蒸気発生器等によって発生・導入された蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器と、前記培地原料が収容され、前記過熱蒸気が前記培地原料に直接当てられることで殺菌されるように供給される殺菌室とを備えるキノコ培地の殺菌装置が複数配設され、前記殺菌室から排出される蒸気を、隣接する次のキノコ培地の殺菌装置の過熱蒸気発生器へ供給するように接続する接続通気路を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるキノコ培地の殺菌方法及びキノコ培地の生産システムによれば、処理時間を短縮でき、エネルギー消費を大幅に削減できるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置について最良の形態例を添付図面(図1)に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかるキノコ培地の殺菌装置の形態例を示す説明図である。このキノコ培地の殺菌装置よれば、キノコ菌床栽培用の培地を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌方法を実施できる。
このキノコ培地の殺菌装置は、水蒸気発生器55等によって発生・導入された飽和蒸気を過熱蒸気発生器12で加熱して過熱蒸気を生じさせ、その過熱蒸気をキノコ培地が収納された殺菌室へ供給すると共に、その殺菌室及び過熱蒸気発生器12が接続された循環通気路13によって蒸気を循環させるという構成を備えている。なお、殺菌室には、過熱殺菌釜や後述する過熱殺菌チャンバー(以下、「殺菌用チャンバー」ともいう。)等がある。
【0015】
13は循環通気路である。図1に示すように閉じた通気回路になっており、矢印で示したように蒸気が循環するように各構成要素に接続されている。この循環通気路13を構成する配管については、熱を逃しやすいため、断熱材を巻いておくとよい。
14は送風機であり、循環通気路13中に接続され、飽和蒸気や過熱蒸気の蒸気を送って強制循環させるように設けられている。本形態例では、吸気口が後述する過熱殺菌チャンバー21の排気口側に循環通気路13を介して接続されている。この送風機14の接続位置は特に限定されるものではないが、後述する過熱蒸気発生器12の上流に接続されることで、過熱蒸気を効率よく加熱殺菌チャンバー20へ供給できる。
なお、送風機14に頼らず、循環通気路13を介して対流現象によって蒸気を循環させることも可能である。
【0016】
20は加熱殺菌チャンバーであり、循環通気路13中に接続されて設けられ、蒸気によって加熱殺菌するためにキノコ培地用の原料(培地原料)が投入される殺菌室になっている。
22は原料投入口であり、キノコ培地用の原料が投入される入口である。また、24は原料出口であり、殺菌されたキノコ培地用の原料が排出される出口である。
【0017】
本形態例では、加熱殺菌チャンバー20の筒状外周本体が固定されており、筒状の回転軸28が、軸心を中心に回転できるように構成されている。29は送り用の羽根であり、筒状の回転軸28の外周に固定されている。16はモータであり、17は駆動スプロケットである。また、18は従動スプロケットであって、筒状の回転軸28の一端部に固定されている。これにより、駆動機構が構成されており、筒状の回転軸28を回転させて、原料を自動的且つ連続的に攪拌しながら加熱殺菌チャンバー20の一端側(原料投入口22)から他端側(原料出口24)へ送ることができる。
【0018】
また、筒状の回転軸28は、両端で循環通気路13にそれぞれシール状態に接続されており、二つの仕切28bによって、3分割に仕切られている。その筒状の回転軸28の後述する過熱蒸気発生器12に近い側(蒸気の導入側)には過熱蒸気供給用の孔28aが複数設けられている。そして、筒状の回転軸28の蒸気の排出側には過熱蒸気排出用の孔28cが複数設けられている。これによれば、図1に矢印で示したように蒸気が、筒状の回転軸28の内部から過熱蒸気供給用の孔28aを通って吐出され、過熱蒸気排出用の孔28cを通って筒状の回転軸28の内部へ戻されて循環通気路13へ排出される。
この加熱殺菌チャンバー20によれば、過熱蒸気を原料に直接当てることで、殺菌が効果的になされる。
【0019】
また、21aは加熱殺菌チャンバー20の高温側の仕切であり、21bは加熱殺菌チャンバー20の低温側の仕切である。本形態例では、これらの仕切21a、21bによって、加熱殺菌チャンバー20内を3分割に仕切っている。
このように加熱殺菌チャンバー20内が3分割に仕切られているため、適切に温度勾配をつけることができる。つまり、蒸気が導入される側の空間である原料出口24側は高温に保たれ、蒸気が排出される側の空間である原料投入口22側は原料出口24側に比べて低温になる。これにより、投入された原料を原料出口24へ向かうに従って次第に加熱することができ、原料を最終的に殺菌に必要な温度まで加熱できる。原料投入口22側では適切な予熱工程がなされることになり、熱の伝達が好適に行われることになるため、効率よく加熱できる。従って、エネルギー消費を低減でき、稼働コストを低減できる。
なお、この各仕切21a、21bの下側は、切り欠かれて開口されており、その開口を通して材料が順次送られるように設けられている。
【0020】
55は水蒸気発生器であり、循環通気路13中に接続されて設けられて水蒸気を発生して供給する。この水蒸気発生器55により、蒸気が保持する水分量を適切に調整できる。
また、本形態例の水蒸気発生器55は、送風機14の上流側にあって循環通気路13を加熱するように作用するため、循環通気路13や後述する洗浄器53内等における結露の発生を防止する。
13bはダンパーであり、循環通気路13を開閉して、循環する蒸気の流れを調整することができる。なお、このダンパー13bを絞った場合、送風機14が水蒸気発生器55の下流に配されているため、水蒸気発生器55が負圧になり、蒸気が発生し易くなる。
【0021】
11は蒸気ボイラであり、循環通気路13に接続され、飽和蒸気を供給する。
本形態例の蒸気ボイラ11は、送風機14の蒸気流の下流側で、後述する過熱蒸気発生器12については上流側にあたる循環通気路13に接続されている。つまり、送風機14と過熱蒸気発生器12との間の循環通気路13に接続されている。これによれば、効率よく過熱蒸気を加熱殺菌チャンバー20に供給することができる。
なお、蒸気ボイラ11の接続位置はこれに限定されるものではなく、さらに前述した水蒸気発生器55が十分に蒸気を発生できれば、あえて設置しなくてもよい。
【0022】
また、11aは開閉調整弁であり、蒸気ボイラ11で発生される飽和蒸気の供給量を調整できるように設けられている。加熱殺菌チャンバー20や循環通気路13に水蒸気が十分に満たされている際には蒸気ボイラ11からの蒸気の供給を遮断し、水蒸気量が減少した際には適宜に開かれる。
【0023】
12は過熱蒸気発生器であり、循環通気路13中に接続されて設けられ、飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる。この過熱蒸気発生器12は、加熱殺菌チャンバー20に直結され、高温の過熱蒸気を送るべく配されている。また、本形態例の過熱蒸気発生器12は、送風機14の下流に位置している。これによれば、送風機14の前後に過熱蒸気発生器12と水蒸気発生器55という熱源が配置されたことになり、循環通気路13内の結露の発生が効果的に防止されている。
この過熱蒸気発生器12は、例えば高周波加熱器であるとよい。高周波誘導加熱によれば、非接触であるが、急激に効率よく温度を上昇させることができ、インバータによって制御も行い易い利点がある。
なお、加熱方法はこれに限定されず、適宜に被覆された発熱電線や、ガス等の燃焼装置、又はその他の既存技術を適宜利用できるのは勿論である。
【0024】
以上の構成を備えるキノコ培地の殺菌装置によれば、蒸気を循環させて利用するため、エネルギー効率を高めることができる。
また、過熱蒸気発生器12によれば、100℃を超える高温の蒸気を常圧状態で得ることができる。高温の蒸気でキノコ培地の殺菌を行うことができるため、殺菌効率を高め、殺菌時間の短縮を図ることができる。これによっても、エネルギー効率を高め、生産効率を向上させて稼働コストを低減できる。
【0025】
そして、常圧状態で稼動できるため、高圧に耐える構造を備える必要がなく、設備的にもコストを低減できる。
また、過熱蒸気は、飽和蒸気による場合に比べて結露の発生が少なく、熱伝達の効率がよい。さらに、過熱蒸気は、通常の乾いた熱風に比べて大きな熱量を保持して高い熱伝達性を有し、蒸気の充満によって酸欠状態で加温ができる。従って、キノコ培地を酸化させずに生のままで、効率よく殺菌できる。さらにまた、結露の発生が少なく、キノコ培地の水分調整が安定的且つ好適になされる。
【0026】
ところで、本形態例の制御については、加熱殺菌チャンバー20に供給される過熱蒸気の温度と、加熱殺菌チャンバー20から排出される蒸気の温度を検出することによって行うことができる。例えば、供給される加熱蒸気の温度が250℃で、排出される蒸気の温度が110℃と設定された場合に、その条件を満たすように、原料の投入量の調整、過熱蒸気発生器12の出力調整、水蒸気発生器55の出力調整等を行えばよい。
なお、加熱殺菌チャンバー20からは熱が逃げ易いため、適宜に保温材を巻いて保温するか、さらには適宜に加熱手段を巻いて積極的に保温又は加温をしてもよい。
【0027】
52はミキサーであり、加熱殺菌チャンバー20の原料投入口22に接続されて設けられている。これによれば、キノコ培地用の原料を適切に混合・攪拌し、その原料をほぐした状態で加熱殺菌チャンバー20へ供給できる。
また、このミキサー52は、キノコ培地用の原料としてキノコの廃培地を混ぜて利用する場合、そのキノコの廃培地と新規の原料とを適切に混合・攪拌することができる。これによれば、均質なキノコ培地を得ることができる。さらに、このミキサー52は、キノコ栽培瓶から固まりとなって排出されたキノコの廃培地を粉砕して粉々にできる。これにより、キノコの廃培地をキノコ培地用の原料の一部として適切に利用できる。
なお、キノコの廃培地は、キノコ培地の原料全体の50%程度を占めるまで新規の原料と混合して好適に用いることができる。再生培地の比率が高過ぎるとキノコの収穫量等に影響が生じる。
【0028】
53は洗浄器であり、加熱殺菌チャンバーの循環蒸気流の下流側に、循環蒸気を清浄化するように設けられている。この洗浄器53としては、サイクロン集塵機や、フィルタによる空気清浄器等の既存技術を適宜に利用すればよい。
この洗浄器53によれば、送風機14や過熱蒸気発生器12の熱交換部に塵埃が侵入することを防止して、性能が劣化することを防止できる。
【0029】
加熱殺菌チャンバー20に投入される原料が実質的にキノコの廃培地のみである場合、以上に説明したキノコ培地の殺菌装置を、キノコの廃培地の再生装置として使用できる。
例えば、キノコ工場で発生したキノコの廃培地の半分を上記の装置で新しい基材等と混合することで再利用した場合、残った半分のキノコの廃培地は、上記の再生装置で処理して他のキノコ工場で利用することができる。これによれば、上記のキノコ培地の殺菌装置又は再生装置を効率的に稼動させて利用できる。そして、結果的に新しい基材等の使用量を半分にすることができ、キノコ栽培の生産コストを低減できる。
【0030】
次に、本発明にかかるキノコ培地の生産方法について最良の形態例を添付図面(図2)に基づいて詳細に説明する。このキノコ培地の生産方法では、上記のキノコの殺菌方法及びその殺菌装置を好適に用いることができる。
図2は本発明にかかるキノコ培地の生産方法を実施するためのキノコ培地の生産装置システムの形態例を示す説明図である。このキノコ培地の生産方法は、キノコ培地を瓶詰め又は袋詰めによって形成するための方法である。
図2に示すように、本形態例のキノコ培地の生産方法では、以下に説明する殺菌工程、冷却・加水工程、接種工程、培地形成工程を有する。
【0031】
殺菌工程では、各材料を配合したキノコ培地用の原料を過熱水蒸気によって加熱殺菌する。瓶詰め又は袋詰めにされていない粉粒状のキノコ培地用の原料を、過熱水蒸気に曝して直接的に殺菌する工程となっている。
過熱水蒸気を用いることで、その過熱水蒸気は有機物を炭化させる温度に比べて低い温度帯で大きなエネルギーを内在しているため、効率よく殺菌ができる。また、過熱水蒸気によれば、一般の蒸気と異なって飽和水蒸気でないため、キノコ培地用の原料を乾燥させるようにも作用する。このため、次の工程で適切に水を投入して冷却を行うことができる。
【0032】
冷却・加水工程では、殺菌工程で加熱殺菌されたキノコ培地用の原料に無菌水を投入することで、冷却を促進させると共にキノコ培地用としての水分調整を行う。
これによれば、冷却のために消費されるエネルギーや時間を節約でき、生産性を高めることができる。なお、ここで、無菌水とは、キノコの菌床栽培においてキノコの生長が阻害されない程度に、雑菌が除菌や殺菌されたものである。除菌や殺菌の方法としては、フィルターの濾過による除菌や、紫外線、オゾン、薬品又は加熱による殺菌等の周知慣用技術を適宜用いればよい。
【0033】
接種工程では、冷却・加水工程によって調整されたキノコ培地用の原料にキノコの種菌を投入して混合することで接種する。そして、培地形成工程では、接種工程で接種されたキノコ培地用の原料を、瓶詰め又は袋詰めにすることでキノコ培地を形成する。
このように種菌を接種してキノコ培地を形成することで、キノコ培地に対するキノコ菌の菌回りを促進でき、栽培効率を高めることができる。
【0034】
本発明にかかるキノコ培地用の原料としては、基材としてのコーンコブ粉砕物やオガ粉等と、栄養源となる材料を配合した水分の少ない状態の配合培地を用いることができる。また、そのようなバージンの配合培地に限定されるものではなく、キノコ収穫後の残渣であるキノコの廃培地を再生使用することもできる。
キノコの廃培地を再生使用する場合は、そのキノコの廃培地に、基材(コーンコブ粉砕物やオガ粉)やキノコの栄養源等となる他の新しい材料を添加し、混合・攪拌することでキノコ培地用の原料とすることができる。このとき、キノコの廃培地は、実質的に廃棄された直後の腐敗が生じる前の状態で加熱乾燥などの処理もしないで、そのまま原料の一部として利用すればよい。
【0035】
殺菌工程では、キノコ培地用の原料をチャンバー内で攪拌しながら、そのキノコ培地用の原料に過熱蒸気を当てることで殺菌するとよい。過熱蒸気によるキノコ培地用の原料への加熱が効率よく行われ、殺菌時間を短縮できる。また、連続的な殺菌処理を行うことができ、エネルギー効率を高めることができる。
【0036】
また、殺菌工程及び冷却・加水工程を各チャンバー内で行い、キノコ培地用の原料を順次送りながら連続的に生産することで、生産効率を向上できる。
さらに、接種工程をチャンバー内で行い、キノコ培地用の原料を順次送りながら連続的に生産することによって同様に生産効率を向上できる。
【0037】
次に、本発明にかかるキノコ培地の生産方法を実施する生産装置システムの最良の形態例を添付図面(図2)に基づいて詳細に説明する。
図2は本発明にかかるキノコ培地の生産装置システムの形態例を示す説明図である。
このキノコ培地の生産装置システムは、キノコ培地を瓶詰め又は袋詰めによって形成するものである。
【0038】
10は蒸気加熱装置であり、過熱水蒸気を発生させる。本形態例の蒸気加熱装置10は、常圧過熱水蒸気を発生させるものであり、圧力容器を用いることを要せず、低コストで管理をし易い構成になっている。
この蒸気加熱装置10は、飽和水蒸気を発生させるボイラ11と、過熱蒸気発生器12を備える。これにより、110℃以上の常圧過熱水蒸気を発生できる。その常圧過熱水蒸気の温度は、高温であるほど殺菌効果が高くなるが、高温になると原料が炭化するおそれがある。このため、原則としては炭化が発生しない温度で原料を加熱するとよいが、意図的に高温にして少量の炭化をさせてもよい。例えば、過熱水蒸気の温度が130℃前後の場合、曝露時間が1分程度で、キノコ培地用の原料を好適に加熱殺菌することができる。
【0039】
20は殺菌用チャンバーであり、各材料を配合したキノコ培地用の原料が投入され、過熱水蒸気が導入されることによって原料が加熱殺菌される容器室となっている。
この殺菌用チャンバー20は、図に示すように筒体状のボディ21と、その筒体状のボディ21の一端側上部に設けられた原料投入口22と、筒体状のボディ21の他端側下部に設けられた出口24とを備える。原料投入口22には原料を案内するホッパー23が接続されている。出口24には筒体状のボディ21の径方向に延設された第1の接続管25が接続されている。
そして、筒体状のボディ21の外周に巻かれた状態に設けられた保温材26を備える。
【0040】
また、この殺菌用チャンバー20の内部には、軸心を中心に回転する中心回転軸28と羽根29によって原料送り手段27が設けられている。16はモータであり、17は駆動スプロケットである。また、18は従動スプロケットであって、中心回転軸28の一端部に固定されている。これにより、駆動機構が構成されており、中心回転軸28を回転させて、原料を自動的且つ連続的に攪拌しながら殺菌用チャンバー20の一端側から他端側へ送ることができる。
【0041】
30は冷却・加水用チャンバーであり、殺菌用チャンバー20で加熱殺菌された原料が投入されてその原料を冷却すると共に、キノコ培地用としての水分調整と冷却を促進させるように無菌水が投入される容器室となっている。
この冷却・加水用チャンバー30は、図に示すように筒体状のボディ31と、その筒体状のボディ31の一端側上部に前記第1の接続管25に接続された入口32と、筒体状のボディ31の他端側下部に設けられた出口34とを備える。出口34には筒体状のボディ31の径方向に延設された第2の接続管35が接続されている。
【0042】
そして、筒体状のボディ31の外周に巻かれた状態に設けられ、冷却・加水用チャンバー30の外周部に冷却水を回すことで加熱された原料の冷却を行う外周冷却部36aを備える。さらに、中心回転軸38の内部に設けられ、冷却水を回すことで加熱された原料を内側から冷却する内部冷却部36bを備える。
この外周冷却部36a及び内部冷却部36bと、冷却水の供給部33a及び冷却水ドレン33b等によって、チャンバー冷却手段33が構成されている。このチャンバー冷却手段33は缶体冷却であり、これによって過熱水蒸気を復水して培地となる原料を冷却する。
【0043】
また、50は無菌水供給部であり、水を例えばフィルター51で濾過させることで無菌化した無菌水の一部を冷却用無菌水として冷却・加水用チャンバー30内に供給できるように構成されている。
これによれば、冷却用無菌水によって、キノコ培地となる原料を直接的に冷却すると共に、その原料に水分を与えることになる。つまり、キノコ培地用としての水分調整と冷却を促進させることができる。
なお、本発明にかかる無菌水とは、前述したようにキノコの生長に阻害とならない程度に除菌或は殺菌された状態の水である。
【0044】
また、この冷却・加水用チャンバー30の内部には、軸心を中心に回転する中心回転軸38と羽根39によって原料送り手段37が設けられている。16はモータであり、17は駆動スプロケットである。また、18は従動スプロケットであって、中心回転軸38の一端部に固定されている。これにより、駆動機構が構成されており、中心回転軸38を回転させて、原料を自動的且つ連続的に攪拌しながら冷却・加水用チャンバー30の一端側から他端側へ送ることができる。
【0045】
40は接種用チャンバーであり、冷却と加水によって調整された原料が投入されると共に、キノコの種菌を投入して混合することで接種が行われる容器室となっている。
この接種用チャンバー40は、図に示すように筒体状のボディ41と、その筒体状のボディ41の一端側上部に前記第2の接続管35接続された入口42と、筒体状のボディ41の他端側下部に設けられた出口44とを備える。その出口44には、筒体状のボディ41の径方向に延設された管状の排出口45が接続されている。
【0046】
また、46は種菌の投入口である。なお、種菌の投入手段について、固体状の種菌を対象とする場合は、粒状固体を連続的に適正量フィードできる供給装置を用いることができ、周知慣用技術を利用すればよい。さらに、液体状の種菌についても、液体を連続的に適正量フィードできる供給装置を用いることができ、周知慣用技術を利用すればよい。
【0047】
そして、前記無菌水供給部50は、水を例えばフィルター51で濾過させることで無菌化した無菌水の一部である水分調整用無菌水を接種用チャンバー40内に供給できるように構成されている。
これによれば、水分調整用無菌水によって、培地となる原料のキノコ培地用としての水分調整を適切に行うことができる。
【0048】
また、この接種用チャンバー40の内部には、軸心を中心に回転する中心回転軸48と羽根49によって原料送り手段47が設けられている。16はモータであり、17は駆動スプロケットである。また、18は従動スプロケットであって、中心回転軸48の一端部に固定されている。これにより、駆動機構が構成されており、中心回転軸48を回転させて、原料を自動的に連続的に攪拌しながら冷却・加水用チャンバー30の一端側から他端側へ送ることができる。
【0049】
60は排気ブロアであり、原料の移動方向に沿って空気が流れるように、接種用チャンバー40のキノコ培地の排出口45に接続されている。
これによれば、空気の逆流を防止でき、加熱殺菌等の工程を効率よく実施できる。
【0050】
以上のようにして調整され、排出口45から排出された調整済みのキノコ培地用の原料は、瓶詰めや袋詰めの工程を行う装置に供給される。
そして、瓶詰めや袋詰めの工程が終了した後は、瓶詰めの場合はキャップをし、培養工程へと移行する。
なお、本形態例に限らず、例えば液状の種菌については、チャンバー内で接種を行わず、キノコ培地を瓶詰めや袋詰めした後で接種するようにしてもよい。
【0051】
以上のような形成方法によるキノコ培地の生産方法によれば、水分を加えていない原料に過熱水蒸気を当てる場合、多くの水分の温度を高めるための熱量を要しない。
また、原料に直接的に高温の過熱水蒸気を当てることができるため、原料の温度を効果的に高温にすることができ、効率よく殺菌をすることができる。この効果は、水分のあるキノコの廃培地をキノコ培地の原料の一部として再利用する際にも有効に生じる。
【0052】
また、冷却用無菌水によれば、加熱された原料を直接的に冷却することができるため、原料を効率よく冷却することができる。
従って、エネルギー消費を大幅に削減することができ、生産コストを大幅に低減できる。さらに、種菌を接種用チャンバー40内に投入して、調整されたキノコ培地用の原料と混合・攪拌するので、種菌がより均一且つ適切に分散される。これによれば、キノコ菌の培養が促進され、キノコ培地における菌回しの時間が大幅に短縮され、生産効率を大幅に向上させることができる。
【0053】
また、本形態例によれば、各チャンバー20、30、40が順に接続されて、各原料送り手段27、37、47によって連続的に送られるため、キノコ培地を極めて効率よく形成・生産できる。生産時間を短縮できることから、生産効率を向上でき、キノコ栽培の生産コストを低減できる。
【0054】
次に、図3に基づいて、過熱水蒸気を利用した連続攪拌・乾燥装置について説明する。なお、図2に示した殺菌用チャンバー20の構成と同等の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例では、図3に示すように、原料が投入される入口22と出口24を、スクリュウコンベア71、72を利用して閉塞する構造となっている。このため、熱風を好適に遮断することができ、熱効率を高めて、より効率的に原料を乾燥させることができる。
また、図3の殺菌用チャンバー20及びその装置を利用すれば、攪拌しながら一方向に送られる原料に、過熱水蒸気を効率よく当てることができる。このように殺菌用チャンバー20に投入された原料が、過熱水蒸気に曝露されることで、効果的に乾燥される。
これによれば、含水有機物、例えばキノコの廃培地(廃菌床)を効率よく乾燥できる。乾燥されたキノコの廃菌床は、キノコ培地用の基材や、バイオマス燃料等の乾燥資材として活用することができる。
【0055】
以上では、キノコ培地の殺菌や生産のために、本発明にかかる過熱蒸気を循環させる装置や生産システム等を用いることについて説明してきた。しかし、この発明はこれに限らず、他の加熱を必要とする用途に好適に応用できる。例えば、コーヒーの焙煎や炒り処理等の食品の加工や殺菌、有機物の乾燥等のための装置や処理システムについて、或は加熱状態を維持すべき装置やシステムについて好適に適用できる。
【0056】
次に、図4に基づいて、キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置システムの形態例について説明する。なお、以上に説明した発明の構成要素と同等のものについては、同じ符号を付して説明を省略する。
この形態例では、水蒸気発生器55等によって発生・導入された蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器12と、培地原料が収容され、過熱蒸気が培地原料に直接当てられることで殺菌されるように供給される殺菌室(加熱殺菌チャンバー20)とを備えるキノコ培地の殺菌装置が複数連続的に配設されている。なお、この形態例では、常圧の蒸気を常圧の過熱蒸気とする装置システムになっている。
【0057】
80は接続通気路であり、加熱殺菌チャンバー20から排出される蒸気を、隣接する次のキノコ培地の殺菌装置の過熱蒸気発生器12へ供給するように接続している。
53aはサイクロン式の洗浄器であると共に蒸気を含む空気の滞留部であって、その空気を分岐して過熱蒸気発生器12側へ流すように配管を介して接続する口となっている。
また、この形態例では、過熱蒸気発生器12が複数台(図面上では2台)配設されている。これに対応して、複数の送風機14aが配管を介して接続されている。これによれば、蒸気を過熱して送風する能力を適切に拡大できると共に、その過熱と送風の能力を適宜に調整できる。
なお、蒸気となる水分は培地原料からも供給されるため、2台目以降のキノコ培地の殺菌装置については、水蒸気発生器55を省略することも可能である。
【0058】
このように、接続通気路80を介してキノコ培地の殺菌装置同士を連続的に接続することで、加熱殺菌チャンバー20から排出される蒸気を、次のキノコ培地の殺菌装置で再利用することができる。つまり、図1に示した蒸気を循環させる形態例と同様に、蒸気を大気に放出して捨てることなく、その蒸気に残存するエネルギーを有効に活用できる。また、図1のような循環通気路13の配管よりも、接続通気路80の配管の方が短く設定し易いため、配管による放熱量を低減できる。従って、エネルギー損失を低減でき、生産性を向上できる。
なお、複数台のキノコ培地の殺菌装置の最後に排出される蒸気は、大気開放でもよいが、例えば複数台のキノコ培地の殺菌装置がループ状に設置された場合など、最初の装置に接続して蒸気について閉回路としてもよい。
【0059】
次に本発明にかかる効果の優位性について説明を加える。
本発明では、キノコの培地となる原料に過熱蒸気を直接当てることで、効率よく殺菌を行うことに一つの共通的な特徴がある。これによれば、連続的な加熱殺菌処理ができ、熱を順々に伝達できるため、エネルギー消費を低減できる。従って、生産性を格段に向上できる。
これに対して従来のキノコの培地に係る殺菌方法は、水分調整を行った培地原料の瓶詰めや袋詰めの後に、常圧又は加圧状態の蒸気によって殺菌がなされるバッチ式によるものであり、エネルギーの損失が大きかった。つまり、従来のキノコ生産にあっては、培地原料を加熱殺菌した後で雑菌による影響がない状態において瓶詰めや袋詰めをしてキノコの培地とする本発明の基礎となる技術的思想がない。
【0060】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るキノコ培地の殺菌装置の形態例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るキノコ培地の生産システムの形態例を示す説明図である。
【図3】本発明に係るキノコ培地の殺菌装置の他の形態例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るキノコ培地の殺菌装置システムの形態例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10 蒸気加熱装置
11 蒸気ボイラ
12 過熱蒸気発生器
13 循環通気路
14 送風機
20 加熱殺菌チャンバー
28 中心回転軸
29 羽根
30 冷却・加水用チャンバー
40 接種用チャンバー
50 無菌水供給部
53 洗浄器
55 水蒸気発生器
80 接続通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置であって、
水蒸気発生器等によって発生・導入された蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器と、
前記培地原料が収容され、前記過熱蒸気が前記培地原料に直接当てられることで殺菌されるように供給される殺菌室とを具備することを特徴とするキノコ培地の殺菌装置。
【請求項2】
蒸気が前記過熱蒸気発生器から前記殺菌室を通って循環されるように接続する循環通気路を備えることを特徴とする請求項1記載のキノコ培地の殺菌装置。
【請求項3】
キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置であって、
循環通気路と、
該循環通気路中に設けられ、蒸気を循環させる送風機と、
前記循環通気路中に設けられ、蒸気によって加熱殺菌するために前記培地原料が投入される加熱殺菌チャンバーと、
前記循環通気路中に設けられて水蒸気を発生して供給する水蒸気発生器及び/又は前記循環通気路に接続されて蒸気を供給する蒸気ボイラと、
前記循環通気路中に設けられ、蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器とを具備することを特徴とするキノコ培地の殺菌装置。
【請求項4】
前記培地原料を前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーへ投入する前に混合・攪拌するミキサーが設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のキノコ培地の殺菌装置。
【請求項5】
前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーの循環蒸気流の下流側に、循環蒸気を清浄化する洗浄器が設けられていることを特徴とする請求項2、3又は4記載のキノコ培地の殺菌装置。
【請求項6】
前記加熱殺菌チャンバーが、筒体状に設けられ、前記原料を連続的に送るように、前記加熱殺菌チャンバー内に軸心を中心に回転する中心回転軸と羽根によって設けられた原料送り手段を備えることを特徴とする請求項3、4又は5記載のキノコ培地の殺菌装置。
【請求項7】
前記過熱蒸気発生器が、高周波加熱器であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のキノコ培地の殺菌装置。
【請求項8】
前記殺菌室又は前記加熱殺菌チャンバーに投入される原料が実質的にキノコの廃培地のみであって、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のキノコ培地の殺菌装置の構成を備えることを特徴とするキノコの廃培地の再生装置。
【請求項9】
キノコ培地を瓶詰め又は袋詰めによって形成するキノコ培地の生産システムにおいて、
過熱水蒸気を発生させる蒸気加熱装置と、
各材料を配合したキノコ培地用の原料が投入され、前記過熱水蒸気が導入されることによって前記原料が加熱殺菌される殺菌用チャンバーと、
該殺菌用チャンバーで加熱殺菌された原料が投入されて該原料を冷却すると共に、キノコ培地用としての水分調整と冷却を促進させるように無菌水が投入される冷却・加水用チャンバーとを具備することを特徴とするキノコ培地の生産システム。
【請求項10】
前記冷却と加水によって調整された原料が投入されると共に、キノコの種菌を投入して混合することで接種が行われる接種用チャンバーを具備することを特徴とする請求項9記載のキノコ培地の生産システム。
【請求項11】
キノコ菌床栽培用の培地原料を蒸気によって加熱殺菌するキノコ培地の殺菌装置システムであって、
水蒸気発生器等によって発生・導入された蒸気を加熱して過熱蒸気を生じさせる過熱蒸気発生器と、前記培地原料が収容され、前記過熱蒸気が前記培地原料に直接当てられることで殺菌されるように供給される殺菌室とを備えるキノコ培地の殺菌装置が複数配設され、
前記殺菌室から排出される蒸気を、隣接する次のキノコ培地の殺菌装置の過熱蒸気発生器へ供給するように接続する接続通気路を具備することを特徴とするキノコ培地の殺菌装置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−254341(P2009−254341A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190343(P2008−190343)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(505364717)
【Fターム(参考)】