説明

キャビネットの補強構造

【課題】 正面と背面に扉を備えたキャビネットにおいて、箱体を少数の部品で高度に堅牢化できる補強構造を提供する。
【解決手段】 キャビネット1は、電気機器を収納する箱体2と正面扉3と背面扉4とを備える。箱体2の内側四隅に、上下左右4本の補強部材11を正面扉3と背面扉4との間を延びるように配置する。各補強部材11に同一設計の板金部品を使用する。板金部品に、箱体2に固定される固定部と、マウントレール5を取り付けるレール取付部と、吊りボルト6を取り付けるボルト取付部とを加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を収納する箱体の正面と背面に扉を備えたキャビネットの補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側に収納した電気機器を箱体の前後から保守点検できるように、箱体の正面と背面の両方に扉を設けたキャビネットが知られている。例えば、特許文献1には、3段重ねのユニット枠により本体枠を構成し、本体枠に正面扉と背面扉を取り付けた配電盤用キャビネットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−126129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、正面扉と背面扉を備えたキャビネットでは、箱体の横方向の強度が低下する。特に、扉開口部の間口を広くするために支柱を省いたり、箱体の左右両側にマウントレールを立設したりして構成されたキャビネットには、高度の補強構造が求められるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、正面扉と背面扉を備えたキャビネットにおいて、箱体を少数の部品で高度に堅牢化できる補強構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の補強構造は、電気機器を収納する箱体に正面扉と背面扉を設けたキャビネットにおいて、箱体の内側に上下左右4本の補強部材を正面扉と背面扉との間を延びるように配置し、各補強部材に同一設計の板金部品を使用し、該板金部品に、箱体に固定される固定部と、マウントレールを取り付けるレール取付部と、吊りボルトを取り付けるボルト取付部とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の補強構造によれば、箱体の四隅に配置する補強部材に同一設計の板金部品を使用し、この板金部品に箱体への固定部と、マウントレールおよび吊りボルトの取付部とを設けたので、部品の共用化を促進し、少数の部品で箱体に高度の堅牢性を付与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示すキャビネット補強構造の斜視図である。
【図2】図1の補強構造に使用される補強部材を示す斜視図である。
【図3】図1の補強構造を示す正面図である。
【図4】同補強構造を示す右側面図である。
【図5】同補強構造を示す平面図である。
【図6】同補強構造を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態のキャビネット1は電気機器を収納する箱体2を備え、箱体2の正面に正面扉3が設けられ、箱体2の背面に背面扉4が設けられている。
【0010】
箱体2の内側には、上下左右4本の補強部材11が正面扉3と背面扉4との間を前後に延びるように配置されている。上側2本の補強部材11は箱体2の天井部に固定され、下側2本の補強部材11が箱体2の底部に固定され、上下の補強部材11の間に前後2本のマウントレール5が左右2組立設されている。
【0011】
各補強部材11には、同一寸法形状の板金部品が使用されている。この板金部品は、図2に示すように、箱体2の天井部または底部に接合する水平部11aと、箱体2の側面部に接合する垂直部11bと、両者の間で直角に折れ曲がる折曲部11cとを備え、向きを変えて箱体12の四隅に組み付けられる。
【0012】
図3、図5に示すように、水平部11aには、吊りボルト6を取り付けるボルト取付孔12が形成されている。図3、図4に示すように、垂直部11bには、箱体2の側面部に固定される固定孔13が形成されている。また、折曲部11cには、マウントレール5の上端および下端部を取り付けるレール取付孔14が形成されている。
【0013】
なお、図6に示すように、箱体2の底部に配置される補強部材11では、水平部11aのボルト取付穴12が固定部として使用され、ボルトまたは溶接等によって箱体2の底部に固定される。
【0014】
上記構成の補強構造によれば、図1に示すように、4本の補強部材11を箱体2の四隅に固定し、上下の補強部材11をマウントレール5で連結することにより、正面扉3と背面扉4を備えたキャビネット1において、特に、横方向の強度を高めることができる。
【0015】
また、各補強部材11に同一設計の板金部品を使用し、この部品に吊りボルト6およびマウントレール5の取付部12,14と、箱体2への固定部13を加工したので、部品の共用化を促進し、ごく少数の部品で箱体2を高度に堅牢化できるという利点もある。
【0016】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、キャビネットの構成や補強部材の形状を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 キャビネット
2 箱体
3 正面扉
4 背面扉
5 マウントレール
6 吊りボルト
11 補強部材
12 ボルト取付孔
13 固定孔
14 レール取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収納する箱体に正面扉と背面扉とを備えたキャビネットにおいて、
前記箱体の内側に上下左右4本の補強部材を正面扉と背面扉との間を延びるように配置し、各補強部材に同一設計の板金部品を使用し、該板金部品に、箱体に固定される固定部と、マウントレールを取り付けるレール取付部と、吊りボルトを取り付けるボルト取付部とを設けたことを特徴とする補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238757(P2012−238757A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107341(P2011−107341)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】