説明

キャビネット及びトイレユニット

【課題】配設位置の自由度を向上できるキャビネット及び、そのキャビネットが配設されたトイレユニットを提供すること。
【解決手段】サイドキャビネット10は、キャビネット本体11に対して扉12が上下方向に移動し、扉12が前面側に突出することなく開閉動作を行うことができる。よって、サイドキャビネット10の前面側のスペースが狭くても扉12の開閉動作を行うことができるので、サイドキャビネット10を狭い室内であるトイレT内に配設する場合の配設位置の自由度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット及びトイレユニットに関し、特に、配設位置の自由度を向上できるキャビネット及び、そのキャビネットが配設されたトイレユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2004−305492号公報(以下「特許文献1」と称す)には、略箱状に形成されるキャビネット本体の前面側の開口部を上下2枚の扉により覆うキャビネットが開示されている。このキャビネットは、上側の扉が、上端を回転軸として前方上側に跳ね上げられることで開放され、下側の扉が、キャビネット本体の両側壁に設けられたアームにより前方下側にスイングしつつ開放されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−169876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のキャビネットでは、上側の扉は、上端を回転軸として前方上側に跳ね上げることにより開放されるので、キャビネット本体の前面側に扉の可動領域が必要になる。その結果、特許文献1のキャビネットを狭い室内に配設する場合、他の設置物との干渉を避けるために、その配設位置の自由度が低下するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、配設位置の自由度を向上できるキャビネット及び、そのキャビネットが配設されたトイレユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載のキャビネットは、略箱状に形成され前面側に開口部を有するキャビネット本体と、そのキャビネット本体の開口部を覆って閉鎖すると共に、下方向に移動して前記開口部を開放する扉と、その扉の下方に取り付けられる扉側係止部材と、その扉側係止部材と係止可能に構成され、前記キャビネット本体の底壁下面に取り付けられる本体側係止部材とを備えている。
【0007】
請求項2記載のキャビネットは、請求項1記載のキャビネットにおいて、前記扉は、前記キャビネット本体より下方に突出して形成され、前記扉側係止部材は、前記扉の前記キャビネット本体側の面であってそのキャビネット本体より下方に突出した部分に取り付けられている。
【0008】
請求項3記載のキャビネットは、請求項1又は2に記載のキャビネットにおいて、前記扉側係止部材または本体側係止部材の一方の係止部材は、前記底壁下面または前記扉の下方に取り付けられるベース部材と、そのベース部材に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、その揺動部材の一端側に設けられ、前記扉側係止部材または本体側係止部材の他方の係止部材に係止される爪部と、その爪部と前記他方の係止部材との係止を維持する方向へ前記揺動部材を付勢する付勢部材と、前記揺動部材の他端側に設けられ、前記付勢部材の反付勢方向へ前記爪部を移動させる場合に操作される操作部とを有して構成されている。
【0009】
請求項4記載のトイレユニットは、請求項1から3のいずれかに記載のキャビネットと、便器装置とを備えており、前記キャビネットは、前記扉の横方向と前記便器装置の前奥方向とがほぼ並行になるように、前記便器装置の側方に配設されるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のキャビネットによれば、キャビネット本体の前面側の扉は、上下方向に移動して開口部の開閉動作を行うので、キャビネットの前面側のスペースが狭くても扉の開閉動作を行うことができる。よって、狭い室内におけるキャビネットの配設位置の自由度を向上できるという効果がある。
【0011】
また、扉側係止部材は扉の下方に取り付けられ、本体側係止部材はキャビネット本体の底壁下面に取り付けられるので、キャビネット本体の開口部が開放された場合に両係止部材が邪魔にならず、収納物の出し入れがし易くなるという効果がある。
【0012】
請求項2記載のキャビネットによれば、請求項1記載のキャビネットの奏する効果に加え、扉側係止部材は、扉のキャビネット本体側の面であってそのキャビネット本体より下方に突出した部分に取り付けられるので、前面側からキャビネットを視認した場合に、扉側および本体側係止部材を扉により隠すことができ、キャビネットの見栄えを向上できるという効果がある。
【0013】
また、扉は、キャビネット本体より下方に突出しているので、その突出した部分を持って扉の開閉動作を行うことができる。よって、扉は、前面側に取っ手などを設けずに平面にできるので、キャビネットの見栄えを向上できるという効果がある。なお、扉の前面側が平面になるので、取っ手に手が当たり怪我をしたり、取っ手に物が当たり破損するなどの弊害の発生も防止できるという効果がある。
【0014】
請求項3記載のキャビネットによれば、請求項1又は2に記載のキャビネットの奏する効果に加え、扉側係止部材と本体側係止部材との係止は、一方の係止部材に設けられた揺動部材が付勢手段により付勢され、揺動部材の一端側の爪部と他方の係止部材とが係止されることで維持される。ここで、揺動部材の他端側に設けられた操作部を操作することで、爪部が付勢手段の反付勢方向へ移動して爪部と他方の係止部材との係止を解除できる。爪部と他方の係止部材との係止が解除されると、扉は自重により下方に移動可能になるので、操作部を操作するという簡単な操作により扉の開放動作を行うことができるという効果がある。
【0015】
請求項4記載のトイレユニットによれば、請求項1から3のいずれかに記載のキャビネットは、扉の横方向と便器装置の前奥方向とがほぼ並行となるように、便器装置の側方に配設される。そして、キャビネットは、扉が下方に移動するので、便器装置との間が狭くても扉の開閉動作を行うことができる。よって、キャビネットを便器装置の側方に配設可能となるので、キャビネットの配設位置の自由度を向上したトイレユニットを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のサイドキャビネット及び中央キャビネットが配設されたトイレの全体を示した斜視図である。
【図2】サイドキャビネットの開口部が扉により閉鎖された状態を示した斜視図である。
【図3】サイドキャビネットの開口部が開放された状態を示した斜視図および正面図である。
【図4】サイドキャビネットの背面視の一部分を示した図である。
【図5】各キャビネットが配設されたトイレの全体を示した斜視図である。
【図6】第2実施形態のキャビネットを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態のサイドキャビネット10及び中央キャビネット20が配設されたトイレTの全体を示した斜視図である。図1において、矢印Xは、各キャビネット10,20の左右(横)方向(便器装置Sの前奥方向)を示しており、矢印Yは、各キャビネット10,20の奥行き方向(便器装置Sの左右方向)を示しており、矢印Zは、各キャビネット10,20(便器装置S)の上下方向を示している。
【0018】
本実施形態の各キャビネット10,20は、扉12,22(図5参照)を上下方向に移動して開閉動作させることで、狭い室内であるトイレT内の便器装置Sとの干渉を抑え、各キャビネット10,20の配設位置の自由度を向上したものである。更に、キャビネット本体11,21(図5参照)と扉12,22とを係止するための係止部材15,16(図2参照),25,26を、扉12,22の裏面に隠して各キャビネット10,20の見栄えを向上すると共に、キャビネット本体11,21の開口部11f(図2参照),21fが開放された場合に係合部材15,16,25,26が邪魔にならずに、収納物の出し入れをし易くしたものである。このように構成された各キャビネット10,20について、以下に説明する。
【0019】
図1に示すように、トイレTは、床面Fと、4つの壁面W(2つの壁面Wは図示せず)と、天井面(図示せず)とにより囲まれている。なお、以下の説明では、便器装置Sの奥方(矢印X方向の左奥方)の壁面を壁面W1とし、便器装置Sの側方(矢印Y方向の右奥方)の壁面をW2として説明する。
【0020】
トイレT内には、主に、壁面W2に奥壁が隣接し且つ、壁面W1及び壁面W2により形成されるコーナー部から反壁面W1方向(矢印X方向の右手前側)に沿って収納棚Rが配設され、壁面W1に奥方が隣接して便器装置Sが配設されている。
【0021】
収納棚Rは、前面側の開口部11f(図2参照)が扉12(図2参照)により覆われたサイドキャビネット10と、そのサイドキャビネット10の反壁面W1側(矢印X方向の右手前側)に配設されると共にサイドキャビネット10と同形状に形成される中央キャビネット20と、トイレットペーパーが装着される装着部30と、上部に手洗器を有すると共に内部に配管等が収納された手洗い台40とを有して構成されている。
【0022】
次に、図2〜図4を参照して、サイドキャビネット10の構造と、サイドキャビネット10の扉12の開閉動作について説明する。図2は、サイドキャビネット10の開口部11fが扉12により閉鎖された状態を示した斜視図である。図3は、サイドキャビネット10の開口部11fが開放された状態を示した斜視図および正面図である。図4は、サイドキャビネット10の背面視の一部分を示した図であり、図4(a)は、図2(a)の矢印IVa視におけるサイドキャビネット10の背面視の一部分を示しており、図4(b)は、図3(a)の矢印IVb視におけるサイドキャビネット10の背面視の一部分を示している。
【0023】
図2に示すように、サイドキャビネット10は、略箱状に形成されるキャビネット本体11と、そのキャビネット本体11の前面側(矢印Y方向の左手前側)の開口部11fを覆う扉12と、その扉12をキャビネット本体11に対して上下方向に移動させるレール13と、キャビネット本体11と扉12とを係止する係止部材14とを有して構成されている。
【0024】
キャビネット本体11は、壁面W1(図1参照)側に位置する側壁11aと、その側壁11aに対向配置される側壁11bと、天井壁11cと、底壁11dと、奥壁11eとにより略箱状に形成されている。キャビネット本体11は、側壁11a,11b、天井壁11c、底壁11d及び奥壁11eによって略箱状に形成され、前面側が開口部11fにより開口されている。また、底壁11dの下面(矢印Z方向の下側の面)の左右方向(矢印X方向)中央には、係止部材14の一部を構成する本体側係止部材15が取り付けられている。
【0025】
扉12は、上下方向(矢印Z方向)の長さがキャビネット本体11の上下方向より長く形成されており、キャビネット本体11の開口部11fを閉鎖した状態(図2の状態)で、キャビネット本体11より下方に突出した突出部12aを有している。
【0026】
そして、扉12の突出部12aには、キャビネット本体11側となる面の左右方向(矢印X方向)中央に、係止部材14の一部を構成する扉側係止部材16が取り付けられると共に、その扉側係止部材16の左右両側に、使用者の指先を挿入可能な凹状の溝12b,12bが形成されている。この溝12b,12bの用途については後述する。
【0027】
図3(a)及び図3(b)に示すように、レール13は、キャビネット本体12の両側壁11a,11bの内側面に取り付けられる外レール13aと、その外レール13aに対してスライド移動可能であり扉12のキャビネット本体11側の面に取り付けられる内レール13bとで構成されている。本実施形態では、レール13により扉12をキャビネット本体11に対して真下に移動可能に構成し、本体側係止部材15を底壁11d下面に取り付けているので、図示するように、各係止部材15,16が邪魔にならず、収納物の出し入れをし易くできる。
【0028】
なお、図示は省略するが、レール13には、扉12が下方へ勢い良く移動することを抑制するダンパ機構などが設けられており、扉12が勢い良く移動して衝突することによるレールが破損や不快な衝突音の発生を抑えることができる。
【0029】
また、キャビネット本体11の底壁11dの開口部11f側には、キャビネット本体11の左右方向(矢印X方向)における両側端部に切り欠き11gが形成されている。この切り欠き11gは、扉12が上下方向に移動する場合に、レール13の内レール13bが侵入する領域である。
【0030】
さらに、キャビネット本体11の両側壁11a,11bの内側には、レール13を覆うようにそれぞれ化粧板11h,11hが取り付けられている。この化粧板11h,11hを取り付けることによって、キャビネット本体11の内側の見栄えを向上できるし、レール13に使用者が触れて怪我をすることを抑制できる。
【0031】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、本体側係止部材15及び扉側係止部材16について詳細に説明する。図4(a)及び図4(b)に示すように、本体側係止部材15は、底壁11dの下面に取り付けられるベース板15aと、そのベース板15aの両端から更に下方(矢印Z方向下方)に突出する一対の側板15b,15bと、その一対の側板15b,15bの間に回転可能に軸支されるロール部材15cとを有している。
【0032】
扉側係止部材16は、扉12のキャビネット本体11側となる面に取り付けられるベース部材16aと、そのベース部材16aに回転軸を介して揺動可能に取り付けられる揺動部材16bと、その揺動部材16bの先端側(一方の端部、矢印Z方向上側の端部)に設けられロール部材15cと当接して係止される爪部16cと、揺動部材16bの後端側(他方の端部、矢印Z方向下側の端部)に設けられ使用者によって操作される操作部16dと、揺動部材16bを揺動可能とする回転軸に取り付けられ爪部16cを扉12の前面側(爪部16cをロール部材15cに係止させる方向)に付勢する付勢部材16eとを有している。なお、図2及び図3に示すように、扉側係止部材16の爪部16cの先端には、テーパ面16fが形成されている。
【0033】
ここで、キャビネット本体11の開口部11fが扉12により閉鎖された状態(図4(a)の状態)から、扉12を下方向に移動させて開口部11fを開放する場合の操作について説明する。扉12を下方向へ移動させる場合には、まず、扉12の下方(矢印Z方向の下側)から扉12の裏面(即ち、キャビネット本体11側の面)に手を入れて扉側係止部材16の操作部16dを前面側に押し(付勢部材16eの反付勢方向に操作部16dを押す)、本体側係止部材15のロール部材15cと扉側係止部材16の爪部16cとの係止を解除する。扉12は、ロール部材15cと爪部16cとの係止が解除されると、自重により下方へ移動するので、使用者が操作部16dを押す簡単な操作だけで、開口部11fを開放できる。
【0034】
また、本実施形態では、扉12の裏面に溝12b,12bが形成されているので、爪部16cとロール部材15cとの係止が解除された後に、溝12b,12bに指先を入れて扉12を下方へ移動させても良い。この場合、扉12の自重による移動と、使用者の操作による移動との両方が作用するので、扉12の移動を早期に完了させることができる。
【0035】
なお、上述した通り、扉12は、ロール部材15cと爪部16cとの係止が解除されると自重により下方へ移動するし、扉12の突出部12aはキャビネット本体11より下方に突出しており、その突出部12aを摘むこで扉12を操作できるので、溝12b、12bが形成されていない扉12としても良い。
【0036】
次に、キャビネット本体11の開口部11fが開放された状態(図4(b)の状態)から、扉12を上方へ移動させて開口部11fを閉鎖する場合の操作について説明する。扉12の上方への移動は、扉12の下方を持って扉12を上方へ持ち上げることで行われる。扉12の上方への持ち上げが継続されると、まず、ロール部材15cに爪部16cのテーパ面16fが当接し、その後、テーパ面16fがロール部材15cの回転により移動し、最終的に、テーパ面16fとロール部材15cとの当接が解除されると、揺動部材16bが付勢部材16eにより付勢されて爪部16cとロール部材15cとが係止される。
【0037】
以上の通り、キャビネット本体11の開口部11fの開放は、操作部16dを押す操作のみで行えると共に、開口部11fの閉鎖は、操作部16dを使用者が操作することなく、扉12を上方へ持ち上げるだけで行えるので、扉12の開閉動作を簡単な操作で行え操作性を向上できる。
【0038】
なお、図2〜図4では、サイドキャビネット10について説明したが、中央キャビネット20は、サイドキャビネット10と同形状に形成されているので、サイドキャビネット10が有する構成と同様の構成は、符号の10の位を20の位として読み替えるものとする。
【0039】
次に、図5を参照して、トイレT内に配設されるサイドキャビネット10及び中央キャビネット20の扉12,22が下方へ移動した状態について説明する。図5は、各キャビネット10,20が配設されたトイレTの全体を示した斜視図であり、各キャビネット10,20の扉12,22が下方へ移動した状態を示している。
【0040】
図5に示すように、サイドキャビネット10の扉12及び中央キャビネット20の扉22とが下方へ移動した状態では、扉12,22が各キャビネット10,20の前面側に突出しておらず、便器装置Sにも、その便器装置Sに着座した使用者(二点鎖線の人)にも干渉していない。よって、便器装置Sと各キャビネット10,20(収納棚R)との間が狭くても、扉12,22の開閉動作が可能になるので、トイレTのような狭い室内における各キャビネット10,20の配設位置の自由度を向上できる。
【0041】
さらに、扉12,22は、キャビネット本体11,21に対して上下方向に移動するため、扉の開閉動作における左右両側の干渉を考える必要がなく、各キャビネット10,20をトイレT等の狭い室内のコーナー部等に配設できるし、他のキャビネット等を左右両側に配設もできるので、各キャビネット10,20の左右方向における配設位置の自由度も向上できる。
【0042】
なお、本実施形態では、便器装置Sに使用者が着座した状態で、上半身(例えば、頭より下方で腰より上方となる程度)に対応する位置に収納棚Rが設けられている。この状態で、例えば、扉12,22がキャビネット本体11,21に対して上方に移動する構成だと、使用者が腕を肩以上に挙げないと開口部11f,21fを開放できないので、扉12,22の操作性が低下する。しかし、本実施形態では、扉12,22の開閉動作は、使用者の上半身の範囲内で行われ、使用者が腕を肩以上に挙げる必要がないので、扉12,22の操作性の低下を抑制できる。
【0043】
以上説明したように、各キャビネット10,20は、キャビネット本体11,21に対して扉12,22が下方に移動可能に構成されており、各キャビネット10,20の前面側のスペースが狭くても扉12,22の開閉動作を行うことができるので、狭い室内であるトイレT内に各キャビネット10,20を配設する場合の配設位置の自由度を向上できる。
【0044】
また、扉側係止部材16,26は、扉12,22のキャビネット本体11,21側の面であってそのキャビネット本体12,22の下方に位置する突出部12a,22aに取り付けられるので、各キャビネット10,20の前面側から視認した場合に、両係止部材15,16,25,26を扉12,22により隠すことができ、各キャビネット10,20の見栄えを向上できる。
【0045】
また、扉側係止部材16,26は扉12,22の下方に取り付けられ、本体側係止部材15,25はキャビネット本体11,21の底壁11d,21dの下面に取り付けられるので、開口部11f,21fが開放された場合に、各係止部材15,16,25,26が邪魔にならず、キャビネット本体11,21内部への収納物の出し入れがし易くなる。
【0046】
次に、図6を参照して、第2実施形態のキャビネット50について説明する。図6は、第2実施形態のキャビネット50を示した側面図である。第1実施形態の各キャビネット10,20は、レール13を用いて扉12を真下に移動させるように構成したが、これに代えて、第2実施形態のキャビネット50は、アーム13を用いて扉52を下方にスライド移動させるように構成した。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、キャビネット50は、キャビネット本体51と、そのキャビネット本体51の前面側の開口部を覆う扉52と、その扉52をキャビネット本体51に対して下方にスライド移動(矢印Aで示す経路を通る移動)させる共にキャビネット本体51の両側の側壁に取り付けられる一対のアーム53とを主に有して構成されている。
【0048】
キャビネット本体51は、その底壁の両側端部に切り欠き51aが形成されており、その切り欠き51aにアーム53の扉52側の先端が進入することで、扉52の開閉動作時における前面側への突出量を抑えることができる。よって、扉52がキャビネット本体51の真下に移動しなくても、扉52の開閉動作時の前面側への突出量を抑えられるので、キャビネット50を狭い室内であるトイレT内に配設する場合の配設位置の自由度を向上できる。
【0049】
また、キャビネット本体51の底面には、本体側係止部材15が取り付けられ、扉52のキャビネット本体51側の面には扉側係止部材16が取り付けられているので、第1実施形態と同様に、扉52の開閉動作の操作性を向上できると共に、見栄えを良くすることができる。
【0050】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0051】
例えば、上記実施形態では、各キャビネット10,20,50をトイレT内に配設するものとしたが、各キャビネット10,20,50を洗面台の上方および下方に配設しても良いし、キッチンの下方および上方に配設するものとしても良い。各キャビネット10,20,50は、扉12,22,52が開閉動作する場合の前面側への突出が抑えられているので、洗面台やキッチン等の配設環境に関係なく、配設位置の自由度を向上できるし、見栄えも向上できる。
【0052】
また、上記実施形態では、本体側係止部材15,25のロール部15c,25cに対して扉側係止部材16,26の爪部16c,26cが付勢力により係止されるものとしたが、係止部材14をマグネットで構成するものとしても良い。なお、係止部材14をマグネットで構成する場合も、扉12,22の下方と、キャビネット本体11,21の底壁11d,21dの下面に、マグネットをそれぞれ取り付けるように構成することで、キャビネットの見栄えを向上できる。さらに、扉12,22の突出部12a,22aを摘んで引っ張ることで、マグネットの係止を解除できるし、扉12,22を上方に移動させればマグネットにより扉12が係止されるので、簡単な操作により扉12,22の開閉動作が行え、操作性を向上できる。
【0053】
また、上記実施形態では、キャビネット本体11,21に係止部材15を取り付け、扉12,22の下方に係止部材16を取り付けるように構成したが、キャビネット本体11,21に係止部材16を取り付け、扉12,22に係止部材15を取り付けるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 サイドキャビネット(キャビネット、トイレユニットの一部)
20 中央キャビネット(キャビネット、トイレユニットの一部)
11,21 キャビネット本体
11d,21d 底壁
11f,21f 開口部
12,22 扉
12a,22a 突出部(扉の下方)
15,25 本体側係止部材
16,26 扉側係止部材
16a,26a ベース部材
16b,26b 揺動部材
16c,26c 爪部
16d,26d 操作部
16e,26e 付勢部材
S 便器装置(トイレユニットの一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状に形成され前面側に開口部を有するキャビネット本体と、
そのキャビネット本体の開口部を覆って閉鎖すると共に、下方向に移動して前記開口部を開放する扉と、
その扉の下方に取り付けられる扉側係止部材と、
その扉側係止部材と係止可能に構成され、前記キャビネット本体の底壁下面に取り付けられる本体側係止部材とを備えていることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記扉は、前記キャビネット本体より下方に突出して形成され、
前記扉側係止部材は、前記扉の前記キャビネット本体側の面であってそのキャビネット本体より下方に突出した部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
前記扉側係止部材または本体側係止部材の一方の係止部材は、
前記底壁下面または前記扉の下方に取り付けられるベース部材と、
そのベース部材に揺動可能に取り付けられる揺動部材と、
その揺動部材の一端側に設けられ、前記扉側係止部材または本体側係止部材の他方の係止部材に係止される爪部と、
その爪部と前記他方の係止部材との係止を維持する方向へ前記揺動部材を付勢する付勢部材と、
前記揺動部材の他端側に設けられ、前記付勢部材の反付勢方向へ前記爪部を移動させる場合に操作される操作部とを有して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャビネット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のキャビネットと、便器装置とを備えたトイレユニットであって、
前記キャビネットは、前記扉の横方向と前記便器装置の前奥方向とがほぼ並行になるように、前記便器装置の側方に配設されるものであることを特徴とするトイレユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−172483(P2010−172483A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18085(P2009−18085)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】