説明

キャンド構造の回転電機

【課題】流体摩擦損低減、耐圧性、耐熱性、耐エロージョン性、及び耐放射線性に優れ、且つキャンによる渦電流損がゼロ又は極めて小さいキャンド構造の回転電機において、キャンの耐圧性や固定子の冷却性を向上するスロットクサビならびにクサビを挿入するスロット開口部近傍の形状/構成を提供すること。
【解決手段】円筒状フレーム内に、スロット部に固定子巻線を装填した固定子鉄心を挿入固定し、固定子巻線及び固定子鉄心をキャン21で包囲し、キャン21で囲まれた空間に回転自在にロータを配置したキャンド構造の回転電機において、スロット30の開口部分に、キャン21の外周に密着するスロットクサビ31を配置し、スロットクサビ31は、固定子鉄心の内周面Aとは反対側の辺31bにアーチ型の切欠き部を設けて空間29を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子がキャンに包囲されたキャンド構造の回転電機に関し、特に回転子室が高圧のポンプ作動液で満たされるノンシールポンプ駆動用電動機として好適なキャンド構造の回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子を構成する固定子コア及び固定子巻線がキャンに包囲されたキャンド構造のノンシールポンプ駆動用高圧電動機、特に極数が4P〜6Pの大型(数千kW)で回転子室が高圧(1〜2kg/mm2)のポンプ作動液で満たされる誘導電動機においては、キャンを貫通する磁束によって発生する渦電流損を低減し、且つ高い内圧条件に耐え、高い気密性が要求される。
【0003】
このようなキャン構造の誘導電動機ではキャン損(渦電流損)を低減させるためには樹脂材等の絶縁材料からなるキャンを使用するのがよく、更に回転子室内を満たす高圧のポンプ作動液に耐えるための構造として、キャンを構成する材料に繊維強化プラスチック(FRP)を採用することが考えられる。また、回転子室が高圧のポンプ作動液で満たされ、回転子が高速回転するとポンプ作動液も回転子と同様の周速でキャン表面を流れるため、FRPで構成されたキャン表面が液流摩擦によるエロージョンが発生し磨耗する場合があり、磨耗の程度が進むとキャンの気密性を損なう可能性がある。そこでキャンの材料にFRPを使用する場合、上記エロージョン対策も必要となる。
【0004】
また、回転子室内のポンプ作動液が高い周速で流れることから、キャンと回転子間のギャップで流体摩擦損が発生する。この流体摩擦損は設定するギャップの長さによっては莫大な損失量となり、回転子室流体の強制循環による冷却等の一般的な冷却方法では冷却効率の限界から、流体摩擦損も低減する必要がある。
【0005】
また、ギャップ長を短くするための構成として、キャンを薄肉化する構造もある。しかしながら、取扱液の圧力をキャンが受けて、キャン自体が固定子内径側に押し付けられる。このとき、固定子内径にスロット開口部のような空間・段差・隙間等が存在すると、キャンは薄肉構造による剛性不足によりスロット開口部で変形したり、段差・隙間等に入りこむように変形し、当該部分のエッジ部などで折り曲がり・皺を生じ、ついには破損・亀裂に至り、キャンの気密性・水密性を損なう可能性がある。
【0006】
また、上記高圧誘導電動機を原子炉のノンシール構造の冷却ポンプ駆動用に使用する場合は、ポンプ作動液が高温となることから、耐熱性が必要となると共に、耐放射線性も必要となる。
【0007】
従来、キャン材料にFRPを用いたキャンド構造の電動機としては、特許文献1に開示された耐熱耐圧形永久磁石同期電動機や特許文献2に開示されたガス密性を向上させたキャンドモータがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−153749号公報
【特許文献2】特開2001−153749号公報
【特許文献3】実開昭62−91548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のものは、上記キャンと回転子の間のギャップでの流体摩擦損低減、回転子室を満たす高圧高温のポンプ作動液に対する耐圧性や耐熱性、FRP材で構成されたキャンのポンプ作動液の高速流に対する耐エロージョン性に対する対策、更には耐放射線性を考慮したものでなく、これら流体摩擦損低減、耐圧性、耐熱性、耐エロージョン性、及び耐放射線性の対策には不十分であった。更に、特許文献3に記載のものは、キャンと線輪押え楔との間の梯型空間を硬質樹脂で充填する構成である。しかし、この構成は耐圧性、耐熱性の対策には不十分であった。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記流体摩擦損低減、耐圧性、耐熱性、耐エロージョン性、及び耐放射線性に優れ、且つキャンによる渦電流損がゼロ又は極めて小さいキャンド構造の回転電機において、キャンの耐圧性や固定子の冷却性を向上するスロットクサビならびに前記クサビを挿入するスロット開口部近傍の形状/構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、円筒状フレーム内に、スロット部に固定子巻線を装填した固定子鉄心を挿入固定し、前記固定子巻線及び前記固定子鉄心をキャンで包囲し、前記キャンで囲まれた空間に回転自在にロータを配置したキャンド構造の回転電機において、前記スロット部の開口部分に、前記キャン外周に密着するスロットクサビを配置し、前記スロットクサビは、固定子鉄心の内周面とは反対側の辺に切欠き部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記キャンド構造の回転電機において、前記スロットクサビの前記切欠き部の形状は、アーチ型であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記キャンド構造の回転電機において、前記スロットクサビは、マシナブルセラミックスにて構成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記キャンド構造の回転電機において、前記スロットクサビは、繊維強化プラスティックにて構成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、キャンド構造の回転電機において、前記キャン外周と前記スロットクサビとの間に、磁性クサビを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、円筒状フレーム内に固定子巻線を装填した固定子鉄心を挿入固定し、該固定子巻線及び該固定子鉄心をキャンで包囲し、該キャンで囲まれた空間に回転自在にロータを配置したキャンド構造の回転電機のスロット部の開口部分にキャン外周に密着するスロットクサビを配置する構成なので、固定子内径に存在するスロット開口部分による段差やキャン外周との隙間を無くし、取扱液の圧力によるキャン変形を解消する、キャンド構造の回転電機を提供することができる。
【0017】
本発明は、キャンド構造の回転電機のスロットクサビ形状をキャン外周に密着する側とは反対側の面に、切欠き部の形状が中心線を先端にしたR形状の構成としたので、大幅な強度の低下を伴わずに軽量化を行うことが可能であると共に、固定子鉄心積層方向に貫通しているので冷却風通路としても機能を有する、キャンド構造の回転電機を提供することができる。
【0018】
本発明はキャンド構造の回転電機のスロットクサビをマシナブルセラミクスで構成したので、非磁性で且つ絶縁抵抗が高い特性により回転磁界中で使用しても鉄損・渦電流損を発生しないと共に外力に対してほぼ変形のない高い強度をもつため、取扱液の圧力によるキャン変形を防止し、キャンを安定的にサポートすることが可能なキャンド構造の回転電気を提供することができる。
【0019】
本発明はキャンド構造の回転電機のスロットクサビを強化繊維プラスチックで構成したので、非磁性で且つ絶縁抵抗が高い特性により回転磁界中で使用しても鉄損・渦電流損を発生しないと共に外力に対して変形の少ない高い強度をもつため、取扱液の圧力によるキャン変形を防止し、キャンを軽量な構造で安定的にサポートすることが可能なキャンド構造の回転電機を提供することができる。
【0020】
本発明は、キャンド構造の回転電機のキャン外周とスロットクサビとの間に磁性クサビを配置した構成なので、スロット開口部の開口幅が大きいモータのギャップにおけるカーター氏係数を小さくすることができるので、実効的なギャップ長を小さくし、励磁電流を低減した、キャンド構造の回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るキャンド構造の回転電機の一例としてノーシールポンプと該ポンプを駆動するキャンド構造の誘導電動機からなるポンプモータの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図3】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図4】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図5】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図6】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図7】本発明に係るポンプモータの羽根車側のフレーム側板、補強環部、キャン、固定子等の一部の断面構成を示す図である。
【図8】本発明に係るポンプモータのモータ部の固定子鉄心の一部の横断面図である。
【図9】本発明に係るポンプモータのモータ部の固定子鉄心のスロット部の断面図である。
【図10】本発明に係るポンプモータの冷却システム及び圧力均衡システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態例について、詳細に説明する。なお、本実施形態例では、回転電機として誘導電動機を例に説明するが、本発明に係る回転電機はこれに限定されるものではない。図1は本発明に係るキャンド構造の回転電機の一例としてノーシールポンプと該ポンプを駆動するキャンド構造の誘導電動機からなるポンプモータの概略構成を示す縦断面図である。図示するように、本ポンプモータは、ポンプ部Pとモータ部Mから構成されている。ポンプ部Pはノーシールポンプであり、吸込口2、吐出口3を具備するポンプケーシング1を備え、該ポンプケーシング1内に主軸6の端部に固定された羽根車5が配置されている。ポンプケーシング1は羽根車側ブラケット7に装着されている。なお、主軸6は上下に配置された軸受16、16にて回転自在に支持されている。
【0023】
モータ部Mは誘導電動機であり、モータフレーム10の円筒状のフレーム本体11内に挿入固定されたモータ固定子17を備え、該モータ固定子17内に主軸6の中央部に固定されたモータ回転子20が配置されている。フレーム本体11の両端部は羽根車側のフレーム側板12と反羽根車側のフレーム側板13に装着されている。フレーム側板12はポンプ部Pの羽根車側ブラケット7に固定されている。フレーム側板12には補強環部18が一体的に設けられ、該補強環部18の端部はモータ固定子17の固定子鉄心17aの羽根車側端面近傍まで延びている。また、フレーム側板13には補強環部19が一体的に設けられ、該補強環部19の端部はモータ固定子17の固定子鉄心17aの反羽根車側端面近傍まで延びている。
【0024】
21は後に詳述するように、繊維強化プラスチックの単層からなる円筒状のキャン、又は繊維強化プラスチックからなる第1層と該第1層の内面に配置された薄厚金属板又はセラミック蒸着層又は金属蒸着層からなる第2層とで構成される円筒状のキャンである。該キャン21の外周面はモータ固定子17の固定子鉄心17a、補強環部18、補強環部19、フレーム側板12、及びフレーム側板13の内周面に密接し、フレーム側板12及びフレーム側板13との間に羽根車側のOリング22及び反羽根車側のOリング23を介在させてモータ固定子17が配置された固定子室14を密封状態にしている。また、円筒状のキャン21で囲まれた空間はモータ回転子20が配置回転する回転子室15となっている。
【0025】
上記構成のポンプモータにおいて、モータ部Mの固定子巻線17bに電源装置のインバータ(図示せず)から所定周波数、所定電圧の3相電力を供給することにより、回転磁界が発生し、モータ回転子20が回転する。これにより主軸6に固定された羽根車5が回転し、ポンプケーシング1の吸込口2から吸込まれたポンプ作動液は吐出口3から吐出される。このときポンプ部Pはノーシールポンプであるから、回転子室15内はポンプ作動液で満たされ、該作動液はモータ回転子20により攪拌され、キャン21の内周面にはモータ回転子20の周速と略同じ流速のポンプ作動液が流れると共に、ポンプ作動液の圧力が加わる。
【0026】
図2は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。図示するように、キャン21はFRP(繊維強化プラスチック)からなる単層のキャンである。ここでキャン21を構成する材料としては、高い耐熱性、機械的強度を持つPEEK(ポリエーテル・エーテルケトン)及びPI(ポリイミド)樹脂を使用する。更に、機械的な強度を高めるためガラス、アラミドの長繊維等、高強度を有する強化繊維を樹脂中に配して強化したFRPを使用している。このように、キャン21をPEEK又はPIの樹脂をカーボン、ガラス、アラミドのいずれかの長繊維で強化したFRPとし、キャン21がモータ固定子17の固定子鉄心17aで補強されない部分(固定子巻線17bや結線部(図示せず)が配置されている固定子室14)は、PEEK又はPIにカーボン繊維を配し強化したFRPを使用した補強環部18をキャン21の外周面に接して配置し、機械的強度を付与している。
【0027】
キャン21のFRP層を形成する樹脂に樹脂成形工程中に真空引き及び加圧加熱硬化によってボイドの少ない緻密な組織を作りやすい熱硬化型のPI樹脂を用いれば、気密性・止水の高いキャンを構成できる。アラミド樹脂からなる繊維で強化した単層のFRPからなるキャン21は円周方向の引っ張り強度はステンレス鋼などの金属材料と比較し同等〜3倍程度となる。キャン21内の取扱液の圧力が高い条件で、キャン21の構造強度が不足する場合には、補強環部18にステンレス鋼の5倍〜10倍の引っ張り強度を有するカーボン繊維で強化したカーボンFRPを使用する。これにより、モータ固定子17の固定子鉄心17aで補強されない部分の構造強度を付与することができ、対応するキャン内圧の範囲を拡大させることが可能となる。
【0028】
キャン21の構成材料に構造強度の高いPEEK又はPIの樹脂にカーボン長繊維を配して強化したFRPを使用した場合、キャン21は十分な強度を有しているため強度を補強するための補強環部18などの補強構造を必要としない。特にキャン21のFRP層を形成する樹脂に樹脂層形成工程中に真空引き及び加圧加熱硬化によって樹脂層中にボイドが少ない緻密な組織を作りやすい加熱硬化型のPI樹脂を用いれば、気密性及び止水性の高いキャン21を構成することができる。
【0029】
この場合、樹脂層中に導電性のあるカーボン繊維を配したFRPとしているため、キャン損(渦電流損)が発生するが、カーボン繊維を配したFRPの体積抵抗率はステンレス鋼等と比較し100倍程の値であるため、下記(1)式に示す通り、キャンが一定の厚みであれば、キャン損はステンレス鋼等に対して1/100と大幅に低減できることは明らかである。
【0030】
C=15.5・Dil3・Lg・t・Bg2・NS2・10-16・KS/ρ (1)
ここでWC:キャン損(W)、Dil:固定子鉄心(コア)内径(cm)、Lg:固定子鉄心長(cm)、t:キャン厚さ(cm)、Bg:空隙部の最大磁束密度(T)、NS:同期速度(r/sec)、ρ:キャン材比抵抗(Ω・cm)、KS:鉄心長Lgと極ピッチτの比によって決る損失減少係数、τ:極ピッチ(πDil/P)(cm)、P:モータ極数
【0031】
図3は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。図示するように、キャン21は第1層21aと第2層21bとからなる2層構造のキャンである。第1層21aの構成材料には図2の単層のキャン21の構成材料と同様、構造強度の高いPEEK又はPI樹脂にカーボン長繊維を配して強化したFRP、又はPEEK又はPI樹脂にガラス、アラミド樹脂からなる長繊維を配して強化したFRPを使用している。
【0032】
また、第2層21bは第1層21aの内周面にPVDによる金属(ステンレス鋼、高ニッケル合金、窒化チタン)材料を蒸着したPVD金属皮膜、又は第1層21aの内周面に密接させて配置した薄厚金属板である。このように第1層21aの内周面にPVD金属皮膜又は薄厚金属板を密接させて設けることにより、より高い気密度の確保と、キャン内のポンプ作動液の液流が耐摩耗性の第2層21bの内周面に接することになり、キャン21内周面のポンプ作動液の液流による磨耗(エロージョン)を防止できる。なお、気密度の確保、エロージョンを防止としては、第1層21aの内周面にPVDによるSiO2材を蒸着したセラミック蒸着層でも有効である。
【0033】
上記のようにキャン21をFRPからなる第1層21aの内周面にPVD金属膜を形成するか又は第1層21aの内周面に薄厚金属板を密接して配置して第2層21bを設けることにより、該第2層21bにキャン損(渦電流損)が発生する。しかしながら、PVD金属膜の厚さを数μ〜数十μ、薄厚金属板の厚さを0.05mm〜0.1mmとすれば、一般的に用いられる金属キャンの厚み0.2mm〜0.5mmのキャン損に対して、PVD金属皮膜にて1/100〜1/4、薄厚金属板にて1/10〜1/2のキャン損となることは上記(1)式から説明できる。
【0034】
本PVD金属皮膜又は薄厚金属板は非常に薄い層となり構造強度は低いが、第1層21aは上記のように、構造強度の高いPEEK又はPIの樹脂にカーボン長繊維を配したFRP、又はPEEK又はPIの樹脂にガラス、アラミド樹脂のいずれか長繊維を配したFRPであるから、第2層21bであるPVD金属膜又は薄厚金属板は安定保持される。
【0035】
上記のようにキャン21の第1層21aをPEEK又はびPIの樹脂をカーボン、ガラス、アラミドからなる長繊維で強化したFRPとすることにより、該第1層21aの渦電流損は0となる。キャン21がモータ固定子17の固定子鉄心17aで補強されない部分(固定子巻線17bや結線部(図示せず)が配置されている固定子室14)は、PEEK又はPIにカーボン繊維で強化したFRPを使用した補強環部18をキャン21の外周面に接して配置し、機械的強度を付与している。
【0036】
キャン21の第1層21aを形成する樹脂に熱硬化型のPI樹脂を用い、樹脂成形工程中に真空引き及び加圧加熱硬化によってボイドの少ない緻密な組織とすれば、気密性・止水の高い第1層21aを構成できる。アラミド樹脂からなる繊維で強化したFRPからなる第1層21aは円周方向の引っ張り強度はステンレス鋼などの金属材料と比較し同等〜3倍程度となる。キャン21内のポンプ作動液の圧力が高い条件で、キャン21の構造強度が不足する場合には、補強環部18にステンレス鋼の5倍〜10倍の引っ張り強度を有するカーボンFRPを使用する。これにより、モータ固定子17の固定子鉄心17aで補強されない部分の構造強度を付与することができ、対応するキャン内圧の範囲を拡大することが可能となる。
【0037】
図4は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。図示するように、ここではキャン21に厚さ0.1mmの円筒状の薄板金属キャン21cを用いている。該薄板金属キャン21cの外周面が固定子鉄心17aの内周面、補強環部18の内周面に密接して固定されている。固定子鉄心17aは図8に示すように、スロット30の開口部がPEEK又はPIにカーボン、アラミド、ガラスのいずれかの短繊維で強化されたFRPよりなるスロットクサビ31が埋め込まれ、このスロットクサビ31によって固定子鉄心17aの内周面Aは凹凸の無い円筒状に形成されている。なお、図8において、キャン21を第1層21aと第2層21bとからなる2層構造のキャン21を示しているが、図2、図4に示すキャン21でも、スロットクサビ31によって固定子鉄心17aの内周面Aは凹凸の無い円筒状に形成されている点は、他の図2及び図4に示すキャン21でも同様である。
【0038】
薄板金属キャン21cの外周面は上記凹凸の無い固定子鉄心17aの内周面Aに密着して配置され、円筒状に形成されている。薄板金属キャン21cの内圧によるキャンへの応力は固定子鉄心17aの内周面Aが受け、薄板金属キャン21cを保持する構造となっている。薄板金属キャン21cの外周面が固定子鉄心17aの内周面Aに密着しない部分(固定子巻線17bの終端部や結線部が収納されていない固定子室14)は円筒状に形成された補強環部18の内周面に密着して保持されている。この補強環部18はPEEK又はPIにカーボン繊維を配して強化したFRPで構成され、内周面が固定子鉄心17aの内周面との間に段差が無く連続した円筒状となっており、薄板金属キャン21cはこの固定子鉄心17aの内周面と補強環部18の内周面で保持されている。
【0039】
上記構造を採用することにより、キャン21のキャン損は一般的な厚み(0.2〜0.5mm)を持つキャンに比較し、1/5〜1/2に低減される。また、金属キャンの持つ優れた機密性・止水性、耐摩耗性を発揮できる。
【0040】
上記補強環部18を構成する材料にカーボンFRPを使用することにより、カーボンFRPは一般金属材料に比較して5倍〜10倍の引っ張り強度を有するから、補強環部18を金属で形成した場合に比較し、1/10〜1/5の厚みとすることができる。
【0041】
厚みの低減された上記カーボンFRPを用いた補強環部18、19(図1参照)を固定子鉄心17aの両端に配置することによって、補強環部18、19が固定子鉄心17aの径方向に占有する面積が大幅に小さくなり、固定子17のスロット30に挿入される固定子巻線17b、17bの位置を固定子鉄心17aの外周側に移動させる量が少なくなって固定子鉄心17aの大型化を回避できる。また、この固定子巻線17b、17bの挿入位置が固定子鉄心17aの外周側に移動する距離が大きい程、スロット30の形状が径方向に細長い形状とすることが余儀なくされ、固定子巻線17b、17bの存在する空間部分が増えることにより、漏れ磁束が増大してモータ部Mの最大トルクが低減するため、所要のトルクを得るためにモータ部Mの体格が増大する。補強環部18が薄肉化することにより、補強環部18を挿入によるモータ部Mの体格の大型化を回避できる。
【0042】
固定子鉄心17aのスロット30に固定子巻線17b、17bを納めた後にこの固定子巻線17b、17bをスロット30に固定する絶縁スペーサ32をスロット30に設けた溝部37に挿入すると共に、スロットクサビ31を挿入して、スロット30の開口部を塞ぎ、スロットクサビ31の内周面は固定子鉄心17aの内周面Aに段差が生じない形状となるように形成する。スロットクサビ31は固定子17の内径に配置されたキャン21が回転子室15の内圧や熱変形、その他の応力によって固定子17の内周面に押し付けられた際、スロット30の開口部エッジによるキャン21の損傷を防止すると共にキャン21が外径方向に変形しようとする力を受けて、これを支持するための構造体として機能する。
【0043】
スロットクサビ31の形状は固定子鉄心17aの円筒状内周面Aになる部分が該内周面Aと連続した円筒状内周面となるよう1辺を円弧状に形成し、該円弧を挟んだ両側には、該スロットクサビ31をスロット30に納めたときの嵌め合いのため、図8に示すように支持部31aを設け、この支持部31aがスロット30の内面に設けたクサビ挿入部36に嵌め合いされ、キャン21からの力を受ける構造となる。スロットクサビ31の形状は、固定子鉄心17aの内周面Aとは反対側の辺31bをアーチ型に形成することにより強度を低下させることなく、樹脂量の軽減、軽量化を図ることができる。なお、上部スペーサ33、中間スペーサ34、下部スペーサ35は、絶縁スペーサ32のみで、固定子巻線17を十分に固定できない場合、適宜、挿入する。
【0044】
上記スロットクサビ31の内周面とキャン21の外周面との間に磁性クサビ38を配置した例を図9(a)に示す。大型モータや高電圧モータでは、スロット30の固定子巻線の挿入部幅と開口幅がほとんど同一の幅となる設計仕様がある。更に、本発明のように、スロットクサビ31を挿入する場合、スロット30はスロットクサビ31を配置しない設計仕様に対して、モータ固定子17の外径側に深い形状とする必要がある。このため、機械的ギャップ寸法を基に磁気回路計算に用いるギャップ寸法を算出するためのカーター氏係数が大きくなる傾向にある。更に、開口幅が大きく、開口部間の幅(以下:固定子歯部幅)は小さくなるため、ギャップ部分における磁束の分布の脈動が大きく、空間高調波の影響が大きくなる。そこで、スロットクサビ31の固定子鉄心17aの内周面A側の面とキャン21の外周面との間に磁性クサビ38を配置し、ギャップ近傍の磁路を改善する。これによりカーター氏係数を小さくし、磁気回路計算に用いるギャップ寸法を小さくすることによって、励磁電流を低減することができる。また、磁性クサビ38にも磁束を通し、固定子歯部に磁束が集中することを緩和して空間的な高調波磁束を低減することが可能である。その結果、固定子歯部脈動による損失(回転子表面損、回転子歯鉄損など)を低減することができる。また、図9(b)のようにスロットクサビ31に予め埋め込んでおいてもよい。
【0045】
図5は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。ここでは、キャン21の第1層21aの材料には図3及び図4と同様、構造強度の高いPEEK又はPIの樹脂にカーボン長繊維を配して強化たFRP、又はPEEK又はPIの樹脂にガラス、アラミドのいずれか長繊維を配したFRPを使用している。該第1層21aの長手方向の端面に円筒状の金属リング24を接着して設けている。該金属リング24はその内周面及び外周面がそれぞれ第1層21aの内周面及び外周面に段差が無い連続した面となるように形成されている。
【0046】
第2層21bは接合されて一体となった金属リング24と第1層21aの外周面に形成された金属蒸着層又は該外周面に密着して設けられた薄厚金属板である。このように金属リング24と第1層21aが一体に接合された接合体の外周面を金属蒸着層又は薄厚金属板でおおった構造のキャン21の場合も、気密性・止水性の高いキャン構造となる。キャン21の金属リング24の外周面と羽根車側のフレーム側板12の外周面の間にOリング22を介在させてシールし、ポンプ作動液が固定子室14内に侵入するのを防止する。また、第1層21aと金属リング24の接合部外周も金属蒸着層又は薄厚金属板の第2層21bで覆っているから、気密性・止水性は維持されるが、万が一接合部外周を覆う金属蒸着層又は薄厚金属板からなる第2層21bに亀裂等が入って気密性・止水性が低下する場合の対策として、補強環部18の外周面とキャン21の内周面との間にもOリング22を介在させ、2重にポンプ作動液が固定子室14内に侵入するのを防止している。
【0047】
金属リング24は、第1層21aが強化繊維が横巻きされた円筒状繊維束に加熱硬化樹脂が真空含浸、加熱硬化されFRPキャンとして形成される際に、同時に加熱硬化樹脂を接着剤として第1層21aに接着して、金属リング24と第1層21aを一体としてもよい。
【0048】
図6は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。ここでは、キャン21の第1層21aの材料には図3、図4、図5と同様、構造強度の高いPEEK又はPIの樹脂にカーボン長繊維を配して強化したFRP、又はPEEK又はPIの樹脂にガラス、アラミドのいずれかの長繊維を配して強化したFRPを使用している。該第1層21aの内周面と長手方向端面と該端面近傍の外周面に金属蒸着からなる第2層21bを形成している。そしてキャン21の第2層21bが形成された内面と羽根車側フレーム側板12の内周面との間にOリング22を介在シールし、更に、補強環部18の内周面とキャン21の第2層21bが形成されない内面(第1層21aの内面)との間にOリング22を介在させて図5と同様、2重のシールをしている。
【0049】
図7は上記構成のポンプモータの羽根車側のフレーム側板12及び補強環部18とキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示す図である。ここでは、補強環部18を羽根車側のフレーム側板12とは別の円筒状の部材とし、その長手方向端面に嵌合突起部18aを設け、該嵌合突起部18aをフレーム側板12の内側面に形成された嵌合溝12aに嵌合させることにより、補強環部18をフレーム側板12に固定している。キャン21の第1層21aの材料には図3、図4、図5及び図6と同様、構造強度の高いPEEK又はPIの樹脂にカーボン長繊維を配して強化したFRP、又はPEEK又はPIの樹脂にガラス、アラミドのいずれかの長繊維を配して強化したFRPを使用している。該第1層21aの外周面には金属蒸着層又はセラミック蒸着層又は薄厚金属板による第2層21bを形成している。
【0050】
上記フレーム側板12とは別部材の補強環部18を構成する材料にカーボンFRPを使用することにより、カーボンFRPは一般金属材料に比較して5倍〜10倍の引っ張り強度を有するから、補強環部18を金属で形成した場合に比較し、1/10〜1/5の厚みとすることができる。
【0051】
厚みの低減された上記カーボンFRPを用いた補強環部18を固定子鉄心17aの両端に配置することによって、補強環部18が固定子鉄心17aの径方向に占有する面積が大幅に小さくなり、上記と同様、固定子17のスロット30に挿入される固定子巻線17b、17b(図8参照)の位置を固定子鉄心17aの外周側に移動させる量が少なくなって固定子鉄心17aの大型化を回避できる。
【0052】
なお、図2乃至図7においては、ポンプモータの羽根車側のフレーム側板12と補強環部18、及びキャン21と固定子17とフレーム本体11の一部の断面構成を示したが、反羽根車側のフレーム側板13、補強環部19、キャン21、固定子17、フレーム本体11も同じ構成であるので、その図示と説明は省略する。
【0053】
なお、図2乃至図7に示す実施形態例では、キャン21の羽根車側の端面を軸方向に自由端として、キャン21の熱による長手方向の膨張収縮を吸収するようにしたが、キャン21の熱による長手方向の膨張収縮の吸収はこれに限定されるものではなく、図示は省略するが、例えばキャン21の長手方向両端部に金属ベーローズを密着して設け、該金属ベーローズの膨張収縮により吸収する等、種々の膨張収縮機構を設けることが可能である。
【0054】
上記ノーシールポンプと該ポンプを駆動するキャンド構造の誘導電動機において、固定子室14内で発生する固定子銅損、鉄損、キャン損を効率よく冷却する必要がある。図10は冷却システムの概略構成を示す図である。固定子室14内に外部より、空気、窒素ガス、ヘリウムガス、水素ガスを強制冷却ガスとして圧縮ポンプ25にて循環させ、固定子鉄心17a内や固定子鉄心17aの外周部に軸方向に貫通して設けられた冷却溝にこれらの冷却ガスが通過させ損失熱を冷却する。また、キャン21の損失は固定子鉄心17aを介して上記冷却ガスにより冷却が為される。更にこの冷却ガスは外部の熱交換器26によって冷却される。なお、ここでは冷却媒体として冷却ガスを説明したが冷却媒体はガスに限定されるものではなく、冷却液でもよい。
【0055】
上記冷却システムにより、固定子室14内の損失が冷却される一方で、固定子室14内の冷却ガス圧力と回転子室15のポンプ作動液の流体圧力の圧力バランスを検出するために圧力容器27を設け、該圧力容器27内に固定子室14内の冷却ガス圧と回転子室15内の流体圧を引き込み、更にこの圧力容器27には固定子室14の冷却に使用されているガスを使用して圧縮機28により、固定子室14内のガス圧を調整できる機構を備えている。圧力容器27内で固定子室14のガス圧と回転子室15内の流体圧力が均衡するように(仕切弁27aがバランス点27bに位置するように)、圧縮機28を用いて圧力制御を行うことにより、固定子室14内、即ちキャン21内外の圧力均衡を保つことが可能となる。固定子室14内で発生する損失熱をガス冷却しながら、キャン21内外の圧力を上記の機構を用いて均衡を図ることによって下記(a)〜(c)の作用効果が期待できる。
【0056】
(a)キャン21内外の圧力が均衡するため、過渡状態を除いて流回転子室15内の流体圧力によってキャン21に働く定常的な円周方向応力がなくなるために、キャン21の破損防止、キャン21の気密・止水機能や機械的寿命が飛躍的に増加することが期待できる。
【0057】
(b)上記キャン21内外の圧力均衡を保つため、固定子室14内の圧力が高くなるので、冷却ガスの冷却効率が上昇する作用効果が得られる。また、固定子室14で発生する各種損失(固定子銅損、鉄損、キャン損)を固定子17に設けた冷却溝(図示せず)に冷却ガスを通過させることにより、効率のよい直接冷却が可能となり、モータ部Mの大型化を防ぐことが可能となる。
【0058】
(c)固定子室14の圧力が高くなることにより、高電圧巻線のコロナ放電開始電圧が引き上げられ、コロナ放電の抑制とコロナ放電発生に伴う絶縁組織の劣化の軽減が期待できる。
【0059】
キャン21の第1層21aや補強環部18、19等のFRP部品は内側に配置された薄厚金属キャンの損失熱の影響により、熱膨張する。一般に樹脂の千膨張係数は金属材料に比較して大きいため、薄厚金属キャンと緩衝層のFRP及び金属補強構造部品と緩衝層のFRPの軸方向の線膨張差によって緩衝層が摩擦を受けて損傷したり、薄厚金属キャンに機械的ストレスが生じて損傷・破壊する可能性がある。このため、緩衝層のFRPに使用する強化繊維を以下の方法により、樹脂中に配し、FRPの軸方向の千膨張係数を薄厚金属キャン及び金属補強構造部と同等、又は近づけることによって、熱膨張差を無くし、ダメージを回避できる。
【0060】
FRPの線膨張係数は使用する強化繊維の線膨張係数や繊維が配置されている方向が支配的要因となって決定される。例えばカーボン繊維を一方向に配置したFRPにおいては繊維方向の膨張係数はおよそ5×10-6(1/℃,0−100℃)、繊維と直角の方向においては、40×10-6(1/℃,0−100℃)と方向によって大幅な差を生じる。このため、繊維を配する方向を適切に設定することによって薄厚金属キャンや金属補強構造部品の線膨張係数11〜19×10-6(1/℃,0−100℃)に近づけることが可能である。
【0061】
筒状FRP構造部材に対して強化繊維を横巻きにする場合、強化繊維を軸方向に対して一定の角度θのロービング角度で強化繊維を螺旋状に巻回し、この角度θを調整することにより、この筒状FRP構造部材の軸方向に必要な膨張係数を調整することができる。軸方向の線膨張係数は概ね下記(2)式によって決定される。
ta=A×cosθ+B×sinθ (2)
ta:軸方向の線膨張係数、A:FRPの繊維方向の線膨張係数(1/℃)、B:FRPの繊維と直角の方向の線膨張係数(1/℃)、θ:巻回する繊維の方向と軸方向の成す角度(rad)
【0062】
また、強化繊維密度を調整したり、繊維太さを調整することによって筒状FRP構造部材の線膨張係数も調整することが可能である。
【0063】
更に、前述したスロットクサビ31は、固定子鉄心17aの内周面Aとは反対側の辺31bをアーチ型に形成しているので、この辺と絶縁スペーサ32との間には固定子鉄心17aの積層方向に連通した空間39を形成することができる。従って、この空間39を強制冷却ガスの流路として用いることにより、効率のよい直接冷却が可能となる。
【0064】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、キャンド構造の回転電機のキャンを繊維強化プラスチックからなる第1層と、該第1層の内面に配置された金属蒸着層又はセラミック蒸着層又は薄厚金属板とからなる第2層とで構成し、第1層の繊維強化プラスチック層をポリエーテル・エーテルケトン又はポリイミド樹脂にカーボン繊維又はガラス繊維又はアラミド繊維を配して強化した繊維強化プラスチック層とするので、流体摩擦損低減、耐圧性、耐熱性、及び耐放射線性に優れ、且つキャンによる渦電流損がゼロ又は極めて小さく、更に耐エロージョン性に優れたキャンド構造の回転電機を提供するのに利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ポンプケーシング
2 吸込口
3 吐出口
5 羽根車
6 主軸
10 モータフレーム
11 フレーム本体
12 羽根車側のフレーム側板
13 反羽根車側のフレーム側板
14 固定子室
15 回転子室
16 軸受
17 モータ固定子
18 補強環部
19 補強環部
20 モータ回転子
21 キャン
22 羽根車側のOリング
23 反羽根車側のOリング
24 金属リング
25 圧縮ポンプ
26 熱交換器
27 圧力容器
28 圧縮機
30 スロット
31 スロットクサビ
32 絶縁スペーサ
33 上部スペーサ
34 中間スペーサ
35 下部スペーサ
36 クサビ挿入部
37 溝部
38 磁性クサビ
39 空間
P ポンプ部
M モータ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状フレーム内に、スロット部に固定子巻線を装填した固定子鉄心を挿入固定し、前記固定子巻線及び前記固定子鉄心をキャンで包囲し、前記キャンで囲まれた空間に回転自在にロータを配置したキャンド構造の回転電機において、
前記スロット部の開口部分に、前記キャン外周に密着するスロットクサビを配置し、
前記スロットクサビは、固定子鉄心の内周面とは反対側の辺に切欠き部を有すること、
を特徴とするキャンド構造の回転電機。
【請求項2】
請求項1記載のキャンド構造の回転電機において、
前記スロットクサビの前記切欠き部の形状は、アーチ型であること、
を特徴とするキャンド構造の回転電機。
【請求項3】
請求項1又は2記載のキャンド構造の回転電機において、
前記スロットクサビは、マシナブルセラミックスにて構成されること、
を特徴とするキャンド構造の回転電機。
【請求項4】
請求項1又は2記載のキャンド構造の回転電機において、
前記スロットクサビは、繊維強化プラスティックにて構成されること、
を特徴とするキャンド構造の回転電機。
【請求項5】
請求項1のキャンド構造の回転電機において、
前記キャン外周と前記スロットクサビとの間に、磁性クサビを配置したこと、
を特徴とするキャンド構造の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−213272(P2012−213272A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77555(P2011−77555)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ノンシール
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】