説明

クラゲ除去方法及び装置

【課題】水面を浮遊するクラゲを魚と分離して、クラゲのみを効率よく吸引、破砕し、除去することができるクラゲの除去方法を提供する。
【解決手段】クラゲ8が浮遊する領域の水面に吸引破砕ポンプ16を取り付けたフロート15を浮かべておく。フロート15から離れた箇所から吸引破砕ポンプ16の吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせ、水流をさかのぼる魚9の習性を利用して、魚9をポンプ16の吸込み口から離れた水流の上流側に誘導しつつ、水面付近を浮遊するクラゲ8を水流によりポンプ16の吸込み口に向けて移動させ、ポンプ16の吸込み口に達したクラゲをポンプ16により吸引、破砕して送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面に浮遊している多量のクラゲが漁業の作業の妨げになったり、海水を冷却水として取り入れている発電所などの施設の運転の障害になったり、海水浴客に危害を加えたりする場合に、そのクラゲを除去する方法及び当該方法を実施するために用いるクラゲ除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
定置網漁法においては、1回の漁で網の中に数十トン以上のクラゲが入り込むことが珍しくない。そのまま網起し作業を行なうと、魚の重量にクラゲの重量が加わって、網が破損してしまう。また定置網の中にクラゲが侵入していると、クラゲの毒手により魚が傷つけられてその鮮度が損なわれることがあるため、定置網の中に入っているクラゲは、網起し作業を行う前に除去する必要がある。数十トン以上のクラゲを除去する作業を人手のみに頼った場合には、数時間の作業時間が必要になり、漁業の作業能率を大幅に低下させる。
【0003】
また原子力発電所や火力発電所では、海水を冷却水として取り入れているが、取水口にクラゲが流入すると、取水が妨げられて発電が停止する事態が生じるおそれがある。
【0004】
発電所の取水口にクラゲが流入するのを防ぐ技術としては、特許文献1に示されているように、取水口の前方に網を配置するとともに、クラゲを取水口から遠ざかる方向に誘導する水流を生じさせるようにしたものなど、多数の技術が提案されている。
【0005】
定置網の入口にクラゲの侵入を阻止する網を配置すると肝心の魚も網に入らなくなるため、特許文献1に示されたような方法を定置網に対して適用することはできない。
【0006】
そこで、非特許文献1に示されたように、定置網内の底部に気泡発生装置を沈めて、この気泡発生装置により発生させた気泡の上昇力でクラゲを水面まで上昇させ、水面まで上昇したクラゲを吸引破砕ポンプにより吸引、破砕して網の外部に排出する方法が提案されている。
【0007】
非特許文献1に示されたクラゲ除去方法においは、吸引破砕ポンプとして、エンジンにより駆動されるポンプを用いて、このポンプを吸引ホースの先端に取り付けている。
【特許文献1】特開平2−35109号公報
【非特許文献1】有限会社スリーラックのホームページ「クラゲ除去システム」(http://www.hsc.or.jp/kigyo/threelack/kurage/kurage.htm)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に示された方法では、定置網の底部に気泡発生装置を沈めて固定する必要があるため、クラゲの除去を行う際の準備作業が面倒になるのを避けられない。また定置網内の各所にいるクラゲを気泡により上昇させて除去するためには、定置網内の全域に亘って上昇する気泡を発生させる必要があるため、定置網の底部に気泡発生装置を何台も設置したり、水中で気泡発生装置を移動させたりする必要があり、面倒である。
【0009】
また非特許文献1に示された方法では、浮上したクラゲを吸引するポンプを駆動するエンジンの他に気泡発生装置に空気を送るポンプを駆動する駆動源(通常はエンジン)を設ける必要があるため、クラゲ除去装置のコストが高くなるのを避けられない。
【0010】
更に非特許文献1に示された方法では、浮上したクラゲを吸引するポンプをエンジンにより駆動しているため、ポンプにエンジンを搭載しておくことが必要になり、万一吸引破砕ポンプが転倒した場合にはエンジンに浸水してエンジンが停止し、クラゲの除去作業を続けることができなくなるおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、水面を浮遊するクラゲを魚と分離して、クラゲのみを効率よく吸引、破砕し、除去することができるクラゲの除去方法を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的は、水面を浮遊するクラゲを魚と分離して、クラゲのみを効率よく吸引、破砕し、除去することができるクラゲ除去装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、装置の構成を複雑にすることなく、また面倒な前準備作業を行うことなく、クラゲを除去することができるクラゲ除去装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、吸引破砕ポンプが転倒した場合でも作業を容易に再開することができるようにしたクラゲ除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、クラゲを水とともに吸引して破砕し、送出する吸引破砕ポンプの吸込み口を水面付近に配置し、水面付近を浮遊するクラゲをポンプにより吸引、破砕した後送出、搬送して除去するクラゲ除去方法に係わるものである。
【0016】
本発明においては、水面下に吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を生じさせ、水流をさかのぼる魚の習性を利用して魚をポンプの吸込み口から離れた水流の上流側に誘導しつつ、水面付近を浮遊するクラゲを水流によりポンプの吸込み口に向けて移動させて、ポンプにより吸引、破砕して送出する。
【0017】
上記のように、クラゲが浮遊している領域で、吸引破砕ポンプの吸込み口を水面付近に配置しておいて、吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせると、魚はその習性により水流をさかのぼって吸引破砕ポンプの吸込み口から遠ざかる方向に移動する。これに対し、水面付近を浮遊しているクラゲは、水の流れに乗って吸引破砕ポンプの吸込み口に近づくため、その吸込み口から吸い込まれて破砕され、廃棄場所に向けて送出される。
【0018】
このように、本発明の方法では、水流をさかのぼるという魚の習性を利用して、クラゲと魚とを分離するため、魚を犠牲にすることなく、クラゲのみを吸引、破砕して除去することができる。
【0019】
本発明はまた、水面付近を浮遊するクラゲを除去するクラゲ除去装置に適用される。
本発明に係わるクラゲ除去装置は、水面付近に吸込み口を有して、水面付近を浮遊するクラゲを水とともに吸引して破砕し、送出する吸引破砕ポンプと、吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせる水流発生装置とを備えたことを特徴としている。
【0020】
上記のように構成すると、水流をさかのぼるという魚の習性を利用して、クラゲと魚とを分離してクラゲのみを吸引、破砕することができるため、魚を犠牲にすることなく、クラゲを除去することができる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、クラゲ除去装置が、クラゲを吸引する場所で水面に浮かべて配置されるポンプ搭載用フロートと、ポンプ搭載用フロートが水面に浮かべられた際に吸込み口が下方を向いて水中に没するようにしてポンプ搭載用フロートに搭載されて、回転駆動された際に水面付近を浮遊するクラゲを水とともに吸い込んで破砕し、送出する吸引破砕ポンプと、吸引破砕ポンプとともにポンプ搭載用フロートに搭載されて前記吸引破砕ポンプを駆動するタービンと、船上または地上に設置されてエンジンにより駆動される送水ポンプと、該送水ポンプの吐出口を前記タービンの入水ポートに接続する送水管とを備えて、タービンの回転軸を回転させるためにタービンに加圧された水を供給する送水装置と、ポンプ搭載用フロートから離れた場所で水面に浮かべて配置されるノズル搭載用フロートと、入水口と該入水口から流入した水を噴出させる複数のノズルとを備えて、ノズル搭載用フロートが水面に浮かべられた際に複数のノズルが水中に没するようにしてノズル搭載用フロートに搭載されたノズルユニットと、タービンの排水ポートとノズルユニットの入水口とを接続する接続管と、吸引破砕ポンプの排出口に一端が接続され、他端が破砕されたクラゲの廃棄場所に開口させられる排出管とを備えており、ノズル搭載用フロート側からポンプ搭載用フロート側に向かう水流を水面下に生じさせるように、ノズルユニットの複数のノズルのそれぞれの向きが設定される。
【0022】
上記送水管、接続管及び排出管としては、ゴム、ゴム引き布、コード入りゴム、樹脂、樹脂引き布などからなる可撓性を有するホースを用いるのが好ましい。排出管としては、破砕されたクラゲを支障なく通過させ得る内径を有するものを用いる。
【0023】
上記のように、送水ポンプからタービンに加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプを駆動するとともに、タービンから排出された水をノズルユニットに供給して該ノズルユニットから水を流出させることにより、吸引破砕ポンプ側に向かう水流を生じさせるようにすると、水流を生じさせるための水を噴出するポンプ及びその駆動源を特別に設けることなく、水流を生じさせてクラゲと魚とを分離し、クラゲのみを吸引、破砕して、送出することができる。
【0024】
また上記のように構成すると、吸引破砕ポンプが万一転倒したとしても、その駆動源(タービン)の機能が失われることはないため、転倒した吸引破砕ポンプを起こすだけでクラゲを除去する作業を再開することができる。
【0025】
更に、上記のように構成すると、送水ポンプを設置する作業と、送水ポンプとタービンとの間及びタービンとノズルユニットとの間をそれぞれ送水管及び接続管により接続する作業と、排出管を設置する作業と、フロートを水面に浮かべる作業とを行なうだけで準備が完了し、水中深くユニットを沈める作業を必要としないため、準備作業を簡単にして迅速にクラゲの除去作業に取りかかることができ、作業能率を向上させることができる。
【0026】
本発明の好ましい態様では、上記吸引破砕ポンプが、下方に開口した吸込み口と該吸込み口よりも上方の位置で横方向に開口した排出口とを有するポンプ室と、下端が吸込み口に臨むように設けられてポンプ室内で上下方向に伸びる回転中心軸線の周りを回転するインペラとを備えている。
【0027】
上記インペラとしては、例えば、下端から上端に向かって径が次第に大きくなっているほぼ逆円錐形のボス部と、このボス部の外周面から突出して回転中心軸線の周りを螺旋状に伸びるように設けられて螺旋状に伸びる端縁部が刃部となっている複数枚の羽とからなるものが好適である。
【0028】
本発明の好ましい態様では、上記タービンが、その羽根車の回転中心軸線を吸引破砕ポンプのインペラの回転中心軸線と一致させた状態で吸引破砕ポンプの上方に配置され、タービンの羽根車と吸引破砕ポンプのインペラとが、上下方向に伸びる共通の回転軸に取り付けられる。
【0029】
上記ノズルユニットの複数のノズルは、上下に間隔を隔てて配置された上部ノズル及び下部ノズルを含んでいることが好ましい。
【0030】
ノズルユニットの複数のノズルが、上下に間隔を隔てて配置された上部ノズル及び下部ノズルを含んでいると、上下方向に厚みを有し、層をなして流れる水流を生じさせることができるため、魚とクラゲとの分離を効果的に行なわせることができる。
【0031】
上記ポンプ搭載用フロートと、該ポンプ搭載用フロートに搭載された吸引破砕ポンプ及びタービンとによりポンプ・タービンユニットが構成され、上記ノズル搭載用フロートと該ノズル搭載用フロートに搭載されたノズルユニットとにより、水流発生装置が構成される。
【0032】
上記にように、タービンと吸引破砕ポンプとを上下に重ねて配置し、タービンの羽根車と吸引破砕ポンプのインペラとを共通の回転軸に取付けると、ポンプ・タービンユニットをコンパクトに構成することができる。
【0033】
本発明の好ましい態様では、ポンプ・タービンユニットが2台設けられて該2台のポンプ・タービンユニットが並べて配置される。水流発生装置は、2台のポンプ・タービンユニットから離れた箇所に少なくとも1台配置されて、2台のポンプ・タービンユニットのタービンからそれぞれ排出される水が異なる送水管を通して水流発生装置のノズルユニットに供給される。
【0034】
上記のように、2台のポンプ・タービンユニットを設けると、吸込み口が2箇所に設けられるため、クラゲの吸引、破砕を効率よく行なうことができる。またノズルユニットに供給する水の量を増加させることができるため、ノズルの数を増やして広範囲に亘って水流を生じさせることができる。
【0035】
本発明の好ましい態様では、水流を下方から前記吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって斜め上方に生じさせるようにノズルユニットのノズルの向きが設定される。
【0036】
上記のように、水流を下方から吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって斜め上方に生じさせると、水面よりも下方を漂っているクラゲを吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって移動させることができるため、水中にいるクラゲをも吸引、破砕して、クラゲの除去を確実に行なうことができる。
【発明の効果】
【0037】
上記のように、本発明によれば、クラゲが浮遊している領域で、吸引破砕ポンプの吸込み口を水面付近に配置しておいて、吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせることにより、水流をさかのぼる修正がある魚を吸引破砕ポンプの吸込み口から遠ざかる方向に移動させ、水面付近を浮遊しているクラゲを、水の流れに乗せて吸引破砕ポンプの吸込み口に向けて移動させることができるため、魚を犠牲にすることなく、クラゲを効率よく吸引、破砕して除去することができる。
【0038】
本発明において、送水ポンプからタービンに加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプを駆動するとともに、タービンから排出された水をノズルユニットに供給して該ノズルユニットから水を流出させることにより、吸引破砕ポンプ側に向かう水流を生じさせるようにした場合には、水流を生じさせるための水を噴出するポンプとその駆動源とを特に設けることなく水流を生じさせて、クラゲと魚とを分離し、クラゲのみを吸引、破砕して、送出することができるため、装置の構成を複雑にすることなく、クラゲの除去を行なうことができる。
【0039】
また本発明において、送水ポンプからタービンに加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプを駆動するようにした場合には、吸引破砕ポンプの近くにエンジンを配置する必要がないため、吸引破砕ポンプが転倒したときにその駆動源(タービン)の機能が失われるのを防ぐことができ、転倒した吸引破砕ポンプを起こすだけでクラゲを除去する作業を再開することができる。
【0040】
更に、本発明において、送水ポンプからタービンに加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプを駆動するようにした場合には、送水ポンプを設置する作業と、送水ポンプとタービンとの間及びタービンとノズルユニットとの間をそれぞれ送水管及び接続管により接続する作業と、排出管を設置する作業と、フロートを水面に浮かべる作業とを行なうだけで準備が完了し、水中深くユニットを沈める作業を必要としないため、準備作業を簡単にして迅速にクラゲの除去作業に取りかかることができ、作業能率を向上させることができる。
【0041】
本発明において、タービンと吸引破砕ポンプとを上下に配置して、タービンの羽根車と吸引破砕ポンプのインペラとを共通の回転軸に取付ける構成をとる場合には、ポンプ・タービンユニットをコンパクトに構成することができるため、ユニットの取り扱いを簡単にすることができる。
【0042】
本発明において、2台のポンプ・タービンユニットを設けた場合には、吸込み口が2箇所設けられるため、クラゲの吸引、破砕を効率よく行なうことができる。またノズルユニットに供給する水の量を増加させることができるため、ノズルの数を増やして広範囲に亘って水流を生じさせることができる。
【0043】
本発明において、水流を下方から吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって斜め上方に生じさせるようにした場合には、水面よりも下方を漂っているクラゲを吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって移動させることができるため、水中にいるクラゲをも吸引、破砕して、クラゲの除去を確実に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わるクラゲ除去装置の基本的な構成例を示したものである。同図において、1は定置網、2は定置網1の側方で作業を行なっている漁船、3は水面(海面)である。4は定置網内で水面に浮かべられたポンプ・タービンユニット、5は同じく定置網内で水面に浮かべられた水流発生装置、6はポンプ・タービンユニット4のタービンに加圧された水を供給する送水装置、7はポンプ・タービンユニット5のタービンの排水ポートと水流発生装置5との間を接続する接続管である。また8は定置網1内に侵入したクラゲ、9は定置網1内を遊泳する魚である。
【0045】
送水装置6は、海水を吸い上げて吐出させる送水ポンプ10と、送水ポンプ10の吐出口10bをタービン・ポンプユニット4のタービンの入水ポートに接続する送水管11とを備えていて、タービン・ポンプユニット4のタービンの回転軸を回転させるためにタービンに加圧された水を供給する。
【0046】
本実施形態では、送水ポンプ10が、渦巻きポンプと、該渦巻きポンプを駆動するエンジンとからなっている。送水ポンプ10としては、吐出圧が高いもの、例えば消防ポンプとして用いられているものと同様なものを用いるのが好ましい。送水ポンプ10の吸水口10aにはホース12の一端が接続されている。ホース12の他端にはストレーナ13が取付けられ、ストレーナ13が取付けられたホース12の端部が水中に挿入されている。送水ポンプ10と、送水管11と、ホース12とにより、ポンプ・タービンユニット5のタービンに加圧された水を供給する送水装置6が構成されている。
【0047】
ポンプ・タービンユニット4は、クラゲを吸引する場所で水面に浮かべて配置されるポンプ搭載用フロート15と、ポンプ搭載用フロート15が水面に浮かべられた際に吸込み口が下方を向いて水中に没するようにしてポンプ搭載用フロート15に搭載されて、回転駆動された際に水面付近を浮遊するクラゲを水とともに吸い込んで破砕し、送出する吸引破砕ポンプ16と、吸引破砕ポンプ16とともにポンプ搭載用フロート15に搭載されて吸引破砕ポンプ16を駆動するタービン17とからなっている。
【0048】
ポンプ搭載用フロート15は、上面及び下面の輪郭形状がほぼ正方形状を呈するように構成されていて、その中央部を厚み方向に貫通させて、ポンプを収容する縦孔15aが形成されている。フロート15には、縦孔15aの上端を塞ぐように配置されたフレーム板20が固定され、このフレーム板に吸引破砕ポンプ16とタービン17とが固定されている。
【0049】
図2に示したように、吸引破砕ポンプ21は、フレーム板20の下側の面に固定されていて、下方に開口した吸込み口22aと該吸込み口よりも上方の位置で横方向に開口した排出口22bとを有するポンプ室22と、下端が吸込み口22aに臨むように設けられてポンプ室22内で上下方向に伸びる回転中心軸線O−Oの周りを回転するインペラ23とを備えていて、ポンプ搭載用フロート15が水面に浮かべられた際に吸込み口22aが下方を向いて水中に没するように位置決めされている。
【0050】
図3及び図4に示したように、インペラ23は、下端から上端に向かって径が次第に大きくなっていくほぼ逆円錐形の形状に形成されて、中心軸線を回転中心軸線O−Oに一致させた状態で配置されるボス部23aと、ボス部23aの外周面から突出して回転中心軸線の周りを螺旋状に伸びるように設けられて、螺旋状に伸びる端縁部のエッジ23b1が刃部となっている複数枚の羽23bとからなっている。図示の例では、羽23bが、ボス部23aの周方向に等角度間隔をあけて3枚設けられている。吸引破砕ポンプ16の排出口22bには、排出管24の一端が接続されている。排出管24は、破砕されたクラゲを廃棄場所まで搬送するために設けられたもので、その他端は、破砕されたクラゲの廃棄場所に開口させられる。定置網内のクラゲを処理する場合、破砕されたクラゲの廃棄場所は、定置網1から離れた海中でよい。破砕されたクラゲは、魚類の餌になるので、海中に廃棄しても環境汚染などの問題は生じない。
【0051】
タービン17は、入水ポート25a及び排水ポート25bをそれぞれ側部及び上部に有してフレーム板20の上面に固定されたケーシング25と、ケーシング25内に収容された羽根車26とを備えたもので、羽根車26の回転中心軸線を吸引破砕ポンプのインペラ23の回転中心軸線O−Oに一致させた状態で配置されている。
【0052】
本実施形態では、吸引破砕ポンプ16とタービン17とに対して共通の回転軸27が設けられている。回転軸27は、吸引破砕ポンプ16のポンプ室22に固定された軸受け28と、タービンのケーシング25に固定された軸受け(図示せず。)とにより、その中心軸線を回転中心軸線O−Oに一致させた状態で回転自在に支持され、この回転軸27にインペラ23と羽根車26とが固定されている。
【0053】
ポンプ搭載用フロート15の中央部の縦孔15a内に海水が入るのを妨げないようにするため、フレーム板20には、該フレーム板を厚み方向に貫通した通気孔が適宜に設けられている。
【0054】
水流発生装置5は、ノズル搭載用フロート30と、ノズル搭載用フロート30に搭載されたノズルユニット31とからなっている。図示のノズルユニット31は、上下方向に伸びる縦管31aの上端に入水口31bを形成し、該縦管の下部に横方向に開口した上部ノズル31c及び下部ノズル31dを上下に間隔を隔てて形成したものからなっている。ノズルユニット31は、その縦管部31aがノズル搭載用フロート30に固定されたフレーム板32を貫通した状態で該フレーム板32に固定されていて、ノズル搭載用フロート30が水面に浮かべられた際にノズル31c及び31dが水中に没するように、縦管部31aの上下位置が調整されている。
【0055】
水流発生装置5は、ポンプ・タービンユニット4に向かう水流を水面下に生じさせるために設けられており、水流発生装置5からポンプ・タービンユニット4に向かって、魚9とクラゲ8とを分離するのに適した水流を生じさせるように、水面3からノズル31c,31dまでの距離と、ノズル31c、31dの指向方向と、ノズル31c、31dからの水の噴出量とが設定されている。魚9とクラゲ8とを分離するのに適した水流は、水深方向にある程度の厚みをもって(層をなして)流れるものであることが望ましい。そのため、ノズルユニット31には、上下に間隔を隔てて配置された複数のノズルが設けられている。ノズルユニット31に設けるノズルの数は、タービン17からノズルユニット31への送水能力と、生じさせる水流の規模とを勘案して適宜に設定する。
【0056】
定置網1内のクラゲを除去する際には、漁船2の甲板に設置された送水ポンプ10の吐出口10bとタービン17の入水ポート25aとの間を送水管11を介して接続し、タービン17の排水ポート25bとノズルユニット31の入水口31bとの間を接続管7を介して接続する。また吸引破砕ポンプ16の排出口22bに排出管24を接続する。これらの準備をした後、ポンプ・タービンユニット4と水流発生装置5とを定置網内の水面に浮かべ、各ユニットをロープなどで定置網の側方にいる漁船の船体に係留しておく。また排出管24をクラゲの廃棄場所まで導いておく。
【0057】
図1に示した例では、排出管24が比較的短く形成されているが、実際には十分に長く形成されて、排出したクラゲの破片が定置網1の内部に直ちに戻ることがないように、排出管の排出口が定置網から十分に離れた場所に置かれる。
【0058】
上記の準備をした後、エンジンを駆動して送水ポンプ10からタービン17に加圧された水を供給し、タービンの羽根車を回転させ、吸引破砕ポンプ16のインペラー23を、吸引力が働く方向に回転させる。またタービン17から排出された水を接続管7内を通してノズルユニット31に供給し、上部ノズル31c及び31dから水を噴出させる。これにより、水流発生装置5からポンプ・タービンユニット5側に向かう水流35,36を生じさせる。このように水流を生じさせると、魚9は、その習性により水流に逆らう(遡のぼる)方向に移動するのに対し、水面近くを漂っているクラゲ8は水流に乗って、吸引破砕ポンプ16側に流されるため、吸引破砕ポンプ16の吸込み口22aからクラゲ8が吸い込まれて破砕され、排出管24内へと送出される。破砕されたクラゲは、排出管24を通して廃棄場所まで搬送される。
【0059】
破砕されたクラゲの破片は、定置網の網目を通過する程度に細かくしておくことが好ましい。このようにクラゲの破片を細かくしておくと、万一定置網1内にクラゲの破片が再入網したとしても、網上げの際にその破片を網目を通して外部に排出することができるため、クラゲの破片が収穫した魚に混入するのを防ぐことができる。
【0060】
上記のように、本発明のクラゲ除去方法においては、クラゲ8が浮遊している領域で、吸引破砕ポンプ16の吸込み口22aを水面付近に配置しておいて、吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせることにより、水流をさかのぼる修正がある魚9を吸引破砕ポンプ16の吸込み口から遠ざかる方向に移動させ、水面付近を浮遊しているクラゲ8を、水の流れに乗って吸引破砕ポンプの吸込み口22aに向けて移動させて、クラゲを吸引、破砕するので、魚9を犠牲にすることなく、クラゲ8を効率よく吸引、破砕して除去することができる。
【0061】
また上記のように、送水ポンプ10からタービン17に加圧された水を供給することによりタービン17の回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプ16を駆動するとともに、タービン17から排出された水をノズルユニット31に供給して該ノズルユニットから水を流出させることにより、吸引破砕ポンプ16側に向かう水流を生じさせるようにクラゲ除去装置を構成すると、水流を生じさせるための水を噴出するポンプとその駆動源とを特別に設けることなく、吸引破砕ポンプに向かう水流を生じさせて、クラゲと魚とを分離し、クラゲのみを吸引、破砕して、送出することができるため、装置の構成を複雑にすることなく、クラゲの除去を行なうことができる。
【0062】
また上記の実施形態のように、送水ポンプ10からタービン17に加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプ16を駆動するようにした場合には、吸引破砕ポンプの近くにエンジンを配置する必要がないため、吸引破砕ポンプが(ポンプ・タービンユニットが)転倒したときに、その駆動源(タービン)の機能が失われるのを防ぐことができる。従って、ポンプ・タービンユニットが転倒したとしても、転倒したユニットを起こすだけでクラゲを除去する作業を再開することができる。
【0063】
上記の実施形態のように、送水ポンプ10からタービン17に加圧された水を供給することによりタービンの回転軸を回転させて、このタービンの回転により吸引破砕ポンプ16を駆動するようにすると、送水ポンプ10を設置する作業と、送水ポンプとタービン17との間及びタービン17とノズルユニット31との間をそれぞれ送水管11及び接続管7により接続する作業と、排出管24を設置する作業と、フロート15,30を水面に浮かべる作業とを行なうだけで準備が完了し、水中深くユニットを沈める作業を必要としないため、準備作業を簡単にして迅速にクラゲの除去作業に取りかかることができ、作業能率を向上させることができる。
【0064】
上記の実施形態のように、タービン17と吸引破砕ポンプ16とを上下に配置して、タービンの羽根車と吸引破砕ポンプのインペラとを共通の回転軸27に取付ける構成をとると、ポンプ・タービンユニット4をコンパクトに構成することができるため、ユニットの取り扱いを簡単にすることができる。
【0065】
上記の実施形態では、水流発生装置5からほぼ水平方向に水流を発生させているが、図5に示すように、水流35,36を下方から吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって斜め上方に生じさせるように、ノズルユニット31のノズル31c、31dの向きを設定するようにしてもよい。
【0066】
このように、水流を下方から吸引破砕ポンプ16の吸込み口22aに向かって斜め上方に生じさせるようにノズルの向きを設定しておくと、水面3よりも下方を漂っているクラゲ8を吸引破砕ポンプ16の吸込み口22aに向かって移動させることができるため、水中にいるクラゲ8をも吸引、破砕して、クラゲの除去を確実に行なうことができる。
【0067】
図6は本発明の他の実施形態を示したもので、この実施形態では、定置網1を三方から囲むように漁船2A,2B及び2Cが配置され、定置網内に2台のポンプ・タービンユニット4A及び4Bと、1台の水流発生装置5′とが浮かべられている。ポンプ・タービンユニット4A及び4Bのそれぞれは前記の実施形態で用いたポンプ・タービンユニット4と同様に、ポンプ搭載用フロート15と、吸引破砕ポンプ16とタービン17とにより構成されている。
【0068】
水流発生装置5′は、ノズル搭載用フロート30に二つのノズルユニット31A及び31Bを支持した構成を有している。図7に示したように、ノズルユニット31Aは、上端に入水口31bが設けられた縦管部31aと、縦管部と直交するように配置されて縦管部31aの下端に接続された横管部31eとを有し、横管部31eの両端に、水平方向にスイングし得る2つの上部ノズル31c,31cが取り付けられている。ノズルユニット31Bも、上端に入水口31bが設けられた縦管部31aと、縦管部と直交するように配置されて縦管部31aの下端に接続された横管部31eとを有し、横管部31eの両端に、水平方向にスイングし得る2つの下部ノズル31d,31dが取り付けられている。ノズルユニット31A及び31Bは、上部ノズル31c,31c及び31d,31dを上下に位置をずらした状態で、ノズル搭載用フロート30に取り付けられている。
【0069】
水流発生装置5′は、2台のポンプ・タービンユニット4A,4Bの間のスペースの前方に位置するように(2台のポンプ・タービンユニット4A,4Bと水流発生装置5′とが三角形の頂点に位置するように)配置されて、2台のポンプ・タービンユニット4A,4Bがロープ40A及び40Bにより漁船2A及び2Bに係留され、水流発生装置5′はロープ41A及び41Bにより漁船2A及び2Bに係留されている。
【0070】
そして、漁船2Aに搭載された送水ポンプ10の吐出口が送水管11A及び11Bを通してポンプ・タービンユニット4A及び4Bのタービン17の入水ポートに接続され、ポンプ・タービンユニット4A及び4Bのタービン17のそれぞれの排水ポートが接続管7A及び7Bを通してノズルユニット31A及び31Bの入水口31bに接続されている。またポンプ・タービンユニット4A及び4Bのそれぞれの吸引破砕ポンプ16の排出口に一端が接続された排出管24A及び24Bの他端の排出口が、漁船2Cの甲板の上を越えて、漁船2Cの定置網1と反対側の海面上に開口させられている。
【0071】
図6に示した例では、2台のポンプ・タービンユニットが設けられていて、吸込み口が2箇所設けられているため、クラゲの吸引、破砕を効率よく行なうことができる。またノズルユニットを2つ設けたことにより、水流発生装置5′から発生させる水流の幅を広くすることができるため、広範囲に亘って水流を生じさせて、クラゲの除去を効率よく行わせることができる。
【0072】
図6に示した例では、2台のポンプ・タービンユニットに対して1台の水流発生装置を設けているが、2台のポンプ・タービンユニットのそれぞれに対して1台の水流発生装置を設けるようにすることもできる。
【0073】
上記の例では、2台のポンプ・タービンユニットを設けているが、定置網の規模が大きい場合には更に多くのポンプ・タービンユニットとノズルユニットとを設けることもできる。ポンプ・タービンユニットの数が多く、1台の送水ポンプ10では対応できない場合には、2台以上の送水ポンプを設ければよい。
【0074】
上記の例では、定置網の中に侵入したクラゲを除去する例について説明したが、原子力発電所や火力発電所の取水口付近からクラゲを除去する用途にも本発明に係わるクラゲ除去方法及びクラゲ除去装置を適用することができる。ただし、発電所の取水口付近からクラゲを除去する用途に用いる場合には、破砕したクラゲの破片が取水口に入らないように、破片の廃棄場所を選定する必要がある。
【0075】
ノズルユニットにおけるノズルの設け方は上記の例に限定されるものではなく、ノズルの数及び配置は、クラゲと魚とを分離するのに効果的な形態の水流を生じさせるように、ケースバイケースで適宜に設定することができる。
【0076】
上記の実施形態において、ノズルユニットから水を噴射させると、水の噴射に伴って生じる推進力がノズル搭載用フロート30に作用する。このときフロート30が傾くと、ノズルが指向する方向が噴射前の指向方向からずれるので、ノズルから水を所期の方向に噴射させるようにするためには、ノズルユニットから水を噴射させた際に生じる推進力がフロート30に作用した状態でノズルからの噴射方向が所期の方向となるように、噴射前のフロートの姿勢(接続管7をノズルユニットに接続した状態での重量バランス)と、ノズルユニットの取り付け姿勢とを設定しておくことが好ましい。
【0077】
本発明で用いる吸引破砕ポンプは、クラゲを水とともに吸引して破砕した後、クラゲの破片を水とともに圧送する機能を有するものであればよく、上記の例に限定されない。
【0078】
上記の実施形態では、本発明のクラゲ除去方法を実施するに当たり、タービンからの排水を利用して水流を発生させるようにしたが、吸引破砕ポンプを駆動する原動機として、水車型のタービン以外のものを用いる場合、例えば空気タービンを用いる場合には、漁船に設置した送水装置から海中に水を送り込むことにより、吸引破砕ポンプに向かう水流を生じさせるようにしてもよい。
【0079】
上記のようにタービンから排出された水を利用して水流を生じさせる場合に、送水ポンプの出力が不足する等の原因で、十分な勢いの水流が得られないおそれがある場合や、広範囲に亘って水流を生じさせことができない場合には、漁船に設置したポンプからの送水を併用して、所定の水流を生じさせるようにしてもよい。
【0080】
上記の実施形態では、吸引破砕ポンプをフロートに搭載して、ポンプ室に設けた吸引口を直接水中に開口させるようにしたが、バキュームを利用してクラゲと海水とを吸引するポンプと、吸引したクラゲを破砕する回転刃とを有する吸引破砕ポンプを用いることもできる。この場合には、該吸引破砕ポンプの本体部分を船上(定置網に適用する場合)または地上(発電所の取水口等に適用する場合)に設置して、該ポンプの本体部分の吸込み口に管の一端を接続し、この管の他端を吸引破砕ポンプの吸込み口として水中に入れることにより、クラゲを吸引、破砕することができる。このように構成すると、ポンプ搭載用のフロートが不要になる。この場合は、船上または地上に設置した送水ポンプから水中に送水して水流を生じさせる必要があるが、吸引破砕ポンプの駆動源として水車型のタービンを用いれば、水流を生じさせるために専用のポンプを用意する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を一部断面して概略的に示した正面図である。
【図2】本発明で用いる吸引破砕ポンプの好ましい構成例を示した断面図である。
【図3】同吸引破砕ポンプで用いるインペラの一例を示した正面図である。
【図4】同インペラーの底面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の構成を一部断面して概略的に示した正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の構成を概略的に示した平面図である。
【図7】図6の実施形態で用いるノズルユニットの要部の構成を示した正面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 定置網
2 漁船
3 水面
4 ポンプ・タービンユニット
5 水流発生装置
6 送水装置
7 接続管
8 くらげ
9 魚
10 送水ポンプ
11 送水管
16 吸引破砕ポンプ
17 タービン
31 ノズルユニット
31c 上部ノズル
31d 下部ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲを水とともに吸引して破砕し、送出する吸引破砕ポンプの吸込み口を水面付近に配置し、水面付近を浮遊するクラゲを前記ポンプにより吸引、破砕した後送出、搬送して除去するクラゲ除去方法において、
前記水面下に前記吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を生じさせ、水流をさかのぼる魚の習性を利用して魚を前記ポンプの吸込み口から離れた前記水流の上流側に誘導しつつ、前記水面付近を浮遊するクラゲを前記水流により前記ポンプの吸込み口に向けて移動させて、前記ポンプにより吸引、破砕して送出すること、
を特徴とするクラゲ除去方法。
【請求項2】
水面付近を浮遊するクラゲを除去するクラゲ除去装置であって、
水面付近に吸込み口を有して、水面付近を浮遊するクラゲを水とともに吸引して破砕し、送出する吸引破砕ポンプと、
前記吸引破砕ポンプの吸込み口付近に向う水流を水面下に生じさせる水流発生装置と、 を具備したことを特徴とするクラゲ除去装置。
【請求項3】
水面付近を浮遊するクラゲを除去するクラゲ除去装置であって、
クラゲを吸引する場所で水面に浮かべて配置されるポンプ搭載用フロートと、
前記ポンプ搭載用フロートが水面に浮かべられた際に吸込み口が下方を向いて水中に没するようにして前記ポンプ搭載用フロートに搭載されて、回転駆動された際に水面付近を浮遊するクラゲを水とともに吸い込んで破砕し、送出する吸引破砕ポンプと、
前記吸引破砕ポンプとともに前記ポンプ搭載用フロートに搭載されて前記吸引破砕ポンプを駆動するタービンと、
船上または地上に設置されてエンジンにより駆動される送水ポンプと、該送水ポンプの吐出口を前記タービンの入水ポートに接続する送水管とを備えて、前記タービンの回転軸を回転させるために前記タービンに加圧された水を供給する送水装置と、
前記ポンプ搭載用フロートから離れた場所で水面に浮かべて配置されるノズル搭載用フロートと、
入水口と該入水口から流入した水を噴出させる複数のノズルとを備えて、前記ノズル搭載用フロートが水面に浮かべられた際に前記複数のノズルが水中に没するようにして前記ノズル搭載用フロートに搭載されたノズルユニットと、
前記タービンの排水ポートとノズルユニットの入水口とを接続する接続管と、
前記吸引破砕ポンプの排出口に一端が接続され、他端が破砕されたクラゲの廃棄場所に開口させられる排出管と、
を具備し、
前記ノズルユニットの複数のノズルは、前記ノズル搭載用フロート側からポンプ搭載用フロート側に向かう水流を水面下に生じさせるように、それぞれの向きが設定されていること、
を特徴とするクラゲ除去装置。
【請求項4】
前記吸引破砕ポンプは、下方に開口した吸込み口と該吸込み口よりも上方の位置で横方向に開口した前記排出口とを有するポンプ室と、下端が前記吸込み口に臨むように設けられて前記ポンプ室内で上下方向に伸びる回転中心軸線の周りを回転するインペラとを備えている請求項3に記載のクラゲ除去装置。
【請求項5】
前記インペラは、下端から上端に向かって径が次第に大きくなっているほぼ逆円錐形のボス部と、前記ボス部の外周面から突出して前記回転中心軸線の周りを螺旋状に伸びるように設けられて螺旋状に伸びる端縁部が刃部となっている複数枚の羽とからなっている請求項4に記載のクラゲ除去装置。
【請求項6】
前記タービンは、その羽根車の回転中心軸線を前記吸引破砕ポンプのインペラの回転中心軸線と一致させた状態で前記吸引破砕ポンプの上方に配置され、
前記タービンの羽根車と前記吸引破砕ポンプのインペラとは、上下方向に伸びる共通の回転軸に取り付けられている請求項4に記載のクラゲ除去装置。
【請求項7】
前記ノズルユニットの複数のノズルは、上下に間隔を隔てて配置された上部ノズル及び下部ノズルを含んでいる請求項3,4,5または6に記載のクラゲ除去装置。
【請求項8】
前記ポンプ搭載用フロートと該ポンプ搭載用フロートに搭載された吸引破砕ポンプ及びタービンとによりポンプ・タービンユニットが構成され、
前記ノズル搭載用フロートと該ノズル搭載用フロートに搭載されたノズルユニットとにより、水流発生装置が構成され、
前記ポンプ・タービンユニットは2台設けられて該2台のポンプ・タービンユニットが並べて配置され、
前記水流発生装置は、前記2台のポンプ・タービンユニットから離れた箇所に少なくとも1台配置されて、前記2台のポンプ・タービンユニットのタービンからそれぞれ排出される水が異なる接続管を通して前記水流発生装置のノズルユニットに供給されている請求項3、4,5,6または7に記載のくらげ除去装置。
【請求項9】
前記水流を下方から前記吸引破砕ポンプの吸込み口に向かって斜め上方に生じさせるように前記ノズルユニットのノズルの向きが設定されている請求項3ないし8のいずれか1つに記載のクラゲ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−296110(P2008−296110A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143453(P2007−143453)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000109945)トーハツ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】