説明

クラッカー連発装置

【課題】本体12から延出されている引紐が引き出されることによって音が鳴るクラッカーを鳴らすための装置であって、単純な操作で複数のクラッカーを連発的に鳴らすことが可能であり、クラッカーを新しいものと取り替えることで装置を繰り返し利用することができるものを提案する。
【解決手段】クラッカー連発装置4に、複数組のクラッカー作動機構6を備える。クラッカー作動機構6は、第一の向き31へ本体12が動けないようにクラッカー10を支持できるクラッカー支持体61と、回転体81の周面に設けられた作動体85と、クラッカー10から第一の向きへ引き延ばされた引紐11の一部分を作動体85の軌跡と交わるように案内する引紐案内体71とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクラッカーを鳴らすための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なクラッカーは、三角錐形の本体と、この本体内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端が本体後部の尖端から延出された引紐とで構成されている。このようなクラッカーは、引紐を本体から更に引き出すように引っ張ると鳴る、つまり、音を生じるように構成されている。詳細には、引紐が引っ張られることにより引紐と振動片との間に摩擦熱が生じ、この摩擦熱で火薬が爆発して爆発音が生じ、その爆風によって本体前部の発射口が開口する。クラッカーには、音が鳴るものや、音が鳴るとともに本体内に装填された小巻テープや紙吹雪等の飛翔物を爆風で発射口から放出するものが知られている。
【0003】
クラッカーは、例えば、パーティなどにおいて賑やかな演出をするために用いられる。1つのクラッカーが発生する音は刹那的であるが、多数のクラッカーが間髪を入れずに次々と鳴れば、より派手で賑やかな演出となる。しかし、手作業で多数のクラッカーを連発的に、特に、短い間隔で断続的に鳴らすことは容易ではない。そこで、従来、単純な操作で複数のクラッカーを連発的に鳴らすための装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されたクラッカー遊具は、弓形に形成されたホルダに、縦に並べられた複数のクラッカーを備えたカセットが取り付けられている。そして、この弓形のホルダに弓の弦になぞらえた連結紐が設けられており、この連結紐を引っ張ると複数のクラッカーが次々と鳴るように構成されている。この連結紐には各クラッカーの引紐が連結されており、連結紐を引っ張るとクラッカーが鳴る順番に対応するクラッカーの引紐に張力が加わるように、引紐の長さが決定されている(引用文献1の[0023][0024]を参照)。
【0005】
また、例えば、特許文献2に記載された複数本発射型クラッカーは、円錐状の筒体内に複数の小型クラッカーを備え、この複数の小型クラッカーの引紐が束ねられて筒体の後部から延出されている。各小型クラッカーの引紐の長さは相互に異なるように調整されている。そして、全ての引紐を一斉に引っ張ることで各小型クラッカーが所定時間差をおいて連発的に鳴るように構成されている(引用文献2の[0011]を参照)。
【0006】
また、例えば、特許文献3に記載されたクラッカー爆音放射筒は、細長筒体の本体内に、引紐が同一向きへ引き出されるように複数のクラッカーを収容したクラッカー弾と、各引紐が連結された引紐操作体とを備えている。そして、引紐操作体を本体内で移動させることによって、クラッカー弾のクラッカーを順次爆発させるように構成されている。ここでも、引紐操作体に連結される各引紐の長さを違えることによって、1回の引紐の引っ張り操作で複数のクラッカーを順次爆発させるようになっている(引用文献3の[0015]を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−115997号公報
【特許文献2】特開2003−19499号公報
【特許文献3】特開2004−309043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1〜3に記載されたいずれの発明においても、一操作で複数のクラッカーを次々と鳴らすために、各クラッカーの引紐の長さを調整する手法が採用されている。これらのうち特許文献3に記載された発明では、複数のクラッカーの引紐の長さの調整はクラッカー弾を本体に装着するユーザーが行わねばならない。しかし、一般的な小型のクラッカーの引紐の長さは僅か8cm程度であり、特殊な技量を持たないユーザーが引紐の長さ調整を行うことは難しい。したがって、クラッカーの鳴るタイミングが重なるような引紐の長さ調整ミスが生じることがあり、仮にユーザーが調整できたとしても煩わしい作業となる。一方、特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、複数のクラッカーの引紐の長さの調整は製造の過程で行われ、ユーザーはカセット又は製品として引紐の長さが調整された複数のクラッカーを取り扱うことができる。このように製造の過程でクラッカーの引紐の長さが調整される場合には、複数のクラッカーとこれらのクラッカーを保持するカセットなどの保持体とが一体的に取り扱われることから、使用後の排棄量が大きくなったり、一般的なクラッカーが利用できないことからランニングコストを抑えることが難しくなったりするという課題がある。
【0009】
そこで、本発明では、複数のクラッカーを連発的に鳴らすことのできるクラッカー連発装置であって、操作が単純であるとともに、一般に市販されているクラッカーを利用することのできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るクラッカー連発装置は、本体から延出されている引紐が更に引き出されることによって音が鳴るクラッカーを鳴らすための装置であって、引紐が第一の向きへ引き出され且つ本体が第一の向きへ移動できないようにクラッカーを支持するクラッカー支持体と、クラッカー支持体から第一の向きへ離れて配置され、第一の向きと略直交する回転軸を中心として回転する回転体の周面に設けられた作動体と、クラッカー支持体と作動体との間に配置され、クラッカー支持体に支持されたクラッカーの引紐の一部分を被作用部としたときに、この被作用部を回転体の回転に伴う作動体の移動の軌跡と交わる位置へ案内する引紐案内体とを、複数組備えているものである。
【0011】
上記構成のクラッカー連発装置に、複数のクラッカーを装着し、回転体を回転させれば、複数のクラッカーを鳴らすことができる。クラッカーを装置へ装着する際には、クラッカー支持体へクラッカーの本体を支持させ、第一の方向へ延出している引紐の被作用部を作動体の移動の軌跡と交わる位置へ引紐案内体を用いて案内させる。このようにして複数のクラッカーが装置に装着された状態で回転体を回転させると、作動体は回転軸を中心として円周方向へ移動し、やがて引紐の被作用部と当接する。そして、作動体が引紐の被作用部に当接した状態(作動体に引紐の被作用部が引っ掛かった状態)で更に円周方向へ移動すると、引紐が張られることによって引紐が本体より引き出されてクラッカーが鳴る。上述の通り、クラッカー連発装置では、回転体を回転させるという単純な操作で、複数のクラッカーを鳴らすことができる。しかも、装置はクラッカー支持体と引紐案内体と回転体に設けられた作動体とで構成されており、これらの要素には精密さが要求されたり制御が必要となったりするような複雑な機構は含まれておらず、装置の構成は単純である。したがって、装置の製造コストを抑えて装置を安価に提供することが可能である。さらに、このクラッカー連発装置は、使用後に新たなクラッカーを装着すれば再度クラッカーを鳴らすことができるので、繰り返し使用することができる。これに加え、クラッカー連発装置には、市販されている一般的なクラッカーを利用することができる。よって、装置のランニングコストを抑えることができる。
【0012】
前記クラッカー連発装置において、複数の前記作動体は、相互に異なる回転位相となるように前記回転体の周面に設けられていることがよい。これにより、回転体を1回転させるうちに複数の作動体が各々に対応する引紐の被作用部に当接するが、この当接するタイミングがずれる。したがって、クラッカー連発装置に装着された各クラッカーの鳴るタイミングがずれて、複数のクラッカーを間隔をおいて次々と連発的に鳴らすことができる。
【0013】
また、前記クラッカー連発装置において、前記作動体は、前記回転体の周面から前記回転軸を中心とする放射方向へ突出する突起形状を有し、前記引紐案内体は、引紐の被作用部を前記回転軸の軸方向と略平行となるように案内して支持する支持部を有することがよい。かかる構成により、円周方向へ移動する作動体と引紐の被作用部とが当接するときにこれらは略直交するので、作動体は引紐を逃がさずに確実に引っ掛けることができる。
【0014】
さらに、前記クラッカー連発装置において、前記作動体は、引紐に対して作用する部位に、前記回転軸の軸方向と略直交する方向へ延びる溝を備えていることがよい。これにより、円周方向へ移動する作動体と引紐の被作用部とが当接すると、溝に引紐の被作用部が嵌るので、作動体は引紐を逃がさずに確実に引っ掛けることができる。
【0015】
前記クラッカー連発装置において、前記引紐案内体は、前記回転軸の軸方向と略平行に並ぶ第一の支持部及び第二の支持部と、この第一の支持部と第二の支持部の間に掛け渡された引紐の状態を維持するために引紐を留める留め部とを有するとともに、この第一の支持部と第二の支持部との間を前記作動体の移動の軌跡が通るように配置されていることがよい。かかる構成により、円周方向へ移動する作動体は、引紐案内体と干渉することなく引紐の被作用部に当接することができる。
【0016】
或いは、前記クラッカー連発装置において、前記引紐案内体は、前記回転軸の軸方向と略平行に並ぶ第一の支持部及び第二の支持部を有し、輪に成形された引紐を周囲に巻き掛けることのできる柱状体であり、この第一の支持部と第二の支持部との間を前記作動体の移動の軌跡が通るように配置されていることがよい。このとき、前記作動体は、前記引紐案内体の第一の支持部及び第二の支持部の間を上向きに通るように移動し、前記引紐案内体の上面は第一の向きに上る傾きを備えていることがよい。上記構成において、クラッカーの引紐を輪に成形して引紐案内体の周囲に巻き掛ければ、引紐の被作用部を作動体の移動の軌跡上に案内することができる。そして、円周方向へ作動体が移動すると、作動体は引紐案内体と干渉することなく引紐の被作用部に当接することができる。さらに、作動体に引っ掛かって上方へ引っ張られる引紐の輪は、引っ掛かることなく引紐案内体から抜け出すことができる。
【0017】
さらに、前記クラッカー連発装置において、前記クラッカー支持体から第一の向きと逆向きに離れた位置に、クラッカーが鳴るときに放出される爆風を利用して動作する爆風利用体を備えていることがよい。これにより、クラッカーが爆発する音に加え、爆風利用体でも演出を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回転体を回転させるという単純な操作で、複数のクラッカーを鳴らすことができる。更に、クラッカー連発装置は、クラッカーを新たに装着すれば装置を繰り返し使用することができるとともに、一般に市販されているクラッカーを利用することができるので、装置のランニングコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係るクラッカー連発装置の側面図である。
【図2】図1に示すクラッカー連発装置の平面図である。
【図3】図1に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。
【図4】変形例1に係るクラッカー連発装置の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るクラッカー連発装置の斜視図である。
【図6】図5に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。
【図7】本発明の実施の形態3に係るクラッカー連発装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係るクラッカー連発装置の平面図である。
【図9】図8に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0021】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係るクラッカー連発装置4について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るクラッカー連発装置の側面図、図2は図1に示すクラッカー連発装置の平面図である。図1及び図2では、最大3つのクラッカー10,,を装着することが可能であって、これらのクラッカー10,,を連発的に鳴らすことができるように構成されたクラッカー連発装置4が示されている。但し、クラッカー連発装置4は、装着できるクラッカー10の数を所望に応じて増減させた態様をとることができる。
【0022】
クラッカー連発装置4に装着されるクラッカー10は、市販されている一般的なクラッカーを用いることができる。一般的なクラッカー10は、紙で成る三角錐形の本体12と、この本体12内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端は本体12の尖端から延出された引紐11とで構成された花火である。このクラッカー10の引紐11を所定の引き代の長さ分だけ本体12から引き出すと、引紐11と振動片との摩擦熱で内部の火薬が音を立てて爆発し、その爆風によって本体12の尖端と反対側の端部である発射口が開口する。クラッカー10の構造は公知であるのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0023】
クラッカー連発装置4は、平板状の基台5と、これに据え付けられた複数組のクラッカー作動機構6,,とを備えている。クラッカー作動機構6は、クラッカー10の本体12から引紐11をさらに引き出して、該クラッカー10を鳴らすための機構である。本実施の形態に係るクラッカー連発装置4は、3組のクラッカー作動機構6,,を備えている。1組のクラッカー作動機構6は、クラッカー支持体61と、引紐案内体71と、作動体85とを備えており、クラッカー支持体61から或第一の向き(図1及び図2に示す矢印31の向き)に引紐案内体71、作動体85の順に並んでいる。以下では、クラッカー連発装置4の各構成要素について詳細に説明する。
【0024】
まず、クラッカー支持体61から説明する。クラッカー支持体61は、クラッカー支持体61の本体12を支持するためのものである。クラッカー支持体61は、引紐11が第一の向き31へ引き出され、且つ、本体12が第一の向き31へ移動できないように、クラッカー10を支持している。本実施の形態に係るクラッカー支持体61は、軸線方向が略水平且つ第一の向き31と略平行となるように横置きされた円錐台筒形状の筒体で構成されている。この筒体は支柱62を介して基台5に固定されている。クラッカー支持体61は、挿入開口61aと、該挿入開口61aの反対側にそれよりも小径の露出開口61bとを有している。露出開口61bは第一の向き31へ開口している。なお、クラッカー支持体61は、クラッカー連発装置4に装着されるクラッカー10の数に応じて3つ設けられており、これら3つのクラッカー支持体61,,は、その軸線方向が平行となるように端部を揃えて並べられている。
【0025】
クラッカー10をクラッカー支持体61へ装着する際には、クラッカー10を本体12の尖端からクラッカー支持体61の挿入開口61aへ挿入し、第一の向き31へ移動させる。やがて、クラッカー10の外周面とクラッカー支持体61の内周面とが当接し、クラッカー10は第一の向き31への移動が規制される。このようにクラッカー支持体61により第一の向き31への移動が規制されているクラッカー10は、本体12の尖端部分とこの尖端部分から延出している引紐11とが露出開口61bから露出している。上述のようにクラッカー支持体61に装着されて支持されたクラッカー10は、引紐11が本体12から引き出される向き(以下、単に「引出向き」といいう)が第一の向き31と略平行であり、且つ、本体12が第一の向き31へ動けないように移動が規制されている。
【0026】
なお、クラッカー支持体61の挿入開口61aはクラッカー10の最大径よりも小さい内径を有し、同じく露出開口61bはクラッカー10の尖端部分が数cm程度露出する大きさの内径を有している。この条件を充足する露出開口61bの内径は、例えば15〜20mmであり、挿入開口61aの内径はそれよりも大きな値である。一般的な円錐形状のクラッカー10では、本体12の大きさが例え異なっていても本体12の軸線と母線とが成す角度に大差はないので、小型のクラッカー10を支持できるように構成されたクラッカー支持体61は、大きさが異なる複数種類のクラッカーを支持できる。
【0027】
次に、作動体85について説明する。作動体85は、クラッカー10を鳴らすために、引紐案内体71に案内された引紐11の一部分に対して作用するものである。以下では、作動体85が作用する引紐11の一部分を「被作用部11c」という。
【0028】
作動体85は、回転体81の周面に設けられている。回転体81は、基台5に固定されたブラケット83,83に支承された回転軸82を軸心として回転する横置きされた円柱体である。回転軸82の軸方向は、第一の向き31と略直交している。回転軸82には回転体81を回転させるためのハンドル84が設けられている。この回転体81はユーザーがハンドル84を手動で回すことにより回転するが、回転軸82を駆動モータ等の動力源と連結して、この動力源の動力で回転体81を回転させるように構成することもできる。或いは、回転体81の回転軸82を渦巻きばねを用いた所謂ゼンマイ仕掛けで回転させるようにすることもできる。
【0029】
回転体81の周面には、回転軸82を中心として放射方向へ突出する突起形状の作動体85が設けられている。このような作動体85は、クラッカー支持体61と対応して回転体81の周面に3つ設けられており、或クラッカー支持体61と対応する作動体85は当該クラッカー支持体61から第一の向き31へ離れたところに配置されている。
【0030】
続いて、引紐案内体71について説明する。引紐案内体71は、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10の本体12から延出している引紐11の被作用部11cを、作動体85の移動の軌跡と交わる位置へ案内して保持するためのものである。引紐案内体71は、対応するクラッカー支持体61と作動体85との間に設けられている。
【0031】
本実施の形態に係る引紐案内体71は、平面視略V字の柱形状を有している。引紐案内体71の略V字の尖端711はクラッカー支持体61へ向き、同じく略V字の谷間714は作動体85へ向いている。そして、引紐案内体71の略V字の谷間714の入口を形成している2つの端部には、上下中途部において案内溝712,713(第一の支持部,第二の支持部)が形成されている。2つの案内溝712,713は、作動体85が通過できる程度に十分に離間して、回転軸82の軸方向と略平行に並んでいる。案内溝712,713は、いずれも引紐案内体71を略水平方向に切り欠いた形状を有し、第一の向き31へ開口しており、その開口縁は引紐11が引っ掛からないように滑らかに角が丸められている。さらに、引紐案内体71の上面には、第一の向き31に上る傾きが設けられている。
【0032】
上記構成の引紐案内体71で引紐11を案内する際には、引紐11に引紐案内体71の外周よりも大きな輪11aを成形し、この輪11aを引紐11の周囲に巻き掛ける。引紐11の輪11aは、テープ、留め具、又は接着剤などで留めるか、結ぶことによって成形できる。引紐案内体71に巻き掛けられた引紐11は、2つの案内溝712,713を通され、これらの案内溝712,713により下方へ移動しないように支持される。そして、引紐11の案内溝712,713に掛け渡された部分が被作用部11cとなる。なお、一般的なクラッカー10の引紐11は紙製の「こより」で作られており、糸や紐と比較して形付け易く、形付けした形が維持されやすい。したがって、引紐11を引紐案内体71の外周に沿うように形付ければ、引紐11は作動体85が当接するまでその形が維持されることとなる。
【0033】
ここで、図3を参照しながら、上記構成のクラッカー連発装置4の使用方法及び動作を説明する。図3は図1に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。
【0034】
初めに、クラッカー支持体61にクラッカー10を装着する。クラッカー10のクラッカー支持体61への装着の手順は前述したとおりである。クラッカー支持体61に装着されたクラッカー10の引紐11は第一の向き31へ延出されており、この引紐11の被作用部11cは引紐案内体71によって作動体85の移動の軌跡と交わる位置に案内されている。引紐案内体71による引紐11の案内の手順は前述した通りである。
【0035】
上述のようにして全てのクラッカー10,,が装着された状態で、ハンドル84を操作して回転体81を回転させる。すると、作動体85は、回転体81の回転に伴って回転軸82を中心とする円周方向(図3の矢印33の方向)へ移動する(図3(a)参照)。本実施の形態に係る作動体85は、引紐案内体71の略V字の谷間を上向きに通るように移動する。したがって、引紐案内体71と作動体85とが互いに干渉することはない。
【0036】
やがて、移動する作動体85に引紐11の被作用部11cが当接する(図3(b)参照)。このとき、引紐11の被作用部11cは、回転体81の軸方向と略平行であることがよい。なぜなら、作動体85は回転軸82を中心とする円周方向33へ移動するので、引紐11の被作用部11cに対して作動体85が当接するときにこれらが略直交すれば、作動体85は引紐11を逃がさずに確実に引っ掛けることができるからである。また、本実施の形態に係る作動体85は、移動の過程で引紐案内体71に保持されている引紐11の一部分を下から上へすくい上げて引っ掛けるため、作動体85は移動方向へ向けて先が曲がった鉤状を有し、引紐11がより掛かり易くなっている。
【0037】
作動体85と引紐11の被作用部11cとが当接した状態で、作動体85が更に円周方向へ移動すると、引紐11の輪11aが作動体85に引っ掛かった状態で斜め上方へ引っ張られて引紐案内体71から抜け出す(図3(c)参照)。ここで、引紐案内体71の上面は第一の向き31へ上る傾きを有するので、作動体85に引っ張られる引紐11の動きは引紐案内体71によって阻害されない。
【0038】
引紐11が作動体85に引っ張られることによって、本体12から引き出された引紐11の引き代が所定の長さになるとクラッカー10が鳴る。なお、クラッカー10が鳴るために必要な引紐11の引き代は、一般的なクラッカーで5〜10mm程度の長さである。同様にして、クラッカー連発装置4に装着された他のクラッカー10,10も鳴る。
【0039】
なお、クラッカー連発装置4に装着された複数のクラッカー10,,を次々と連発的に鳴らすために、クラッカー連発装置4に具備される複数の作動体85,,は、相互に異なる回転位相となるように回転体81に設けられている。図1及び図2を用いて平易に説明すると、第一の作動体85Aが第一のクラッカー10Aの引紐11に作用したのち、第2の作動体85Bが第2のクラッカー10Bの引紐11に作用し、続いて、第3の作動体85Cが第3のクラッカー10Cの引紐11に作用する。このように各作動体85の引紐11に作用するタイミングをずらすために、回転体81の周面上において複数の作動体85A,85B,85Cの位置が円周方向にずれて異なっている。したがって、本実施の形態に係るクラッカー連発装置4では、クラッカー10の引紐11の長さを調整する煩わしい作業は不要ながらも、確実に複数のクラッカー10A,10B,10Cの鳴るタイミングをずらすことができる。
【0040】
上述の通り、クラッカー連発装置4を用いれば、ハンドル84をおよそ1回転させるという単純且つ簡易な操作で複数のクラッカー10,,を次々と連発的に鳴らすことができる。クラッカー10が鳴るタイミングは、回転体81に設けられた作動体85の位置によって決まる。つまり、複数の作動体85の回転位相のずれによって、複数のクラッカー10,,を時間間隔をおいて断続的に鳴らしたり、複数のクラッカー10,,を極めて短い時間間隔で連発的に鳴らしたり、複数のクラッカー10,,を同時に鳴らしたりすることができる。
【0041】
しかも、クラッカー連発装置4は、クラッカー支持体61と引紐案内体71と回転体81に設けられた作動体85とで構成されており、これらの要素には精密さが要求されたり制御が必要となったりするような複雑な機構は含まれておらず、クラッカー連発装置4の構成は単純である。したがって、クラッカー連発装置4の製造コストを抑えて装置を安価に提供することが可能である。
【0042】
そして、クラッカー連発装置4に装着された全てのクラッカー10,,を鳴らし終えたあとは、クラッカー連発装置4から使用後のクラッカー10,,を取り除いて新しいクラッカー10,,を装着すれば、クラッカー連発装置4はこれらの新しいクラッカー10,,を鳴らすために使用することができる。つまり、クラッカー連発装置4はクラッカー10を新たに装着すれば、繰り返し使用することができる。これに加え、クラッカー連発装置4では、市販されている一般的なクラッカーを利用することができるので、装置のランニングコストを抑えることができる。
【0043】
[変形例1]
ここで、図4を参照しながら、実施の形態1に係るクラッカー連発装置4の変形例1を説明する。図4は変形例1に係るクラッカー連発装置の側面図である。
【0044】
実施の形態1の変形例1に係るクラッカー連発装置4は、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10のクラッカー10の本体12の発射口と対向する位置に、爆風利用体51を備えている。したがって、前述したクラッカー連発装置4の一連の動作によりクラッカー10が爆発して鳴り、該クラッカー10の本体12の発射口から爆風が放出されると、この爆風が爆風利用体51に当たることとなる。爆風利用体51は、この爆風を利用して動作するものである。
【0045】
上述の爆風利用体51は、例えば、スピーカのように機能する振動板である。この振動板に爆風が当たると、該振動板が振動して音を発する。ここで、各クラッカー作動機構6に対して一つずつ振動板を設け、各振動板の特性(大きさや厚みなど)を相違させることが望ましい。これにより、各クラッカーが発する音は同じであるが、このクラッカーの爆発に伴って各振動板が発する音は異なるものとなり、クラッカーの演出に趣向を凝らすことができる。
【0046】
また、爆風利用体51は、例えば、笛のように機能する孔のあけられた孔あき板である。この板に爆風が当たると、その一部が孔を通り抜けることにより音が鳴る。ここで、各クラッカー作動機構6に対して一つずつ孔あき板を設け、各孔あき板の孔の特性(孔の径や長さなど)を相違させることが望ましい。これにより、各クラッカーが発する音は同じであるが、このクラッカーの爆発に伴って各孔あき板が発する音は異なるものとなる。さらに、複数の孔あき板が発する音でメロディを奏でることもできる。
【0047】
また、爆風利用体51は、例えば、筒と該筒に内挿された矢で構成された吹き矢である。この筒の一端から爆風が内部に進入すると、筒の他端から矢が飛び出す。さらに、この吹き矢の飛び出した先に的を設け、例えばダーツのように的に向けて矢を飛ばすこともできる。
【0048】
[実施の形態2]
ここで、図5を参照しながら、実施の形態2に係るクラッカー連発装置4を説明する。図5は実施の形態2に係るクラッカー連発装置の斜視図である。実施の形態2に係るクラッカー連発装置4は、引紐案内体71と作動体85の形状が上記実施の形態1で説明したものとは異なり、クラッカー支持体61の構成を含めた他の構成は共通する。そこで、以下では実施の形態2に係るクラッカー連発装置4について、引紐案内体71と作動体85に関して詳細に説明し、余の重複する説明は省略する。
【0049】
まず、引紐案内体71から説明する。引紐案内体71は、回転軸82の軸方向と略平行に並ぶ第一の支持柱720と第二の支持柱722とで構成されている。第一の支持柱720と第二の支持柱722との間は、作動体85が通過できる程度に十分に離間されている。第一の支持柱720は、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10の本体12の尖端から第一の向き31へ離れた位置に設けられている。第一の支持柱720は、その第一の向き31の上部が略四角形に切り欠かれている。この切り欠きの下辺が第一の支持部721となっている。一方、第二の支持柱722は、上面に開口する細溝723が設けられており、この細溝723の底が第二の支持部724となっている。細溝723は、引紐11を通すことはできるが、引紐11に玉留めを作った場合にこの玉留めが通り抜けることのできない程度の溝幅を有している。
【0050】
上記構成の引紐案内体71で引紐11を案内する際には、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10の本体12から第一の向き31に引き出された引紐11を、第一の支持柱720の第一の支持部721を通し、第二の支持柱722の細溝723を通し、細溝723から出た引紐11の尖端に玉留め11bを形作る。このように案内された引紐11は、引紐案内体71の第一の支持部721と第二の支持部724の間に掛け渡された部分が被作用部11cとなっている。玉留め11bが作られた引紐11は、細溝723を通り抜けることができないので、引紐案内体71の第一の支持部721と第二の支持部724との間に掛け渡された引紐11の状態が維持される。したがって、第二の支持柱722の細溝723は、引紐案内体71の第一の支持部721と第二の支持部724との間に掛け渡された引紐11の状態を維持するために、引紐11を留める留め部として機能している。
【0051】
続いて、作動体85を説明する。作動体85は、回転軸82を中心として回転する回転体81の周面に突起状に設けられている。作動体85の、引紐11の被作用部11cに対して作用する部位には、回転軸82の軸方向と略直交する方向へ延びる細溝853が設けられている。この細溝853(溝の奥部)は、引紐11を通すことはできるが、引紐11に玉留めを作った場合にこの玉留めが通り抜けることのできない程度の溝幅を有している。なお、細溝853の開口は、引紐11が入り込みやすいように溝の奥部よりも広幅に開放している。
【0052】
ここで、図6を参照しながら、実施の形態2に係るクラッカー連発装置4の使用方法及び動作について説明する。図6は図5に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。
【0053】
初めに、クラッカー支持体61にクラッカー10の本体12が支持され且つこのクラッカー10の引紐11が引紐案内体71に案内された状態となるように、クラッカー10をクラッカー連発装置4へ装着する。クラッカー10の装着手順並びに引紐11の案内手順は前述した通りである。
【0054】
上述のように全てのクラッカー10,,が装着された状態で、ハンドル84を操作して回転体81を逆回転(図6に矢印35で示す回転方向)させる。この回転体81の回転に伴って作動体85が回転軸82を中心として円周方向へ移動する(図6(a)参照)。やがて、移動する作動体85に引紐案内体71に案内された引紐11の被作用部11cが当接する(図6(b)参照)。このとき、円周方向へ移動する作動体85と引紐11の被作用部11cとが当接すると、細溝853に引紐11の被作用部11cが嵌り、細溝853により引紐11が挟持されることとなる。よって、作動体85は引紐11を逃がすことなく確実に引っ掛けることができる。なお、ここで細溝853に嵌った引紐11は該細溝853内を可動である。
【0055】
作動体85と引紐11の被作用部11cとが当接した状態で、作動体85が更に円周方向へ移動すると、引紐11は作動体85に引っ掛かった状態で下方へ押し下げられる。ここで、引紐11の玉留め11bは第二の支持柱722の細溝723を抜け出せないことから、引紐11の先端は固定端となっている。したがって、引紐11の引紐11が引紐案内体71の第一の支持部721と第二の支持部724との間で下方へ撓むと、クラッカー10の本体12から引紐11が引き出されて、この引き代が所定の長さになるとクラッカー10が鳴る(図6(c)参照)。なお、引紐11に作動体85が作用して該引紐11に強い引っ張り力が作用したときに、引紐案内体71の第二の支持柱722の細溝723から引紐11の玉留め11bが抜け出すことも想定されるが、このような場合には、作動体85の細溝853に引紐11の玉留め11bが引っ掛かって引紐11が引っ張られることとなる。
【0056】
クラッカー連発装置4では複数のクラッカー10,,を鳴らすので、1つのクラッカー10が鳴ったあとも作動体85の円周方向へ移動は継続する。クラッカー10の本体12から引紐11が抜けると、前述の通り引紐11の一端は固定端であるが他端は自由端となる。よって、クラッカー10が鳴ったあとに作動体85が円周方向への移動を継続すると作動体85から引紐11が自動的に離脱するので、引紐11によりクラッカー連発装置4の動作が阻害されることはない。
【0057】
[実施の形態3]
ここで、図7を参照しながら、実施の形態3に係るクラッカー連発装置4を説明する。図7は本発明の実施の形態3に係るクラッカー連発装置の斜視図である。実施の形態3に係るクラッカー連発装置4は、引紐案内体71の形状が上記実施の形態2で説明したものとは異なり、クラッカー支持体61及び作動体85の構成を含めた他の構成、並びにクラッカー連発装置4の動作は共通する。そこで、以下では実施の形態3に係るクラッカー連発装置4について、引紐案内体71に関して詳細に説明し、余の重複する説明は省略する。
【0058】
実施の形態3に係るクラッカー連発装置4の引紐案内体71は、平面視略U字の柱状体731である。この柱状体731は略U字の開放側が第一の向き31へ向くように配置されている。そして、柱状体731の略U字の開放側の端部に、第一の向き31へ向けて開放する案内溝732,733が形成されている。さらに、柱状体731の側面であって案内溝732,733のいずれか一方の近傍には、クリップ734が設けられている。このクリップ734は、例えば、柱状体731の側面との間で引紐11を挟み込むように設けられた板バネで構成することができる。
【0059】
上記構成の引紐案内体71で引紐11を案内する際には、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10の本体12から第一の向き31に引き出された引紐11を、柱状体731の周囲を這わせたのち、2つの案内溝732,733を通し、端部をクリップ734で留める。案内溝732,733は、引紐11を支持する第一の支持部及び第二の支持部として機能し、引紐11の案内溝732,733に掛け渡された部分は被作用部11cとなる。また、クリップ734は、引紐案内体71の案内溝732,733(第一の支持部と第二の支持部)に掛け渡された引紐11の状態を維持するために、引紐11を留める留め部として機能している。このように、上記引紐案内体71はクリップ734を備えることによって、引紐11に輪11aや玉留め11bを作る必要がないので、より簡単にクラッカー10をクラッカー連発装置4へ装着することができる。
【0060】
[実施の形態4]
続いて、本発明の実施の形態4に係るクラッカー連発装置4について説明する。実施の形態4に係るクラッカー連発装置4は、引紐案内体71及び作動体85を除く構成は前述した実施の形態1に係るクラッカー連発装置4と共通するので、以下では引紐案内体71及び作動体85について詳細に説明し、余の説明を省略する。
【0061】
図8は本発明の実施の形態4に係るクラッカー連発装置の平面図、図9は図8に示すクラッカー連発装置の動作を説明するための概略側面図であり、(a)作動体が移動し始めた状態、(b)は作動体が引紐に作用し始めた状態、(c)は作動体が引紐を引っ張っている状態をそれぞれ示している。図8及び図9(a)に示すように、クラッカー連発装置4はクラッカー支持体61の数と対応する3つの引紐案内体71,,と、3つの作動体85とを備えている。クラッカー支持体61の軸線の延長線上であって、該クラッカー支持体61の露出開口61bから第一の向き31へ離れた位置に作動体85が設けられており、このクラッカー支持体61と作動体85との間に引紐案内体71が設けられている。
【0062】
引紐案内体71は、基台5に立設された角ブロック状体741である。この角ブロック状体741の上面には、案内溝742が形成されている。案内溝742は、クラッカー支持体61の軸線の延長線上を通るように第一の向き31に延び且つ上方へ向けて開放している。但し、案内溝742は引紐11を下方から支持できればよいので、角ブロック状体741の側面に側方へ向けて開放する案内溝を設けてもかまわない。なお、案内溝742は、引紐11を下方から支持するだけで引紐11の引出向きへの動きを妨げないような大きさの溝幅を有している。
【0063】
上記構成の引紐案内体71で引紐11を案内する際には、クラッカー支持体61に支持されたクラッカー10の本体12から第一の向き31に引き出された引紐11を、角ブロック状体741の案内溝742を通し、案内溝742から出た引紐11の尖端に玉留め11bを形作る。この玉留め11bは、引紐11を玉留め結びしたり、或いは、引紐11に金属や樹脂などの玉を止め付けたりすることによって作ることができる。なお、引紐11の案内溝742から出たところから玉留め11bまでの間が、被作用部11cとなる。
【0064】
続いて、作動体85を説明する。作動体85は、回転軸82を中心として回転する回転体81の周面上に設けられている。回転体81は、基台5に固定されたブラケット83,83に支承されている。3つの作動体85,,は、互いに異なる回転位相で回転体81の周面上に配置されており、各作動体85は回転体81の周面から回転軸82を中心とする放射方向へ突出する突起形状を有している。回転軸82の軸方向は、クラッカー支持体61の軸線方向と略直交しており、作動体85は回転体81の回転に伴って回転軸82を中心とする円周方向へ移動することができる。
【0065】
作動体85は、回転軸82を中心とする放射方向へ延びる板状の基部851と、この基部851と略直交する板状の爪部852とで、側面視において略L字状に一体的に形成されている。基部851に対して爪部852は、作動体85の移動方向へ向けて突出している。作動体85には、クラッカー支持体61の軸線の延長線上を通るように切り込まれた細溝853が形成されている。つまり、引紐案内体71の案内溝742と、作動体85の細溝853とは、共にクラッカー支持体61の軸線の延長線上に位置している。本実施の形態に係る作動体85では、細溝853は爪部852と基部851の一部とにわたって連続して設けられている。この細溝853は引紐11が通る程度の幅であり、細溝853の開口部分は引紐11を導入し易いように扇状に拡がっている。そして、回転体81の回転に伴い円周方向に移動する作動体85の爪部852が、引紐案内体71の第一の向き31の端部と接触はしないが極めて近接して通過するように、作動体85と引紐案内体71との位置関係が定められている。
【0066】
ここで、図9を参照しながら、上記構成のクラッカー連発装置4の使用方法と動作を説明する。初めに、クラッカー支持体61にクラッカー10を装着する。クラッカー10のクラッカー支持体61への装着の手順は前述したとおりである。クラッカー支持体61に装着されたクラッカー10の引紐11は第一の向き31へ延出されており、この引紐11の被作用部11cは引紐案内体71によって作動体85の移動の軌跡と交わる位置に案内されている。引紐案内体71による引紐11の案内の手順は前述した通りである。
【0067】
上述のようにして全てのクラッカー10,,が装着された状態で、ハンドル84を操作して回転体81を回転させる。すると、作動体85は、回転体81の回転に伴って回転軸82を中心とする円周方向(図9の矢印36の方向)へ移動する(図9(a)参照)。やがて、作動体85と引紐11の被作用部11cとが当接し、作動体85の細溝853に引紐11の被作用部11cが挿入される(図9(b)参照)。引紐11の玉留め11bが細溝853からの抜け止めとなり、作動体85が円周方向へさらに移動すると引紐11が引っ張られる。これにより、クラッカー10の本体12から引紐11が引き出され、この引紐11の引き代が所定の長さになるとクラッカー10が鳴る(図9(c)参照)。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るクラッカー連発装置は、単独で利用されるだけでなく、他の装置に組み込んで又は他の装置と組み合わせて利用することもできる。例えば、クラッカー連発装置の回転体にオルゴールを組み合わせてオルゴールが奏でる音楽と合わせてクラッカーが鳴るようにしたり、くす玉にクラッカー連発装置を内装してくす玉の割れる瞬間にクラッカーを連発して鳴らすようにしたり、銃を模した筐体にクラッカー連発装置を内装して回転軸と連結させた引き金を引いてクラッカーを鳴らすようにしたりするなど、クラッカー連発装置を多岐にわたって活用することができる。
【符号の説明】
【0069】
4 クラッカー連発装置
5 基台
6 クラッカー作動機構
10 クラッカー
11 引紐
61 クラッカー支持体
71 引紐案内体
81 回転体
82 回転軸
84 ハンドル
85 作動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体から延出されている引紐が更に引き出されることによって音が鳴るクラッカーを鳴らすための装置であって、
引紐が第一の向きへ引き出され且つ本体が第一の向きへ移動できないようにクラッカーを支持するクラッカー支持体と、
クラッカー支持体から第一の向きへ離れて配置され、第一の向きと略直交する回転軸を中心として回転する回転体の周面に設けられた作動体と、
クラッカー支持体と作動体との間に配置され、クラッカー支持体に支持されたクラッカーの引紐の一部分を被作用部としたときに、この被作用部を回転体の回転に伴う作動体の移動の軌跡と交わる位置へ案内する引紐案内体とを、
複数組備えているクラッカー連発装置。
【請求項2】
複数の前記作動体は、相互に異なる回転位相となるように前記回転体の周面に設けられている、請求項1に記載のクラッカー連発装置。
【請求項3】
前記作動体は、前記回転体の周面から前記回転軸を中心とする放射方向へ突出する突起形状を有し、
前記引紐案内体は、引紐の被作用部を前記回転軸の軸方向と略平行となるように案内して支持する支持部を有する、請求項1又は請求項2に記載のクラッカー連発装置。
【請求項4】
前記作動体は、引紐に対して作用する部位に、前記回転軸の軸方向と略直交する方向へ延びる溝を備えている、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のクラッカー連発装置。
【請求項5】
前記引紐案内体は、前記回転軸の軸方向と略平行に並ぶ第一の支持部及び第二の支持部と、この第一の支持部と第二の支持部の間に掛け渡された引紐の状態を維持するために引紐を留める留め部とを有するとともに、この第一の支持部と第二の支持部との間を前記作動体の移動の軌跡が通るように配置されている、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のクラッカー連発装置。
【請求項6】
前記引紐案内体は、前記回転軸の軸方向と略平行に並ぶ第一の支持部及び第二の支持部を有し、輪に成形された引紐を周囲に巻き掛けることのできる柱状体であり、この第一の支持部と第二の支持部との間を前記作動体の移動の軌跡が通るように配置されている、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のクラッカー連発装置。
【請求項7】
前記作動体は、前記引紐案内体の第一の支持部及び第二の支持部の間を上向きに通るように移動し、前記引紐案内体の上面は第一の向きに上る傾きを備えている、請求項6記載のクラッカー連発装置。
【請求項8】
前記クラッカー支持体から第一の向きと逆向きに離れた位置に、クラッカーが鳴るときに放出される爆風を利用して動作する爆風利用体を備えている、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のクラッカー連発装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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