説明

クラブケース

【課題】 ゴルフのラウンド中に使用する数本のゴルフクラブを持ち運ぶ際に使用するのに適したクラブケースにおいて、ゴルフクラブの出し入れの利便性を損なうことなく、ゴルフコース内を移動中にゴルフクラブが抜け落ちてしまうことを解決できるクラブケースを提供すること。
【解決手段】
ゴルフクラブCの収納部2を備えた本体部1と、前記本体部1の上部に形成された開口部3と、を備えたクラブケース10であって、前記収納部2からのゴルフクラブCの抜け落ちを防止するため、当該収納部2内面のほぼ中央部にゴルフクラブCのシャフトSと接触する滑り止め部5を配置したことを特徴とするクラブケース10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブを収納して持ち運ぶために使用するクラブケースに関するものであって、特にゴルフのラウンド中において数本のゴルフクラブを入れて持ち歩くのに好適なクラブケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのラウンド中においては、一般的にパター以外の全てのゴルフクラブをキャディバッグに入れ、それを乗用のゴルフカートに載せておき、ピンまでの距離に応じて必要なゴルフクラブを選択してキャディーバッグから取り出してプレーを進めている。
【0003】
そして、ゴルフカートは所定のカート道に沿って走行するため、ボールの位置とカートとの間を何度も歩いて往復するということを防いでプレーを迅速に進めるために、ティーショット後に使用するゴルフクラブとして、フェアウエーウッド、ピッチングウェッジ、サンドウェッジ、その他のアイアン、パターなどから3〜5本程度のゴルフクラブを選択して持ち運ぶことが為されている。
このため、従来、上記のようにゴルフのラウンド中において数本のゴルフクラブのみを入れて移動するのに好適な小型で口が開いたままのクラブケースが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
しかしながら、かかる従来のクラブケースにおいては、ゴルフクラブの出し入れの利便性を考慮して開口部がなるべく大きく開口するように円形に形成されている。従って、起伏のあるゴルフコース内でクラブケースを持ち歩いていると、クラブケースの外にはみ出しているクラブヘッドが重いため、クラブケースの開口部側が下向きになるなどしてゴルフクラブが抜け落ちてしまうことがあるという欠点があった。
特にクラブケース内で他のゴルフクラブの上に積み重ねられたゴルフクラブは、他のゴルフクラブの上を滑ってクラブケースから抜け落ちやすくなっていた。
【0005】
なお、特許文献2に記載のクラブケースは、開口部が小径の円形となっているため、ゴルフクラブの抜け落ちを防ぐにはある程度有効ではあるが、開口部が小さいためゴルフクラブの出し入れをスムーズに行い難いという欠点があった。
【0006】
上記にて説明したように、ゴルフのラウンド中において数本のゴルフクラブのみを持ち運ぶのに好適な従来のクラブケースにおいては、ゴルフクラブの出し入れの利便性を損なうことなく、ゴルフコース内を移動中にクラブケースからゴルフクラブが抜け落ちてしまうことを防ぐ有効な技術については提案されていなかった。
また、クラブケースを地面に立てるための脚や地面に突き刺すステッキ状の棒材を備えた従来のクラブケースは、重量が増えたり運搬や保管に不便であるという欠点もあった。
【0007】
なお、上記のようにゴルフのラウンド中にゴルフクラブが抜け落ちてしまうという問題は、キャディーバッグを担いでラウンドするというセルフプレーに際しても生じていた。
これは、従来のキャディバッグにおいては、その内底部にグリップを嵌め込んでゴルフクラブのガタつきを防ぐというような考慮がされているものはあっても、キャディバッグをほぼ水平にしたような場合にゴルフクラブの抜け落ちを防止するということが考慮されていなかったためである(特許文献3、特許文献4)。
【0008】
特に従来のキャディバッグにおいては、キャディバッグの内底部に挟まれるように保持されていたゴルフクラブのグリップエンドが内底部から一旦外れると、その後は何らゴルフクラブの抜け落ちを防ぐ有効な作用が発揮されることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国意匠特許第372126号公報
【特許文献2】米国意匠特許第322831号公報
【特許文献3】特開平10−108929号公報
【特許文献4】特開2002−248185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ゴルフのラウンド中において使用するゴルフクラブを入れて持ち歩く際に使用するのに適したクラブケースにおいて、ゴルフコース内を移動中にゴルフクラブが抜け落ちてしまうことであり、本発明の目的は、そのような問題を解決するクラブケースを提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の他の目的は、ゴルフのラウンド中において使用する数本のゴルフクラブを入れて持ち歩く際に使用するのに適したクラブケースにおいて、ゴルフクラブの出し入れの利便性を損なうことなく、ゴルフコース内を移動中にゴルフクラブが抜け落ちてしまうことを解決するクラブケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ゴルフクラブの収納部を備えた本体部と、前記本体部の上部に形成された開口部と、を備えたクラブケースであって、
前記収納部からのゴルフクラブの抜け落ちを防止するため、当該収納部内面のほぼ中央部にゴルフクラブのシャフトと接触する滑り止め部を配置したクラブケースを最も主要な特徴とするものである。
前記収納部内面の底部付近にも滑り止め部を設け、ゴルフクラブのシャフト及びグリップと接触するようにしてもよい。
【0013】
前記本体部は、前記収納部のほぼ中央部ないし開口部付近が、収納部内に収納されるゴルフクラブの重量を支えることができ、かつ、ゴルフクラブの重量により変形する柔軟な素材から構成されており、ゴルフクラブの重量による収納部の変形に基づいて前記滑り止め部がゴルフクラブのシャフトと接触するようになっていてもよい。
また、前記本体部は、開口部に筒状の保形材を備えていてもよく、前記収納部は、下部が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。
【0014】
前記滑り止め部は、ポリ塩化ビニル製又はポリウレタン製であってもよく、前記滑り止め部は、合成皮革又は人工皮革の表面がゴルフクラブのシャフトと接するように、合成皮革又は人工皮革を前記収納部の内面に配置することで構成されていてもよい。
【0015】
前記滑り止め部を構成する表面素材は、ゴルフクラブのシャフトを水平に載せた幅21cmの表面素材を2つ折りにしてゴルフクラブを吊し、ゴルフクラブのグリップ側を50mm/分にて1分間水平方向に引いた場合の引張力の平均値が約1.4N以上の摩擦抵抗を発揮するものであるとよい。
【0016】
前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、前記開口部は、前記把持部が設けられた前記本体部側から離れるに従って前記本体部の下方に向いて斜めに形成されているとよい。
【0017】
また、前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、前記開口部は、筒状の保形材によって前記把持部側が広く、把持部側から離れるに従って狭くなる形状に維持されているとよい。
【0018】
前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、前記滑り止め部は、前記把持部が設けられた側の前記本体部の内面に沿って形成されていてもよい。
前記本体部は、前記収納部の滑り止め部が設けられた内面以外の部分の裏地が本体部の表生地と密着しておらず、ゴルフクラブのシャフト又はグリップと広範囲に亘り面接触するようになっていてもよい。
なお、前記本体部は、折り畳み可能となっていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクラブケースは、滑り止め部がゴルフクラブのシャフトと接触することにより、ゴルフのラウンド中においてゴルフクラブが収納部内から抜け落ちることを防止することができる。
収納部内の底部にも設けられた滑り止め部が、ゴルフクラブのグリップとも接触することで、前記の抜け落ち防止効果をさらに高めることができる。
【0020】
本発明のクラブケースは、ゴルフクラブの重量により変形する柔軟な素材から構成されており、持ち運びの際にゴルフクラブの重量による収納部の変形に基づいて前記滑り止め部がゴルフクラブのシャフトと接触するようにすることで、滑り止め部によるゴルフクラブの抜け落ち防止効果を高めることができるという利点がある。
【0021】
一方、クラブケースからゴルフクラブを取り出す際には、クラブケースの下端部を地面に置くことで、クラブケースがほぼ直立した状態となるため、クラブケースがゴルフクラブの重量により変形することはない。従って、滑り止め部がゴルフクラブのシャフトに接触することによりゴルフクラブの取り出しに支障を生じることを避けることができる。
即ち、本発明のクラブケースにゴルフクラブを挿入したり、クラブケースからゴルフクラブを取り出す操作については、スムーズに行うことができる。
【0022】
本発明のクラブケースは、開口部に筒状の保形材を備えることで、開口部を大きく開口させた状態で維持することができ、ゴルフクラブの出し入れを容易に行うことができる。
また、前記収納部の下部を徐々に狭くなるように形成することで、ゴルフクラブのグリップ同士を互いに密着させ、かつ、グリップと滑り止め部との接触力を高めることで、ゴルフクラブの抜け落ち防止効果を高めることができる。
【0023】
本発明の滑り止め部を入手が容易なポリ塩化ビニル製又はポリウレタン製とすることで、ゴルフクラブの抜け落ち効果を容易に得ることができる。
また、前記滑り止め部を構成する合成皮革又は人工皮革の表面がゴルフクラブのシャフトと接するようにすることで、収納部内の外観の向上と、収納部内面の強度及び耐久性の向上とを得ることができる。
前記滑り止め部を構成する表面素材を所定値以上の摩擦抵抗を有するものから選択することで、ゴルフクラブの抜け落ち防止効果を簡単かつ確実に得ることができる。
【0024】
さらに、前記開口部が、前記把持部側から離れるに従って前記本体部の下方に向いて斜めに形成されるようにすることで、クラブケースの上端の開口面が傾斜し、開口面積が広くなるとともに、把持部を本体部の上端位置に近づけて固定でき、持ち運びの際において本体部をなるべくクラブヘッドが水平より上方に向くようにすることができる。
また、ゴルフクラブを取り出す際にクラブケースを直立させ易くすることができる。
【0025】
また、前記開口部が、筒状の保形材によって前記把持部側が広く、把持部側から離れるに従って狭くなる形状とすることで、開口部から収納部内へゴルフクラブを挿入したり、収納部からゴルフクラブを取り出すのが容易となる。さらには、クラブケースの持ち運びの際に開口部の狭くなっている頂点側が下になるため、そこにゴルフクラブのシャフトが集まって互いに密着することにより、収納部に収納されたゴルフクラブが開口部から抜け落ちることをより一層効果的に防ぐことができる。
【0026】
前記滑り止め部が、前記把持部の設けられた側の前記本体部の内面に沿って形成されていることで、効率的にゴルフクラブの抜け落ち防止効果を得ることができ、さらには収納部内の他の部分に滑り止め部が形成されていないことで、収納部内へのゴルフクラブの挿入をスムーズに行うことができる。
【0027】
前記収納部の滑り止め部が設けられた内面以外の部分の裏地が本体部の表生地と密着しておらず、ゴルフクラブのシャフト又はグリップと広範囲に亘り面接触するようになっていることで、ゴルフクラブの抜け落ち効果を高めることができる。
また、前記本体部を折り畳み可能とすることで、運搬及び保管に便利なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は収納されたゴルフクラブの抜け落ちを防いでいる様子を示す本発明のクラブケースの断面図である。(実施例1)
【図2】図2は本発明のクラブケースの使用状態を示す断面図である。(実施例1)
【図3】図3は本発明のクラブケースを示し、(a)は肩掛けを取り付けた本体部の正面図、(b)は肩掛けを外した本体部の右側面図である。(実施例1)
【図4】図4は本発明のクラブケースの開口部及び収納部内面を示す平面図である。(実施例1)
【図5】図5は本発明のクラブケースの断面図である。(実施例1)
【図6】図6は本発明のクラブケースの把持部をキャディバッグの口枠に掛けた使用状態を示す側面図である。(実施例1)
【図7】図7は本発明のクラブケースに収納したゴルフクラブのシャフトの様子を示す平面図である。(実施例1)
【図8】図8は本発明の滑り止め部と補強部の縫い付け部の様子を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図9】図9は本発明の滑り止め部の表面素材とゴルフクラブのシャフトとの摩擦抵抗の大きさを試験している状態を示す側面図である。(実施例1)
【図10】図10は本発明のクラブケース内におけるゴルフクラブの様子を示す断面図であって、(a)はクラブケースを立てた状態を示す断面図、(b)はクラブケースを斜めに傾けた通常の使用状態を示す断面図、(c)はクラブケースを水平にした状態を示す断面図、(d)はクラブケースの開口部が下に向いた状態を示す断面図である。(実施例1)
【図11】図11は本発明の他の実施例のクラブケースを示す図であって、(a)は開口部を示す平面図、(b)はクラブケースに肩掛けを取り付けた本体部の背面図、(c)は肩掛けを外した本体部の正面図、(d)は肩掛けを外した本体部の左側面図である。(実施例2)
【図12】図12は本発明の他の実施例のクラブケースを示す図であって、(a)は開口部を示す平面図、(b)は本体部の正面図、(c)は本体部の右側面図、(d)は把持部と開口部の保形材を示す斜視図である。(実施例3)
【図13】図13は本発明の他の実施例のクラブケースを示す断面図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のクラブケースは、ゴルフクラブの収納部を備えた本体部と、前記本体部の上部に形成された開口部と、を備えており、当該収納部内面のほぼ中央部にゴルフクラブのシャフトと接触する滑り止め部を配置することで、前記収納部からのゴルフクラブの抜け落ちを防止することを実現した。
本発明のクラブケースは、前記収納部内面の底部付近にも滑り止め部を設け、ゴルフクラブのシャフト及びグリップと接触するようにしてもよい。
【0030】
さらに、前記本体部は、前記収納部のほぼ中央部ないし開口部付近が、収納部内に収納されるゴルフクラブの重量を支えることができ、かつ、ゴルフクラブの重量により変形する柔軟な素材から構成することで、ゴルフクラブの重量による収納部の変形に基づいて前記滑り止め部がゴルフクラブのシャフトと接触するようになっていてもよい。
また、前記本体部は、開口部に筒状の保形材を備えていてもよく、前記収納部は、下部が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。
【0031】
前記滑り止め部は、ポリ塩化ビニル製又はポリウレタン製であってもよく、前記滑り止め部は、合成皮革又は人工皮革の表面がゴルフクラブのシャフトと接するように、合成皮革又は人工皮革を前記収納部の内面に配置することで構成されていてもよい。
【0032】
特に、前記滑り止め部を構成する表面素材は、ゴルフクラブのシャフトを水平に載せた幅21cmの表面素材を2つ折りにしてゴルフクラブを吊し、ゴルフクラブのグリップ側を50mm/分にて1分間水平方向に引いた場合の引張力の平均値が約1.4N以上の摩擦抵抗を発揮するものであるとよい。
【0033】
本発明のクラブケースは、前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、前記開口部は、前記把持部が設けられた前記本体部側から離れるに従って前記本体部の下方に向いて斜めに形成されているとよい。
また、前記開口部は、筒状の保形材によって前記把持部側が広く、把持部側から離れるに従って狭くなる形状に維持されているとよい。
さらに、前記滑り止め部は、前記把持部が設けられた側の前記本体部の内面に沿って形成されていてもよい。
【0034】
前記本体部は、前記収納部の滑り止め部が設けられた内面以外の部分の裏地が本体部の表生地と密着しておらず、ゴルフクラブのシャフト又はグリップと広範囲に亘り面接触するようになっていてもよく、前記本体部は、折り畳み可能となっていてもよい。
【実施例1】
【0035】
本発明を具体化したクラブケース10について、以下、説明する。
クラブケース10は、図1〜図5に示すように、パター、ピッチングウェッジ、サンドウェッジ、その他のアイアン、フェアウエーウッドなどのゴルフクラブCを計3〜5本程度入れてゴルフのラウンド中にゴルフコース内で持ち運ぶのに適した大きさにて軽量で柔軟な生地を用いて設けられている。
【0036】
1は、細長い袋状に形成された本体部であって、その外面は、ポリウレタン製のやや厚めの柔軟な表面シートを備えた合成皮革からなる表生地1aと、ポリエステル製の薄くて丈夫な織布に発泡シートをクッション材として裏打ちした柔軟性の高い表生地1bから構成されている。
2は、前記本体部1内に形成された収納部であって、前記本体部1の表生地1a,1b及び裏地1cの側辺部と底辺部を縫合することで形成され、寸法上7本程度までのゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSを収納することができるようになっている。
【0037】
3は、前記本体部1の上端部に形成された開口部であって、前記収納部2内へゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSを挿入できるように常時開いた状態となっている。
そして、前記開口部3付近の収納部2の形状を安定させるため、厚さ約2mm程度の発泡ポリエチレン製の板材を略二等辺三角筒状に形成した保形材3aが開口部3の付近に取り付けられている。
【0038】
4は、前記本体部1の上部に固定されフックとしても機能する把持部であって、前記表生地1aと対応する位置にて前記保形材3aと固定されている。そして、当該把持部4の上端部は、前記本体部1から延び出るように鉤形(逆U字状)に湾曲した後、下方へ斜めに延びて本体部1から徐々に離間するように形成されている。
【0039】
従って、前記把持部4を持つことでクラブケース10をゴルファーが手で直接持ち運ぶことができるとともに、図6に示すように、当該把持部4をフックとして機能させてクラブケース10をキャディバッグ50の開口部51(口枠)に掛けるようにして保持させ、ゴルフカート60にてクラブケース10を運ぶことができる。
【0040】
なお、前記把持部4の上端部が本体部1から延び出るように湾曲しているため、把持部4の上部と本体部1との間に手(指)を挿入して把持部4の上端位置にてクラブケース10を持ち易いようになっている。
【0041】
5は、前記収納部2の内底部(下端部の一側面)から開口部3付近まで設けられた滑り止め部であって、皮シボの表面加工がされたポリ塩化ビニル(PVC)製の生地(合成皮革)から構成され、その生地の表面側が収納部2の内面となり、ゴルフクラブCのシャフトS及びグリップGと接するようになっている。
【0042】
この滑り止め部5は、前記把持部4が固定されている本体部1の表生地1aの裏面に沿うように配置されているが、図7及び図8に示すように、本体部1の表生地1aとは辺縁部にて縫い付けられており、辺縁部以外の部分が、ゴルフクラブCのシャフトSとの接触面積を増大させるために表生地1aから若干浮いた状態となっている。
【0043】
前記滑り止め部5として用いるのに好適な表面素材を選定するため、各種の表面素材と、ゴルフクラブCのシャフトSとの間に作用する滑り止め効果(摩擦抵抗)について試験したところ、下記の表1に示すとおりの結果となった。
試験方法: 図9に示すように、試験片として滑り止め部5の生地(幅210mm、長さ220mm)を二つ折りにして揃え、その長さ方向の両端部を各5mmづつクランプCPにて締めて水平に保持し、当該滑り止め部5の生地上にゴルフクラブCのシャフトSの露出部分の中央部を載せる。
【0044】
このとき、ヘッドHの重さによりシャフトSのヘッドH側が下向きの状態となる。そこで、シャフトSが水平状態となるように万能材料試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAG−5KNIS)と定滑車Fを用いてグリップGをワイヤWにて斜め下方に引く。そして、幅210mmの生地とシャフトSとの間に生じる摩擦抵抗を測定するため、その1分間の試験力の平均値を記録した。
なお、シャフトSの下側と接する試験片の上面からクランプCPの下端までの距離は100mmとなっている。
また、グリップGとワイヤWとは、試験結果に影響しない程度の軽量で丈夫なテープとナスカンを用いて固定した。
【0045】
上記試験の条件は、以下の通りである。
材料試験機による引張速度:50mm/min
材料試験機による引張距離:50mm
シャフトSの中心線と定滑車Fの中心との高低差:100mm
定滑車Fの直径:50mm
室温:摂氏23度
【0046】
試験に用いたアイアン(サンドウェッジ)のスペック
シャフトの材質:カーボン
シャフトの表面塗装:アクリル樹脂塗装
クラブの総重量:387g
グリップの重量:46g
ヘッドの重量:289g
【0047】
試験に用いたフェアウエーウッド(5W)のスペック
シャフトの材質:カーボン
シャフトの表面塗装:ポリウレタン系樹脂塗装
クラブの総重量:332g
グリップの重量:50g
ヘッドの重量:214g
【0048】
試験に用いた生地(試験片)の詳細
試験片1:
厚さ約0.8mmのエナメル生地(合成皮革)であって、柔軟であるが伸縮性がほとんど無く、裏地は織布である。表面は、PVCのツヤ有り加工がされており、平滑でしっとり密着する触感がある。また、生地を指先に押し付けてもほとんど窪むことがなく表面はやや硬めである。
試験片2:
厚さ約5mmのスポンジゴム(EPDMゴム)のシート材であって、柔軟で伸縮性に富んでいる。表面は、ツヤが無く、柔らかく指で押すと窪み、平滑でしっとり密着する触感がある。
【0049】
試験片3:
厚さ約0.5mmの生地(合成皮革)であって、柔軟で伸縮性が有り、裏地は織布である。表面は、ポリウレタン(PU)の細かい皮シボ加工がされており、しっとり密着する触感がある。また、生地を指先に押し付けると柔らかくよく窪む。
試験片4(実施例1に使用した素材):
厚さ約0.9mmの生地(合成皮革)であって、柔軟で弱い伸縮性が有り、裏地は織布である。表面は、ポリ塩化ビニル(PVC)の粗めの皮シボ加工がされており、しっとり密着する触感がある。また、生地を指先に押し付けても窪みは少ない。
【0050】
試験片5:
厚さ約0.5mmの生地(合成皮革)であって、柔軟で伸縮性が有り、裏地は織布である。表面は、ポリウレタン(PU)のツヤ有り加工がされており、平滑でしっとり密着する触感がある。また、生地を指先に押し付けると柔らかくよく窪む。
試験片6:
厚さ約0.9mmの生地(合成皮革)であって、柔軟であるが伸縮性がほとんど無く、裏地は織布である。表面は、ポリウレタン(PU)のツヤ有りで細かいエンボス加工がされており、しっとり密着する触感がある。また、生地に指先を押し付けてもほとんど窪むことがなく表面はやや硬めである。
【0051】
試験片7:
厚さ約0.7mmの生地(合成皮革)であって、柔軟であるが伸縮性がほとんど無く、裏地は織布である。表面は、ポリウレタン(PU)のツヤ無しで細かい皮シボ加工がされているが、しっとり密着する触感に欠け、さらっとした触感がある。また、生地を指先に押し付けてもほとんど窪むことがなく表面は硬めである。
試験片8:
厚さ約1mmの合成ゴムのシート材であって、柔軟である程度の伸縮性が有る。表面は、ツヤが無く、平滑でしっとり密着する触感がある。また、表面はやや硬めであるが、生地を指先に押し付けると窪む。
試験片9:
厚さ約0.1mmのポリエステルの織布生地であって、柔軟で織り糸の斜め方向の伸縮性が有る。表面は、しっとり密着する触感が無く、さらっとした触感がある。
【0052】
【表1】

【0053】
上記の結果、滑り止め部5の表面素材として、PVC又はPUを用いることができることが判明したが(特にPVCは表面の状態に影響されにくく良好な結果を得られた。)、表面加工の状態によりシャフトSに対する滑り止め効果が変動することも明らかとなった。
そこで、上記の結果を踏まえて実際に製品化を行い試験したところ、上記の試験方法によって得られる1.4N以上の数値を発揮できる素材が本発明の実施に際して滑り止め部として好適に用いることができた。
【0054】
なお、上記の試験方法によって得られる1.0N程度の数値の素材であっても、従来のクラブケースでは発揮できなかった本発明の意図する滑り止め効果(抜け落ち防止効果)を発揮できたものの、実施の形態(滑り止め部の配置や収納部の形状や強度の相違など)又はクラブケースの使用態様によってはゴルフクラブCの抜け落ちを防止できない場合もあった。
【0055】
6は、前記表生地1aの下端部を閉じるかしめ金具であって、本体部1及び収納部2の強度及び耐久性を高めるためのものである。
7は、前記表生地1aの辺縁部に縫い付けられた補強部であって、前記滑り止め部5の長手方向に沿うように設けられており、図8に示すように、直径約3mmのPVC製の細長い棒状の芯材7aを本体部1の表生地1aと同様の生地にて包み込むようにしてから縫い付けることで形成されている。
かかる補強部7により、前記把持部4が設けられた本体部1の表生地1a側にはゴルフクラブCが抜け落ちようとする際の重量を支える十分な強度(腰)が得られる。
【0056】
しかしながら、本体部1には折り畳みを不能とするような硬い長尺状の部材が使用されていないため、本体部1を3つ折り程度に折り曲げてキャディバッグ又は他のバッグに収納して運搬することは可能となっている。
【0057】
8は、クラブケース10持ち運ぶための肩掛けベルトであって、前記把持部4の上下位置にて本体部1に固定された環状金具8aに対して上下の端部が着脱可能となっている。
この上側の環状金具8aの取付位置は、開口部3の上端近傍となっており、肩掛けベルト7を肩に掛けて本体部1を持ち歩く際には、図10(b)に示すように、開口部3が上を向いた状態となり、ゴルフクラブCの抜け落ちを確実に防ぐことができるばかりか、スコアカードにスコアを記入する際に便利である。
【0058】
なお、前記開口部3は、前記保形材3aが配置されていることにより、把持部4側が広く、把持部4側から離れるに従って狭くなるように、即ち、把持部4側を底辺とする略二等辺三角形状に形状が維持されている。さらに、前記開口部3の頂点側(把持部4の反対側)が斜め下方位置に形成されることで、クラブケース10の上端の開口面が傾斜し、開口面積が広くなるとともに、把持部4を本体部1の上端位置に近づけて固定でき、使用時において本体部1をなるべくクラブヘッドHが水平より上方に向くようにすることが可能となる。
【0059】
上記の構成により、開口部3から収納部2内へゴルフクラブCを挿入したり、収納部2からゴルフクラブCを取り出すのが容易となる。さらには、図7に示すように、クラブケース10の持ち運びの際に開口部3の狭くなっている頂点側が下になるため、そこにゴルフクラブCのシャフトSが重力及び遠心力にて集まるようになる。
このようにゴルフクラブCのシャフトSが互いに密着するように接することにより、収納部2に収納されたゴルフクラブCが開口部3から抜け落ちることをより一層効果的に防ぐことができる。
【0060】
さらに、前記本体部1は、前記把持部4が設けられている側面が、下方ほど幅狭となっており、本体部1内の収納部2が下方ほど狭くなっている(下すぼまり)。
また、前記本体部1の合成樹脂製の織布からなる裏地1cは、本体部1の表地1bと密着しておらず、収納部2内においてゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSが裏地1cと広範囲で当接する。
従って、これらの構成によって収納部2内面とゴルフクラブCとの間に生じる摩擦力により、収納部2内からゴルフクラブCが抜け落ちることを防ぐ効果をさらに発揮するようになっている。
【0061】
なお、前記本体部1の長さは、前記把持部4と対応する部分において約885mm、前記開口部3の頂点と対応する部分において約840mmとなっており、一般的な男性ゴルファーが本体部1内にゴルフクラブを数本収納した状態で把持部4を持った場合に、図 2に示すような角度にてバランスが得られるようになっている。
従って、本体部1の底部が地面に擦ることを効果的に回避できるとともに、本体部1に収納されたゴルフクラブが開口部3から抜け落ちることを防ぐことができる。
【0062】
さらに、ピッチングウエッジ、サンドウエッジなどの短いゴルフクラブCを水平状態とした際の重心位置は、グリップエンドから約70cm程度となっているため、図10(c)に示すように、ゴルフクラブCが収納部2内で水平になってもゴルフクラブCのヘッドH側が下向きとなることはなく、ゴルフクラブCが収納部2から抜け落ち始めることはない。
【0063】
しかしながら、歩行中にクラブケース10がさらに傾くことで、ゴルフクラブCが開口部3から抜け出し、ゴルフクラブCの重心位置が開口部3の外側に達すると、ゴルフクラブCが、図10(d)及び図1に示すように、ゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSの上側が滑り止め部5と当接する状態となる。
【0064】
ここで、ゴルフクラブCのシャフトSと接触する滑り止め部5は、収納部2内面のほぼ中央部に設けられている部分である。そして、かかる接触部分の位置は、収納部2の長さ又は大きさ、収納部2又は本体部1の柔軟性、保形材3aの大きさ、といった具体的な設計事項により、さらには、収納されているゴルフクラブCの種類及び本数などによって変動するといったある程度の幅を有するものである。
一般的には、収納部2の内底部からグリップGの長さ(約25〜27cm)分程度上方の位置を下端とし、そこからさらに30〜40cm上方の位置(開口部3から20〜30cmの位置)までを上端とする位置が、本発明において滑り止め部5を設けるのに適した「収納部内面のほぼ中央部」に相当する。
【0065】
なお、フェアウエーウッドなどの長いゴルフクラブCにおいては、水平状態とした際の重心位置が収納部2から常に外に出た状態となるため、ゴルフクラブCのシャフトS又はグリップGが滑り止め部5に当接する作用が生じ易くなる。
【0066】
上記のようにゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSの上側が滑り止め部5と当接する状態においては、ゴルフクラブCのヘッドHの重量によって「てこ」の原理による上向きの力が収納部2内のグリップG及びシャフトSに作用するため、ゴルフクラブCがそれ以上クラブケース10から抜け出すことが効果的に防止される。
前記滑り止め部5と直接接していない他のゴルフクラブCも、グリップGなどが収納部2内にて詰まるような状態となり、クラブケース10から抜け出すことが防止される。
【0067】
さらに、上記のように開口部3が下を向くように本体部1を傾けた場合には、ゴルフクラブCの重量により、図10(d)及び図1に示すように、保形材3aの下方の滑り止め部5及び表地1aが下方に引かれて収納部2を閉じるように本体部1が変形する。
よって、ゴルフクラブCのシャフトSが収納部2内にて締め付けられるようになり、ゴルフクラブCがそれ以上クラブケース10から抜け出すことがより一層効果的に防止される。
【0068】
また、図5及び図7に示すように、裏地1cと保形材3aとの境界部分Bに段差が形成され、その境界部分BにグリップGが引っ掛かることによっても、ゴルフクラブCがクラブケース10から抜け出すことが防止される。
【0069】
上記にて説明したように、本実施例のクラブケース10は、
構成(1):把持部4が設けられた側面に対応する収納部2の内面(上部から底部まで)に滑り止め部5が形成されていること
によって、収納部2からゴルフクラブCが抜け出すことを防ぐことができるばかりか、次のような構成(2)〜(10)によっても収納部2からゴルフクラブCが抜け出すことをより一層効果的に防いでいる。
【0070】
構成(2):本体部1及び本体部1内の収納部2が下部ほど狭くなっており収納部2の下部にてゴルフクラブCのグリップG同士が密着するようになっていること。
構成(3):収納部2の下部が柔軟な素材から構成されており、収納部2内面がゴルフクラブCのグリップG及びシャフトSの側面形状に沿うように変形し、ゴルフクラブCとの接触面積が増大するようになっていること。
構成(4):開口部3が把持部4から離れるほど下方に向いて斜めに形成されており把持部4及び肩掛けベルト8の取付位置を本体部1の上端に近づけることができるため、クラブケース10の使用時において本体部1がなるべくクラブヘッドHが水平より上方に向くようにすることができること。
【0071】
構成(5):開口部3が把持部4から離れるほど(下側ほど)狭くなっており開口部3付近にてゴルフクラブCのシャフトS同士が密着するようになっていること。
構成(6):収納部2の内面を構成する裏地1cが本体部1の表地1bと密着しておらずグリップGと広範囲で密着すること。
構成(7):本体部1がゴルフクラブ1の重量を支えられる程度の強度を有していること(補強部7を設けたことによる腰があること)。
【0072】
構成(8):把持部4を持つと本体部1の下部がゴルフクラブの重量により下方へ垂れ下がり開口部3付近ないし本体部1の中央部付近の収納部2が閉じられるように変形すること。
構成(9):開口部3付近に設けられた保形材3aとその下方にある裏地1cとの間の境界部分Bに段差が形成されていること。
構成(10):ショートアイアンなどの短いゴルフクラブにおいて、グリップエンドから長手方向の重心位置までの長さより、収納部2の長さの方が長いこと。
【0073】
さらに、本発明のクラブケース10は、以下の構成(11)〜(13)により、収納部2へゴルフクラブCを挿入すること、及び、収納部2からゴルフクラブCを取り出すことが容易となっている。
構成(11):開口部3に保形材3aを配置しており、開口部3が常時開いていること。
構成(12):開口部3の保形材3aが把持部4から離れるほど下方に向いて斜めに形成されており、開口面積が広くなっていること。
構成(13):クラブケース10の下端部を地面に置いてゴルフクラブCを出し入れする際にはクラブケース10がほぼ直立した状態となり、クラブケース10の本体部1がゴルフクラブCの重量によってほとんど変形しないため、滑り止め部5がシャフトSとほとんど接触することがないこと。
【実施例2】
【0074】
次に、本発明を具体化した他のクラブケース20について、図11に従って説明する。
本実施例のクラブケース20は、最大で7〜8本までのゴルフクラブCを収納してゴルフのラウンド中に使用するのに適した寸法及び強度に形成されている。
【0075】
21は、略円筒状の本体部であって、当該本体部21内にはゴルフクラブの収納部22が形成されるとともに、当該本体部21及び収納部22の下部は、徐々に狭くなるように形成されている。
さらに、前記本体部21及び収納部22は、収納部22内に収納されるゴルフクラブCの重量を支えることができ、かつ、ゴルフクラブCの重量により変形する柔軟な素材から構成されており、全体を折り曲げて運搬したり、収納・保管することもできるようになっている。
【0076】
23は、前記本体部21の上部に形成された開口部であって、当該開口部23近傍の本体部21には、把持部24が固定されている。
25は、前記収納部22の内面全体に設けられた滑り止め部であって、前記実施例と同様のPVC製の合成皮革生地から構成され、生地の表面側がゴルフクラブCのシャフトSと接触することで、ゴルフクラブCの抜け落ちを防止することができるようになっている。
【0077】
26は、前記本体部21の開口部23周辺に複数個設けられたベルト通しであって、面ファスナーを備えたベルト27を挿通可能となっている。そして、このベルト通し26に挿通されたベルト27を締め付けることで、前記開口部23を絞るように閉じて収納部22からゴルフクラブCが抜け出すことを確実に防止することができるようになっている。
28は、肩掛けベルトであって、前記本体部21の上部に固定された環状金具28aに対して着脱可能となっている。
【0078】
本実施例のクラブケース20は、前記収納部22内に数本のゴルフクラブCを入れると、当該収納部22の下部が狭くなっているため、ゴルフクラブCのグリップG同士が混み合って接触したり、グリップGが収納部22の下部の滑り止め部25と接触することで、ゴルフクラブCが収納部22から抜け出すことをある程度防止することができる。
【0079】
また、本実施例のクラブケース20内に数本のゴルフクラブCを入れた状態で前記把持部24によってクラブケース20を持ち上げると、前記実施例のクラブケース10と同様に、前記把持部24の下方位置付近の本体部21がゴルフクラブCの重量により折れ曲がるように変形する。
従って、ラウンド中においてクラブケース20の開口部23が下向きになった場合においても、前記収納部22内面のほぼ中央部の滑り止め部25がゴルフクラブCのシャフトSと接触することで、ゴルフクラブCが収納部22から抜け出すことを防止することができる。
【実施例3】
【0080】
次に、本発明を具体化した他のクラブケース30について、図12に従って説明する。
本実施例のクラブケース30は、前記実施例と同様に最大で7〜8本までのゴルフクラブCを収納してゴルフのラウンド中に使用するのに適した寸法及び強度に形成されている。
【0081】
31は、略円筒状の本体部であって、当該本体部31内にはゴルフクラブの収納部32が形成されるとともに、当該本体部31及び収納部32の下部は、徐々に狭くなるように形成されている。
さらに、前記本体部31及び収納部32は、収納部32内に収納されるゴルフクラブCの重量を支えることができ、かつ、ゴルフクラブCの重量により変形する柔軟な素材から構成されているが、前記実施例と同様に、全体を折り曲げて運搬したり、収納・保管することもできるようになっている。
【0082】
33は、前記本体部31の上部に形成された開口部であって、当該開口部33と隣接する本体部31には、フック状の把持部34が固定されており、この把持部34により、キャディーバッグの口枠またはゴルフカート60の枠などにクラブケース30を掛けることができる。
【0083】
さらに、前記開口部33は、前記把持部34が設けられた前記本体部31側から離れるに従って前記本体部31の下方に向いて斜めに形成されているため、前記収納部32内にゴルフクラブCを収納した場合に本体部31がなるべくクラブヘッドHが水平より上方に向くような重量バランスを得ることができる。
【0084】
35は、前記収納部32の内面において前記把持部34が設けられた側面に沿って所定の幅にて上下方向に設けられた滑り止め部であって、前記実施例と同様のPVC製の合成皮革生地から構成され、生地の表面側がゴルフクラブCのシャフトSと接触することで、ゴルフクラブCの抜け落ちを防止することができるようになっている。
36は、前記把持部34と一体に連結された円環状の口枠であって、前記本体部31の上端に組み込まれ、前記開口部33の形状を円形に維持するための保形材として機能するものである。
【0085】
本実施例のクラブケース30は、前記実施例のクラブケースと同様に、前記収納部32内に数本のゴルフクラブCを入れると、当該収納部32の下部が狭くなっているため、ゴルフクラブCのグリップG同士が混み合って接触したり、グリップGが収納部32の下部の滑り止め部35と接触することで、ゴルフクラブCが収納部32から抜け出すことをある程度防止することができる。
【0086】
また、本実施例のクラブケース30内に数本のゴルフクラブCを入れた状態で前記把持部34によってクラブケース30を持ち上げると、前記把持部34の下方位置付近の本体部31がゴルフクラブの重量により折れ曲がるように変形し、前記収納部32内面のほぼ中央部の滑り止め部35がゴルフクラブCのシャフトSと接触することで、ゴルフクラブCが収納部32から抜け出すことを防止することができる。
【実施例4】
【0087】
次に、本発明を具体化した他のクラブケース40について、図13に従って説明する。
本実施例のクラブケース40は、外観形状については前記実施例1のクラブケース10と同様に構成されており、最大で7〜8本までのゴルフクラブCを収納してゴルフのラウンド中に使用するのに適した寸法及び強度に形成されている。
【0088】
41は、略円筒状の本体部であって、当該本体部41内にはゴルフクラブの収納部42が形成されるとともに、当該本体部41及び収納部42の下部は、徐々に狭くなるように形成されている。
本実施例の前記本体部41及び収納部42は、収納部42内に収納されるゴルフクラブCの重量によっては変形しない硬質の材料から構成されている。
【0089】
43は、本体部41の上部に形成された開口部、44は、前記本体部41の上部に固定された把持部であって、これらの開口部43及び把持部44は、それおぞれ前記実施例1の開口部3及び把持部4と同様の形状にて設けられている。
45は、前記収納部42内面のほぼ中央部において把持部44の下方に対応する位置に突出形成された滑り止め部であって、前記各実施例にて使用した合成皮革の生地と同様の生地から設けられ、前記収納部42を部分的に緩やかに狭くするようにマウンド状に形成されている。
【0090】
この滑り止め部45は、前記収納部42から抜け落ちようとするゴルフクラブCのシャフトSと接触して(場合によってはさらにグリップGとも接触して)ゴルフクラブCが収納部42から抜け落ちるのを防止することができるものである。
この滑り止め部45の設置に際しては、本体部41との間に弾力性のある発泡材などを適宜配置することで、ゴルフクラブCのシャフトSとの接触具合を調整することも可能である。
【0091】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記本体部や滑り止め部の材質、寸法、強度、形状などを適宜変更したり、把持部を省略して肩掛けベルトのみを取り付けて実施することも可能である。
【0092】
また、把持部4、開口部3又は保形材3aの形状、寸法、設置位置などを適宜変更したり、保形材3aを省略して実施してもよい。
【0093】
さらに、本発明の滑り止め部の配置を適宜変更し、収納部内のより広範囲に滑り止め部を形成して実施したり、逆に底部付近の滑り止め部を省略して実施したり、収納部の長手方向の中央部又は開口部付近などにおいて収納部の内面を周回するように環状の滑り止め部を形成して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、ゴルフのラウンド中において数本のゴルフクラブを入れて持ち歩く用途に好適なクラブケースの製造において利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 本体部
1a 表地
1b 表地
1c 裏地
2 収納部
3 開口部
3a 保形材
4 把持部
5 滑り止め部
6 かしめ金具
7 補強部
7a 芯材
8 肩掛けベルト
8a 環状金具
10 クラブケース(実施例1)
20 クラブケース(実施例2)
21 本体部
22 収納部
23 開口部
24 把持部
25 滑り止め部
26 ベルト通し
27 ベルト
28 肩掛けベルト
28a 環状金具
30 クラブケース(実施例3)
31 本体部
32 収納部
33 開口部
34 把持部
35 滑り止め部
36 口枠
40 クラブケース(実施例4)
41 本体部
42 収納部
43 開口部
44 把持部
45 滑り止め部
50 キャディバッグ
51 開口部
60 ゴルフカート
B 境界部分
C ゴルフクラブ
CP クランプ
F 滑車
G グリップ
H ヘッド
S シャフト
W ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブの収納部を備えた本体部と、
前記本体部の上部に形成された開口部と、
を備えたクラブケースであって、
前記収納部からのゴルフクラブの抜け落ちを防止するため、当該収納部内面のほぼ中央部にゴルフクラブのシャフトと接触する滑り止め部を配置したことを特徴とするクラブケース。
【請求項2】
ゴルフクラブの収納部を備えた本体部と、
前記本体部の上部に形成された開口部と、
を備えたクラブケースであって、
前記収納部からのゴルフクラブの抜け落ちを防止するため、当該収納部内面のほぼ中央部及び底部付近にゴルフクラブのシャフト及びグリップと接触する滑り止め部を配置したことを特徴とするクラブケース。
【請求項3】
前記本体部は、前記収納部のほぼ中央部ないし開口部付近が、収納部内に収納されるゴルフクラブの重量を支えることができ、かつ、ゴルフクラブの重量により変形する柔軟な素材から構成されており、
ゴルフクラブの重量による収納部の変形に基づいて前記滑り止め部がゴルフクラブのシャフトと接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクラブケース。
【請求項4】
前記本体部は、開口部に筒状の保形材を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項5】
前記収納部は、下部が徐々に狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項6】
前記滑り止め部は、ポリ塩化ビニル製又はポリウレタン製であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項7】
前記滑り止め部は、合成皮革又は人工皮革の表面がゴルフクラブのシャフトと接するように、当該合成皮革又は人工皮革を前記収納部の内面に配置することで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項8】
前記滑り止め部を構成する表面素材は、ゴルフクラブのシャフトを水平に載せた幅21cmの表面素材を2つ折りにしてゴルフクラブを吊し、ゴルフクラブのグリップ側を50mm/分にて1分間水平方向に引いた場合の引張力の平均値が約1.4N以上の摩擦抵抗を発揮するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項9】
前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、
前記開口部は、前記把持部が設けられた前記本体部側から離れるに従って前記本体部の下方に向いて斜めに形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項10】
前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、
前記開口部は、筒状の保形材によって前記把持部側が広く、把持部側から離れるに従って狭くなる形状に維持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項11】
前記本体部がその上部に把持部を備えている場合において、
前記滑り止め部は、前記把持部が設けられた側の前記本体部の内面に沿って形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項12】
前記本体部は、前記収納部の滑り止め部が設けられた内面以外の部分の裏地が本体部の表生地と密着しておらず、ゴルフクラブのシャフト又はグリップと広範囲に亘り面接触するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のクラブケース。
【請求項13】
前記本体部は、折り畳み可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のクラブケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−161002(P2011−161002A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27216(P2010−27216)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)