説明

クランプ装置およびその装置を利用したクランピングシステム

基準ブロック(1)から心柱(20)を上方へ突出させ、その心柱(20)の外周に内スリーブ(21)を上下移動可能に嵌合する。その内スリーブ(21)を皿バネ(25)によって上方へ押す。可動ブロック(2)のソケット孔(3)に挿入される外スリーブ(31)を、上記の内スリーブ(21)に上側からテーパ係合する。上記の内スリーブ(21)と上記の外スリーブ(31)とを、それぞれ、直径方向へ拡大および縮小可能に構成する。上記の心柱(20)に出力部材(36)を挿入し、その出力部材(36)の上部を上記の外スリーブ(31)に連結する。上記の基準ブロック(1)内の駆動機構(D)が上記の出力部材(36)を介して上記の外スリーブ(31)を下方へロック移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、工作機械のテーブル等の基準ブロックにワークパレットやワーク等の可動ブロックを固定するためのクランプ装置に関し、さらには、そのクランプ装置を利用したクランピングシステムに関する。
【背景技術】
この種のクランプ装置には、従来では、米国特許第5820118に記載されたものがある。その従来技術は、ワークパレットに載置したワークの周囲に複数の旋回式クランプを配置し、各クランプのクランプ具が上記ワークを上側から押圧するように構成してある。
上記の従来技術では、前記ワークの周囲に複数のクランプを配置したので、そのワークの側面を加工するのが困難であり、そのうえ、前記クランプ具の押圧箇所で上記ワークの上面を加工できないという問題がある。
本発明の目的は、ワークやワークパレット等の可動ブロックの各面に容易にアクセス可能な新たなクランプ装置を提供すると共に、そのクランプ装置を利用した新たなクランピングシステムを提供することにある。
【発明の開示】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図2A・図5A・図6・図10にそれぞれ示すように、クランプ装置を次のように構成した。
基準ブロック1から環状の心柱20を先端方向へ突出させ、上記の心柱20に、内スリーブ21を軸心方向へ所定範囲内で移動可能に外嵌する。その内スリーブ21を進出手段25によって上記の先端方向へ所定の進出ストロークだけ進出させる。可動ブロック2のソケット孔3に挿入される外スリーブ31を上記の内スリーブ21に先端側から楔係合させる。その外スリーブ31を直径方向へ拡大および縮小可能に構成する。上記の環状の心柱20の筒孔20aに出力部材36を軸心方向へ移動可能に挿入し、その出力部材36の先端部を上記の外スリーブ31に連結する。上記の基準ブロック1にロック手段51とリリース手段52とを設ける。上記ロック手段51が上記の出力部材36を介して上記の外スリーブ31を基端方向へロック移動させ、上記リリース手段52が上記の出力部材36を介して上記の外スリーブ31を先端方向へリリース移動させる。
本発明は、例えば図2Aに示すように、次のように作用する。
その図2Aのリリース状態では、前記リリース手段52が前記の出力部材36を介して前記の外スリーブ31を先端方向へ移動させ、前記の進出手段25が前記の内スリーブ21を先端方向へ所定の進出ストロークだけ進出させている。
前記の基準ブロック1に前記の可動ブロック2を固定するときには、前記ソケット孔3を前記の外スリーブ31に外嵌させ、その後、前記ロック手段51によって前記の出力部材36を基端方向へロック移動させて上記の外スリーブ31を前記の内スリーブ21に楔係合させていく。
すると、まず、上記の進出手段25の押圧力によってほぼ進出位置に保持された内スリーブ21を介して上記の外スリーブ31が拡径し、その外スリーブ31が前記ソケット孔3に接当する。次いで、その外スリーブ31が上記の内スリーブ21を介して上記の進出手段25を基端方向へ後退させながら拡径して上記ソケット孔3に密着すると共に、その外スリーブ31が上記の内スリーブ21を上記の進出手段25の押圧力に抗して基端方向へ後退させていく。引き続いて、上記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退したときに、その内スリーブ21が前記の基準ブロック1に直接または間接的に受け止められる。すると、その基準ブロック1に受け止められた内スリーブ21に前記の外スリーブ31が強力に楔係合して拡径し、その外スリーブ31が前記ソケット孔3に強力に密着する。これにより、前記の出力部材36が上記の強力に密着した外スリーブ31を介して上記の可動ブロック2の被支持面2aを前記の基準ブロック1の支持面1aに強力に押圧する。
なお、上記ロック移動の開始時に上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとがほぼ完全に接当して、その被支持面2aが上記の支持面1aに受け止められている場合には、そのロック移動時に上記の外スリーブ31が次のように作動する。
上記の外スリーブ31は、上記ソケット孔3に密着した後、上記の基準ブロック1によって受け止められた上記の可動ブロック2の上記ソケット孔3に対して摺動しながら基端方向へ移動していく。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退してその後退が阻止されたときに、上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外スリーブ31が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
これに対して、何らかの原因により、上記ロック移動の開始時において上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとの間に隙間が存在する場合には、そのロック移動時に上記の外スリーブ31が次のように作動する。
上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に密着した後、その密着状態の外スリーブ31が上記ソケット孔3を介して前記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ向けて移動させる。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退してその後退が阻止されたときに、上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外スリーブ31が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
本発明は、上記のように構成され作用することから次の効果を奏する。
上記の可動ブロックは、六つの面のうちの上記の被支持面を除いた五つの面に容易にアクセス可能となった。従って、例えば、上記の可動ブロックがワークの場合には、一度のクランピング操作で五つの面を同時に加工できる。また、上記の可動ブロックがワークパレットの場合には、そのワークパレットの有効利用面積が大幅に増加する。
なお、本発明においては、上記の外スリーブ31の内側空間の天井部分を前記の出力部材36の先端部に設けた天井壁によって保密状に覆うことが好ましい。この場合には、上記の外スリーブ31の内側空間に切粉や切削油等の異物が侵入するのを上記の天井壁によって防止できるので、クランプ装置を長期間にわたってメンテナンスフリーで使用できる。
また、前記の目的を達成するための別の発明は、例えば図7Aに示すように、次のように構成した。
直径方向へ拡大および縮小可能な前記の外スリーブ31に代えて、前記ソケット孔3に挿入される環状プラグ71を前記の内スリーブ21の外周に配置する。上記の環状プラグ71の周壁71aに、周方向へ間隔をあけて複数の押圧具72を半径方向へ移動可能に支持する。各押圧具72を上記の内スリーブ21に先端側から楔係合させると共に、各押圧具72を復帰手段74によって半径方向の内方へ移動可能に構成する。前記の出力部材36の先端部を上記の環状プラグ71に連結する。
この別の発明は、例えば図7Aに示すように、前記の発明とほぼ同様に次のように作用する。
その図7Aのリリース状態では、前記リリース手段52が前記の出力部材36を介して前記の環状プラグ71および複数の押圧具72を先端方向へ移動させ、前記の進出手段25が前記の内スリーブ21を先端方向へ所定の進出ストロークだけ進出させている。
前記の基準ブロック1に前記の可動ブロック2を固定するときには、前記ソケット孔3を上記の環状プラグ71および複数の押圧具72に外嵌させ、その後、前記ロック手段51によって前記の出力部材36を基端方向へロック移動させて上記の複数の押圧具72を前記の内スリーブ21に楔係合させていく。
すると、まず、上記の進出手段25の押圧力によってほぼ進出位置に保持された内スリーブ21を介して上記の各押圧具72が半径方向の外方へ移動して前記ソケット孔3に接当する。次いで、各押圧具72が上記の内スリーブ21を介して前記の進出手段25を基端方向へ後退させながら拡径して上記ソケット孔3に密着すると共に、各押圧具72が上記の内スリーブ21を上記の進出手段25の押圧力に抗して基端方向へ後退させていく。引き続いて、上記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退したときに、その内スリーブ21が前記の基準ブロック1に直接または間接的に受け止められる。すると、その基準ブロック1に受け止められた内スリーブ21に前記の各押圧具72が強力に楔係合して拡径し、各押圧具72が前記ソケット孔3に強力に密着する。これにより、前記の出力部材36が上記の強力に密着した押圧具72を介して上記の可動ブロック2の被支持面2aを前記の基準ブロック1の支持面1aに強力に押圧するのである。
なお、上記ロック移動の開始時に上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとがほぼ完全に接当して、その被支持面2aが上記の支持面1aに受け止められている場合には、そのロック移動時に上記の押圧具72が次のように作動する。
上記の押圧具72は、上記ソケット孔3に密着した後、上記の基準ブロック1によって受け止められた上記の可動ブロック2の上記ソケット孔3に対して摺動しながら基端方向へ移動していく。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退してその後退が阻止されたときに、上記の複数の押圧具72が上記ソケット孔3に強力に密着して、これら押圧具72が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
これに対して、何らかの原因により、上記ロック移動の開始時において上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとの間に隙間が存在する場合には、そのロック移動時に上記の押圧具72が次のように作動する。
上記の押圧具72が上記ソケット孔3に密着した後、その密着状態の押圧具72が上記ソケット孔3を介して前記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ向けて移動させる。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の進出ストロークに相当する寸法だけ後退してその後退が阻止されたときに、上記の複数の押圧具72が上記ソケット孔3に強力に密着して、これらの押圧具72が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
上記の別の発明は、上記のように構成され作用することから次の効果を奏する。
上記の可動ブロックは、六つの面のうちの上記の被支持面を除いた五つの面に容易にアクセス可能となった。従って、例えば、上記の可動ブロックがワークの場合には、一度のクランピング操作で五つの面を同時に加工できる。また、上記の可動ブロックがワークパレットの場合には、そのワークパレットの有効利用面積が大幅に増加する。
なお、上記の別の発明においては、前記の環状プラグ71の内側空間の天井部分を前記の出力部材36の先端部に設けた天井壁によって保密状に覆うことが好ましい。この場合には、上記の環状プラグ71の内側空間に切粉や切削油等の異物が侵入するのを上記の天井壁によって防止できるので、クランプ装置を長期間にわたってメンテナンスフリーで使用できる。
さらに、前述の目的を達成するため、さらに別の発明は、例えば、図2A・図7A・図11・図12A・図17A・図18A・図24にそれぞれ示すように、次のように構成した。
基準ブロック1から環状の心柱20を先端方向へ突出させ、上記の心柱20の外周に内係合具21を配置する。可動ブロック2のソケット孔3に挿入される外係合具(31,72)を直径方向へ拡大および縮小可能に構成する。その外係合具(31,72)を上記の内係合具21に軸心方向に楔係合させると共に、その楔係合状態の外係合具(31,72)を基端方向かつ拡径方向へロック移動可能に構成する。上記の環状の心柱20に出力部材36を軸心方向へ移動可能に挿入し、その出力部材36の出力部を、上記の外係合具(31,72)と上記の内係合具21とのいずれか一方の係合具に連結する。上記の出力部材36の入力部を駆動手段Dに連結可能に構成する。
なお、上記の駆動手段Dとしては、流体圧シリンダや電動機などのアクチュエータを利用して自動的に駆動する手段と、人力によって駆動する手段とが考えられる。
上記のさらに別の発明は、例えば前記の図2A(又は図7A)に示すように、前記の各発明とほぼ同様に次のように作用する。
上記の図2A(又は図7A)のリリース状態では、前記の駆動手段Dが前記の出力部材36を先端方向へ移動させ、前記の外係合具31(72)が先端方向へ縮径移動している。
前記の基準ブロック1に前記の可動ブロック2を固定するときには、前記ソケット孔3を前記の外係合具31に外嵌し、その後、上記の駆動手段Dによって前記の出力部材36を基端方向へ移動させて、上記の外係合具31と前記の内係合具21とを楔係合させていく。
すると、まず、上記の内係合具21を介して上記の外係合具31(72)が拡径し、その外係合具31が前記ソケット孔3に密着する。引き続いて、その外係合具31の基端方向への移動が阻止されたときに、上記の内係合具21に上記の外係合具31が強力に楔係合して拡径し、その外係合具31が前記ソケット孔3に強力に密着する。これにより、前記の出力部材36が上記の強力に密着した外係合具31を介して上記の可動ブロック2の被支持面2aを前記の基準ブロック1の支持面1aに強力に押圧する。
なお、上記ロック移動の開始時に上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとがほぼ完全に接当して、その被支持面2aが上記の支持面1aに受け止められている場合には、そのロック移動時に上記の外係合具31(72)が次のように作動する。
上記の外係合具31は、上記ソケット孔3に密着した後、上記の基準ブロック1によって受け止められた上記の可動ブロック2の上記ソケット孔3に対して摺動しながら基端方向へ移動していく。そして、前述したように、上記の外係合具31の基端方向への移動が阻止されたときに、その外係合具31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外係合具31が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
これに対して、何らかの原因により、上記ロック移動の開始時において上記の基準ブロック1の上記の支持面1aと上記の可動ブロック2の上記の被支持面2aとの間に隙間が存在する場合には、そのロック移動時に上記の外係合具31(72)が次のように作動する。
上記の外係合具31が上記ソケット孔3に密着した後、その密着状態の外係合具31が上記ソケット孔3を介して前記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ向けて移動させる。そして、前述したように、上記の外係合具31の基端方向への移動が阻止されたときに、その外係合具31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外係合具31が上記の可動ブロック2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
上記のさらに別の発明は、上記のように構成され作用することから次の効果を奏する。
上記の可動ブロックは、六つの面のうちの上記の被支持面を除いた五つの面に容易にアクセス可能となった。従って、例えば、上記の可動ブロックがワークの場合には、一度のクランピング操作で五つの面を同時に加工できる。また、上記の可動ブロックがワークパレットの場合には、そのワークパレットの有効利用面積が大幅に増加する。
上記のさらに別の発明においては、例えば図2A又は図12Aに示すように前記の外係合具を環状の外スリーブ31によって構成することが好ましい。この場合、上記の外係合具を簡素かつコンパクトに造れる。
上記のさらに別の発明は、次のクランプ装置を含む。
例えば、図7A又は図17Aに示すように、前記の外係合具を、周方向へ間隔をあけて配置した複数の押圧具72によって構成し、前記の内係合具21の外周に、前記ソケット孔3に挿入される環状プラグ71を配置する。その環状プラグ71の周壁71aに、上記の各押圧具72を、半径方向へ移動可能に支持すると共に復帰手段74によって半径方向の内方へ移動可能に構成する。前記の出力部材36の出力部を、上記の環状プラグ71と上記の内係合具21とのいずれか一方(71,21)に連結する。
この場合、上記の押圧具を直径方向の外方へ大きく突出させることが可能となるので、その押圧具の外周面と前記ソケット孔との間の嵌合隙間が大きいときでも本発明を適用できる。
上述の各発明においては、例えば、図2A又は図7Aに示すように、前記の内スリーブ(又は内係合具)21を直径方向へ拡大および縮小可能に構成することが好ましい。この場合、前記のロック移動時において、前記の外スリーブ(又は外係合具)が上記の内スリーブ(又は内係合具)に楔係合していくときに上記の内スリーブ(又は内係合具)が縮径して、その内周面が前記の心柱の外周面に密着する。このため、前記の可動部材を上記の外スリーブ(又は外係合具)と内スリーブ(又は内係合具)と前記の心柱とを順に介して基準ブロックに拘束できる。これにより、位置決め機能付きのクランプ装置を提供できる。
前述のさらに別の発明は、次のクランプ装置を含む。
例えば、図2A又は図7Aに示すように、前記の外係合具31(72)を進出手段25によって前記の先端方向へ進出させ、前記のロック移動時には、上記の外係合具31(72)が上記の進出手段25に抗して前記の基端方向へ拡径移動するものである。
この発明は、上記の進出手段の作用により、上記の外係合具を、拡径して前記ソケット孔に密着させた後に基端方向へ駆動することが可能となるので、強力なロック力を確保できる。
なお、上記の進出手段25は、前記の外係合具31(72)を先端方向へ進出させるものであればよく、その進出手段25が上記の外係合具31(72)を直接に進出させる場合と、その進出手段25が前記の内係合具21等の別の部材を介して上記の外係合具31(72)を間接的に進出させる場合とが考えられる。また、上記の進出手段25としては、バネやゴム等の弾性体、又は、流体圧シリンダなどが考えられる。
また、前述のさらに別の発明は、次のクランプ装置を含む。
例えば、図18A又は図24に示すように、前記の内係合具21を直径方向へ拡大および縮小可能に構成し、前記の心柱20と上記の内係合具21との間に環状隙間92を形成し、前記のロック移動時には、前記の外係合具31(72)が上記の内係合具21を縮径させて前記の基端方向へ拡径移動するものである。
この発明は、前記の進出手段の機能を上記の内係合具が具備するので、専用の進出手段を省略でき、クランプ装置を簡素に造れる。
前述のさらに別の発明においては、例えば図2A又は図7Aに示すように、前記の内係合具21に前記の外係合具31(72)を前記の先端側から楔係合させることが好ましい。この場合、前記ロック移動時に強力なロック力を確保できる。
上記のさらに別の発明においては、例えば、図12A又は図17Aに示すように、前記の内係合具21に前記の外係合具31(72)を前記の基端側から楔係合させてもよい。
上述した各発明においては、例えば図2A又は図7Aに示すように、前記の心柱20の外周面に、前記の内スリーブ(又は内係合具)21の内周面をほぼ全周にわたって密着可能に構成することが好ましい。この場合、前記の位置決め機能の位置決め精度がさらに向上する。
上述した各発明においては、例えば図2A又は図7Aに示すように、前記の内スリーブ(又は内係合具)21の周壁に少なくとも一つのスリット22を設けて、その内スリーブ(又は内係合具)21を自己の弾性復元力によって拡径可能に構成することが好ましい。この場合、上記の内スリーブ(又は内係合具)を簡素かつコンパクトに造れる。
上述した各発明においては、例えば図4に示すように、前記の心柱20の外周と前記の内係合具21の内周または外周と前記の外スリーブ(又は外係合具)31の内周または外周との少なくとも一つに、半径方向に対面する一対の突出部62・62を設けると共に、これら突出部62・62の間に逃し溝63・63を形成することが好ましい。この場合、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の逃し溝によって吸収できる。
上述した各発明においては、例えば図2Aまたは図7Aに示すように、前記の基準ブロック1に前記の心柱20を固定することが好ましい。
また、例えば、図5Aと図5B、又は図15Aと図15Bに示すように、前記の心柱20と前記の出力部材36との少なくとも一方に前記の内スリーブ又は内係合具21を半径方向へ移動可能に装着することが好ましい。この場合、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の内スリーブ(又は内係合具)および外スリーブの半径方向への移動によって吸収できる。
上述した各発明においては、例えば、図6又は図16に示すように、前記の基準ブロック1に前記の心柱20を半径方向へ移動可能に支持してもよい。この場合、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の心柱の半径方向への移動によって吸収できる。
また、上述した各発明は次のクランプ装置を含む。
例えば図25に示すように、前記の出力部材36を先端方向へリリース移動させた状態では、前記の可動ブロック2を上記の出力部材36を介して前記の基準ブロック1に受け止めると共に、その基準ブロック1の支持面1aと上記の可動ブロック2の被支持面2aとの間に着座隙間αを形成したものである。
この発明は、基準ブロックに可動ブロックを装着するときに、その基準ブロックの支持面に上記の可動ブロックの被支持面が衝突するのを上記の出力部材によって阻止でき、これにより、上記の支持面が損傷するのを防止できる。このため、クランプ装置の位置決め機能を長期間にわたって良好に保てる。
また、本発明の新たなクランピングシステムは、上述したクランプ装置を利用したものであり、例えば図1から図4に示すように、次のように構成した。
前記の可動ブロック2に前記ソケット孔3・3を所定の間隔をあけて二つ設ける。前記の基準ブロック1に上記の各ソケット孔3・3に対応する第1プラグ手段11と第2プラグ手段12とを設ける。上記の各プラグ手段11・12は、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の外スリーブ31とを備える。上記の第1プラグ手段11は、上記の心柱20の外周面に上記の内スリーブ(又は内係合具)21の内周面をほぼ全周にわたって密着可能に構成する。上記の第2プラグ手段12は、上記の心柱20の外周と上記の内スリーブ(又は内係合具)21の内周または外周と前記の外スリーブ31の内周または外周との少なくとも一つに、半径方向に対面する一対の突出部62・62を設けると共に、これら突出部62・62の間に逃し溝63・63を形成する。この発明は、上記の基準ブロックに上記の可動ブロックを簡素な構成で精度よく位置決めおよび固定できる。
上記クランピングシステムの発明は、例えば図1と図7Aに示す次の構造を含む。
前記の可動ブロック2に前記ソケット孔3・3を所定の間隔をあけて二つ設ける。前記の基準ブロック1に上記の各ソケット孔3・3に対応する第1プラグ手段11と第2プラグ手段12とを設ける。上記の各プラグ手段11・12は、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の環状プラグ71と前記の複数の押圧具72とを備える。上記の第1プラグ手段11は、上記の心柱20の外周面に上記の内スリーブ(又は内係合具)21の内周面をほぼ全周にわたって密着可能に構成し、上記の複数の押圧具72を周方向へ間隔をあけて3つ以上配置する。上記の第2プラグ手段12は、上記の複数の押圧具72を半径方向に対面するように2つ配置する。この発明も、上記の基準ブロックに上記の可動ブロックを簡素な構成で精度よく位置決めおよび固定できる。
上記クランピングシステムにおいては、例えば図1と図5A及び図5Bに示すように、前記の可動ブロック2に、少なくとも一つの別のソケット孔3を設け、前記の基準ブロック1に上記の別のソケット孔3に対応するロック専用の第3プラグ手段13を設けることが好ましい。この場合、上記の第3プラグ手段が前記の可動ブロックを前記の基準ブロックに強力に固定できる。
また、上記クランピングシステムにおいては、例えば図1と図5A及び図5Bに示すように、前記の第3プラグ手段13は、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の外スリーブ31とを備え、上記の心柱20を前記の基準ブロック1に固定する。上記の心柱20と前記の出力部材36との少なくとも一方に前記の内スリーブ又は内係合具21を半径方向へ移動可能に装着することが好ましい。この場合、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の内スリーブ(又は内係合具)および外スリーブの半径方向への移動によって吸収することと、強力なロック力を確保することとを両立できる。
例えば、図1と図7A及び図7Bに示すように、前記の第3プラグ手段13は、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の環状プラグ71と前記の複数の押圧具72とを備え、上記の心柱20を前記の基準ブロック1に固定し、上記の心柱20に前記の内スリーブ又は内係合具21を半径方向へ移動可能に装着することが好ましい。この場合も、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の内スリーブ(又は内係合具)および押圧具の半径方向への移動によって吸収することと、強力なロック力を確保することとを両立できる。
また、例えば図1と図6に示すように、前記の第3プラグ手段13が、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の外スリーブ31とを備え、前記の基準ブロック1に上記の心柱20を半径方向へ移動可能に支持してもよい。この場合、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の心柱の半径方向への移動によって吸収することと、強力なロック力を確保することとを両立できる。
さらには、前記の第3プラグ手段13が、前記の心柱20と前記の内スリーブ(又は内係合具)21と前記の環状プラグ71と前記の複数の押圧具72とを備え、前記の基準ブロック1に上記の心柱20を半径方向へ移動可能に支持してもよい。この場合も、前記ソケット孔の軸心と上記の心柱の軸心との心ズレを上記の心柱の半径方向への移動によって吸収することと、強力なロック力を確保することとを両立できる。
【図面の簡単な説明】
図1から図5Bは、本発明の第1実施形態を示し、
図1は、本発明を利用したクランピングシステムの原理を示す模式図であって、そのクランピングシステムの横断面図、
図2Aは、上記クランピングシステムのクランプ装置のリリース状態の立面視の断面図であって、上記の図1中または図2B中の2A−2A線矢視に相当する図、
図2Bは、上記クランプ装置の平面図、
図3は、上記クランプ装置に設けた位置決め機構を示し、上記の図2A中の3−3線矢視の拡大断面図、
図4は、上記クランプ装置に設けた別の位置決め機構を示し、上記の図3に類似する図、
図5Aと図5Bは、上記クランピングシステムの別のクランプ装置を示し、
図5Aは、前記の図2Aに類似する部分図、
図5Bは、前記の図3に類似する図、
図6は、上記の別のクランプ装置の変形例を示し、上記の図5Aに類似する図、
図7Aから図8は、本発明の第2実施形態のクランプ装置を示し、
図7Aは、図7B中の7A−7A線矢視に相当する図であって、前記の図2Aに類似する図、
図7Bは、上記のクランプ装置の平面図であって、前記の図2Bに類似する図、
図8は、上記の図7A中の主要部の横断面視の拡大図であって、押圧具の復帰手段を示し、
図9は、上記の復帰手段の変形例を示し、上記の図8に類似する図、
図10は、前記の各種のクランプ装置に設けた進出手段の変形例を示し、前記の図2Aに類似する部分図、
図11は、本発明の第3実施形態のクランプ装置を示し、前記の図2Aに類似する図、
図12Aから図15Bは、本発明の第4実施形態のクランプ装置を示し、
図12Aは、前記の図2Aに類似する図、
図12Bは、前記の図2Bに類似する図、
図13は、上記のクランプ装置に設けた位置決め機構を示し、前記の図3に類似する図、
図14は、同上のクランプ装置に設けた別の位置決め機構を示し、前記の図4に類似する図、
図15Aと図15Bは、上記の第4実施形態における別のクランプ装置を示し、
図15Aは、前記の図5Aに類似する図、
図15Bは、前記の図5Bに類似する図、
図16は、上記の別のクランプ装置の変形例を示し、前記の図6に類似する図、
図17Aと図17Bは本発明の第5実施形態のクランプ装置を示し、
図17Aは、前記の図7Aに類似する図、
図17Bは、前記の図7Bに類似する図、
図18Aから図21Bは、本発明の第6実施形態のクランプ装置を示し、
図18Aは、前記の図2Aに類似する図、
図18Bは、前記の図2Bに類似する図、
図19Aは、上記クランプ装置に設けた位置決め機構のリリース状態を示し、前記の図3に類似する図、
図19Bは、上記の位置決め機構のロック状態を示し、上記の図19Aに類似する図、
図20Aは、上記クランプ装置に設けた別の位置決め機構のリリース状態を示し、前記の図4に類似する図、
図20Bは、上記の別の位置決め機構のロック状態を示し、上記の図20Aに類似する図、
図21Aと図21Bは、上記の第6実施形態における別のクランプ装置を示し、
図21Aは、前記の図5Aに類似する図、
図21Bは、前記の図5Bに類似する図、
図22は、上記の別のクランプ装置の変形例を示し、前記の図6に類似する図、
図23は、上記の第6実施形態のクランプ装置の異なる形態を示し、前記の図18Aに類似する部分図、
図24は、本発明の第7実施形態のクランプ装置を示し、前記の図7Aに類似する部分図、
図25は、本発明の第8実施形態のクランプ装置を示し、前記の図2Aに類似する図である。
発明を実施するための形態
図1から図5Bは、本発明の第1実施形態を示し、本発明のクランプ装置をワークパレットのクランピングシステムに適用したものを例示してある。
この実施形態では、図1と図2Aに示すように、工作機械のテーブルTに基準ブロック1を載置し、その基準ブロック1の支持面1aに、可動ブロックであるワークパレット2の被支持面2aを受け止めるように構成してある。その被支持面2aには、円形のストレート孔からなるソケット孔3が複数開口される。ここでは、四つのソケット孔3を図示している。
上記の基準ブロック1は、上記テーブルTに固定したベースプレート4を備える。そのベースプレート4には、上記ソケット孔3に対応させて、位置決め機能とロック機能とを備えた第1プラグ手段11および第2プラグ手段12と、ロック機能だけを備えた二つの第3プラグ手段13・13とが設けられる。上記の第1プラグ手段11と第2プラグ手段12とが対角線上に配置されると共に、上記二つの第3プラグ手段13・13も対角線上に配置されている。
上記の第1プラグ手段11は、図1に示すように、後述の外スリーブ31を楔作用によって放射状に拡径して、その外スリーブ31の周壁のほぼ全周を前記のソケット孔3に密着させ、前記の基準ブロック1に上記の外スリーブ31を介して前記ワークパレット2を水平方向へ位置決めする。引き続いて、その密着した外スリーブ31を下方へ駆動して、前記の基準ブロック1に前記ワークパレット2を固定する。
また、前記の第2プラグ手段12は、同上の図1に示すように、後述の心柱20・20の軸心A・B同士を結ぶ直線Lにほぼ直交する二方向へ上記の外スリーブ31に拡径力を加えて、その外スリーブ31の周方向の二箇所を前記ソケット孔3に密着させ、これにより、前記ワークパレット2が上記の軸心Aの回りに旋回するのを阻止する。引き続いて、その密着した外スリーブ31を下方へ駆動して、前記の基準ブロック1に前記ワークパレット2を固定する。
前記の第3プラグ手段13は、後述の心柱20に対して上記の外スリーブ31を半径方向へ移動可能に構成してあり、このため、上記の位置決め機能を備えてない。
上記の第1プラグ手段11と第2プラグ手段12とは、後述する相違点を除いて同一の構造であって、基本的には下記の構造が共通している。
前記ベースプレート4の装着穴4aにハウジング15が精密に嵌入され、そのハウジング15のフランジ16が4本の締付けボルト17によって上記の装着穴4aの周壁に固定される。なお、参照数字18はジャッキ用ボルトである。上記の装着穴4aから上記ハウジング15を抜き取るときには、上記ジャッキ用ボルト18を下向きに螺進させて、そのボルト下端を上記ベースプレート4に押圧すればよい。
上記ハウジング15から環状の心柱20が上方(先端方向)へ突出される。その心柱20の軸心は、前記の装着穴4aの軸心とほぼ同一になっている。上記フランジ16の上面が前述の支持面1aを構成している。
また、上記の心柱20の外周に、コレット形の内スリーブ(内係合具)21を上下方向へ所定範囲内で移動可能に外嵌してある。ここでは、上記の内スリーブ21の周壁に上下方向へ延びる一つのスリット22を形成してあり、これにより、その内スリーブ21が直径方向へ拡大および縮小可能に構成されると共に自己の弾性復元力によって僅かに拡径される。なお、上記の心柱20に固定した回り止めピン23の先端を上記スリット22に挿入してある。そのスリット22には、ゴム等からなるシーリング部材(図示せず)を装着することが好ましい。
上記の内スリーブ21を、一枚の皿バネ25からなる進出手段によって上方へ付勢してある。その内スリーブ21の上端を、上記の心柱20の上部に嵌着した止め輪26が受け止めている。
前記ソケット孔3に挿入される外スリーブ(外係合具)31のテーパ内面を上記の内スリーブ21のテーパ外面に上側からテーパ係合(楔係合)させてある。上記テーパ内面およびテーパ外面は上向きに狭まるように形成されている。上記の外スリーブ31は、上記の内スリーブ21と同様にコレット形に形成されている。即ち、上記の外スリーブ31の周壁に上下方向へ延びる一つのスリット32を形成してあり、これにより、その外スリーブ31が直径方向へ拡大および縮小可能に構成されると共に自己の弾性復元力によって縮径される。なお、上記の内スリーブ21に固定した回り止めピン33の先端を上記スリット32に挿入してある。そのスリット32には、ゴム等からなるシーリング部材(図示せず)を装着することが好ましい。
前記ハウジング15内に出力部材36が上下移動自在に挿入される。その出力部材36は、そのハウジング15の下部のシリンダ孔37に保密状に挿入したピストン38と、そのピストン38から上向きに突出されると共にロッド孔39に保密状に挿入されたピストンロッド40と、そのピストンロッド40から上向きに突出されると共に前記の心柱20の筒孔20aに挿入した出力ロッド41と、その出力ロッド41の上部に連結ボルト42によって固定したキャップ43と、そのキャップ43によって上記の出力ロッド41の上部に押圧されるリング44とを備える。
上記リング44の下フランジと上記キャップ43の下面との間に前記の外スリーブ31の上フランジ45が半径方向へ摺動可能に嵌合されている。
上記構成によれば、上記の外スリーブ31の内側空間を上記キャップ43およびリング44によって覆うことができ、その内側空間に切粉や切削油等の異物が侵入するのを防止できる。換言すれば、上記キャップ43およびリング44の下フランジが上記の外スリーブ31の内側空間の天井壁を構成している。
上記ハウジング15内には、駆動手段Dであるロック手段51およびリリース手段52が設けられる。そのロック手段51は、上記ピストン38と、そのピストン38の上側に形成したロック室53とによって構成される。そのロック室53がロック用の圧油給排口54へ連通される。また、上記リリース手段52は、上記ピストン38と、そのピストン38の下側に形成したリリース室56とによって構成される。そのリリース室56にリリース用の圧油給排口57が連通される。
また、第1プラグ手段11には着座確認手段が設けられる。即ち、前記の支持面1aに検出ノズル孔59を開口し、その検出ノズル孔59に検出用の圧縮空気を供給する。そして、前記の被支持面2aが上記の支持面1aに接当すると、上記の検出ノズル孔59内の圧力が上昇する。その圧力上昇を圧力スイッチ等で検出することによって、前記ワークパレット2が前記ハウジング15に着座したことを確認できる。
上記の第1プラグ手段11の位置決め機構11aは、図3に示すように、前記の内スリーブ21の内周面のほぼ全体を前記の心柱20の外周面に密着可能に構成している。このため、上記内スリーブ21が前記の外スリーブ31の周壁のほぼ全周を半径方向の外方へ拡径させるようになっている(図1を参照)。
前記の第2プラグ手段12の位置決め機構12aは、前記の第1プラグ手段11の位置決め機構11aとは次の構造が異なる。
図4に示すように、前記の心柱20の外周に半径方向に対面する一対の突出部62・62を設けると共に、これら突出部62・62の間に逃し溝63・63を形成してある。これにより、上記の突出部62・62が前記の内スリーブ21を介して前記の外スリーブ31の周壁の対面する二箇所に拡径力を発生させるようになっている(図1を参照)。
なお、その突出部62は、上記の心柱20から突出させることに代えて、又は、これに加えて、上記の外スリーブ31の内周面から内方へ突出させたり、その外スリーブ31の外周面から外方へ突出させてもよい。さらには、上記の突出部62は、前記の内スリーブ21の内周面から内方へ突出させたり、その内スリーブ21の外周面から外方へ突出させたものであってもよい。
前記の第3プラグ手段13は、図5Aと図5Bに示すように、上記の第1プラグ手段11とは次の構造が異なる。なお、上記の図5Aと図5Bは、それぞれ、前記の図2Aと図3に類似する図である。
前記の内スリーブ21の周壁をスリットなしで周方向へ連続させてある。その内スリーブ21を前記の心柱20に半径隙間65を空けて半径方向へ移動可能に外嵌してある。また、前記と同様に、前記キャップ43および前記リング44の間に前記の外スリーブ31を半径方向へ移動可能に支持してある。これにより、上記の心柱20に対して上記の内スリーブ21および外スリーブ31が半径方向へ移動することが許容されるので、前記ソケット孔3の軸心と上記の心柱20の軸心との心ズレを吸収できる。
上記の第1プラグ手段11と第2プラグ手段12と第3プラグ手段13とは、ほぼ同様に、次のように作動する。
上記の図2Aのリリース状態では、前記ロック室53の圧油を排出すると共に前記リリース室56へ圧油を供給している。これにより、前記ピストン38が前記の出力ロッド41を上昇させ、その出力ロッド41が前記のキャップ(出力部)43および前記のリング44を介して前記の外スリーブ31を上昇させて、その外スリーブ31が縮径状態へ切り換えられている。前記の内スリーブ21は、前記の皿バネ25によって進出ストロークだけ上昇して、上記の外スリーブ31に軽くテーパ係合するか又は上記の外スリーブ31に僅かな隙間をあけて対面している。
前記の基準ブロック1に前記ワークパレット2を位置決めするときには、まず、図1および図2Aに示すように、上記リリース状態で上記ワークパレット2を下降させて前記ソケット孔3を上記の外スリーブ31に外嵌させる。
次いで、前記リリース室56の圧油を排出すると共に前記ロック室53へ圧油を供給する。すると、前記ピストン38が前記の出力ロッド41および前記キャップ(出力部)43を介して前記の外スリーブ31を下降させ、その外スリーブ31の前記のテーパ内面が前記の内スリーブ21のテーパ外面に楔係合していく。
すると、前記の皿バネ25の付勢力によってほぼ上昇位置に保持された内スリーブ21を介して上記の外スリーブ31が拡径して前記のソケット孔3に接当する。次いで、その外スリーブ31が上記の内スリーブ21を介して上記の皿バネ25を下方へ圧縮しながら拡径して上記ソケット孔3に密着し、その外スリーブ31が、縮径された内スリーブ21と前記の心柱20とを介して上記のワークパレット2を水平方向に位置決めし、これと同時に、その外スリーブ31が上記の皿バネ25の付勢力に抗して上記の内スリーブ21を下方へ後退させていく。引き続いて、上記の内スリーブ21が上記の皿バネ25をほぼ全圧縮して前記の進出ストロークに相当する寸法だけ下降したときに、その内スリーブ21が上記の皿バネ25を介して前記のハウジング15に受け止められる。すると、その受け止められた内スリーブ21に前記の外スリーブ31が強力に楔係合して拡径し、その外スリーブ31が前記ソケット孔3に強力に密着する。これにより、前記の出力部材36が上記の強力に密着した外スリーブ31を介して前記ワークパレット2の被支持面2aを前記の基準ブロック1の支持面1aに強力に押圧する。
なお、上記ロック移動の開始時に上記の支持面1aと上記の被支持面2aとがほぼ完全に接当して、その被支持面2aが上記の支持面1aに受け止められている場合には、そのロック移動時に上記の外スリーブ31が次のように作動する。
上記の外スリーブ31は、上記ソケット孔3に密着した後、そのソケット孔3に対して摺動しながら下降していく。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の皿バネ25をほぼ全圧縮したときに、上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外スリーブ31が上記ワークパレット2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
これに対して、何らかの原因により、上記ロック移動の開始時において上記の支持面1aと上記の被支持面2aとの間に隙間が存在する場合には、そのロック移動時に上記の外スリーブ31が次のように作動する。
上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に密着した後、その密着状態の外スリーブ31が上記ソケット孔3を介して前記ワークパレット2を下向きに引っ張る。そして、前述したように、前記の内スリーブ21が前記の皿バネ25をほぼ全圧縮したときに、上記の外スリーブ31が上記ソケット孔3に強力に密着して、その外スリーブ31が上記ワークパレット2を上記の基準ブロック1へ強力に押圧する。
上記の第1プラグ手段11と第2プラグ手段12の作動と同時に、ロック機能だけを備えた前記二つの第3プラグ手段13・13が上記の外スリーブ31を介して上記ワークパレット2を前記の基準ブロック1に強力に固定するのである。
上記のロック状態から前記リリース状態へ切り換えるときには、前述したように前記ロック室53の圧油を排出すると共に前記リリース室56へ圧油を供給すればよい。これにより、前記ピストン38が前記の出力ロッド41を介して前記の外スリーブ31を上昇させて、その外スリーブ31が自己の弾性復元力によって縮径するので、前記ロック状態が解除される。
なお、前記の第3プラグ手段13は、前述した図5Aおよび図5Bの心ズレ吸収構造に代えて、図6の変形例に示す構造を採用してもよい。
その図6は、上記の図5Aに類似する図であって、前記ハウジング15に前記の心柱20を半径方向へ移動可能に支持してある。より詳しくいえば、前記の出力ロッド41の外周面と上記の心柱20の筒孔20aとの間に第1の半径隙間66を形成し、その心柱20の外周面と上記ハウジング15との間に第2の半径隙間67を形成してある。
上記の第1実施形態や変形例は次のように変更可能である。
上記の外スリーブ31の外面は、上下方向にストレートに形成することに代えて、鋸刃状または凹凸状に形成してもよい。
前記の拡縮形の内スリーブ21と外スリーブ31は、各周壁に一つのスリット22・32を設けたものに代えて、各周壁の上面と下面に交互に開口する複数の貫通溝を周方向へ複数設けたものであってよい。また、上記の各スリーブ21・22を、周方向へ並べた複数の分割体によって構成することも可能である。
上記の内スリーブ21の外面は、例示したテーパ面に代えて、周方向へ所定の間隔をあけて配置した複数の傾斜形楔面であってもよい。この場合、その内スリーブ21の外面に周方向へ所定の間隔をあけて複数の傾斜溝を配置して、その傾斜溝の底壁によって上記の楔面を構成してもよい。また、前記の外スリーブ31の内面も、例示したテーパ面に代えて、周方向へ所定の間隔をあけて配置した複数の傾斜形楔面であってもよい。
前記の内スリーブ21と外スリーブ31とは、直接に係合させることに代えて、別の部材を介して間接的に係合させてもよい。
なお、上記の各プラグ手段11・12・13にクリーニング手段を設けて、前記の支持面1aと被支持面2aとの接当部や、前記のソケット孔3と外スリーブ31との嵌合部や、上記の外スリーブ31と前記の内スリーブ21との係合面などを圧縮空気等の圧力流体によってクリーニングすることが好ましい。
また、前記の図4の第2プラグ手段12と前記の図5Aと図5B(又は図6)の第3プラグ手段13については、前記のロック移動の初期には前記の皿バネ25から上記の内スリーブ21に作用する付勢力を弱くしておくか又は上記の付勢力が全く作用しないようにしておき、そのロック移動の中期になってから上記の付勢力が内スリーブ21に作用するように、上記の皿バネ25を配置することが好ましい。これにより、前述したソケット孔3の軸心と心柱20の軸心との心ズレの吸収時に、上記の内スリーブ21(又は図6中の移動式の心柱20と内スリーブ21)に作用する半径方向の摩擦力が小さくなり、上記の内スリーブ21及び前記の外スリーブ31が半径方向へ円滑に移動する。
図7Aから図25は、本発明についての複数の実施形態および変形例を示している。これらの別の実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材または類似する部材には原則として同一の符号を付けてある。
図7Aおよび図7Bと図8は、本発明の第2実施形態の第1プラグ手段(クランプ装置)11を示している。その図7Aは、図7B中の7A−7A線矢視に相当する図であって、前記の図2Aに類似する図である。上記の図7Bは、上記の第1プラグ手段11の平面図であって、前記の図2Bに類似する図である。図8は、上記の図7A中の主要部の横断面視の拡大図である。
この第2実施形態の第1プラグ手段11は、上記の第1実施形態とは次の点が異なる。
図2A中の直径方向へ拡大および縮小可能な前記の外スリーブ31に代えて、前記ソケット孔3に挿入される環状プラグ71を前記の内スリーブ21の外周に配置する。その環状プラグ71の周壁71aは、スリットなしで周方向へ連続している。その周壁71aには、周方向へ間隔をあけて三つの押圧具(外係合具)72を半径方向へ移動可能に支持してある。各押圧具72の内面を上記の内スリーブ21の外面に上側から楔係合させてある。また、各押圧具72は、復帰手段74(図8参照)によって半径方向の内方へ移動可能に構成されている。そして、前記の出力部材36の上端部を前記キャップ43を介して上記の環状プラグ71に固定してある。
なお、前記の出力部材36は、前記ピストン38に挿入したピン73によって回り止めしてある。
上記の図8の復帰手段74は、前記の環状プラグ71と前記の押圧具72の貫通孔72aとの間に装着したロッド状のバネからなる。そのバネ製の復帰手段74が上記の押圧具72を前記の内スリーブ21の外周面へ付勢している。
図9は、上記の復帰手段74の変形例を示し、上記の図8に類似する図である。
この場合、前記の内スリーブ21の外周面に周方向へ間隔をあけて傾斜溝75を設け、その傾斜溝75を平面視でT字状に形成し、上記の傾斜溝75の両側壁と上記の押圧具72の内端部との嵌合構造によって上記の復帰手段74を構成してある。上記の傾斜溝75の底壁に楔面76を形成してある。
なお、上記の傾斜溝75は、平面視でT字状に代えてV字状などに形成してもよい。
上記の第2実施形態の作動が前記の第1実施形態と異なる点は、ロック作動時に、前記の環状プラグ71に支持した前記の各押圧具72が半径方向の外方へ突出して、各押圧具72の外面が前記ソケット孔3に強力に密着することにある。
上記の押圧具72は、前記の内スリーブ21の外面に直接に係合させることに代えて、別の部材を介して間接的に係合させてもよい。上記の押圧具72は、例示した3つ設けることに代えて、2つ設けてもよく、4つ以上設けてもよい。
また、上記の押圧具72の外面は、上下方向にストレートに形成することに代えて、鋸刃状または凹凸状に形成してもよい。
前記の基準ブロック1にクリーニング流体の供給口を設け、前記の環状プラグ71の前記の周壁71aと前記の押圧具72との嵌合隙間によってクリーニング流体の吐出口を構成して、その吐出口を上記の供給口に連通させることが好ましい。この場合、上記の嵌合隙間を自動的に清掃できるので、上記の押圧具72が高精度かつ円滑に移動する。
前記の進出手段は、例示した1枚の皿バネ25に代えて、上下方向へ積層させた複数枚の皿バネであってもよく、また、圧縮コイルバネ又はゴム等であってもよい。
また、上記の進出手段は、前記の外スリーブ31を所定の力で上方へ押圧可能な機能を備えたものであればよく、上記バネ25等の弾性体を利用することに代えて(又は、それに加えて)、例えば図10の変形例に示すように、圧油や圧縮空気等の圧力流体を利用したシリンダ構造を採用可能である。
その図10は、前記の図2Aに類似する部分図である。この場合、前記の出力部材36のピストンロッド40の外周に環状の進出ピストン78を挿入し、その進出ピストン78の受圧面積を前記のピストン38の受圧面積よりも小さい値に設定してある。そして、前記ロック室53へ供給した圧油の圧力が上記の進出ピストン78と複数の連結ロッド79(ここでは1本のロッドだけを図示してある)と前記の内スリーブ21とを順に経て前記の外スリーブ31を上向きに押圧可能になっている。
図11は、本発明の第3実施形態の第1プラグ手段11を示し、前記の図2Aに類似する図である。
この場合、前記の駆動手段Dを人力式に構成してある。より詳しくいえば、前記の出力部材36は、前記の心柱20のネジ孔81に螺合させたボルト82を備える。そして、ロック駆動時には、上記ボルト82の頭部の入力穴(入力部)83に六角レンチ84を挿入して同上ボルト82を平面視で時計回りの方向へ回転させる。すると、そのボルト82の頭部が前記キャップ(出力部)43を介して前記の外スリーブ31を拡径させながら下降させるのである。
なお、前記の皿バネ(進出手段)25は、前記の心柱20の下部の周囲に設けた環状突起85によって所定量以上に圧縮されるのを防止してある。この種の突起85は、前述の各実施形態および後述の各実施形態にも設けることが好ましい。
図12Aおよび図12Bと図13は、本発明の第4実施形態の第1プラグ手段11を示している。図12Aは前記の図2Aに類似する図である。図12Bは前記の図2Bに類似する図である。図13は、前記の位置決め機構11aを示し、前記の図3に類似する図である。
この場合、前記キャップ43およびリング44に前記の内スリーブ21の上部を半径方向へ移動可能に支持し、その内スリーブ21に前記の外スリーブ31を下側から楔係合させ、その外スリーブ31を複数枚の皿バネ25によって上方へ付勢してある。その外スリーブ31の所定量以上の上方移動を環状のストップ壁87によって阻止してある。
なお、図14は別の位置決め機構12aを示し、前記の図4に類似する図である。
図15Aおよび図15Bは、上記の第4実施形態における第3プラグ手段13を示している。その図15Aは前記の図5Aに類似する図で、図15Bは前記の図5Bに類似する図である。
この場合、前記の内スリーブ21の周壁をスリットなしで周方向へ連続させてある。その内スリーブ21を前記の心柱20に半径隙間65を空けて挿入し、その内スリーブ21の上部を前記キャップ43に半径方向へ移動可能に支持してある。また、前記の外スリーブ31の下部を前記ハウジング15に半径方向へ移動可能に支持してある。これにより、上記の心柱20に対して上記の内スリーブ21および外スリーブ31が半径方向へ移動することが許容されるので、前記のソケット孔3の軸心と上記の心柱20の軸心との心ズレを吸収できる。
図16は、上記の第3プラグ手段13の変形例を示し、前記の図6に類似する図である。
その図16では、前記ハウジング15に前記の心柱20を半径方向へ移動可能に支持してある。より詳しくいえば、前記の出力ロッド41外周面と上記の心柱20の筒孔との間に第1の半径隙間66を形成し、その心柱20の外周面と上記ハウジング15との間に第2の半径隙間67を形成し、前記の外スリーブ31の下部と上記ハウジング15との間に第3の半径隙間90を形成してある。
図17Aと図17Bは、本発明の第5実施形態の第1プラグ手段11を示している。図17Aは前記の図7Aに類似する図である。図17Bは前記の図7Bに類似する図である。
この場合、前記の内スリーブ21の上部を前記キャップ43に半径方向へ移動可能に支持し、その内スリーブ21の外周に前記の環状プラグ71を配置してある。その環状プラグ71を前記の複数枚の皿バネ25によって上方へ付勢して、上記の環状プラグ71に支持した前記の複数の押圧具72を上記の内スリーブ21に下側から楔係合させてある。
図18Aから図19Bは本発明の第6実施形態の第1プラグ手段11を示している。図18Aは前記の図2Aに類似する図である。図18Bは前記の図2Bに類似する図である。図19Aは、位置決め機構11aのリリース状態を示し、前記の図3に類似する図である。図19Bは、その機構11aのロック状態を示し、上記の図19Aに類似する図である。
この第6実施形態では、前記の内スリーブ21の周壁に前記スリット22を設けて、その内スリーブ21を直径方向へ拡大および縮小可能に構成すると共に、前記の心柱20と上記の内スリーブ21との間に、比較的に大きな環状隙間92を形成してある。リリース状態では、図19Aに示すように、上記の内スリーブ21が僅かに拡径した状態に保たれている。そして、前記のロック移動時には、図19Bに示すように、前記の外スリーブ31が上記の内スリーブ21を縮径させると同時に、その外スリーブ31が拡径しながら下降する。
なお、上記の内スリーブ21が縮径されるときの弾性抵抗力が前述した皿バネ(進出手段)の付勢力に相当することになる。
図20Aと図20Bは、別の位置決め機構12aを示している。その図20Aは、リリース状態を示し、前記の図4に類似する図である。図20Bは、ロック状態を示し、上記の図20Aに類似する図である。この別の位置決め機構12aが前記の位置決め機構11aと異なる点は、前記の心柱20の外周面に、前記の突出部62・62および逃し溝63・63を設けたことにある。
図21Aと図21Bは、上記の第6実施形態における第3プラグ手段13を示している。図21Aは前記の図5Aに類似する図である。図21Bは前記の図5Bに類似する図である。
この場合、前記の心柱20の外周に中間スリーブ94を半径方向へ移動可能に挿入し、その中間スリーブ94の外周に前記の環状隙間92を空けて前記の内スリーブ21を挿入し、その内スリーブ21に前記の外スリーブ31を上側から楔係合させたものである。
図22は、上記の第3プラグ手段13の変形例を示し、前記の図6に類似する図である。この変形例が上記の図6と異なる点は、前記の半径方向へ移動可能な心柱20と前記の内スリーブ21との間に、比較的に大きな環状隙間92を設けるとともに、前記の図6中の皿バネ25(進出手段)を省略したことにある。
図23は、上記の第6実施形態の第1プラグ手段11の異なる形態を示し、前記の図18Aに類似する部分図である。
この場合、前記の内スリーブ21の内周にゴムリング製の抵抗手段96を装着している。その抵抗手段96は、上記の内スリーブ21が縮径されるときの抵抗力を増加させるようになっている。
なお、上記の抵抗手段96は、例示のゴムに代えて、プラスチック又は金属に代替可能である。また、その抵抗手段96は、内スリーブ21の内周に装着することに代えて(又は、それに加えて)、前記の心柱20の外周に装着してもよい。
また、前記の外スリーブ31の上半部に保護スリーブ97を半径方向へ移動可能に装着してある。その保護スリーブ97が前記スリット32の上半部を覆うことにより、切粉などの異物が上記スリット32内に侵入するのを大幅に軽減できる。上記の保護スリーブ97を前記の各種クランプ装置に適用できることは勿論である。
図24は、本発明の第7実施形態の第1プラグ手段11を示し、前記の図7Aに類似する部分図である。
この第7実施形態が上記の図7Aと異なる点は、前記の心柱20と前記の内スリーブ21との間に前記の環状隙間92を設けると共に、その図7A中の皿バネ(進出手段)25を省略したことにある。
図25は、本発明の第8実施形態のクランプ装置を示し、前記の図2Aに類似する図である。この第8実施形態が上記の図2Aと異なる点は、次の通りである。
前記の出力部材36を上方へリリース移動させた図示の状態では、前記ワークパレット2を、前記キャップ43及び前記の連結ボルト42の少なくとも一方と前記の出力部材36とを順に介して前記の基準ブロック1に受け止める。また、その受け止め状態では、上記の基準ブロック1の支持面1aと上記ワークパレット2の被支持面2aとの間に着座隙間αを形成してある。
上記の受止め構造は次の長所を奏する。基準ブロック1にワークパレット2を装着するときに、その基準ブロックの支持面1aに上記ワークパレット2の被支持面2aが衝突するのを上記の出力部材36によって阻止できる。これにより、上記の支持面1aが損傷するのを防止できる。このため、クランプ装置の位置決め機能を長期間にわたって良好に保てる。
上記の受止め構造は、前述した各実施形態や変形例にも適用可能である。
上述した各種の実施形態や変形例は、さらに次のように変更可能である。
クランピングシステムにおいては、ロック機能だけを備えた前記の第3プラグ手段13は、例示した二つに代えて、一つだけ設置してもよく、又は三つ以上設置してもよい。その第3プラグ手段13は例示の構造に限定されるものではなく、別の種類のクランプであってもよい。
各プラグ手段11・12・13の駆動形式は、例示した油圧複動式に代えて、バネロックかつ油圧リリース式、又は、油圧ロックかつバネリリース式であってもよい。
ロック又はリリースに使用する圧力流体は、例示の圧油に代えて、圧縮空気等のガスであってもよい。また、クリーニング用の圧力流体は、例示の圧縮空気に代えて、窒素等のガスや液体であってもよい。
前記のロック駆動時における外スリーブ31または押圧具72の引き下げ力を十分に大きい値に設定した場合には、上記の第3プラグ手段13を省略可能である。
また、このクランピングシステムにおいては、前記の第1プラグ手段11を複数設置すると共に前記の第2プラグ手段12を複数設置してもよい。さらには、上記の第1プラグ手段11と第2プラグ手段12の両者のうちのいずれか一方だけを複数設置してもよい。
上記の複数のプラグ手段を並べて設置する方向としては、円周方向や直線方向などが考えられる。
前記の支持面1aは、前記ハウジング15の前記フランジ16の上面に設けることに代えて、前記ベースプレート4に設けてもよい。
前記の心柱20と上記ハウジング15とは一体に形成することに代えて、別体に形成してもよい。この場合、上記の心柱20をボルト締め又はネジ止め等によって上記ハウジング15に強固に固定すればよい。
また、上記ハウジング15と前記ベースプレート4とは、別体に形成することに代えて、一体に形成してもよい。
前記の基準ブロックと可動ブロックとの組み合わせは、例示したベースプレート4とワークパレット2の組み合わせに代えて、工作機械のテーブルとワークパレットの組み合わせ、ワークパレットと治具ベースの組み合わせ、治具ベースとワークピースの組み合わせ、溶接治具等の作業用治具とワークピース等の作業物の組み合わせであってもよい。また、本発明は、レーザー加工機や放電加工機などの各種の加工機械のワークピース・ツール等の位置決めにも適用可能である。
なお、本発明のクランプ装置は、複数セットで使用することに代えて、1セットだけで使用できることは勿論である。
【図1】


【図3】

【図4】


【図6】


【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【図13】

【図14】


【図16】






【図22】

【図23】

【図24】

【図25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ブロック(1)から環状の心柱(20)を先端方向へ突出させ、
上記の心柱(20)に、内スリーブ(21)を軸心方向へ所定範囲内で移動可能に外嵌し、その内スリーブ(21)を進出手段(25)によって上記の先端方向へ所定の進出ストロークだけ進出させ、
可動ブロック(2)のソケット孔(3)に挿入される外スリーブ(31)を上記の内スリーブ(21)に先端側から楔係合させ、その外スリーブ(31)を直径方向へ拡大および縮小可能に構成し、
上記の環状の心柱(20)の筒孔(20a)に出力部材(36)を軸心方向へ移動可能に挿入し、その出力部材(36)の先端部を上記の外スリーブ(31)に連結し、
上記の基準ブロック(1)にロック手段(51)とリリース手段(52)とを設け、上記ロック手段(51)が上記の出力部材(36)を介して上記の外スリーブ(31)を基端方向へロック移動させ、上記リリース手段(52)が上記の出力部材(36)を介して上記の外スリーブ(31)を先端方向へリリース移動させる、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載したクランプ装置において、
直径方向へ拡大および縮小可能な前記の外スリーブ(31)に代えて、前記ソケット孔(3)に挿入される環状プラグ(71)を前記の内スリーブ(21)の外周に配置し、
上記の環状プラグ(71)の周壁(71a)に、周方向へ間隔をあけて複数の押圧具(72)を半径方向へ移動可能に支持し、各押圧具(72)を上記の内スリーブ(21)に先端側から楔係合させると共に、各押圧具(72)を復帰手段(74)によって半径方向の内方へ移動可能に構成し、前記の出力部材(36)の先端部を上記の環状プラグ(71)に連結した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
基準ブロック(1)から環状の心柱(20)を先端方向へ突出させ、
上記の心柱(20)の外周に内係合具(21)を配置し、
可動ブロック(2)のソケット孔(3)に挿入される外係合具(31,72)を直径方向へ拡大および縮小可能に構成し、その外係合具(31,72)を上記の内係合具(21)に軸心方向に楔係合させると共に、その楔係合状態の外係合具(31,72)を基端方向かつ拡径方向へロック移動可能に構成し、
上記の環状の心柱(20)に出力部材(36)を軸心方向へ移動可能に挿入し、その出力部材(36)の出力部を、上記の外係合具(31,72)と上記の内係合具(21)とのいずれか一方の係合具に連結し、
上記の出力部材(36)の入力部を駆動手段(D)に連結可能に構成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の外係合具を環状の外スリーブ(31)によって構成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の外係合具を、周方向へ間隔をあけて配置した複数の押圧具(72)によって構成し、
前記の内係合具(21)の外周に、前記ソケット孔(3)に挿入される環状プラグ(71)を配置し、その環状プラグ(71)の周壁(71a)に、上記の各押圧具(72)を、半径方向へ移動可能に支持すると共に復帰手段(74)によって半径方向の内方へ移動可能に構成し、前記の出力部材(36)の出力部を、上記の環状プラグ(71)と上記の内係合具(21)とのいずれか一方(71,21)に連結した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項6】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の内係合具(21)を直径方向へ拡大および縮小可能に構成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項7】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の外係合具(31,72)を進出手段(25)によって前記の先端方向へ進出させ、前記のロック移動時には、その外係合具(31,72)が上記の進出手段(25)に抗して前記の基端方向へ拡径移動する、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項8】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の内係合具(21)を直径方向へ拡大および縮小可能に構成し、前記の心柱(20)と上記の内係合具(21)との間に環状隙間(92)を形成し、前記のロック移動時には、前記の外係合具(31,72)が上記の内係合具(21)を縮径させて前記の基端方向へ拡径移動する、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項9】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の内係合具(21)に前記の外係合具(31,72)を前記の先端側から楔係合させた、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項10】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の内係合具(21)に前記の外係合具(31,72)を前記の基端側から楔係合させた、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項11】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の心柱(20)の外周面に、前記の内係合具(21)の内周面をほぼ全周にわたって密着可能に構成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項12】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の内係合具(21)の周壁に少なくとも一つのスリット(22)を設けて、その内係合具(21)を自己の弾性復元力によって拡径可能に構成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項13】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の心柱(20)の外周と前記の内係合具(21)の内周または外周と前記の外係合具(31)の内周または外周のうちの少なくとも一つに、半径方向に対面する一対の突出部(62)(62)を設けると共に、これら突出部(62)(62)の間に逃し溝(63)(63)を形成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項14】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の基準ブロック(1)に前記の心柱(20)を固定した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項15】
請求の範囲第4項に記載したクランプ装置において、
前記心柱(20)と前記の出力部材(36)との少なくとも一方に前記の内係合具(21)を半径方向へ移動可能に装着した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項16】
請求の範囲第3項に記載したクランプ装置において、
前記の基準ブロック(1)に前記の心柱(20)を半径方向へ移動可能に支持した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項17】
請求の範囲第1項または第3項に記載したクランプ装置において、
前記の出力部材(36)を先端方向へリリース移動させた状態では、前記の可動ブロック(2)を上記の出力部材(36)を介して前記の基準ブロック(1)に受け止めると共に、その基準ブロック(1)の支持面(1a)と上記の可動ブロック(2)の被支持面(2a)との間に着座隙間(α)を形成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項18】
請求の範囲第1項または第4項に記載したクランプ装置を利用したクランピングシステムであって、
前記の可動ブロック(2)に前記ソケット孔(3)(3)を所定の間隔をあけて二つ設け、
前記の基準ブロック(1)に、上記の各ソケット孔(3)(3)に対応する第1プラグ手段(11)と第2プラグ手段(12)とを設け、
上記の各プラグ手段(11)(12)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の外スリーブ(31)とを備え、
上記の第1プラグ手段(11)は、上記の内スリーブ又は内係合具(21)の内周面を上記の心柱(20)の外周面にほぼ全周にわたって密着可能に構成し、
上記の第2プラグ手段(12)は、上記の心柱(20)の外周と上記の内スリーブ又は内係合具(21)の内周または外周と前記の外スリーブ(31)の内周または外周との少なくとも一つに、半径方向に対面する一対の突出部(62)(62)を設けると共に、これら突出部(62)(62)の間に逃し溝(63)(63)を形成して構成した、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項19】
請求の範囲第2項または第5項に記載したクランプ装置を利用したクランピングシステムであって、
前記の可動ブロック(2)に前記ソケット孔(3)(3)を所定の間隔をあけて二つ設け、
前記の基準ブロック(1)に、上記の各ソケット孔(3)(3)に対応する第1プラグ手段(11)と第2プラグ手段(12)とを設け、
上記の各プラグ手段(11)(12)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の環状プラグ(71)と前記の複数の押圧具(72)とを備え、
上記の第1プラグ手段(11)は、上記の内スリーブ又は内係合具(21)の内周面を上記の心柱(20)の外周面にほぼ全周にわたって密着可能に構成し、上記の複数の押圧具(72)を周方向へ間隔をあけて3つ以上配置し、
上記の第2プラグ手段(12)は、上記の複数の押圧具(72)を半径方向に対面するように2つ配置した、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項20】
請求の範囲第18項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の可動ブロック(2)に、少なくとも一つの別のソケット孔(3)を設け、
前記の基準ブロック(1)に上記の別のソケット孔(3)に対応するロック専用の第3プラグ手段(13)を設けた、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項21】
請求の範囲第19項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の可動ブロック(2)に、少なくとも一つの別のソケット孔(3)を設け、
前記の基準ブロック(1)に上記の別のソケット孔(3)に対応するロック専用の第3プラグ手段(13)を設けた、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項22】
請求の範囲第20項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の第3プラグ手段(13)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の外スリーブ(31)とを備え、上記の心柱(20)を前記の基準ブロック(1)に固定し、
上記の心柱(20)と前記の出力部材(36)との少なくとも一方に前記の内スリーブ又は内係合具(21)を半径方向へ移動可能に装着した、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項23】
請求の範囲第21項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の第3プラグ手段(13)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の環状プラグ(71)と前記の複数の押圧具(72)とを備え、上記の心柱(20)を前記の基準ブロック(1)に固定し、
上記の心柱(20)に前記の内スリーブ又は内係合具(21)を半径方向へ移動可能に装着した、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項24】
請求の範囲第20項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の第3プラグ手段(13)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の外スリーブ(31)とを備え、前記の基準ブロック(1)に上記の心柱(20)を半径方向へ移動可能に支持した、ことを特徴とするクランピングシステム。
【請求項25】
請求の範囲第21項に記載したクランピングシステムにおいて、
前記の第3プラグ手段(13)は、前記の心柱(20)と前記の内スリーブ又は内係合具(21)と前記の環状プラグ(71)と前記の複数の押圧具(72)とを備え、前記の基準ブロック(1)に上記の心柱(20)を半径方向へ移動可能に支持した、ことを特徴とするクランピングシステム。

【国際公開番号】WO2004/067224
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504673(P2005−504673)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000365
【国際出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【出願人】(391003989)株式会社コスメック (45)
【Fターム(参考)】