説明

クリップ付筆記具

【課題】軸筒2の側面に設けた支持部2bに係止したクリップ4を、軸筒2とクリップ4との間に介在させた弾発部材5により、クリップ4の先端部4eを軸筒2の側面側に向かって常時弾発する構造のクリップ付筆記具1において、クリップ4の後端部4c側を摘みやすい構造とする。
【解決手段】クリップ4の後端部4c側に係止受部4eを設け、クリップ4の巾より巾広な表面板6aを有する装飾部材6の裏側に係止突部6cを設け、クリップ4と装飾部材6とを係止受部4eに係止突部6cを係止させ一体とすることにより、装飾部材6の表面板6aをクリップ4を開閉させる摘み部と成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒の側面にクリップを有するクリップ付筆記具に関し、さらに詳細には軸筒の側面に設けた支持部に係止したクリップを、軸筒とクリップとの間に介在させた弾発部材により、クリップの先端部を軸筒の側面側に向かって弾発する構造のクリップ付筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、例えば特開2006−130800号公報に記載がある筆記具のように、軸筒の側面に設けた支持部にクリップを係止し、クリップと軸筒との間に介在させたコイルスプリングなどの弾発部材によって、クリップの先端部が軸筒の側面側に弾発される構成としたクリップ付筆記具が市場に多く存在しており、このクリップは、洗濯ばさみのように厚手のものを挟めることから好まれている。しかしながら、この様なクリップは、挟持力を上げるために弾発部材の弾発力を強くした場合や、あるいは寒さで手がかじかんだ時には、クリップの後端部側を摘むという操作が行いにくい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−130800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、軸筒の側面に設けた支持部に係止したクリップを、軸筒とクリップとの間に介在させた弾発部材により、クリップの先端部を軸筒の側面側に向かって弾発する構造のクリップ付筆記具において、クリップの後端部側を摘みやすい構造とすることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
「1.軸筒の側面に設けた支持部に係止したクリップを、軸筒とクリップとの間に介在させた弾発部材により、クリップの先端部を軸筒の側面側に向かって弾発する構造のクリップ付筆記具において、前記クリップの後端部側に係止受部を設け、前記クリップの巾より巾広な表面板を有する装飾部材の裏側に係止突部を設け、前記クリップと前記装飾部材とを前記係止受部に前記係止突部を係止させ一体とすることにより、前記装飾部材の表面板を前記クリップを開閉させる摘み部と成したことを特徴とするクリップ付筆記具。
2.前記装飾部材の表面板の表面を平坦とし、当該表面板の表面に印刷部を設けたことを特徴とする1項に記載のクリップ付筆記具。」である。
【0006】
装飾部材をクリップに装着する方法としては、装飾部材の表面板の裏側に係止突起を形成すると共にクリップに係止孔を形成して係止突起を係止孔に嵌着させる方法や、装飾部材の表面板の裏側に二つの向い合う鉤状の係止突起を形成してクリップの側面を係止受部として抱持させる方法などがあるが、クリップを開閉する際に、係止突起の先端が軸筒の側面に当接して開閉操作を妨げてしまわない構造とすることが肝要である。尚、装飾部材の表面板は、巾が広く面積が大きい方がクリップを開閉する際における指への負担を軽減できるものとなる。
【発明の効果】
【0007】
1項に係る発明は、クリップの後端部側に、クリップの巾より巾広の表面板を有する装飾部材を装着することで、クリップの後端部側が摘みやすい構造となる。また2項に係る発明では、クリップの開閉が行いやすくなるのと同時に、筆記具を胸ポケットに挿した際におけるクリップの上部正面という、目立つ位置に名入れを行うことができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本実施例のクリップ付筆記具の斜視図である。
【図2】図2は図1の組立時の図である。
【図3】図3はクリップを開閉する際の図である。
【図4】図4はクリップに装飾部材を装着した状態でクリップを開く際に力が掛かる面積をハッチングで現わした図である。
【図5】図5はクリップに装飾部材を装着しない状態でクリップを開く際に力が掛かる面積をハッチングで現わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
クリップの後端部側に、クリップの巾より巾広の表面板を有する装飾部材を装着することで、クリップの後端部側を摘みやすい構造を実現した。
【実施例】
【0010】
次に図面を参照しながら本実施例の説明を行う。図中の同じ部材、同じ部品については、同じ符号としてある。本実施例では筆記具としてノック式ボールペンを例にあげて述べるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0011】
図1に示すようにボールペン1は、軸筒2の後端開口部2aから突出させたノック体3を押圧することにより、図示しないが軸筒先端からペン先を突出させることができるノック式のボールペンである。また、軸筒2の側面には支持部2bを突設してあり、軸筒2の側面に配したクリップ4の側壁4aに形成した貫通孔4bに支持部2bを挿着し、クリップ4の後端部4c側と軸筒2との間に介在させたコイルスプリング5によって、クリップ4の先端部4dが後軸筒4の側面を弾発するようにしてある。尚、本実施例では、クリップ4の後端部4c側に装飾部材6を装着してあり、装飾部材6の表面板6aには「P」のロゴ6bを印刷してある。
【0012】
図2は、クリップ4に装飾部材6を取り付ける状態の図で、装飾部材6の表面板6aの裏側に突設した係止突部6cを、クリップ4の後端部4cに係止受部として穿孔した係止孔4eに嵌入させると共に、係止突起6cの先端に形成した返し部6dをクリップ4の裏面に当接させることで、図1に示すように装飾部材6をクリップ4に嵌着してある。
【0013】
図3は、本実施例のボールペン1のクリップ4にて、複数枚の紙7を挟持させる際の図であるが、図に示すようにボールペン1は、クリップ4の後端部4c側の装飾部材6の表面板6aを摘み部として、指に負担が掛かることなくコイルスプリング5を圧縮し、軸筒2の支持部2bを支点にクリップ4の先端部4d側を開くことができた。図4は、図3の操作状態において指がボールペン1に接触している面積をハッチングで模式的に現わした図で、指が装飾部材6の表面板6aの広い面に当接し(破線状のハッチング部分)、指に掛かる圧力が分散していることが解る。これに対し図5は、クリップ4に装飾部材6を取り付けずに操作したときの図で、指が装飾部材6のクリップ4の後端部4cの狭い範囲に当接し(破線状のハッチング部分)、指の中央部に圧力が集中して指に負担が掛かっていることが解る。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のクリップ付筆記具の構造は、クリップ付の化粧具や塗布具等に採用することも可能である。
【符号の説明】
【0015】
1…ボールペン、2…軸筒、2a…後端開口部、2b…支持部、
3…ノック体、
4…クリップ、4a…側壁、4b…貫通孔、4c…後端部、
4d…先端部、4e…係止孔、
5…コイルスプリング、
6…装飾部材、6a…表面板、6b…ロゴ、6c…係止突部、
6d…返し部、7…紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の側面に設けた支持部に係止したクリップを、軸筒とクリップとの間に介在させた弾発部材により、クリップの先端部を軸筒の側面側に向かって弾発する構造のクリップ付筆記具において、前記クリップの後端部側に係止受部を設け、前記クリップの巾より巾広な表面板を有する装飾部材の裏側に係止突部を設け、前記クリップと前記装飾部材とを前記係止受部に前記係止突部を係止させ一体とすることにより、前記装飾部材の表面板を前記クリップを開閉させる摘み部と成したことを特徴とするクリップ付筆記具。
【請求項2】
前記装飾部材の表面板の表面を平坦とし、当該表面板の表面に印刷部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクリップ付筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245662(P2011−245662A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118917(P2010−118917)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】