説明

クリーニングユニット及びこれを備える印刷装置

【課題】印刷装置のプラテンローラを効率的にクリーニングする。
【解決手段】クリーニングユニットUCを中間転写シートの着脱ユニットの代わりに本体ユニットに装着する。アームUP/DOWNレバー54を回動させてカム56を回動させ、カム56によりアーム50をUP位置からDOWN位置まで回動させてアーム50の先端のクリーニングパッド52をプラテンローラ37に当接させてクリーニングする。アーム50がDOWN位置にある場合、バー60が本体ユニットと干渉してクリーニングユニットUCの抜き出しが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリーニングユニット及びこれを備える印刷装置に関し、特に媒体に画像を印刷するためのプラテンローラのクリーニングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CDやDVD等の媒体面に所望の画像を印刷(レーベルプリント)するための印刷装置が知られている。このような印刷装置において、プラテンローラを用いて中間転写シートにフルカラーの画像を転写し、該中間転写シートを媒体のレーベル面に密着させて画像を印刷する場合、定期的にプラテンローラをクリーニングする必要が生じる。
【0003】
通常、プラテンローラをクリーニングする際には、以下の手順で行う。
(1)装置の操作パネルでクリーニングモードに設定
(2)装置の扉を開けて中間転写シートの着脱ユニット(リボンカートリッジ)を抜き出す
(3)装置の操作パネルでプラテンローラを回転させる
(4)数滴の清掃液を染みこませたクリーニングプレートをプラテンローラに押し当て、ゆっくりと前後に数回往復させて汚れを拭き取る
(5)プラテンローラを停止させ、中間転写シートの着脱ユニットを再度装着する
【0004】
下記に示す特許文献1には、印刷装置の基本構成が記載されている。また、特許文献2には、インクリボンに、色分けされた複数のインク含浸ゾーンとクリーニングゾーンとを設け、インクリボンと用紙との間を仕切るリボンマスクに付着するインクを、インクリボンのクリーニングゾーンで払拭することが記載されている。特許文献3には、カートリッジケース内にインクリボンに変えてクリーニングテープを内蔵し、そのままプリンタに装着することにより印字ヘッドを清掃することが記載されている。特許文献4には、和紙または和紙を合成樹脂フィルムの両面に薄く貼り合わせたものをテープ形状に形成したクリーニングテープを収納するクリーニングカセットについて記載されており、クリーニングカセットをサーマルプリンタにセットして巻取リールでクリーニングテープを巻き取ることで印字ヘッド及びプラテンローラのゴミや汚れを除去することが記載されている。特許文献5には、サーマルヘッドをプラテンローラとの間に走行させることでサーマルヘッドとプラテンローラの表面をクリーニングするクリーニングシートを備えたクリーニングカセットについて記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−132048号公報
【特許文献2】特開平5−104841号公報
【特許文献3】特開平7−1809号公報
【特許文献4】特開平10−76738号公報
【特許文献5】特開2005−306007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリーニングプレートを差し込んでプラテンローラをクリーニングする方法では、プラテンローラ周囲の構造に注意を払いつつ差し込む必要があり作業性が低い。また、プラテンローラを損傷するおそれもある。さらに、クリーニング効果に個人差が生じるおそれもある。
【0007】
本発明の目的は、印刷装置のプラテンローラを効率的にクリーニングすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、印刷画像をシートに転写するためのプラテンローラと、印刷画像が転写された前記シートを媒体に密着させるための転写ローラを備える本体ユニットと、前記本体ユニットに対して位置決め装着され、前記シートを前記プラテンローラに供給する着脱ユニットとを有する印刷装置のクリーニングユニットであって、前記クリーニングユニットは、前記着脱ユニットと外観形状が略同一であって前記着脱ユニットの代わりに前記本体ユニットに対して位置決め装着可能であり、前記位置決め装着された場合に前記プラテンローラに対して近傍配置され、片持ち支持された支持軸回りに第1位置と第2位置との間で回動自在なアームと、前記アームの先端部に設けられたクリーニングパッドと、回転軸に設けられ、前記回転軸回りの回転により前記アームに当接して前記アームを前記第1位置から前記第2位置に回動させるカムと、前記回転軸に設けられ、前記アームが前記第1位置にあるときに前記本体ユニットと干渉せず、前記アームが前記第2位置にあるときに前記本体ユニットと干渉する位置に回動する規制手段とを有し、前記アームが前記カムにより前記第1位置にあるときに前記クリーニングパッドは前記プラテンローラから離間するとともに前記規制手段と前記本体ユニットとの非干渉により前記本体ユニットからの抜き出しが許容され、前記アームが前記カムにより前記第2位置に回動したときに前記クリーニングパッドは前記プラテンローラに当接するとともに前記規制手段と前記本体ユニットとの干渉により前記本体ユニットからの抜き出しが規制されることを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記回転軸に設けられ回動操作可能なアームレバーを有し、前記アームレバーを回動操作することで前記カムが回転し前記アームを前記第1位置から前記第2位置に回動させる。
【0010】
また、本発明の他の実施形態では、前記回転軸に突出形成されたピンと、前記回転軸に沿って移動自在に設けられ、前記本体ユニットに装着されない状態で前記ピンを挟むように前記ピンの両側に位置して前記アームレバーの回動を規制し、前記本体ユニットに装着された状態で前記本体ユニットとの係合により前記回転軸に沿って移動することで前記ピンから離間し前記アームレバーの回動を許容する一対の爪部を備えるリンク機構とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、クリーニングユニットを本体ユニットに装着し、アームを第1位置から第2位置まで回動することでプラテンローラをクリーニングすることができる。そして、アームが第2位置にあるときに規制手段を本体ユニットと干渉させることでクリーニングパッドがプラテンローラに当接した状態でのクリーニングユニットの本体ユニットからの抜き出しを防止し、プラテンローラの損傷を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0013】
<全体構成>
まず、本実施形態の全体構成について説明する。図7及び図8に、本実施形態における印刷装置の全体構成を示す。全体構成は、特開2005−132048号公報に開示された構成と同一である。印刷装置100は、インクリボンカセットからなる第1の着脱ユニットU1と、中間転写シートカセットからなる第2の着脱ユニットU2と、第1の着脱ユニットU1と第2の着脱ユニットU2とが着脱可能に作製された本体ユニットU5から構成される。
【0014】
本体ユニットU5は、支持板2が後方側に起立したシャーシ1を備え、支持板2の前面側にヘッドユニットU3とピンチローラユニットU4とが片持ち支持されて装着される。シャーシ1には、画像転写手段4と被印刷物搬送手段5が装着される。被印刷物搬送手段5は画像転写手段4の下側にトレイ6が左右方向に移動可能に設置され、トレイ6に搭載されたCD、DVD等の被印刷物Mを装置右側から画像転写手段4の下に取り込み、画像を転写した後に装置右側に搬出可能に設けられる。
【0015】
第1の着脱ユニットU1は、前面側板7と、背面側板8と、それらの間に回転自在に架設されたインクリボン送出ボビン9とインクリボン巻取ボビン10とを上下に備え、ヘッドユニットU3をガイドとして図8の矢印方向にスライドして押し込むことでヘッドユニットU3の支持板2側に上下左右方向に突出形成された凸部11に当接して後方の支持板2側が位置決めされ、前面側板7に開設された上下3個の係合固定穴13A、13B、13Cに、ヘッドユニットU3の前面側板14に設けられた上下2個の係合固定用ボス15A、15B(図面上は見えない)と、シャーシ1の前側部分に設けられた係合固定用ボス15C(図面上は見えない)とがそれぞれ嵌合して前方側が位置決めされる。このように位置決め支持されたときに、インクリボン送出ボビン9の後方の円形凹部とインクリボン巻取ボビン10の後方の円形凹部とが、支持板2の前面側に椀状に突出形成された上下2個の回転軸(図8においては上側の回転軸16Aを示す)にそれぞれ嵌合して本体ユニットU5に装着される。下側の回転軸が図示しないモータにより駆動され、下側のインクリボン巻取ボビン10が回転駆動され、その回転するインクリボン巻取ボビン10によりインクリボン送出ボビン9に巻かれているインクリボンS1が、複数のガイドローラによりヘッドユニットU3の部分を経由してインクリボン巻取ボビン10に巻き取られる。
【0016】
第2の着脱ユニットU2は、前面側板17と、背面側板18と、それらの間に回転自在に架設された中間転写シート送出ボビン19と中間転写シート巻取ボビン20とを左右に備えて、画像転写手段4をガイドとして図8の矢印方向にスライドして押し込むことで、背面側板18に開設された係合固定穴21(図示せず)に支持板2の前面側に設けられた係合固定用ボス22が嵌合して後方の支持板2側が位置決めされ、前面側板17の中央部に開設された左右2個の係合固定用穴23A、23Bに画像転写手段4の前面側板24に設けられた左右2個の係合固定用ボス25A、25Bが嵌合するとともに、左側に開設された上下2個の係合固定穴26A、26BとピンチローラユニットU4の前面側板27に設けられた上下2個の係合固定用ボス28A、28Bとが嵌合し、さらに右側下部に開設された係合固定穴29と、シャーシ1に設けられた前方支持板3の前面側の係合固定用ボス30とが嵌合して前方側が位置決めされる。このように位置決め支持されたときに、中間転写シート送出ボビン19の後方の円形凹部と、中間転写シート巻取ボビン20の後方の円形凹部が、支持板2の前面側に椀状に突出形成された左右2個の回転軸31A、31Bにそれぞれ嵌合して、本体ユニットU5に装着される。左右2個の回転軸31A、31Bが図示しない2個のモータの選択駆動により適宜駆動され、中間転写シート送出ボビン19に巻かれている中間転写シートS2を複数のガイドローラによりピンチローラユニットU4、画像転写手段4の部分を経由して中間転写シート巻取ボビン20に巻き取ることも、その逆に中間転写シート巻取ボビン20から中間転写シート送出ボビン19に巻き戻すことも可能である。
【0017】
また、ヘッドユニットU3の前面側板14には、ユニット固定手段33が支軸34により枢着され、鉛直面内で回動可能となっている。ユニット固定手段33には操作用の把手33Cが設けられる。第1の着脱ユニットU1と第2の着脱ユニットU2とを本体ユニットU5に装着し、ユニット固定手段33を時計回りに回動して横臥させ、凹部33Aとボス36とを嵌合させると、ヘッドユニットU3とピンチローラユニットU4とはユニット固定手段33を介して連結されるとともに、第1の着脱ユニットU1と前面側板7がユニット固定手段33の左端側により押さえられ、第2の着脱ユニットU2の前面側板17がユニット固定手段33の右端により押さえられ、第1の着脱ユニットU1と第2の着脱ユニットU2とが本体ユニットU5から前方に抜け出ることが防止される。一方、ユニット固定手段33を反時計方向に回動して起立させると、本体ユニットU5に対する第1の着脱ユニットU1、第2の着脱ユニットU2の着脱が可能となる。
【0018】
このような構成において、インクリボン送出ボビン9からインクリボン巻取ボビン10に巻き取られるインクリボンS1は、複数のガイドローラにより案内されてヘッドユニットU3の部分を通過する。また、中間転写シート送出ボビン19から中間転写シート巻取ボビン20に巻き取られる中間転写シートS2は、複数のガイドローラにより案内されて、ピンチローラユニットU4、画像転写手段4の部分を通過する。
【0019】
ピンチローラユニットU4を画像転写手段4のプラテンローラ37側に回動すると、2個のピンチローラの作用により中間転写シートS2がプラテンローラ37に密着する。プラテンローラ37に密着している中間転写シートS2の左側にインクリボンS1が密着され、その状態でヘッドユニットU3のサーマルヘッドの発熱素子を選択的に発熱させてインクリボンS1のインクが溶融され、中間転写シートS2に移されて画像が得られる。インクリボンS1には、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の単色インクが長手方向にこの順に繰り返し配設され、インクリボンS1は矢印方向に順送りし、中間転写シートS2はインクリボンS1から単色インクを転写する毎に中間転写シート送出ボビン19の側に巻き戻し、その毎に中間転写シート巻取ボビン20側に巻取ながら次の単色インクを同じ画像形成域に転写する操作を繰り返して、4色の単色インクを順次転写することでフルカラーの画像が中間転写シートS2に形成される。そして、内部に発熱手段を備えた画像転写手段4の画像転写ローラ40を硬化させて中間転写シートS2をトレイ6の被印刷物Mに密着させながら中間転写シートS2と被印刷物Mとを同じ速度で移動させることで、中間転写シートS2に形成されたフルカラー画像が被印刷物Mに転写され、被印刷物Mに対する印刷(レーベルプリント)がなされる。
【0020】
<クリーニングユニット>
画像転写手段4のプラテンローラ37をクリーニングする場合、第2の着脱ユニットU2を抜き出し、第2の着脱ユニットU2の代わりにクリーニングユニット(クリーニングカートリッジ)UCを本体ユニットU5に装着する。クリーニングユニットUCはその外観形状が第2の着脱ユニットU2と略同一に形成されており、第2の着脱ユニットU2と同様に、前面側板と背面側板とを備え、画像転写手段4をガイドとして押し込むことで位置決めされる。
【0021】
但し、クリーニングユニットUCは第2の着脱ユニットU2のように中間転写シート送出ボビン19及び中間転写シート巻取ボビン20を有さず、プラテンローラ37をクリーニングするためのクリーニング機構を備える。
【0022】
図1に、クリーニングユニットUCに内蔵されるクリーニング機構の概略構成を示す。クリーニング機構は、片持ち支持され、プラテンローラ37の幅と略同一幅を有するアーム50と、アーム50の先端に設けられたクリーニングパッド52と、アームUP/DOWMレバー54と、アームUP/DOWNレバー54に連動して回動するとともにその端部がアーム50の延在部に当接するカム56と、アーム50を初期位置に復帰させるべく付勢するトーションバネ58から構成される。アーム50はトーションばね58により図中破線で示す初期位置に付勢されている。初期位置ではアーム50が上方に位置するためクリーニングパッド52はプラテンローラ37から離間している。この状態でアームUP/DOWNレバー54を図中矢印方向(反時計回り)に回動させると、アームUP/DOWNレバー54の回動に連動してカム56が回動し、トーションバネ58の付勢力に抗してアーム50が支持軸の回りに回動し、アーム50の先端に設けられたクリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接する。クリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接した状態でプラテンローラ37を回転させることで、プラテンローラ37がクリーニングされる。クリーニング完了後、アームUP/DOWNレバー54を時計回りに回動させることでアーム50はトーションバネ58の付勢力により初期位置に復帰する。なお、トーションバネ58の代わりに、アーム50とクリーニングユニットUCの基台90との間に圧縮コイルバネ(図示せず)をセットしてもよい。
【0023】
図2に、クリーニング機構の詳細構成を示す。クリーニングユニットUCの外観は中間転写シート送出ボビン19及び中間転写シート巻取ボビン20が存在しないことを除いて第2の着脱ユニットU2と略同一形状及び同一サイズであり、前面板17Cと背面板18Cとを有する。前面板17Cは前面板17と同一形状及び同一サイズであり、前面板17と同様に左側に上下2個の係合固定用穴26A、26B、及び右側下部に係合固定用穴29を有する。また、図示していないが、前面板17Cには前面板17と同様に中段部に左右2個の係合固定穴を有し、これらの係合固定穴によりクリーニングユニットUCを本体ユニットU5に対して位置決めする。例えば、上下の係合固定穴26A、26Bは、それぞれピンチローラユニットU4の前面側板27に設けられた上下2個の係合固定用ボス28A,28Bと嵌合する。
【0024】
前面板17Cの左側には、アームUP/DOWNレバー54が回動自在に設けられる。アームUP/DOWNレバー54は、クリーニングユニットUCの前後方向に延在する回転軸64に連結しており、アームUP/DOWNレバー54の回動に連動して回転軸64が回転する。回転軸64には、前方から後方に向けて順次、取り出しロックバー60、カム56、ロック機構ピン68が設けられる。また、先端にクリーニングパッド52(交換可能であってもよい)が設けられた屈曲平板状のアーム50が第2の回転軸66に回動自在に軸支され、回転軸66に巻回されたトーションバネ58がアーム50の下面に当接してアーム50を上方(前方から見て回転軸66の回りに時計方向)に付勢する。アーム50は、回転軸64の下方に位置し、カム56の下方に位置する。回転軸64の後方端部にはリンク機構62が設けられており、リンク機構62はロック機構ピン68の回動の許容及び規制を制御する。
【0025】
初期位置(UP位置あるいは第1位置)では、アームUP/DOWNレバー54、カム56、取り出しロックバー60及びアーム50は破線位置にあり、アーム50はトーションバネ58により上方に付勢され、クリーニングパッド52はプラテンローラ37に当接しない。この初期位置からアームUP/DOWNレバー54を反時計方向に回動させると(DOWN位置あるいは第2位置)、回転軸64が回転し、回転軸64に設けられたカム56が回転し、カム56の先端がアーム50の上面に当接してトーションバネ58の付勢力に抗してアーム50を下方に押し込む(前方から見て反時計方向に回動させる)。このアーム50の回動により先端のクリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接し密着する。また、回転軸64の回転により、回転軸64に設けられた取り出しロックバー60が回転する。すると、図3の拡大図に示すように、取り出しロックバー60の側面(図中斜線で示す)が本体ユニットU5と干渉し、より特定的にはピンチローラユニットU4の前面側板27の裏面側に入り込んで前面側板27と干渉し、クリーニングユニットUCの抜き出しが規制される。取り出しロックバー60はアームUP/DOWNレバー54の回動に連動して回動するので、アームUP/DOWNレバー54を回動してUP位置からDOWN位置に設定した状態でのクリーニングユニットUCの抜き出しが防止されることとなり、クリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接した状態での抜き出しが防止され、プラテンローラ37の破損が有効に防止される。クリーニングユニットUCの装着及び抜き出しは、アームUP/DOWNレバー54がUP位置に設定されている場合のみ許容される。
【0026】
また、回転軸64には既述したようにロック機構ピン68が突出形成されており、このロック機構ピン68がリンク機構62と係合する。具体的には、リンク機構62は、図4の拡大図に示すように、支持板2の前面側に椀状に設けられた回転軸(リール台)31Aに対向する起立部を有するリンク板、及びこのリンク板と一体形成され、回転軸64を挟むように左右に突出形成された2個の爪部69を有する。左右一対の爪部69を有するリンク板は縦断面形状がV字型あるいはU字型をなすように屈曲形成され、その底部が揺動自在にクリーニングユニットUCの底面に軸支される。クリーニングユニットUCが未だ本体ユニットU5に装着されず単体として存在するときには、リンク板は図中破線で示すように後方側に傾いて位置し、このとき左右一対の爪部69はロック機構ピン68を挟むように左右に位置し、ロック機構ピン68の回転、すなわち回転軸64の回転を規制する。したがって、クリーニングユニットUCが単体として存在する場合、アームUP/DOWNレバー54の回動が爪部69により規制され、UP状態にある場合に意図せずDOWN状態に回動してしまうことを防止する。クリーニングユニットUCを画像処理手段4をガイドとしてスライドさせ本体ユニットU5に装着すると、リンク板のうち回転軸(リール台)31Aに対向する起立部が回転軸(リール部)31Aに当接し、これによりリンク板が軸の回りに揺動して爪部69が図中実線位置に移動する。この状態では爪部69はロック機構ピン68の左右に存在しないので、ロック機構ピン68の回転、すなわち回転軸64の回転が許容される。したがって、クリーニングユニットUCを本体ユニットU5に装着した状態では、アームUP/DOWNレバー54の回動が許容されることとなり、プラテンローラ37のクリーニングが可能となる。クリーニングユニットUCを本体ユニットU5から抜き出すと、爪部69はバネ70の弾性力により元の位置まで揺動してロック機構ピン68を挟むように左右に位置し、回転軸64の回転、すなわちアームUP/DOWNレバー54の回動を規制する。
【0027】
このように、本実施形態では、中間転写シート送出ボビン19及び中間転写シート巻取ボビン20を備える第2の着脱ユニットU2と外観形状及びサイズが同一のクリーニングユニットUCを用い、第2の着脱ユニットU2に代えてクリーニングユニットUCを装着することによりプラテンローラ37をクリーニングすることができる。そして、ロック機構ピン68及びリンク機構62の作用によりクリーニングユニットUCを装着した場合にのみアーム50の移動が可能であり、かつ、取り出しロックバー60の作用によりクリーニング中はクリーニングユニットUCの抜き出しが規制されるため、プラテンローラ37の損傷を有効に防止できる。
【0028】
なお、クリーニングの手順としては、本体ユニットU5の前面側扉を開け、第2の着脱ユニットU2をクリーニングユニットUCに置換し、アームUP/DOWNレバー54をUP位置からDOWN位置まで回動し、本体ユニットU5に設けられた動作制御部をクリーニングモードに設定してプラテンローラ37を回転させることで実行されるが、クリーニングモードへの移行は、クリーニングユニットUCが本体ユニットU5に装着されていることを確認した上で実行することが望ましい。このため、クリーニングユニットUCには、本体ユニットU5側のセンサでクリーニングユニットUCであることを識別するための機構を設けることが望ましい。例えば、第2の着脱ユニットU2の後方側板18の所定位置に突出部を設け、これを装着した場合に該突出部により本体ユニットU5のユニット検出スイッチをONしてユニットが装着されたことを検出し、さらにフォトセンサでインクリボンのコアフランジの色を検出することでインクリボンの種類を判別するフォトセンサを備える構成の場合、クリーニングユニットUCの後方側板18Cの所定位置には突出部を設けない構成とする。これにより、本体ユニットU5側のスイッチはクリーニングユニットUCが装着されてもONされないので第2の着脱ユニットU2が装着されていないと識別し、かつ、フォトセンサで白色のコア(クリーニングユニットUCの色)を検出することでクリーニングユニットUCが装着されていることを検出する。なお、いずれのユニットも装着されていない場合には、フォトセンサで白色のコアを検出することがないため、クリーニングユニットUCが装着されていると誤識別することはない。
【0029】
本実施形態におけるクリーニング手順の一例を以下に示す。
(1)装置の操作パネルでクリーニングモードに設定
(2)装置前側扉を開ける
(3)クリーニングユニットUCを装着
(4)クリーニングユニットUCの装着により、アームUP/DOWNレバー54のロックが解除
(5)アームUP/DOWNレバー54をUP位置からDOWN位置まで回動させてクリーニングパッド52をプラテンローラ37に当接させる
(6)取り出しロックバー60によりクリーニングユニットUCの抜き出しをロック
(7)装置側でクリーニングユニットUCが装着されていることを検出
(8)装置の操作パネルでプラテンローラ37を回転
(9)所定時間経過後にプラテンローラ37の回転を停止
(10)アームUP/DOWNレバー54をDOWN位置からUP位置まで回動させてクリーニングパッド52をプラテンローラ37から離間させる
(11)取り出しロックバー60によるクリーニングユニットUCの抜き出しロックが解除
(12)クリーニングユニットUCの抜き出し
【0030】
なお、取り出しロックバー60に加え、図8に示すユニット固定手段33を回動させてクリーニングユニットUCの抜き出しを防止してもよい。仮に、ユニット固定手段33の操作を忘れたとしても、取り出しロックバー60によりアーム50がDOWNした状態でのクリーニングユニットUCの抜き出しは防止される。ユニット固定手段33による固定を検出してクリーニングモードが動作するように設定してもよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0032】
例えば、本実施形態ではアーム50の幅をプラテンローラ37の幅と同一としているが、図5に示すようにアーム50の先端部50Aの幅をプラテンローラ37の幅よりも小さくし、アーム50の先端部50Aをリニアスライド74に沿って図中矢印方向(前後)に摺動自在に設け、モータ72とベルト73で先端部60Aを摺動させてプラテンローラ37をクリーニングする構成としてもよい。本体ユニットU5の制御部は、プラテンローラ37を回転させるとともにモータ72を駆動して先端部60Aをプラテンローラ37の幅方向に摺動させる。
【0033】
また、本実施形態ではアーム50のUP/DOWNはアームUP/DOWNレバー54による手動操作としているが、自動的に行う構成としてもよい。図6に、この場合の構成例を示す。回転軸64の前端部にはアームUP/DOWNレバー54を有さず、後端部に駆動軸31Aと連結する連結部80Aと駆動軸31Bと連結する連結部80Bを有する。連結部80Aは駆動軸31Aに係合するように中間転写シート送出ボビン19と略同形状に形成され、連結部80Bは駆動軸80Bは駆動軸31Bに係合するように中間転写シート巻取ボビン20と略同形状に形成される。連結部80A及び80Bにはギアとベルトからなる伝達機構82が接続され、伝達機構82により駆動軸31A又は駆動軸31Bの駆動力を回転軸64に伝え、回転軸64を回転駆動する。駆動軸31Bを駆動すると、回転軸64の回転によりアーム50はUP位置からDOWN位置まで回動してクリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接する。また、取り出しロックバー60も回動し、クリーニングパッド52がプラテンローラ37に当接した状態でのクリーニングユニットUCの抜き出しが防止される。一方、駆動軸31Aを駆動すると、回転軸64の回転によりアーム50はDOWN位置からUP位置まで回動してクリーニングパッド52がプラテンローラ37から離間する。このとき、取り出しロックバー60も回動してクリーニングユニットUCの抜き出し防止状態が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態におけるクリーニング機構の概略構成図である。
【図2】実施形態におけるクリーニングユニットの構成図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】図2の一部拡大図である。
【図5】他の実施形態におけるクリーニングユニットの構成図である。
【図6】さらに他の実施形態におけるクリーニングユニットの構成図である。
【図7】従来装置の構成図である。
【図8】従来装置の構成図である。
【符号の説明】
【0035】
UC クリーニングユニット、50 アーム、52 クリーニングパッド、54 アームUP/DOWNレバー、56 カム、58 トーションバネ、60 取り出しロックバー、62 リンク機構、64 回転軸、66 第2回転軸、68 ロック機構ピン、70 バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像をシートに転写するためのプラテンローラと、印刷画像が転写された前記シートを媒体に密着させるための転写ローラを備える本体ユニットと、
前記本体ユニットに対して位置決め装着され、前記シートを前記プラテンローラに供給する着脱ユニットと、
を有する印刷装置のクリーニングユニットであって、
前記クリーニングユニットは、
前記着脱ユニットと外観形状が略同一であって前記着脱ユニットの代わりに前記本体ユニットに対して位置決め装着可能であり、
前記位置決め装着された場合に前記プラテンローラに対して近傍配置され、片持ち支持された支持軸回りに第1位置と第2位置との間で回動自在なアームと、
前記アームの先端部に設けられたクリーニングパッドと、
回転軸に設けられ、前記回転軸回りの回転により前記アームに当接して前記アームを前記第1位置から前記第2位置に回動させるカムと、
前記回転軸に設けられ、前記アームが前記第1位置にあるときに前記本体ユニットと干渉せず、前記アームが前記第2位置にあるときに前記本体ユニットと干渉する位置に回動する規制手段と、
を有し、前記アームが前記カムにより前記第1位置にあるときに前記クリーニングパッドは前記プラテンローラから離間するとともに前記規制手段と前記本体ユニットとの非干渉により前記本体ユニットからの抜き出しが許容され、前記アームが前記カムにより前記第2位置に回動したときに前記クリーニングパッドは前記プラテンローラに当接するとともに前記規制手段と前記本体ユニットとの干渉により前記本体ユニットからの抜き出しが規制されることを特徴とする印刷装置のクリーニングユニット。
【請求項2】
請求項1記載のクリーニングユニットにおいて、
前記回転軸に設けられ回動操作可能なアームレバーと、
を有し、前記アームレバーを回動操作することで前記カムが回転し前記アームを前記第1位置から前記第2位置に回動させることを特徴とするクリーニングユニット。
【請求項3】
請求項2記載のクリーニングユニットにおいて、
前記回転軸に突出形成されたピンと、
前記回転軸に沿って移動自在に設けられ、前記本体ユニットに装着されない状態で前記ピンを挟むように前記ピンの両側に位置して前記アームレバーの回動を規制し、前記本体ユニットに装着された状態で前記本体ユニットとの係合により前記回転軸に沿って移動することで前記ピンから離間し前記アームレバーの回動を許容する一対の爪部を備えるリンク機構と、
を有することを特徴とするクリーニングユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のクリーニングユニットを備える印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−90583(P2009−90583A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264741(P2007−264741)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】