説明

クロスソータを備えた仕分コンベヤ

【課題】クロスソータ用コンベヤの駆動機構として各搬送ユニットに電力を要する駆動モータを搭載せず、機構として簡便な構成で且つ確実に駆動させる。
【解決手段】ループ状の搬送ルートを移動し、互いにリンク22の前後端で連結されてループ状に接続される複数の搬送ユニット11と、搬送ユニット11の移動方向と直交する方向に搬送面を走行させることが可能なクロスソータ用コンベヤ20と、搬送ルート上の前記予め設定された位置に対応して地上側に配置され、給電時に搬送ルートに沿った方向に極性を交互に配置した磁極を発生させる電磁石ユニット60と、極性が回転方向に交互に配列された複数の永久磁石が外周面に配置され、給電された前記電磁石ユニット60に発生する磁極の引力及び反発力に応じて非接触で回転する着磁ロータ61と、着磁ロータ61の回転を前記クロスソータ用コンベヤ20に伝達し、クロスソータ用コンベヤ20の搬送面を走行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループ状に形成された搬送ルートを移動する複数の搬送ユニットで構成された仕分コンベヤに関し、特に各搬送ユニットに移動方向と直交する方向に走行する搬送面を配置したクロスソータを備えた仕分コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ループ状に形成された搬送ルートを移動する多数の搬送ユニットを連結した仕分けコンベヤの中には、各搬送ユニットの上部に無端ベルトコンベヤやローラコンベヤなどの搬送面を有するクロスソータ用コンベヤを備え、これらクロスソータ用コンベヤにより、搬送ユニットの移動方向と直交する方向に搬送物を移動させるものが一般的に知られている。各搬送ユニットに設けられるクロスソータ用コンベヤを駆動させる手法としては、地上側に備わるレール状給電部に接触移動する集電子を用いた搬送ユニット側給電によるモータ駆動にて駆動させる方法や、発電機や蓄電池を含む電力供給装置を搬送ユニットに設け、地上側レールなどと当接する回転機構から伝達された発電機回転子の回動により発電された給電によるモータ駆動にて駆動させる方法などが挙げられる。また、この他に、搬送ユニットに設けられたホイールを、搬送ルートの適宜箇所に突出及び退避自在に設けられた地上側ガイドレールに当接させながら回転させ、回転するホイールの回転力を伝達することで、クロスソータ用コンベヤの搬送面を所定の仕分け部に応じて駆動させる技術も考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地上側給電部に摺動させる集電子により給電しモータを駆動させる、又は地上側レールに当接させる回転機構により発電機を回転させた給電によりモータを駆動させる場合、搬送ユニット1台毎にクロスソータ用コンベヤの駆動モータを備えることとなり、搬送ユニットの構造が複雑化する又はそれを構成する部品点数が増加することから、メンテナンス効率やイニシャルコストが悪くなる。
【0005】
一方、搬送ユニットに設けられたホイールを、搬送ルートの適宜箇所に突出退避自在に設けた地上側ガイドレールに当接させながら回転させて、クロスソータ用コンベヤをホイールの回転力を伝達して駆動させる場合、例えばウレタンなどの化合物からなるホイールを用いた場合には、仕分けする際に突出してくる地上側ガイドレールに最初にホイールが接触する際にはどうしても衝撃をホイールが受けて破損する虞があり、また該ホイールとガイドレールとの接触力を駆動の確実性の確保のため強くするとホイールが破損したり、それに至らずとも摩耗を早めてしまう、また、接触力が弱いとホイールがうまく回転せず、ホイールの回転力をクロスソータ用コンベヤに適切に伝達することができない。
【0006】
本発明は、クロスソータ用コンベヤの駆動機構として各搬送ユニットに電力を要する駆動モータを搭載せず、機構として簡便な構成で且つ確実に駆動させることができるようにしたクロスソータを備えた仕分コンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のクロスソータを備えた仕分コンベヤは、ループ状の搬送ルートを移動し、該搬送ルートに沿って延びるリンクと保持枠とから構成され、互いに前記リンクの前後端で連結されてループ状に接続される複数の搬送ユニットと、前記搬送ユニットが予め設定された位置まで移動したときに、前記搬送ユニットの移動方向と直交する方向に搬送面を走行させることが可能な、前記保持枠に保持されるクロスソータ用コンベヤと、前記搬送ルート上の前記予め設定された位置に対応して地上側に配置され、給電時に前記搬送ルートに沿った方向に極性を交互に配置した磁極を発生させる電磁石ユニットと、極性が回転方向に交互に配列された複数の永久磁石が外周面に配置され、かつ、前記地上側に配置される前記電磁石ユニットの位置に到達しても、所定の空隙を介して接近するように前記搬送ユニットに軸支され、給電された前記電磁石ユニットに発生する磁極の引力及び反発力に応じて非接触で回転する着磁ロータと、前記着磁ロータの回転を前記クロスソータ用コンベヤに伝達することで、前記クロスソータ用コンベヤの搬送面を走行させる伝達機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記電磁石ユニットは、前記搬送ルートに沿って配置される複数の鉄芯と、前記複数の鉄芯のうち隣り合う鉄芯に対して平面視で巻き回し方向を逆に巻き回す電線とから構成され、前記電線は、前記複数の鉄芯への巻き回し回数を同じに揃えた電線であることが好ましい。
【0009】
また、前記伝達機構は、前記着磁ロータの回転力を各クロスソータ用コンベヤの前記搬送ルートの移動方向上流端または下流端まで伝達するギア列と、該ギア列終端の回転を前記クロスソータ用コンベヤ搬送面レベルまで伝達する無端タイミングベルトまたは無端チェーンと、前記クロスソータ用コンベヤ搬送面を形成する部材を駆動する歯付プーリまたはスプロケットと、からなることが好ましい。
【0010】
また、前記搬送ルートは、該搬送ルートを移動する前記搬送ユニットの移動方向を案内するセンターレールを地上側に備えており、前記搬送ユニットは、前記リンクの連結部分に、前記センターレールの垂直を為す面に当接されることで回転するガイドホイールを有していることが好ましい。
【0011】
また、前記搬送ルートは、前記搬送ユニットの移動方向の両側に且つ該搬送ルートに沿って水平当接面を有する2本の地上側ガイドレールが設けられており、前記搬送ユニットは、該搬送ユニットの移動方向における前記リンクの連結部近傍の前記搬送ユニットの移動方向に直交する線上の位置に、前記地上側ガイドレールを上方及び下方から挟持する走行ホイール対を備えていることが好ましい。
【0012】
また、前記走行ホイール対は、前記地上側ガイドレールの前記水平当接面に直交する垂直軸を中心にして回動可能に前記保持枠に軸支されてなることが好ましい
また、前記クロスソータ用コンベヤは、無端ベルトコンベヤであることが好ましい。また、前記クロスソータ用コンベヤは、駆動ローラコンベヤであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、永久磁石を、その極性を回転方向に交互に配列して外周面に備え、電磁石ユニットの位置に到達しても所定の空隙を介して接近するように搬送ユニットに軸支された着磁ロータ、及び地上側に配置され搬送ルートに沿った方向に極性を交互に配置させて給電した時にだけ前記交互に磁極を発生させる電磁石ユニットの構成で、簡単に且つ確実に、クロスソータ用コンベヤを駆動させることができる。また、着磁ロータを電磁石ユニットの位置に到達しても所定の空隙を介して接近するように配置することから、着磁ロータと電磁石ユニットとは仕分け時にも全く衝突による衝撃を受けずに、すべりを許しながら着磁ロータの回転を加速し、その後電磁石ユニットの磁極ピッチと着磁ロータの磁極ピッチとの同期により着磁ロータの回転を所定の回転数与える。
【0014】
また、電磁石ユニットにて発生させる磁極を用いて着磁ロータを回転させる構成であることから、電磁石ユニットに対する着磁ロータの位置精度を高精度に行わなくとも、着磁ロータの異磁極永久磁石の配置ピッチと電磁石ユニットの異磁極帯磁鉄芯ピッチとが着磁ロータ回転始動後すぐに同期するので、確実にクロスソータ用コンベヤを駆動させることができる。
【0015】
また、搬送ユニットの走行方向において、搬送ユニットの下部に設けられるリンクの連結部の近傍で搬送ユニット移動方向に直交する線上に、搬送ルートに沿って設けられた地上側ガイドレールの水平面を挟持する走行ホイール対を設けることで、搬送ユニットの移動時に生じる上下方向の振動を防止することができる。また、前記走行ホイール対は、前記地上側ガイドレールの水平面に直交する垂直軸を中心にして回動可能に保持枠に軸支されてなることで、搬送ルートのカーブ部分を移動するときに、各搬送ユニットの回転中心の位置が同一の位置となり、隣り合う搬送ユニットの連結部下部ガイドホイールの当接方向と、センターレールや地上側ガイドレールの当接面方向とが一致せず、各ホイールが断続して相手レールの当接面に衝突するときの異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のクロスソータを備えた仕分けコンベヤの平面図である。
【図2】搬送ユニットの構成を示す上面図である。
【図3】搬送ユニットの構成を示す正面図である。
【図4】搬送ユニットの構成を示す側面図である。
【図5】電磁石ユニット、着磁ロータ及び伝達機構の構成を示す斜視図である。
【図6】(a)電磁石ユニットの上面図、(b)電磁石ユニットの側面図である。
【図7】電磁石ユニット及び着磁ロータの関係を示す側面図である。
【図8】連結ユニットの構成を示す上面図である。
【図9】連結ユニットの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明のクロスソータを備えた仕分けコンベヤの平面図である。本発明の仕分けコンベヤ10は、多数の搬送ユニット11をそれぞれ連結した状態で、ループ状の搬送ルートに沿って移動(走行)する。仕分けコンベヤ10は、図示を省略したドライブユニットにより駆動される。なお、このドライブユニットの方式としては、周知のフリクションドライブ方式が挙げられる。この方式は、具体的には、搬送ユニット11の下部の搬送ルート方向に沿って延びる後述のリンク22の両横面を、トーションばね内蔵の支持筒に固着されたアームの先端に設けた多数のフリクションローラがフリクションベルト裏側からリンク横面圧接方向へ動くことにより、往き側のフリクションベルト一対により挟持し、一対の無端フリクションベルトを回動することで、搬送ユニット11のリンク22を送り出すことで全体を駆動するものである。
【0018】
仕分けコンベヤ10の駆動時には、各搬送ユニット11は図中A方向に移動する。各搬送ユニット11の移動時に、上流側側方に配置された搬送コンベヤ15により乗込み移送された搬送物が各搬送ユニット11に載置される。搬送物が移送載置された後も搬送ユニット11は図中A方向に移動し、下流側に配置された目的の仕分けコンベヤ16や仕分けシュート17の位置まで移動したときに、各搬送ユニット11に設けられたクロスソータ用コンベヤが駆動される。この駆動により、搬送ユニット11に載置された搬送物が仕分けコンベヤ16や仕分けシュート17(図中B方向)に向けて移動し、搬送物が仕分けられる。
【0019】
以下では、クロスソータ用コンベヤとして無端ベルトコンベヤ20を例に挙げて説明する。また、クロスソータ用コンベヤを駆動して、仕分けコンベヤ16や仕分けシュート17に払い出す位置を仕分け位置と称して説明する。
【0020】
図2〜図4に示すように、搬送ユニット11は、無端ベルトコンベヤ20を備えた保持枠21及びリンク22を備えている。保持枠21は、複数の部材から構成される。この保持枠21を構成する側部フレーム25,26の両端部には、軸受け30を介してプーリ31,32が回転自在に取り付けられる。これらプーリ31,32は、その軸方向とリンク22の長手方向とが同一方向となるように配置される。これらプーリ31,32のうち、プーリ31の回転軸31aは側部フレーム26から突出しており、この突出した部分に、後述する伝達機構62を構成する歯付プーリ73が固着される。これにより、プーリ31が駆動プーリとなり、プーリ32が従動プーリとなる。以下、プーリ31を駆動プーリ31、プーリ32を従動プーリ32と称して説明する。
【0021】
駆動プーリ31の両端部にはV溝34が、従動プーリ32の両端部にはV溝35がそれぞれ設けられる。これら駆動プーリ31及び従動プーリ32に巻き掛けられる無端ベルト33の裏面の左右端近傍には、突起(図示省略)が設けられており、無端ベルト33を駆動プーリ31や従動プーリ32に巻き掛けるときには、無端ベルト33に設けられた突起を上述したV溝34,35に係合させる。これにより、無端ベルトコンベヤ20が駆動したときに、走行する無端ベルト33の蛇行が防止される。なお、上述したV溝は、駆動プーリ31及び従動プーリ32の一方の端部に設けることも可能である。無端ベルト33の裏面に突起を設けることで、保持枠22のスライドベッド28にも同様のV溝36が設けられる。
【0022】
これら側部フレーム25,26の下部には、断面がコ字状のメンバー41,42がそれぞれ固着される。これらメンバー41,42を介して保持枠21とリンク22とが固着される。これらメンバー41,42のうち、搬送ユニット11の側部フレーム26に取り付けられるメンバー42の両端部には、搬送ユニット11の搬送ルートにおける移動方向後方に延びるブラケット43,44が取り付けられる。これらブラケット43,44の下部には、走行ホイール対45,46が垂直方向に延びる軸により軸支され、水平方向に回転可能に取り付けられる。
【0023】
走行ホイール対45は、所定の空隙を空けた2つの走行ホイール47,48と、走行ホイール47,48が回転可能に取り付けられるホルダ49から構成される。これら走行ホイール47,48の間には空隙が形成される。これら走行ホイール47,48の間に形成される空隙には、搬送ルートに沿ってその両側に形成された水平な当接面を有する地上側ガイドレール57が入り込む。走行ホイール対46も、走行ホイール対45と同様の構成、つまり、2つの走行ホイール51,52と、これら走行ホイールが回転可能に取り付けられるホルダ53とから構成される。これら走行ホイール51,52の間にも空隙が形成され、搬送ルートに沿って形成された水平な当接面を有する地上側ガイドレール58が入り込む。
【0024】
これにより、仕分けコンベヤ10の駆動時には、走行ホイール対45の走行ホイール47は地上側ガイドレール57の水平な当接面の上面に、走行ホイール48は地上側ガイドレール57の水平な当接面下面にそれぞれ当接されながら回転する。また、走行ホイール対46の走行ホイール51は地上側ガイドレール58の水平な当接面上面に、走行ホイール52は地上側ガイドレール58の水平な当接面の下面にそれぞれ当接されながら回転する。なお、符号59は、各搬送ユニット11の保持枠21の前後端に設けられるギャッププレートである。
【0025】
このように、走行ホイール対45をブラケット43に対して垂直方向に延びる軸により軸支され水平方向に回転可能に、走行ホイール対46をブラケット44に対して垂直方向に延びる軸により軸支され水平方向に回転可能に取り付けることで、これら走行ホイール対45,46は、搬送ルートに設けられるカーブを移動する過程で、カーブに合わせた角度に傾く。このため、搬送ルートに設けられるカーブを移動するときの搬送ユニット11の動作をスムーズにすることができる。また、搬送ルートのカーブ部分において、各搬送ユニットの回転中心がカーブの中心(フォーカスポイント)に位置することから、カーブ内を移動する際に生じる騒音を抑止することが可能となる。
【0026】
上述した無端ベルトコンベヤ12の駆動は、図5に示す電磁石ユニット60、着磁ロータ61及び伝達機構62によって実行される。電磁石ユニット60は、搬送ルートの地上側に設けられる。例えば仕分け位置について考えると、この仕分け位置で特定の搬送物を仕分けシュートや仕分けコンベヤに確実に払い出す必要がある。このため、搬送ユニット11が仕分け位置に到達する前に、無端ベルトコンベヤ12が駆動されるように、電磁石ユニット60を配置する位置が決定される。
【0027】
図6(a)及び図6(b)に示すように、電磁石ユニット60は、直線状に配列された複数の鉄芯65aを有するベース65、複数の鉄芯65aのそれぞれに巻き付けられる電線である巻線66及カバー67から構成される。なお、巻線66は、鉄芯65aのそれぞれに所定回数巻き付けられる。なお、鉄芯65aのそれぞれに対する巻線66の巻き数は同一の巻き数である。また、隣り合う鉄芯65aのそれぞれに巻き付けられる巻線66の巻き付け方向は逆方向となる。つまり、ある鉄芯65aに対して巻線66を時計回りに巻き付けた場合、その鉄芯65aに隣り合う鉄芯65aに対して巻線66を半時計回りに巻き付ければよい。なお、鉄芯65aに巻き付けられる巻線66は、各鉄芯毎に設けられる巻き線でもよいし、1本の巻線を各鉄芯に巻き付けることも可能である。これにより、電磁石ユニット60への給電が実行されたときには、各鉄芯65aに巻き付けられた巻線に発生する磁極は、隣り合う鉄芯65aで異なるものとなる。この電磁石ユニット60への給電の有無は、図示を省略した制御ユニットにより制御される。なお、電磁石ユニット60における磁極の強さは適宜設定されるものであり、図6においては、その一例を示している。そのため、巻線が巻き付けられる鉄芯の数、巻線の巻き数などは適宜設定される。
【0028】
着磁ロータ61は、その外周面に複数の永久磁石(図7においては12個)が、隣り合う極性が異なる極性となるように、つまりロータの外周面に生じる極性がN極、S極、N極、S極・・・となるように配置される。なお、図7においては、図の煩雑さを防止するために、永久磁石内に着磁ロータ61の外周面の極性を記載している。この着磁ロータ61は、搬送ユニット11の移動時に、搬送ルートに配置される電磁石ユニット60と衝突しないように、電磁石ユニット60の上面と着磁ロータ61の最下点との間に、所定幅Hの空隙が生じるように保持枠21から下方に水平且つ搬送ルートの移動方向に直交した軸で軸支配置される。この着磁ロータ61は、後述するベベルギア75の回転軸75aに固着される。
【0029】
図7は、着磁ロータ61がA方向に移動する場合の着磁ロータ61と電磁石ユニット60との関係を示す。例えば電磁石ユニット60に給電が行われている場合、電磁石ユニット60では、磁極が交互に形成されている。上述したように着磁ロータ61の外周面には、複数の永久磁石が、その磁極が交互となるように配置されることから、この電磁石ユニット60にて発生する磁極の影響を受ける。例えば、着磁ロータ61が電磁石ユニット60の上方に移動すると、例えば、対向する磁極がS極同士、又はN極同士であれば反発し、着磁ロータ61がC方向に回転する。その後、対向する着磁ロータ61の磁極と地上側電磁石ユニット60の磁極とが、引き合うS極とN極になると、電磁石ユニット60の鉄芯配置ピッチと着磁ロータ61の異極配置ピッチとが同期し、電磁石ユニット60の鉄芯配置ピッチに応じて着磁ロータ61が回転する。異なる極同士の引力と隣の異極との反発力により、電磁石ユニット60の鉄芯配置ピッチと着磁ロータ61の異極配置ピッチとが強く同期する。一方、電磁石ユニット60に給電が実行されない場合、電磁石ユニット60には磁極が発生しないことから、着磁ロータ61は回転しない。
【0030】
図5に戻って、伝達機構62は、複数のギアから構成されたギア列を備えたギアボックス71、歯付プーリ72,73、タイミングベルト74から構成される。ギアボックス71は、側部フレーム42,43同士を搬送ユニット11の下方で繋ぐ下部フレーム27の下面で、且つ搬送ルートの移動方向後端側に取り付けられる。このギアボックス71に設けられるギア列としては、例えば2つのベベルギア75,76が挙げられる。これらベベルギア75,76のうち、ベベルギア75の回転軸75aには着磁ロータ61が固着され、ベベルギア76の回転軸76aには歯付プーリ72が固着される。なお、ベベルギア75,76同士を噛合させることで、着磁ロータ61が回転したときの回転方向を変換し、その回転を後段の歯付プーリ72に伝達することが可能となる。なお、着磁ロータ61のC方向への回転により、ベベルギア75もC方向に回転する。このベベルギア75に噛合するベベルギア76は、ベベルギア75のC方向の回転を、D方向の回転に変換する。
【0031】
上述したように、歯付プーリ72はベベルギア76の回転軸76aに、歯付プーリ73は駆動プーリ31の回転軸31aにそれぞれ固着される。これら歯付プーリには、タイミングベルト74が巻き掛けられる。上述したように、着磁ロータ61がC方向へ回転されると、ベベルギア75に噛合するベベルギア76は、D方向に回転する。歯付プーリ72は、ベベルギア76の回転軸76aに固着されていることから、歯付プーリ72は、ベベルギア76と同様に、D方向に回転する。この歯付プーリ72の回転により、巻き掛けられるタイミングベルト74がE方向に押し出され、タイミングベルト74が走行する。これにより、歯付プーリ73がF方向に回転する。なお、このプーリ73は、駆動プーリ31の回転軸31aに固着されることから、この歯付プーリ73の回転に併せて、駆動プーリ31がF方向に回転する。無端ベルトコンベヤ12に搬送物が載置されていれば、この駆動プーリ31の回転により、無端ベルトコンベヤ12の無端ベルトがB方向に走行する。
【0032】
本実施形態では、ギアボックス71に組み込まれるギア列を2つのベベルギア75,76から構成しているが、着磁ロータ61の回転を無端ベルトコンベヤ12に伝達することができる構成であれば、これに限定される必要はない。また、伝達機構62の構成は、上述した構成に限定される必要はなく、タイミングベルト74と歯付プーリ72,73の組合せの代わりに、無端チェーンとスプロケットの組合せでも勿論良い。保持枠21の構成や、クロスソータ用コンベヤの構成、或いは搬送ルートの構成などを考慮して適宜設定してよい。
【0033】
リンク22は、搬送ユニット11に搬送物を載せたときの偏荷重によって生じるねじれに耐えるように角筒形のビームから構成される。隣り合う搬送ユニット11は、それぞれ連結ユニット81を用いて連結される。なお、この連結ユニット81は、リンク22の端部に取り付けられる。
【0034】
図8は、連結ユニットの上面図、図9は連結ユニットの側面図を示す。連結ユニット81は、隣り合う搬送ユニット11のうち、上流側の搬送ユニット11のリンク22の搬送ルートの移動方向後端側に設けられた連結突起82、下流側の搬送ユニット11のリンク22の搬送ルートの移動方向前端側に設けられた連結受け部83、及び連結ピン84から構成される。連結突起82は、隣り合う搬送ユニット11のうち、搬送ルートの移動方向後方の搬送ユニット11のリンク22の搬送ルートの移動方向前端部に取り付けられる。連結受け部83は、隣り合う搬送ユニット11のうち、搬送ルートの移動方向前方の搬送ユニット11のリンク22の搬送ルートの移動方向後端部に取り付けられる。なお、隣り合う搬送ユニット11のリンク22のいずれか一方に連結突起82を、他方に連結受け部83を設けた状態であればよいので、これら連結突起82と連結受け部83との配置関係は、上記に限定される必要はない。
【0035】
これらリンク22と連結突起82との間、又はリンク22と連結受け部83との間には、テークアップ用スペーサ85が設けられる。このテークアップ用スペーサ85は、リンク22が伸びたときに取外すことにより、リンク5の伸びを吸収する。
【0036】
連結突起82には、不図示の球面滑り軸受けが設けられている。この球面滑り軸受けを設けることで、隣り合う搬送ユニット11が左右、上下方向へ屈曲したときの影響を受けることなく、安定した搬送ユニット11の移動を実現することができる。また、通常の連結ユニットで発生する走行音等の騒音が抑制される。連結受け部83は、上下方向に、所定幅の空隙を空けた2つの連結片83a,83bから構成される。ここで、所定幅とは、少なくとも連結突起82の厚みを超過する幅からなる。
【0037】
連結ピン84は、連結受け部83に設けられる2つの連結片83a,83bの間の空隙に連結突起82を挿入し、例えば連結片83a,83bに設けられた開口、及び連結突起82の球面滑り軸受けに挿通された状態で吊設される。これにより、連結ピン84を中心に連結突起82及び連結受け部83が回動自在となる。
【0038】
この連結ピン84の下端部には、連結ピン84を軸に回転可能なガイドホイール(水平ガイドホイール)86が取り付けられる。この水平ガイドホイール86は、搬送ルートに設けられたセンターレール87,88の間の空隙に挿入された状態で保持される。
【0039】
このような構成の仕分けコンベヤを設けることによって、電磁石ユニット60への給電の有無だけを制御すれば、着磁ロータ61の回転の有無を制御することができる。また、電磁石ユニット60にて発生させる磁極により着磁ロータ61を回転させる方式を用いることで、外周面がウレタンなどの合成樹脂から形成されたホイールをガイドレールに当接させながら回転させる方式の場合に生じるホイールの破損や、ホイールがガイドレールに当接されない、又はホイールがガイドレールに当接しながら回転しても、その回転力が小さいなどの問題を生じさせることも無く、適切な回転力で無端ベルトコンベヤを駆動させることができる。また、搬送ルートに電磁石ユニット60を、搬送ユニット11に着磁ロータ61をそれぞれ設けるだけで済むので、モータなど無端ベルトコンベヤを回転させる機構や、モータに給電を行う装置を各搬送ユニット11に設ける必要が無くなるので、簡単な構成で、且つ確実に無端ベルトコンベヤを駆動することができる。
【0040】
本実施形態では、搬送ユニットに設けられるクロスソータ用コンベヤとして、無端ベルトコンベヤを例に取り上げて説明しているが、これに限定される必要はなく、クロスソータ用コンベヤとしては、無端ベルトコンベヤの他に、ローラコンベヤを用いることも可能である。
【0041】
本実施形態では、電磁石ユニットに給電を行うことで異なる磁極を交互に発生させ、移動する搬送ユニットに設けられる着磁ロータを回転させることで無端ベルトコンベヤを駆動させる場合の具体的な例として、仕分けコンベヤや仕分けシュートに搬送物を仕分ける場合について説明しているが、この他に、上流側の搬送コンベヤから各搬送ユニットに対して搬送物を送り込む場合にも、各搬送ユニットの無端ベルトコンベヤを駆動させる必要がある。この場合、上流側の搬送コンベヤから搬送ユニットに搬送物を送り込む位置で無端ベルトコンベヤが走行するように、上述した電磁石ユニットを着磁ロータの上方に配置すればよい。また、この他に、仕分けコンベヤや仕分けシュートが、搬送ルートの左右に設けられている場合には、電磁石ユニットを着磁ロータの上方及び下方の双方にそれぞれ配置すればよい。
【符号の説明】
【0042】
10…仕分けコンベヤ、11…搬送ユニット、12…無端ベルトコンベヤ、21…保持枠、22…リンク、31…駆動プーリ、32…従動プーリ、47,48,51,52…走行ホイール、57,58…地上側ガイドレール、60…電磁石ユニット、61…着磁ロータ、62…伝達機構、65a…鉄芯、66…巻線、72,73…歯付きプーリ、74…タイミングベルト、75,76…ベベルギア、86…水平ガイドホイール、87,88…センターレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状の搬送ルートを移動し、該搬送ルートに沿って延びるリンクと保持枠とから構成され、互いに前記リンクの前後端で連結されてループ状に接続される複数の搬送ユニットと、
前記搬送ユニットが予め設定された位置まで移動したときに、前記搬送ユニットの移動方向と直交する方向に搬送面を走行させることが可能な、前記保持枠に保持されるクロスソータ用コンベヤと、
前記搬送ルート上の前記予め設定された位置に対応して地上側に配置され、給電時に前記搬送ルートに沿った方向に極性を交互に配置した磁極を発生させる電磁石ユニットと、
極性が回転方向に交互に配列された複数の永久磁石が外周面に配置され、かつ、前記地上側に配置される前記電磁石ユニットの位置に到達しても、所定の空隙を介して接近するように前記搬送ユニットに軸支され、給電された前記電磁石ユニットに発生する磁極の引力及び反発力に応じて非接触で回転する着磁ロータと、
前記着磁ロータの回転を前記クロスソータ用コンベヤに伝達することで、前記クロスソータ用コンベヤの搬送面を走行させる伝達機構と、
を備えたことを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記電磁石ユニットは、前記搬送ルートに沿って配置される複数の鉄芯と、前記複数の鉄芯のうち隣り合う鉄芯に対して平面視で巻き回し方向を逆に巻き回す電線とから構成され、
前記電線は、前記複数の鉄芯への巻き回し回数を同じに揃えた電線であることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記伝達機構は、前記着磁ロータの回転力を各クロスソータ用コンベヤの前記搬送ルートの移動方向上流端または下流端まで伝達するギア列と、該ギア列終端の回転を前記クロスソータ用コンベヤ搬送面レベルまで伝達する無端タイミングベルトまたは無端チェーンと、前記クロスソータ用コンベヤ搬送面を形成する部材を駆動する歯付プーリまたはスプロケットと、からなることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記搬送ルートは、該搬送ルートを移動する前記搬送ユニットの移動方向を案内するセンターレールを地上側に備えており、
前記搬送ユニットは、前記リンクの連結部分に、前記センターレールの垂直を為す面に当接されることで回転するガイドホイールを有していることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記搬送ルートは、前記搬送ユニットの移動方向の両側に且つ該搬送ルートに沿って水平当接面を有する2本の地上側ガイドレールが設けられており、
前記搬送ユニットは、該搬送ユニットの移動方向における前記リンクの連結部近傍の前記搬送ユニットの移動方向に直交する線上の位置に、前記地上側ガイドレールを上方及び下方から挟持する走行ホイール対を備えていることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項6】
請求項5に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記走行ホイール対は、前記地上側ガイドレールの前記水平当接面に直交する垂直軸を中心にして回動可能に前記保持枠に軸支されてなることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項7】
請求項1に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記クロスソータ用コンベヤは、無端ベルトコンベヤであることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。
【請求項8】
請求項1に記載のクロスソータを備えた仕分けコンベヤにおいて、
前記クロスソータ用コンベヤは、駆動ローラコンベヤであることを特徴とするクロスソータを備えた仕分けコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−207599(P2011−207599A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78034(P2010−78034)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】