説明

グラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ

【課題】 本発明は、耐久性及びボールの反発性に優れたグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブを提供する。
【解決手段】 木製のヘッド本体2の打撃面側にフェース部材3が設けられたグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブに於いて、フェース部材3が、外層31と、外層31とヘッド本体2の間に設けられた内層32とを有し、外層31が、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における貯蔵弾性率E’が100〜500MPaの粘弾性体からなり、内層が、貯蔵弾性率E’が500MPa以上で且つ損失係数tanδが0.05以下の粘弾性体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドゴルフ又はパークゴルフに使用されるクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンドゴルフやパークゴルフは、誰でも手軽に且つ安全に楽しめることができるスポーツで、その使用用具については、日本グラウンドゴルフ協会や国際パークゴルフ協会に基準が定められている。例えば、クラブは、ロフト角を付けない木質製ヘッドを基本とし、打球面を合成樹脂板や金属板などで補強してもよいことになっている。
かかる打球面が補強されたグラウンドゴルフ又はパークゴルフ用のヘッドとして、ヘッドの底面と両側面に、底板と両打撃板を一体的に形成した合成樹脂製又は金属製の補強盤が取り付けられたグラウンドゴルフ用のヘッドが知られている(特開平10−179830号)。
【0003】
しかしながら、合成樹脂製打撃板が取り付けられた上記ヘッドは、強く打撃した際に打撃板が変形し、これが木製ヘッドに伝わるので、打撃を繰り返しているうちに木製ヘッドが破損するおそれがあるという問題点がある。一方、金属製打撃板が取り付けられたクラブは、耐久性は良いが、打撃時にボールが大きく変形するため、ボールの反発性が低いという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−179830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、耐久性に優れ、且つボールの反発性にも優れたグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の手段は、木製のヘッド本体の打撃面側にフェース部材が設けられたグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブに於いて、フェース部材が、外層と、外層とヘッド本体の間に設けられた内層とを含み、外層が、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における貯蔵弾性率E’が100〜500MPaの粘弾性体からなり、内層が、貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体又は金属からなることを特徴とする。
【0007】
上記クラブは、貯蔵弾性率E’が100〜500MPaの粘弾性体からなる外層とヘッド本体の間に、貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体又は金属からなる内層が設けられている。かかる外層は、ボールを打撃した際に適度に変形して打撃エネルギーをボールの反発に費やすことができ、また、上記内層が介在されているので、外層の変形によってヘッド本体が部分的に押圧されることを防止できる。従って、ボールの反発性が良く、且つヘッド本体の損傷を防止できるクラブを提供できる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様では、上記内層が、貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体からなり、その損失係数tanδが0.05以下の上記グラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブであり、該クラブは、内層に於いて打撃エネルギーの吸収ロスが小さく、ボールに伝える打撃エネルギーが内層で吸収され難く、ボールの反発性を低下させないので好ましい。
さらに、本発明の好ましい態様では、上記フェース部材が、外層と内層が積層された積層板を含む上記グラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブである。
また、本発明の好ましい態様では、上記外層の損失係数tanδが、0.14以下である上記グラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブである。
さらに、本発明の好ましい態様では、上記フェース部材の厚み:外層の厚みが、1:0.3〜1:0.8、フェース部材の厚み:内層の厚みが、1:0.2〜1:0.7である上記グラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブは、耐久性に優れ、ボールの反発性にも優れている。従って、本発明によれば、ボールを比較的遠くまで転がすことができ、又、ボールの強打を繰り返しても木質のヘッド本体が破損し難いグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図2に於いて、1は、ヘッド本体2の打撃面側(フェース面)にフェース部材3が設けられたヘッド5と、ヘッド5に固着されたシャフト6と、を備えるグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブを示す。
【0011】
ヘッド5の全体形状は特に限定されず、グラウンドゴルフ又はパークゴルフに応じて、公知の形状などに適宜形成することができる。尚、図1〜図2では、グラウンドゴルフとして一般に用いられるヘッド形状を例示している。
ヘッド本体2は、楓材、柿材などの公知の木材を所定形状に加工した木製ヘッドからなる。このヘッド本体2の上部(クラウン部)には、シャフトが所定角を以て嵌入される孔部が形成されている。また、ヘッド本体2のフェース面には、板状のフェース部材3が嵌着される凹み部が形成されている。この凹み部は、ヘッド本体2のフェース面のうち、重心点を含む所定領域を削除することにより形成されている。
尚、必要に応じてソール部(底部)に金属板などを設けてもよい。
【0012】
フェース部材3は、ボールが当たる外層31と、外層31とヘッド本体2の間に設けられた内層32と、を有する。
具体的には、フェース部材3は、ヘッド本体2の凹み部に嵌合する正面形状に形成された板状の外層31の裏面側に、同正面形状の板状の内層32が積層された積層体からなる。外層31と内層32は、接着剤を介して積層接着されている。尚、外層31と内層32が、互いに接着しうる樹脂からなる場合には、射出成形や共押出成形などにより、接着剤を使用せずに直接積層接着することもできる。
上記フェース部材3は、接着剤を介してヘッド本体2の凹み部に固着されている。尚、ボルトやビスなどの締付け具を用いてフェース部材3をヘッド本体2に固着することもできる。
【0013】
外層31は、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における貯蔵弾性率E’が100〜500MPaの粘弾性体、より好ましくは、貯蔵弾性率E’が100〜400MPaの粘弾性体から構成されている。かかる貯蔵弾性率E’からなる外層31は、打撃時に応力集中が起こりにくく、外層31とボールが互いに適度に変形することにより打撃エネルギーをボールの反発に効率よく費やすことができる。すなわち、貯蔵弾性率E’が100MPa未満であると、打撃時に外層31が大きく変形し、打撃エネルギーが変形エネルギーに変換される割合が高くなると共に、変形した外層31のうちボール接触面の縁部分に応力が集中するので、ボールの反発性が低くなる。一方、貯蔵弾性率E’が500MPaを超えると、外層31の変形は抑えられるもののボールの変形が大きくなって、ボールに加わる打撃エネルギーが変形エネルギーに変換される割合が高くなり、ボールの反発性が低くなるからである。
かかる外層31は、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における損失係数tanδが0.14以下の粘弾性体を用いることが好ましい。損失係数tanδが0.14を超えると、外層31に於ける打撃エネルギーの吸収ロスが大きくなり、ボールに伝える打撃エネルギーが低下するからである。尚、外層31の損失係数tanδの下限は特に限定されない。
【0014】
外層31の材料としては、特に限定されず、上記動的粘弾性特性を示すように調整されたものであれば公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、ゴム、繊維強化樹脂などを使用することができる。熱可塑性樹脂であれば、例えば、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリアミド、メタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ABS、ポリイミド、EPDM、シリコーン樹脂、ポリアリレート、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を1種または2種以上用いることができる。熱可塑性エラストマーであればスチレン系、オレフィン系、ポリウレタン系、塩ビ系、ポリアミド系などの1種または2種以上を用いることができる。熱硬化性樹脂であれば、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが例示され、ゴムであれば、BR、SBR、NRなどが例示される。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、架橋ゴムの粉を1種または2種以上混合することもできる。繊維強化樹脂であれば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)などを用いることができる。炭素繊維としては、PAN系繊維、ピッチ系繊維、セルロース系繊維などから適宜選択できる。マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、その他の熱硬化樹脂又は熱可塑性樹脂などを使用できる。
【0015】
次に、内層32は、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体又は金属から構成されている。内層32が粘弾性体からなる場合、貯蔵弾性率E’が500MPa未満であると、打撃時に於ける外層31の変形が内層32を介してヘッド本体2側に伝わり、ヘッド本体2が部分的に押圧されて損傷を受け易くなるからである。尚、粘弾性体からなる内層32の貯蔵弾性率E’の上限は特に限定されないが、打球感を考慮すると、2000MPa以下程度の粘弾性体が好ましい。また、内層32を金属で構成した場合には、打撃時に於ける外層31の変形によるヘッド本体2の押圧が起こりにくく、同様にヘッド本体2の損傷を防止できる。
さらに、内層32が粘弾性体からなる場合、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における損失係数tanδが0.05以下で、更に0.04以下であるものを用いることが好ましい。損失係数tanδが0.05を超えると、内層32に於ける打撃エネルギーの吸収ロスが大きくなり、ボールに伝える打撃エネルギーが低下するからである。
尚、外層31や内層32の貯蔵弾性率E’及び損失係数tanδは、下記実施例に示す測定法で測定された数値を言う。
【0016】
内層32として粘弾性体を用いる場合、その材質は特に限定されず、上記動的粘弾性特性を示すように調整されたものであれば公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、ゴム、繊維強化樹脂などを使用することができる。熱可塑性樹脂であれば、例えば、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリアミド、メタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ABS、ポリイミド、EPDM、シリコーン樹脂、ポリアリレート、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を1種または2種以上用いることができる。熱可塑性エラストマーであればスチレン系、オレフィン系、ポリウレタン系、塩ビ系、ポリアミド系などの1種または2種以上を用いることができる。熱硬化性樹脂であれば、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが例示され、ゴムであれば、BR、SBR、NRなどが例示される。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、架橋ゴムの粉を1種または2種以上混合することもできる。繊維強化樹脂であれば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)などを用いることができる。炭素繊維としては、PAN系繊維、ピッチ系繊維、セルロース系繊維などから適宜選択できる。マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、その他の熱硬化樹脂又は熱可塑性樹脂などを使用できる。また、内層32として金属板を用いる場合、その材質は特に限定されず、ステンレス、アルミニウム合金、チタン合金、ベリリウム合金などを用いることができる。
外層2と内層3の接合方法は特に限定されず、ボルトや嵌合などの機械的接合、接着剤などの化学的接合、外部加熱方式、摩擦発熱方式、熱版溶着、高周波誘導加熱溶着、振動溶着、スピン溶着、超音波溶着、射出溶着などの溶着による接合など公知の手段で実施できる。
外層2と内層3の接合面は平滑でもよく、また、ディンプル加工等の凹凸が形成されていてもよい。
【0017】
外層31や内層32の厚みは、特に限定されないが、何れも余りに薄すぎると実効が図れないことから、この点を考慮して適宜設計すればよい。例えば、外層31の厚みは、フェース部材3の全厚:外層31の厚みが、1:0.3〜1:0.8程度に形成されていることが好ましい。また、内層32の厚みは、フェース部材3の全厚:内層32の厚みが、1:0.2〜1:0.7程度に形成されていることが好ましい。
尚、グラウンドゴルフの現状ルール(日本グラウンドゴルフ協会)の下では、ヘッドの厚みが40〜45mmとされており、シャフトの外径を考慮すると、フェース部材3は、約10mm以下、パークゴルフの現状ルール(国際パークゴルフ協会)の下では、フェース部材3は、8mm以下に形成される。
【0018】
次に、本発明の変形例を示す。
図3(a)に示す変形例は、内層32が2以上の複層で構成されたフェース部材3を示す。このように内層32が2以上の層の積層体からなる場合、何れの層も上記動的粘弾性特性を有するものであるが、この複層のうちヘッド本体2側の層は、外層31側の層に比して、貯蔵弾性率E’が大きいものが好ましく、更に、外層31側の層に比して、損失係数tanδが小さいものがより好ましい。
また、特に図示しないが、外層31も複層で形成されていてもよい。外層31が、2以上の層の積層体からなる場合、何れの層も上記動的粘弾性特性を有するものであるが、この複層のうちヘッド本体2側の層は、表面側の層に比して、貯蔵弾性率E’が大きいものが好ましく、更に、表面側の層に比して、損失係数tanδが小さいものがより好ましい。
図3(b)に示す変形例は、外層31に対し、内層32が部分的に積層されたフェース部材3を示す。図2で示す例では、外層31の裏面全体に内層32が積層されているが、外層31の裏面側のうち、フェース面の重心点を含む一部領域に、内層32を積層することも可能である。
【0019】
図4(a)、(b)に示す変形例は、上記動的粘弾性特性を有する外層31及び内層32以外に、他の層4が積層されたフェース部材3を示す。本発明の効果を損なわない範囲であれば、このように内層32とヘッド本体2の間、外層31の表面、内層32と外層31の間(図示せず)などに他の層4を積層することもできる。
【0020】
図4(c)に示す変形例は、ヘッド本体2のフェース面全体に、フェース部材3が設けられたクラブ1を示す。図1で示す例では、ヘッド本体2のフェース面の一部にフェース部材3が設けられているが、このように全面に設けることも可能である。
また、その他図示しないが、ヘッド本体2が、左右対称的な形状(両面に打撃面がある)のものでもよい。このような左右両面に打撃面があるヘッドの場合、フェース部材3は、両面に設けられていてもよいし、片面のみに設けられていてもよい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0022】
(使用したフェース材料)
アイオノマー(1)…三井デュポンポリケミカル(株)製、製品名:ハイラミン[登録商標]1555及びハイラミン[登録商標]1706。同1555と同1706の混合樹脂(重量比2:1)。
アイオノマー(2)…三井デュポンポリケミカル(株)製、製品名:ハイラミン[登録商標]1555。
アイオノマー(3)…三井デュポンポリケミカル(株)製、製品名:ハイラミン[登録商標]1855。
アイオノマー(4)…三井デュポンポリケミカル(株)製、製品名:ハイラミン[登録商標]79102。
ABS…テクノポリマー(株)製、製品名:テクノABS170。
CFRP…日東電工マテックス社製、製品名:カーボンUD積層体。
ポリカーボネート…三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、製品名:ノバレックス[登録商標]7022A。
ナイロン…宇部興産(株)製、製品名:1013NW。
ポリウレタン…BASF社製、製品名:エラストランA85。
【0023】
実施例1
(外層)
射出成形機でアイオノマー(1)を射出成形して(射出速度:30mm/s、射出温度(スクリュー部):200℃、射出圧力:78.4MPa)、厚み5mmの樹脂板を作製した。この板の正面形状は、市販のグラウンドゴルフ用クラブ((株)アシックス製、商品名:GGG130)のフェース面と略同じ形状に成形した。
(内層)
射出成形機でABSを射出成形して(射出速度:30mm/s、射出温度(スクリュー部):240℃、射出圧力:68.6MPa)、上記外層と略同じ正面形状の厚み5mmの樹脂板を作製した。
(フェース部材の作製)
外層となる上記樹脂板の裏面に、接着剤を用いて、上記内層となる樹脂板を接着することにより、実施例1に係るフェース部材を作製した。
【0024】
実施例2
厚み5mmのCFRP板材を用い、この板材を上記正面形状に切り取ったものを内層の板として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るフェース部材を作製した。
【0025】
実施例3
ポリカーボネート(射出速度:30mm/s、射出温度(スクリュー部):300℃、射出圧力:78.4MPa)を内層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るフェース部材を作製した。
【0026】
実施例4
ナイロン(射出速度:60mm/s、射出温度(スクリュー部):300℃、射出圧力:78.4MPa)を内層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係るフェース部材を作製した。
【0027】
実施例5
アイオノマー(2)(射出速度:40mm/s、射出温度(スクリュー部):230℃、射出圧力:58.8MPa)を外層の材料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係るフェース部材を作製した。
【0028】
実施例6
ポリカーボネート(成形方法は同じ。以下、同様の成形方法の場合には材料名のみを記す)を内層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6に係るフェース部材を作製した。
【0029】
実施例7
ナイロンを内層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7に係るフェース部材を作製した。
【0030】
実施例8
アイオノマー(3)(射出速度:40mm/s、射出温度(スクリュー部):230℃、射出圧力:58.8MPa)を外層の材料として用い、その厚みを6mmに成形したこと、及び内層の厚みを3mmに成形したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係るフェース部材を作製した。
【0031】
実施例9
ポリカーボネートを内層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、実施例8と同様にして、実施例9に係るフェース部材を作製した。
【0032】
実施例10
アイオノマー(4)(射出速度:40mm/s、射出温度(スクリュー部):240℃、射出圧力:58.8MPa)を外層の材料として用い、その厚みを3mmに成形したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10に係るフェース部材を作製した。
【0033】
実施例11
ポリカーボネートを内層の材料として用い、その厚みを4mmに成形したこと以外は、実施例10と同様にして、実施例11に係るフェース部材を作製した。
【0034】
比較例1
ABSを外層の材料として用い、その厚みを8mmに成形したこと、及び内層を積層しなかった(即ち、フェース部材として8mmのABS単層板を用いた)こと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るフェース部材を作製した。
【0035】
比較例2
ポリウレタン(射出速度:60mm/s、射出温度(スクリュー部):220℃、射出圧力:78.4MPa)を内層の材料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るフェース部材を作製した。
【0036】
比較例3
内層を積層しなかった(即ち、フェース部材として5mmのアイオノマー(1)単層板を用いた)こと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係るフェース部材を作製した。
【0037】
比較例4
厚み5mmのCFRPを板材を外層の材料として用いたこと以外は、比較例2と同様にして、比較例4に係るフェース部材を作製した。
【0038】
比較例5
ABSを内層の材料として用いたこと以外は、比較例4と同様にして、比較例5に係るフェース部材を作製した。
【0039】
比較例6
ナイロンを外層の材料として用い、その厚みを2mmに成形したこと以外は、比較例5と同様にして、比較例6に係るフェース部材を作製した。
【0040】
比較例7
厚みを8mmとしたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例7に係るフェース部材を作製した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
(動的粘弾性の測定)
上記実施例1〜11及び比較例1〜6で得られた外層及び内層の樹脂板を、厚み約2.0mm、幅約5.0mm、長さ約20.0mmの短冊状に切り取り、これを試験片として下記条件で動的粘弾性を測定することにより、それぞれ貯蔵弾性率E’及び損失係数tanδを求めた。その結果を各表に示す。

測定機器:(株)ユービーエム製、動的粘弾性測定装置 Rheogel-E4000
モード:引張りによる周波数依存性。
波形:正弦波歪み(連続加振)。
チャック間距離:10mm
温度:23(±1)℃。
周波数:100Hz。
荷重:初期荷重。
変位:5μm一定。
【0045】
(ボールの反発試験)
鉄製の垂直壁面に、外層を表側にして実施例1〜11及び比較例1〜6のフェース部材を固着し、0.7m離れた距離からエアガン式ボール発射装置で市販のグラウンドゴルフ用ボール((株)アシックス製、商品名:GGG311)を衝突させ(衝突速度:25m/秒、温度:23℃、湿度:65%)、跳ね返り速度(m/秒)から反発係数を算出した。その結果を各表に示す。
反発係数=跳ね返り速度/発射速度)。
【0046】
(耐久性試験)
市販のグラウンドゴルフ用クラブ((株)アシックス製、商品名:GGG130)と同じ形状の楓材製のヘッド本体(最大幅:約150mm、最大高:約72mm、厚み:45mm)を作製し、このヘッド本体のフェース面全体を10mm分だけ削り取り、フェース部材を取り付ける部分を形成した。この部分に外層を表側にして実施例1〜11及び比較例1〜6のフェース部材を接着剤を用いて固着してグラウンドゴルフ用のクラブを作製した。
このクラブをゴルフスイングロボット((株)ミヤマエ製)に取付け、市販のグラウンドゴルフ用ボール(同上)を用いてヘッド速度30m/秒で連続打撃(1000球まで)を行い、ヘッド本体の破損状況を調べた。表中、「○」は、1000球で破壊の無かったもの、「×」は、500球で破壊が見られたものを示す。
【0047】
(打撃感)
上記耐久性試験と同様にして作製したクラブを、任意に抽出した試験者20名に、グラウンドゴルフ用ボール(同上)を用いて、芝コース上でスタートマットからホールポストまでの50mを一打で到達する程度の力でそれぞれ実際に打撃してもらい、手へ伝わる感触を確認した。各人、5回試打し、「硬い」、「良好」、「柔らかい」の3段階で評価し、統計的有意差のある結果のみを各表に示す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は、本発明のクラブの一実施形態を示す正面図、(b)は、同要部拡大斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明のクラブの他の実施形態を示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は、本発明のクラブの他の実施形態を示す断面図、(c)は、本発明のクラブの他の実施形態を示す要部拡大斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1…クラブ、2…ヘッド本体、3…フェース部材、31…外層、32…内層、5…ヘッド、6…シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製のヘッド本体の打撃面側にフェース部材が設けられたグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブに於いて、
前記フェース部材が、外層と、前記外層とヘッド本体の間に設けられた内層と、を含み、
前記外層が、動的粘弾性測定(23±1℃、100Hz)における貯蔵弾性率E’が100〜500MPaの粘弾性体からなり、
前記内層が、貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体又は金属からなることを特徴とするグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ。
【請求項2】
前記内層が、貯蔵弾性率E’が500MPa以上の粘弾性体からなり、その損失係数tanδが0.05以下である請求項1記載のグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ。
【請求項3】
前記フェース部材が、前記外層と内層とが積層された積層板を含む請求項1又は2記載のグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ。
【請求項4】
前記外層の損失係数tanδが、0.14以下である請求項1〜3の何れかに記載のグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ。
【請求項5】
フェース部材の全厚:外層の厚みが、1:0.3〜1:0.8、フェース部材の全厚:内層の厚みが、1:0.2〜1:0.7である請求項1〜4の何れかに記載のグラウンドゴルフ・パークゴルフ用のクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−230685(P2006−230685A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49013(P2005−49013)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)