説明

グリセリンカーボネート配糖体

グリセロ糖脂質前駆体、保湿剤等として有用な、グリセリンの1位の水酸基が配糖化されたグリセリン配糖体の選択的かつ簡便な製造方法を提供する。
下記式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体:


(式中、Gは単糖残基を示し、nは1〜3の整数を示す)、糖類とグリセリン−1,2−カーボネートを酸の存在下で反応させることによる、式(1)のグリセリンカーボネート配糖体の製造方法、及び式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体の脱保護基を行う、下記式(2)で表されるグリセリン配糖体の製造方法:


(式中、G及びnは前記の通り)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリン炭酸エステル(グリセリンカーボネート)をアグリコンとした新規配糖体、その製造方法、及び該配糖体を前駆体として用いるグリセリン配糖体の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコシルグリセロールやガラクトシルグリセロール等に代表されるグリセリン配糖体は、藻類などの植物中(非特許文献1)や、日本酒、みそ、みりん等の発酵食品中(特許文献1)に存在することが知られている。これらグリセリン配糖体はグリセロ糖脂質の合成前駆体として有用な化合物であり、酸などの触媒や、リパーゼなどの酵素を用いて脂肪酸と縮合させることによりグリセロ糖脂質を合成することが出来る。またこれらグリセリン配糖体はそれ自身が保水性を有し、乳化物の安定性を高める効果のある有用な化合物である。例えば特許文献2では、ガラクトシルグリセロールの保水性、乳化物の安定性向上効果が立証されており、スキンクリームや化粧水へ応用した例が記載されている。
【0003】
グリセリン配糖体を得る方法としては、(1)グリセリン配糖体を含む植物体などからの抽出、(2)グリセロ糖脂質の加水分解、(3)グリセリン供与体と糖供与体からの合成、等が挙げられる。(1)の方法を用いる場合、グリセリン配糖体は植物中にごく微量しか存在しないため、少量のサンプルを得るためにも大量の植物体を必要とし、その精製は煩雑で多大な労力を要する。(2)の方法としては、例えば特許文献3に記載の方法が挙げられ、天然由来のグリセロ糖脂質をイオン交換樹脂の存在下で加水分解することでグリセリン配糖体を製造している。この方法では、原料となるグリセロ糖脂質はほとんどが動植物由来であり、さらに動植物中のグリセロ糖脂質含量が少ないため非常に高価であり、工業的な利用には適さない。(3)の方法は、グリセリンに限らず種々のアグリコンを直接配糖化する方法として広く用いられており、酸触媒、糖転移酵素等を用いる反応が知られている。例えば特許文献4、特許文献5、及び特許文献6には、ラクトース等のガラクトース供与体とグリセリン供与体に各種糖転移酵素を作用させることによりガラクトシルグリセロールを製造する方法が開示されている。しかし、グリセリンのような多価アルコールを配糖化する場合、グリセリンの1位の水酸基が配糖化されたもの、2位の水酸基が配糖化されたもの、及び複数の水酸基が配糖化されたものの混合物が生成することが予想され、選択的な合成は困難である。天然に存在するグリセロ糖脂質はその多くがグリセリンの1位の水酸基に糖が結合した構造を有するため、グリセロ糖脂質の前駆体としての利用を考えた場合、グリセリンの1位の水酸基が配糖化されたグリセリン配糖体を選択的に得ることが望ましい。
【0004】
その他の方法として、アリルグルコシドからエポキシ体を経由してグルコシルグリセロールを製造する反応が非特許文献3に記載されているが、反応工程数が多く簡便な方法とは言えない。更に、特許文献7には、グリセリン部位の水酸基が置換された、グリセリン配糖体と類似の化合物であるグリセロ糖脂質類縁体の、抗プラーグ剤としての応用が開示されている。しかしこの先行文献では、複雑な多段階の合成法によりグリセロ糖脂質を合成している。
【非特許文献1】Carbohydr.Res.1979,73,193−202
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.1954,76,2221.
【非特許文献3】J.Carbohydr.Chem.1998,17(6),937−968
【特許文献1】特開平11−222496号公報
【特許文献2】特開平9−38478号公報
【特許文献3】特公平5−25880号公報
【特許文献4】特許第2527345号公報
【特許文献5】特開2002−218993号公報
【特許文献6】特開平9−140393号公報
【特許文献7】特開平6−80545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グリセロ糖脂質前駆体、保湿剤等として有益な化合物であるグリセリン配糖体、特にグリセリンの1位の水酸基が配糖化されたグリセリン配糖体の選択的かつ簡便な製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Gは単糖残基を示し、nは1〜3の整数を示す)を提供するものである。
本発明はまた、糖類とグリセリン−1,2−カーボネートを酸の存在下で反応させる、上記式(1)のグリセリンカーボネート配糖体の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体の脱保護基を行う、下記式(2)で表されるグリセリン配糖体の製造方法を提供するものである:
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Gは単糖残基を示し、nは1〜3の整数を示す)。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、新規配糖体であるグリセリンカーボネート配糖体を製造することが可能である。さらに該グリセリンカーボネート配糖体から良好な収率で選択的にグリセリンの1位の水酸基が配糖化されたグリセリン配糖体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者等はグリセリン配糖体の選択的かつ簡便な製造方法を提供するため鋭意検討を行った結果、グリセリンの1,2位を保護した環状炭酸エステルであるグリセリン−1,2−カーボネートをアグリコンとし、酸の存在下で配糖化することにより、グリセリン骨格の1位の水酸基のみが選択的に配糖化されること、そして得られた配糖体を原料として用いて、選択的にグリセリンの1位の水酸基が配糖化されたグリセリン配糖体が得られることを見出した。通常エステル結合は酸に弱いため、エステル基を有する原料を酸の存在下で反応させる場合、副反応としてエステル基の開裂が懸念される。しかし驚くべきことに、本発明の反応条件下においては、酸の存在下でも炭酸エステルの開裂が少ないことがわかった。本発明で得られたグリセリンカーボネート配糖体は調査の結果現在まで報告例がなく、新規な化合物であった。また、本発明で得られるグリセリンカーボネート配糖体は、塩基等を作用させることで容易に脱保護することが可能であり、高収率で目的とするグリセリン配糖体へと変換することが可能である。
【0013】
本発明で得られる式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体は新規配糖体である。
式(1)及び(2)において、Gで示される単糖残基の単糖は、グリコシド結合を形成しうる単糖であればいかなる構造でもよく、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、タロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース等のヘキソース、アラビノース、キシロース、リボース、リキソース等のペントース、デオキシリボース、ラムノース、フコース(ロデオース)、イソロデオース等のデオキシ糖、グルコサミン、ガラクトサミン、グロサミン、シアル酸(ノイラミン酸)、ムラミン酸等のアミノ糖またはこれらのN−アセチル化体、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸等のウロン酸などが挙げられる。これらの単糖残基において、その水酸基は硫酸エステル、リン酸エステル、酢酸エステル、ベンジルエーテル、シリルエーテル等に変換されていてもよい。分子内に単糖残基を2つ以上有する場合(式(1)において、n≧2)、それら単糖残基はすべて同種の糖でもよいし、それぞれ異なった糖が結合していてもよい。また、式(1)及び(2)中のnは1〜3の整数であり、好ましくは1である。また、式(1)及び(2)の化合物はGで示される単糖残基とのグリコシド結合により、配糖化されている。
【0014】
本発明において、グリセリンカーボネート配糖体の原料の一つとして使用されるグリセリン−1,2−カーボネートは市販されており、容易に入手可能である。また、グリセリンにジメチルカーボネートやホスゲン、尿素などのカルボニル化合物を反応させることにより合成することもできる。
【0015】
本発明において、グリセリンカーボネート配糖体の他方の原料として使用される糖類としては、グリコシド結合を形成し得る糖類であればいかなる構造でもよい。単糖類に限らず、二糖類、三糖類などのオリゴ糖を用いることもできる。
【0016】
グリセリンカーボネート配糖体を製造する際に用いる酸としては、三フッ化ホウ素などのルイス酸、パラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、リンモリブデン酸などのブレーンステッド酸、及びアルミナ、モンモリロナイト、ゼオライトなどの固体酸、並びにこれらの酸の水和物又は溶媒和物等が挙げられ、三フッ化ホウ素、パラトルエンスルホン酸、又はこれらの酸の水和物又は溶媒和物が好ましく、三フッ化ホウ素の溶媒和物、例えばBF・OEt、が更に好ましい。用いる酸の量は、グリセリンカーボネート配糖体を製造出来る量を配合すればよく、特に限定されないが、通常はグリセリン−1,2−カーボネートの0.1〜10倍モルである。溶媒はジクロロメタンのような有機溶媒を使用してもよいが、溶媒を使用しなくてもよい。
【0017】
グリセリンカーボネート配糖体を製造する際の反応温度は、炭酸エステルの分解が起こらない範囲で、原料である糖の反応性や触媒に応じて任意に設定することが出来るが、通常0℃〜150℃の範囲であり、0〜100℃が好ましい。反応温度が100℃以下であれば顕著な炭酸エステルの分解を抑制出来、また0℃以上であれば反応速度の点で好ましい。
【0018】
グリセリンカーボネート配糖体を製造する際の糖類とグリセリン−1,2−カーボネートの仕込み比(モル比)は任意に設定することができるが、アグリコンであるグリセリン−1,2−カーボネートを小過剰にするのが一般的である。糖類に対するグリセリン−1,2−カーボネートの仕込み比(グリセリン−1,2−カーボネート:糖類のモル比)は好ましくは1.0〜10.0、特に1.0〜5.0である。用いる糖類が無保護糖である場合、上記仕込み比が1.0以上であると糖どうしの縮合が起こりにくく、また該比が10.0以下であると未反応のグリセリン−1,2−カーボネートが大量に残存することがなく経済的である。
【0019】
グリセリンカーボネート配糖体は脱保護基を行うことにより、高収率で目的とするグリセリン配糖体へと変換することが可能である。脱保護剤としては、通常塩基又は還元剤が用いられ、グリコシド結合に影響を与えずに環状炭酸エステルを開裂させ得るものであれば任意の塩基又は還元剤が使用可能である。例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の塩基、及び水素化アルミニウムリチウム、ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライドのナトリウム塩等の還元剤が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。好ましい脱保護剤はナトリウムメトキシドである。
塩基又は還元剤の使用量は任意に設定できるが、好ましい使用量としては、グリセリンカーボネート配糖体のエステル結合に対して1.00〜5.0当量、特に1.0〜2.0当量である。使用量が1.0当量以上であれば未反応のエステル結合の残留がなく、また、5.0当量以下であれば経済的な観点から好ましい。
【0020】
上記の脱保護基における溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン等が使用できる。
【0021】
グリセリンカーボネート配糖体の脱保護基をしてグリセリン配糖体を製造する際の反応温度は、用いる塩基等の種類に応じてグリコシド結合の開裂が起こらない範囲で任意に設定することができるが、グリコシド結合の開裂の抑制および適度な反応速度の観点から、通常は0〜100℃の範囲が好ましい。
【実施例】
【0022】
以下の実施例により本発明を具体的に詳述する。実施例における反応率はガスクロマトグラフィー(GC)分析による原料糖の残存量(面積%)から算出した。収率はすべてモル%である。
実施例1
【0023】
【化3】

【0024】
300mLナスフラスコにβ−D−ペンタアセチルガラクトース9.77g、グリセリン−1,2−カーボネート4.43gを仕込み、ジクロロメタン100mLに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下、室温で攪拌しながらBF・OEt14.20gを滴下した。室温で2時間攪拌した後、NaHCOの飽和水溶液200mLを加えて反応を停止した。反応混合物を分液ロートに移してジクロロメタン層を分離し、さらに水層を100mL×2のジクロロメタンを用いて抽出した。ジクロロメタン溶液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過により硫酸ナトリウムを除いた後、減圧下でジクロロメタンを除去した。得られた粘調オイルのGC分析の結果、糖の反応率は94%であった。この粘調オイルをシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、白色固体8.59gを得た。HNMRによる分析の結果、この固体は目的とするβ−D−テトラアセチルガラクトシル−1,2−グリセリンカーボネートのグリセリン骨格における2位の立体配置が異なるジアステレオマーの1:1混合物であることがわかった(以下、一方をジアステレオマーA、他方をジアステレオマーBと表記する)。収率は77%であった。この固体の一部をシリカゲルカラムで更に分画することでそれぞれのジアステレオマーを単離し、HNMR、H−H COSY及びMSによる分析により詳細な構造決定を行った。
ジアステレオマーA
HNMR(400MHz,CDCl)δ5.41(dd,J=3.4Hz,1.0Hz,1H),5.23(dd,J=10.4Hz,8.0Hz,1H),5.02(dd,J=10.6Hz,3.4Hz,1H),4.84(m,1H),4.58(d,J=8.0Hz,1H),4.48(d,J=7.6Hz,2H),4.19(dd,J=11.2Hz,6.4Hz,1H),4.12(dd,J=11.0Hz,6.6Hz,1H),3.99(dd,J=12.0Hz,2.4Hz,1H),3.94(td,J=6.8Hz,1.2Hz,1H),3.90(dd,J=12.2Hz,3.0Hz,1H),2.16(s,3H),2.10(s,3H),2.06(s,3H),1.99(s,3H).
13CNMR(400MHz,CDCl)δ170.4,170.1,170.0,169.8,154.6,101.5,74.4,70.9,70.5,68.2,67.6,66.9,65.5,61.1,20.6,20.6,20.5,20.5.
MS m/z=449.0(M+H).
ジアステレオマーB
HNMR(400MHz,CDCl)δ5.40(dd,J=3.2Hz,1.2Hz,1H),5.22(dd,J=10.8Hz,8.0Hz,1H),5.02(dd,J=10.6Hz,3.4Hz,1H),4.83(m,1H),4.57(d,J=8.0Hz,1H),4.52(t,J=8.6Hz,1H),4.34(dd,J=8.4Hz,6.4Hz,1H),4.18(dd,J=11.7Hz,6.8Hz,1H),4.13(dd,J=11.4Hz,6.8Hz,1H),4.05(dd,J=11.4Hz,4.2Hz,1H),3.95(td,J=6.8Hz,1.2Hz,1H),3.81(dd,J=11.2Hz,4.8Hz,1H),2.17(s,3H),2.09(s,3H),2.06(s,3H),1.99(s,3H).
13CNMR(400MHz,CDCl)δ170.4,170.1,170.0,169.5,154.5,101.1,74.5,71.0,70.6,68.2,68.1,66.8,66.0,61.1,20.7,20.6,20.6,20.5.
MS m/z=449.0(M+H).
【0025】
実施例2
【0026】
【化4】

【0027】
100mLナスフラスコにβ−D−ペンタアセチルガラクトース3.90g、グリセリン−1,2−カーボネート1.77g、パラトルエンスルホン酸1水和物(PTS・HO)0.19gを仕込み、ジクロロメタン40mLに溶解した。この溶液を攪拌しながら加熱し、還流を行った。15時間後、室温まで放冷してNaHCOの飽和水溶液100mLを加えた。反応混合物を分液ロートに移してジクロロメタン層を分離し、さらに水層を50mL×2のジクロロメタンを用いて抽出した。ジクロロメタン溶液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過により硫酸ナトリウムを除いた後、減圧下でジクロロメタンを除去した。得られた粘調オイルのGC分析の結果、糖の反応率は70%であった。この粘調オイルをシリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで、β−D−テトラアセチルガラクトシル−1,2−グリセリンカーボネート(ジアステレオマーAとジアステレオマーBの1:1混合物)0.80gを得た(収率18%)。
【0028】
実施例3
【0029】
【化5】

【0030】
100mLナスフラスコ中で、実施例1で得たβ−D−テトラアセチルガラクトシル−1,2−グリセリンカーボネート(ジアステレオマーA)0.5gを無水メタノール10mLに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下でナトリウムメトキシド(NaOMe)の28%メタノール(MeOH)溶液1.67gを加え、室温(rt)で30分間攪拌した。反応液を、ローム・アンド・ハース社製アンバーライトIR118(H)19.4mL(予め樹脂を蒸留水、メタノールで十分に洗浄したもの)を充填したカラムに移し、流速約1mL/minでカラムを通過させた後、さらに150mLのメタノールで樹脂を洗浄した。溶離液と洗液を合わせて減圧下でメタノールを除去した後、蒸留水5mLを加えて不溶分をメンブランフィルターにより濾別した。ろ液を凍結乾燥することにより、β−D−ガラクトシルグリセロールの単一ジアステレオマー(以下、ジアステレオマーaと表記する)0.18gを得た(収率64%)。
ジアステレオマーa13CNMR(400MHz,DO)δ105.9,78.0,75.5,73.7,73.6,73.3,71.5,65.2,63.9.MS m/z=255.0(M+H).
【0031】
実施例4
実施例3において、原料を実施例1で得たβ−D−テトラアセチルガラクトシル−1,2−グリセリンカーボネート(ジアステレオマーB)に変更した以外は実施例4と同様に反応を行ったところ、β−D−ガラクトシルグリセロールの単一ジアステレオマー(以下、ジアステレオマーbと表記する)0.18gを得た(収率64%)。
ジアステレオマーb13CNMR(400MHz,DO)δ106.2,78.0,75.5,73.8,73.7,73.5,71.5,65.2,63.9.MS m/z=255.0(M+H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるグリセリンカーボネート配糖体:
【化6】

(式中、Gは単糖残基を示し、nは1〜3の整数を示す)。
【請求項2】
上記式(1)中、nが1である請求項1のグリセリンカーボネート配糖体。
【請求項3】
糖類とグリセリン−1,2−カーボネートを酸の存在下で反応させる、請求項1又は2に記載のグリセリンカーボネート配糖体の製造方法。
【請求項4】
上記酸が三フッ化ホウ素である請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のグリセリンカーボネート配糖体の脱保護基を行う、下記式(2)で表されるグリセリン配糖体の製造方法:
【化7】

(式中、Gは単糖残基を示し、nは1〜3の整数を示す)。
【請求項6】
上記式(2)中、nが1である請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
塩基又は還元剤を用いて脱保護基を行う、請求項5又は6記載の製造方法。
【請求項8】
ナトリウムメトキシドを用いて脱保護基を行う、請求項5又は6記載の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/033122
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514465(P2005−514465)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014493
【国際出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】