説明

グリセロール基含有オルガノポリシロキサン、化粧料及びグリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法

【課題】特別な精製工程を必要としない新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供、さらに、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとした感触を与える化粧料を提供する。
【解決手段】主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(1)で表されるグリセロール基含有置換基が結合してなるものであるグリセロール基含有オルガノポリシロキサン。




(上記一般式(2)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、m’は1〜5の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサン、これを含む化粧料、及びグリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、シリコーンにグリセロール基を連結させる方法(特許文献1〜4)やそれらの方法で得られた化合物が開示されている。これらの方法は末端に二重結合を持つグリセロール(脂肪族不飽和結合を有する(ポリ)グリセリン)やその誘導体とメチルハイドロジェンポリシロキサンとの触媒的付加反応により目的のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを得ている。
【0003】
しかし、この方法は末端に二重結合を持つ原料グリセロール(未反応グリセロール)の残存が避けられないことから、洗浄や水素添加反応等の精製工程が必要不可欠となる。これらの精製を行わない場合、経時で不快な臭気が発生することが知られている。さらに、ヒドロキシ基を持つシリコーンと酸性、または塩基性触媒存在下でグリシドールを反応させる方法も知られているが、酸、塩基触媒の存在によってシロキサン鎖の切断、再配列が避けられない等の問題がある。また、反応後の中和や生成する塩の除去等特殊な精製工程が必要であった。
【0004】
また、グリセロール基含有オルガノポリシロキサンの応用として化粧料に応用する技術も開発されてきている(特許文献2、4〜6)。しかし、従来のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは化粧料に配合した際に保水性に優れ、しっとりとした感触はあるものの、べたつきやしっとり感の持続性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−20531号公報
【特許文献2】特開平2004−339244号公報
【特許文献3】特開昭57−149290号公報
【特許文献4】特開平09−278892号公報
【特許文献5】特開平09−71504号公報
【特許文献6】特開平10−316526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、未反応グリセロール除去のために従来必要不可欠であった特別な精製工程を必要としない、新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供すること、さらに、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとした感触を与える化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(1)で表されるグリセロール基含有置換基が結合してなるものであることを特徴とするグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを提供する。
【化1】

(上記一般式(1)中、X、Yはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0〜4の整数であり、Zは下記一般式(2)で表される有機基を示す。)
【化2】

(上記一般式(2)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、m’は1〜5の整数である。)
【0008】
このような新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、従来グリセロール基含有オルガノポリシロキサンを得る場合に必要不可欠であった洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の精製工程が不要であり、更に、これを含む化粧料は、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとした感触を与えることができる。
【0009】
また、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサンと、グリシドールとの反応生成物(以下、単に反応生成物ともいう)であることが好ましい。
【化3】

(上記一般式(3)中、X、Y、及びmは前記と同じであり、Z’は下記一般式(4)で表される有機基を示す。)
【化4】

(上記一般式(4)中、Rは前記と同じである。)
【0010】
このように、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンとしては上記反応生成物を挙げることができる。
尚、本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、上記一般式(2)式で表される直鎖状のグリセロール基を含有する有機基を有するものであるが、実際の反応生成物には、グリシドールの配合組成により異性体を含む場合があり、異性体として、分岐状のグリセロール基も含むオルガノポリシロキサンも製造される場合がある。
【0011】
またこの場合、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(5)で表される化合物であることが好ましい。
【化5】

(上記式(5)中、Rは互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフロロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、及び炭素数7〜30のアラルキル基から選択される基であり、R10は前記一般式(1)で表される置換基であり、R11はR10又はRから選択される基であり、Aは下記一般式(6)
【化6】

(上記一般式(6)において、R及びR10は上記の通りであり、Qは酸素原子、又は炭素数1〜3の2価の炭化水素基である。)
で表されるオルガノポリシロキサンセグメントであり、上記一般式(5)及び上記一般式一般式(6)において、a、b及びcは互いに独立に0〜3の整数であり、eは0〜100の整数であり、fは0〜20,000の整数であり、gは0又は1の整数であり、hは0又は1の整数であり、iは0〜100の整数であり、jは0〜10,000の整数であり、但し、R11がR10である場合、1≦a+b+c+e+g+iであり、R11がRである場合、1≦a+b+c+e+iである。)
【0012】
このように、上記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、上記平均組成式(5)で表される化合物であることが好ましい。
【0013】
また、本発明では、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンを含有するものであることを特徴とする化粧料を提供する。
【0014】
このような前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンを含有する本発明の化粧料は、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとした感触を与える化粧料となる。
【0015】
また、本発明では、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンと、25℃における粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサンとを含有するものであることを特徴とする化粧料を提供する。
【0016】
このような化粧料であれば、より一層、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとして、きしみ感がなく、かつ伸びの良い感触を与える化粧料となる。
【0017】
また、本発明では、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサンと、グリシドールとを反応させることを特徴とするグリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
【化7】

(一般式(3)中、X、Yはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0〜4の整数であり、Z’は下記一般式(4)で表される有機基を示す。)
【化8】

(一般式(4)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基である。)
【0018】
本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法であれば、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、上記一般式(1)で表されるグリセロール基含有置換基が結合してなる新規なグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、従来の洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程を必要としない新規なグリセロール基含有オルガノポリシロキサンとなる。また、該新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサンを含む化粧料は、経時での臭気発生がなく、べたつきもなく、しっとり感の持続性の高い化粧料となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】調製例1で得られた反応生成物の1H NMR測定結果である。
【図2】調製例2で得られた反応生成物の1H NMR測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、特別な精製工程を必要としない、新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法、更に、経時で臭気を発生せず、べたつきのない、しっとりとした感触を与える化粧料が求められている。
【0022】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、アミド結合により連結したカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンと、グリシドールとを反応させることにより、新規なグリセロール基含有オルガノポリシロキサンが得られることを見出した。更に、本発明によって得られる新規なグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを化粧料に配合した場合、経時で臭気を発生せず、べたつきがなく、しっとり感の持続性の高い化粧料が得られることを見出した。
【0023】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサン
本発明は、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(1)で表されるグリセロール基含有置換基が結合してなるものであることを特徴とする新規なグリセロール基含有オルガノポリシロキサンに関する。
【化9】

(上記一般式(1)中、X、Yはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0〜4の整数であり、Zは下記一般式(2)で表される有機基を示す。)
【化10】

(上記一般式(2)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、m’は1〜5の整数である。)
【0024】
上記一般式(1)において、X及びYはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の2価脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10、特に2〜6のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又はフェニレン基がより好ましく、中でも、エチレン基、エチレニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘキサメチレン基、又はフェニレン基が好ましい。mは0〜4の整数を示すが、0〜2がさらに好ましい。
【0025】
上記一般式(2)において、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖の2価脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数2〜10、特に2〜6のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又はフェニレン基がより好ましく、中でもエチレン基、エチレニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ヘキサメチレン基、又はフェニレン基がさらに好ましい。m’は1〜5の整数を示すが、1〜3がさらに好ましく、最も好ましくは1である。
【0026】
本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサンと、グリシドールとの反応生成物であることが好ましい。
【化11】

(上記一般式(3)中、X、Y、及びmは前記と同じであり、Z’は下記一般式(4)で表される有機基を示す。)
【化12】

(上記一般式(4)中、Rは前記と同じである。)
【0027】
また、前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(5)で表される化合物であることが好ましい。
【化13】

【0028】
上記一般式(5)中、Rは互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフロロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、及び炭素数7〜30のアラルキル基から選択される基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、トリフロロプロピル基、ヘプタデカフロロデシル基等のフロロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1〜15のアルキル基及びフェニル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
【0029】
10は前記一般式(1)で表される置換基であり、R11はR10又はRから選択される基であり、Aは下記一般式(6)で表されるオルガノポリシロキサンセグメントである。
【化14】

(上記一般式(6)において、R及びR10は上記の通りであり、Qは酸素原子、又は炭素数1〜3の2価の炭化水素基である。)
【0030】
上記一般式(5)及び一般式(6)において、a、b及びcは互いに独立に0〜3の整数であり、eは0〜100、好ましくは1〜50の整数であり、fは0〜20,000、好ましくは20〜5,000の整数であり、gは0又は1の整数であり、hは0又は1の整数であり、iは0〜100、好ましくは1〜50の整数であり、jは0〜10,000、好ましくは20〜2,000の整数であり、但し、R11がR10である場合、1≦a+b+c+e+g+iであり、R11がRである場合、1≦a+b+c+e+iである。
【0031】
新規グリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法
本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、アミノ基を有するオルガノポリシロキサンと環状酸無水物とを反応させる方法により得られる、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに上記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサン(アミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサン)を用いる。該アミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサンは公知文献の特開昭58−213025号公報、特開平10−158150号公報で示される方法によって得られる。環状酸無水物としては無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸の中から選択される一種以上を用いられる。
【0032】
アミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサンとグリシドールとの反応における溶剤は特に限定はされない。無溶剤でも構わないが、相溶性向上のために、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、2−プロパノール等のアルコール溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶剤が挙げられる。中でも、特にテトラヒドロフランやアセトニトリルが好ましい。必要であれば、ルイス酸触媒や塩基触媒を用いても良く、中でもトリエチルアミンやアルカリ金属の水酸化物が好ましい。触媒の添加量としてはアミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサン中のカルボン酸に対して0.01〜1当量が好ましく、0.02〜0.1当量がさらに好ましい。
【0033】
反応温度は25℃以上かつグリシドールの沸点以下であって、50〜140℃が好ましく、より好ましくは60〜110℃である。反応時間は2〜15時間が好ましく、より好ましくは3〜8時間である。
【0034】
アミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサンとグリシドールの反応当量は、アミドカルボン酸変性オルガノポリシロキサン中のカルボン酸に対してグリシドール0.1〜3.0当量用いるのが好ましく、より好ましくは1.0〜2.0当量用いる。
【0035】
本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、例えば、パーソナルケア組成物、化粧料、繊維処理、塗料、樹脂改質等の用途に使用することができる。
【0036】
化粧料
本発明の化粧料は、本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサン化合物、特に前記製造方法により製造されたグリセロール基含有オルガノポリシロキサン化合物をそのまま含有してもよい。
【0037】
本発明の化粧料には、化粧料の種類及び剤型によって異なるものの、概ね、上記本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを、化粧料全体の0.1〜50質量%となるように配合する。
【0038】
本発明の化粧料には、上記グリセロール基含有オルガノポリシロキサン化合物以外に、通常の化粧料に使用される固体、半固体又は液状の油剤、水、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。以下に例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0039】
本発明で使用することのできる油剤としては、下記のものが例示される。但し、POEはポリオキシエチレンを意味する。天然動植物油脂類、及び半合成油類としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
【0040】
炭化水素油類としては、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0041】
高級アルコール類としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、べヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリンエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0042】
エステル油類としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、モノベンゾリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0043】
グリセライド油類としては、アセトグリセリル、ジイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル等が挙げられる。
【0044】
シリコーン油類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ジリコーンレジン、フッ素系油類としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。特に、25℃における粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサンを併用することにより、しっとりで、きしみ感なく、伸びの良さを付与できるので、本発明の化粧料に好適に用いることができる。
【0045】
これらの油剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明の化粧料には、上記油剤を0〜90.0質量%含有させることができるが、特に1〜90質量%含有させることが好ましい。本発明の化粧料の構成成分として水を含有させる場合の水の使用量は0〜99.0質量%である。
【0046】
本発明で使用することのできるアルコール類としては、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、シホエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ショ糖、乳糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、カラギーナン、寒天、グアーガム、テやキストリン、トラガントガム、ローカストビンガム、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キチンキトサン等が挙げられ、これらは必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらアルコール類の化粧料中への含有率は0.1〜90.0質量%であり、好ましくは0.5〜50.0質量%である。0.1質量%以上であれば、保湿性、防菌、防バイ性に対し十分であり、90.0質量%以下であれば本発明の粉体組成物の効果を十分発揮できるために好ましい。
【0047】
本発明の化粧料は前記構成成分だけで優れたものを得ることができるが、更に必要に応じて以下の成分i)、ii)、iii)、iv)を加えることができる。
i)下記例示の粉体及び/又は着色剤
無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
【0048】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロン、6ナイロン等のナイロンパウダー、その他スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン、スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン、ラウロイルリジン等のパウダー等が挙げられる。
【0049】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0050】
有色顔料として、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
【0051】
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等、金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0052】
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、燈色207号等、天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
【0053】
これらは通常の化粧品に使用されるものであれぱ、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれも使用することができる。また、これらの粉体同士を複合化することができる他、油剤や本発明のグリセロール基含有オルガノポリシロキサン化合物以外のシリコーン、又はフッ素化合物等で表面処理を行ってもよい。
【0054】
ii)下記例示の界面活性剤
アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の飽和、又は不飽和脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物等のカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩及びそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アルケニルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香属四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0056】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・オルガノポリシロキサンブロック共重合体、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
【0057】
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0058】
iii)架橋型オルガノポリシロキサン
本発明の化粧料には、その目的に応じて1種又は2種以上の架橋型オルガノポリシロキサンを用いることもできる。この架橋型オルガノポリシロキサンは、0.65〜10.0mm/秒(25℃)の低粘度シリコーンに対し、自重以上の低粘度シリコーンを含んで膨潤することが好ましい。また、この架橋型オルガノポリシロキサンは、分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持つ架橋剤とケイ素原子に直接結合した水素原子との反応により形成した架橋構造を有することが好ましい。更に、この架橋型オルガノポリシロキサンは、ポリオキシアルキレン部分、アルキル部分、アルケニル部分、アリール部分、及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種の部分を含有することが好ましい。架橋型オルガノポリシロキサンを用いる場合の配合量は、化粧料の総量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、特に、1〜10質量%であることが好ましい。
【0059】
iv)アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体、並びにシリコーン網状化合物等のシリコーン樹脂
本発明の化粧料には、その目的に応じてアクリル/シリコーンのグラフト又はブロック共重合体、シリコーン網状化合物等から選択された少なくとも1種のシリコーン樹脂を用いることもできる。このシリコーン樹脂は、本発明においては特にアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。また、このシリコーン樹脂は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種を分子中に含有するアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。更にこのシリコーン樹脂はシリコーン網状化合物であることが好ましい。このようなアクリル/シリコーンのグラフト又はブロック共重合体、シリコーン網状化合物等のシリコーン樹脂を用いる場合の配合量は、化粧料の総量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、特に1〜10質量%であることが好ましい。
【0060】
本発明の化粧料の具体的な用途は、メークアップ製品、毛髪化粧料、紫外線防御製品等が好ましいものとして挙げられる。また、製品の形態についても特に限定はないが、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状等にすることが可能である。
【0061】
本発明の化粧料の特に好ましい用途としては、毛髪化粧料が挙げられる。毛髪化粧料中の、本発明のオルガノポリシロキサン化合物の含有量は、良好なコンディショニング効果とその持続性を得る観点から、0.1〜20質量%(以下、単に%で示す)が好ましく、1〜10%がより好ましく、1〜5%が更に好ましい。
【0062】
本発明の毛髪化粧料には、更に油剤、特に毛髪に対してコンディショニング作用を有する油剤を配合してもよい。油剤としては、例えば低級アルコール、炭素数12〜30の飽和又は不飽和アルコール;前記アルコールと多価アルコールとのエーテル;前記アルコールと炭素数1〜11の脂肪酸とのエステル;炭素数12〜30の飽和又は不飽和脂肪酸;前記脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル;前記脂肪酸とアミンとのアミド;ステロール;スクアレン;リン脂質;糖脂質;動物性油脂;植物性油脂;環状、直鎖、又は分岐のジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、ポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上のシリコーン等が挙げられる。
【0063】
これら油剤の毛髪化粧料への配合量は、好ましくは0.01〜30%、より好ましくは1〜25%、更に好ましくは3〜20%である。
【0064】
更に、本発明の毛髪化粧料には本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、界面活性剤、アニオン性・両性・カチオン性・非イオン性重合物、香料、パール化剤、毛髪セット用ポリマー、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等を配合してもよい。
【0065】
界面活性剤としては、通常の毛髪化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤のいずれをも好適に使用することができる。
【0066】
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩、好ましくは平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩。
アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩、好ましくは平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、1分子内に平均0.5〜8モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが0.1/9.9〜9.9/0.1のモル比で、あるいはエチレンオキサイドとブチレンオキサイドが0.1/9.9〜9.9/0.1のモル比で付加したアルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩。アルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩、好ましくは平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩。オレフィンスルホン酸塩、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩。アルカンスルホン酸塩、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するアルカンスルホン酸塩。高級脂肪酸塩、好ましくは平均10〜24の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩。(アミド)エーテルカルボン酸型界面活性剤。α−スルホ脂肪酸塩又はエステル、好ましくは平均10〜20の炭素原子からなるアルキル基又はアルケニル基を有するα−スルホ脂肪酸塩又はエステル。N−アシルアミノ酸型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜24のアシル基及び遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤(例えばN−アシルザルコシネート、N−アシル−β−アラニン等)。リン酸エステル型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基又はそれらのアルキレンオキサイド付加物を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤。スルホコハク酸エステル型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜22の高級アルコールもしくはそのエトキシレート等のスルホコハク酸エステル又は高級脂肪酸アミド由来のスルホコハク酸エステル。ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸モノエタノールアミド又はジエタノールアミドのエトキシレート等の硫酸塩。モノグリセライド硫酸エステル塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するモノグリセライド硫酸エステル塩。アシル化イセチオン酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するアシル化イセチオン酸塩。アルキルグリセリルエーテル硫酸塩又はアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もくしはアルケニル基もしくはそれらのアルキレンオキサイド付加物を有するアルキルグリセリルエーテル硫酸塩又はアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩。アルキル又はアルケニルアミドスルホネート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルアミドスルホネート。アルカノールアミドスルホコハク酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルカノールアミドスルホコハク酸塩。アルキルスルホアセテート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルスルホアセテート。アシル化タウレート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するアシルタウレート。N−アシル−N−カルボキシエチルグリシン塩、好ましくは炭素数6〜24のアシル基を有するN−アシル−N−カルボキシエチルグリシン塩。
【0067】
これらのアニオン性界面活性剤の塩、即ちアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
これらのアニオン性界面活性剤のうち、アルキルエーテル硫酸塩、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0068】
非イオン性界面活性剤としては、例えば平均炭素数10〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル;炭素数8〜20の脂肪酸のグリセリンエステル;炭素数8〜20の脂肪酸のグリコールエステル;炭素数8〜20の脂肪酸のモノグリセライドのアルキレンオキサイド付加物;炭素数8〜20の脂肪酸のショ糖エステル;炭素数8〜20の脂肪酸のソルビタンエステル;炭素数8〜20のアシル基を有するポリグリセリン脂肪酸エステル;炭素数8〜20の脂肪酸のモノエタノールアミド又はジエタノールアミド又はそれらのエトキシレート;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;炭素数8〜20のアシル基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;炭素数8〜20のアシル基を有するポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキルフェニル基を有するアルキルサッカライド系界面活性剤;炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基を有するアルキルアミンオキサイド又はアルキルアミドアミンオキサイド;炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する多価アルコールのエーテル化合物又はエステル化合物;ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリオキシアルキレン・オルガノポリシロキサン、糖変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンラノリンアルコール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、プルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリエチレンイミン誘導体等が挙げられる。
【0069】
また、両性界面活性剤としては、通常の毛髪化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、アミドアミノ酸型、カルボベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、イミダゾリニウムベタイン型、アミノ酸型、ホスホベタイン型、リン酸エステル型等が挙げられる。
【0070】
カチオン性界面活性剤としては、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、アミドアミン、エステルアミン等が挙げられる。例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ステアリル−N,N,N−トリ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド(エチレンオキサイド合計3モル付加)、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルアンモニウムブロマイド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のほか、2−デシルテトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ドデシルヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジ−2−ヘキシルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ−2−オクチルドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ベヘニル第3級アミン、ステアリル第3級アミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等を挙げることができる。
【0071】
界面活性剤は、1種又は2種以上を用いることができ、毛髪化粧料中に0.1〜50%配合するのが好ましく、更に0.5〜40%、特に1〜30%配合すると、起泡性に優れるので好ましい。
【0072】
本発明の毛髪化粧料の剤型が、ヘアセット剤、ヘアフォーム剤、ヘアスプレー剤等である場合は、以下に例示するものを毛髪セット用ポリマーとして含有することが好ましい。
ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル架橋共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体。
メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体。
酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/tert−ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸共重合体。
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体。
(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムα−N−メチルカルボキシベタインと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体。
塩基性アクリル系高分子化合物。
セルロース骨格を有する化合物、カチオン性セルロース誘導体。
ヒドロキシプロピルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、キトサンとピロリドンカルボン酸、乳酸、グリコール酸等の一価酸、又はアジピン酸、コハク酸等の二価酸との塩。
水分散性ポリエステル。
【0073】
これらの毛髪セット用ポリマーは、1種又は2種以上を用いることができる。毛髪化粧料中の毛髪セット用ポリマーの配合量は、必要かつ十分なセット力を得る観点から、0.1〜10%が好ましく、0.5〜6%が更に好ましく、1〜4%が特に好ましい。
【0074】
毛髪化粧料としては、例えば浴室内で用いるようなヘアシャンプー、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナーや、浴室外で用いるヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアジェル、更には、ヘアダイ、パーマ、ヘアマニキュア、ヘアブリーチ等、家庭や美容室での施術に用いられる剤等が挙げられ、本発明のオルガノポリシロキサン化合物はこれらのいずれにも配合できる。
【実施例】
【0075】
以下、調製例、比較調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、特に特記のない表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0076】
(調製例1)
反応器に下記平均組成式
【化15】

で表される粘度38mm/s(25℃)でアミン当量が2500g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン300質量部、テトラヒドロフラン50質量部、無水コハク酸12質量部を50℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色透明で粘度550mm/s(25℃)の液体を得た。この液体のカルボキシ当量2630g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体150質量部、グリシドール6質量部を別の反応器に入れ、110℃にて8時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度4400mm/s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。
1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果(図1に示す)から、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化16】

(R=−CH−CH−,m’=1)
【0077】
(調製例2)
反応器に下記平均組成式
【化17】

で表される粘度57mm/s(25℃)でアミン当量が1230g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン200質量部、テトラヒドロフラン20質量部、無水コハク酸16質量部を50℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色透明で粘度7600mPa・s(25℃)の液体を得た。この液体のカルボキシ当量1340g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体120質量部、グリシドール13質量部、アセトニトリル30質量部を別の反応器に入れ、65℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、溶剤、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度16800mPa・s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果(図2に示す)から、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化18】

(R=−CH−CH−,m’=1)
【0078】
(調製例3)
反応器に下記平均組成式
【化19】

で表される粘度110mm/s(25℃)でアミン当量が5090g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン150質量部、テトラヒドロフラン20質量部、無水コハク酸3質量部を50℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色透明で粘度1260mm/s(25℃)の液体を得た。この液体のカルボキシ当量5240g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体120質量部、グリシドール9質量部、トリエチルアミン0.2質量部、テトラヒドロフラン30質量部を別の反応器に入れ、80℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、溶剤、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度134000mPa・s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果から3.4〜4.3ppm付近に特徴的なピークが認められ、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化20】

(R=−CH−CH−,m’=3)
【0079】
(調製例4)
反応器に下記平均組成式
【化21】

で表される粘度120mm/s(25℃)でアミン当量が7450g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン150質量部、テトラヒドロフラン20質量部、無水マレイン酸2質量部を50℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色透明で粘度550mm/s(25℃)の液体を得た。この液体のカルボキシ当量7550g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体130質量部、グリシドール2.5質量部、1,4−ジオキサン40質量部を別の反応器に入れ、80℃にて6時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、溶剤、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度2900mm2/s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果から3.4〜4.3ppm付近に特徴的なピークが認められ、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化22】

(R=−CH=CH−,m’=1)
【0080】
(調製例5)
反応器に下記平均組成式
【化23】

で表される粘度282mm/s(25℃)でアミン当量が4890g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン400質量部、テトラヒドロフラン50質量部、無水コハク酸8.2質量部を50℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色透明で粘度9200mPa・s(25℃)の液体を得た。この液体のカルボキシ当量5040g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体200質量部、グリシドール8.8質量部、2−プロパノール50質量部を別の反応器に入れ、80℃にて12時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、溶剤、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度15620mPa・s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果から3.4〜4.3ppm付近に特徴的なピークが認められ、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化24】

(R=−CH−CH−,m’=1)
【0081】
(調製例6)
反応器に下記平均組成式
【化25】

で表される粘度125Pa・s(25℃)でアミン当量が10000g/molのアミノ変性オルガノポリシロキサン200質量部、テトラヒドロフラン50質量部、無水フタル酸3質量部を50℃にて4時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃でストリップすることにより、溶剤を取り除き、淡黄色透明で粘度1560Pa・s(25℃)のガム状液体を得た。この液体のカルボキシ当量10150g/molであり、アミドカルボン酸へ変換されていることを確認した。
ここで得られた液体150質量部、グリシドール3質量部、テトラヒドロフラン40質量部を別の反応器に入れ、65℃にて12時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下、120℃でストリップすることにより、溶剤、未反応物を取り除き、淡黄色透明で粘度1920Pa・s(25℃)の液体を得た。尚、洗浄や水素添加反応、中和や中和塩の除去等の特別な精製工程は行わなかった。1H NMR(CDCl3 400MHz Bluker社)の測定結果から3.4〜4.3ppm付近に特徴的なピークが認められ、得られた反応生成物は、カルボン酸部分がグリセロールエステル化されていることを確認した。得られた反応生成物の構造式を以下に示す。
【化26】

(R=フェニレン基,m’=1)
【0082】
(比較調製例1)
反応器に下記平均組成式
【化27】

で表される粘度35mm/s(25℃)のメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサン300質量部、2−プロパノール100質量部、下記平均組成式
【化28】

で示されるアリルグリセロール45質量部、塩化白金酸ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1−ブタノール溶液(白金3質量%)0.02質量部、酢酸カリウムの10%エタノール溶液0.04質量部を80℃にて5時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃で3時間ストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色微濁で粘度4500mm/s(25℃)の液体を得た。
【0083】
(比較調製例2)
反応器に下記平均組成式
【化29】

で表される粘度78mm/s(25℃)のメチルハイドロジェンオルガノポリシロキサン400質量部、2−プロパノール120質量部、下記平均組成式
【化30】

で示されるアリルグリセロール29質量部、塩化白金酸ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1−ブタノール溶液(白金3質量%)0.02質量部、酢酸カリウムの10%エタノール溶液0.04質量部を80℃にて5時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下、110℃で3時間ストリップすることにより、溶剤を取り除き、無色微濁で粘度3120mm/s(25℃)の液体を得た。
【0084】
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
常法により、上記で調製例1〜3で調整した反応生成物を用い、下記表1に示す組成(質量%)の本発明及び比較用のクリームを調製した(実施例1〜3、比較例1〜4)。
得られたクリームについて、下記方法で官能評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0085】
(官能評価方法)
表1に示すクリームを皮膚に2g塗付し、十分に馴染ませた後、評価を行った。べたつきのなさ、しっとり感、しっとり感の持続性、クリーム調製一ヶ月後の臭気のなさ、ならびにクリーム調製一ヶ月後の乳化安定性(表中、安定性)について官能評価した。結果を「効果がある」と回答したパネラーの人数により、下記の評価基準で示す。
【0086】
評価基準
◎:4〜5人が効果あると回答
○:3人が効果あると回答
△:2人が効果あると回答
×:効果あると回答したのは1人または0人
【0087】
【表1】

表1に示された結果により、実施例1〜3のクリームは比較例1〜4のクリームに比べ、経時での臭気発生がなく、べたつきもなく、しっとり感の持続性の高い化粧料であった。
【0088】
常法により下記ヘアトリートメントを調製した。
(実施例4)
組成 質量%
オクタデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミン 0.5
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ジプロピレングリコール 1.0
ベンジルアルコール 0.5
フェノキシエタノール 0.1
調製例6で得たオルガノポリシロキサン 2.5
高重合ジメチルポリシロキサン※5 0.5
グリセリン 5.0
ポリプロピレングリコール 2.5
ラノリン脂肪酸 0.5
ヒマワリ油 0.5
乳酸 1.5
香料 0.4
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 残量
合計 100.0
※5 KF−96H 100000cs(信越化学工業(株))
【0089】
得られたヘアトリートメントは、経時による変化がなく、しっとりとして、べたつきがなく、滑らかで、柔らかさ、櫛通り感も良好であった。
【0090】
(実施例5)
下記組成の液状乳化ファンデーションを常法により調製した。
(成分)
組成 質量%
1.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒) 5.0
2.スクワラン 4.0
3.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 3.0
4.ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセライト 2.0
5.α−モノイソステアリルグリセリルエーテル 1.0
6.調製例1で得たオルガノポリシロキサン 1.0
7.ジステアリン酸アルミニウム塩 0.2
8.粉体分散物 ※6 26.2
9.硫酸マグネシウム 0.7
10.グリセリン 3.0
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.精製水 残量
合計 100.0%
※6 水酸化アルミ、ステアリン酸被覆酸化チタンのデカメチルシクロペンタシロキサンの分散体;SPD−T5(信越化学工業社製)
【0091】
得られた液状乳化ファンデーションは、伸び広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に、化粧持ちも良く、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
【0092】
(実施例6)
下記組成のアイライナーを常法により調製した。
(成分)
組成 質量%
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 22.0
2.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒) 5.0
3.黒酸化鉄 20.0
4.ビタミンEアセテート 0.2
5.ホホバ油 2.0
6.ベントナイト 3.0
7.調製例4で得たオルガノポリシロキサン 2.0
8.エタノール 10.0
9.1,3−ブチレングリコール 10.0
10.防腐剤 適量
11.香料 適量
12.精製水 残量
合計 100.0%
【0093】
得られたアイライナーは、伸びが軽くて描きやすく、清涼感があってさっぱりとしてべたつきがない使用感で、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性にも非常に優れており、耐水性、耐汗性は共に優れ、化粧持ちも非常に良いことが確認された。
【0094】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(1)で表されるグリセロール基含有置換基が結合してなるものであることを特徴とするグリセロール基含有オルガノポリシロキサン。
【化1】

(上記一般式(1)中、X、Yはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0〜4の整数であり、Zは下記一般式(2)で表される有機基を示す。)
【化2】

(上記一般式(2)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基であり、m’は1〜5の整数である。)
【請求項2】
前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサンと、グリシドールとの反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載のグリセロール基含有オルガノポリシロキサン。
【化3】

(上記一般式(3)中、X、Y、及びmは前記と同じであり、Z’は下記一般式(4)で表される有機基を示す。)
【化4】

(上記一般式(4)中、Rは前記と同じである。)
【請求項3】
前記グリセロール基含有オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(5)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグリセロール基含有オルガノポリシロキサン。
【化5】

(上記式(5)中、Rは互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフロロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、及び炭素数7〜30のアラルキル基から選択される基であり、R10は前記一般式(1)で表される置換基であり、R11はR10又はRから選択される基であり、Aは下記一般式(6)
【化6】

(上記一般式(6)において、R及びR10は上記の通りであり、Qは酸素原子、又は炭素数1〜3の2価の炭化水素基である。)
で表されるオルガノポリシロキサンセグメントであり、上記一般式(5)及び上記一般式一般式(6)において、a、b及びcは互いに独立に0〜3の整数であり、eは0〜100の整数であり、fは0〜20,000の整数であり、gは0又は1の整数であり、hは0又は1の整数であり、iは0〜100の整数であり、jは0〜10,000の整数であり、但し、R11がR10である場合、1≦a+b+c+e+g+iであり、R11がRである場合、1≦a+b+c+e+iである。)
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンを含有するものであることを特徴とする化粧料。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のグリセロール基含有オルガノポリシロキサンと、25℃における粘度が100mm/s以下のジメチルポリシロキサンとを含有するものであることを特徴とする化粧料。
【請求項6】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも一つに、下記一般式(3)で表される置換基が結合してなるオルガノポリシロキサンと、グリシドールとを反応させることを特徴とするグリセロール基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【化7】

(一般式(3)中、X、Yはそれぞれ独立に、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、mは0〜4の整数であり、Z’は下記一般式(4)で表される有機基を示す。)
【化8】

(一般式(4)中、Rは炭素数2〜12の2価の炭化水素基である。)



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82819(P2013−82819A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224092(P2011−224092)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】