説明

グルコピラノシル−置換ベンゾニトリル誘導体、それらを含む医薬組成物、その使用及び製造方法

請求項1に定義されたグルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体であって、それらの互換異性体、立体異性体、それらの混合物及びそれらの塩を含む。本発明の化合物は代謝性障害の治療に適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は一般式Iのグルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体であって、



式中R3は後述のように定義され、それらの互変異性体、立体異性体、それらの混合物を含む前記誘導体に関する。
本発明はさらに、本発明の式Iの化合物を含む医薬組成物及び本発明の化合物を代謝性疾患の治療のための医薬組成物の調製に使用することに関する。さらに、本発明は医薬組成物及び本発明の化合物の調製方法に関する。
【0002】
文献において、ナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT2に対して阻害効果を有する化合物は疾患、特に糖尿病の治療に提唱されている。
【0003】
グルコピラノシル-置換芳香族基及びその調製および可能性のあるSGLT2阻害剤としての活性は国際出願WO 2005/092877及びそこに引用される刊行物から公知である。
【0004】
(発明の目的)
本発明の目的は新規-グルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体、特にナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対して活性のあるを前記誘導体を見出すことである。本発明のさらなる目的は公知の構造的に似た化合物と比較して、in vitro及び/又はin vivoにおいてナトリウム‐依存性グルコース共輸送体 SGLT2に対して増強された阻害効果を有する及び/又はよりよい薬理学的又は薬物動態学的特性を有するグルコピラノシル-置換ベンゼン誘導体を見出すことである。
【0005】
本発明のさらなる目的は代謝性疾患、とりわけ糖尿病の予防及び/又は治療に適した新規医薬組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は前述及び後述の記載から直接当業者に明らかとなるだろう。
【0007】
(発明の対象)


第1の態様において本発明は式Iのグルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体
(式中
R3は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル,-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブト-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシ-シクロプロピル、1−ヒドロキシ-シクロブチル、1−ヒドロキシ-シクロペンチル、1−ヒドロキシ-シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル、2−ヒドロキシ-2-メチル-プロプ-1-イル、3−ヒドロキシ-3-メチル-ブト-1-イル、1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノであり、
又はそれらの誘導体であって、前記β-D-グルコピラノシル基の1以上のヒドロキシル基が(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)カルボニルから選択される基でアシル化される。)であって、
それらの互換異性体、立体異性体又はそれらの混合物及びそれらの生理学的に許容可能な塩を含む前記誘導体に関する。
【0008】
本発明の化合物及び生理学的に許容可能なそれらの塩は価値のある薬理学的特性、特にナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対する阻害作用を有する。さらに、本発明の化合物はナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT1に対する阻害効果も有する。起こりうるSGLT1に対する阻害効果と比較して、本発明の化合物は好ましくはSGLT2を選択的に阻害する。
【0009】
本発明はまた本発明の化合物の無機又は有機酸との生理学的に許容可能な塩にも関する。
【0010】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明の化合物又は本発明の生理学的に許容可能な塩を、任意に1以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共にを含む医薬組成物に関する。
【0011】
本発明はナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2の阻害に影響される疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物の調製の為の少なくとも1つの本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩の使用に関する。
【0012】
本発明は1以上の代謝性疾患の治療に適した医薬組成物の調製の為の少なくとも1つの本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩の使用に関する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、膵臓β細胞の変性を防ぐ為の及び/又は膵臓β細胞の機能を改善し及び/又は回復させる為の医薬組成物の調製の為の、少なくとも1つの本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩のうちの1つの使用に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、必要な患者における肝脂肪の異常な集積に起因する疾患又は症状の予防、減速、遅延又は治療の為の医薬組成物の調製の為の少なくとも1つの本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩のうちの1つの使用に関する。
【0015】
本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩の、ナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2の阻害のための医薬組成物の調製のための使用に関する。
【0016】
本発明はさらに、本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容可能なその塩のうちの1つが、非化学的方法で、1以上の不活性な担体及び/又は希釈剤に組み入れられていることに特徴がある、本発明の医薬組成物の調製方法に関する。
【0017】
本発明はまた、本発明の一般式Iの化合物の製造方法に関し、当該方法は、以下の特徴を有する。
a)本明細書前記及び後記定義される一般式Iの化合物を調製する為に、
一般式IIの化合物


(式中

R'はH、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)カルボニルであり、前記アルキル又はアリール基はハロゲンで1置換又は多置換され;
R8a、R8b
R8c、R8dは、互いに独立して水素又はアリル基、ベンジル基、(C1-4-アルキル)カルボニル、(C1-4-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、アリール-(C1-3-アルキル)カルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-オキシカルボニルであり、又はRaRbRcSi基若しくはケタール又はアセタール基であり、特にアルキリデン若しくはアリールアルキリデンケタール又はアセタール基、であり、いずれの場合においても2つの隣接するR8a、R8b、R8c、R8d基は環状ケタール若しくはアセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレン架橋を形成しても良く、上記-エチレン架橋はピラノース環の2個の酸素原子及び付随する2個の炭素原子と共に、置換ジオキサン環、特に2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成しても良く、前記-アルキル、アリル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシによって1置換又は多置換されても良く、前記ベンジル基はまたジ-(C1-3-アルキル)アミノ基によって置換されても良く、;及び
Ra、Rb、Rcは、互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルであり、前記アリール又は-アルキル基はハロゲンにより1置換又は多置換されても良く;
上記基の定義におけるアリール基はフェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基であり;
前記R3基は本明細書前記及び後記のように定義される;)
をルイス酸又はブレンステッド酸の存在下還元剤と反応させ、存在する任意の保護基を同時に又は連続的に開裂させ; 又は
【0018】
b)一般式Iの化合物を調整するために、
一般式IIIの化合物


(式中R8a、R8b、R8c、R8d及びR3は、本明細書に前記及び後記定義の通りであり、但し、R8a、 R8b、 R8c、 R8d から選択される少なくとも1つの置換基は水素ではなく;
水素ではない保護基R8a、R8b、R8c、R8dは開裂し;及び
もし必要であれば、こうして得られた一般式Iの化合物はアシル化によって対応する一般式Iのアシル化合物に変換され、及び/又は
もし必要であれば、上記反応に使用される任意の保護基は開裂し及び/又は
もし所望であればこうして得られた一般式Iの化合物をその立体異性体に分割し及び/又は
もし必要であれば、こうして得られた一般式Iの化合物は、それらの塩、特に薬剤的使用の為の、生理学的に許容可能なそれらの塩に変換される。
【0019】
本発明のさらなる態様は、本明細書の後述の反応スキーム及び実験パートに記載される新規中間物質に関する。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明の態様、特に化合物、医薬組成物及びそれらの使用は、本明細書前記及び後記に定義するような一般式Iの-グルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体又は互換異性体、立体異性体又はそれらの混合物生理学的に許容可能なそれらの塩を含むそれらの誘導体に関する。
【0021】
以下において、本発明の他の好ましい実施態様を記載する。
本発明の第1の態様において、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブト-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル、2−ヒドロキシ-2-メチル-プロプ-1-イル、3−ヒドロキシ-3-メチル-ブト-1-イル、1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである。
【0022】
本発明の第2の態様において、R3は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、-エチルスルフィニル、-エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである。
【0023】
本発明の第3の態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブト-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、-シクロペンチル、シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル、2−ヒドロキシ-2-メチル-プロプ-1-イル、3−ヒドロキシ-3-メチル-ブト-1-イル、1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル又は2-エトキシ-エチルである。
【0024】
本発明の第4の態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブト-1-イル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルである。
【0025】
本発明の第5の態様において、R3はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル。
【0026】
本発明の第6の態様において、R3は1−ヒドロキシ-シクロプロピル、1−ヒドロキシ-シクロブチル、1−ヒドロキシ-シクロペンチル又は1−ヒドロキシ-シクロヘキシル。
【0027】
本発明の第7の態様において、R3は2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル、2−ヒドロキシ-2-メチル-プロプ-1-イル、3−ヒドロキシ-3-メチル-ブト-1-イル、1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル又は2-エトキシ-エチルである。
【0028】
本発明の第8の態様において、R3は2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル又は1−ヒドロキシ-1-メチル-エチルである。
【0029】
本発明の第9の態様において、R3は−ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ又はシアノである。
【0030】
本発明の第10の態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルである。
【0031】
好ましくは、β-D-グルコピラノシル基のすべてのヒドロキシル基は置換されていないか又はβ-D-グルコピラノシル基のO-6位のヒドロキシル基が定義したように置換される。好ましい置換基は(C1-8-アルキル)カルボニル、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル及びフェニルカルボニルから選択される。さらに好ましい置換基は-アセチル-メトキシカルボニル及びエトキシカルボニル、特にアセチル及びエトキシカルボニルから選択される。
【0032】
例えばフェニル環のような環状基の置換基の結合が環状基の中心に向かって示されている上記及び下記で使用される構造式における命名法は、他に記載の無い限りこの置換基は水素原子を有する環状基の任意の位置に結合することを意味する。
【0033】
本発明の化合物は原則として公知の方法によって得られても良い。好ましくは、化合物は本明細書の以下、より詳細に記載された発明に従った方法によって得られる。
【0034】
本発明の式IIのグルコース誘導体はD-グルコノラクトン又はそれらの誘導体から所望のベンジルベンゼン化合物を有機金属化合物の形態で加えることにより合成しても良い(スキーム1)。
【0035】
スキーム1:グルコノラクトンへの有機金属化合物の付加

【0036】
スキーム1の反応は好ましくは一般式IVのハロゲン化ベンジルベンゼン化合物(式中 Halは塩素、臭素又はヨウ素である)から出発して行われる。スキーム1のR1はシアノ又は続いてシアノ基に変換されてもよい、塩素、臭素、カルボキシ、カルボキシエステル、カルボキサミド又はそれらの誘導体、ホウ素又はシリル基のような基、例えばアセタール又はチアゾールのような保護又はマスクされたアルデヒド基、又は例えばニトロのような保護又はマスクされたアミノ官能性である。ベンジルベンゼン(V)のグリニヤール又はリチウム試薬は対応する塩素化、臭素化又はヨウ素化ベンジルベンゼンIVからいずれもいわゆるハロゲン金属交換反応又は金属を炭素-ハロゲン結合に挿入することを経て調製される。
【0037】
対応するリチウム化合物Vを合成するためのハロゲン-金属交換は例えばn-、sec-又はtert-ブチルリチウムと行われる。類似マグネシウム化合物は、塩化リチウムのようなメタル化反応工程を促進させるような付加的な塩の存在下又は非存在下で、例えばイソプロピル-又はsec-ブチルマグネシウム臭化物、若しくは塩化物又はジイソプロピル若しくはジ-secブチルマグネシウムのような適切なグリニヤール試薬を用いてハロゲン金属交換反応により製造しても良い。特定の金属交換有機マグネシウム化合物はin situで適切な前駆体から製造されても良い(例えば Angew. Chem. 2004, 116, 3396-3399 and Angew. Chem. 2006, 118, 165-169及びその中で引用されている参考文献を参照のこと)。さらに、有機マグネシウム化合物の、例えばブチルマグネシウム塩化物若しくは臭化物又はイソプロピルマグネシウム塩化物及びブチルリチウムの組み合わせで得られたアート錯体も同様に採用されても良い(例えばAngew. Chem. 2000, 112, 2594-2596 and Tetrahedron Lett. 2001, 42, 4841-4844及びそれらの中で引用される参考文献を参照のこと)。ハロゲン金属交換反応は好ましくは40℃〜-100℃で、特に好ましくは10℃〜80℃で、不活性溶媒又はそれらの混合物、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン又はそれらの混合物中で行われる。こうして得られたマグネシウムまたはリチウム誘導化合物は任意で三塩化セシウム、塩化若しくは臭化亜鉛、塩化若しくは臭化インジウムのような金属塩で金属交換して例えば付加に適した代わりの有機金属化合物(V)を形成しても良い。
【0038】
代わりに、有機金属化合物Vは金属をハロ芳香族化合物IVの炭素-ハロゲン結合に挿入することにより調製してもよい。リチウム又はマグネシウムはこの交換反応に適切な元素金属である。挿入は、溶媒、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ジメチルスルホキシド及びそれらの混合物中で、-80〜100℃、好ましくは-70〜40℃で行うことが出来る。金属の活性化の前に自発反応が起こらない場合、例えば1,2-ジブロモエタン、ヨウ素、トリメチルシリルクロライド、酢酸、塩酸での処理及び/又は超音波処理が必要である。有機金属化合物Vのグルコノラクトン又はそれらの誘導体(VI)への付加は好ましくは40℃〜-100℃の温度で、特に好ましくは0〜-80℃で、不活性溶媒又はそれらの混合物中で行われ、式Iの化合物Iを得る。すべての前述の反応はアルゴンや窒素のような不活性ガス環境下、空気を排除して行うことが好ましい。メタレーション及び/又はカップリング反応は高い交換速度(exchange rate)が可能なマイクロリアクター及び/又はマイクロミキサー中で行うこと、例えばWO 2004/076470に記載された方法と同様の方法が好ましい。メタル化フェニル基Vを適切な保護グルコノラクトンVIに付加するために適切な溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物である。付加反応は、任意のさらなる補助剤なしに行っても良く、又は緩慢な反応カップリングパートナーの場合は例えばBF3*OEt2又はMe3SiClのような促進剤の存在下行っても良い(M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester / NewYork / Brisbane / Toronto/Singapore, 1994を参照のこと)。
【0039】
好ましい置換基の定義としては、スキーム1中のR8はベンジル、置換-ベンジル、アリル、トリアルキルシリルであり、特に好ましくは、トリメチルシリル、トリイソピルシリル、アリル、4-メトキシベンジル及びベンジルである。もし2個の隣接する置換基R8が共に結合する場合は、これらの2個の置換基は好ましくは-ベンジリデンアセタール、4-メトキシベンジリデンアセタール、イソプロピルケタール又はジオキサンとブタンの2及び3位を介してピラノースの隣接する-酸素原子と結合する2,3-ジメトキシ-ブチレンの構成の一部である。R'基は、好ましくは水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルオキシカルボニルであり、特に好ましくは、水素、メチル又はエチルである。R'基は有機金属化合物V又はそれらの誘導体のグルコノラクトンVIへのの付加の後に導入される。R'が水素又はC1-4-アルキルである場合は、反応溶液を酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸又は塩酸の様な酸の存在下メタノール若しくはエタノールのようなアルコール又は水で処理する。 R'は水素化合物IIの調製の後にアノマーのヒドロキシル基をヨウ化メチル、硫酸ジメチル、ヨウ化エチル、硫酸ジエチル、塩化アセチル又は無水酢酸のような適切な求電子試薬とトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムのような塩基の存在下反応させることによって付加してもよい。ヒドロキシル基は求電子試薬を例えば水酸化ナトリウムに付加する前に脱プロトン化することができる。R'の導入中、保護基R8が不安定であれば、開裂して採用する反応条件下で対応するプロトン化化合物、すなわちR8がHである化合物IIを得ても良い。
【0040】
式Iのハロ芳香族化合物Vの合成は有機化学分野で標準的な交換反応又は少なくとも有機合成の専門書から公知な方法を用いて行っても良い(特に J. March, Advanced Organic Reactions, Reactions, Mechanisms, and Structure, 4th Edition, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1992及びその中で参照される参考文献を参照のこと)。より特定的には、芳香族化合物の合成の為の遷移金属の使用及び有機金属化合物は他のモノグラフに詳解されている(例えばL. Brandsma, S.F. Vasilevsky, H.D. Verkruijsse, Application of Transition Metals Catalysts in Organic Synthesis, Springer-Verlag, Berlin/Heidelberg, 1998; M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1994; P.J. Stang, F. Diederich, Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions, Wiley-VCH, Weinheim, 1997及びそれらの中で引用される参考文献を参照されたい)。
【0041】
以下に記載する合成戦略は実施例により実証される。さらに、アグリコン部分はすでに存在するピラノース部分と同じ合成方法を使用して組み合わせる。
【0042】
スキーム 2:ジアルキルケトンフラグメントの合成


スキーム2は塩化ベンゾイル及び第2の芳香族基から出発してFriedel-Craftsアシル化条件又はそれらの変形法を適用して式IVのハロ芳香族化合物の合成に重要な前駆体化合物の調製を示す。スキーム2中のR1はシアノ又は続いてシアノ基に変換される塩素、臭素、カルボキシ、カルボキシリック(カルボキシエステル)、カルボキサミド又はそれらの誘導体のような基 、例えばチオアセタール又はチアゾールのような保護又はマスクされたアルデヒド基又は例えばニトロのような保護又はマスクされたアミノ官能性である。この従来の反応は広い基質範囲を有し、通常AlCl3、FeCl3、ヨウ素、鉄、ZnCl2、硫酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸のように触媒量又は化学量論量で使用される触媒の存在下で行われる。塩化ベンゾイルの代わりに、対応するカルボン酸、無水物、エステル又はベンゾニトリルも同様に使用してもよい。反応は、好ましくは例えばジクロロメタン及び1,2-ジクロロメタンのような塩素化炭化水素中で-30〜120℃の温度で、好ましくは30〜100℃で行われる。しかしながら無溶媒反応又は電子レンジ内での反応もまた可能である。
【0043】
スキーム 3:ジアルキルケトン及びジアリールメタノールのジアリールメタンへの還元



スキーム3において、置換基RはC1-3-アルキル又はアリールであり、R1はシアノ又は 続いてシアノ基に変換される例えば塩素、臭素、カルボキシ、カルボキシエステル、カルボキサミド又はそれらの誘導体、ホウ素又はシリル基、例えばアセタール又はチアゾールのような保護又はマスクされた アルデヒド基、又は例えばニトロのような保護又はマスクされたアミノ官能性である。ジアルキルケトン又はジアリールメタノールから出発して、1又は2つの反応工程でジアリールメタンに到達可能である。ジアルキルケトンは対応するジフェニルメタノールを介した2つの工程又は1つの工程でジアリールメタンに還元しても良い。2工程の変形においてケトンは例えばNaBH4、LiAlH4又はiBu2AlHのような金属水素化物のような還元剤で還元しアルコールを形成する。
【0044】
得られたアルコールは、例えば BF3*OEt2、InCl3若しくはAlCl3のようなルイス酸又は例えば 塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸若しくは酢酸のようなブレンステッド酸、例えばEt3SiH、NaBH4若しくはPh2SiClHのような還元剤の存在下で変換し所望のジフェニルメタンを得ることができる。ケトンから出発したジフェニルメタンを得る為の1工程の方法は例えばEt3SiH、例えばNaBH4のようなシラン、水素化ホウ素又はLiAlH4のような水素化アルミニウムと、例えばBF3*OEt2、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロ酢酸、塩酸、塩化アルミニウム又はInCl3のようなルイス又はブレンステッド酸の存在下で行っても良い。反応は好ましくは、例えばジクロロメタン、トルエン、アセトニトリルのようなハロゲン化炭化水素又はそれらの混合物のような溶媒中で-30〜150℃、好ましくは20〜100℃で行われる。例えばパラジウム炭素のような遷移金属触媒の存在下における水素による還元は他の可能な合成方法である。Wolff-Kishner又はそれらの変形法による還元も可能である。ケトンはまず1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドラジンのようなヒドラジン又はそれらの誘導体と共に強塩基反応条件下で分解するヒドラジン変換し、過熱してジフェニルメタン及び窒素を形成する。反応は1つの反応工程で行ってもよく、又はヒドラゾン又はそれらの誘導体の分離後に別々の2つの反応工程によって行ってもよい。KOH、NaOH又はKOtBuを含む適切な塩基のエチレングリコール、トルエン、DMSO、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール又はtert-ブタノールのような溶媒中での又は溶媒なしでの反応も可能である。反応は20〜250℃の温度で行ってもよく、好ましくは80〜200℃の範囲である。ここでは、Wolff-Kishner 還元の基本条件の変わりに酸性条件化で行われるClemmensen 還元を使用してもよい。ジアリールメタノール内のアルコール基は最初に塩素、臭素、ヨウ素、酢酸、炭酸、リン酸又は硫酸のようなより良い脱離基に交換しても良く; 次のジアリールメタンを形成する還元工程は有機化学分野の文献に広く記載されている。
【0045】
スキーム 4:ジアリールメタンユニットの合成及びそれらの可能な前駆体化合物


スキーム4において、R1はシアノ又は塩素、臭素カルボキシ、カルボキシエステル、カルボキサミド又はそれらの誘導体、ホウ素又はシリル基のような、続いてシアノ基に変換される基、アセタール又はチアゾールのような保護又はマスクされたアルデヒド基又はニトロのような保護又はマスクされたアミノ基である。「Alk」という用語はC1-4-アルキルを表し、各置換基Rは独立してH、C1-3-アルキル及びC1-3-アルコキシからなる群からそれぞれ選択される。スキーム4は金属化フェニル基から出発してジアリールメタンの合成及びそれらの可能性のある前駆体化合物を詳解する。リチウム又はマグネシウム置換芳香族化合物は塩素化、臭素化又はヨウ素化芳香族から例えばブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムハロゲン化合物若しくはジイソプロピルマグネシウムとのハロゲン金属交換反応によって又はハロゲン‐炭素結合への元素金属の挿入により合成される。ボロン酸、ボロン酸エステル又はジアルキルアリールボランのような対応するホウ素置換化合物はこれらの金属化フェニル基から例えばボロン酸エステル又はそれらの誘導体のようなホウ素求電子試薬との反応により得ることが出来る。さらに、ホウ素化芳香族化合物は、対応するハロゲン化又は擬ハロゲン化前駆体及びジボロン又はボラン化合物から、遷移金属、例えばパラジウム触媒反応(例えばTetrahedron Lett. 2003, p. 4895-4898 及びその中で引用される参考文献を参照されたし)によって調製してもよい。
【0046】
リチウム又はマグネシウム置換フェニル化合物をベンズアルデヒド(工程3)及び安息香酸エステル、例えばWeinreb型のベンズアミド、-ベンゾニトリル又は塩化ベンゾイルのような安息香酸又はそれらの誘導体(工程4)に加える。これらの反応は、主に遷移金属触媒又は他の金属、例えばセシウム、インジウム又は亜鉛への金属交換反応無しに行われてもよい; 後者の代替物の使用が有利な場合もある。アリールボロン酸をベンズアルデヒドに、ロジウム触媒修飾した各ジアリールメタノールによって付加する事もできる(例えばAdv. Synth. Catal. 2001, p. 343-350 及びその中で引用される参考文献を参照のこと)。さらに、アリールボロン酸、それらのエステル、ジアルキルアリールボラン又はアリールトリフルオロボレートを例えばパラジウムのような遷移金属, それらの複合体又は塩を用いて塩化ベンゾイルに結合させジアルキルケトンを得る。金属化フェニル基を塩化、臭化又はベンジルのような-ベンジル 求電子試薬と反応させジアリールメタンを生成させる。リチウム又はマグネシウム誘導フェニル化合物は好ましくは銅、鉄又はパラジウムのような遷移金属の存在下で反応させるが必ずしも必要ではない(例えばOrg. Lett. 2001, 3, 2871‐2874及びその中で引用される参考文献を参照のこと)。リチウム又はマグネシウムから、例えば、それぞれホウ素、スズ、シリコン又は亜鉛を有する対応する芳香族ボロン酸、スタンナン、-シラン又は亜鉛化合物への金属交換反応は、例えば-ベンジルハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩又はカルボキシエステルのようなベンジル求電子試薬とのカップリングで行ってもよい。反応はパラジウム、ニッケル、ロジウム、銅又は鉄のような遷移金属の存在下行う(例えばTetrahedron Lett. 2004, p. 8225‐8228 及び Org. Lett. 2005, p. 4875‐4878及びその中で引用される参考文献を参照のこと)。
【0047】
スキーム 5:シアノ部分の導入


スキーム5はシアノ残基を中央のフェニル基に結合させる為の、目標分子の合成のさまざまな段階における可能性のある経路を示す。シアノ基は例えばシアン化ナトリウム、カリウム、亜鉛又は銅のような適切なシアノ源 とハロゲン化又は擬ハロゲン化フェニル基との遷移金属媒介性カップリング反応により導入される。適切な触媒は例えばパラジウム、ロジウム、ニッケル、鉄又は銅のような遷移金属から誘導され、パラジウム炭素のような元素の形態、例えば 塩化、臭化又は酢酸パラジウムのような塩又は例えばトリフェニルホスフィントリ-tert-ブチルホスフィンのようなホスフィン又はdppf又は例えばジベンジリデンアセトンのようなアルケンとの複合体として使用しても良い。活性化触媒は反応混合物への付加時又はその前に生成しても良い。例えば元素又は塩としての亜鉛のような添加剤が有利である(Tetrahedron Lett. 2005, 46, 1849-1853及びTetrahedron Lett. 2005, 46, 1815-1818 及びその中で引用される参考文献を参照のこと)。塩素化、臭素化又はヨウ素化化合物からハロゲン金属交換反応又は各金属のハロゲン結合への挿入により得られる対応する亜鉛、マグネシウム又はリチウム化合物を例えばp-トリスルホニルシアニド、臭化シアン又は2-ピリジルシアネートのようなシアノ求電子試薬の反応はシアノ官能性を組み込む為の他の実行可能なアプローチである(例えば Synth. Commun. 1996, 3709-3714 及びその中で引用される参考文献を参照されたい) 。
【0048】
スキーム 6:アルデヒド又はカルボン酸誘導体からのシアノ残基の導入


代わりのシアノ基の導入はアルデヒド又はカルボキサミドからの合成である(スキーム 6)。アルデヒド官能性それ自体は保護又はマスクされた状態で導入することができる。アルデヒド官能基の為の一般的な保護基はアセタールであるが、他の保護基も同様に使用しても良い(T. W. Greene, P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999参照のこと)。アルデヒド官能基の適切なマスクは例えばオレフィン及びチアゾールである。アルデヒドは例えばヒドロキシルアミンを例えばギ酸、濃塩酸、ポリリン酸又はピリジン-トルエンと組み合わせて使用してシアノ官能基に変換しても良い。これらの反応条件下で形成された中間体のオキシムは、最終生成物を得る為に脱水素化する前に分離しても良い。代わりに例えばビストリフルオロアセチルヒドロキシルアミンのようなヒドロキシルアミン試薬及びNH2OSO3を同様に使用しても良く、付加的な試薬無しでニトリルを得ても良い。適用可能なさらなる試薬は例えばNH4PO4H2 及びニトロプロパンの酢酸、トリメチルシリルアジド又はS,S-ジメチルサルファジイミド溶液である。
【0049】
カルボキサミドも、適切なニトリル前駆体である。変換はトリフルオロ酢酸無水物、五酸化リン、POCl3、CCl4-ホスフィンの組み合わせ、Cl3COCl-アミンの組み合わせ、Burgess 試薬、Vilsmeyer試薬、SOCl2、又は塩化シアヌルのような脱水剤によって行われてもよい。対応するモノアルキル化カルボキサミド、カルボン酸、エステル又はカルボン酸クロリドから出発して、いかなる中間体も分離しないでニトリルを形成することもまた可能である。
【0050】
スキーム7:アニリン前駆体からのシアノ残基の導入


ニトリル官能性を導入する為の良く確立された方法は、シアン化銅とそれぞれのアニリン誘導体のジアゾ化を介して得られる対応するジアゾニウム化合物を用いたいわゆるSandmeyer反応である。ジアゾニウム化合物の合成及びそれらに続くシアノ-脱-ジアゾ化は有機化学分野の文献に広く記載されている。
【0051】
スキーム 8:ジアリールメタンユニットの別の合成


ジアリールメタン単位の構築の代わりのアプローチはスキーム8に示される。
【0052】
市販されているか上記方法で得ることが出来るオルトフルオロ置換ベンゾニトリルを使用する。オルトフルオロ置換ベンゾニトリルを、塩基条件下でR3置換された-アルキルフェニル酢酸と反応させ(例えばJ. Org. Chem. 55,1990,4817‐4821; J. Heterocycl. Chem、32、1995、1461-1466参照のこと)続いてエステルの開裂及び脱カルボキシル化を行い(例えばJ. Heterocycl. Chem,32,1995,1461‐1466; Org. Prep. Proced. Int. 37,2005,550‐555を参照のこと) 又は直接 脱-アルコキシカルボニル化 (例えばJ. Med. Chem. 46,2003,5249‐5257; Angew. Chem. Int. Ed. 47,2004,6493‐6496を参照のこと) を行う。
【0053】
一般式Iの化合物を調製する為に、本発明の工程a)において、前述のように得られた一般式IIの化合物


(式中R'及びR3は本明細書前記の通りであり、及び
R8a、R8b、R8c、R8dは本明細書前記の通りであり、互いに独立して、例えば アセチル, ピバロイル、ベンゾイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アリル、トリアルキルシリル、ベンジル又は置換-ベンジルであり、又はそれぞれの場合において隣接する基 R8a、R8b、R8c、R8dは-ベンジリデンアセタール又はイソプロピリデンケタール又はブチレン基の2及び3位を介してピラノース環の酸素原子に結合する2,3-ジメトキシ-ブチレン基を形成し置換ジオキサンを形成する。)は
Lewis又はBronsted酸の存在下で還元剤と反応させる。
【0054】
反応に適切な還元剤には例えばトリエチル-、トリプロピル-、トリイソプロピル-又はジフェニルシランのようなシラン、水素化ほう素ナトリウム、水素化シアノほう素ナトリウム、水素化ほう素亜鉛、ボラン、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム又はヨウ化サマリウムである。還元は例えば塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸のような適切なBronsted 酸又は例えば三フッ化ホウ素エテラート、トリメチルシリルトリフレート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフレート又はヨウ化亜鉛のようなLewis酸の存在下又は非存在下で行われる。還元剤及び酸に依存して、反応は例えば 塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水又はそれらの混合物のような溶媒中で、-60℃〜120℃の温度で行われてもよい。1つの特に適した試薬の組み合わせは、例えば-60℃及び60℃の温度でアセトニトリル又はジクロロメタン中で便利に使用されるトリエチルシラン及び三フッ化ホウ素エテラートである。さらに、水素はパラジウム炭素又はラネーニッケルのような遷移金属触媒の存在下、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水又は酢酸のような溶媒中で記載された変換の為に使用される。
【0055】
代わりに、本発明の工程b)に従って 一般式Iの化合物を調製するために、一般式IIIの化合物において


式中R3は前記定義の通りであり、
R8a〜R8dは例えばアシル、アリールメチル、アリル、アセタール、ケタール又はシリル基のような前記定義の保護基の1つを表し、例えば前述のように、式Iの化合物Iから還元によりから得ても良く、保護基は開裂される。
【0056】
1又は数個の基R8a〜R8dは上記合成工程の間に変化してもよいと理解される。
【0057】
使用された任意のアシル保護基は、例えば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水のような水溶性溶媒中での水和によって、トリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸のような酸の存在下又は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのようなアルカリ金属塩基の存在下又は非プロトン性で例えばヨードトリメチルシランの存在下、0〜120℃の温度で、好ましくは10〜100℃の温度で開裂される。トリフルオロアセチル基は好ましくは任意に酢酸のような溶媒の存在下50〜120℃の温度で塩酸のような酸で処理することで又は任意にテトラヒドロフラン又はメタノールのような溶媒の存在下、0〜50℃の温度で水酸化ナトリウム溶液で処理することで開裂される。
【0058】
使用した任意のアセタール又はケタール保護基は例えば加水分解的にたとえば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水のような水溶性の溶媒中で、例えばトリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸のような酸の存在下又は非プロトン性にヨードトリメチルシランの存在下0〜120℃の温度で、好ましくは10〜100℃の温度で開裂される。
【0059】
トリメチルシリル基は、例えば水、水溶性溶媒混合物又はメタノール又はエタノールのような低級アルコール中で水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドのような塩基の存在下開裂される。
水溶性又はアルコール性溶媒中で、例えば塩酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸のような酸もまた適している。例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような有機溶媒における開裂の為には、例えばテトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ素化剤の使用も適している。
【0060】
ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は好ましくは水素化分解的に、例えば水素でパラジウム炭素のような触媒の存在下、メタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸のような適切な溶媒中で、任意に塩酸のような酸を付加により、0〜100℃の温度で、しかし好ましくは20〜60℃の周囲温度で、1〜7barの水素圧で、しかし好ましくは3〜5barで開裂される。2,4ジメトキシベンジル基は、しかしながら好ましくはトリフルオロ酢酸中でアニソールの存在下開裂される。
【0061】
tertブチル又はtertブチルオキシカルボニル基は好ましくは、任意に塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルのような溶媒を使用し、リフルオロ酢酸若しくは塩酸のような酸で処理することにより又はヨードトリメチルシランで処理することにより開裂する。
【0062】
前述の反応において、エチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基のような存在する反応性基は反応中、反応後に再び開裂される従来の保護基で保護しても良い。
【0063】
例えば、エチニル基に対する保護基はトリメチルシリル又はトリイソピル基であってよい。2-ヒドロキシイソプロプ−2−イル基も保護基として使用してもよい。
【0064】
例えば、ヒドロキシ基の為の保護基はトリメチルシリル、アセチル、トリチル,-ベンジル又はテトラヒドロピラニル基であってよい。
【0065】
アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基のための保護基は、例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、-ベンジルオキシカルボニル、-ベンジル、メトキシベンジル又は2,4-ジメトキシベンジル基であってよい。
【0066】
さらに、得られた一般式Iの化合物は前述のようにそれらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割してもよい。かくして例えば、シス/トランス混合物はシス及びトランス異性体に分割されてもよく、少なくとも1つの光学活性炭素原子を有する化合物はそれらのエナンチオマーに分割しても良い。
【0067】
かくして例えば、シス/トランス混合物はクロマトグラフィーによりそれらのシス及びトランス異性体に分割されても良く、ラセミ体として発生した得られた一般式Iの化合物 はそれ自体知られた方法で (Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971参照) それらの光学鏡像異性体に分割されても良く、少なくとも2個の不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物はそれらの物理的化学的相違に基づきそれ自体知られた方法、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別再結晶でそれらのジアステレオマーに分割しても良く、もしこれらの化合物がラセミの形態で得られた場合は、それらは、続いて上記のようにエナンチオマーに分割されても良い。
【0068】
エナンチオマーは好ましくはキラル相のカラム分離で分離され又は例えばラセミ化合物とのエステル又はアミドのような塩又は誘導体を形成する光学活性溶媒からの再結晶又はラセミ化合物、特に酸及び活性化誘導体又はそれらのアルコールとの塩若しくは例えばエステル又はアミドのような誘導体を形成する光学活性物質と反応させ、そうして得られた塩又は誘導体のジアステレオマーの混合物を、例えばそれらの溶解度の違いに基づいて分離し、フリーの鏡像体は純粋なジアステレオ異性の塩または誘導体から適切な試薬の活性により放出される。一般的に使用される光学活性酸は例えば酒石酸又はジベンゾイル酒石酸、ジ-o トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD及びL型である。光学活性アルコールは例えば(+)又は(-)メントール及びアミド内の光学活性アシル基、例えば (+)若しくは(-)メンチルオキシカルボニルであってよい。.
【0069】
さらに、式Iの化合物はそれらの塩、特に医薬的使用の為の無機又は有機酸との生理学的に許容可能な塩に変換しても良い。この目的のために使用される酸には例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、酪酸、クエン酸、 酒石酸又はマレイン酸が含まれる。
【0070】
さらに、得られた化合物は混合物、例えば 1:1又は1:2のアミノ酸、特にプロリン又はフェニルアラニンのようなアルファ-アミノ酸との混合物に変換しても良く、特に高い結晶性のような好ましい特性を有する。
【0071】
本発明の化合物は以下の実施例に記載された方法を用いて得ることができ、この目的のために当業者に文献から知られる方法、例えばWO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066、WO 03/099836、WO 2004/063209、WO 2005/092877及びWO 2006/120208に記載される方法と組み合わせても良い。
【0072】
本発明は、前記反応スキーム中に記載され、後述の実験の部に記載された新規中間化合物にも関する。
【0073】
特に以下の中間化合物は本発明のさらなる態様である:




式中、
R8a〜R8dは前記のように定義され、好ましくはH又はアセチルであり;
R'は前記のように定義され、及び好ましくはH、メチル又はエチルであり;
Alkは C1-4-アルキルであり、好ましくはメチル又はエチルであり;
R1は前記のように定義され、及び好ましくはBr又はCNであり、もっとも好ましくはCNであり;
R3は前記のように定義され、例えばシクロプロピル又はシクロブチルであり、及び好ましくはクロロ、ブロモ、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、ヒドロキシ、シアノから成る群から選択され;
LGは、Br、I、-O-(SO2)-CF3のような脱離基であり、好ましくは-O-(SO2)-CF3である;
UはCl、Br、I、-O-CO-C1-4-アルキル、-O-C(=O)-O-C1-4-アルキル又は-OPO(O-C1-4-アルキル)2; 好ましくはBrである。
【0074】
すでに述べたように、本発明の一般式Iの化合物及び生理学的に許容可能なその塩は有用な薬理学的特性、特にナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT、好ましくはSGLT2に対する阻害作用を有する。
【0075】
新規化合物の生物学的特性は以下のように評価しても良い:
物質のSGLT-2活性阻害能は、ヒトナトリウム依存性グルコース共輸送体2のシークエンスをコードするcDNA(Genbank Acc. No.NM_003041) (CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)を含む発現ベクターpZeoSV (Invitrogen, EMBL受入番号 L36849)を安定にトランスフェクトし、CHO-K1細胞株(ATCC No. CCL-61)又は代わりにHEK293細胞株(ATCC No. CRL-1573)における系で実証されても良い。これらの細胞株は14C-標識 アルファ-メチル-グルコピラノシド (14C-AMG、Amersham)を細胞内部にナトリウム依存的に運搬する。
【0076】
SGLT-2アッセイは以下のように行う:
CHO-hSGLT2 細胞を10% 牛胎児血清(Foetal Calf Serum)及び250μg/mLゼオシン(Invitrogen)を含むHam´s F12培地 (BioWhittaker)中で培養し、HEK293-hSGLT2細胞は10% 牛胎児血清及び250μg/mLゼオシン(Invitrogen)DMEM培地中で培養する。細胞をPBSで2回洗浄しトリプシン/EDTAで処理することにより培養フラスコからはがす。細胞培養培地を加えた後に細胞を遠心し、培養培地で再懸濁しCasy cell counterで数を数える。1ウェルあたり40,000個の細胞をポリ-D-リジンでコートした白色、96-ウェルプレートに播種し37℃、5% CO2で一晩インキュベートした。細胞を250μlのアッセイバッファー(ハンクス平衡塩溶液、137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl2、1.2mM MgSO4及び10mM HEPES (pH 7.4)、50μg/mL ゲンタマイシン)で2回洗浄した。250μlのアッセイバッファー及び5μlの試験化合物を次に各セルに加えプレートをさらに15分間インキュベート内でインキュベートした。5μlの10% DMSOをネガティブコントロールとして使用した。反応は5μlの14C-AMG(0.05μCi)を各ウェルに加えることで開始した。37℃、5% CO2で2時間インキュベートした後、細胞を再び250μlのPBS(20℃)で洗浄し25μlの0.1 N NaOH (37℃で5分)を加えることで溶解した。200μlのMicroScint20(Packard)を各ウェルに加えさらに20分℃でインキュベートを続けた。このインキュベートの後、吸収された14C-AMGの放射能をTopcount(Packard)で14C シンチレーションプログラムを用いて測定する。
【0077】
ヒトSGLT1に関する選択性を決定するためhSGLT2 cDNAの代わりにhSGLT1のcDNA (Genbank Acc. No. NM_000343)をCHO-K1又はHEK293細胞で発現させる類似試験を設定した。
【0078】
本発明の化合物は例えば1000nM未満、特に200nM未満、もっとも好ましくは50nM未満のEC50値を有する。
【0079】
SGLT活性阻害能の観点において、本発明の化合物及び対応する医薬的に許容可能なそれらの塩はSGLT活性、特にSGLT-2活性の阻害に関係する全ての症状又は疾患の治療及び/又は予防的治療に適している。したがって、本発明の化合物は疾患、特に代謝性疾患又は1型及び2型真性糖尿病、糖尿病の合併症(例えば網膜症、腎障害又は神経障害、糖尿病性足病変、潰瘍、大血管障害のような)、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血症、グルコース代謝性疾患、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、異なる原因による異脂肪血症、粥状動脈硬化及び関連疾患、肥満症、高血圧、急性心不全、浮腫及び高尿酸血症のような症状の予防又は治療に特に適している。これらの物質は膵β細胞のアポトーシス又はネクローシスのようなβ細胞変性の予防にも適している。物質は膵臓細胞の機能を改善又は回復する為にも適しており膵β細胞の数及び大きさを増加させる為にも適している。本発明の化合物は利尿薬又は降圧薬として使用しても良く、急性腎不全の予防及び治療に適している。
【0080】
本発明の化合物を投与することにより肝脂肪の異常集積が減少又は阻害されても良い。したがって、本発明の他の態様において肝脂肪の異常集積が関与する疾患又は症状を必要とする患者において予防し、緩徐化し、遅延させ又は治療する方法であってい、本発明の化合物又は医薬組成物が投与されることを特徴とする前記方法を提供する。肝脂肪の異常集積の原因となる疾患又は症状は、特に一般的脂肪肝、非-アルコール性脂肪肝(NAFL)、非-アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、過栄養-誘導脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール性-誘導脂肪肝又は毒性脂肪肝から成る群から選択される。
【0081】
特に、本発明の化合物並びに生理学的に許容可能なそれらの塩は、糖尿病、特に1型及び2型真性糖尿病,及び/又は糖尿病の合併症の予防及び治療に適している。
【0082】
さらに、本発明の化合物は過体重、肥満症(クラスI、クラスII及び/又はクラスIII肥満症を含む)、内臓脂肪型肥満症 及び/又は腹部肥満症の予防及び治療に適している。
【0083】
治療又は予防のための対応する活性を達成するために必要な投与量は通常投与される化合物、患者、疾患又は症状の性質及び重症度及び投与の方法及び頻度に依存し患者の主治医が決定する。便宜上、経静脈投与の場合の投与量は1〜100mg、好ましくは1〜30mgであり、経口投与の場合の投与量は1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであり、いずれの場合も1日1〜4回投与しても良い。この目的のために本発明の化合物は任意に他の活性物質と共に、例えばコーンスターチ、ラクトース、グルコース、微小結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリールアルコール、カルボキシメチルセルロース又は固形油脂又はそれらの適切な混合物のような脂質物質等の1以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に処方され、素錠又はコート錠、カプセル、散剤、懸濁液又は坐剤のような従来のガレヌス製剤を製造する。
【0084】
本発明の化合物は他の活性物質と組み合わせて、特に上記疾患及び症状の治療及び/又は予防に使用することもできる。前記組み合わせに適切な他の活性物質には例えば本発明のSGLTアンタゴニストを上記適応症に関して増強する及び/又は本発明のSGLTアンタゴニストの投与量を減少させるものが含まれる。前記組み合わせに適した治療薬には、例えばメトホルミン、スルホニル尿素(例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR-ガンマ-アゴニスト(例えば、GI262570)及びアンタゴニスト、PPAR-ガンマ/アルファモデュレーター(例えば、KRP 297)、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ボグリボース)、DPPIV阻害薬(例えば、LAF237、MK-431)、アルファ2-アンタゴニスト、インシュリン及びインシュリン類似薬、GLP-1及びGLP-1類似薬(例えば、エキセンジン-4)又はアミリンが含まれる。一覧には、チロシン脱リン酸酵素1の阻害薬、例えばグルコース-6-ホスファターゼ又はフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴン受容体 アンタゴニスト及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ又はピルベートデヒドロキナーゼの阻害薬のような肝臓におけるグルコース産生の調節解除に影響を与える物質、例えば HMG-CoA-レダクターゼ阻害薬 (例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブラート(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びそれらの誘導体、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-デルタ アゴニスト、ACAT 阻害薬 (例えば、アバシミベ)又は例えばエゼチミベのようなコレステロール吸収阻害薬のような脂質低減薬(lipid lowering agents)、例えば回腸胆汁酸トランスポートのコレスチラミン阻害薬のような胆汁酸-結合物質、CETP 阻害薬又はABC1制御因子のようなHDL-上昇(raising)化合物、又はシブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン、axokine、カンナビノイド1 受容体のアゴニスト、MCH-1 受容体 アンタゴニスト、MC4 受容体 アゴニスト、NPY5又はNPY2 アンタゴニスト又はSB-418790又はAD-9677のようなβ3-アゴニスト及び5HT2c 受容体のアゴニストのような肥満症治療の為の活性物質も含まれる。
【0085】
さらに、例えばA-II アンタゴニスト又はACE 阻害薬、ECE 阻害薬、利尿薬、β-ブロッカー、Ca-アンタゴニスト、中枢性降圧薬、アルファ-2-アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチターゼの阻害薬、血小板凝集阻害薬及びその他またはそれらの組み合わせのような高血圧、急性心不全又は粥状動脈硬化に影響を与える薬物の組み合わせが適切である。アンジオテンシン II 受容体 アンタゴニストの例としてはカンデサルタン シレキセチル、ロサルタンカリウム、メシル酸エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701等が挙げられる。アンジオテンシン II 受容体 アンタゴニストは好ましくは、しばしばヒドロクロロチアジドのような利尿薬と組み合わせて高血圧及び糖尿病の合併症の治療又は予防に使用される。
【0086】
尿酸合成阻害薬又は尿酸排泄促進薬との組み合わせは痛風の治療又は予防に適している。
【0087】
GABA-受容体アンタゴニスト、Na-チャネルブロッカー、トピラメート、プロテイン-キナーゼC阻害薬、終末糖化産物阻害薬又はアルドース還元酵素阻害薬との組み合わせは糖尿病の合併症の治療又は予防に適している。
【0088】
上記の組み合わせパートナーのための投与量は通常推奨される最も低い投与量の1/5 から通常推奨される投与量の1/1までである。
【0089】
従って、他の態様において本発明は本発明の化合物又は前記化合物の生理学的に許容可能な塩を少なくとも1つの上記活性物質を組み合わせパートナーとして、ナトリウム-依存性グルコース共輸送体SGLTの阻害に影響される疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物の調製の為の使用に関する。好ましくは代謝性疾患、特に上記列挙した疾患又は症状のうちの1つ、最も特には糖尿病又は糖尿病の合併症である。
【0090】
本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩を他の活性物質と組み合わせた使用は同時に又は時間差で行うことができるが、特に短い間隔で行う。同時に投与する場合は2つの活性物質は共に患者に投与され;もし時間差で使用される場合は、2つの活性物質は患者に12時間以内、しかし特には6時間以内に投与される。
【0091】
したがって、他の態様において本発明は本発明の化合物又は前記化合物の生理学的に許容可能な塩及び1以上の上記化合物を組み合わせパートナーとし、任意に1以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含む医薬組成物に関する。
【0092】
例えば、本発明の医薬組成物は本発明の化合物又は前記化合物の生理学的に許容可能な塩及び少なくとも1つのアンジオテンシンII受容体アンタゴニストを任意に1以上の不活性担体及び/又は希釈剤とともに含む。
【0093】
本発明の化合物又は生理学的に許容可能なそれらの塩及び付加的な活性物質を組み合わせて、例えば錠剤又はカプセルのように1つの処方にともに存在しても良く、又は分離して2つの独立した又は異なる処方、例えばいわゆるキット(kit-of-parts)として存在しても良い。
【0094】
前記及び後記文中において、ヒドロキシル基の水素原子はいずれの場合も構造式には明確に示されない。以下の実施例は本発明を制限することなく例示することを意図する。「室温」及び「周囲温度」は互換的に使用され約20℃を意味する。以下の略語が使用される。:
DMF ジメチルホルムアミド
NMP N-メチル-2-ピロリドン
THF テトラヒドロフラン
【0095】
出発化合物の調製:
実施例I


4-ブロモ-3-ヒドロキシメチル-1-ヨード-ベンゼン
塩化オキサリル(13.0mL)を氷冷した2-ブロモ-5-ヨード-安息香酸のCH2Cl2(200mL)溶液に加えた。DMF(0.2mL)を加え、溶液を室温で6時間撹拌した。続いて、溶液を減圧下濃縮し、残渣をTHF(100mL)に溶解した。得られた溶液を氷浴中で冷却しLiBH4(3.4g)を分けて加えた。冷却槽をはずし混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をTHFで希釈し、0.1M塩酸で処理した。続いて、有機層を分離し、水素を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、粗生成物を得た。
収量:47.0g(理論値の99%)
【0096】
実施例II

4-ブロモ-3-クロロメチル-1-ヨード-ベンゼン
塩化チオニル(13mL)を、DMF(0.1mL)を含む4-ブロモ-3-ヒドロキシメチル-1-ヨード-ベンゼン(47.0g)のジクロロメタン(100mL)懸濁液に加えた。混合物を周囲温度で3時間攪拌した。続いて、溶媒及び過剰の試薬を減圧下取り除いた。残渣をメタノールで固化し、乾燥した。
収量:41.0g(理論値の82%)
【0097】
実施例 III

4-ブロモ-1-ヨード-3-フェノキシメチル-ベンゼン
フェノール(13g)を4M KOH溶液(60mL)に溶解したものを4-ブロモ-3-クロロメチル-1-ヨード-ベンゼン(41.0g)をアセトン(50mL)に溶解したものに加えた。NaI(0.5g)を加え、得られた混合物を50℃で一晩撹拌した。続いて、水を加え得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ、減圧下溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(シクロヘキサン/酢酸エチル 19:1)。
収量:38.0g(理論値の79%)
【0098】
実施例IV

(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシフェニル)-メタノン
38.3mL 塩化オキサリル及び0.8 mL-ジメチルホルムアミドを100g5-ブロモ-2-クロロ-安息香酸と500 mL ジクロロメタン混合物に加えた。残渣を150 mL ジクロロメタンに溶解し、得られた溶液を-5℃まで冷却し、46.5gのアニソールを加えた。続いて51.5 g塩化アルミニウムを温度が5℃を超えないようにしてバッチで加えた。溶液を1時間、1〜5℃で攪拌しその後砕いた氷に注いだ。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。併せた有機相を1 M 塩酸、1 M 水酸化ナトリウム溶液で2回及び塩水で洗浄した。続いて有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、残渣をエタノールから再結晶した。
収量:86.3 g(理論値の64%)
マススペクトル(ESI+):m/z=325/327/329 (Br+Cl)[M+H]+
【0099】
実施例 V

1-ブロモ-4-クロロ-3-(4-メトキシベンジル)-ベンゼン
86.2 g (5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシフェニル)-メタノン及び101.5 mL トリエチルシランの75 mL ジクロロメタン及び150 mL アセトニトリル 溶液を10℃まで冷却する。続いて攪拌しながら50.8 mLの三フッ化ホウ素エテラートを温度が20℃を超えないように加えた。新たな9 mLトリエチルシラン及び 4.4 mL 三フッ化ホウ素エテラートを加える前に溶液を14時間、周囲温度で攪拌した。溶液をさらに3時間、45-50℃で攪拌し 続いて周囲温度まで冷却した。28 g 水酸化カリウムの70 mL 水溶液を加え得られた混合物を2時間攪拌した。有機相を分離し水相をさらに3回ジイソプロピルエーテルで抽出した。併せた有機相を2M水酸化カリウム溶液で2回、塩水で1回洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、残渣をエタノールで洗浄し60℃で乾燥させた。
収量: 50.0 g (理論値の61%)
マススペクトル(ESI+):m/z=310/312/314(Br+Cl)[M+H]+
【0100】
実施例 VI

4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノール
14.8 g 1-ブロモ-4-クロロ-3-(4-メトキシベンジル)-ベンゼンの150 mL ジクロロメタン溶液を氷浴中で冷却した。1 Mの三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液を50 mL加え、得られた溶液を2時間周囲温度で攪拌した。溶液を続いて氷浴で再び冷却し、飽和炭酸カリウム溶液を滴下した。周囲温度で混合物を1 M 塩酸水溶液でpH1に調整し、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。併せた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を完全に取り除いた。
収量:13.9g(理論値の98%)
マススペクトル(ESI-):m/z=295/297/299(Br+Cl)[M-H]-
【0101】
実施例 VII

[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノキシ]-tert-ブチル-ジメチル-シラン
13.9g 4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノールの140mL ジクロロメタン溶液を氷浴中で冷却した。続いて7.54 g 塩化tert-ブチルジメチルシリルの 20 mL ジクロロメタン溶液を加え、続いて9.8 mL トリエチルアミン及び0.5 g 4-ジメチルアミノピリジンを加えた。得られた溶液を16時間周囲温度で攪拌し100 mL ジクロロメタンで希釈した。有機層を1M 塩酸水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、続いて硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、残渣をシリカゲル(シクロヘキサン/酢酸エチル 100:1)でろ過した。
収量: 16.8 g (理論値の87%)
マススペクトル(EI): m/z = 410/412/414 (Br+Cl) [M]+
【0102】
実施例 VIII

1-ブロモ-4-(1-メトキシD-グルコピラノス-1-イル)-2-(フェノキシメチル)-ベンゼン
2MのiPrMgClのTHF(11mL)溶液を乾燥LiCl (0.47g)のTHF(11mL)懸濁液に加えた。混合物を室温で全てのLiClが溶解するまで攪拌した。この溶液をアルゴン環境下、-60℃まで冷却した4-ブロモ-1-ヨード-3-フェノキシメチル-ベンゼン(8.0g)のテトラヒドロフラン (40 mL)溶液に滴下した。溶液を-40℃まで温め、続いて2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン(10.7 g、純度90%)のテトラヒドロフラン(5 mL)溶液を加えた。得られた溶液を冷却槽中で-5℃まで温めさらに30分間この温度で攪拌した。NH4Cl水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。併せた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。残渣をメタノール(80mL)に溶解し、メタンスルホン酸(0.6mL)で処理した。反応溶液を35-40℃で一晩攪拌した後溶液を固体NaHCO3で中和しメタノールを減圧下除去した. 残りをNaHCO3水溶液で希釈し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。併せた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて粗生成物を得、さらに生成することなく還元に処した。
収量:7.8g(理論値の93%)
【0103】
実施例 IX

1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(フェノキシメチル)-ベンゼン
三フッ化ホウ素エテラート(4.9 mL)を1-ブロモ-4-(1-メトキシD-グルコピラノス-1-イル)-2-(フェノキシメチル)-ベンゼン(8.7g)及びトリエチルシラン(9.1mL)のジクロロメタン (35mL)及びアセトニトリル(50mL)溶液に-10℃未満の温度を維持する速度で加え-20℃まで冷却した。得られた溶液を0℃まで1.5時間かけて温め続いて炭酸水素ナトリウム水溶液で処理した。得られた混合物を0.5時間攪拌し有機溶媒を取り除き残渣を酢酸エチルで抽出した。併せた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を除去した。残渣をジクロロメタン (50 mL)及びピリジン (9.4 mL)にとり、無水酢酸 (9.3 mL)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.5g)を連続的に溶液に加えた。溶液を1.5時間、周囲温度で攪拌し、ジクロロメタンで希釈した。溶液を1 M 塩酸で2回洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をエタノールから再結晶し、無色の固体を得た。収量: 6.78 g (理論値の60%)
マススペクトル(ESI+):m/z = 610/612 (Br)[M+NH4]+
【0104】
実施例 X

2-(フェノキシメチル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル
シアン化亜鉛(1.0g)、亜鉛(30mg)、Pd2(ジベンジリデンアセトン)3*CHCl3 (141 mg)及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(111 mg)を入れたフラスコをアルゴンでフラッシュした。続いて1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(フェノキシメチル)-ベンゼン (5.4 g)の脱気 NMP (12 mL)溶液を加え、得られた混合物を室温で18時間攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物をろ過し、ろ液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、溶媒を除去した。残渣をエタノールから再結晶した。
収量: 4.10g(理論値の84%)
マススペクトル(ESI+):m/z=557[M+NH4]+
【0105】
上記化合物は以下の方法によっても得た。:
攪拌子、1-ブロモ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(フェノキシメチル)-ベンゼン(14.7g)、シアン化銅(4.1g)及びNMP(100mL)を加えたフラスコを8時間還流温度に過熱した。水(600mL)で希釈した後、沈殿を分離し水で数回洗浄し続いて酢酸エチル(200mL)に溶解した。得られた溶液をシリカゲルのプラグで酢酸エチル(300mL)を溶出剤として使用してろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解しシアノ化の間に脱保護された酸素基を再アセチル化する。続いてピリジン(4mL)、4-ジメチルアミノピリジン(0.3g)及び無水酢酸(4.4mL)を連続的に加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌する。続いて、反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し1M塩酸水溶液で3回、炭酸水素ナトリウムで1回、水で1回洗浄した。有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)させ溶媒を除去した。残渣をエタノールから再結晶した。
収量:10.0g(理論値の75%)
【0106】
実施例 XI

2-ブロモメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル
33%臭化水素酸の酢酸(15mL)溶液を2-フェニルオキシメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル(0.71g)及び無水酢酸(0.12mL)の酢酸(10ml)溶液に加えた。得られた溶液を55℃で6時間攪拌し氷浴中で冷却した。反応溶液を冷却した炭酸カリウム溶液で中和し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル/シクロヘキサン(1:5)にとり、沈殿をろ過により分離し50℃で乾燥させ精製生成物を得た。
収量:0.52g(理論値の75%)
マススペクトル(ESI+):m/z=543/545(Br)[M+NH4]+
【0107】
実施例 XII

1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン
4.0g[4-(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-フェノキシ]-tert-ブチル-ジメチル-シランの42mL乾燥ジエチルエーテル溶液を-80℃までアルゴン下で冷却した。11.6mLの冷却(ca.-50℃)1.7Mtert-ブチルリチウムペンタン溶液をゆっくりと冷却した溶液に加え、続いて溶液を30分間-80℃で攪拌した。この溶液を続いてドライアイスで冷却したトランスファーニードルを介して4.78g2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノースの38mLジエチルエーテル溶液に滴下し、-80℃まで冷却した。得られた溶液を3時間-78℃で攪拌した。続いて1.1mLメタンスルホン酸の35mLメタノール溶液を加え、得られた溶液をさらに16時間周囲温度で攪拌した。溶液を続いて炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルを加え、得られた溶液を減圧下濃縮した。残りの溶液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで4回抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣を30mLアセトニトリル及び30mLジクロロメタンに溶解し得られた溶液を-10℃まで冷却した。4.4mLトリエチルシランを加えた後、2.6mL三フッ化ホウ素エテラートを−5℃を超えないように滴下した。天下が完了した後、反応溶液をさらに5時間-5〜-10℃で攪拌し炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応をとめた。有機相を分離し、水相を4回酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール)。こうして得られた生成物はヒドロキシル基全体を無水酢酸、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジンのジクロロメタン溶液によりアセチル化することにより分離可能な異性体の混合物であり、得られたアセチル化生成物をエタノールから再結晶した。こうして得られた精製アセチル化β-生成物(エタノール溶液からの沈殿)をアセチル基をメタノール中で4M水酸化カリウム溶液で取り除くことにより表題の化合物に変換した。
収量:1.6g(理論値の46%)
マススペクトル(ESI+):m/z=398/400(Cl)[M+NH4]+
【0108】
実施例 XIII

1-クロロ-2-(4-シクロペンチルオキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
0.16mL-ヨードシクロペンタンを0.25g1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン及び0.4g炭酸セシウムの混合物の2.5mLジメチルホルムアミド溶液に加えた。さらに0.1gの炭酸セシウム及び0.05ml-ヨードシクロペンタンを加える前に混合物を45℃で4時間攪拌した。さらに45℃で14時間攪拌した後、塩化ナトリウム水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を除去し、残渣をシリカゲルを用いて精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->5:1)。
収量:0.23g(理論値の78%)
マススペクトル(ESI+):m/z=466/468(Cl)[M+NH4]+
【0109】
以下の化合物を実施例XIIIと同様にして得た。:
(1)1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
反応はテトラヒドロフラン-3-イル(R)-トルエン-4-スルホネートをカップリングパートナーとして行った。

マススペクトル(ESI+):m/z=451/453(Cl)[M+H]+
【0110】
実施例 XIV


1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
10mg4-ジメチルアミノピリジンを0.38g1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン、0.21mlトリエチルアミン及び0.39gN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)-アニリンの10ml乾燥ジクロロメタン溶液に加える。溶液を4時間、周囲温度で攪拌し塩水と合わせた。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->4:1)。
収量:0.33g(理論値の64%)
マススペクトル(ESI+):m/z=530/532(Cl)[M+NH4]+
【0111】
以下の化合物を実施例XIVと同様にして得た。:
(1)1-シアノ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン

マススペクトル(ESI+):m/z=504[M+H]+
【0112】
実施例 XV

1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン
5.6g1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンの75mLジクロロメタン溶液に継続的に7mLピリジン、7.8mL無水酢酸及び0.12g4-ジメチルアミノピリジンを加えた。溶液を周囲温度で1時間攪拌した。50mLの水を加えた後得られた混合物をさらに5分間攪拌した。有機層を分離し1M塩酸水溶液及び炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ有機溶媒を蒸発させた後生成物は白色固体として得られた。
収量:7.0g(理論値の94%)
マススペクトル(ESI+):m/z=698/700(Cl)[M+NH4]+
【0113】
以下の化合物を実施例XVと同様にして得た。:
(1) 1-シアノ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン


マススペクトル(ESI+):m/z=689[M+NH4]+
【0114】
実施例 XVI

1-クロロ-2-(4-エチニル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
25mgのヨウ化銅、44mgのビス(トリフェニルホスフィン)-パラジウムジクロライド、0.30mlトリエチルアミン及び最後に0.14mlのトリメチルシリルアセチレンをアルゴン雰囲気下で0.32g1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンの3ml-ジメチルホルムアミド溶液に加えた。フラスコはしっかり密封し混合物を90℃で8時間攪拌した。新たに25mgのビス(トリフェニルホスフィン)-パラジウムジクロライド及び0.1mlトリメチルシリルアセチレンを加え、溶液をさらに10時間、90℃で攪拌した。続いて炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで3回抽出し、集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、残渣を5mlのメタノールに溶解し、0.12gの炭酸カリウムとあわせた。混合物を1時間周囲温度で攪拌し、1M塩酸で中和した。続いてメタノールを蒸発して除き残渣を塩水とあわせ、酢酸エチルで抽出した.有機抽出物を集め硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->5:1)。
収量:0.095g(理論値の40%)
マススペクトル(ESI+):m/z=406/408(Cl)[M+NH4]+
【0115】
実施例 XVII

1-クロロ-2-(4-エチル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
2,87g1-クロロ-2-(4-エチニル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼンを10mlの酢酸エチル及び5mlのエタノールに溶解した。0.3g10%パラジウム炭素を加え得られた混合物を水素雰囲気下(1atm)一晩攪拌した。反応混合物をセライトをろ過紙ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->5:1)。
収量:1,0g(理論値の34%)
マススペクトル(ESI+):m/z=410/412(Cl)[M+NH4]+
【0116】
実施例 XVIII

1-クロロ-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
2.02 g 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンの20mLジクロロメタン溶液に、連続して2.5mLピリジン、2.8mL無水酢酸及び50mg4-ジメチルアミノピリジンを加えた。反応溶液を周囲温度で4時間攪拌した。溶液を50mLジクロロメタンで希釈し50mL1M塩酸で2回炭酸水素ナトリウム溶液で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させ、生成物を得た。
収量:2.53g(理論値の91%)
マススペクトル(ESI+):m/z=642/644(Cl)[M+Na]+
【0117】
以下の化合物は実施例XVIIIと同様にして得た。:
(1) 1-クロロ-2-(4-エチル-ベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン

(2) 2-(4-アセトキシ-ベンジル)-1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン

マススペクトル(ESI+):m/z=608/610(Cl)[M+NH4]+
(3) 1-シアノ-2-(4-メトキシベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン

マススペクトル(ESI+):m/z=576[M+Na]+
【0118】
実施例XIX

1-クロロ-2-(4-メチル-ベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
水素化ジイソブチルアルミニウム(54μL、1mol/lトルエン溶液)を1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-ジクロロパラジウム(II)(22mg)のTHF(3mL)混合物中にAr雰囲気下で加え、氷浴で冷却した。混合物は氷浴中で0.5時間攪拌し、続いて1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン(0.60g)及びMe2Zn(0.88mL,1mol/Linトルエン)を連続的に加えた。氷浴をはずし混合物を還流させながら2.5時間攪拌した。室温に冷却した後、1M塩酸を加ええられた混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を集め硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を取り除いた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(シクロヘキサン/酢酸エチル1:0->2:1)。
収量:0.25g(理論値の52%)
【0119】
実施例 XX

1-クロロ-2-(4-シアノ-ベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.13g)を1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン(0.80g)及びシアン化亜鉛(0.14g)をチャージしたフラスコに、Ar雰囲気下で加えた。混合物を100℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後に酢酸エチルを加え、得られた混合物をろ過し、NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、溶媒を除去した。残渣をエタノールから再結晶した。
収量:0.45g(理論値の69%)
マススペクトル(ESI+):m/z=580/582(Cl)[M+Na]+
【0120】
実施例 XXI

4-シクロプロピル-フェニルボロン酸
2.5M nブチルリチウムのヘキサン(14.5mL)溶液を1-ブロモ-4-シクロプロピル-ベンゼン(5.92g)のTHF(14mL)及びトルエン(50mL)溶液に加え、-70℃まで冷却した。得られた溶液を、ほう酸トリイソプロピル(8.5mL)を加える前に-70℃で30分間攪拌した。溶液を-20℃まで温め、4M塩酸(15.5mL)で処理した。反応混合物をさらに室温まで温め、続いて有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し、集めた有機層を乾燥させた(硫酸ナトリウム)溶媒を蒸発させ、残渣をエーテルとシクロヘキサンの混合物で洗浄し無色の固体として生成物を得た。
収量:2.92g(理論値の60%)
マススペクトル(ESI-):m/z=207(Cl)[M+HCOO]-
【0121】
以下の化合物は実施例XXIと同様にして得た。:
(1) 4-ジフルオロメトキシ-フェニルボロン酸

マススペクトル(ESI-):m/z=233(Cl)[M+HCOO]-
上記手順による出発においては、化合物は4ジフルオロメチルー1ヨードーベンゼンから調製され、iPrMgClを用いてアリール金属化合物を生成し、この中間体をホウ酸トリメチルで捕捉した。
【0122】
(2) 4-ジフルオロメチル-フェニルボロン酸

マススペクトル(ESI+):m/z=172(Cl)[M+H]+
上記手順による出発においては、化合物は4ジフルオロメチルー1ヨードーベンゼン(4-ヨードベンズアルデヒドからジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)の ジクロロメタン溶液を用いて調製される)から調製され、iPrMgClを用いてアリール金属化合物を生成し、この中間体をホウ酸トリメチルで捕捉した。
【0123】
実施例 XXII

1-ブロモ-4-シアノ-3-(4-メトキシベンジル)-ベンゼン
25gエチル(4-メトキシフェニル)-アセテート、27.4g1-ブロモ-4-シアノ-3-フルオロ-ベンゼン及び20mL N-メチル-ピロリジン-2-オンの混合物を31.4gカリウムtert-ブトキシドの130mL N-メチル-ピロリジン-2-オン溶液に10℃未満の温度に維持しながらゆっくり加えた。室温で1時間攪拌した後、100mLメタノール及び137mL1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。メタノール画分は蒸発させ残渣を1M水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化しtert-ブチル-メチルエーテルで抽出する。水層を4M塩酸で酸性化し酢酸エチルで数回抽出した。併せた酢酸エチル抽出物を蒸発させ残渣を120mLのN,N-ジメチルホルムアミド及び24.9g炭酸カリウムと併せ100℃まで1時間熱する。反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し酢酸エチルで数回抽出する。併せた抽出物は蒸発させ、残渣をメタノールから結晶化させる。
収量:13g(理論値の33%)
マススペクトル(ESI+):m/z=319/321(Br)[M+NH4]+
【0124】
以下の化合物を実施例XXIIと同様にして得た。:
(1) 1-ブロモ-4-シアノ-3-(4-シクロプロピル-ベンジル)-ベンゼン

マススペクトル(ESI-):m/z=329/331(Br)[M+NH4]+
この化合物の調製に必要なフェニル酢酸誘導体は次の実施例XXIIIの方法に従って合成した。
【0125】
実施例 XXIII

エチル4-シクロプロピル-フェニル酢酸
Tetrahedron Lett. 2002, 43, 6987-6990に従い、エチル4-ブロモ-フェニル酢酸からトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、酢酸パラジウム、リン酸カリウムのトルエン及び水溶液を用いて-シクロプロピルボロン酸と遷移金属触媒カップリングすることにより調製した。
マススペクトル(ESI+):m/z=205[M+H]+
【0126】
実施例 XXIV

1-シアノ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メトキシベンジル)-ベンゼン
攪拌子及び1-ブロモ-4-シアノ-3-(4-メトキシベンジル)-ベンゼン(9.90g)の乾燥THF(120mL)溶液をチャージし、アルゴン雰囲気下に維持したフラスコを-87℃まで冷却した。あらかじめ冷却した(ca.-70℃)tert-ブチルリチウムのペンタン(1.7M,39mL)溶液をこの溶液に加え、得られた溶液を-87℃で30分間攪拌した。続いて、2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノース(16.5g)をTHF(80mL)に溶解した溶液を加え併せた溶液を-75℃で1時間攪拌した。反応はNH4Cl水溶液で止め、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物の乾燥(Na2SO4)及び溶媒の除去後、残渣をメタノール(150mL)に溶解しメタンスルホン酸(5mL)を加えた。得られた溶液を55℃で8時間、所望のアノマー配置が得られるまで攪拌した。周囲温度まで冷却した後、溶液を固体の炭酸水素ナトリウムで中和し、メタノールを減圧下で蒸発させた。塩水を残部に加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。あわせた抽出物を乾燥(硫酸ナトリウム)させ、溶媒を蒸発させた。残渣をアセトニトリル(50mL)及びジクロロメタン(50mL)に溶解し、アノマー炭素中心を還元した。この溶液を-20℃まで冷却した後、トリエチルシラン(16mL)、ジエチルエーテル三フッ化ホウ素(9.2mL)を滴下した。反応溶液を冷却槽の中で0℃までゆっくりと温め、反応を炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて停止させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した.集めた有機層を乾燥(硫酸ナトリウム)させた、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->9:1)。
収量:5.2g(理論値の41%)
マススペクトル(ESI+):m/z=403[M+NH4]+
【0127】
以下の化合物を実施例XXIVと同様にして得た。:
(1) 1-シアノ-2-(4-シクロプロピル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン

マススペクトル(ESI-):m/z=413[M+H]+
有利には、この化合物の合成中に得られた適切な中間物質の不斉炭素中心の還元は保護されたピラノース環状の酸素官能性で行われる。好ましい保護基は、-ベンジル、p-メトキシベンジル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tertブチルジメチルシリル、トリイソピルシリル及びアリルである。
【0128】
実施例 XXV

1-シアノ-2-(4-シクロプロピル-ベンジル)-4-(tetra-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン
攪拌子、4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリフルオロメチルスルホニルオキシ-ベンジル)-ベンゾニトリル(4.4g),脱気トルエン(12mL)及び脱気水(8mL)をチャージし、アルゴン環境を維持したフラスコに-シクロプロピルボロン酸(0.20g)、リン酸カリウム(5.0g)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.19g)及び最後にパラジウム(II)酢酸(76mg)を加えた。混合物を110℃で、各時間毎にシクロプロピルボロン酸を加えながら(5x0.20g)6時間攪拌した。室温まで冷却した後に、混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム)減圧下溶媒を除去した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(シクロヘキサン/酢酸エチル20:1>1:1)。
収量:3.2g(理論値の87%)
マススペクトル(ESI+):m/z=581[M+NH4]+
【0129】
実施例 XXVI

4-(1-ヒドロキシ-シクロプロピル)-フェニルボロン酸
3.0Mエチルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル(7.6mL)溶液を攪拌したチタン(IV)イソプロポキシド(2.2mL)のジエチルエーテル(70mL)溶液に加え-78℃まで冷却する。得られた溶液を-78℃で1.5時間、4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-安息香酸-メチルエステル(2.0g)を加える前に攪拌した。反応混合物を周囲温度まで温め、さらに12時間攪拌した。続いて、1M塩酸水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。併せた有機抽出物を乾燥(硫酸ナトリウム)させ、溶媒を蒸発させた。残渣をアセトン(60mL)に溶解し、0.1MNH4OAc水溶液(50mL)、続いてNaIO4(2.3g)を加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌した。アセトンの除去後、残渣を酢酸エチルで抽出した。併せた抽出物を乾燥(硫酸ナトリウム)させ、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した (シクロヘキサン/酢酸エチル)。
収量: 0.45 g(理論値の33%)
マススペクトル(ESI-):m/z=223[M+HCOO]-
【0130】
最終化合物の調製:
参考実施例1

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフランyl-3-オキシ)-ベンジル]--ベンゾニトリル
1.00g1-クロロ-2-[4-((S)-テトラヒドロフラニル-3-オキシ)-ベンジル]-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼン、0.16gシアン化ナトリウム及び0.35g臭化ニッケルの2.5mL N-メチル-2-ピロリジノンにおける混合物を電子レンジで220℃、15分間加熱した。室温まで冷却した後、水を加え得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後溶媒を蒸発させ残渣を5mLメタノールに溶解した。4mLの4M水酸化カリウム水溶液を加え反応溶液を周囲温度で3時間攪拌した。溶液を1M塩酸で中和しメタノールを蒸発させた。残渣を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール4:1)。
収量:0.35g(理論値の49%)
マススペクトル(ESI+):m/z=442[M+H]+
【0131】
実施例1、2、3及び4の化合物は参考実施例1と同様にして得た:
実施例1:2-(4-エチル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の65%
マススペクトル(ESI+):m/z=401[M+NH4]+
この化合物はまた、エチルフェニルボロン酸をカップリングパートナーとして使用し、実施例6を同様にして調製しても良い。
【0132】
実施例 2: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシ-ベンジル)-ベンゾニトリル


化合物は上記方法に従って2-(4-アセトキシ-ベンジル)-1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゼンから調製される。
収量:理論値の30%
マススペクトル(ESI+):m/z=389[M+NH4]+
化合物はまた、2-(4-メトキシベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリルのペルアセチル化(peracetylation)、続いて三臭化ホウ素によるエーテル開裂及び脱アセチル化によって得ても良い。
【0133】
実施例 3: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の59%
マススペクトル(ESI+): m/z=387[M+NH4]+
この化合物はまた、4-メチルフェニルボロン酸をカップリングパートナーとして使用して実施例6と同様にして調製しても良い。
【0134】
実施例 4: 2-(4-シアノ-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の58%
マススペクトル(ESI+):m/z=398[M+NH4]+
【0135】
実施例 5

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メトキシエトキシ-ベンジル)-ベンゾニトリル
2-ブロモエーテル-メチルエーテル(85μl)を4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)-ベンゾニトリル(0.30g)及び炭酸セシウム(0.39g)の3mL-ジメチルホルムアミド中における混合物に加えた。混合物を、水及び塩水を加える前に80℃で16時間攪拌した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し集めて抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(ジクロロメタン/メタノール1:0->5:1)。
収量: 0.19g(理論値の49%)
マススペクトル(ESI+):m/z=430[M+H]+
【0136】
実施例 6

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリフルオロメトキシベンジル)-ベンゾニトリル
Arを満たしたフラスコに2-ブロモメチル-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル(0.25g)、4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸(0.20g)、炭酸カリウム(0.26)及び脱気アセトン並びに水の3:1混合物(4mL)をチャージした。混合物を氷浴中で冷却する前に5分間室温で攪拌した。続いて塩化パラジウム (5mg)を加え反応混合物を16時間周囲温度で攪拌した。混合物を次に塩水で希釈し酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。残渣をメタノール(9mL)に溶解し4M水酸化カリウム水溶液(1mL)で処理した。得られた溶液を周囲温度で1時間攪拌し続いて1M塩酸で中和した。メタノールを蒸発させ残渣を塩水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を集め硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を除去した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(ジクロロメタン/メタノール1:0->8:1).
収量:0.145 g(理論値の69%)
マススペクトル(ESI+):m/z=457[M+NH4]+
いくつかの場合において、塩基の比率の上昇とともに1.5〜2.0等量のボロン酸を採用することにより収量が増加した。
【0137】
以下の化合物は実施例6と同様にして得た。:
実施例 7: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の47%
マススペクトル(ESI+):m/z=441[M+NH4]+
【0138】
実施例 8: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-イソプロピル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の87%
マススペクトル(ESI+):m/z=415[M+NH4]+
【0139】
実施例9:4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-tert-ブチル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の66%
マススペクトル(ESI+):m/z=429[M+NH4]+
【0140】
実施例10: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリメチルシリル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の70%
マススペクトル(ESI+):m/z=445[M+NH4]+
【0141】
実施例11:4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチルスルファニル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の47%
マススペクトル(ESI+):m/z=419[M+NH4]+
【0142】
実施例12:4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(3-メチル-ブト-1-イル)-ベンジル]-ベンゾニトリル

収量:理論値の69%
マススペクトル(ESI+):m/z=443[M+NH4]+
【0143】
実施例13:2-(4-フルオロ-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル


収量:理論値の34%
マススペクトル(ESI+):m/z=391[M+NH4]+
【0144】
実施例14: 2-(4-クロロ-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の32%
マススペクトル(ESI+):m/z=407/409(Cl)[M+NH4]+
【0145】
実施例15:2-(4-ジフルオロメトキシ-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の32%
マススペクトル(ESI+):m/z=439[M+NH4]+
【0146】
実施例16:2-(4-ジフルオロメチル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の65%
マススペクトル(ESI+):m/z=423[M+NH4]+
【0147】
実施例17: 2-(4-シクロプロピル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

マススペクトル(ESI+):m/z=413[M+NH4]+
化合物は4-シクロプロピル-フェニルボロン酸をカップリングパートナーとして使用して実施例6に従って得た。
収量:理論値の83%
【0148】
代わりにこの化合物は実施例XXIV(1)に記載されるように得た。
実施例17の化合物も以下の方法を採用して得た:
2-(4-シクロプロピル-ベンジル)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコピラノス-1-イル)--ベンゾニトリル(0.80g)のメタノール(5mL)溶液及びTHF(5mL)を水酸化カリウム水溶液(4mol/l,5mL)で処理した。反応溶液を周囲温度で1h攪拌し1M塩酸で中和した。有機溶媒を蒸発させ、残渣を塩水に溶解し酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を乾燥させ(硫酸ナトリウム)溶媒を取り除いた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(ジクロロメタン/メタノール1:0->9:1)
収量:0.54g(理論値の96%)
【0149】
実施例18: 2-(4-シクロブチル-ベンジル)-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

化合物は実施例6に従って、4-シクロブチルボロン酸 (実施例 XXIと同様にして得ることが出来る)をカップリングパートナーとして使用して得ても良い。
収量:理論値の51%
マススペクトル(ESI+):m/z=427[M+NH4]+
【0150】
実施例19: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-プロプ-1-イル-ベンジル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の64%
マススペクトル(ESI+):m/z=415[M+NH4]+
【0151】
実施例 20: 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-(1-ヒドロキシ-シクロプロピル)-ベンジル]-ベンゾニトリル

化合物は、4-(1-ヒドロキシ-シクロプロピル)-フェニルボロン酸をカップリングパートナーとして使用して実施例6にしたがって得ても良い。
【0152】
実施例 21

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヨード-ベンジル)-ベンゾニトリル
1 Mの塩化ヨウ素、ジクロロメタン(0.9mL)溶液を4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-トリメチルシリル-ベンジル)-ベンゾニトリル(0.26g)ジクロロメタン(5mL)溶液に加えた。溶液を室温で1時間攪拌し、続いてNa2S2O3水溶液及びNaHCO3水溶液を加えることにより反応を止めた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した.あわせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除いた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(ジクロロメタン/メタノール1:0->8:1)。
収量:0.15g(理論値の88%)
マススペクトル(ESI+):m/z=499[M+NH4]+
【0153】
以下の化合物は、実施例20と同様にして得た:
(22) 2-(4-ブロモ-ベンジル)- 4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-ベンゾニトリル

収量:理論値の79%
マススペクトル(ESI+):m/z=451/453[M+NH4]+
化合物は、ICIジクロロメタン溶液の代わりに臭素を用いて実施例20の方法を用いて得た。
【0154】
実施例 23

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ペンタフルオロエチル-ベンジル)-ベンゾニトリル
フラスコに4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-ヨード-ベンジル)-ベンゾニトリル(0.16g)、ペンタフルオロエチルトリメチルシラン(0.14g)、KF(43mg)、CuI(0.16g)、DMF(2mL)を加えAr雰囲気下で60℃で24時間加熱した。続いてNaHCO3水溶液を加え得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。あわせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除いた。残渣をメタノール(8mL)に溶解し4M KOH溶液(0.8mL)で処理した。溶液を室温で1時間攪拌し、NaHCO3水溶液で希釈した。減圧下メタノールを取り除いた後、残渣を酢酸エチルで抽出し、あわせた有機層を乾燥させて溶媒を取り除いた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(ジクロロメタン/メタノール1:0->8:1)。
収量:0.08 g (理論値の69%)
マススペクトル(ESI+):m/z=491[M+NH4]+
【0155】

実施例 24
4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチルスルフィニル-ベンジル)-ベンゾニトリル
35%過酸化水素水(48μL)を4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチルスルファニル-ベンジル)-ベンゾニトリル(83mg)1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(2mL)溶液に加えた。得られた溶液を周囲温度で1時間攪拌し、Na2S2O3水溶液及びNaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。あわせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を取り除いた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(ジクロロメタン/メタノール1:0->5:1)。
収量:24mg(理論値の28%)
マススペクトル(ESI+):m/z=418[M+H]+
【0156】
実施例25

4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチルスルホニル-ベンジル)-ベンゾニトリル
3-クロロ過安息香酸(70%,0.14g)を4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-(4-メチルスルファニル-ベンジル)-ベンゾニトリル(100mg)のジクロロメタン(2mL)に加え、氷浴で冷却した。冷却槽をはずし、得られた溶液を周囲温度で1時間攪拌した。Na2S2O3水溶液とNaHCO3水溶液を加えた後、有機相を分離し、水槽を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を取り除いた。残渣はシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0->8:1)でクロマトグラフした。
収量:68mg(理論値の63%)
マススペクトル(ESI+):m/z=451[M+NH4]+
【0157】
以下の化合物は上記実施例と同様に又は文献から知られた他の方法により調製されても良い。:



本明細書に記載されるいくつかの処方実施例における「活性物質」という語はプロドラッグや塩を含む1以上の本発明の化合物を表す。上述の1又は付加的な活性物質との組み合わせの場合、「活性物質」という語は付加的な活性物質も含む。
【0158】
実施例 A
100mgの活性物質を含む錠剤
成分:
1錠あたり:
活性物質 100.0 mg
ラクトース 80.0 mg
コーンスターチ 34.0 mg
ポリビニルピロリドン 4.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0 mg
220.0 mg

調製方法:
活性物質、ラクトース及びスターチはともに混合しポリビニルピロリドンの水溶液で均一に湿らせる。湿らせた成分をふるいにかけ(2.0 mm メッシュサイズ)ラック型乾燥機で50℃で乾燥させた後、再びふるいにかけ(1.5 mm メッシュサイズ)潤滑剤を加えた。得られた混合物を錠剤の形態に圧縮した。
錠剤の重量: 220 mg
直径: 10 mm、双平面、両面ファセット、片面に割線
【0159】
実施例 B
150mgの活性物質を含む錠剤
成分:
1錠あたり:
活性物質 150.0 mg
粉末ラクトース 89.0 mg
コーンスターチ 40.0 mg
コロイドシリカ 10.0 mg
ポリビニルピロリドン 10.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0 mg
300.0 mg
調製:
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した活性物質を20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせメッシュサイズ1.5 mmの篩を通した。顆粒を45度で乾燥させ、再び同じ篩を通し、指定した量のステアリン酸マグネシウムと混合する。錠剤を混合物から圧縮する。
錠剤の重量: 300 mg
ダイ: 10 mm、扁平
【0160】
実施例 C
150mgの活性物質を含むハードゼラチンカプセル
成分:
1カプセルあたり:
活性物質 150.0mg
コーンスターチ (乾燥) 約180.0 mg
ラクトース (粉末) 約87.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0 mg
約420.0 mg
調製:
活性物質を賦形剤と混合しメッシュサイズ0.75 mmのふるいを通し、適切な装置を用いて均一に混合する。仕上がった混合物をサイズ 1 ハードゼラチンカプセルに充填する。
カプセル内容量: 約320 mg
カプセルシェル: サイズ1 ハードゼラチンカプセル
【0161】
実施例 D
150mgの活性物質を含む座薬
成分:
座薬1つあたり:
活性物質 150.0 mg
ポリエチレングリコール 1500 550.0 mg
ポリエチレングリコール 6000 460.0 mg
ポリ オキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0 mg
2,000.0 mg
調製:
座薬の基剤を溶解した後、その中に活性物質を均等に分散させ溶解物を冷やした型に注ぐ。
【0162】
実施例E
10 mgの活性物質を含むアンプル
成分:
活性物質 10.0 mg
0.01 N 塩酸 十分量
2回蒸留水 2.0 mlまで加える

調製:
活性物質を必要量の0.01 N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、ろ過滅菌し2 mlアンプルに移した。
【0163】
実施例 F
50mgの活性物質を含むアンプル
組成:
活性物質 50.0 mg
0.01 N 塩酸 十分量
2回蒸留水 10.0 mlまで加える
調製:
活性物質を必要量の0.01 N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、ろ過滅菌して10mlアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのグリコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体

(式中、

R3は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブト-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシ-シクロプロピル、1−ヒドロキシ-シクロブチル、1−ヒドロキシ-シクロペンチル、1−ヒドロキシ-シクロヘキシル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3−ヒドロキシ-プロピル、2−ヒドロキシ-2-メチル-プロプ-1-イル、3−ヒドロキシ-3-メチル-ブト-1-イル、1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1−ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル又はシアノである。)
又はそれらの誘導体であり、式中β-D-グルコピラノシル基の1以上のヒドロキシル基は(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)カルボニルからなる群から選択される基でアシル化され、
それらの互換異性体、立体異性体又はそれらの混合物及びそれらの生理学的に許容可能な塩を含む。
【請求項2】
β-D-グルコピラノシル基のO‐6位のヒドロキシル基の水素原子が、(C1-8-アルキル)カルボニル、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル及びフェニルカルボニルから選択される基で置換されることを特徴とする、請求項1記載の2-グルコピラノシル-置換ベンゾニトリル誘導体又はそれらの生理学的に許容可能な塩。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物と、無機又は有機酸との、生理学的に許容可能な塩。
【請求項4】
請求項1又は2記載の化合物又は請求項3記載の生理学的に許容可能な塩を、任意に1以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項5】
ナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することにより影響される疾患もしくは症状の治療又は予防に適した医薬組成物の調製のための、少なくとも1つの、請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項6】
1以上の代謝性疾患の治療又は予防に適した医薬組成物の調製の為の、少なくとも1つの、請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項7】
代謝性疾患が、1型及び2型真性糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血症、グルコース代謝障害、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、異なる原因による異脂肪血症、粥状動脈硬化及び関連する疾患、肥満、高血圧、急性心不全、浮腫及び高尿酸血症からなる群から選択されることに特徴のある、請求項6記載の使用。
【請求項8】
ナトリウム‐依存性グルコース共輸送体SGLT2を阻害するための医薬組成物の調製の為の、少なくとも1つの、請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項9】
膵臓β細胞の変性の防止及び/又は膵臓β細胞の機能の改善及び/又は回復のための医薬組成物の調製の為の、少なくとも1つの、請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項10】
患者における肝脂肪の異常な集積に起因する疾患又は症状の予防、減速、遅延又は治療のために必要な医薬組成物の調製のための、少なくとも1つの、請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項11】
利尿薬及び/又は抗高血圧薬の調製の為の少なくとも1つの請求項1若しくは2記載の化合物又は請求項3記載の生理的に許容可能な塩の使用。
【請求項12】
式II、III、i.1、i.2、i.3、i.4、i.5又はi.6のグルコピラノシル‐置換ベンゾニトリル誘導体であって、



(式中、
R3は請求項1に定義された通りであり、及び
R'はH、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール-(C1-3-アルキル)カルボニルであり、前記アルキル又はアリール基はハロゲンで1置換又は多置換され、;
R8a、R8b、R8c、R8dは互いに独立して水素又はアリル基、-ベンジル基、(C1-4-アルキル)カルボニル、(C1-4-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、アリール-(C1-3-アルキル)-カルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-オキシカルボニル又はRaRbRcSi基又はケタール又はアセタール基であり、特にアルキリデン又はアリールアルキリデンケタール又はアセタール基であり、いずれの場合においても2つの近接する基R8a、R8b、R8c、R8dは環状ケタール又はアセタール基又は1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレン架橋を形成しても良く、上記エチレン架橋はピラノース環の2個の酸素原子及び2個の付随する炭素原子と共に置換ジオキサン環、特に2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成し、アルキル、アリル、アリール及び/又はベンジル基はハロゲン又はC1-3-アルコキシで1置換又は多置換され、ベンジル基もまたジ(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されてもよく;及び
Ra、Rb、Rcは、互いに独立してC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルであり、前記アリール又はアルキル基はハロゲンで1置換又は多置換され、
一方、上記基の定義中のアリール基は、フェニル又はナフチル基、及び好ましくはフェニル基であり、
AlkはC1-4-アルキルであり、;及び
R1は塩素、臭素、シアノ、カルボキシ, カルボキシエステル、カルボキサミド又はそれらの誘導体であり、ホウ素又はシリル基、保護又はマスクされたアルデヒド基又は保護又はマスクされたアミノ基であり、好ましくはR1はBr又はCNであり;及び
LGはBr、I又は-O-(SO2)-CF3のような脱離基であり;及び
UはCl、Br、I、-O-CO-C1-4-アルキル、-O-C(=O)-O-C1-4-アルキル又は-OPO(O-C1-4-アルキル)2である。)
それらの互換異性体、立体異性体又はそれらの混合物及びそれらの生理学的に許容可能な塩を含む、前記誘導体。

【公表番号】特表2009−535378(P2009−535378A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508336(P2009−508336)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054248
【国際公開番号】WO2007/128749
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】