ケーブル保護案内部材の取付構造、及びその取付構造を備えるロボット
【課題】相対回転する可動部材にケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造において、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制する。
【解決手段】保護案内部材30は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状である。保護案内部材30には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられている。保護案内部材30は、中間部30aが第1部材22に取り付けられており、中間部30aから軸線R1の周方向へ延ばされ、所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつアーム25側へ延ばされ、第2端部30bがアーム25に取り付けられている。
【解決手段】保護案内部材30は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状である。保護案内部材30には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられている。保護案内部材30は、中間部30aが第1部材22に取り付けられており、中間部30aから軸線R1の周方向へ延ばされ、所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつアーム25側へ延ばされ、第2端部30bがアーム25に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを保護及び案内するケーブル保護案内部材を、可動部材に取り付ける取付構造、及びその取付構造を備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレームにより回転可能に支持された下アームと、下アームにより回転可能に支持された上アームとを備えるロボットにおいて、ケーブルをケーブルベア(登録商標)により保護及び案内するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、可撓性のあるケーブルベアの両端を、ロボットの外側でフレ−ム及び上アームにそれぞれ固定している。特許文献1に記載のものによれば、ロボットのアームが動作した際に、動力線や信号線等のケーブルが、ケーブルベアにより保護及び案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−39373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものでは、下アーム及び上アームの動作にケーブルベアを追従させるために、ケーブルベアに比較的長い遊び部分を設ける必要がある。このため、下アームと上アームとの相対角度によっては、ケーブルベアがアームから大きく離れたり揺れ動いたりするおそれがある。なお、特許文献1に記載のものでは、下アームにおいて下アームの回転軸と上アームの回転軸との中間位置に、ケーブルベアの動きを規制するガイドを設けているものの、ケーブルベアがアームから大きく離れることに相違はない。特に、下アームと上アームとの相対回転角度の範囲が広い場合には、こうした傾向が顕著なものとなる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、相対回転する可動部材にケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造において、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することにある。また、本発明の従たる目的は、その取付構造を備えるロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0007】
第1の手段は、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材が取り付けられる。ここで、保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成されているため、従来のリンク部材などを多数連結して組み立てる保護案内部材と比較して、保護案内部材自体の構成を簡素化することができるとともに、その組み立て作業を省くことができる。
【0009】
詳しくは、保護案内部材は、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられている。このため、保護案内部材は、スリットの設けられていない所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように、曲げたり捻ったりすることができる。このとき、スリットの設けられていない所定の1面と、スリットの設けられた3面のスリット以外の部分とによって、保護案内部材の断面形状を維持する作用が生じる。したがって、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を抑制して形状を安定させることができる。
【0010】
そして、保護案内部材において、保護案内部材の一部分である第1部分が第1部材に取り付けられている。保護案内部材は、第1部分から第1軸線の周方向へ延ばされ、所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ第2部材側へ延ばされている。すなわち、スリットの設けられていない所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材を螺旋状に巻くことができる。第2部材側へ延ばされた保護案内部材において、保護案内部材の一部分である第2部分が第2部材に取り付けられている。
【0011】
こうした取付構造において、第1部材及び第2部材が共通の第1軸線を中心として相対回転した場合には、保護案内部材において螺旋状に巻かれた螺旋状部の径及び外周側のスリットの間隔が変化することで、保護案内部材が回転させられる。ここで、第1部材及び第2部材の相対回転に伴う保護案内部材の回転が螺旋状部により吸収されるため、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材によってケーブルを案内することができる。さらに、螺旋状に巻かれた保護案内部材の形状を安定させることができるため、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【0012】
具体的には、保護案内部材が螺旋状に巻かれた構成として、保護案内部材が1周から2周の範囲で巻かれている構成を採用することができる。こうした構成によれば、保護案内部材の螺旋状部が必要以上に長くなることを抑制しつつ、螺旋状部による第1部材及び第2部材の相対回転の吸収量を確保することができる。なお、「螺旋状に巻かれる」とは、保護案内部材が1周程度巻かれることを含むものとする。
【0013】
第2の手段では、前記保護案内部材は、前記第1部分から捻り位置まで延ばされ、前記捻り位置において前記所定の1面を前記第1軸線側へ向けるように捻られてから、前記第1軸線の周方向へ延ばされている。
【0014】
上記構成によれば、保護案内部材は、第1部分から捻り位置まで延ばされ、捻り位置において所定の1面を第1軸線側へ向けるように捻られことで、その延びる方向が転換されている。すなわち、捻り位置において所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように捻ることで、保護案内部材を第1部材の第1部分から第1軸線の周方向へ向かわせることができる。その結果、互いに交差する二方向に沿って保護案内部材を設けることが可能となる。
【0015】
第3の手段では、前記第1部材は、第3部材により前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に支持されており、前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされている。
【0016】
上記構成によれば、保護案内部材は、所定の1面を第2軸線側へ向けるようにして、保護案内部材の一部分である第3部分が第3部材に取り付けられるとともに、第3部分から長手方向に離間した上記第1部分が第3部材に取り付けられている。このため、スリットが広がろうとする作用により、保護案内部材は所定の1面を内周側にして湾曲するようになる。したがって、保護案内部材は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなり、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を抑制することができる。その結果、保護案内部材の形状を安定させることができる。
【0017】
ここで、保護案内部材は、第3部分から第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、折り返し位置において第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、第2軸線の周方向へ第1部分まで延ばされている。すなわち、スリットの設けられていない所定の1面を第2軸線側へ向けるようにして、外周側のスリットの間隔を広げるように捻りつつ曲げることで、保護案内部材を折り返すことができる。そして、第3部材及び第1部材が第2軸線を中心として相対回転した場合には、折り返し位置が第2軸線の周方向に沿って移動して保護案内部材が送り出されることで、保護案内部材によりケーブルを案内することができる。その結果、相対回転する第3部材、第1部材、及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造を、長尺状に一体で形成された保護案内部材により実現することが可能となるため、保護案内部材自体の構成を簡素化することができる。さらに、第2軸線の周方向へ延ばされた保護案内部材の形状を安定させることができるため、第1部材及び第3部材の高速相対回転に対して追従性を高めることができる。
【0018】
第4の手段では、前記保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、前記所定の1面は内側へ湾曲しており、前記保護案内部材において前記所定の1面と対向する面は、前記保護案内部材の長手方向に沿って二分割されている。
【0019】
上記構成によれば、保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、所定の1面は内側へ湾曲しているため、所定の1面を内周側とした保護案内部材の曲げに対する剛性を向上させることができる。したがって、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を効果的に抑制することができる。その結果、保護案内部材の形状を更に安定させることができる。
【0020】
また、保護案内部材において所定の1面と対向する面は、保護案内部材の長手方向に沿って二分割されているため、その割れ目から保護案内部材内へケーブルを容易に挿入することができる。
【0021】
そして、所定の1面を内周側にして保護案内部材を曲げた場合には、所定の1面の湾曲が伸ばされるように変形する。このため、所定の1面に接続された両側の面は、所定の1面側へ倒れるように傾き、その両側の面に接続された面(所定の一面と対向する面)の分割部分が、所定の1面側へ近付くこととなる。したがって、保護案内部材が曲げられる部分においても、保護案内部材内に収容されるケーブルを強固に保持することができる。
【0022】
第5の手段では、前記スリットにおいて、前記所定の1面側の端部が丸くされている。
【0023】
上記構成によれば、スリットにおいて、所定の1面側の端部が丸くされているため、所定の1面を内周側にして外周側のスリットの間隔を広げるように曲げる際に、スリットの端部に亀裂が生じることを抑制することができる。その結果、保護案内部材の耐久性を向上させることかできる。
【0024】
第6の手段は、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材、並びに前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に前記第1部材を支持する第3部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられており、前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、第1及び第3の手段の作用効果を奏することができる。
【0026】
具体的には、第7の手段のように、前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第3部材の外周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第1部材の外周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。
【0027】
こうした構成によれば、所定の1面を内周側にして湾曲する保護案内部材を、円筒状に形成された第3部材及び前記第1部材の外周において、その外周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0028】
また、具体的には、第8の手段のように、前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第3部材の内周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第1部材の内周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。
【0029】
こうした構成によれば、所定の1面を内周側にして湾曲する保護案内部材を、円筒状に形成された第3部材及び前記第1部材の内部において、その内周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0030】
さらに、第9の手段のように、ケーブル保護案内部材の取付構造をロボットに適用して、前記第2部材は、前記第1軸線と交差する方向へ延びるとともに、前記第1部材により前記第1軸線を中心として回転可能に支持されているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、ロボットにおいて、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ケーブル保護案内部材の取付構造を示す斜視図。
【図2】ケーブル保護案内部材及びケーブルを示す斜視図。
【図3】直線部分及び周方向部分におけるケーブル保護案内部材及びケーブルの断面図。
【図4】捻り折り返し部分、捻り部分、及び螺旋状部分におけるケーブル保護案内部材及びケーブルの断面図。
【図5】捻り折り返し部分付近におけるケーブル保護案内部材を示す斜視図。
【図6】螺旋部分付近におけるケーブル保護案内部材を示す斜視図。
【図7】ケーブル保護案内部材によるケーブルの案内態様を示す斜視図。
【図8】ケーブル保護案内部材によるケーブルの案内態様を示す斜視図。
【図9】ケーブル保護案内部材の変形例を示す斜視図。
【図10】ケーブル保護案内部材の取付構造の変形例を示す斜視図。
【図11】ケーブル保護案内部材の取付構造の他の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ロボットにおいて、相対回転する3つの部材にケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造として具体化している。
【0033】
図1は、ケーブル保護案内部材30の取付構造10を示す斜視図である。同図に示すように、取付構造10は、第1部材22、アーム25(第2部材)、第3部材21、ケーブル41、ケーブル保護案内部材30、第1ガイド部材24、及び第2ガイド部材23を備えている。
【0034】
第1部材22及び第3部材21は、それぞれ円筒状に形成されており、軸線R2(第2軸線)を中心軸線として軸線R2方向へ延びている。第1部材22と第3部材21とは、軸線R2方向に並んで配置されている。第1部材22及び第3部材21は垂直に配置されており、軸線R2が鉛直方向に一致している。なお、第1部材22及び第3部材21の配置は必ずしも垂直でなくてもよく、傾斜していたり、水平であったりしてもよい。
【0035】
アーム25は、長円板状に形成されており、軸線R2に直交する(交差する)軸線R1(第1軸線)付近から、軸線R1に直交する(交差する)方向へ延びている。第1部材22の端部22aとアーム25の端部25aとは、軸線R1方向に並んで配置されている。軸線R1は水平方向へ延びている。なお、軸線R1の延びる方向は必ずしも水平でなくてもよく、傾斜していてもよい。また、アーム25の形状は、長円板状の形状に限らず、棒状の形状等を採用することもできる。
【0036】
第1部材22及び第3部材21の内部には、駆動モータ、回転軸、軸受け、減速機構等が設けられている。第1部材22は、軸受け及び減速機構を介して、第3部材21により軸線R2を中心として回転可能に支持されている。そして、第1部材22及び第3部材21は、駆動モータの駆動に基づいて、共通の軸線R2を中心に相対回転させられる。ここでは、第3部材21に対して、第1部材22が回転させられる。
【0037】
第1部材22及びアーム25の内部には、駆動モータ、回転軸、軸受け、減速機構等が設けられている。アーム25の端部25aは、軸受け及び減速機構を介して、第1部材22の端部22aにより、軸線R1を中心として回転可能に支持されている。そして、第1部材22及びアーム25は、駆動モータの駆動に基づいて、共通の軸線R1を中心に相対回転させられる。ここでは、第1部材22に対して、アーム25が回転させられる。
【0038】
アーム25の先に取り付けられるアクチュエータ等には、ケーブル41が接続されている。ケーブル41は、外部からの電力をアクチュエータ等に供給するとともに、駆動信号をアクチュエータ等の駆動回路に送信する電気配線である。アクチュエータ等は、ケーブル41を通じて供給される電力により駆動され、ケーブル41を通じて駆動回路に送信される駆動信号に基づいて動作させられる。
【0039】
ケーブル41には、ケーブル保護案内部材30が取り付けられている。保護案内部材30は、第1部材22の内周面及び第3部材21の内周面に沿って設けられるとともに、アーム25の外周面に沿って設けられている。
【0040】
第1部材22の内周側には、第1部材22よりも径の小さい円筒状の第1ガイド部材24が設けられている。第3部材21の内周側には、第3部材21よりも径の小さい円筒状の第2ガイド部材23が設けられている。第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23は、それぞれ第1部材22及び第3部材21と一体に回転する。保護案内部材30は、第1部材22と第1ガイド部材24との間、及び第3部材21と第2ガイド部材23との間に配置されている。すなわち、保護案内部材30は、第1ガイド部材24の外周面及び第2ガイド部材23の外周面に沿って設けられている。そして、保護案内部材30は、第1部材22が第3部材21に対して回転させられる際に、ケーブル41を保護するとともに、ケーブル41を軸線R2の周方向へ案内する。
【0041】
保護案内部材30は、アーム25において軸線R1側の端部25aから軸線R1と反対側の端部25bにかけて、アーム25の外周面に沿って配置されている。そして、保護案内部材30は、アーム25が第1部材22に対して回転させられる際に、ケーブル41を保護するとともに、ケーブル41をアーム25の回転に追従させるように案内する。
【0042】
次に、ケーブル保護案内部材30の構造について詳細に説明する。図2は、保護案内部材30及びケーブル41を示す斜視図である。
【0043】
同図に示すように、保護案内部材30は、長尺状に一体で形成されている。保護案内部材30の長手方向に垂直な断面は、中空の矩形状となっている。保護案内部材30は、湾曲面33、2つの側面34、及び分割面35を備えている。保護案内部材30には、長手方向に垂直なスリット36が、長手方向に所定間隔で設けられている。スリット36は、湾曲面33(所定の1面)を残して分割面35及び2つの側面34を切り込んでおり、分割面35から湾曲面33近傍まで切り込んでいる。スリット36において、湾曲面33側の端部36aは丸く加工されている。
【0044】
湾曲面33と対向する分割面35は、保護案内部材30の長手方向に沿って二分割されている。すなわち、分割面35には、保護案内部材30の長手方向に延びる隙間37が形成されている。隙間37の幅は、ケーブル41の直径よりも狭く設定されている。側面34同士の間隔は、2本のケーブル41の直径の合計よりも広く設定されている。湾曲面33と分割面35との間隔は、ケーブル41の直径よりも広く設定されている。
【0045】
保護案内部材30は、合成樹脂を押し出し成形した後に、上記スリット36及び隙間37を形成する加工が施される。このため、保護案内部材30の長さを任意に調整することができる。合成樹脂としては、機械的強度や成形精度の高いものを採用することが望ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などを採用することができる。ここでは、押し出し成形性及び形態安定性が高く、弾性変形が可能なポリプロピレンを採用している。そして、上記隙間37を広げるように保護案内部材30を弾性変形させて、保護案内部材30の内部へケーブル41が挿入されている。
【0046】
保護案内部材30は、第1部材22、アーム25、及び第3部材21に取り付けられた状態において、軸線R2の周方向に延びるように配置される周方向部分30d、捻られつつ折り返されて配置される捻り折り返し部分30e、湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られて配置される捻り部分30f、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれて配置される螺旋状部分30g、及び直線状に配置される直線部分30hを形成する。
【0047】
図3は、直線部分30h及び周方向部分30dにおけるケーブル保護案内部材30及びケーブル41の断面図である。同図に示すように、直線部分30h(自然状態の部分)及び周方向部分30d(若干湾曲しているが自然状態に近い状態の部分)では、保護案内部材30の湾曲面33は、内側(分割面35側)へ湾曲している。この状態において、2つの側面34は互いに略平行となっている。湾曲面33と側面34とは厚さが略等しくなっており、分割面35は湾曲面33よりも厚くなっている。分割面35は、隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ作用する力に対する抵抗力を増大させることができ、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0048】
図4は、捻り折り返し部分30e、捻り部分30f、及び螺旋状部分30gにおけるケーブル保護案内部材30及びケーブル41の断面図である。捻り折り返し部分30eでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、第3部材21から第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されている。捻り部分30fでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られている。螺旋状部分30gでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R1側へ向けるようにして、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれている。なお、同図では、上記直線部分30h及び周方向部分30dにおける保護案内部材30及びケーブル41を、二点鎖線で示している。
【0049】
同図に示すように、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、保護案内部材30を捻りつつ折り返すように変形させると、湾曲面33が伸ばされるように変形する。同様にして、湾曲面33を内周側にして、湾曲面33を軸線R1側へ向けて捻るように変形させた場合、及び湾曲面33を軸線R1側へ向けるようにして、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれるように変形させた場合も、湾曲面33が伸ばされるように変形する。
【0050】
このため、湾曲面33が平面状に変形し、湾曲面33の幅方向の両端に接続された2つの側面34が、湾曲面33側へ倒れるように傾く。これにより、側面34に接続された分割面35も、隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾くこととなる。その結果、分割面35に形成された隙間37の幅が狭くなり、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0051】
また、分割面35は湾曲面33よりも厚くなっているため、ケーブル41から分割面35へ作用する力に対する抵抗力を増大させることができる。
【0052】
したがって、保護案内部材30からケーブル41が外れることを効果的に抑制することができる。なお、これらの部分30e,30f,30gでは、ケーブル保護案内部材30及びケーブル41が捻られているため、図4に示す断面において保護案内部材30は非対称に変形している。
【0053】
図5は、捻り折り返し部分30e付近におけるケーブル保護案内部材30を示す斜視図である。なお、同図では、保護案内部材30内に収容されたケーブル41を省略して示している。
【0054】
同図に示すように、捻り折り返し部分30eでは、スリット36の間隔が広げられることにより、保護案内部材30が捻られつつ折り返されている。保護案内部材30の断面形状が非対称に変形することにより、保護案内部材30は無理なく変形している。また、捻り折り返し部分の曲率半径方向において、外側ほどスリット36の間隔が広くなっている。ここで、スリット36において湾曲面33側の端部36aが丸くされているため、スリット36の間隔を広げる際にスリット36の先端に応力が集中することを抑制することができる。このため、スリット36の端部36aに亀裂が生じることを抑制することができ、保護案内部材30の耐久性を向上させることができる。
【0055】
スリット36の設けられていない湾曲面33と、スリット36の設けられた側面34及び分割面35のスリット36以外の部分によって、保護案内部材30の断面形状を維持する作用が生じる。また、スリット36が広がろうとする作用により、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして湾曲するようになる。このため、保護案内部材30は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなる。さらに、保護案内部材30の湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性が向上している。したがって、保護案内部材30は、保護案内部材30の自重及びケーブル41の重量を支えることができ、保護案内部材30の形状を安定させることができる。また、保護案内部材30が、湾曲面33を内側にして曲がり過ぎることを抑制することができる。
【0056】
分割面35に形成された隙間37の幅は、周方向部分から捻り折り返し部分へ向かうにしたがって徐々に狭くなっている。このため、保護案内部材30と共にケーブル41が捻られつつ折り返される部分においても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。また、周方向部分から捻り折り返し部分へ向かうにしたがって、湾曲面33が伸ばされるように変形し、分割面35の隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ力が作用したとしても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0057】
図6は、螺旋状部分30g付近におけるケーブル保護案内部材30を示す斜視図である。なお、同図では、保護案内部材30内に収容されたケーブル41を省略して示している。
【0058】
同図に示すように、螺旋状部分30gでは、スリット36の間隔が広げられることにより、湾曲面33を内周側にして保護案内部材30が螺旋状に巻かれている。すなわち、保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして曲げられつつ、軸線R1方向(曲げ方向と略垂直な方向)へ位置がずらされている。保護案内部材30の断面形状が若干非対称に変形することにより、保護案内部材30は無理なく変形している。
【0059】
螺旋状部分30gでは、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして巻かれて(湾曲して)いる。このため、保護案内部材30は、巻かれた方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなる。さらに、保護案内部材30の湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性が向上している。また、保護案内部材30の巻かれた形状を伸ばそうとする力が作用している。
【0060】
分割面35に形成された隙間37の幅は、螺旋状部分30gでは一様に狭くなっている。このため、保護案内部材30と共にケーブル41が螺旋状に巻かれる部分においても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。また、湾曲面33が伸ばされるように変形し、分割面35の隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ力が作用したとしても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0061】
次に、図1に戻り、こうした構成を備える保護案内部材30を、第1部材22、アーム25、及び第3部材21に取り付ける構造について説明する。
【0062】
保護案内部材30は、湾曲面33を軸線R2側へ向けるように配置されており、第1端部30c(第3部分)が第3部材21の内周面に固定されている。保護案内部材30は、上記分割面35が第3部材21の内周面に沿うように配置されており、軸線R2の周方向に沿って捻り折り返し位置31(折り返し位置)まで延ばされている。
【0063】
保護案内部材30は、捻り折り返し位置31において、第3部材21から第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されている。詳しくは、保護案内部材30は、捻り折り返し位置31において、湾曲面33を曲げの中心側へ向けるようにして(湾曲面33を内周側にして)、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻りつつ曲げることで折り返されている。
【0064】
折り返された保護案内部材30は、湾曲面33を曲げの中心側へ向けるように配置されており、軸線R2の周方向に沿って中間部30a(第1部分)まで延ばされている。そして、中間部30aが第1部材22の内周面に固定されている。
【0065】
保護案内部材30の軸線R2側(第1部材22及び第3部材21の内径方向)には、第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23が配置されている。第1部材22と第1ガイド部材24との間隔、及び第3部材21と第2ガイド部材23との間隔は、保護案内部材30が軸線R2の周方向に沿って移動可能に設定されている。また、保護案内部材30が軸線R2側へ変形した場合に、保護案内部材30の湾曲面33が第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23の外周面に当たるように、それらの間隔が設定されている。
【0066】
保護案内部材30は、中間部30aから捻り部分30fまで延ばされている。捻り部分30fでは、湾曲面33が軸線R2側から軸線R1側へ徐々に向けられてから、保護案内部材30が軸線R1の周方向へ延ばされている。詳しくは、保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして、一方の側面34に形成されたスリット36の間隔を広げつつ、他方の側面34に形成されたスリット36の間隔を狭めるようにして捻られている。そして、保護案内部材30が第1部材22の中間部30aから、軸線R1の周方向に沿ってアーム25側へ延ばされている。なお、保護案内部材30は、捻り部分30fの付近において、第1部材22の内部から連通孔を通じて外部へ引き出されている。
【0067】
アーム25側へ延ばされた保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして螺旋状に巻かれて、螺旋状部分30gを形成している。詳しくは、保護案内部材30は、アーム25の端部25aの側方(外周面付近)において、軸線R1を中心として螺旋状に略1周巻かれている。すなわち、湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材30が螺旋状に巻かれている。ここでは、軸線R1方向において、第1部材22の端部22a側からアーム25の端部25a側へ、保護案内部材30がずらされている。なお、軸線R1方向において、アーム25の端部25a側から第1部材22の端部22a側へ、保護案内部材30をずらすこともできる。
【0068】
保護案内部材30は、螺旋状部分30gからアーム25の端部25b側へ、アーム25の外周面に沿って直線状に延ばされている。そして、保護案内部材30の第2端部30b(第2部分)がアーム25の端部25bに固定されている。保護案内部材30は、螺旋状部分30gと第2端部30bとの間において、上述した直線部分30hを形成している。保護案内部材30の第2端部30bからケーブル41が引き出されており、ケーブル41がアーム25の先に取り付けられたアクチュエータ等に接続されている。
【0069】
次に、図7を参照して、第3部材21に対して第1部材22を回転させた際に、ケーブル保護案内部材30によりケーブル41が案内される態様について説明する。
【0070】
第1部材22が矢印R21の方向へ回転した場合には、捻り折り返し位置31が第1部材22及び第3部材21の内周面(軸線R2の周方向)に沿って矢印R21の方向へ移動して、保護案内部材30と共にケーブル41が送り出される。一方、第1部材22が矢印R21と反対の方向へ回転した場合には、捻り折り返し位置31が第1部材22及び第3部材21の内周面に沿って矢印R21と反対の方向へ移動して、保護案内部材30と共にケーブル41が送り出される。したがって、保護案内部材30により、ケーブル41を軸線R2の周方向に沿って案内することができる。また、保護案内部材30が軸線R2側へ変形した場合には、保護案内部材30の湾曲面33が第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23の外周面に当たって補助的に支持される。
【0071】
また、図8を参照して、第1部材22に対してアーム25を回転させた際に、ケーブル保護案内部材30によりケーブル41が案内される態様について説明する。なお、保護案内部材30の中間部30aは、第1部材22の内周面に固定されている。
【0072】
アーム25が矢印R11の方向へ回転した場合には、アーム25の端部25bに固定された保護案内部材30の第2端部30bが、軸線R1を中心として矢印R11の方向へ回転させられる。このとき、保護案内部材30の螺旋状部分30gの径が小さくなり、外周側のスリット36の間隔が広くなることで、保護案内部材30の形状は安定した状態で保たれる。すなわち、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が、螺旋状部分30gにより吸収される。一方、アーム25が矢印R11と反対の方向へ回転した場合には、アーム25の端部25bに固定された保護案内部材30の第2端部30bが、軸線R1を中心として矢印R11と反対の方向へ回転させられる。このとき、保護案内部材30の螺旋状部分30gの径が大きくなり、外周側のスリット36の間隔が狭くなることで、保護案内部材30の形状は安定した状態で保たれる。すなわち、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が、螺旋状部分30gにより吸収される。したがって、保護案内部材30によりケーブル41を、軸線R1を中心として回転させるように案内することができる。
【0073】
さらに、第3部材21に対して第1部材22を回転させる動作と、第1部材22に対してアーム25を回転させる動作とを同時に行わせた場合には、図7,8にそれぞれ示す案内態様が同時に実現される。
【0074】
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
【0075】
・共通の軸線R1を中心として相対回転する第1部材22及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30が取り付けられている。ここで、保護案内部材30は、樹脂により長尺状に一体で形成されているため、従来のリンク部材などを多数連結して組み立てる保護案内部材と比較して、保護案内部材30自体の構成を簡素化することができるとともに、その組み立て作業を省くことができる。
【0076】
・保護案内部材30は、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、保護案内部材30には、湾曲面33を残して3面(2つの側面34及び分割面35)を切り込む長手方向に垂直なスリット36が、長手方向に所定間隔で設けられている。このため、保護案内部材30は、スリット36の設けられていない湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように、曲げたり捻ったりすることができる。このとき、湾曲面33と、スリット36の設けられた3面のスリット36以外の部分とによって、保護案内部材30の断面形状を維持する作用が生じる。したがって、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を抑制して形状を安定させることができる。
【0077】
・保護案内部材30において、保護案内部材30の一部分である中間部30aが第1部材22に取り付けられている。保護案内部材30は、中間部30aから軸線R1の周方向へ延ばされ、湾曲面33を内周側にして螺旋状に巻かれつつアーム25側へ延ばされている。すなわち、湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材30を螺旋状に巻くことができる。
【0078】
・ロボットにおいて、第1部材22及びアーム25が共通の軸線R1を中心として相対回転した場合には、保護案内部材30において螺旋状に巻かれた螺旋状部分30gの径及び外周側のスリット36の間隔が変化することで、保護案内部材30が回転させられる。ここで、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が螺旋状部分30gにより吸収されるため、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材30によってケーブル41を案内することができる。さらに、螺旋状に巻かれた保護案内部材30の形状を安定させることができるため、保護案内部材30がアーム25や第1部材22から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【0079】
・保護案内部材30は、アーム25の端部25aの側方において、螺旋状に略1周巻かれている。こうした構成によれば、保護案内部材30の螺旋状部分30gが必要以上に長くなることを抑制しつつ、螺旋状部分30gによる第1部材22及びアーム25の相対回転の吸収量を確保することができる。
【0080】
・保護案内部材30は、中間部30aから捻り位置(捻り部分30f)まで延ばされ、捻り位置において湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られることで、その延びる方向が転換されている。すなわち、捻り位置において湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻ることで、保護案内部材30を第1部材22の中間部30aから軸線R1の周方向へ向かわせることができる。その結果、互いに交差する二方向に沿って保護案内部材30を設けることが可能となる。
【0081】
・保護案内部材30は、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、保護案内部材30の一部分である第1端部30cが第3部材21に取り付けられるとともに、第1端部30cから長手方向に離間した上記中間部30aが第1部材22に取り付けられている。このため、スリット36が広がろうとする作用により、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして湾曲するようになる。したがって、保護案内部材30は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなり、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を抑制することができる。その結果、保護案内部材30の形状を安定させることができる。
【0082】
・保護案内部材30は、第1端部30cから軸線R2の周方向へ捻り折り返し位置31まで延ばされ、捻り折り返し位置31において第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されて、軸線R2の周方向へ中間部30aまで延ばされている。すなわち、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻りつつ曲げることで、保護案内部材30を折り返すことができる。そして、第3部材21及び第1部材22が軸線R2を中心として相対回転した場合には、捻り折り返し位置31が軸線R2の周方向に沿って移動して保護案内部材30が送り出されることで、保護案内部材30によりケーブル41を案内することができる。その結果、相対回転する第3部材21、第1部材22、及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30を取り付ける取付構造10を、長尺状に一体で形成された保護案内部材30により実現することが可能となるため、保護案内部材30自体の構成を簡素化することができる。さらに、軸線R2の周方向へ延ばされた保護案内部材30の形状を安定させることができるため、第1部材22及び第3部材21の高速相対回転に対して追従性を高めることができる。
【0083】
・保護案内部材30の長手方向に垂直な断面において、湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性を向上させることができる。したがって、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を効果的に抑制することができる。その結果、保護案内部材30の形状を更に安定させることができる。
【0084】
・保護案内部材30において湾曲面33と対向する分割面35は、保護案内部材30の長手方向に沿って二分割されているため、その割れ目から保護案内部材30内へケーブル41を容易に挿入することができる。
【0085】
・湾曲面33を内周側にして保護案内部材30を曲げた場合には、湾曲面33の湾曲が伸ばされるように変形する。このため、湾曲面33に接続された2つの側面34は、湾曲面33側へ倒れるように傾き、側面34に接続された分割面35の分割部分(隙間37の部分)が、湾曲面33側へ近付くこととなる。したがって、保護案内部材30が曲げられる部分においても、保護案内部材30内に収容されるケーブル41を強固に保持することができる。
【0086】
・スリット36において、湾曲面33側の端部36aが丸くされているため、湾曲面33を内周側にして外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げる際に、スリット36の端部36aに亀裂が生じることを抑制することができる。その結果、保護案内部材30の耐久性を向上させることかできる。
【0087】
・第1部材22及び第3部材21は、円筒状に形成されるとともに軸線R2の方向へ延びており、第1端部30cから捻り折り返し位置31まで、保護案内部材30において湾曲面33に対向する分割面35が第3部材21の内周面に沿うように配置され、捻り折り返し位置31から中間部30aまで、保護案内部材30において分割面35が第1部材22の内周面に沿うように配置されている。こうした構成によれば、湾曲面33を内周側にして湾曲する保護案内部材30を、円筒状に形成された第3部材21及び前記第1部材22の内部において、その内周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0088】
なお、上記実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付することにより説明を省略する。
【0089】
・スリット36の端部36aを丸く加工することを省略することもできる。
【0090】
・上記実施形態では、スリット36は分割面35から湾曲面33近傍まで切り込むようにしたが、保護案内部材30の捻り折り返し部分30e及び螺旋状部分30gの曲率半径が大きければ、スリット36が湾曲面33側へ切り込む長さを短くしてもよい。
【0091】
・図9に示すように、湾曲面33に対向する対向面135が分割されていないケーブル保護案内部材130を採用することもできる。この場合には、保護案内部材130の端部の開口から、ケーブル41を内部に挿入することとなる。こうした保護案内部材130によれば、保護案内部材130からケーブル41が外れることを確実に防ぐことができる。
【0092】
・ケーブル保護案内部材30,130において、湾曲面33を平面に形成することもできる。
【0093】
・ケーブル保護案内部材30の必ずしも端部をアーム25及び第3部材21に固定しなくてもよく、保護案内部材30の端部付近の部分を、それぞれアーム25及び第3部材21に固定してもよい。
【0094】
・上記実施形態では、ガイド部材23,24を設けるようにしたが、保護案内部材30が十分な強度を有しており、その形状の安定性が高い場合には、ガイド部材23,24を省略することもできる。
【0095】
・図10に示すように、第1部材122及び第3部材121は、円筒状に形成されるとともに軸線R2方向へ延びており、第1端部30cから捻り折り返し位置31まで、保護案内部材30において湾曲面33が第3部材121の外周面に沿うように配置され、捻り折り返し位置31から中間部30aまで、保護案内部材30において湾曲面33が第1部材122の外周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。すなわち、第1部材122及び第3部材121は、保護案内部材30が取り付けられるとともに、ガイド部材の役割も果たしている。こうした構成によれば、湾曲面33を内周側にして湾曲する保護案内部材30を、円筒状に形成された第3部材121及び第1部材122の外周において、その外周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0096】
・図11に示すように、共通の軸線R1を中心として相対回転するアーム222及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30を取り付けることもできる。アーム222,25は、長円板状に形成されており、軸線R1付近から、軸線R1に直交する(交差する)方向へ延びている。アーム222の端部222aとアーム25の端部25aとは、軸線R1方向に並んで配置されている。そして、保護案内部材30の第1端部30cがアーム222(第1部材)の端部222bに固定されており、保護案内部材30の第2端部30bがアーム25の端部25bに固定されている。ここで、保護案内部材30は、螺旋状部分30gから第1端部30cまで、アーム222の外周面に沿って直線状に延びている。こうした構成によっても、保護案内部材30がアーム222,25から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。なお、この場合に、螺旋状部分30gの一部をアーム25の端部25aに固定してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…取付構造、21,121…第3部材、22,122…第1部材、25…アーム(第2部材)、30,130…ケーブル保護案内部材、30a…中間部(第1部分)、30b…第2端部(第2部分)、30c…第1端部(第3部分)、30e…捻り折り返し部分、30g…螺旋状部分、31…捻り折り返し位置(折り返し位置)、33…湾曲面(所定の1面)、34…側面、35…分割面(対向する面)、36…スリット、37…隙間、41…ケーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを保護及び案内するケーブル保護案内部材を、可動部材に取り付ける取付構造、及びその取付構造を備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレームにより回転可能に支持された下アームと、下アームにより回転可能に支持された上アームとを備えるロボットにおいて、ケーブルをケーブルベア(登録商標)により保護及び案内するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、可撓性のあるケーブルベアの両端を、ロボットの外側でフレ−ム及び上アームにそれぞれ固定している。特許文献1に記載のものによれば、ロボットのアームが動作した際に、動力線や信号線等のケーブルが、ケーブルベアにより保護及び案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−39373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものでは、下アーム及び上アームの動作にケーブルベアを追従させるために、ケーブルベアに比較的長い遊び部分を設ける必要がある。このため、下アームと上アームとの相対角度によっては、ケーブルベアがアームから大きく離れたり揺れ動いたりするおそれがある。なお、特許文献1に記載のものでは、下アームにおいて下アームの回転軸と上アームの回転軸との中間位置に、ケーブルベアの動きを規制するガイドを設けているものの、ケーブルベアがアームから大きく離れることに相違はない。特に、下アームと上アームとの相対回転角度の範囲が広い場合には、こうした傾向が顕著なものとなる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、相対回転する可動部材にケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造において、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することにある。また、本発明の従たる目的は、その取付構造を備えるロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0007】
第1の手段は、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材が取り付けられる。ここで、保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成されているため、従来のリンク部材などを多数連結して組み立てる保護案内部材と比較して、保護案内部材自体の構成を簡素化することができるとともに、その組み立て作業を省くことができる。
【0009】
詳しくは、保護案内部材は、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられている。このため、保護案内部材は、スリットの設けられていない所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように、曲げたり捻ったりすることができる。このとき、スリットの設けられていない所定の1面と、スリットの設けられた3面のスリット以外の部分とによって、保護案内部材の断面形状を維持する作用が生じる。したがって、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を抑制して形状を安定させることができる。
【0010】
そして、保護案内部材において、保護案内部材の一部分である第1部分が第1部材に取り付けられている。保護案内部材は、第1部分から第1軸線の周方向へ延ばされ、所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ第2部材側へ延ばされている。すなわち、スリットの設けられていない所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材を螺旋状に巻くことができる。第2部材側へ延ばされた保護案内部材において、保護案内部材の一部分である第2部分が第2部材に取り付けられている。
【0011】
こうした取付構造において、第1部材及び第2部材が共通の第1軸線を中心として相対回転した場合には、保護案内部材において螺旋状に巻かれた螺旋状部の径及び外周側のスリットの間隔が変化することで、保護案内部材が回転させられる。ここで、第1部材及び第2部材の相対回転に伴う保護案内部材の回転が螺旋状部により吸収されるため、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材によってケーブルを案内することができる。さらに、螺旋状に巻かれた保護案内部材の形状を安定させることができるため、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【0012】
具体的には、保護案内部材が螺旋状に巻かれた構成として、保護案内部材が1周から2周の範囲で巻かれている構成を採用することができる。こうした構成によれば、保護案内部材の螺旋状部が必要以上に長くなることを抑制しつつ、螺旋状部による第1部材及び第2部材の相対回転の吸収量を確保することができる。なお、「螺旋状に巻かれる」とは、保護案内部材が1周程度巻かれることを含むものとする。
【0013】
第2の手段では、前記保護案内部材は、前記第1部分から捻り位置まで延ばされ、前記捻り位置において前記所定の1面を前記第1軸線側へ向けるように捻られてから、前記第1軸線の周方向へ延ばされている。
【0014】
上記構成によれば、保護案内部材は、第1部分から捻り位置まで延ばされ、捻り位置において所定の1面を第1軸線側へ向けるように捻られことで、その延びる方向が転換されている。すなわち、捻り位置において所定の1面を内周側にして、外周側のスリットの間隔を広げるように捻ることで、保護案内部材を第1部材の第1部分から第1軸線の周方向へ向かわせることができる。その結果、互いに交差する二方向に沿って保護案内部材を設けることが可能となる。
【0015】
第3の手段では、前記第1部材は、第3部材により前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に支持されており、前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされている。
【0016】
上記構成によれば、保護案内部材は、所定の1面を第2軸線側へ向けるようにして、保護案内部材の一部分である第3部分が第3部材に取り付けられるとともに、第3部分から長手方向に離間した上記第1部分が第3部材に取り付けられている。このため、スリットが広がろうとする作用により、保護案内部材は所定の1面を内周側にして湾曲するようになる。したがって、保護案内部材は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなり、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を抑制することができる。その結果、保護案内部材の形状を安定させることができる。
【0017】
ここで、保護案内部材は、第3部分から第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、折り返し位置において第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、第2軸線の周方向へ第1部分まで延ばされている。すなわち、スリットの設けられていない所定の1面を第2軸線側へ向けるようにして、外周側のスリットの間隔を広げるように捻りつつ曲げることで、保護案内部材を折り返すことができる。そして、第3部材及び第1部材が第2軸線を中心として相対回転した場合には、折り返し位置が第2軸線の周方向に沿って移動して保護案内部材が送り出されることで、保護案内部材によりケーブルを案内することができる。その結果、相対回転する第3部材、第1部材、及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造を、長尺状に一体で形成された保護案内部材により実現することが可能となるため、保護案内部材自体の構成を簡素化することができる。さらに、第2軸線の周方向へ延ばされた保護案内部材の形状を安定させることができるため、第1部材及び第3部材の高速相対回転に対して追従性を高めることができる。
【0018】
第4の手段では、前記保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、前記所定の1面は内側へ湾曲しており、前記保護案内部材において前記所定の1面と対向する面は、前記保護案内部材の長手方向に沿って二分割されている。
【0019】
上記構成によれば、保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、所定の1面は内側へ湾曲しているため、所定の1面を内周側とした保護案内部材の曲げに対する剛性を向上させることができる。したがって、保護案内部材の自重や、保護案内部材内に収容されるケーブルの重量に対して、保護案内部材の変形を効果的に抑制することができる。その結果、保護案内部材の形状を更に安定させることができる。
【0020】
また、保護案内部材において所定の1面と対向する面は、保護案内部材の長手方向に沿って二分割されているため、その割れ目から保護案内部材内へケーブルを容易に挿入することができる。
【0021】
そして、所定の1面を内周側にして保護案内部材を曲げた場合には、所定の1面の湾曲が伸ばされるように変形する。このため、所定の1面に接続された両側の面は、所定の1面側へ倒れるように傾き、その両側の面に接続された面(所定の一面と対向する面)の分割部分が、所定の1面側へ近付くこととなる。したがって、保護案内部材が曲げられる部分においても、保護案内部材内に収容されるケーブルを強固に保持することができる。
【0022】
第5の手段では、前記スリットにおいて、前記所定の1面側の端部が丸くされている。
【0023】
上記構成によれば、スリットにおいて、所定の1面側の端部が丸くされているため、所定の1面を内周側にして外周側のスリットの間隔を広げるように曲げる際に、スリットの端部に亀裂が生じることを抑制することができる。その結果、保護案内部材の耐久性を向上させることかできる。
【0024】
第6の手段は、共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材、並びに前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に前記第1部材を支持する第3部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられており、前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、第1及び第3の手段の作用効果を奏することができる。
【0026】
具体的には、第7の手段のように、前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第3部材の外周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第1部材の外周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。
【0027】
こうした構成によれば、所定の1面を内周側にして湾曲する保護案内部材を、円筒状に形成された第3部材及び前記第1部材の外周において、その外周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0028】
また、具体的には、第8の手段のように、前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第3部材の内周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第1部材の内周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。
【0029】
こうした構成によれば、所定の1面を内周側にして湾曲する保護案内部材を、円筒状に形成された第3部材及び前記第1部材の内部において、その内周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0030】
さらに、第9の手段のように、ケーブル保護案内部材の取付構造をロボットに適用して、前記第2部材は、前記第1軸線と交差する方向へ延びるとともに、前記第1部材により前記第1軸線を中心として回転可能に支持されているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、ロボットにおいて、保護案内部材が可動部材から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ケーブル保護案内部材の取付構造を示す斜視図。
【図2】ケーブル保護案内部材及びケーブルを示す斜視図。
【図3】直線部分及び周方向部分におけるケーブル保護案内部材及びケーブルの断面図。
【図4】捻り折り返し部分、捻り部分、及び螺旋状部分におけるケーブル保護案内部材及びケーブルの断面図。
【図5】捻り折り返し部分付近におけるケーブル保護案内部材を示す斜視図。
【図6】螺旋部分付近におけるケーブル保護案内部材を示す斜視図。
【図7】ケーブル保護案内部材によるケーブルの案内態様を示す斜視図。
【図8】ケーブル保護案内部材によるケーブルの案内態様を示す斜視図。
【図9】ケーブル保護案内部材の変形例を示す斜視図。
【図10】ケーブル保護案内部材の取付構造の変形例を示す斜視図。
【図11】ケーブル保護案内部材の取付構造の他の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ロボットにおいて、相対回転する3つの部材にケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造として具体化している。
【0033】
図1は、ケーブル保護案内部材30の取付構造10を示す斜視図である。同図に示すように、取付構造10は、第1部材22、アーム25(第2部材)、第3部材21、ケーブル41、ケーブル保護案内部材30、第1ガイド部材24、及び第2ガイド部材23を備えている。
【0034】
第1部材22及び第3部材21は、それぞれ円筒状に形成されており、軸線R2(第2軸線)を中心軸線として軸線R2方向へ延びている。第1部材22と第3部材21とは、軸線R2方向に並んで配置されている。第1部材22及び第3部材21は垂直に配置されており、軸線R2が鉛直方向に一致している。なお、第1部材22及び第3部材21の配置は必ずしも垂直でなくてもよく、傾斜していたり、水平であったりしてもよい。
【0035】
アーム25は、長円板状に形成されており、軸線R2に直交する(交差する)軸線R1(第1軸線)付近から、軸線R1に直交する(交差する)方向へ延びている。第1部材22の端部22aとアーム25の端部25aとは、軸線R1方向に並んで配置されている。軸線R1は水平方向へ延びている。なお、軸線R1の延びる方向は必ずしも水平でなくてもよく、傾斜していてもよい。また、アーム25の形状は、長円板状の形状に限らず、棒状の形状等を採用することもできる。
【0036】
第1部材22及び第3部材21の内部には、駆動モータ、回転軸、軸受け、減速機構等が設けられている。第1部材22は、軸受け及び減速機構を介して、第3部材21により軸線R2を中心として回転可能に支持されている。そして、第1部材22及び第3部材21は、駆動モータの駆動に基づいて、共通の軸線R2を中心に相対回転させられる。ここでは、第3部材21に対して、第1部材22が回転させられる。
【0037】
第1部材22及びアーム25の内部には、駆動モータ、回転軸、軸受け、減速機構等が設けられている。アーム25の端部25aは、軸受け及び減速機構を介して、第1部材22の端部22aにより、軸線R1を中心として回転可能に支持されている。そして、第1部材22及びアーム25は、駆動モータの駆動に基づいて、共通の軸線R1を中心に相対回転させられる。ここでは、第1部材22に対して、アーム25が回転させられる。
【0038】
アーム25の先に取り付けられるアクチュエータ等には、ケーブル41が接続されている。ケーブル41は、外部からの電力をアクチュエータ等に供給するとともに、駆動信号をアクチュエータ等の駆動回路に送信する電気配線である。アクチュエータ等は、ケーブル41を通じて供給される電力により駆動され、ケーブル41を通じて駆動回路に送信される駆動信号に基づいて動作させられる。
【0039】
ケーブル41には、ケーブル保護案内部材30が取り付けられている。保護案内部材30は、第1部材22の内周面及び第3部材21の内周面に沿って設けられるとともに、アーム25の外周面に沿って設けられている。
【0040】
第1部材22の内周側には、第1部材22よりも径の小さい円筒状の第1ガイド部材24が設けられている。第3部材21の内周側には、第3部材21よりも径の小さい円筒状の第2ガイド部材23が設けられている。第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23は、それぞれ第1部材22及び第3部材21と一体に回転する。保護案内部材30は、第1部材22と第1ガイド部材24との間、及び第3部材21と第2ガイド部材23との間に配置されている。すなわち、保護案内部材30は、第1ガイド部材24の外周面及び第2ガイド部材23の外周面に沿って設けられている。そして、保護案内部材30は、第1部材22が第3部材21に対して回転させられる際に、ケーブル41を保護するとともに、ケーブル41を軸線R2の周方向へ案内する。
【0041】
保護案内部材30は、アーム25において軸線R1側の端部25aから軸線R1と反対側の端部25bにかけて、アーム25の外周面に沿って配置されている。そして、保護案内部材30は、アーム25が第1部材22に対して回転させられる際に、ケーブル41を保護するとともに、ケーブル41をアーム25の回転に追従させるように案内する。
【0042】
次に、ケーブル保護案内部材30の構造について詳細に説明する。図2は、保護案内部材30及びケーブル41を示す斜視図である。
【0043】
同図に示すように、保護案内部材30は、長尺状に一体で形成されている。保護案内部材30の長手方向に垂直な断面は、中空の矩形状となっている。保護案内部材30は、湾曲面33、2つの側面34、及び分割面35を備えている。保護案内部材30には、長手方向に垂直なスリット36が、長手方向に所定間隔で設けられている。スリット36は、湾曲面33(所定の1面)を残して分割面35及び2つの側面34を切り込んでおり、分割面35から湾曲面33近傍まで切り込んでいる。スリット36において、湾曲面33側の端部36aは丸く加工されている。
【0044】
湾曲面33と対向する分割面35は、保護案内部材30の長手方向に沿って二分割されている。すなわち、分割面35には、保護案内部材30の長手方向に延びる隙間37が形成されている。隙間37の幅は、ケーブル41の直径よりも狭く設定されている。側面34同士の間隔は、2本のケーブル41の直径の合計よりも広く設定されている。湾曲面33と分割面35との間隔は、ケーブル41の直径よりも広く設定されている。
【0045】
保護案内部材30は、合成樹脂を押し出し成形した後に、上記スリット36及び隙間37を形成する加工が施される。このため、保護案内部材30の長さを任意に調整することができる。合成樹脂としては、機械的強度や成形精度の高いものを採用することが望ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などを採用することができる。ここでは、押し出し成形性及び形態安定性が高く、弾性変形が可能なポリプロピレンを採用している。そして、上記隙間37を広げるように保護案内部材30を弾性変形させて、保護案内部材30の内部へケーブル41が挿入されている。
【0046】
保護案内部材30は、第1部材22、アーム25、及び第3部材21に取り付けられた状態において、軸線R2の周方向に延びるように配置される周方向部分30d、捻られつつ折り返されて配置される捻り折り返し部分30e、湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られて配置される捻り部分30f、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれて配置される螺旋状部分30g、及び直線状に配置される直線部分30hを形成する。
【0047】
図3は、直線部分30h及び周方向部分30dにおけるケーブル保護案内部材30及びケーブル41の断面図である。同図に示すように、直線部分30h(自然状態の部分)及び周方向部分30d(若干湾曲しているが自然状態に近い状態の部分)では、保護案内部材30の湾曲面33は、内側(分割面35側)へ湾曲している。この状態において、2つの側面34は互いに略平行となっている。湾曲面33と側面34とは厚さが略等しくなっており、分割面35は湾曲面33よりも厚くなっている。分割面35は、隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ作用する力に対する抵抗力を増大させることができ、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0048】
図4は、捻り折り返し部分30e、捻り部分30f、及び螺旋状部分30gにおけるケーブル保護案内部材30及びケーブル41の断面図である。捻り折り返し部分30eでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、第3部材21から第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されている。捻り部分30fでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られている。螺旋状部分30gでは、保護案内部材30が、湾曲面33を軸線R1側へ向けるようにして、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれている。なお、同図では、上記直線部分30h及び周方向部分30dにおける保護案内部材30及びケーブル41を、二点鎖線で示している。
【0049】
同図に示すように、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、保護案内部材30を捻りつつ折り返すように変形させると、湾曲面33が伸ばされるように変形する。同様にして、湾曲面33を内周側にして、湾曲面33を軸線R1側へ向けて捻るように変形させた場合、及び湾曲面33を軸線R1側へ向けるようにして、軸線R1の周方向へ延ばされて螺旋状に巻かれるように変形させた場合も、湾曲面33が伸ばされるように変形する。
【0050】
このため、湾曲面33が平面状に変形し、湾曲面33の幅方向の両端に接続された2つの側面34が、湾曲面33側へ倒れるように傾く。これにより、側面34に接続された分割面35も、隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾くこととなる。その結果、分割面35に形成された隙間37の幅が狭くなり、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0051】
また、分割面35は湾曲面33よりも厚くなっているため、ケーブル41から分割面35へ作用する力に対する抵抗力を増大させることができる。
【0052】
したがって、保護案内部材30からケーブル41が外れることを効果的に抑制することができる。なお、これらの部分30e,30f,30gでは、ケーブル保護案内部材30及びケーブル41が捻られているため、図4に示す断面において保護案内部材30は非対称に変形している。
【0053】
図5は、捻り折り返し部分30e付近におけるケーブル保護案内部材30を示す斜視図である。なお、同図では、保護案内部材30内に収容されたケーブル41を省略して示している。
【0054】
同図に示すように、捻り折り返し部分30eでは、スリット36の間隔が広げられることにより、保護案内部材30が捻られつつ折り返されている。保護案内部材30の断面形状が非対称に変形することにより、保護案内部材30は無理なく変形している。また、捻り折り返し部分の曲率半径方向において、外側ほどスリット36の間隔が広くなっている。ここで、スリット36において湾曲面33側の端部36aが丸くされているため、スリット36の間隔を広げる際にスリット36の先端に応力が集中することを抑制することができる。このため、スリット36の端部36aに亀裂が生じることを抑制することができ、保護案内部材30の耐久性を向上させることができる。
【0055】
スリット36の設けられていない湾曲面33と、スリット36の設けられた側面34及び分割面35のスリット36以外の部分によって、保護案内部材30の断面形状を維持する作用が生じる。また、スリット36が広がろうとする作用により、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして湾曲するようになる。このため、保護案内部材30は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなる。さらに、保護案内部材30の湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性が向上している。したがって、保護案内部材30は、保護案内部材30の自重及びケーブル41の重量を支えることができ、保護案内部材30の形状を安定させることができる。また、保護案内部材30が、湾曲面33を内側にして曲がり過ぎることを抑制することができる。
【0056】
分割面35に形成された隙間37の幅は、周方向部分から捻り折り返し部分へ向かうにしたがって徐々に狭くなっている。このため、保護案内部材30と共にケーブル41が捻られつつ折り返される部分においても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。また、周方向部分から捻り折り返し部分へ向かうにしたがって、湾曲面33が伸ばされるように変形し、分割面35の隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ力が作用したとしても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0057】
図6は、螺旋状部分30g付近におけるケーブル保護案内部材30を示す斜視図である。なお、同図では、保護案内部材30内に収容されたケーブル41を省略して示している。
【0058】
同図に示すように、螺旋状部分30gでは、スリット36の間隔が広げられることにより、湾曲面33を内周側にして保護案内部材30が螺旋状に巻かれている。すなわち、保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして曲げられつつ、軸線R1方向(曲げ方向と略垂直な方向)へ位置がずらされている。保護案内部材30の断面形状が若干非対称に変形することにより、保護案内部材30は無理なく変形している。
【0059】
螺旋状部分30gでは、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして巻かれて(湾曲して)いる。このため、保護案内部材30は、巻かれた方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなる。さらに、保護案内部材30の湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性が向上している。また、保護案内部材30の巻かれた形状を伸ばそうとする力が作用している。
【0060】
分割面35に形成された隙間37の幅は、螺旋状部分30gでは一様に狭くなっている。このため、保護案内部材30と共にケーブル41が螺旋状に巻かれる部分においても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。また、湾曲面33が伸ばされるように変形し、分割面35の隙間37側の端部が湾曲面33側へ近付くように傾斜している。このため、ケーブル41から分割面35へ力が作用したとしても、保護案内部材30からケーブル41が外れることを抑制することができる。
【0061】
次に、図1に戻り、こうした構成を備える保護案内部材30を、第1部材22、アーム25、及び第3部材21に取り付ける構造について説明する。
【0062】
保護案内部材30は、湾曲面33を軸線R2側へ向けるように配置されており、第1端部30c(第3部分)が第3部材21の内周面に固定されている。保護案内部材30は、上記分割面35が第3部材21の内周面に沿うように配置されており、軸線R2の周方向に沿って捻り折り返し位置31(折り返し位置)まで延ばされている。
【0063】
保護案内部材30は、捻り折り返し位置31において、第3部材21から第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されている。詳しくは、保護案内部材30は、捻り折り返し位置31において、湾曲面33を曲げの中心側へ向けるようにして(湾曲面33を内周側にして)、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻りつつ曲げることで折り返されている。
【0064】
折り返された保護案内部材30は、湾曲面33を曲げの中心側へ向けるように配置されており、軸線R2の周方向に沿って中間部30a(第1部分)まで延ばされている。そして、中間部30aが第1部材22の内周面に固定されている。
【0065】
保護案内部材30の軸線R2側(第1部材22及び第3部材21の内径方向)には、第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23が配置されている。第1部材22と第1ガイド部材24との間隔、及び第3部材21と第2ガイド部材23との間隔は、保護案内部材30が軸線R2の周方向に沿って移動可能に設定されている。また、保護案内部材30が軸線R2側へ変形した場合に、保護案内部材30の湾曲面33が第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23の外周面に当たるように、それらの間隔が設定されている。
【0066】
保護案内部材30は、中間部30aから捻り部分30fまで延ばされている。捻り部分30fでは、湾曲面33が軸線R2側から軸線R1側へ徐々に向けられてから、保護案内部材30が軸線R1の周方向へ延ばされている。詳しくは、保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして、一方の側面34に形成されたスリット36の間隔を広げつつ、他方の側面34に形成されたスリット36の間隔を狭めるようにして捻られている。そして、保護案内部材30が第1部材22の中間部30aから、軸線R1の周方向に沿ってアーム25側へ延ばされている。なお、保護案内部材30は、捻り部分30fの付近において、第1部材22の内部から連通孔を通じて外部へ引き出されている。
【0067】
アーム25側へ延ばされた保護案内部材30は、湾曲面33を内周側にして螺旋状に巻かれて、螺旋状部分30gを形成している。詳しくは、保護案内部材30は、アーム25の端部25aの側方(外周面付近)において、軸線R1を中心として螺旋状に略1周巻かれている。すなわち、湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材30が螺旋状に巻かれている。ここでは、軸線R1方向において、第1部材22の端部22a側からアーム25の端部25a側へ、保護案内部材30がずらされている。なお、軸線R1方向において、アーム25の端部25a側から第1部材22の端部22a側へ、保護案内部材30をずらすこともできる。
【0068】
保護案内部材30は、螺旋状部分30gからアーム25の端部25b側へ、アーム25の外周面に沿って直線状に延ばされている。そして、保護案内部材30の第2端部30b(第2部分)がアーム25の端部25bに固定されている。保護案内部材30は、螺旋状部分30gと第2端部30bとの間において、上述した直線部分30hを形成している。保護案内部材30の第2端部30bからケーブル41が引き出されており、ケーブル41がアーム25の先に取り付けられたアクチュエータ等に接続されている。
【0069】
次に、図7を参照して、第3部材21に対して第1部材22を回転させた際に、ケーブル保護案内部材30によりケーブル41が案内される態様について説明する。
【0070】
第1部材22が矢印R21の方向へ回転した場合には、捻り折り返し位置31が第1部材22及び第3部材21の内周面(軸線R2の周方向)に沿って矢印R21の方向へ移動して、保護案内部材30と共にケーブル41が送り出される。一方、第1部材22が矢印R21と反対の方向へ回転した場合には、捻り折り返し位置31が第1部材22及び第3部材21の内周面に沿って矢印R21と反対の方向へ移動して、保護案内部材30と共にケーブル41が送り出される。したがって、保護案内部材30により、ケーブル41を軸線R2の周方向に沿って案内することができる。また、保護案内部材30が軸線R2側へ変形した場合には、保護案内部材30の湾曲面33が第1ガイド部材24及び第2ガイド部材23の外周面に当たって補助的に支持される。
【0071】
また、図8を参照して、第1部材22に対してアーム25を回転させた際に、ケーブル保護案内部材30によりケーブル41が案内される態様について説明する。なお、保護案内部材30の中間部30aは、第1部材22の内周面に固定されている。
【0072】
アーム25が矢印R11の方向へ回転した場合には、アーム25の端部25bに固定された保護案内部材30の第2端部30bが、軸線R1を中心として矢印R11の方向へ回転させられる。このとき、保護案内部材30の螺旋状部分30gの径が小さくなり、外周側のスリット36の間隔が広くなることで、保護案内部材30の形状は安定した状態で保たれる。すなわち、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が、螺旋状部分30gにより吸収される。一方、アーム25が矢印R11と反対の方向へ回転した場合には、アーム25の端部25bに固定された保護案内部材30の第2端部30bが、軸線R1を中心として矢印R11と反対の方向へ回転させられる。このとき、保護案内部材30の螺旋状部分30gの径が大きくなり、外周側のスリット36の間隔が狭くなることで、保護案内部材30の形状は安定した状態で保たれる。すなわち、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が、螺旋状部分30gにより吸収される。したがって、保護案内部材30によりケーブル41を、軸線R1を中心として回転させるように案内することができる。
【0073】
さらに、第3部材21に対して第1部材22を回転させる動作と、第1部材22に対してアーム25を回転させる動作とを同時に行わせた場合には、図7,8にそれぞれ示す案内態様が同時に実現される。
【0074】
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
【0075】
・共通の軸線R1を中心として相対回転する第1部材22及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30が取り付けられている。ここで、保護案内部材30は、樹脂により長尺状に一体で形成されているため、従来のリンク部材などを多数連結して組み立てる保護案内部材と比較して、保護案内部材30自体の構成を簡素化することができるとともに、その組み立て作業を省くことができる。
【0076】
・保護案内部材30は、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、保護案内部材30には、湾曲面33を残して3面(2つの側面34及び分割面35)を切り込む長手方向に垂直なスリット36が、長手方向に所定間隔で設けられている。このため、保護案内部材30は、スリット36の設けられていない湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように、曲げたり捻ったりすることができる。このとき、湾曲面33と、スリット36の設けられた3面のスリット36以外の部分とによって、保護案内部材30の断面形状を維持する作用が生じる。したがって、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を抑制して形状を安定させることができる。
【0077】
・保護案内部材30において、保護案内部材30の一部分である中間部30aが第1部材22に取り付けられている。保護案内部材30は、中間部30aから軸線R1の周方向へ延ばされ、湾曲面33を内周側にして螺旋状に巻かれつつアーム25側へ延ばされている。すなわち、湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げつつ曲げ方向と略垂直な方向へずらすことで、保護案内部材30を螺旋状に巻くことができる。
【0078】
・ロボットにおいて、第1部材22及びアーム25が共通の軸線R1を中心として相対回転した場合には、保護案内部材30において螺旋状に巻かれた螺旋状部分30gの径及び外周側のスリット36の間隔が変化することで、保護案内部材30が回転させられる。ここで、第1部材22及びアーム25の相対回転に伴う保護案内部材30の回転が螺旋状部分30gにより吸収されるため、相対回転角度の範囲が広い場合であっても、保護案内部材30によってケーブル41を案内することができる。さらに、螺旋状に巻かれた保護案内部材30の形状を安定させることができるため、保護案内部材30がアーム25や第1部材22から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。
【0079】
・保護案内部材30は、アーム25の端部25aの側方において、螺旋状に略1周巻かれている。こうした構成によれば、保護案内部材30の螺旋状部分30gが必要以上に長くなることを抑制しつつ、螺旋状部分30gによる第1部材22及びアーム25の相対回転の吸収量を確保することができる。
【0080】
・保護案内部材30は、中間部30aから捻り位置(捻り部分30f)まで延ばされ、捻り位置において湾曲面33を軸線R1側へ向けるように捻られることで、その延びる方向が転換されている。すなわち、捻り位置において湾曲面33を内周側にして、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻ることで、保護案内部材30を第1部材22の中間部30aから軸線R1の周方向へ向かわせることができる。その結果、互いに交差する二方向に沿って保護案内部材30を設けることが可能となる。
【0081】
・保護案内部材30は、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、保護案内部材30の一部分である第1端部30cが第3部材21に取り付けられるとともに、第1端部30cから長手方向に離間した上記中間部30aが第1部材22に取り付けられている。このため、スリット36が広がろうとする作用により、保護案内部材30は湾曲面33を内周側にして湾曲するようになる。したがって、保護案内部材30は、湾曲方向に対して垂直な方向へ曲がりにくくなり、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を抑制することができる。その結果、保護案内部材30の形状を安定させることができる。
【0082】
・保護案内部材30は、第1端部30cから軸線R2の周方向へ捻り折り返し位置31まで延ばされ、捻り折り返し位置31において第1部材22へ向かうように捻られつつ折り返されて、軸線R2の周方向へ中間部30aまで延ばされている。すなわち、湾曲面33を軸線R2側へ向けるようにして、外周側のスリット36の間隔を広げるように捻りつつ曲げることで、保護案内部材30を折り返すことができる。そして、第3部材21及び第1部材22が軸線R2を中心として相対回転した場合には、捻り折り返し位置31が軸線R2の周方向に沿って移動して保護案内部材30が送り出されることで、保護案内部材30によりケーブル41を案内することができる。その結果、相対回転する第3部材21、第1部材22、及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30を取り付ける取付構造10を、長尺状に一体で形成された保護案内部材30により実現することが可能となるため、保護案内部材30自体の構成を簡素化することができる。さらに、軸線R2の周方向へ延ばされた保護案内部材30の形状を安定させることができるため、第1部材22及び第3部材21の高速相対回転に対して追従性を高めることができる。
【0083】
・保護案内部材30の長手方向に垂直な断面において、湾曲面33は内側へ湾曲しているため、湾曲面33を内周側とした保護案内部材30の曲げに対する剛性を向上させることができる。したがって、保護案内部材30の自重や、保護案内部材30内に収容されたケーブル41の重量に対して、保護案内部材30の変形を効果的に抑制することができる。その結果、保護案内部材30の形状を更に安定させることができる。
【0084】
・保護案内部材30において湾曲面33と対向する分割面35は、保護案内部材30の長手方向に沿って二分割されているため、その割れ目から保護案内部材30内へケーブル41を容易に挿入することができる。
【0085】
・湾曲面33を内周側にして保護案内部材30を曲げた場合には、湾曲面33の湾曲が伸ばされるように変形する。このため、湾曲面33に接続された2つの側面34は、湾曲面33側へ倒れるように傾き、側面34に接続された分割面35の分割部分(隙間37の部分)が、湾曲面33側へ近付くこととなる。したがって、保護案内部材30が曲げられる部分においても、保護案内部材30内に収容されるケーブル41を強固に保持することができる。
【0086】
・スリット36において、湾曲面33側の端部36aが丸くされているため、湾曲面33を内周側にして外周側のスリット36の間隔を広げるように曲げる際に、スリット36の端部36aに亀裂が生じることを抑制することができる。その結果、保護案内部材30の耐久性を向上させることかできる。
【0087】
・第1部材22及び第3部材21は、円筒状に形成されるとともに軸線R2の方向へ延びており、第1端部30cから捻り折り返し位置31まで、保護案内部材30において湾曲面33に対向する分割面35が第3部材21の内周面に沿うように配置され、捻り折り返し位置31から中間部30aまで、保護案内部材30において分割面35が第1部材22の内周面に沿うように配置されている。こうした構成によれば、湾曲面33を内周側にして湾曲する保護案内部材30を、円筒状に形成された第3部材21及び前記第1部材22の内部において、その内周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0088】
なお、上記実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付することにより説明を省略する。
【0089】
・スリット36の端部36aを丸く加工することを省略することもできる。
【0090】
・上記実施形態では、スリット36は分割面35から湾曲面33近傍まで切り込むようにしたが、保護案内部材30の捻り折り返し部分30e及び螺旋状部分30gの曲率半径が大きければ、スリット36が湾曲面33側へ切り込む長さを短くしてもよい。
【0091】
・図9に示すように、湾曲面33に対向する対向面135が分割されていないケーブル保護案内部材130を採用することもできる。この場合には、保護案内部材130の端部の開口から、ケーブル41を内部に挿入することとなる。こうした保護案内部材130によれば、保護案内部材130からケーブル41が外れることを確実に防ぐことができる。
【0092】
・ケーブル保護案内部材30,130において、湾曲面33を平面に形成することもできる。
【0093】
・ケーブル保護案内部材30の必ずしも端部をアーム25及び第3部材21に固定しなくてもよく、保護案内部材30の端部付近の部分を、それぞれアーム25及び第3部材21に固定してもよい。
【0094】
・上記実施形態では、ガイド部材23,24を設けるようにしたが、保護案内部材30が十分な強度を有しており、その形状の安定性が高い場合には、ガイド部材23,24を省略することもできる。
【0095】
・図10に示すように、第1部材122及び第3部材121は、円筒状に形成されるとともに軸線R2方向へ延びており、第1端部30cから捻り折り返し位置31まで、保護案内部材30において湾曲面33が第3部材121の外周面に沿うように配置され、捻り折り返し位置31から中間部30aまで、保護案内部材30において湾曲面33が第1部材122の外周面に沿うように配置されているといった構成を採用することができる。すなわち、第1部材122及び第3部材121は、保護案内部材30が取り付けられるとともに、ガイド部材の役割も果たしている。こうした構成によれば、湾曲面33を内周側にして湾曲する保護案内部材30を、円筒状に形成された第3部材121及び第1部材122の外周において、その外周面に沿わせて効率的且つ安定した状態で配置することができる。
【0096】
・図11に示すように、共通の軸線R1を中心として相対回転するアーム222及びアーム25に、ケーブル保護案内部材30を取り付けることもできる。アーム222,25は、長円板状に形成されており、軸線R1付近から、軸線R1に直交する(交差する)方向へ延びている。アーム222の端部222aとアーム25の端部25aとは、軸線R1方向に並んで配置されている。そして、保護案内部材30の第1端部30cがアーム222(第1部材)の端部222bに固定されており、保護案内部材30の第2端部30bがアーム25の端部25bに固定されている。ここで、保護案内部材30は、螺旋状部分30gから第1端部30cまで、アーム222の外周面に沿って直線状に延びている。こうした構成によっても、保護案内部材30がアーム222,25から離れたり揺れ動いたりすることを抑制することができる。なお、この場合に、螺旋状部分30gの一部をアーム25の端部25aに固定してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…取付構造、21,121…第3部材、22,122…第1部材、25…アーム(第2部材)、30,130…ケーブル保護案内部材、30a…中間部(第1部分)、30b…第2端部(第2部分)、30c…第1端部(第3部分)、30e…捻り折り返し部分、30g…螺旋状部分、31…捻り折り返し位置(折り返し位置)、33…湾曲面(所定の1面)、34…側面、35…分割面(対向する面)、36…スリット、37…隙間、41…ケーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、
前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、
前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられていることを特徴とするケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項2】
前記保護案内部材は、前記第1部分から捻り位置まで延ばされ、前記捻り位置において前記所定の1面を前記第1軸線側へ向けるように捻られてから、前記第1軸線の周方向へ延ばされている請求項1に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項3】
前記第1部材は、第3部材により前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に支持されており、
前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされている請求項1又は2に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項4】
前記保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、前記所定の1面は内側へ湾曲しており、
前記保護案内部材において前記所定の1面と対向する面は、前記保護案内部材の長手方向に沿って二分割されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項5】
前記スリットにおいて、前記所定の1面側の端部が丸くされている請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項6】
共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材、並びに前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に前記第1部材を支持する第3部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、
前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、
前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられており、
前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされていることを特徴とするケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、
前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第3部材の外周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第1部材の外周面に沿うように配置されている請求項6に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項8】
前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、
前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第3部材の内周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第1部材の内周面に沿うように配置されている請求項6に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造を備えるロボットであって、
前記第2部材は、前記第1軸線と交差する方向へ延びるとともに、前記第1部材により前記第1軸線を中心として回転可能に支持されていることを特徴とするロボット。
【請求項1】
共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、
前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、
前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられていることを特徴とするケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項2】
前記保護案内部材は、前記第1部分から捻り位置まで延ばされ、前記捻り位置において前記所定の1面を前記第1軸線側へ向けるように捻られてから、前記第1軸線の周方向へ延ばされている請求項1に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項3】
前記第1部材は、第3部材により前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に支持されており、
前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされている請求項1又は2に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項4】
前記保護案内部材の長手方向に垂直な断面において、前記所定の1面は内側へ湾曲しており、
前記保護案内部材において前記所定の1面と対向する面は、前記保護案内部材の長手方向に沿って二分割されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項5】
前記スリットにおいて、前記所定の1面側の端部が丸くされている請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項6】
共通の第1軸線を中心として相対回転する第1部材及び第2部材、並びに前記第1軸線に直交する第2軸線を中心として回転可能に前記第1部材を支持する第3部材に、ケーブル保護案内部材を取り付ける取付構造であって、
前記保護案内部材は、樹脂により長尺状に一体で形成され、長手方向に垂直な断面が中空の矩形状であり、前記保護案内部材には、所定の1面を残して3面を切り込む長手方向に垂直なスリットが、長手方向に所定間隔で設けられており、
前記保護案内部材は、第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第1部分から前記第1軸線の周方向へ延ばされ、前記所定の1面を内周側にして螺旋状に巻かれつつ前記第2部材側へ延ばされ、第2部分が前記第2部材に取り付けられており、
前記保護案内部材は、前記所定の1面を前記第2軸線側へ向けるようにして、第3部分が前記第3部材に取り付けられるとともに、前記第3部分から長手方向に離間した前記第1部分が前記第1部材に取り付けられており、前記第3部分から前記第2軸線の周方向へ折り返し位置まで延ばされ、前記折り返し位置において前記第1部材へ向かうように捻られつつ折り返されて、前記第2軸線の周方向へ前記第1部分まで延ばされていることを特徴とするケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、
前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第3部材の外周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面が前記第1部材の外周面に沿うように配置されている請求項6に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項8】
前記第1部材及び前記第3部材は、円筒状に形成されるとともに前記第2軸線の方向へ延びており、
前記第3部分から前記折り返し位置まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第3部材の内周面に沿うように配置され、前記折り返し位置から前記第1部分まで、前記保護案内部材において前記所定の1面に対向する面が前記第1部材の内周面に沿うように配置されている請求項6に記載のケーブル保護案内部材の取付構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のケーブル保護案内部材の取付構造を備えるロボットであって、
前記第2部材は、前記第1軸線と交差する方向へ延びるとともに、前記第1部材により前記第1軸線を中心として回転可能に支持されていることを特徴とするロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66986(P2013−66986A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208538(P2011−208538)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
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